JP2000331473A - 磁気メモリ装置 - Google Patents

磁気メモリ装置

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JP2000331473A JP2000072579A JP2000072579A JP2000331473A JP 2000331473 A JP2000331473 A JP 2000331473A JP 2000072579 A JP2000072579 A JP 2000072579A JP 2000072579 A JP2000072579 A JP 2000072579A JP 2000331473 A JP2000331473 A JP 2000331473A
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    • G11C11/56Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency
    • G11C11/5607Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using storage elements with more than two stable states represented by steps, e.g. of voltage, current, phase, frequency using magnetic storage elements

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容量を可及的に大きくするとともに、高速か
つ低消費電力化を実現することを可能にする。 【解決手段】 強磁性導電層11,13,15とトンネ
ルバリア層12,14とが交互に積層された強磁性多重
トンネル接合を有する素子10を各々が有する複数のメ
モリセルと、強磁性多重トンネル接合に磁界を印加する
磁界印加手段と、を備え、強磁性多重トンネル接合を構
成する複数の強磁性導電層のうち、少なくとも3つの強
磁性導電層が各々異なる保持力を有しており、これらの
3つの強磁性導電層の磁化方向が磁界印加手段により独
立に反転可能なように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強磁性多重トンネル
接合を利用した多値記憶可能な磁気メモリ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気ランダムアクセスメモリ(以下MR
AMともいう)とは、情報の記録担体として強磁性体の
磁化方向を利用した、記録情報を随時、書き換え、保
持、読み出すことができる固体メモリの総称である。
【0003】MRAMセルは、メモリセルを構成する強
磁性体の磁化方向が、ある基準方向に対して平行か、反
平行であるかを2進の情報“1”“0”に対応させて情
報を記録する。記録情報の書き込みは、各セルの強磁性
体の磁化方向を、クロスストライプ状に配置された書き
込み線に電流を流して生じる電流磁界によって反転させ
ることによって行われる。記録保持時の消費電力は原理
的にゼロであり、また電源を切っても記録保持が行われ
る不揮発性メモリである。記録情報の読み出しは、メモ
リセルの電気抵抗が、セルを構成する強磁性体の磁化方
向とセンス電流との相対角、または複数の強磁性層間の
磁化の相対角によって変化する現象、いわゆる磁気抵抗
効果を利用して行う。
【0004】MRAMは、従来の誘電体を用いた半導体
メモリとその機能を比較すると、(1)完全な不揮発性
であり、また1015回以上の書き換え回数が可能である
こと。(2)非破壊読み出しが可能であり、リフレッシ
ュ動作を必要としないため読み出しサイクルを短くする
ことが可能であること。(3)電荷蓄積型のメモリセル
に比べ、放射線に対する耐性が強いこと、等の多くの利
点を有している。MRAMの単位面積あたりの集積度、
書き込み、読み出し時間は、おおむねDRAMと同程度
となりうることが予想される。従って不揮発性という大
きな特色を生かし、携帯型ディジタルオーディオ機器用
の外部記録装置、さらにはモバイルPC用の主記憶メモ
リへの応用が期待されている。
【0005】しかしながら現在実用化されている記録容
量4kb程度のMRAMでは、セル記録情報の読み出し
に、異方性磁気抵抗効果(Anisotoropic
Magneto−Resistance:以下AMR効
果と略記)を用いている。(例えばFerroelec
trics,116,175(1991)参照)AMR
効果による抵抗変化率は2%前後であり、さらに電流磁
界を用いた記録情報読み出し時に実効的に得られる抵抗
変化率は、その20〜30%程度である。従って、数十
mAのセンス電流に対するセル読み出し電圧は数百μV
となり、対ノイズ比を向上させるためには、様々な補償
回路が必要となる。従って、補償回路駆動のため数μs
〜数十μs程度のサイクルタイムしか得られないだけで
なく、セル集積度を向上させることが難しいという欠点
があった。
【0006】この点を解決するために、記録情報読み出
しに、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto
−Resistance:以下GMR効果と略記)を用
いようとする取り組みがなされている。GMR効果の場
合、セルには複数の強磁性層が存在し、セルの抵抗値は
各強磁性層の磁化の相対角に依存して変化する。GMR
効果を示す素子(以下GMR素子と略記)を用いたMR
AMセルとしては、Pseudo Spin−Valv
e構造(例えばIEEE Trans.Mag.,3
3,3289(1997)参照)、反強磁性層間結合を
有する三層膜を用いたもの(例えばIEEE Tran
s.Comp.Pac.Manu.Tech.pt.
A,17,373(1994)参照)、また硬質磁性体
をピン止め層に用いたSpin−Valve構造を有す
るもの(例えばIEEE Trans.Mag.33.
3295(1997)参照)が知られている。
【0007】現在GMR素子として多く用いられている
非結合型NiFe/Cu/Coからなる三層膜のGMR
効果の値は、概ね6〜8%程度である。例えば前述のP
seudo Spin−Valve構造を用いたMRA
Mセルでは、記録情報読み出し時の磁化分布を制御する
ことにより、実効的に5%以上の抵抗変化率を実現して
いる。これは、AMR効果を用いた場合に比べ10倍程
度大きな値である。
【0008】しかしながら一般にGMR素子のシート抵
抗は数十Ω/□程度である。したがって5%の抵抗変化
率を仮定した場合でも、数十mAのセンス電流に対する
セル読み出し信号は、数mV程度である。これに対し、
例えばセル駆動用のトランジスタにおける電圧降下は、
セルサイズの微細化とともに上昇し、0.25μmルー
ルでは数百mVに達する。すなわち、トランジスタの抵
抗値に10%のばらつきが存在すると、それにより数十
mVのノイズが現れる。すなわち現在得られているGM
R素子の抵抗変化率、及びシート抵抗値では、セル読み
出し信号が小さいため、今後一層の高集積化を図った場
合にメモリとして安定した動作が難しいという問題を有
している。
【0009】この点を解決するため、GMR効果に代わ
り、強磁性トンネル効果(Tunnel Magnet
o−Resistance;以下TMR効果と略記)を
応用しようとする提案がなされている。TMR効果を示
す素子(以下TMR素子と略記)は、主として第1強磁
性層/絶縁層/第2強磁性層からなる三層膜で構成さ
れ、電流は絶縁層をトンネルして流れる。トンネル抵抗
値は、両強磁性金属層の磁化の相対角の余弦に比例して
変化し、両磁化が反平行の場合に極大値をとる。例えば
第1強磁性層がNiFe/Coからなっており、絶縁層
がAl23 からなっており、第2強磁性層がCo/N
iFeからなるトンネル接合では、50Oe以下の低磁
界において25%を越える抵抗変化率が見いだされてい
る。(IEEE Trans.Mag.,33,355
3(1997)参照)すなわち、TMR素子は、GMR
素子に比べより大きな抵抗変化率を有するという利点を
持つ。さらに、TMR素子においては、電流は絶縁層を
トンネルして流れるため、GMR素子に比べ高いセル抵
抗が得られる。したがってより小さなセンス電流にして
おいても、より大きなセル読み出し信号が得られるとい
う利点を有している。
【0010】現在、TMR素子を用いたMRAMセルの
構造としては、一つのTMR素子に一つのトランジスタ
を配置したもの、複数のTMR素子を一行に並列に接続
したもの、また複数のTMR素子をマトリックス上に配
置し、行、列毎に選択トランジスタを配置したもの(例
えばJ.Appl.Phys.,81,3758(19
97)参照)が提案されている。これらの構造は、単純
にその1セルの面積を比較しても、誘電体キャパシタを
用いたダイナミックランダムアクセスメモリ(以下DR
AMと略記)と同程度の集積度が可能である。また、抵
抗変化率30%以上、セル抵抗10kΩ程度を仮定する
と、概ねDRAMと同程度の信号−ノイズ比が得られ
る。このような抵抗変化率、セル抵抗のスペックは、材
料的には達成できる範囲内である。
【0011】しかしながら、今後より一層の高集積化を
進める上では、TMR素子を用いたMRAMにも多くの
問題点が存在する。その一つは、トンネル接合面積の減
少に伴うセル抵抗増大の問題である。セル抵抗の増大
は、配線間浮遊容量を通じて信号遅延時間の増加にもつ
ながる。もう一つは微細構造磁性体に特有な不均一磁化
分布の問題である。すなわち、サブミクロンサイズの強
磁性体を膜面内に磁化した場合、その膜面内の磁化状態
が膜の形状に依存して不均一となるという問題が生じ
る。例えば端面に生じる磁極により自己減磁が生じ、膜
端面部分の磁化方向が中心部のそれとは異なる、いわゆ
るエッジドメインが発生することが知られている(J.
Appl.Phys.81,5471(199
7).)。エッジドメインの存在は、(1)ヒステリシ
スの角形比の低下を招き、実効的な抵抗変化率の減少が
生じる。(2)膜の磁化過程が不安定となり、膜の保磁
力の上昇が生じる等の問題を引き起こす。特に保磁力の
増大は、書き込み時の消費電力の増大につながり、好ま
しくない。この不均一磁化分布の問題は、強磁性体のサ
イズが減少することにより顕著になると予想される。
【0012】これらのメモリセルの微細化により生じる
諸問題は、DRAM、フラッシュメモリ等半導体メモリ
が抱える課題と類似しており、生産コスト的な問題も含
めると、セル構造の工夫、材料探索だけでは解決が困難
であることが予想される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、TMR
素子をメモリセルに応用することにより、従来用いられ
ているAMR効果、GMR効果を用いたメモリセルに比
べセル読み出し信号を大きくすることができ、MRAM
として安定な動作を実現することが可能である。しかし
ながら、高集積化を目指したメモリセルの微細化により
生じる諸問題は未解決なままであり、今後、DRAMと
同程度の記録密度を得ようとして、メモリセルの加工寸
法をさらに微細化させると、十分な信号−ノイズ比が得
られないとともに素子の磁化状態の制御がより困難にな
るといった要因から、速度、消費電力等の性能劣化が生
じると予想される。
【0014】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
であって、可及的に大きな容量を有する高速、低消費電
力の磁気メモリ装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による磁気メモリ
装置の第1の態様は 強磁性導電層とトンネルバリア層
とが交互に積層された強磁性多重トンネル接合を有する
素子を各々が有する複数のメモリセルと、前記強磁性多
重トンネル接合に磁界を印加する磁界印加手段と、を備
え、前記強磁性多重トンネル接合を構成する複数の強磁
性導電層のうち、少なくとも3つの強磁性導電層が各々
異なる保持力を有しており、これらの3つの強磁性導電
層のうち、少なくも2つの強磁性導電層の磁化方向が前
記磁界印加手段により独立に反転可能なように構成され
ていることを特徴とする。
【0016】また本発明による磁気メモリ装置の第2の
態様は、強磁性導電層とトンネルバリア層とが交互に積
層された強磁性多重トンネル接合を有する素子を各々が
有する複数のメモリセルと、前記強磁性多重トンネル接
合に磁界を印加する磁界印加手段と、を備え、前記強磁
性多重トンネル接合は、この強磁性多重トンネル接合を
構成する複数の強磁性導電層の磁化配列に応じて少なく
とも4個以上の異なる抵抗値を有することを特徴とす
る。
【0017】なお、前記強磁性多重トンネル接合を構成
する複数のトンネルバリア層のうち、少なくとも2つの
トンネルバリア層が、異なるトンネルコンダクタンスを
有していることが好ましい。
【0018】なお、前記強磁性多重トンネル接合を構成
する複数の強磁性導電層のうち、少なくとも1つの強磁
性導電層が他の強磁性導電層とは、形状または接合面積
が異なるように構成されていることが好ましい。
【0019】本発明の構成によれば、一つの記憶セルに
多値情報を記憶させることが可能となるため、強磁性多
重トンネル接合の加工寸法を減少させることなく、高集
積化を実現できる。従って、微細構造磁性体に特有な不
均一磁化分布の問題を軽減することが可能となるため、
同集積度の従来型のメモリと比較して、高速化、低消費
電力化を図ることができる。
【0020】また、同集積度の従来型のメモリと比較し
て、接合部だけでなくトランジスタ部、およびデータ
線、書き込み線等の配線部の加工寸法も大きく保つこと
が可能となる。従って、トランジスタ部、配線部での電
圧降下を軽減させることができ、一層の低消費電力化を
図ることが出来る。また、配線部断面積を大きく保つこ
とが出来るため、エレトクロマイグレーションに起因す
る配線寿命を延ばすことが可能となり、一層の信頼性向
上を図ることが出来る。
【0021】また、本発明の構成では、強磁性多重トン
ネル接合を用いているため、複数の単一接合を直列接続
した構成に比べ、全体の膜厚を小さく抑えることが可能
となる。従って、微細加工時における制御性が高く、製
造がより容易となるという利点を有する。また、各強磁
性導電層と書き込み線との距離を小さく保つことが可能
となるため、より効率的に電流磁界を印加することが可
能となり、一層の低消費電力化を図ることが出来る。
【0022】また強磁性多重トンネル接合においてトン
ネルバリア層に挟まれた中間強磁性導電層は、連続膜で
あっても良いし、また誘電体層中に不連続な微粒子が分
散したいわゆるグラニュラー膜であってもよい。中間強
磁性導電層が十分に薄い連続膜である場合、また十分に
小さな体積の微粒子である場合には、量子閉じこめ効果
により層中に離散した電子スピンの向きに依存した離散
準位が形成される。このようなスピン方向に依存した離
散準位が形成されると、離散準位が存在しない場合に比
べ大きな抵抗変化率が得られる。また中間強磁性導電層
が不連続な微粒子の集合体からなり、個々の微粒子の体
積が十分小さく、微粒子の帯電エネルギーが常温におい
て観測可能な値となる場合には、いわゆるクーロンブロ
ッケード効果により、抵抗変化率の増大が生じる。さら
に微粒子中のスピン緩和時間が、トンネル時間に比べ十
分長い場合には、微粒子中にスピン偏極した電子が非平
衡的に蓄積されるスピン蓄積効果が生じる。スピン蓄積
効果が生じると、抵抗変化率の増大が生じる。すなわち
本発明では、記憶セルに強磁性多重トンネル接合を用い
るため、上述の量子閉じこめ効果、クーロンブロッケー
ド効果またスピン蓄積効果を積極的に利用してセル出力
電圧の増大を図ることができ、より一層の高速化を図る
ことが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0024】(第1の実施の形態)本発明による磁気メ
モリ装置の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照して
説明する。図1は本実施の形態の磁気メモリ装置のメモ
リセルに用いられる強磁性多重トンネル接合素子10
(以下、多重TMR素子ともいう)の構造を模式的に示
す図である。この多重TMR素子10は、上部強磁性層
11と、上部絶縁層12と、中間強磁性層13と、下部
絶縁層14と、下部強磁性層15とからなる積層膜で構
成されている。中間強磁性層13は2つの薄い誘電体か
らなる上部絶縁層12、下部絶縁層14によって挟まれ
ており、各絶縁層12、14を介して上部強磁性層11
と中間強磁性層13との間および中間強磁性層13と下
部強磁性層15との間にそれぞれトンネル電流が流れる
ように構成されている。すなわち各々がトンネルバリア
層となる上部絶縁層12、 下部絶縁層14を介して、上
部強磁性層11、中間強磁性層13および下部強磁性層
15の間に、二重のトンネル接合が形成されている。
【0025】中間強磁性層13が十分に薄い連続膜であ
る場合、量子閉じこめ効果により中間強磁性層13に離
散した電子スピンの向きに依存した離散準位が形成され
る。このようなスピン方向に依存した離散準位が形成さ
れると、離散準位が存在しない場合に比べ大きな抵抗変
化率が得られる。
【0026】次に本実施の形態の多重TMR素子10の
製造方法について述べる。下部強磁性層15は膜厚6n
mのFe膜と、膜厚3nmのCoFe膜との2層膜
からなる。下部絶縁層14はAl酸化膜からなり、下部
強磁性層12上に膜厚1.0nmのAl膜を直接
スパッタして形成される。次いで膜厚3nmのCo
Pt20合金膜からなる中間強磁性層13と、膜厚1.
4nmのAlスパッタ膜である上部絶縁層12が
形成される。上部強磁性層11は膜6nmのCoFe
膜と膜厚12nmのNi82Fe18合金膜との2層
膜からなる。下部強磁性層15と上部強磁性層11とで
材質、膜厚が異なるのは、両者の保磁力差をより大きく
するためである。成膜後、真空熱処理炉を用いて、5k
Oeの磁界中で1時間、300℃の磁界中熱処理を行っ
た。熱処理の目的は、絶縁層中また絶縁層/強磁性層界
面部分での酸素分布を安定化させるため、成膜時に生じ
る結晶歪みを解放し軟磁気特性を向上させるため、さら
に膜に一軸異方性を付与し、急峻な磁化反転を実現させ
るためである。
【0027】各強磁性層に用いる材料としては、例えば
パーマロイに代表されるFe−Ni合金、強磁性を示す
Fe、Ni、Co及びそれらを含む合金、NiMnS
b,PtMnSb等のハーフメタル、CrO、 マグ
ネタイト等の酸化物ハーフメタル、アモルファス合金等
の種々の軟磁性材料から、Co−Pt合金、Fe−Pt
合金、遷移金属−希土類合金等の硬磁性材料まで、種々
の強磁性材料を使用することができる。高い抵抗変化率
を得るためには、伝導電子のスピン偏極度が高い材料を
用いることが望ましい。例えばハーフメタルは一方のス
ピンバンドにエネルギーギャップが存在するので、一方
向のスピンを持つ電子しか伝導に寄与しない。従って、
このような材料を各々の強磁性層に使用することで、よ
り大きな磁気抵抗比を得ることができる。強磁性層の成
膜は、スパッタ、真空蒸着、CVD等の公知の成膜技術
によって実現できる。
【0028】各々の強磁性層は単層膜に限られるもので
はなく、本実施の形態のように複数層からなる構成を有
していても良い。例えば上述のように各絶縁層に接する
部分にスピン偏極度が高いCoFe膜を配し、さら
にそれに接して軟磁気特性に優れたNiFe合金膜
を配置すると、高いスピン偏極度と軟磁気特性とを両立
させることができ、好ましい形態であるといえる。なお
各々の強磁性層は、膜内に一軸磁気異方性を有している
ことが望ましい。これによって、急峻な磁化反転を起こ
すことができるだけでなく、磁化方向を安定して保持す
ることができる。強磁性層への一軸異方性の付与は、例
えば磁界中成膜、磁界中熱処理等の方法で実現できる。
【0029】絶縁層に用いる材料としては、Al
、SiO、MgO、B、AlN、CaF
等の誘電体材料を使用することができる。絶縁層の成
膜は、スパッタ、真空蒸着、CVD等の直接成膜法に依
っても良いし、例えばAl−Hf等の金属を酸素プラズ
マ、自然酸化等により酸化して形成しても良い。また、
スパッタ等の直接成膜法に酸化処理を組み合わせても良
い。
【0030】次に本実施の形態の磁気メモリ装置におけ
る記録情報の書き込み動作について説明する。
【0031】以下の説明では、説明を容易にするため図
1に示すところの上部強磁性層11/上部絶縁層12/
中間強磁性層13からなる強磁性単一トンネル接合を第
1トンネル接合、中間強磁性層13/下部絶縁層14/
下部強磁性層15からなる強磁性単一トンネル接合を第
2トンネル接合と表記する。さらに第1、第2トンネル
接合において両強磁性層の磁化が平行なときの抵抗値を
各々R 、R とし、反平行なときの抵抗値を各々
AP、R APと定義する。ここでR >R
、R AP>R である。ΔR=R AP−R
、ΔR=R AP−R はそれぞれの強磁性トン
ネル接合の磁気抵抗変化量である。
【0032】図2は、図1に示す多重TMR素子からの
出力電圧の磁界応答の測定結果を示している。この多重
TRM素子の外形寸法は0.5μm角の矩形である。外
部磁界を素子全面に均一に印加し、10μAの定電流を
流した際の出力電圧を磁界の関数として測定した。測定
は、多重TMR素子に−500Oeの外部磁界を印加し
て上部強磁性層11、中間強磁性層13及び下部強磁性
層15の磁化方向をすべて平行にそろえた後に行った。
図2の電圧曲線上に矢印で示すように、磁界Hを負側か
ら正側に掃引する際の電圧−磁界特性には3つの異なっ
た状態が存在する。異なる状態の境界では電圧が大きく
変化し、それぞれの境界に対応する磁界の値はそれぞれ
15、50、120Oeである。この磁界の値は、メモ
リセルを構成する多重TMR素子のそれぞれ上部強磁性
層11、下部強磁性層15および中間強磁性層13の保
磁力(以下順にHc1、Hc2、Hc3と略記)に相当
する。すなわち、図2に3本の矢印の組み合わせで示す
ように印加磁界Hが、H<Hc1では各強磁性層の磁化
は紙面左向きに平行に揃っているが、Hc1<H<H
c2では上部強磁性層11の磁化が反転し、さらにH
c2<H<Hc3では、下部強磁性層15の磁化も反転
する。Hc3<Hでは全ての強磁性層の磁化が紙面右向
きに平行に揃う。図2に示すように、各強磁性層間の磁
化配列の変化によって、多重TMR素子の抵抗値は、R
+R →R AP+R →R +R AP
→R +R の順に変化する。すなわち電圧特性
は、磁化配列に依存した三つの異なるセル抵抗値を反映
している。
【0033】図3、図4は、図1に示す多重TMR素子
の低磁界での電圧−磁界特性を示している。図3、図4
に示す破線は図2に示す電圧−磁界特性をそのまま掲載
したものである。図3の実線で示す電圧−磁界特性は、
磁界Hを−500Oeから40Oe(<Hc2)まで掃
引した後、−Hc2<H<Hc2の範囲で掃引を繰り返
して得られた。この磁界領域では、図3に示すように、
中間強磁性層13及び下部強磁性層15の磁化は紙面左
向きに揃っており、上部強磁性層11の磁化方向のみが
変化する。電圧−磁界特性にみられるヒステリシスは上
部強磁性層11の磁化過程を反映している。電圧−磁界
特性の異なる二つの残留状態は、それぞれ上部強磁性層
11の磁化方向が紙面右向きか左向きかに対応してい
る。一方、図4の実線で示す電圧−磁界特性は、磁界H
を−500Oeから100Oe(<Hc3)まで掃引し
た後、−Hc2<H<Hc2の範囲で掃引を繰り返して
得られた。この磁界領域では、図4に示すように、中間
強磁性層13の磁化は紙面左向きに、下部強磁性層15
の磁化は紙面右向きに配列しおり、図3に示す場合とは
下部強磁性層15の磁化方向が異なる。電圧−磁界特性
の異なる二つの残留状態は、図3に示す場合と同様それ
ぞれ上部強磁性層11の磁化方向が紙面右向きか左向き
かに対応している。ただし二つの残留状態での電圧値は
図3の場合とは異なっている。
【0034】便宜的に、磁化が紙面左方向を向いている
場合を2進数字の“1”、右方向を向いている場合を
“0”と定義し、更に上部強磁性層11の磁化方向を2
ビット2進数字の上位ビット、下部強磁性層15を下位
ビットに対応させて磁化配列を表す。図3、図4で得ら
れた4つの異なる残留磁化状態での磁化配列とセル抵抗
値の対応は以下のようになる。
【0035】“11”:R +R “10”:R +R AP “01”:R AP+R “00”:R AP+R AP すなわち、本実施の形態の磁気メモリ装置では、多重T
MR素子10に異なる4つの磁化配列が存在し、これら
の4つの磁化配列に4つの異なるセル抵抗値が一意に対
応する。多重TMR素子の4つの磁化配列はいずれも残
留磁化状態であり、不揮発性である。このような異なる
4つの磁化配列はこれに対応した抵抗状態を実現するた
めには、多重TMR素子10を構成する上部強磁性層1
1、中間強磁性層13、下部強磁性層15の間にそれぞ
れ保磁力差が生じていることが必要である。本実施の形
態では、上部強磁性層11、下部強磁性層15が書き込
み時にその磁化方向が変化する記録層、中間強磁性層1
3が書き込み時にその磁化方向が変化しない固着層であ
る。なお本発明はこれに限られるものではなく、上部強
磁性層11、中間強磁性層13、下部強磁性層15のう
ちいずれか2つを情報の記録層とすればよい。この場
合、残る1つの強磁性層を固着層として用いる。各強磁
性層の保磁力の制御は、強磁性層を構成する材料を変え
る他、例えば軟質磁性体、若しくは硬質磁性体との積層
構造を用いる、膜厚を変える、磁気異方性を付与する、
形状磁気異方性を用いる等の様々な手段で実現可能であ
る。
【0036】中間状態である磁化配列“10”の抵抗値
と磁化配列“01”の抵抗値の差は、(R +R
AP)−(R AP+R )=ΔR−ΔR、であ
り、第1トンネル接合と第2トンネル接合の磁気抵抗変
化量ΔR、ΔRの差を反映する。すなわち、Δ
、ΔRがほぼ等しい場合には、磁化配列“10”
と、磁化配列“01”の判別は困難となる。従って、異
なる4つの磁化配列に対応したセル抵抗値を判別するた
めには、第1、第2トンネル接合の磁気抵抗変化量ΔR
、ΔRが異なることが必要である。例えば、ΔR
〜2ΔRであれば、上述の4つの磁化配列に対応した
セル抵抗値の差をほぼ均等することができ、好ましい形
態である。このような各トンネル接合の磁気抵抗変化量
ΔR、ΔRの制御は、各トンネル接合の接合面積、
トンネル接合を構成する絶縁層の厚さ、性質、また強磁
性層の性質を変化させることにより制御可能である。
【0037】なお本実施の形態の多重TMR素子では、
磁化配列“10”の抵抗値に比べ磁化配列“01”の抵
抗値が低い特性が得られた。これは、本発明における必
要条件ではなく、“10”の抵抗値が“01”の抵抗値
に比べ高い特性を有していても良い。
【0038】記録情報の書き込みは、上述したように、
TMR素子をある所定方向に初期磁化した後に、記録情
報に対応する磁化配列ができるように正負の磁界掃引を
組み合わせて用いればよい。例えば、磁化配列“10”
の状態は、負の磁界方向にH<−Hc3となる磁界Hを
印加して初期磁化を行った後、Hc2<H<Hc3の正
磁界Hを印加、さらに−Hc2<H<−Hc1の負磁界
Hを印加して磁界を0に戻すことによって得られる。2
回目以降の書き換えでは初期磁化は不要である。例えば
磁化配列“10”から磁化配列“01”に書き換えるた
めには−Hc3<H<−Hc2の負磁界Hを印加して、
下部強磁性層15の磁化を紙面左向きにそろえた後、H
c1<H<Hc2の正磁界Hを印加して磁界を0に戻せ
ばよい。
【0039】本実施の形態では、中間強磁性層13の磁
化方向は紙面左向きにあるとして説明したが、これは、
素子の初期磁化状態に依存する。初期磁化後に中間強磁
性層13の磁化方向が紙面右向きである場合には、上述
の書き込み操作において印加磁界の符号を逆転すればよ
い。
【0040】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、多重TMR素子10に異なる4つの磁化配列が存在
し、これらの4つの磁化配列に4つの異なるセル抵抗値
が一意に対応する。この多重TMR素子を各メモリセル
に用いれば、1メモリセルに2ビットの記録情報を書込
み、保持することが可能である。このため、メモリセル
を微細化することなく大きな容量を得ることが可能とな
る。これにより、高速、低消費電力を実現することがで
きる。
【0041】(第2の実施の形態)本発明による磁気メ
モリ装置の第2の実施の形態を図5を参照して説明す
る。図2は、本実施の形態の磁気メモリ装置のメモリセ
ルに用いられる多重TMR素子10の構造を模式的に示
した図である。この図2に示す多重TMR素子10は図
1に示す多重TMR素子の連続膜からなる中間強磁性層
13を、図5に示すように層状に配列した不連続な強磁
性微粒子の集合体からなる中間強磁性層13に置換えた
構成となっている。
【0042】本実施の形態のように中間強磁性層13が
十分に小さな体積の強磁性微粒子から構成されている場
合には、量子閉じこめ効果により中間強磁性層13に離
散した電子スピンの向きに依存した離散準位が形成され
る。このようなスピン方向に依存した離散準位が形成さ
れると、離散準位が存在しない場合に比べ大きな抵抗変
化率が得られる。また強磁性微粒子の体積が十分小さ
く、微粒子の帯電エネルギーが常温において観測可能な
値となる場合には、いわゆるクーロンブロッケード効果
により、抵抗変化率の増大が生じる。さらに帯電エネル
ギーが常温より大きい場合、微粒子中にスピン偏極した
電子が非平衡的に蓄積されるスピン蓄積効果が生じるこ
とが理論的に研究されている。スピン蓄積効果が生じる
と、抵抗変化率の増大が期待される。このように量子閉
じこめ効果、クーロンブロッケード効果またスピン蓄積
効果を積極的に利用できることは大きな利点である。
【0043】次に本実施の形態による多重TMR素子1
0の製造方法について述べる。下部強磁性層15は膜厚
6nmのFe膜と、膜厚3nmのCoFe膜との2
層膜からなる。下部絶縁層14はAl酸化膜からなり、
下部強磁性層15上に膜厚1.0nmのAl膜を
直接スパッタして形成される。次いで設計質量膜厚1.
8nmのCo30Pt20合金膜からなる中間強磁性層
13と、膜厚2.5nmのAlスパッタ膜である
上部絶縁層12が形成される。下部絶縁層14、中間強
磁性層13、上部強磁性層は交互スパッタにより一貫し
て成膜した。中間強磁性層13を粒子状に分断するため
には、下部絶縁層14上へ中間強磁性層13を3次元核
成長させる必要がある。本実施の形態では、中間強磁性
層13の3次元核成長を促進する目的で、成膜時に40
0Wの高周波バイアス電圧を印加した。また上部絶縁層
12によって粒子間を分断させるため、実施例1に比べ
上部絶縁層12を厚く堆積している。
【0044】中間強磁性層13を構成する粒子の粒径
は、スパッタ時の質量膜厚により制御できる。本実施の
形態では、質量膜厚2.3nm以上で中間強磁性層13
は連続膜になり、質量膜厚1.8nmで平均粒径5nm
の粒子が、質量膜厚1.2nmで平均粒径3nmの粒子
がそれぞれ得られた。ただし、後者の平均粒径3nmと
した場合、中間強磁性層13は室温では強磁性を示さ
ず、超常磁性的な振る舞いを示した。このため、本実施
の形態では上述のように中間強磁性層13の設計質量膜
厚を1.8nmとした。
【0045】上部強磁性層11は膜厚6nmのCo
膜と膜厚12nmのNi82Fe18合金膜との2
層膜からなる。上部強磁性層11の成膜後、真空熱処理
炉を用いて、5kOeの磁界中で1時間、300℃の磁
界中熱処理を行った。
【0046】本実施の形態では、中間強磁性層13が粒
子状に分断されているため、(1)第1の実施の形態の
ように同膜厚の連続膜からなる中間強磁性層13を用い
る場合に比べより大きな保磁力、異方性磁界の値が得ら
れるとともに(2)電極のシート抵抗に比べ、接合部の
抵抗が小さい場合に生じる電流分布効果を低減すること
が出来る、等の利点を有している。また粒子状に分断し
たことにより、粒子の帯電エネルギーを増加させること
ができ、クーロンブロッケード効果による磁気抵抗変化
率の増大が期待できる。
【0047】また本実施の形態も可及的に大きな容量を
得ることができるとともに高速、低消費電力を実現でき
る。
【0048】(第3の実施の形態)次に本発明による磁
気メモリ装置の第3の実施の形態を図6および図7を参
照して説明する。図6は本実施の形態の磁気メモリ装置
のメモリセルに用いられる多重TMR素子10の構成を
模式的に示す図である。
【0049】この図6に示す多重TMR素子10は、上
部強磁性層11と、上部絶縁層12と、中間強磁性層1
3と、下部絶縁層14と、下部強磁性層15とから構成
されている。中間強磁性層13は2つの薄い誘電体から
なる上部絶縁層12、下部絶縁層14によって挟まれて
おり、各絶縁層12、14を介して上部強磁性層11と
中間強磁性層13との間および中間強磁性層13と下部
強磁性層15との間にそれぞれトンネル電流が流れるよ
うに構成されている。本実施の形態では、図6に示すよ
うに、下部強磁性層15の磁化方向が書き込み動作時に
一方向に固定されており、固着層の役割を果たしてい
る。
【0050】次に本実施の形態の多重TMR素子10の
製造方法について述べる。下部強磁性層15は膜厚5n
mのNi82Fe18膜と、膜厚12nmのIrMn膜
と、膜厚3nmのCoFe膜との3層膜からなる。
下部絶縁層14はAl酸化膜からなり、下部強磁性層1
5上に膜厚1.0nmのAl膜を直接スパッタし
て形成される。次いで膜厚3nmのCo80Pt20
金膜からなる中間強磁性層13と、膜厚1.4nmのA
スパッタ膜である上部絶縁層12が形成され
る。上部強磁性層11は膜厚3nmのCoFe
と、膜厚6nmのNi82Fe18合金膜との2層膜か
らなる。上部強磁性層11の成膜後、真空熱処理炉を用
いて、5kOeの磁界中で1時間、300℃の磁界中熱
処理を行った。
【0051】図7は、図6に示す構造を有する多重TM
R素子からの出力電圧の磁界応答を示している。素子の
外形寸法は0.5μm角の矩形である。外部磁界を素子
全面に均一に印加し、10μAの定電流を流した際の出
力電圧を磁界の関数として測定した。
【0052】本実施の形態では、下部強磁性層15に反
強磁性体薄膜を含んだ3層膜を用いているため、図7の
メモリ動作上、接合に印加される磁界範囲では、下部強
磁性層15の磁化は一方向に固定される。従って、
(1)下部強磁性層15の磁化が反強磁性体との交換結
合により強制的に一方向に整列しているため、残留磁化
状態で、逆磁区がほとんど存在しない。これにより、よ
り高い抵抗変化率を得ることが出来る。(2)書き込み
時において、下部強磁性層15の磁化が回転することが
なく、多数回書き込みによって下部強磁性層15の磁化
方向が不安定となり出力が低下する問題を防止すること
が出来る。(3)下部強磁性層の反転磁界を数kOe以
上とすることが容易であり、万が一、製品としての磁気
メモリ装置が外部磁界にさらされた場合でも固着層の磁
化方向が破壊されないため、その機能を回復させること
が出来る、といった利点を有する。また下部強磁性層1
5の反転磁界の値は、下部強磁性層15を構成する強磁
性体膜と反強磁性体膜との交換磁界の強さを制御するこ
とにより設計することが可能である。
【0053】なお、本実施の形態では、下部強磁性層1
5を固着層としたが、上部強磁性層11を固着層として
も良いことは言うまでもない。また下部強磁性層15を
構成する反強磁性体膜にIrMn膜を用いたが、この薄
膜は同等の機能を有する他の材料膜で置き換えることが
可能である。そのような材料膜としては例えばFeM
n、PtMn、NiMn膜等のMn合金膜の他、Ni
O、Feが知られている。
【0054】この第3の実施の形態も、可及的に大きな
容量を得ることができるとともに、高速、低消費電力を
実現することができる。 (第4の実施の形態)次に本発明による磁気メモリ装置
の第4の実施の形態を図8を参照して説明する。図8は
本実施の形態の磁気メモリ装置のメモリセルに用いられ
る多重TMR素子10の構成を模式的に示す図である。
【0055】この図8に示す多重TMR素子10は、上
部強磁性層11と、上部絶縁層12と、中間強磁性層1
3と、下部絶縁層14と、下部強磁性層15とから構成
されている。中間強磁性層13は2つの薄い誘電体から
なる上部絶縁層12、下部絶縁層14によって挟まれて
おり、各絶縁層12,14を介して上部強磁性層11と
中間強磁性層13との間および中間強磁性層13と下部
強磁性層15との間にそれぞれトンネル電流が流れるよ
うに構成されている。本実施の形態では、図8に示すよ
うに、中間強磁性層13は、その磁化方向が反平行結合
した3層の強磁性薄膜と2層の非磁性導電体膜からなる
5層膜で構成されており、固着層の役割を果たしてい
る。
【0056】次に本実施の形態の多重TMR素子10の
製造方法について詳述する。下部強磁性層15は膜厚6
nmのFe膜と、膜厚3nmのCoFe膜との2層
膜からなる。下部絶縁膜14はAl酸化膜からなり、下
部強磁性層15上に膜厚0.8nmのAl膜をスバッタ
後、分圧1Torr、投入電力200Wの酸素プラズマ
で60秒間酸化して形成される。酸化後のAl酸化膜厚
は断面を透過電子顕微鏡による観察の結果、1.0nm
であった。中間強磁性層13は、膜厚3nmのCo膜
と、膜厚0.7nmのRu膜と、膜厚3nmのCo膜
と、膜厚0.7nmのRu膜と、膜厚3nmのCo膜と
の5層膜からなり、交互スパッタ法により成膜した。こ
の5層膜は、その磁化が図8に示すように互いに反平行
に結合しており、その反転磁界が室温で500Oe以上
であることを振動試料型磁力計による測定で確認した。
中間強磁性層13の成膜に続いて、下部絶縁層14と同
様にスパッタ法によって膜厚1.1nmのAl膜を形成
後酸化して膜厚1.4nmの上部絶縁膜12が形成され
る。上部強磁性層11は膜厚3nmのCoFe
と、膜厚6nmのNi82Fe18合金膜との2層膜か
らなる。上部強磁性層11の成膜後、真空熱処理炉を用
いて、5kOeの磁界中で1時間、300℃の磁界中熱
処理を行った。
【0057】本実施の形態では、反強磁性結合した強磁
性多層膜を用いているため、中間強磁性層13を固着層
とすることが出来る。その効果は第3の実施形態とほぼ
同等である。しかし、第3の実施形態と比べ、(1)M
n合金膜からなる反強磁性体膜を用いる必要がないた
め、昇温時におけるMnの拡散の心配がない。(2)反
強磁性体膜を用いる場合に比べ、全体の膜厚をより低減
することが出来る、等の利点を有している。
【0058】反強磁性結合した強磁性多層膜としては、
上記Co膜とRu膜との積層膜の他、CoFe膜と、R
u、CoFe膜と、Ir膜等の積層膜が挙げられる。
【0059】なお本実施の形態は、中間強磁性層13に
反強磁性結合した強磁性多層膜を用いたが、この強磁性
多層膜は例えば下部強磁性層15または上部強磁性層1
1に用いても差し支えない。上下強磁性層15,11に
反強磁性多層膜を用いる場合は、これらの多層膜中に含
まれる強磁性層は二つでよい。
【0060】この第4の実施の形態も、可及的に大きな
容量を得ることが出来るとともに、高速かつ低消費電力
を実現することが出来る。
【0061】(第5の実施の形態)次に本発明による磁
気メモリ装置の第5の実施の形態を図9および図10を
参照して説明する。図9は本実施の形態の磁気メモリ装
置のメモリセルに用いられる多重TMR素子10の構成
を模式的に示す図である。
【0062】この多重TMR素子10は上部強磁性層1
1と、上部絶縁膜12と、中間強磁性層13と、下部絶
縁層14と、下部強磁性層15とを備えている。
【0063】下部強磁性層15は膜厚6nmのNi82
Fe18合金膜と、膜厚3nmのCoFe膜との2
層膜からなる。下部絶縁層14はAl酸化膜からなり、
下部強磁性層15上に膜厚1.0nmのAl膜を
直接スパッタすることにより形成される。次いで膜厚3
nmのCo80Pt20合金膜からなる中間強磁性層1
3と、スパッタ法により形成された膜厚1.0nmのA
膜である上部絶縁層12が形成される。上部強
磁性層11の成膜後、真空熱処理炉を用いて、5kOe
の磁界中で1時間、300℃の磁界中熱処理を行った。
上部強磁性層11は膜3nmのCoFe膜と、膜厚
6nmのNi82Fe18合金膜との2層膜からなる。
前述の実施例と異なり、上部絶縁層12、下部絶縁層1
4の膜厚、また上部強磁性層11、下部強磁性層15の
材質、膜厚が等しく製造されていることが大きな特徴で
ある。
【0064】一般にトンネル接合の実効的な接合面積
は、トンネルバリア層を挟む二つの電極のうち、どちら
か小さい方の面積で決まる。そして接合の抵抗値は接合
面積に反比例して増大する。本実施の形態では、上部強
磁性層11/上部絶縁層12/中間強磁性層13/下部
絶縁層14/下部強磁性層15のうち、上部強磁性層1
1の面積を他の強磁性層の面積に比べ小さくしている。
これにより上、下絶縁層12,14の膜厚が等しい場合
にも、上部強磁性層11/上部絶縁層12/中間強磁性
層13からなる第1トンネル接合の抵抗値R 、R
APに比べ、中間強磁性層13/下部絶縁層14/下部
強磁性層15からなる第2トンネル接合の抵抗値
、R APが小さい素子が得られる。本実施の形
態では、多重TMR素子10を構成する多層膜構造を成
膜後、上部強磁性層11のみをフォトリソグラフィとイ
オンミリングの組み合わせにより加工して0.25μm
角の矩形に加工し図に示すような素子形状を得た。
【0065】トンネル接合の抵抗値の制御は、接合面
積、絶縁層の厚さ、材質を変えることによって行うこと
が出来る。ただし、抵抗値は絶縁層の厚さ(バリア厚
さ)、絶縁層の材質(バリア高さ)に対して指数関数的
に変化するのに比べ、接合面積に対しては反比例して変
化する。従って、より正確に抵抗値を制御する目的で
は、本実施の形態はより好ましい形態であるといえる。
【0066】図10は図9に示す構造を持つ多重TMR
素子からの出力電圧の磁界応答を示している。素子の外
形寸法は0.5μm角の矩形である。外部磁界を素子全
面に均一に印加し、10μAの定電流を流した際の出力
電圧を磁界の関数として測定した。
【0067】本実施の形態では、図10に示すように下
部強磁性層15の保持力Hc2に比べ上部強磁性層11の
保磁力Hc1が大きい特性が得られた。これは図9に示す
ように、上部強磁性層11の一辺が下部強磁性層15に
比べ小さく加工されているためである。ミクロンからサ
ブミクロンの加工寸法を持つ微小磁性体では、保磁力は
加工寸法と材質から決まる磁壁幅との兼ね合いで決ま
り、一般に寸法の減少とともに保磁力は増加する。ま
た、磁性体の3次元的な形状は、形状磁気異方性定数を
通じて磁壁幅を変化させる。従って、本実施の形態のよ
うに、多重TMR素子を構成する複数の強磁性層に膜
厚、材質、構成が等しいものを用いた場合でも、その形
状を制御することで、異なる保磁力を得ることが出来
る。
【0068】この第5の実施の形態も、可及的に大きな
容量を得ることが出来るとともに、高速・低消費電力を
実現することが出来る。
【0069】なお、上記第1乃至第5の実施の形態に係
る多重TMR素子は強磁性2重トンネル接合であった
が、3重以上の強磁性多重トンネル接合であっても良い
ことは云うまでもない。
【0070】また上記第1乃至第5の実施の形態におい
ては多重TMR素子の構造を中心にして説明したがこれ
らの多重TMR素子を用いた磁気メモリ装置の構成を第
6の実施の形態として説明する。
【0071】(第6の実施の形態)次に本発明による磁
気メモリ装置の第6の実施の形態を図11および図12
を参照して説明する。図12は本実施の形態の磁気メモ
リ装置の一つのメモリセルのレイアウトを示す図であ
り、図11は図12に示す切断線A−A′でメモリセル
を切断したときの断面図を示す。
【0072】この実施の形態の磁気メモリ装置は、複数
のメモリセル2を有し、各メモリセルは強磁性多重トン
ネル接合を有する多重TMR素子10と、選択トランジ
スタ3とを備えている。
【0073】この選択トランジスタ3と多重TMR素子
10は、半導体基板1の主面上に形成される。選択トラ
ンジスタ3のゲートとなるワード線4が半導体基板2上
に形成されている。そしてこのワード線4の両側の半導
体基板1の領域には、選択トランジスタ3のドレイン領
域5aおよびソース領域5bが形成されている。なお、
ソース領域5bは隣接するセルの選択トランジスタのソ
ース領域にもなっている。
【0074】この選択トランジスタ3上に層間絶縁膜6
が形成されており、この層間絶縁膜6内に金属層(セル
プレート)9および書き込み線8が形成されている。セ
ルプレート9は層間絶縁膜6に設けられたコンタクト7
を介して選択トランジスタ3のドレイン領域5aに接続
される。
【0075】セルプレート9上には一端がこのセルプレ
ート9と電気的に接続するように多重TMR素子10が
設けられている。この多重TMR素子10の他端は層間
絶縁膜6内に設けられたコンタクト19を介してデータ
線20に接続されている。したがって、多重TMR素子
10はセルプレート9とデータ線20が交差する、層間
絶縁膜6の領域に設けられている。また、データ線20
は層間絶縁膜22に覆われている。
【0076】なお図11,12では、書き込み線8を除
いた書き込み/読み出し回路は省略されている。ここで
省略した書き込み/読み出し回路とそれに付随した周辺
回路の構成については、周知の半導体技術、例えばDR
AM、強誘電体メモリ等に用いられる公知技術を利用す
ることが出来る。
【0077】また、TMR素子10を除く半導体回路
部、周辺回路部の製造に関しては、従来公知の半導体製
造技術を利用することができ、その詳細な説明は省略す
る。
【0078】多重TMR素子への磁界印加は、図11に
示す書き込み線8、及びデータ線20に一定電流を流
し、これによって両者の交差部分に生じる合成された電
流磁界を用いる。書き込み時には、多重TMR素子を経
由した短絡電流を防ぐため、選択トランジスタを非導通
状態とすることが必要である。電流磁界の値及び極性を
変化させるには、書き込み線8、及びデータ線20に流
す電流値及びその極性を変化させればよい。
【0079】記録情報の書き込みは、前述したように、
多重TMR素子をある所定方向に初期磁化した後に、記
録情報に対応する磁化配列ができるように正負の磁界掃
引を組み合わせて用いればよい。例えば、“10”の状
態は、負の磁界方向にH<−Hc3となる磁界を印加して
初期磁化を行った後、H<Hc3の正磁界を印加、さらに
−Hc2<Hの負磁界を印加して磁界を0に戻すことによ
って得られる。2回目以降の書き換えでは初期磁化は不
要である。例えば“10”から“01”に書き換えるた
めには−Hc3<H<−Hc2の負磁界を印加して、下部強
磁性層15の磁化を紙面左向きにそろえた後、H<Hc2
の正磁界を印加して磁界を0に戻せばよい。
【0080】次に記録情報の読み出し動作について説明
する。本実施の形態の磁気メモリ装置におけるメモリセ
ル記録情報の読み出しは、図11のデータ線20から多
重TMR素子10にセンス電流を流して、トンネル接合
における電圧降下をセル出力電圧として検出することに
よって行う。2ビット記録情報の判別は、記録情報に対
応したセル出力電圧の大きさの違いを判別すればよい。
【0081】以下、本実施の形態における2ビット記録
情報の判別方法について詳述する。図13は本実施の形
態の磁気メモリ装置におけるメモリセル2の配置図を模
式的に示したものである。各メモリセル2には、データ
線DL0、/DL0(DL0バー)に一方の端子が接続
している。データ線DL0、/DL0には同数のメモリ
セルが接続されており、対線を構成し、差動アンプ31
に接続されている。各々のデータ線には定電流源32,
33が接続されている。各メモリセルは各々一つの多重
TMR素子10と、一つの選択トランジスタ3とを有し
ており、選択トランジスタ3の一方の電極は図13のP
Lで示したプレート線に接続している。プレート線の電
位はグランド電位でも良いが、他の値を用いることも可
能である。選択トランジスタ3のゲートはワード線WL
に接続されている。なお図13に示す構造では選択トラ
ンジスタ3とデータ線の間に多重TMR素子10が配置
されているが、選択トランジスタ3とプレート線の間に
TMR素子10を配置することも可能である。
【0082】メモリセル2の記録情報を読み出す際に
は、まずデータ線DL0及びデータ線/DL0に接続さ
れた定電流源32,33をオンし、データ線DL0及び
/DL0を一定電圧にプリチャージする。プリチャージ
電位Vpは、例えばダミーセル2a及びダミーセル2b
の選択トランジスタを導通させ、ダミーセルにセンス電
流を流すことで実現できる。続いてワード線WLD、/
WLDをオフ、ワード線WL1をオンすることで、ダミ
ーセル2aが開放されると同時に、セル2の選択トラン
ジスタが導通し、データ線DL0の電位は、メモリセル
2の多重TMR素子の出力電圧値と等しくなる。図14
は、データ線DL0及びデータ線/DL0の電位を比較
して示す。本実施の形態では、ダミーセルのセル抵抗値
を調整し、プリチャージ電位Vpが、記録情報“01”
と“10”に対応した出力電圧の中間値となるように設
定した。ダミーセル中の抵抗素子は、記憶セルと同じ多
重TMR素子を用いても良いし、半導体薄膜、金属薄膜
からなる抵抗素子を用いても良い。ダミーセルはデータ
線に一つあればよく、高集積化の妨げになるものではな
い。ワード線WL1がオンし、読み出しが開始される
と、データ線DL0の電位はセル2の記録情報に対応し
て4つの異なる電圧値を取る。一方、データ線/DL0
の電位はプリチャージ電位Vpのまま保たれており、結
果的に差動アンプ31の出力には、プリチャージ電位V
pとデータ線DL0の電位との差の電圧が増幅され現れ
る。このような対線構成と差動アンプを用いた検出法
は、DRAMなどで差動センス方式として多く用いられ
ており、差動アンプ部回路等の周辺回路は公知技術で実
現できる。差動センス方式を用いることで、データ線に
結合した同相雑音は相殺され、信号−ノイズ比の高い検
出が実現可能である。
【0083】(第7の実施の形態)また記録情報の読み
出しには、電流磁界による磁化反転を併用することも可
能である。この場合を第7の実施の形態として図15を
参照して説明する。図15には、磁化反転を併用した記
録情報読み出し時における、多重TMR素子の磁化配列
の変化を示す。本実施の形態では、中間強磁性層13及
び下部強磁性層15が情報の記録層である。また多重T
MR素子としては、図2に示す電圧−磁界特性を有する
ものを用いた。本実施の形態では、多重TMR素子の基
準方位を定めるのは上部強磁性層11であり、上述の第
6の実施の形態と異なり、書き込み/読み出し時の磁化
が電流磁界により反転する。従って読み出し動作完了後
には所定のリフレッシュ動作が必要となる。図15
(a)にはプリチャージ時の磁化配列を示す。磁化反転
は図15(b)に示すように書き込み線8に電流を流し
電流磁界を生じさせて行う。読み出し動作完了後には、
図15(c)に示すように逆方向の電流磁界により磁化
方向を初期状態にリフレッシュする。図16は、この上
部強磁性層11の磁化反転に伴うデータ線DL0の電圧
変化をデータ線/DL0と比較して示した模式図であ
る。プリチャージ電位Vpは、上部強磁性層11の磁化
反転前の“10”、“01”の中間電位とした。磁化反
転前には、データ線DL0の電位は、記録情報に対応し
た4つの異なる電圧値を示す。磁化反転を生じさせる
と、トンネル接合1の磁化配列が平行から反平行へまた
は反平行から平行へ変化する。これによりデータ線DL
0には、立ち上がりまたは立ち下がりの電圧パルスが生
じる。ここでパルスの立ち上がり、立ち下がりと、その
プリチャージ電位Vpに対する極性を組み合わせると、
以下に示すように記録情報に対応して4つの異なるパル
スが生じていることが分かる。
【0084】 “11”:極性 負、立ち上がり “01”: 負、立ち下がり “10”: 正、立ち上がり “00”: 正、立ち下がり すなわち、本実施の形態では記録情報判別に電圧を定量
的に検出する必要がなく、その極性弁別と、立ち上がり
/立ち下がりの区別を行えばよい。従って、例えば電源
電圧、データ線電位の変動に対する動作マージンを大き
く取ることが可能となり、信号−ノイズ比の高い検出が
可能となる。
【0085】第6の実施の形態では、一つの多重TMR
素子に一つ選択トランジスタを配した構成を説明した。
しかし、本発明の磁気メモリ装置の構成は上記実施の形
態に限定されるものではない。すなわち多値記憶を実現
させるために必要な絶対要素は、強磁性多重トンネル接
合を用いた多重TMR素子であり、多重TMR素子の配
列方法、記憶データの読み出し方法、電流磁界の印加方
法は、多重TMR素子の出力特性、製造法との整合が取
れる範囲で従来公知の技術を用いても何ら差し支えな
い。図17には、複数の多重TMR素子10を一つのデ
ータ線24に並列に配置した場合のメモリセル配置図を
模式的に示したものである。この場合には、個々の多重
TMR素子には選択トランジスタが設けられていないた
め、セル面積を低減させることができる利点を持つ。セ
ル記憶情報の読み出し方法としては、第7の実施の形態
で説明した電流磁界併用読み出しを用いればよい。
【0086】また、第6の実施の形態の磁気メモリ装置
においては、書き込み線8はセルプレート9の下に設け
られていたが、図18に示すようにデータ線20の上に
層間絶縁膜22を介して設けても良い。なお、図18に
おいて、6aは層間絶縁膜を表わしている。
【0087】
【発明の効果】以上、述べたように本発明によれば、素
子加工寸法を微細化することなく、メモリ容量を可及的
に大きくすることが可能となり、これにより、素子微細
化に伴うTMR素子の素子抵抗の増大、および微細寸法
磁性体に特有な不均一な磁化分布による抵抗変化率の減
少を防ぐことができ、高速でかつ低消費電力を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる多重TMR
素子の構造を示す模式図。
【図2】図1に示す多重TMR素子の磁界−電圧特性を
示すグラフ。
【図3】図1に示す多重TMR素子の磁界−電圧特性を
示すグラフ。
【図4】図1に示す多重TMR素子の磁界−電圧特性を
示すグラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる多重TMR
素子の構造を示す模式図。
【図6】本発明の第3の実施の形態にかかる多重TMR
素子の構造を示す模式図。
【図7】図6に示す多重TMR素子の磁界−電圧特性を
示すグラフ。
【図8】本発明の第4の実施の形態にかかる多重TMR
素子の構造を示す模式図。
【図9】本発明の第5の実施の形態にかかる多重TMR
素子の構造を示す模式図。
【図10】図9に示す多重TMR素子の磁界−電圧特性
を示すグラフ。
【図11】本発明による磁気メモリ装置の第6の実施の
形態の構成を示す断面図。
【図12】第6の実施の形態の磁気メモリ装置のレイア
ウトを示す平面図。
【図13】本発明による磁気メモリ装置にかかるメモリ
セル配置を模式的に示した平面図。
【図14】本発明による磁気メモリ装置における記録情
報読み出し時における電圧応答を模式的に示した図。
【図15】本発明による磁気メモリ装置における電流磁
界を併用した記録情報読み出し時における多重TMR素
子の磁化配列を説明した図。
【図16】本発明による磁気メモリ装置における電流磁
界を併用した記録情報読み出し時における電圧応答を模
式的に示した図。
【図17】本発明の磁気メモリ装置におけるメモリセル
配置の一変形例を示した平面図。
【図18】本発明による磁気メモリ装置の第6の実施の
形態の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 メモリセル 2a,2b ダミーセル 3 選択トランジスタ 4 ゲート電極(ワード線) 5a ドレイン領域 5a ソース領域 6 層間絶縁膜 7 コンタクト 8 書き込み線 9 セルプレート 10 多重TMR素子 11 上部強磁性層 12 上部絶縁層 13 中間強磁性層 14 下部絶縁層 15 下部強磁性層 19 コンタクト 20 データ線 22 層間絶縁膜 31 差動アンプ 32,33 定電流源

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性導電層とトンネルバリア層とが交互
    に積層された強磁性多重トンネル接合を有する素子を各
    々が有する複数のメモリセルと、 前記強磁性多重トンネル接合に磁界を印加する磁界印加
    手段と、 を備え、前記強磁性多重トンネル接合を構成する複数の
    強磁性導電層のうち、少なくとも3つの強磁性導電層が
    各々異なる保持力を有しており、これらの3つの強磁性
    導電層のうち、少なくも2つの強磁性導電層の磁化方向
    が前記磁界印加手段により独立に反転可能なように構成
    されていることを特徴とする磁気メモリ装置。
  2. 【請求項2】強磁性導電層とトンネルバリア層とが交互
    に積層された強磁性多重トンネル接合を有する素子を各
    々が有する複数のメモリセルと、 前記強磁性多重トンネル接合に磁界を印加する磁界印加
    手段と、 を備え、前記強磁性多重トンネル接合は、この強磁性多
    重トンネル接合を構成する複数の強磁性導電層の磁化配
    列に応じて少なくとも4個以上の異なる抵抗値を有する
    ことを特徴とする磁気メモリ装置。
  3. 【請求項3】前記強磁性多重トンネル接合を構成する複
    数のトンネルバリア層のうち、少なくとも2つのトンネ
    ルバリア層が、異なるトンネルコンダクタンスを有して
    いることを特徴とする請求項1または2記載の磁気メモ
    リ装置。
  4. 【請求項4】前記強磁性多重トンネル接合を構成する複
    数の強磁性導電層のうち、少なくとも1つの強磁性導電
    層が他の強磁性導電層とは、形状または接合面積が異な
    るように構成されていることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
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