JP2000331316A - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果型ヘッド

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JP2000331316A JP11139798A JP13979899A JP2000331316A JP 2000331316 A JP2000331316 A JP 2000331316A JP 11139798 A JP11139798 A JP 11139798A JP 13979899 A JP13979899 A JP 13979899A JP 2000331316 A JP2000331316 A JP 2000331316A
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magnetoresistive head
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Satoru Araki
悟 荒木
Yoshihiro Tsuchiya
芳弘 土屋
Masashi Sano
正志 佐野
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ノイズの発生が少なく、磁気ヘッドの出力向
上が図れる磁気抵抗効果型ヘッドを提供する。 【解決手段】 スピンバルブ膜構造の磁気抵抗効果膜3
を備えてなる磁気抵抗効果型ヘッド1であって、前記磁
気抵抗効果膜は、非磁性金属層30と、非磁性金属層の
一方の面に形成された強磁性層40と、非磁性金属層の
他方の面に形成された軟磁性層20と、前記強磁性層の
磁化の向きをピン止めするために強磁性層の上(非磁性
金属層と接する面と反対側の面)に形成されたピン止め
層50とを有するスピンバルブ型の多層膜であり、前記
軟磁性層は、磁気情報である外部磁場に応答して自由に
磁化の向きが変えられるように作用し、当該軟磁性層の
両端部には、軟磁性バイアス補助層25がそれぞれ形成
され、前記軟磁性バイアス補助層の上には、前記軟磁性
層の長手方向にバイアスを付与するためのバイアス付与
層10がそれぞれ接合して形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体等の
磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果型ヘ
ッドのうち、特にスピンバルブ膜構造を実質的な磁気情
報読み取りの手段として用いる磁気抵抗効果型ヘッドに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気センサの高感度化や磁気記録
における高密度化が進められており、これに伴い磁気抵
抗変化を用いた磁気抵抗効果型磁気センサ(以下、MR
センサという)や、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、
MRヘッドという)の開発が盛んに進められている。M
RセンサおよびMRヘッドはいずれも、磁性材料を用い
た読み取りセンサ部の抵抗変化により、外部磁界信号を
読み出すものである。このようなMRセンサおよびMR
ヘッドは、信号読み取りに際して、記録媒体との相対速
度が再生出力に依存しないことから、MRセンサでは高
感度が、MRヘッドでは高密度磁気記録の信号読み出し
時においても、高い出力が得られるという特徴がある。
【0003】しかしながら、従来用いられているNi8
0Fe20(パーマロイ)やNiCo等の磁性体を利用
したMRセンサでは、抵抗変化率であるΔR/Rの値が
せいぜい1〜3%くらいと小さく、数GBPSI(Giga
Bits Per Square Inches)以上の超高密度記録の読み出
し用MRヘッド材料としては感度が不足する。
【0004】ところで、金属の原子径オーダーの厚さの
薄膜が周期的に積層された構造をもつ人工格子は、バル
ク状の金属とは異なった特性を示すために、近年注目さ
れてきている。このような人工格子の1種として、基板
上に強磁性金属薄膜と非磁性金属薄膜とを交互に積層し
た磁性多層膜があり、これまで、鉄−クロム型、コバル
ト−銅型等の磁性多層膜が知られている。しかし、この
人工格子膜では最大抵抗変化の起きる外部磁場(作動磁
界強度)が数十kOeと大きく、このままでは実用性が
ない。
【0005】そこで、このような事情から、スピンバル
ブという新しい構造が提案されている。これは、非磁性
金属層を介してNiFe層が2層形成されており、一方
のNiFe層に隣接して、ピン止め層として例えばFe
Mn層が配置されている構成をもつ。
【0006】ここでは、FeMn層と隣接しているNi
Fe層とが直接交換結合力で結合しているために、この
NiFe層の磁気スピンは数10〜数100Oeの磁場
強度まで、その向きを固着される。一方のNiFe層の
スピンは外部磁場によって自由にその向きを変え得る。
その結果、NiFe層の保磁力程度という、小さな磁場
範囲で2〜5%の磁気抵抗変化率(MR変化率)が実現
される。
【0007】スピンバルブにおいては、2つの磁性層に
おけるスピンの相対角度の差異を実現させることによ
り、従来の異方性磁気抵抗(AMR)効果とは異なるお
おきなMR変化を実現している。これは一方の磁性層と
反強磁性との直接交換結合力による磁性層スピンのピン
ニングにより実現されている。この交換結合がスピンバ
ルブの本質であるといえる。
【0008】ところで従来からの、一般的なスピンバル
ブタイプの磁気抵抗効果型ヘッドは、図7の概略構成図
に示されるごとく、基板の上に、軟磁性層20、非磁性
金属層30、強磁性層40、およびピン止め層50が順
次積層されたスピンバルブ膜(磁気抵抗効果膜)構造を
有し、さらにこの積層膜の両端部にそれぞれ硬磁性層
(ハードマグネット)500を介して電極部100を設
けた構成を備えている。
【0009】この場合の硬磁性層(ハードマグネット)
500の主たる機能は以下の通りである。すなわち、M
R曲線の立ち上がり部分を規定するのは軟磁性層20の
磁化回転である。より急峻なMR曲線の立ち上がりを得
るためには、軟磁性層20が信号磁場に対し、完全に磁
化回転によりその磁化の向きを変えていくことが望まし
い。しかし、実際は軟磁性層20に磁区が発生してしま
い、信号磁場に対し磁壁移動と磁化回転が同時に起こっ
てしまう。その結果、バルクハウゼンノイズが発生し、
MRヘッド特性が安定しなくなっていた。そこで、硬磁
性層(ハードマグネット)500を設けることにより、
軟磁性層20の長手方向(矢印(α)方向)にバイアス
磁場(いわゆる縦バイアス磁場)を付与してバルクハウ
ゼンノイズを抑制したMRヘッド特性が得られるような
設計仕様が従来より採択されていたのである。
【0010】しかしながら上記のいわゆる縦バイアス磁
場を印加させる手段として硬磁性層(ハードマグネッ
ト)500を設けるタイプのスピンバルブ磁気ヘッドで
は、以下のような改善点が指摘されていた。すなわち、
硬磁性層(ハードマグネット)は、静磁場であるので、
大きな外部磁場が印加されると、その外部磁場の影響を
受けてバイアス磁場の磁化の方向が変わり易くなってし
まい、ノイズ発生の一つの要因となっていた。また、硬
磁性層(ハードマグネット)の結晶粒径のばらつきによ
り発生する磁場がゆらいでしまい、結果的に均一なバイ
アス磁場が印加できないという問題もあった。
【0011】さらに、硬磁性層(ハードマグネット)で
は、形成される形状の問題により効率良く縦バイアス磁
場を印加することが難しく、必要以上の過大なバイアス
磁場を印加していたので、さらなる磁気ヘッドの出力の
アップを期待することができないと言える。さらに、さ
らなる狭トラック化の実現も困難と言える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
状のものに創案されたものであって、その目的は、ノイ
ズの発生が少なく、磁気ヘッドの出力の向上が図れる磁
気抵抗効果型ヘッドを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、スピンバルブ膜構造の磁気抵抗効
果膜を備えてなる磁気抵抗効果型ヘッドであって、前記
磁気抵抗効果膜は、非磁性金属層と、非磁性金属層の一
方の面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他方の
面に形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の向き
をピン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層と接
する面と反対側の面)に形成されたピン止め層とを有す
るスピンバルブ型の多層膜であり、前記軟磁性層は、磁
気情報である外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変
えられるように作用し、当該軟磁性層の両端部には、軟
磁性バイアス補助層がそれぞれ形成され、前記軟磁性バ
イアス補助層の上には、前記軟磁性層の長手方向にバイ
アスを付与するためのバイアス付与層がそれぞれ接合し
て形成され、前記バイアス付与層は、反強磁性を示すR
Mn (MはRh,Pt,Pd,Au,A
g,Re,Ir,Crから選ばれた少なくとも1種であ
り、1≦x≦30,1≦y≦30,69≦z≦90,1
0≦x+y≦31(x,y,およびzの単位は原子
%))から形成され、前記軟磁性層は、前記軟磁性バイ
アス補助層と前記バイアス付与層との交換結合磁場によ
り、前記軟磁性層の長手方向(一方のバイアス付与層か
ら他方のバイアス付与層に向かう方向と実質的に同じ)
にバイアス磁場が印加されるように構成される。また、
本発明は、スピンバルブ膜構造の磁気抵抗効果膜を備え
てなる磁気抵抗効果型ヘッドであって、前記磁気抵抗効
果膜は、非磁性金属層と、非磁性金属層の一方の面に形
成された強磁性層と、非磁性金属層の他方の面に形成さ
れた軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の向きをピン止め
するために強磁性層の上(非磁性金属層と接する面と反
対側の面)に形成されたピン止め層とを有するスピンバ
ルブ型の多層膜であり、前記軟磁性層は、磁気情報であ
る外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変えられるよ
うに作用し、当該軟磁性層の両端部には、軟磁性バイア
ス補助層がそれぞれ形成され、前記軟磁性バイアス補助
層の上には、前記軟磁性層の長手方向にバイアスを付与
するためのバイアス付与層がそれぞれ接合して形成さ
れ、前記バイアス付与層は、反強磁性を示すRu
Mn (MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,R
e,Ir,Crから選ばれた少なくとも1種であり、1
≦x≦59,1≦y≦59,40≦z≦58,42≦x
+y≦60(x,y,およびzの単位は原子%))から
形成され、前記軟磁性層は、前記軟磁性バイアス補助層
と前記バイアス付与層との交換結合磁場により、前記軟
磁性層の長手方向(一方のバイアス付与層から他方のバ
イアス付与層に向かう方向と実質的に同じ)にバイアス
磁場が印加されるようになっているように構成される。
【0014】また、本発明の好ましい態様として、前記
ピン止め層は、PtMnまたはPtMnを80at%以
上含有する合金であるように構成される。
【0015】また、本発明の好ましい態様として、前記
ピン止め層は、Ptx1M´y1Mnz1 (M´はR
u,Rh,Pd,Au,Ag,Fe,Crから選ばれた
少なくとも1種であり、30≦x1≦60,0≦y1≦
30,40≦z1≦60(x1,y1,およびz1の単
位は原子%))から構成される。
【0016】また、本発明の好ましい態様として、前記
軟磁性層の実質的に動作している厚さをd1,その飽和
磁化をM1とし、前記軟磁性バイアス補助層の厚さをd
2、その飽和磁化をM2としたとき、両者の層構成は、
2d1・M1<d2・M2<5d1・M1の関係を満た
してなるように構成される。
【0017】また、本発明の好ましい態様として、前記
軟磁性層と前記軟磁性バイアス補助層とは実質的に同一
材質から構成され、前記軟磁性層の実質的に動作してい
る厚さをd1、前記軟磁性バイアス補助層の厚さをd2
としたとき、両者の層構成は、2d1<d2<5d1の
関係を満たしてなるように構成される。
【0018】また、本発明の好ましい態様として、前記
バイアス付与層には、電極部がそれぞれ接合して形成さ
れるように構成される。
【0019】また、本発明の好ましい態様として、前記
軟磁性層は、前記非磁性金属層側からCoまたはCoを
80重量%以上含む合金からなる第1の軟磁性層と、
(Nix Fe1−x )y Co1−y (0.7≦x≦
0.9、0.5≦y≦1.0(xおよびyの単位は重量
%))からなる第2の軟磁性層を有して構成され、前記
非磁性金属層は、Au,AgおよびCuの中から選ばれ
た少なくとも1種を含む材料からなるように構成され
る。
【0020】また、本発明の好ましい態様として、前記
バイアス付与層は、その成膜時に、前記軟磁性層の長手
方向に外部磁場を印加しつつ成膜されるように構成され
る。
【0021】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁気抵抗効果膜は、基板側から、ピン止め層、強磁性
層、非磁性金属層、軟磁性層の順に順次積層されてなる
ように構成される。
【0022】また、本発明の好ましい態様として、前記
バイアス付与層のブロッキング温度Tb1は、前記ピン止
め層のブロッキング温度Tb2より低くなるように両者の
材料選定が行なわれてなるように構成される。
【0023】また、本発明の好ましい態様として、前記
バイアス付与層のブロッキング温度Tb1は、170℃≦
Tb1≦290℃であり、前記ピン止め層のブロッキン
グ温度Tb2は、300℃≦Tb2≦400℃であるよう
に構成される。
【0024】また、本発明の好ましい態様として、前記
バイアス付与層のブロッキング温度Tb1と前記ピン止め
層のブロッキング温度Tb2との関係が、1.3≦Tb2
/Tb1≦2.6の関係を満たしてなるように構成され
る。
【0025】本発明では、反強磁性を示すバイアス付与
層と軟磁性層との交換結合磁場により軟磁性層に縦バイ
アス磁場を印加しているので、極めて効率よくバイアス
磁場が印加され、ヘッド出力が向上する。
【0026】さらに、本発明では上記のごとく交換結合
磁場により軟磁性層に縦バイアス磁場を印加しているの
で、大きな外部磁場の影響を受けにくく、外部の磁気的
なノイズに対して極めて安定な縦バイアス磁場となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施の形態
について詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明の好適な磁気抵抗効果型ヘ
ッド1の主要部部分を示す断面図である。この実施の形
態において、磁気抵抗効果型ヘッド1は、実質的な磁気
情報読み取り手段としてのスピンバルブ膜構造の磁気抵
抗効果膜3を備えている。
【0029】図1に示されるように、磁気抵抗効果膜3
は、非磁性金属層30と、この非磁性金属層30の一方
の面に形成された強磁性層40と、非磁性金属層30の
他方の面に形成された軟磁性層20と、強磁性層40の
磁化の向きをピン止めするために強磁性層40の下(こ
こで言う『下』とは、非磁性金属層30と接する面と反
対側の面を意味する)に形成されたピン止め層50を有
する積層体構造をなしている。
【0030】これらの積層体は、図1に示されるよう
に、通常、基板5の上に形成され、これらが基板5側か
ら、好ましい態様として下地層80、例えばNiFeや
Cu等のいわゆるfcc金属からなる配向補助層65を
介して、ピン止め層50、強磁性層40、非磁性金属層
30、軟磁性層20の順に積層されている。
【0031】本実施例の場合、軟磁性層20は、後述す
るように2種の軟磁性層21,22の積層体から構成さ
れていることが好ましい。軟磁性層20は、磁気情報で
ある外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変えられる
ように作用し、当該軟磁性層の20両端部には、軟磁性
バイアス補助層25,25がそれぞれ形成されている。
さらに軟磁性バイアス補助層25,25の上には、前記
軟磁性層20の長手方向(矢印(α)方向)にバイアス
を付与するためのバイアス付与層10,10がそれぞれ
接合して形成されている。さらに前記バイアス付与層1
0,10の上には、例えばTaからなる保護層7,7を
介して、例えばCuからなる電極部100,100がそ
れぞれ接合して形成されている。電極部100,100
の上には、さらに例えばTaからなる保護電極120,
120が形成される。また、軟磁性層20の上には、図
示のごとく、通常、酸化防止のための保護層8が形成さ
れている。
【0032】この実施の態様における磁気抵抗効果膜3
(スピンバルブ膜)では、外部から加わる信号磁界の向
きに応じて非磁性金属層30を介して、その両側に隣接
して形成された軟磁性層20と強磁性層40との互いの
磁化の向きが実質的に異なることが必要である。その理
由は、本発明の原理が、非磁性金属層30を介して形成
された軟磁性層20と強磁性層40の磁化の向きがズレ
ているとき、伝導電子がスピンに依存した散乱を受け、
抵抗が増え、磁化の向きが互いに逆向きに向いたとき、
最大の抵抗を示すことにあるからである。すなわち、本
発明では、図2に示されるように外部からの信号磁場が
プラス(記録媒体90の記録面93から向かって上向き
(符号92で表される)であるとき、隣合った磁性層の
磁化の方向が互いに逆向きの成分が生じ、抵抗が増大す
るのである。
【0033】ここで、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドに
用いられる(スピンバルブ)磁性多層膜3における、磁
気記録媒体からの外部信号磁場と、軟磁性層20と強磁
性層40の互いの磁化の方向、及び電気抵抗の変化の関
係を説明する。
【0034】今、本発明の理解を容易にするために、1
つの非磁性金属層30を介して1組の軟磁性層20と強
磁性層40とが存在する最もシンプルな磁性多層膜の場
合について、図2を参照しつつ説明する。
【0035】図2に示されるように、強磁性層40は後
に述べる方法によって媒体面に向かって下向き方向にそ
の磁化をピン止めされている(符号41)。もう一方の
軟磁性層20は、非磁性金属層30を介して形成されて
いるので、その磁化方向は外部からの信号磁界によって
向きを変える(符号24)。このとき、軟磁性層20と
強磁性層40の磁化の相対角度は、磁気記録媒体90か
らの信号磁界の向きによって大きく変化する。その結
果、磁性層内に流れる伝導電子が散乱される度合いが変
化し、電気抵抗が大きく変化する。
【0036】これによってパーマロイの異方性磁気抵抗
効果とはメカニズムが本質的に異なる大きなMR(Magn
eto-Resistance) 効果が得られる。
【0037】軟磁性層20,強磁性層40と、ピン止め
効果を示すピン止め層50の磁化の向きが外部磁場に対
して相対的に変化する。それらの磁化の向きの変化が磁
化曲線とMR曲線とに対応させて図3に示される。ここ
では、ピン止め層50により、強磁性層40の磁化は全
てマイナス方向(記録媒体90の記録面から向かって下
向き)に固定されている。外部信号磁場がマイナスの時
は軟磁性層20の磁化もマイナス方向を向く。いま、説
明を簡単にするために軟磁性層20,強磁性層40の保
磁力を0に近い値とする。信号磁場HがH<0の領域
(I)では、まだ軟磁性層20および強磁性層40の両
磁性層の磁化方向は一方向を向いている。
【0038】外部磁場を上げてHが軟磁性層20の保磁
力を超えると軟磁性層の磁化方向は信号磁場の方向に回
転し、軟磁性層20および強磁性層40のそれぞれの磁
化の向きが反平行となるのにつれて磁化と電気抵抗が増
加をする。そして一定値となる(領域(II)の状態)。
このときピン止め層50により、あるピン止め磁場Hua
が働いている。信号磁場がこのHuaを越えると強磁性層
40の磁化も信号磁場の方向に回転し、領域(III)で軟
磁性層20および強磁性層40のそれぞれの磁化方向
は、一方向に揃って向く。このとき、磁化はある一定値
に、MR曲線は0となる。
【0039】逆に信号磁場Hが減少するときは、今まで
と同様に、軟磁性層20および強磁性層40の磁化反転
に伴い、領域(III)から(II)、(I)と順次変化する。
ここで領域(II)のはじめの部分で、伝導電子がスピン
に依存した散乱を受け、抵抗は大きくなる。領域(II)
のうち、強磁性層40はピン止めされているためほとん
ど磁化反転はしないが、軟磁性層20は直線的にその磁
化を増加させるため、軟磁性層20の磁化変化に対応
し、スピンに依存した散乱を受ける伝導電子の割合が徐
々に大きくなる。すなわち、軟磁性層20に例えばHc
の小さなNi0. Fe0.2 を選び、適当な異方性
磁場Hkを付与することにより、Hk付近以下の数Oe〜
数10Oeの範囲の小外部磁場で抵抗変化が直線的、かつ
大きな抵抗変化率を示す磁性多層膜が得られる。
【0040】このようなスピンバルブ膜構造を有する本
発明の磁気ヘッド1の第1の要部は、軟磁性層20にい
わゆる縦バイアス磁場を付与する構造にある。すなわ
ち、図1に示されるように軟磁性層20の両端部には、
軟磁性バイアス補助層25,25がそれぞれ接合されて
形成されており、さらに前記軟磁性バイアス補助層2
5,25の上には、前記軟磁性層の長手方向(矢印
(α)方向)にバイアス磁場を付与するためのバイアス
付与層10,10がそれぞれ積層された状態で接合して
形成されている。
【0041】このような構成とすることにより前記軟磁
性層20は、前記軟磁性バイアス補助層25,25と前
記バイアス付与層10,10との交換結合磁場により、
前記軟磁性層20の長手方向(矢印(α)方向:すなわ
ち一方のバイアス付与層10から他方のバイアス付与層
10に向かう方向と実質的に同じ)にバイアス磁場が印
加されるようになっている。
【0042】本発明におけるバイアス付与層10,10
は、反強磁性を示すRu Mn (MはRh,
Pt,Pd,Au,Ag,Re,Ir,Crから選ばれ
た少なくとも1種)から構成される。Mは上述したよう
にRh,Pt,Pd,Au,Ag,Re,Ir,Crか
ら選ばれた少なくとも1種の元素であり、Mを1種のみ
選定した場合には、3元系の組成となり、Mを2種以上
選定した場合には、4元系以上の組成となる。
【0043】上記Mのすべての範囲において、本発明の
効果を発現できるが、中でも、特に、RhまたはPtを
選定した3元系とするのがよい。
【0044】Ru Mnについて、x,y,お
よびzは、それぞれ各元素の組成の割合を示し、単位は
原子%である。本発明のRu Mnにおいて
は、大きく分けて2つの好適な組成範囲が存在する。そ
の一つが、(1)1≦x≦30,1≦y≦30,69≦
z≦90,10≦x+y≦31で規定される範囲であ
り、もう一つが(2)1≦x≦59,1≦y≦59,4
0≦z≦58,42≦x+y≦60で規定される範囲で
ある。
【0045】前記(1)1≦x≦30,1≦y≦30,
69≦z≦90,10≦x+y≦31で規定される範囲
において、好ましくは、1≦x≦24,1≦y≦24,
75≦z≦85,15≦x+y≦25で規定される範囲
であり、より好ましくは、1≦x≦22,1≦y≦2
2,77≦z≦82,18≦x+y≦23で規定される
範囲である。このような組成範囲において、zの値が6
9原子%未満となり、x+yの値が31原子%を超える
と、交換結合磁界の値およびブロッキング温度Tb1
(交換結合磁界の値が零となる温度として定義される)
が共に低下してしまうという不都合が生じる。また、z
の値が90原子%を超えてx+yの値が10原子%未満
となると、上記と同様に、交換結合磁界の値およびブロ
ッキング温度Tb1が共に低下してしまい、さらにはM
nの増加にともない耐食性が低下するという不都合も生
じる。この組成範囲においては、MとMnとの不規則合
金が形成され、そのため、バイアス付与層10全体が反
強磁性を示し良好な交換結合磁界が得られるものと考え
られる。また、10≦x+y≦31の範囲で組成を調整
することによって、ブロッキング温度Tb1の温度を、
例えば、160℃〜250℃の範囲で任意に設定でき
る。
【0046】前記(2)1≦x≦59,1≦y≦59,
40≦z≦58,42≦x+y≦60で規定される範囲
において、好ましくは、1≦x≦57,1≦y≦57,
42≦z≦57,43≦x+y≦58で規定される範囲
であり、より好ましくは、1≦x≦54,1≦y≦5
4,45≦z≦55,45≦x+y≦55、さらにより
好ましくは、1≦x≦54,1≦y≦54,45≦z≦
54,46≦x+y≦55で規定される範囲である。こ
のような組成範囲においては、極めて良好な交換結合磁
界、ブロッキング温度Tb1、および耐食性を示す。こ
のような組成範囲において、zの値が40原子%未満と
なり、x+yの値が60原子%を超えると、交換結合磁
界の値が急激に減少してしまうという不都合が生じる。
また、zの値が58原子%を超えてx+yの値が42原
子%未満となると、上記と同様に、交換結合磁界の値が
急激に減少してしまうという不都合が生じる。この
(2)1≦x≦59,1≦y≦59,40≦z≦58,
42≦x+y≦60で規定される範囲では、Mnと他の
元素が略1:1の規則合金を形成するために、極めて優
れた交換結合磁界、およびブロッキング温度Tb1を示
すものと考えられる。さらにMn量が少ないために耐食
性も極めて優れたものとなっている。また、42≦x+
y≦60の範囲で組成を調整することによって、Tb1
の温度を、例えば、160℃〜400℃の範囲で任意に
設定できる。
【0047】上述してきたバイアス付与層10のブロッ
キング温度Tb1は、160℃以上、特に、160〜4
00℃であり、極めて高い熱安定性を示す。
【0048】また、本発明で用いられるバイアス付与層
10と軟磁性バイアス補助層25との交換結合エネルギ
ーは、0.1〜0.5erg/cm程度とされる。
【0049】また、本発明において、軟磁性層20と重
要な関係を有する強磁性層40において、強磁性層40
の磁化方向をピン止めするピン止め層50は、PtMn
またはPtMnを80at%以上含有する合金から構成
されることが好ましい。このような好適なPtMn系材
料としては、PtMnの他に、Ptx1M´y1 Mn
z1 で表示される材料が挙げられる。ここで、M´
は、Ru、Rh、Pd、Au、Ag、Fe、Ir、Cr
から選ばれた少なくとも一種であり、中でも特に、R
u、Rhが好ましい。上記x1の範囲は、30≦x1≦
60、上記y1の範囲は、0≦y1≦30,上記z1の
範囲は40≦z1≦60とされる。x1,y1,および
z1の単位はそれぞれ原子%である。
【0050】本発明においては、磁化方向を固定するよ
うに機能する2種の反強磁性材料系の組み合わせ、すな
わち、バイアス付与層10を構成する反強磁性材料系
(Ru Mn)と、ピン止め層50を構成する
反強磁性材料系(PtMn系)との組み合わせが特に重
要である。そして、これらの所定の材料の組み合わせに
より初めてヘッド出力の格段の向上および、ノイズレベ
ルの格段の低減といった当業者の予想をはるかに越える
著しく高い効果が発現する。
【0051】ピン止め層50の厚さは、50Å〜100
0Å、好ましくは60Å〜800Å、より好ましくは7
0Å〜500Å、更に好ましくは70Å〜300Åの範
囲とするのがよい。
【0052】前記強磁性層40は、Fe,Ni,Co,
Mn,Cr,Dy,Er,Nd,Tb,Tm,Ce,G
d等やこれらの元素を含む合金や化合物から構成される
が、特に、(Coz Ni1−z )w Fe1−w (た
だし、重量で0.4≦z≦1.0、0.5≦w≦1.0
である)で表される組成で構成することが好ましい。
【0053】このような強磁性層40の厚さは、16〜
100Å、より好ましくは、16〜60Åとされる。
【0054】このような強磁性層40は上述のごとくピ
ン止め層50と直接接しているため、両者に直接層間相
互作用が働き、強磁性層40の磁化回転が阻止される。
一方、前記軟磁性層20は、外部からの信号磁場によ
り、自由にその磁化を回転させることができる。その結
果、軟磁性層20と強磁性層40との両者の磁化に相対
的な角度が生み出され、この磁化の向きの違いに起因し
た大きなMR効果が得られる。
【0055】前記軟磁性層20は、軟磁性特性を示すF
e,Ni,Co等やこれらの元素を含む合金や化合物か
ら構成されるが、保磁力Hcの小さな磁性層を用いた方が
MR曲線の立ち上がりが急峻となり、好ましい結果が得
られる。軟磁性層20を下記に示すような2層構造にす
ることは、特に好ましい態様である。すなわち、非磁性
金属層30側からCo(コバルト)単体あるいはCoを
80重量%以上含む合金より構成された第1の軟磁性層
21(図1)と、(Ni Fe1−xCo1−y
(ただし、重量で0.7≦x≦0.9、0.5≦y≦
1.0)で表わされる組成である第2の軟磁性層22
(図1)との2層積層体として構成される。
【0056】このような構成とすることにより、Coリ
ッチな第1の軟磁性層21が拡散ブロッキング層として
働き、第2の軟磁性層22側から非磁性金属層30側へ
とNiの拡散を防止することができる。また、Coリッ
チな第1の軟磁性層21は電子の散乱能力を増大させる
ため、MR変化率が向上するという効果も発現する。な
お、第2の軟磁性層22は、ソフト磁性を維持させるた
めに上記組成範囲内で形成される。
【0057】このような軟磁性層20の厚さは、20〜
150Å、好ましくは、30〜120Å、さらに好まし
くは、30〜100Åとされる。なお、軟磁性層20を
上記のように2層積層体とした場合には、Coリッチの
第1の軟磁性層の厚さを、4Å以上確保すればよい。
【0058】本発明において、図1に示されるように前
記軟磁性層20の実質的に動作している厚さをd1,そ
の飽和磁化をM1とし、軟磁性層20に連結される軟磁
性バイアス補助層25の厚さをd2、その飽和磁化をM
2としたとき、2d1・M1<d2・M2<5d1・M
1の関係を満たしてなるように構成される。d2・M2
の値が2d1・M1以下になったり、5d1・M1を超
えたりすると、いわゆる縦バイアス磁場が良好な状態で
印加されなくなり、ヘッド出力が低下したり、ノイズが
大きくなってしまうという不都合が生じる。
【0059】軟磁性層20と軟磁性バイアス補助層25
の材質を同一材質とした場合には、各層の飽和磁化は同
じであるから、2d1<d2<5d1の関係を満たせば
よいことになる。
【0060】前記軟磁性層20と前記強磁性層40との
間に介在される非磁性金属層30は、効率的に電子を導
くために、伝導性のある金属が望ましい。より具体的に
は、Au、Ag、およびCuの中から選ばれた少なくと
も1種、またはこれらの少なくとも1種以上を60wt
%以上含む合金等が挙げられる。
【0061】このような非磁性金属層30の厚さは、1
5〜40Åであることが好ましい。
【0062】保護層8は、主として成膜プロセスの過程
での磁性多層膜表面の酸化を防止するために形成され、
このものは、Ti,Ta,W,Cr,Hf,Zr、Zn
等の材料より形成される。厚さは、通常、20〜300
Å程度とされる。
【0063】基板5は、ガラス、ケイ素、MgO、Ga
As、フェライト、アルティック、CaTiO3 等の
材料により形成される。厚さは、通常、0.5〜10m
m程度とされる。
【0064】上述してきたスピンバルブ多層膜の各層の
成膜は、イオンビームスパッタ法、スパッタリング法、
蒸着法、分子線エピタキシー法(MBE)等の方法で行
なわれる。
【0065】図1に示される実施の形態では、各膜は、
基本的に図面の下方の層から上方の層へと順次成膜され
る。磁気抵抗効果膜は、図1に示されるように基板側か
ら、ピン止め層、強磁性層、非磁性金属層、軟磁性層の
順に順次積層される形態が望ましい。バイアス付与層1
0は、軟磁性バイアス補助層25より後に形成した方が
軟磁性層20に対し、十分な縦バイアス磁場を発生させ
ることができるからである。
【0066】軟磁性層20および軟磁性バイアス補助層
25の成膜時には、膜面内の長手方向(α方向)に10
〜300Oeの外部磁場を印加することが好ましい。これ
により、軟磁性層20および軟磁性バイアス補助層25
に異方性磁場Hkを付与することができる。なお、外部
磁場の印加方法は、例えば電磁石等を備えた装置を用い
て印加すればよい。
【0067】同様に、軟磁性バイアス補助層25の上に
バイアス付与層10を形成する際にも膜面内の長手方向
(α方向)に10〜300Oeの外部磁場を印加すること
が好ましい。これにより、バイアス付与層10により軟
磁性バイアス補助層25の磁化の方向が確実に印加磁場
方向に固着され、軟磁性層20にいわゆる縦バイアスを
効果的に付与することができる。
【0068】さらに、強磁性層40と交換結合して強磁
性層40の磁化の方向をピン止めさせるピン止め層50
を成膜する際には、軟磁性層20を成膜する際の印加磁
場の方向と垂直方向に磁場を印加すると良い。つまり磁
性多層膜の膜面内でかつ、測定電流と直角方向となる。
ここで印加する磁場の大きさは10〜300Oeの範囲に
あればよい。これにより、ピン止め層50により強磁性
層40の磁化の方向が確実に印加磁場方向(測定電流と
直角方向)に固着され、信号磁場によってその向きを容
易に変えうる軟磁性層20の磁化と最も合理的に反平行
状態を作り出すことができる。もっともこれは必要条件
ではない。最終的に磁性多層膜の成膜後、工程中で20
0〜300℃程度の熱処理を行う際に、ピン止め層50
の短冊短辺方向(軟磁性層20を成膜する際の印加磁場
の方向と垂直方向)に磁場を印加しながら、温度を下げ
ていき、ピン止め層50により強磁性層40の磁化の方
向を確実に印加磁場方向(測定電流と直角方向)に固着
させるピン止め処理(直交化熱処理)が行なわれる。つ
まり、磁化の直交化を図るために、磁性多層膜はピン止
め層50のブロッキング温度Tb2以上で磁場中で真空
熱処理が行なわれる。好ましくはヘッド製造プロセスの
最後に直交化熱処理を行うのがよい。この直交化熱処理
の際、ピン止め層50の磁化方向のみ変化させることが
望ましい。この直交化温度はピン止め層50のブロッキ
ング温度Tb2よりも高く、軟磁性層20の誘導磁気異
方向性が消失する温度よりも低く、さらにバイアス付与
層10のブロッキング温度Tb1より高いことが望まし
い。従って、ブロッキング温度Tb2が、軟磁性層20
の誘導磁気異方向性が消失する温度よりも高い場合に、
直交化熱処理を行うと、軟磁性層20の磁化方向が外部
磁界に対して磁化容易軸方向となり、外部磁界に対する
磁気抵抗効果曲線にヒステリシスを持ってしまい線形性
に問題が生じる。また、ブロッキング温度Tb2が軟磁
性層20の誘導磁気異方向性が消失する温度よりも低過
ぎる場合には、磁気記録システム内のMRセンサ動作
中、およびスピンバルブヘッド作製プロセス時に加わる
温度により交換結合磁界Huaの劣化が生じ、スピンバル
ブ膜として機能できないという問題がある。つまり、軟
磁性層20の誘導磁気異方向性が消失する温度よりも少
し低い温度にブロッキング温度Tb2をもつピン止め層
50を形成し、直交化熱処理を行うことが好ましい。
【0069】さらに、ピン止め層50のブロッキング温
度Tb2より低く、かつバイアス付与層のブロッキング
温度Tb1より高い温度T3において、外部磁場の印加方
向を90度回転させ、外部磁場の印加方向と縦バイアス
の方向を一致させる。このまま磁場を印加しながら温度
を下げることにより、ピン止め層50と縦バイアス方向
の直交化を確固することができる。従って、バイアス付
与層10のブロッキング温度Tb1は、ピン止め層50の
ブロッキング温度Tb2より低いことが必須である。好ま
しくは、300℃≦Tb2≦400℃でしかも170℃
≦Tb1≦290℃であり、特に好ましい温度比は、
1.3≦Tb2/Tb1≦2.6である。
【0070】なお、図1に示されるように磁気抵抗効果
型ヘッド1において、図面上には明示されていないが、
図面の上下両端部には図1の積層体を挟むように上下一
対のシールド層が形成されるとともに、磁気抵抗効果素
子とシールド層との間の部分には非磁性絶縁層が埋設さ
れる。
【0071】なお、図1において、軟磁性バイアス補助
層25は、軟磁性層20の両端部の実質的全部がエッチ
ング除去され(図示のごとく実際にはわずかに残る部分
があ場合がある)、その除去された個所の上に形成され
ている。従って、エッチング除去された後の軟磁性層2
0厚さ(軟磁性バイアス補助層25の下の軟磁性層の厚
さ)は無視できる程度の厚さであるので、軟磁性バイア
ス補助層25の厚さは図示のごとくd2で表示される。
【0072】この一方で、図4に示されるように軟磁性
層20の両端部がエッチング除去されることなく、その
まま、その上に軟磁性バイアス補助層25が形成される
場合がある。この場合、本発明でいう軟磁性バイアス補
助層25の厚さd2とは、本来の軟磁性バイアス補助層
25の厚さd22に軟磁性層20の厚さd1を加えた厚
さ、すなわちd2=d22+d1として考え、さらに
は、飽和磁化も各厚さに比例した算術平均をとり、この
算術平均値を飽和磁化M2として考慮に入れて上記の不
等号関係式を満足させる必要がある。
【0073】図1および図2には、最も好ましい積層構
成としてピン止め層50が基板側に位置するいわゆる、
ピン止め層ボトムタイプのスピンバルブ膜が記載されて
いる。しかしながら、これらとは基本的に積層順を逆に
した、いわゆる、ピン止め層トップタイプ(図4に示さ
れる)も実用可能である。なお、図4における符号と図
1における同一符号は、同一部材を意味している。
【0074】
【実施例】上述してきた磁気抵抗効果型ヘッドの発明
を、以下に示す具体的実施例によりさらに詳細に説明す
る。
【0075】実験例I
【0076】図1に示されるスピンバルブ型の磁気抵抗
効果型ヘッドと実質的に同じ形態の磁気抵抗効果型ヘッ
ドサンプルを作製した。
【0077】すなわち、基板5(Al付きのAl
TiC)の上に、下地層80(Ta;厚さ20Å)、結
晶化をプロモートするためのNiFe層65(厚さ30
Å)、ピン止め層50(PtMn反強磁性層;厚さ20
0Å)、強磁性層40(Co;厚さ20Å)、非磁性金
属層30(Cu;厚さ24Å)、軟磁性層20(Coか
らなる第1軟磁性層21(厚さ9Å)とNiFeからな
る第2軟磁性層(厚さ51Å):トータル厚さd1=6
0Å)を成膜した後、図1に示されるように軟磁性層2
0のNiFeからなる第2軟磁性層の両端部をエッチン
グ除去し、この除去した個所の上に軟磁性バイアス補助
層25,25(NiFe;厚さd2=160Å)を成膜
し、この軟磁性バイアス補助層25,25の上にバイア
ス付与層10,10(組成は下記表1;厚さ120Å)
を形成し、バイアス付与層10,10の上にTaからな
る保護層7,7(厚さ100Å)、Cuからなる電極部
100,100(厚さ800Å)、Taからなる保護電
極120,120(厚さ100Å)を順次形成した。ざ
らに、上記軟磁性層20の上には、酸化防止のためのT
aからなる保護層8を形成した。
【0078】なお、磁気ヘッドサンプルの作製に際して
は、バイアス付与層10,10の組成を下記表1に示す
ごとく種々変えて、各種のサンプルを作製した。
【0079】なお、比較例サンプルとして(サンプルN
o.I−16(比較))、本発明の反強磁性バイアス付
与層を用いず、従来のハードマグネットを使用して軟磁
性層に縦バイアスを付与する従来タイプの磁気ヘッドを
作製した。
【0080】これらの各サンプルについて、下記(1)
〜(3)の評価項目の値を測定してサンプルの評価を行
った。
【0081】(1)規格化ヘッド出力(μV/μm)
【0082】トラック幅0.7μm、MR高さ(MR素
子部のトラック幅方向と直交する方向の長さ)0.5μ
mのヘッドにより出力を、N=50測定し、そのヘッド
出力(μV)より規格化ヘッド出力(μV/μm)を評
価した。
【0083】(2)波形非対称性(asymmetry)(%)
【0084】ヘッド再生波形の波形非対称性である。%
が少ないほど波形非対称性の程度が小さく良好である。
【0085】(3)出力変動値(COV:Covari
ent)(ノイズ)(%)
【0086】この値は、ヘッド出力の変動を表わすもの
である。すなわち、記録と再生を100回繰り返し、そ
の時のヘッド出力値のばらつきの標準偏差σ(シグマ)
をヘッド出力値の平均値で割った値で示している。この
値は、2%以下である必要がある。
【0087】結果を下記表1に示した。
【0088】
【表1】
【0089】表1に示される結果より本発明のサンプル
は2000μV/μmを超えるような大きな規格化出力
が得られる。しかもCOVの値も1.7%以下とノイズ
の少ない波形が安定して得られる。
【0090】この一方で、比較例として示されるサンプ
ルは、2000μV/μmを超えるような大きな規格化
出力は得られていない。しかも、十分な縦バイアスが印
加されないため、COVの値が2.5%以上と悪いデー
タとなっている。
【0091】なお、規格化出力は2000μV/μm以
上、特に2300μV/μm以上であることが好まし
い。COVの値は2%以下でなくてはならない。
【0092】実験例II
【0093】磁化方向を固定するように機能する2種の
反強磁性材料系の組み合わせ、すなわち、バイアス付与
層10を構成する反強磁性材料系(Ru
)と、ピン止め層50を構成する反強磁性材料系
(PtMn系)との組み合わせの効果を調べる実験を行
った。
【0094】すなわち、上記実験例Iにおけるサンプル
No.I−1において、ピン止め層50を構成するPt
Mn系組成を下記表2に示されるように種々変えた。そ
れ以外は、上記サンプルNo.I−1と同様にして下記
表2に示されるような各種の実施例サンプルを作製した
(サンプルNo.II-1,II-2)。さらに比較のために
PtMn系組成以外のピン止め層50からなるサンプル
をも作製した(サンプルNo.II-3〜II-6(いずれも
比較例))。
【0095】これらの各サンプルについて、上記の実験
例Iの場合と同様に(1)〜(3)の評価項目を評価し
た。結果を下記表2に示した。
【0096】
【表2】
【0097】表2に示される結果より本発明のサンプル
は2500μV/μmを超えるような十分な規格化出力
と2%より小さなCOVの値を示しており、十分なヘッ
ド特性を備えていることがわかる。
【0098】この一方で、比較例として示されるサンプ
ルでは、縦バイアス発生のためのピン止め効果が不十分
なために、規格化出力およびCOV値ともに悪い値であ
り実用に適さない。
【0099】実験例III
【0100】図1に示されるように前記軟磁性層20の
実質的に動作している厚さをd1,その飽和磁化をM1
とし、軟磁性層20に連結される軟磁性バイアス補助層
25の厚さをd2、その飽和磁化をM2としたとき、2
d1・M1<d2・M2<5d1・M1の関係が必要で
あることを確認するための実験を行った。
【0101】すなわち、上記実験例Iにおけるサンプル
No.I−1において、軟磁性層20の厚さd1と、軟
磁性バイアス補助層25の厚さd2およびその材質を下
記表3に示されるように種々変えた。それ以外は、上記
サンプルNo.I−1と同様にして下記表3に示される
ような各種のサンプルを作製した。
【0102】これらの各サンプルについて、上記の実験
例Iの場合と同様に(1)〜(3)の評価項目を評価し
た。結果を下記表3に示した。
【0103】
【表3】
【0104】表3に示される結果より、d1とd2の関
係式を満たす本発明サンプルは、2000μV/μmを
超える大きな規格化出力と、2.0%よりも小さなCO
Vの値を示していることがわかる。
【0105】この一方で、比較例のIII-13や比較例の
III-15サンプルのように関係式の下方にはずれた値を
取ると、規格化出力は大きいもののCOVの値が2.0
%よりはるかに大きくなってしまい都合がわるい。また
比較例のIII-14や比較例のIII-16サンプルのように
関係式の上方にはずれた値を取ると、COVの値は2.
0%より小さくなるものの、規格化出力が2000μV
/μmより小さくなってしまい十分な特性が得られな
い。
【0106】実験例IV
【0107】上記実験例Iで作製した本発明のサンプル
I−1と、従来例のサンプルである比較サンプルI−1
6(縦バイアス付与の手段として従来技術であるハード
マグネットを用いたタイプ)を用いて、両サンプルの外
部磁界に対する縦バイアスの安定性の確認実験を行っ
た。
【0108】すなわち、上記両サンプルの縦バイアス方
向に対して直交する方向(図2で言えば符号92方向)
に5kOeの外部磁場を外乱として印加した。この外乱
外部磁場を印加する前、および印加した後でのサンプル
を用いて、検出外部磁場(−600〜600Oe)とヘッ
ド出力との関係を調べた。結果を図6(A),(B)の
グラフに示した。図6(A)は本発明サンプルを用いた
場合のグラフであり、図6(B)は比較例サンプルを用
いた場合のグラフである。図中、実線で示されるinitia
lとは5kOeの外部磁場を外乱として印加する前の状
態での測定であり、点線で示されるafterとは5kOe
の外部磁場を外乱として印加した後での測定である。
【0109】図6(A)のグラフに示されるように、本
発明サンプルでは5kOeの外部磁場を外乱として印加
しても、印加する前と同じ状態を維持できていることが
わかる。すなわち、縦バイアスの外乱に対する安定性は
極めて優れていることがわかる。これに対して、比較サ
ンプルのものは、図6(B)のグラフに示されるよう
に、縦バイアスは、外乱に対する影響を大きく受け、バ
イアイス安定性に欠ける。
【0110】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明では、所定の反強磁性を示すバ
イアス付与層と軟磁性層との交換結合磁場により軟磁性
層に縦バイアス磁場を印加しているので、極めて効率よ
くバイアス磁場が印加され、ヘッド出力が向上する。さ
らに、本発明では上記のごとく交換結合磁場により軟磁
性層に縦バイアス磁場を印加しているので、大きな外部
磁場の影響を受けにくく、外部の磁気的なノイズに対し
て極めて安定な縦バイアス磁場となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好適な磁気抵抗効果型ヘッド
の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の作用を説明するためのヘッド
素子、特にスピンバルブ磁性多層膜の構造の模式図であ
る。
【図3】図3は、本発明の作用を説明するための磁化曲
線とMR曲線の模式図である。
【図4】図4は、本発明の他の磁気抵抗効果型ヘッドの
概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の磁気抵抗効果型ヘッドの
概略断面図である。
【図6】図6(A)は、本発明サンプルを用い、外乱で
ある外部磁場を印加する前、および印加した後で、検出
外部磁場(−600〜600Oe)とヘッド出力との関係
を調べたグラフである。図6(B)は、比較例サンプル
を用い、外乱である外部磁場を印加する前、および印加
した後で、検出外部磁場(−600〜600Oe)とヘッ
ド出力との関係を調べたグラフである。
【図7】図7は、ハードマグネットを用いて縦バイアス
を付与する機構を備える従来の磁気ヘッドの概略断面図
である。
【符号の説明】
1…磁気抵抗効果型ヘッド 3…磁気抵抗効果膜 5…基板 10…バイアス付与層 20…軟磁性層 25…軟磁性バイアス補助層 30…非磁性金属層 40…強磁性層 50…ピン止め層 90…記録媒体 93…記録面 100…電極部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 正志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA04 BA11 BA18 CA03 CA04 CA08

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピンバルブ膜構造の磁気抵抗効果膜を
    備えてなる磁気抵抗効果型ヘッドであって、 前記磁気抵抗効果膜は、非磁性金属層と、非磁性金属層
    の一方の面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他
    方の面に形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の
    向きをピン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層
    と接する面と反対側の面)に形成されたピン止め層とを
    有するスピンバルブ型の多層膜であり、 前記軟磁性層は、磁気情報である外部磁場に応答して自
    由に磁化の向きが変えられるように作用し、当該軟磁性
    層の両端部には、軟磁性バイアス補助層がそれぞれ形成
    され、 前記軟磁性バイアス補助層の上には、前記軟磁性層の長
    手方向にバイアスを付与するためのバイアス付与層がそ
    れぞれ接合して形成され、 前記バイアス付与層は、反強磁性を示すRu
    (MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,Re,I
    r,Crから選ばれた少なくとも1種であり、1≦x≦
    30,1≦y≦30,69≦z≦90,10≦x+y≦
    31(x,y,およびzの単位は原子%))から形成さ
    れ、 前記軟磁性層は、前記軟磁性バイアス補助層と前記バイ
    アス付与層との交換結合磁場により、前記軟磁性層の長
    手方向(一方のバイアス付与層から他方のバイアス付与
    層に向かう方向と実質的に同じ)にバイアス磁場が印加
    されるようになっていることを特徴とする磁気抵抗効果
    型ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記ピン止め層は、PtMnまたはPt
    Mnを80at%以上含有する合金である請求項1に記
    載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記ピン止め層は、Ptx1M´y1
    Mnz1 (M´はRu,Rh,Pd,Au,Ag,F
    e,Crから選ばれた少なくとも1種であり、30≦x
    1≦60,0≦y1≦30,40≦z1≦60(x1,
    y1,およびz1の単位は原子%))から構成される請
    求項1に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記軟磁性層の実質的に動作している厚
    さをd1,その飽和磁化をM1とし、前記軟磁性バイア
    ス補助層の厚さをd2、その飽和磁化をM2としたと
    き、両者の層構成は、2d1・M1<d2・M2<5d
    1・M1の関係を満たしてなるように構成される請求項
    1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 前記軟磁性層と前記軟磁性バイアス補助
    層とは実質的に同一材質から構成され、前記軟磁性層の
    実質的に動作している厚さをd1、前記軟磁性バイアス
    補助層の厚さをd2としたとき、両者の層構成は、2d
    1<d2<5d1の関係を満たしてなるように構成され
    る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気抵抗
    効果型ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記バイアス付与層には、電極部がそれ
    ぞれ接合して形成される請求項1ないし請求項5のいず
    れかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記軟磁性層は、前記非磁性金属層側か
    らCoまたはCoを80重量%以上含む合金からなる第
    1の軟磁性層と、(Nix Fe1−x )yCo1−y
    (0.7≦x≦0.9、0.5≦y≦1.0(xおよ
    びyの単位は重量%))からなる第2の軟磁性層を有し
    て構成され、 前記非磁性金属層は、Au,AgおよびCuの中から選
    ばれた少なくとも1種を含む材料からなる請求項1ない
    し請求項6のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記バイアス付与層は、その成膜時に、
    前記軟磁性層の長手方向に外部磁場を印加しつつ成膜さ
    れる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の磁気抵
    抗効果型ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記磁気抵抗効果膜は、基板側から、ピ
    ン止め層、強磁性層、非磁性金属層、軟磁性層の順に順
    次積層されてなる請求項1ないし請求項8のいずれかに
    記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1は、前記ピン止め層のブロッキング温度Tb2より
    低くなるように両者の材料選定が行なわれてなる請求項
    1ないし請求項9のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘ
    ッド。
  11. 【請求項11】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1は、170℃≦Tb1≦290℃であり、前記ピ
    ン止め層のブロッキング温度Tb2は、300℃≦Tb2
    ≦400℃である請求項10に記載の磁気抵抗効果型ヘ
    ッド。
  12. 【請求項12】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1と前記ピン止め層のブロッキング温度Tb2との関
    係が、1.3≦Tb2/Tb1≦2.6の関係を満たして
    なる請求項11に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  13. 【請求項13】 スピンバルブ膜構造の磁気抵抗効果膜
    を備えてなる磁気抵抗効果型ヘッドであって、 前記磁気抵抗効果膜は、非磁性金属層と、非磁性金属層
    の一方の面に形成された強磁性層と、非磁性金属層の他
    方の面に形成された軟磁性層と、前記強磁性層の磁化の
    向きをピン止めするために強磁性層の上(非磁性金属層
    と接する面と反対側の面)に形成されたピン止め層とを
    有するスピンバルブ型の多層膜であり、前記軟磁性層
    は、磁気情報である外部磁場に応答して自由に磁化の向
    きが変えられるように作用し、当該軟磁性層の両端部に
    は、軟磁性バイアス補助層がそれぞれ形成され、 前記軟磁性バイアス補助層の上には、前記軟磁性層の長
    手方向にバイアスを付与するためのバイアス付与層がそ
    れぞれ接合して形成され、 前記バイアス付与層は、反強磁性を示すRu
    (MはRh,Pt,Pd,Au,Ag,Re,I
    r,Crから選ばれた少なくとも1種であり、1≦x≦
    59,1≦y≦59,40≦z≦58,42≦x+y≦
    60(x,y,およびzの単位は原子%))から形成さ
    れ、 前記軟磁性層は、前記軟磁性バイアス補助層と前記バイ
    アス付与層との交換結合磁場により、前記軟磁性層の長
    手方向(一方のバイアス付与層から他方のバイアス付与
    層に向かう方向と実質的に同じ)にバイアス磁場が印加
    されるようになっていることを特徴とする磁気抵抗効果
    型ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記ピン止め層は、PtMnまたはP
    tMnを80at%以上含有する合金である請求項13
    に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記ピン止め層は、Ptx1M´y1
    Mnz1 (M´はRu,Rh,Pd,Au,Ag,F
    e,Crから選ばれた少なくとも1種であり、30≦x
    1≦60,0≦y1≦30,40≦z1≦60(x1,
    y1,およびz1の単位は原子%))から構成される請
    求項14に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記軟磁性層の実質的に動作している
    厚さをd1,その飽和磁化をM1とし、前記軟磁性バイ
    アス補助層の厚さをd2、その飽和磁化をM2としたと
    き、両者の層構成は、2d1・M1<d2・M2<5d
    1・M1の関係を満たしてなるように構成される請求項
    13ないし請求項15のいずれかに記載の磁気抵抗効果
    型ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記軟磁性層と前記軟磁性バイアス補
    助層とは実質的に同一材質から構成され、前記軟磁性層
    の実質的に動作している厚さをd1、前記軟磁性バイア
    ス補助層の厚さをd2としたとき、両者の層構成は、2
    d1<d2<5d1の関係を満たしてなるように構成さ
    れる請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果型ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記バイアス付与層には、電極部がそ
    れぞれ接合して形成される請求項13ないし請求項17
    のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記軟磁性層は、前記非磁性金属層側
    からCoまたはCoを80重量%以上含む合金からなる
    第1の軟磁性層と、(Nix Fe1−x )y Co1
    −y (0.7≦x≦0.9、0.5≦y≦1.0(x
    およびyの単位は重量%))からなる第2の軟磁性層を
    有して構成され、 前記非磁性金属層は、Au,AgおよびCuの中から選
    ばれた少なくとも1種を含む材料からなる請求項13な
    いし請求項18のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッ
    ド。
  20. 【請求項20】 前記バイアス付与層は、その成膜時
    に、前記軟磁性層の長手方向に外部磁場を印加しつつ成
    膜される請求項13ないし請求項19のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果型ヘッド。
  21. 【請求項21】 前記磁気抵抗効果膜は、基板側から、
    ピン止め層、強磁性層、非磁性金属層、軟磁性層の順に
    順次積層されてなる請求項13ないし請求項20のいず
    れかに記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  22. 【請求項22】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1は、前記ピン止め層のブロッキング温度Tb2より
    低くなるように両者の材料選定が行なわれてなる請求項
    13ないし請求項21のいずれかに記載の磁気抵抗効果
    型ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1は、170℃≦Tb1≦290℃であり、前記ピ
    ン止め層のブロッキング温度Tb2は、300℃≦Tb2
    ≦400℃である請求項22に記載の磁気抵抗効果型ヘ
    ッド。
  24. 【請求項24】 前記バイアス付与層のブロッキング温
    度Tb1と前記ピン止め層のブロッキング温度Tb2との関
    係が、1.3≦Tb2/Tb1≦2.6の関係を満たして
    なる請求項23に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
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