JP2000329766A - 免疫学的測定方法および免疫学的測定用エレメント - Google Patents

免疫学的測定方法および免疫学的測定用エレメント

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JP2000329766A
JP2000329766A JP11142868A JP14286899A JP2000329766A JP 2000329766 A JP2000329766 A JP 2000329766A JP 11142868 A JP11142868 A JP 11142868A JP 14286899 A JP14286899 A JP 14286899A JP 2000329766 A JP2000329766 A JP 2000329766A
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Yukio Goto
幸雄 後藤
Yuichi Nakajima
祐一 中島
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗原または抗体の濃度を迅速簡便に低価格で
測定できる免疫学的測定方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明の免疫学的測定方法は、測定用エ
レメント33を用意し、被検液70を測定用エレメント
の一方端から負圧力または毛細管現象により含浸させ、
測定対象抗原92と特異的に結合することができ標識物
質が結合された抗体を担持させた部位にまで測定用エレ
メント33内の含浸をすすませて抗体を被検液70に混
入し、さらに測定用エレメント33の他方端側に位置し
標準抗原93が固定化された部位にまで含浸がすすむ
と、標準抗原93と測定対象抗原92との間で抗体を抗
原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して
抗原抗体複合体を形成し、この抗原抗体複合体に含まれ
る標識物質の量の測定を行い、測定対象抗原92の濃度
を標識物質の量より換算することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中の抗原また
は抗体の濃度を測定する免疫学的測定方法および免疫学
的測定用エレメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、抗原の一種であるアレルゲンが発
症原因物質とされる花粉症等のアレルギー性鼻炎、アレ
ルギー性気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のいわゆるア
レルギー疾患が、先進諸国を中心に増加傾向にあり、ダ
ニ、花粉、動物の毛、カビ等の各種構成物質がその原因
物質であることが特定されてきている。これらのアレル
ギー症状は比較的軽度の場合もあるが、アレルギー性気
管支喘息のように死に至るほど重篤な場合もある。この
ため、感作、発症を抑制するための一つの手段として、
各個人に特有な発症原因物質であるアレルゲンを低レベ
ルに維持することが必要になってくる。しかし、現状で
はアレルゲンの測定は比較的難しい高度な技術とされ、
専門の測定技術者を必要とし、半日から1日かかる長い
測定時間を必要とし、かつ高価な測定装置が必要であ
る。ところで、環境中のアレルゲン濃度とアレルギー疾
患の感作・発症とは一般的に相関することが知られてい
る。環境中のアレルゲン濃度の測定をおこなえば、掃
除、洗濯等をどの程度おこなったり、どのくらいの頻度
おこなえばよいのかの指標となり、アレルギー疾患患者
やアレルギー疾患の感作の危険のある者にとって社会生
活上有用なものとなる。また、アレルギー疾患患者の血
液中のIgE抗体の濃度が即時型アレルギー反応のI型
アレルギーの感作程度の指標になることも一般に知られ
ており、血液中のIgE抗体濃度の測定が感作の程度ひ
いてはアレルギー疾患の程度を知るための指標としてき
わめて有用である。
【0003】また、近年、病原性大腸菌O−157に代
表されるバクテリア等の微生物の感染、代謝物に起因す
る食中毒等の被害が問題になっているが、問題となる微
生物の検出は培養した後に種類の同定や定量することが
一般的であり、培養操作に時間が掛かることを主因とし
て検査結果が出るまで1〜7日間といった長時間を要
し、かつ専門の測定技術者を必要とする。特に生鮮食品
等への検査の必要が生じた場合には、測定時間が長いこ
とが問題となる。ところで、このような微生物と上記し
た抗原は無縁のものではない。すなわち、菌体例えば病
原性大腸菌O−157という名称は抗体の名前に由来し
ており、これは“抗O−157抗体が特異的に結合する
抗原決定基を菌体表面に発現した病原性を有する大腸
菌”の意味である。個々の微生物種はそれぞれ体表面に
固有の抗原決定基を有しており、微生物自体を抗原と捉
えることができる。以上のような理由で、微生物を抗原
として同定、定量することが可能であり、生鮮食品等の
検査にきわめて有用である。
【0004】このような背景から、抗原あるいは抗体の
濃度をそれぞれ特異的、迅速、簡便さらに高感度に測定
する方法およびその方法を利用した安価な測定装置が求
められている。
【0005】以下、従来の抗原の濃度の測定方法につい
て説明する。
【0006】従来の抗原抗体反応を利用した抗原の測定
法は免疫学的測定法と総称され、非標識免疫学的測定法
と標識免疫学的測定法とに大別される。非標識免疫学的
測定法は抗体に酵素等の標識物質を結合せずに抗原抗体
反応による物理量等の変化を利用して抗原の量を測定す
る方法である。非標識免疫学的測定法にはSPR法(表
面プラズモン共鳴法)や水晶振動子を使った方法等があ
る。標識免疫学的測定法は抗体に酵素等の標識物質を結
合させたものを使用し、標識物質量を測定することで抗
原の量を測定する方法である。標識免疫学的測定法には
標識の種類によってラジオイムノアッセイ法(放射性同
位体標識)、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法(例え
ば、石川英治ら:「酵素免疫測定法(第三版)」、p3
1〜54、医学書院(1987)を参照)等がある。
【0007】これらの測定法のうち現在主として用いら
れている免疫学的測定法は、酵素免疫測定法の一種であ
るELISA法と呼称される方法である。なかでも特
に、サンドイッチ法(以下、「サンドイッチELISA
法」という)と呼ばれる方法が、測定感度が高いことと
比較的操作が簡易であることを主な理由に一般的に広く
用いられている。例えば、ダニアレルゲンの測定をする
場合を例にしてサンドイッチELISA法がどの様にお
こなわれるのかの概要を図13〜図15に基づいて説明
する。図13は従来のサンドイッチELISA法の主要
工程を示す工程図であり、図14は従来のサンドイッチ
ELISA法の反応工程の主要なステップを示すステッ
プ図、図15(a)〜(g)は測定用反応容器における
反応を示す反応説明図である。図13、図14におい
て、工程は大きな作業の流れを示し、ステップは工程の
中の比較的細かい作業の流れを示すものである。
【0008】図13において、60は測定用反応容器作
製工程B−1、61は反応工程B−2、62は測定工程
B−3、63は演算工程B−4である。
【0009】また、図14において、64は固定化のス
テップB−2(a)、65は洗浄のステップB−2
(b)、66は酵素標識抗体の反応のステップB−2
(c)、67は洗浄のステップB−2(d)であり、図
15において、1Aは測定用反応容器、91は抗体、9
2は抗原、94は酵素標識抗体、95は酵素である。
【0010】この方法は、図13に示すように、4段階
の工程(B−1.測定用反応容器作製工程60)、(B
−2.反応工程61)、(B−3.測定工程62)およ
び(B−4.演算工程63)から構成される。
【0011】以下、この4段階の工程の各ステップにつ
いて説明する。
【0012】まずB−1.測定用反応容器作製工程60
について説明する。
【0013】これは抗体を測定用反応容器1Aに固定化
して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)〜
(e)のステップから構成される。
【0014】B−1(a)は抗原に特異的に結合する抗
体91を測定用反応容器1Aに固定化するステップであ
る。非特異的な吸着が起こり易い測定用反応容器1A
に、測定対象の抗原92に特異的に結合する抗体91の
溶液を注ぎ、測定用反応容器1Aの固相に抗体91を非
特異吸着させて固定化する。
【0015】B−1(b)は未反応の抗体91を洗浄除
去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応
容器1Aを洗浄して、未反応であった抗体91を除去す
る。
【0016】B−1(c)はブロッキング剤で測定用反
応容器1Aの非特異吸着面を被覆するステップである。
測定用反応容器1Aにブロッキング剤溶液を注ぎ、測定
用反応容器1Aの表面に残存する非特異吸着面にブロッ
キング剤を非特異吸着させ、以後他の有機物等の測定用
反応容器1Aへの非特異的吸着が極力おこらないように
する。
【0017】B−1(d)は未反応のブロッキング剤を
洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測定
用反応容器1Aを洗浄して、未反応であったブロッキン
グ剤を除去する。
【0018】B−1(e)は測定用の測定用反応容器1
Aを保存可能とする処理をするステップである。保存手
段として凍結乾燥法を用いて、測定用反応容器1Aを長
期安定化した状態とする。
【0019】次に、B−2.反応工程61について説明
する。
【0020】これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体
を測定用反応容器1Aに固定化させる工程である。以下
に示す(a)〜(d)のステップから構成される。
【0021】B−2(a)は抗原92を測定用反応容器
1Aに特異的に結合させるステップである。少なくとも
4つの測定用反応容器1Aに、濃度が既知の標準抗原溶
液2種類、抗原92を含有する被検液およびブランク液
をそれぞれ注ぎ、それぞれ同条件下で平行して標準抗原
または抗原92を測定用反応容器1A上の固定化抗体9
1を介して抗原抗体反応で特異的に結合させる。
【0022】B−2(b)は未反応の抗原92を洗浄除
去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応
容器1Aを洗浄して、未反応であった抗原92を除去す
る。
【0023】B−2(c)は酵素標識抗体94を測定用
反応容器1Aに特異的に結合させるステップである。測
定用反応容器1Aに酵素標識抗体94溶液を注ぎ、酵素
標識抗体94を測定用反応容器1A内の抗原抗体複合体
の抗原92を介して抗原抗体反応で特異的に結合させ
る。
【0024】B−2(d)は未反応の酵素標識抗体94
を洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測
定用反応容器1Aを洗浄して、未反応であった酵素標識
抗体94を除去する。
【0025】以上、各ステップの反応の説明を図15に
示す。抗体91が固定化された測定用反応容器1Aを図
15(a)に示し、測定用反応容器1Aへの抗原92含
有溶液の添加を図15(b)に示し、時間経過による固
定化抗体91と抗原92の抗原抗体反応の進行を図15
(c)に示し、洗浄操作による未反応抗原92の除去を
図15(d)に示し、測定用反応容器1Aへの酵素標識
抗体94の添加を図15(e)に示し、測定用反応容器
1Aへの酵素標識抗体94の抗原抗体反応の進行を図1
5(f)に示し、洗浄操作による未反応酵素標識抗体9
4の除去を図15(g)に示す。
【0026】次に、B−3.測定工程62について説明
する。
【0027】これは発色基質を添加して酵素反応で発色
させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す
(a)〜(c)のステップから構成される。
【0028】B−3(a)は基質を酵素反応で発色させ
るステップである。基質溶液を測定用反応容器1Aに添
加し、測定用反応容器1A内の酵素標識抗体94の酵素
95に基質から酵素反応によって色素を生成させる。
【0029】B−3(b)は酵素反応を停止させるステ
ップである。反応停止液を測定用反応容器1Aに添加し
て酵素反応を停止させる。
【0030】B−3(c)は発色波長における発色の度
合いの測定ステップである。分光光度計の所定の波長で
生じた色素を測定する。
【0031】最後にB−4.演算工程63について説明
する。
【0032】これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度
の換算を行う工程である。以下に示す(a)のステップ
から構成される。
【0033】B−4(a)は換算ステップである。測定
結果から標準抗原溶液の検量線を作成し、被検液の抗原
濃度の換算をおこない、被検液の抗原濃度の値を得るこ
とができる。
【0034】尚、以上が従来の抗原濃度の測定について
の説明であるが、抗原と抗体を入れ替えて抗体を測定す
ることでもまったく同一である。したがって、特に断ら
ない限り、一方を説明したらもう一方も説明しているも
のである。特殊な場合にはある抗体の抗原決定基と特異
的に結合する抗体の組み合わせでも前者が広い意味での
抗原となっているとみなすことができる。必要に応じて
抗原(または抗体)あるいは抗体(または抗原)と明示
的に記載することとする。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の免疫学的測定方法では、以下の問題点を有して
いた。
【0036】(a)2ステップの抗原抗体反応{上記B
−2(a)、B−2(c)}が必要で、反応全てが完全
に進行せねば正しい値が得られず、かつ全体で4〜24
時間程度と測定に要する時間が長い。特に精度を向上さ
せるためには24時間程度を要し、測定時間が長いとい
う問題点を有していた。
【0037】(b)10種類程度の異なる試薬を必要と
し、また、2ステップの洗浄操作{上記B−2(b)、
B−2(d)}を行う必要があり、作業が煩雑で操作性
が悪く利便性に欠けるという問題点を有していた。
【0038】(c)試験を行うためには分注器、恒温
槽、冷蔵庫等が必要であり、測定コストが高いという問
題点を有していた。
【0039】この免疫学的測定方法および免疫学的測定
用エレメントでは、抗原または抗体の濃度を迅速簡便に
低価格で測定できることが要求されている。
【0040】本発明は、抗原または抗体の濃度を迅速簡
便に低価格で測定できる免疫学的測定方法および抗原ま
たは抗体の濃度を迅速簡便に低価格で測定するための免
疫学的測定用エレメントを提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の免疫学的測定方法は、測定用エレメントを用
意し、測定対象抗原を含有する被検液を測定用エレメン
トの一方端から負圧力または毛細管現象により含浸さ
せ、測定対象抗原と特異的に結合することができ標識物
質が結合された抗体を担持させた部位にまで測定用エレ
メント内の含浸をすすませて抗体を被検液に混入し、さ
らに測定用エレメントの他方端側に位置し標準抗原が固
定化された部位にまで含浸がすすむと、標準抗原と測定
対象抗原との間で抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの
抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成し、標
準抗原が固定化された部位の抗原抗体複合体に含まれる
標識物質の量の測定を行い、測定対象抗原の濃度を標識
物質の量より換算する構成を備えている。
【0042】これにより、抗原または抗体の濃度を迅速
簡便に低価格で測定できる免疫学的測定方法が得られ
る。
【0043】この課題を解決するために本発明の免疫学
的測定用エレメントは、測定対象抗原と同一種の標準抗
原を一定量固定化した脱着自在なフィルタと、フィルタ
に近接して配置された吸水パッドと、フィルタの吸水パ
ッドと逆側に近接するように配置された連絡用パッド
と、連絡用パッドのフィルタと逆側に近接するように配
置され、標準抗原と特異的に結合することができ標識物
質を結合した抗体を含有した放出用パッドと、放出用パ
ッドの連絡用パッドと逆側に近接するように配置された
導入用パッドと、全体を覆う気密性の測定用エレメント
支持体と、導入用パッドの放出用パッドと逆側に配置さ
れた導入口と、吸水パッドのフィルタと逆側に配置され
た通気孔とを有する構成を備えている。
【0044】これにより、抗原または抗体の濃度を迅速
簡便に低価格で測定するための免疫学的測定用エレメン
トが得られる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の免疫学
的測定方法は、測定用エレメントを用意し、測定対象抗
原を含有する被検液を測定用エレメントの一方端から負
圧力または毛細管現象により含浸させ、測定対象抗原と
特異的に結合することができ標識物質が結合された抗体
を担持させた部位にまで測定用エレメント内の含浸をす
すませて抗体を被検液に混入し、さらに測定用エレメン
トの他方端側に位置し標準抗原が固定化された部位にま
で含浸がすすむと、標準抗原と測定対象抗原との間で抗
体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分
配して抗原抗体複合体を形成し、標準抗原が固定化され
た部位の抗原抗体複合体に含まれる標識物質の量の測定
を行い、測定対象抗原の濃度を標識物質の量より換算す
ることとしたものである。
【0046】この構成により、操作を簡単なものとする
ことができるので、抗原または抗体の濃度を迅速簡便に
低価格で測定することができるという作用を有する。
【0047】請求項2に記載の免疫学的測定方法は、測
定用エレメントを用意し、測定対象抗体を含有する被検
液を測定用エレメントの一方端から負圧力または毛細管
現象により含浸させ、測定対象抗体と特異的に結合する
ことができ標識物質が結合された抗原を担持させた部位
にまで測定用エレメント内の含浸をすすませて抗原を被
検液に混入し、さらに測定用エレメントの他方端側に位
置し標準抗体が固定化された部位にまで含浸がすすむ
と、標準抗体と測定対象抗体との間で抗原を抗原抗体反
応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体
複合体を形成し、標準抗体が固定化された部位の抗原抗
体複合体に含まれる標識物質の量の測定を行い、測定対
象抗体の濃度を前記標識物質の量より換算することとし
たものである。
【0048】この構成により、操作を簡単なものとする
ことができるので、抗原または抗体の濃度を迅速簡便に
低価格で測定することができるという作用を有する。
【0049】請求項3に記載の免疫学的測定方法は、脱
着自在なフィルタに測定対象抗原と同一種の標準抗原を
一定量固定化し、多孔質で液体を吸収する第1の吸収体
と第2の吸収体とが接触した状態で前記フィルタを挟ん
で配置し、測定対象抗原と特異的に結合することができ
標識物質を結合した抗体を含有した第3の吸収体を第2
の吸収体に接触した状態で配置し、被検液を導入するた
めの第4の吸収体を第3の吸収体に接触した状態で配置
し、全体を気密性の密閉部材で覆い、密閉部材の第4の
吸収体側に導入口を配置し、密閉部材の第1の吸収体側
に通気口を配置した測定用エレメントを用意し、測定対
象抗原を含有する被検液を測定用エレメントの導入口に
接触させ、被検液を負圧または毛細管現象により第4の
吸収体から第1の吸収体まで移動させ、第3の吸収体か
ら抗体を被検液中に放出させ、フィルタに固定化された
標準抗原と測定対象抗原とで抗体を抗原抗体反応により
それぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を
形成させた後、フィルタを測定用エレメントより分離
し、フィルタの標識物質量の測定をおこない、測定対象
抗原の濃度を標識物質量より換算することとしたもので
ある。
【0050】この構成により、別途作製され保存された
上記測定用エレメントを用いることで測定を簡便・迅速
化することができ、また、抗原抗体反応は被検液と測定
用エレメントの接触を行うときの一回であるため短時間
のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必
要となる洗浄を不要化することができ、測定用エレメン
トの脱着自在なフィルタに固定化された一定量の標準抗
原と測定対象抗原によって、被検液が測定用エレメント
を通過する際に、放出用パッドから標準抗原と特異的に
結合することができ標識物質を結合した抗体が被検液に
溶解し、溶解した上記抗体をそれぞれの抗原濃度に応じ
て所定の割合に分配させ、分配された抗体の量と標識物
質との間には所定の関係があるため、フィルタと結合し
た標識物質量を測定することによって、測定対象抗原の
濃度を算出することができるという作用を有する。ここ
で、標準抗原としては、濃度既知の抗原である菌体やア
レルゲンの溶液が用いられる。標準抗原溶液の濃度は、
アレルゲンの場合には0.0001μg/mL〜100
μg/mL、好ましくは0.001μg/mL〜10μ
g/mLが用いられる。標準抗原の濃度は、アレルゲン
の場合0.001μg/mLよりも少なくなるにつれ、
充分な抗原量をフィルタに固定化することが不可能とな
る傾向が認めら、また、アレルゲンの場合10μg/m
Lよりも多くなるにつれ、吸着量が飽和して未反応の抗
原が増加し、経済性が悪くなるという傾向が認められる
ので、いずれも好ましくない。標準抗原溶液の溶媒とし
ては、りん酸緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の
溶液でpHを一定に保持することができるものでもよ
い。上記緩衝液に塩類、例えば塩化ナトリウム、塩化カ
リウムを溶解して使用するのが好ましい。緩衝液のpH
としてはpH5〜pH9、好ましくはpH6〜pH8が
用いられる。緩衝液のpHがpH6より小さくなるにつ
れ、安定な抗原の非特異吸着を測定用反応容器に発生さ
せることができないという傾向が認められ、またpH8
よりも大きくなるにつれても、安定な抗原の非特異吸着
を測定用反応容器に発生させることができないという傾
向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0051】請求項4に記載の免疫学的測定方法は、脱
着自在なフィルタに測定対象抗体と同一種の標準抗体を
一定量固定化し、多孔質で液体を吸収する第1の吸収体
と第2の吸収体とが接触した状態でフィルタを挟んで配
置し、測定対象抗体と特異的に結合することができ標識
物質を結合した抗原を含有した第3の吸収体を第2の吸
収体に接触した状態で配置し、被検液を導入するための
第4の吸収体を第3の吸収体に接触した状態で配置し、
全体を気密性の密閉部材で覆い、密閉部材の第4の吸収
体側に導入口を配置し、密閉部材の第1の吸収体側に通
気口を配置した測定用エレメントを用意し、測定対象抗
体を含有する被検液を測定用エレメントの導入口に接触
させ、被検液を負圧または毛細管現象により第4の吸収
体から第1の吸収体まで移動させ、第3の吸収体から抗
原を被検液中に放出させ、フィルタに固定化された標準
抗体と測定対象抗体との間で抗原を抗原抗体反応により
それぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を
形成させた後、フィルタを測定用エレメントより分離
し、フィルタの標識物質量の測定をおこない、測定対象
抗体の濃度を標識物質量より換算することとしたもので
ある。
【0052】この構成により、別途作製され保存された
上記測定用エレメントを用いることで測定を簡便・迅速
化することができ、また、抗原抗体反応は被検液と測定
用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時間の
うちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必要
となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容器に
固定化された一定量の標準抗体と測定対象抗体によっ
て、被検液に添加した上記抗原をそれぞれの抗体濃度に
応じて所定の割合に分配させ、分配された抗原の量と標
識物質との間には所定の関係があるため、測定用反応容
器または被検液と結合した標識物質量を測定することに
よって、測定対象抗体の濃度を算出することができると
いう作用を有する。ここで、標準抗体としてはとしては
抗原である菌体またはアレルゲンに特異的な結合能を有
するモノクロナール(またはポリクロナール)抗体が用
いられる。標準抗体溶液の濃度は0.0001μg/m
L〜100μg/mL、好ましくは0.001μg/m
L〜10μg/mLが用いられる。標準抗体の濃度が
0.001μg/mLよりも少なくなるにつれ、充分な
抗体量を測定用反応容器に接触し非特異吸着により固定
化することが不可能となる傾向が認めら、また、10μ
g/mLよりも多くなるにつれ、吸着量が飽和して未反
応の抗体が増加し、経済性が悪くなる傾向が認められる
ので、いずれも好ましくない。
【0053】請求項5に記載の免疫学的測定方法は、請
求項1乃至4のいずれか1に記載の免疫学的測定方法に
おいて、負圧力を発生する負圧発生手段を通気口に接続
して、被検液の移動を行うこととしたものである。
【0054】この構成により、安定的な被検液の移動
や、速い被検液の移動、自由度の高い配置方向の提供を
行うことができるため、精度良く、迅速に、自由度高く
抗原または抗体を測定することができるという作用を有
する。
【0055】請求項6に記載の免疫学的測定方法は、請
求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的測定方法に
おいて、標識物質が酵素であって、標識物質量の測定を
吸光度を測定することにより行うこととしたものであ
る。
【0056】この構成により、酵素を利用することで、
迅速に、容易に、安価に抗原または抗体を測定すること
ができるという作用を有する。ここで、酵素としては、
ペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、アルカリフォ
スファターゼが用いられる。
【0057】請求項7に記載の免疫学的測定方法は、請
求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的測定方法に
おいて、標識物質が蛍光物質であって、標識物質量の測
定を蛍光強度により行うこととしたものである。
【0058】この構成により、蛍光物質を利用すること
で、迅速に、容易に抗原または抗体を測定することがで
きるという作用を有する。
【0059】請求項8に記載の免疫学的測定方法は、請
求項6に記載の免疫学的測定方法において、標識物質の
酵素を第1の酵素としたとき、フィルタの固相には抗原
または抗体に加えて第2の酵素が固定化されていること
としたものである。
【0060】この構成により、酵素を利用することで、
標識物質としての酵素の基質を第2の酵素により供給す
ることで測定用発色基質液の調整を簡便にできるという
作用を有する。ここで、標識物質としての酵素はペルオ
キシダーゼで、第2の酵素はグルコースオキシダーゼで
の組み合わせ等を用いることができる。
【0061】請求項9に記載の免疫学的測定方法は、請
求項3乃至8のいずれか1に記載の免疫学的測定方法に
おいて、フィルタの形状が多孔質状、不織布状、網状の
いずれか1種類の形状または複数種類が複合した形状で
あることとしたものである。
【0062】この構成により、抗原または抗体が吸着す
る単位体積当たりの表面積を大きくすることができ、抗
原抗体反応を短時間かつ容易に行うことができるという
作用を有する。
【0063】請求項10に記載の免疫学的測定方法は、
請求項3乃至9のいずれか1に記載の免疫学的測定方法
において、フィルタがニトロセルロース、ポリスチレ
ン、ガラスのいずれか1種類の材質または複数種類が複
合した材質であることとしたものである。
【0064】この構成により、フィルタへの抗原または
抗体の単位面積当たりの吸着量を大きくすることがで
き、抗原抗体反応を短時間かつ容易に行うことができる
という作用を有する。
【0065】請求項11に記載の免疫学的測定方法は、
請求項3乃至10のいずれか1に記載の免疫学的測定方
法において、フィルタの粒子保持能が0.1μm〜10
0μmであることとしたものである。
【0066】この構成により、被検液が濁質を含有する
ために測定への影響がある場合、フィルターの最上流部
にて該濁質を捕捉し、抗原抗体反応をフィルタ内部にお
いて濁質の影響を排除して行え、濁質除去等の前処理を
必要としないため測定を簡便かつ短時間に行うことがで
きるという作用を有する。
【0067】請求項12に記載の免疫学的測定方法は、
請求項3乃至11のいずれか1に記載の免疫学的測定方
法において、測定用エレメントを複数複合することとし
たものである。
【0068】この構成により、複数の被検液を同時に測
定できるようになり、一検体当たりの測定を簡便かつ短
時間に行うことができるという作用を有する。
【0069】請求項13に記載の免疫学的測定方法は、
請求項1乃至12のいずれか1に記載の免疫学的測定方
法において、免疫反応および酵素反応の温度を一定に保
持する温度保持装置を備えることとしたものである。
【0070】この構成により、反応が最適化し、安定化
されるようになり、測定を短時間に安定して行うことが
できるという作用を有する。
【0071】請求項14に記載の免疫学的測定用エレメ
ントは、測定対象抗原と同一種の標準抗原を一定量固定
化した脱着自在なフィルタと、フィルタに近接して配置
された吸水パッドと、フィルタの前記吸水パッドと逆側
に近接するように配置された連絡用パッドと、連絡用パ
ッドのフィルタと逆側に近接するように配置され、測定
対象抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合
した抗体を含有した放出用パッドと、放出用パッドの連
絡用パッドと逆側に近接するように配置された導入用パ
ッドと、全体を覆う気密性の測定用エレメント支持体
と、導入用パッドの放出用パッドと逆側に配置された導
入口と、吸水パッドのフィルタと逆側に配置された通気
口とを有することとしたものである。
【0072】この構成により、測定対象抗原を含有する
被検液をサンプル容器に注ぎ、被検液と測定用エレメン
トの導入口を接触させ、被検液を負圧または毛細管現象
により上昇させ、放出用パッドから抗体を被検液中に放
出させ、フィルタに固定化された標準抗原と測定対象抗
原との間で抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃
度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、フ
ィルタを測定用エレメントより分離し、フィルタの標識
物質量の測定をおこない、測定対象抗原の濃度を該標識
物質量より換算することができるという作用を有する。
また、免疫学的測定用エレメントにより測定を簡便・迅
速化することができ、さらに、抗原抗体反応は被検液と
測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時
間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に
必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容
器に固定化された一定量の標準抗原と測定対象抗原によ
って、被検液に添加した抗体をそれぞれの抗原濃度に応
じて所定の割合に分配させ、分配された抗体量と標識物
質には所定の関係があるため、測定用反応容器または被
検液と結合した標識物質量を測定することによって、測
定対象抗原の濃度を算出することができるという作用を
有する。
【0073】請求項15に記載の免疫学的測定用エレメ
ントは、測定対象抗体と同一種の標準抗体を一定量固定
化した脱着自在なフィルタと、フィルタに近接して配置
された吸水パッドと、フィルタの吸水パッドと逆側に近
接するように配置された連絡用パッドと、連絡用パッド
のフィルタと逆側に近接するように配置され、測定対象
抗体と特異的に結合することができ標識物質を結合した
抗原を含有した放出用パッドと、放出用パッドの連絡用
パッドと逆側に近接するように配置された導入用パッド
と、全体を覆う気密性の測定用エレメント支持体と、導
入用パッドの放出用パッドと逆側に配置された導入口
と、吸水パッドのフィルタと逆側に配置された通気口と
を有することとしたものである。
【0074】この構成により、測定対象抗体を含有する
被検液をサンプル容器に注ぎ、被検液と測定用エレメン
トの導入口を接触させ、被検液を負圧力または毛細管現
象により上昇させ、放出用パッドから抗原を被検液中に
放出させ、フィルタに固定化された標準抗体と測定対象
抗体との間で抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体
濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、
フィルタを測定用エレメントより分離し、フィルタの標
識物質量の測定をおこない、測定対象抗体の濃度を該標
識物質量より換算することができるという作用を有す
る。また、免疫学的測定用エレメンにより測定を簡便・
迅速化することができ、さらに、抗原抗体反応は被検液
と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短
時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間
に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応
容器に固定化された一定量の標準抗体と測定対象抗体に
よって、被検液に添加した抗原をそれぞれの抗体濃度に
応じて所定の割合に分配させ、分配された抗原量と標識
物質との間には所定の関係があるため、測定用反応容器
または被検液と結合した標識物質量を測定することによ
って、測定対象抗体の濃度を算出することができるとい
う作用を有する。
【0075】以下、本発明の実施の形態について、図1
〜図12を用いて説明する。
【0076】(実施の形態1)本発明の実施の形態1で
は、抗体が特異的に結合する抗原決定基を有するアレル
ゲンを抗原とし、分離用固体を使用してアレルゲン濃度
を測定する免疫学的測定方法および免疫学的測定装置に
ついて説明する。以下抗原の測定について説明するが、
例えばアレルゲン(抗原)に対する血清中の抗体量を測
定する等、抗原と抗体を逆にすることも可能である。こ
うした理由から抗体の測定に関する説明は省略する。
【0077】図1は本発明の実施の形態1による免疫学
的測定用エレメントの概略断面図であり、図4(a)、
(b)は本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エ
レメントを使用した反応工程の接触のステップを説明す
るためのエレメント・サンプル容器の概略断面図、図5
(a)、(b)は本発明の実施の形態1による免疫学的
測定用エレメントを使用した反応工程の洗浄のステップ
を説明するためのエレメント・サンプル容器の概略断面
図、図6(a)、(b)は本発明の実施の形態1による
免疫学的測定用エレメントを使用した測定工程の発色の
ステップを説明するための測定容器の概略断面図、図1
0は本発明の実施の形態1における反応工程の発色ステ
ップでのフィルタと測定容器の部分拡大図、図11は本
発明の実施の形態1による免疫学的測定用エレメントの
断面図である。
【0078】図1、図4〜図6、図10および図11に
おいて、1は負圧力または毛細管現象により被検液を含
浸させることができる多孔質状、不織布状、網状等の形
状をもつ含浸体から構成された導入用パッド(第4の吸
収体)、2は同じく含浸体から構成された放出用パッド
(第3の吸収体)、3は同じく含浸体から構成された連
絡用パッド(第1の吸収体)、4は同じく含浸体から構
成され、後記する免疫学的測定用エレメントに着脱自在
のフィルタ、5はフィルタ4を物理的に支持するための
フィルタ支持枠、6はフィルタ操作用ハンドル、7は同
じく含浸体から構成された吸水パッド(第2の吸収
体)、21は通気口、22は導入口、30は毛細管現象
を利用できるように周囲を覆う気密性の密閉部材である
測定用エレメント支持体、33は免疫学的測定用エレメ
ント、34は通気口21が設けられた測定用エレメント
上部蓋、35は通気口21が設けられた測定用エレメン
ト下部蓋、36はフィルタ支持枠5と測定用エレメント
支持体30をシールするためにフィルタ支持枠5に設け
たOリング、40は被検液70、洗浄液71(後述)等
を保持し、免疫学的測定用エレメント33の導入口22
に被検液70、洗浄液71等を接触させるためのサンプ
ル容器、41はフィルタ4への酵素標識抗体94(後
述)の反応の程度を測定するための測定容器、70は標
準液(または被検液)、71は洗浄液、72は基質溶
液、92は測定対象抗原(被検液由来の抗原)、93は
フィルタ4に固定化させた標準抗原、94は酵素標識抗
体、95は標識物質としての第1の酵素、96は第2の
酵素である。
【0079】また、図2は本発明の実施の形態1による
免疫学的測定用エレメントを使用した主要な工程を示す
工程図であり、図3は本発明の実施の形態1による免疫
学的測定用エレメントを使用した主要なステップを示す
ステップ図である。
【0080】図2、図3において、50はA−1.測定
用エレメント作製工程、51はA−2.反応工程、52
はA−3.測定工程、53はA−4.演算工程、54は
A−2(a)接触のステップ、55はA−2(b).洗
浄のステップ、56はA−3(b).発色のステップで
ある。ここで、工程は大きな作業の流れを示し、ステッ
プは工程の中の比較的細かい作業の流れを示す。
【0081】また、図7は本発明の実施の形態1におけ
るフィルタの斜視図であり、図8は本発明の実施の形態
1における免疫学的測定用エレメントの斜視図、図9は
本発明の実施の形態1における測定容器の斜視図であ
る。
【0082】図7、図8および図9において、4は図1
等と同様のフィルタ、5は図11と同様のフィルタ支持
枠、6は図1等と同様のフィルタ操作用ハンドル、21
は図1等と同様の通気口、30は図1等と同様の測定用
エレメント支持体、31は測定用エレメント支持体30
を連結するための測定用エレメント支持体連結枠、32
は複数のフィルタひいてはフィルタ支持枠5を連結する
ためのフィルタ連結枠、33は図1等と同様の免疫学的
測定用エレメント、40は図4と同様のサンプル容器、
41は図6と同様の測定容器、42は容器、43は容器
連結枠である。
【0083】このように構成された免疫学的測定用エレ
メントについて、その機能、動作、使用法等を説明す
る。
【0084】図1において、導入用パッド1は、測定用
エレメント支持体30内部に被検液、洗浄液等を導き入
れ、さらに放出用パッド2へ液体を移動させるものであ
る。放出用パッド2は、その内部に酵素標識抗体94が
含浸されており、導入用パッド1から導かれた液体へ酵
素標識抗体94を放出し、連絡用パッド3へ液体を移動
させる。連絡用パッド3は放出用パッド2から導かれた
液体をフィルタ4へ移動させるものである。フィルタ4
には標準抗原93(または抗体)が固定化されており、
標準抗原93は連絡用パッド3から導かれた酵素標識抗
体94と抗原抗体反応をおこない、汲水パッド7へ液体
を移動させる。フィルタ操作用ハンドル6はフィルタ4
を測定用エレメント支持体30から分離するためにフィ
ルタ支持枠5の一端に設けたものである。吸水パッド7
はフィルタ4より導かれた液体を保持するためのもので
ある。
【0085】また、通気口21は、毛細管現象により被
検液、洗浄液等を上昇させるかまたは負圧力を発生させ
る機器と接続するために測定用エレメント支持体30の
一端に設けた開口であり、導入口22は、導入パッド1
に被検液、洗浄液等を導入するために測定用エレメント
支持体30の他端に設けた開口である。測定用エレメン
ト支持体30は、導入用パッド1、放出用パッド2、連
絡用パッド3、フィルタ4、吸水パッド7等を被覆し一
体化するためのものであり、液体が透過しない材質で構
成される。
【0086】さらに、第1の酵素95は酵素標識抗体9
4に結合させた標識物質としての酵素であり、第2の酵
素96はフィルタ4に固定化させた酵素である。フィル
タ4に固定化させた酵素96は標識物質としての酵素標
識抗体94の基質が不安定な物質で要時調整を必要とす
る場合に用いるものであり、前記基質を比較的安定な水
溶性物質から生産するものを使用することができる。
【0087】本実施の形態における免疫学的測定方法は
図2に示すように4段階の工程(A−1.測定用エレメ
ント作製工程50)、(A−2.反応工程51)、(A
−3.測定工程52)および(A−4.演算工程53)
から構成される。
【0088】免疫学的測定用エレメント33はA−1.
測定用エレメント作製工程50によって作製し、ユーザ
が使用できるように用意される。このA−1.測定用エ
レメント作製工程50について説明する。
【0089】A−1.測定用エレメント作製工程50
は、標準抗原93をフィルタ4に固定化し、酵素標識抗
体94を放出用パッド2に保持し、導入用パッド1、連
絡用パッド3、吸水パッド7を測定用エレメント支持体
30で密閉支持して免疫学的測定用エレメント33を完
成させる工程である。以下に示す(a)〜(j)のステ
ップから構成され、(a)〜(g)が標準抗原93をフ
ィルタ4に固定化するステップ、(h)〜(i)が酵素
標識抗体94を放出用パッド2に保持させるステップ、
(j)が免疫学的測定用エレメント33を組み立てるス
テップである。
【0090】A−1(a)は標準抗原93をフィルタ4
に固定化するステップである。フィルタ4に標準抗原9
3の溶液を接触させ、フィルタ4の表面および細孔内に
標準抗原93を非特異的に固定化する。標準抗原93は
測定対象となる抗原(測定対象抗原)で単一種のアレル
ゲンの溶液を使用する。
【0091】フィルタ4は、多孔質状、不織布状、網
状、のいずれか一種類の形状または複数種類が複合した
形状で、ニトロセルロース、ポリスチレン、ガラス、等
のいずれか一種類の材質または複数種類が複合した材質
で、粒子保持能が0.1μm以上100μm以下であ
り、独立した単一又は複数のフィルタの集合体でもよ
い。例えば、図7に示すようにフィルタ4をフィルタ操
作用ハンドル6と一体となったフィルタ支持枠5で支持
し、さらに8個のフィルタ操作用ハンドル6をフィルタ
連結枠32で一体に構成したものが使用できる。
【0092】標準抗原93溶液としては、測定対象と同
一種の抗原であるアレルゲンの溶液が用いられる。ここ
でいう同一種とは抗体が結合する抗原決定基を有するこ
とである。標準抗原93の濃度は溶液は0.0001μ
g/mL〜100μg/mL、好ましくは0.001μ
g/mL〜10μg/mLが用いられる。標準抗原93
の濃度が0.001μg/mLよりも少なくなるにつ
れ、充分な抗原量をフィルタ4に固定化することが不可
能となる傾向が認めら、また、10μg/mLよりも多
くなるにつれ、吸着量が飽和して未反応の抗原が増加
し、経済性が悪くなるという傾向が認められるので、い
ずれも好ましくない。
【0093】標準抗原93溶液の溶媒としては、りん酸
緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の溶液でpHを
一定に保持することができるものでもよい。上記緩衝液
に塩類、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムを溶解し
て使用するのが好ましい。緩衝液のpHとしてはpH5
〜pH9、好ましくはpH6〜pH8が用いられる。
【0094】標準抗原93溶液によるフィルタ4の処理
条件としてはpH5〜pH9、処理時間10分〜48時
間、処理温度4℃〜40℃、好ましくはpH6〜pH
8、処理時間30分〜2時間、処理温度4℃〜30℃が
用いられる。この条件で浸漬処理することによりフィル
タ4に標準抗原93であるアレルゲンを高密度で非特異
吸着させることが可能となる。
【0095】A−1(b)は未反応の標準抗原93を洗
浄除去するステップである。緩衝液で、フィルタ4を好
ましくは1回〜10回、更に好ましくは2回〜5回洗浄
することで、未反応の標準抗原93を効率的に除去する
ことができ、以降の測定の精度を向上させることができ
る。
【0096】A−1(c)は第2の酵素96をフィルタ
4に固定化するステップである。フィルタ4に酵素96
を接触させ、フィルタ4の表面および細孔内に酵素96
を非特異的に固定化する。このステップは測定用の発色
基質溶液調整が簡便となるように行うステップであり、
必要に応じて操作を行う。
【0097】第2の酵素96は測定に使用する酵素標識
抗体94に結合した第1の酵素95の基質を生成するも
のを使用する。例えば、酵素95にペルオキシダーゼを
使用する場合、その基質である過酸化水素を生成させる
グルコースオキシダーゼを使用することができる。この
例の場合、液体の状態で供給する必要のある過酸化水素
ではなく固体の粉末状等の形態でグルコースを供給する
ことで過酸化水素を生成させ、生成した該過酸化水素を
基質としてペルオキシダーゼによる反応を起こさせるこ
とが可能となり、測定用の発色基質溶液調整が簡便とな
る。
【0098】酵素96溶液の濃度は0.0001μg/
mL〜100μg/mL、好ましくは0.001μg/
mL〜10μg/mLが用いられる。酵素96の濃度が
0.001μg/mLよりも少なくなるにつれ、充分な
抗原量をフィルタ4に固定化することが不可能となる傾
向が認めら、また、10μg/mLよりも多くなるにつ
れ、吸着量が飽和して未反応の抗原が増加し、経済性が
悪くなるという傾向が認められるので、いずれも好まし
くない。
【0099】酵素96溶液の溶媒としては、りん酸緩衝
液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の溶液でpHを一定
に保持することができるものでもよい。上記緩衝液に塩
類、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムを溶解して使
用するのが好ましい。緩衝液のpHとしてはpH5〜p
H9、好ましくはpH6〜pH8が用いられる。酵素9
6溶液によるフィルタ4の処理条件としてはpH5〜p
H9、処理時間10分〜48時間、処理温度4℃〜40
℃、好ましくはpH6〜pH8、処理時間30分〜2時
間、処理温度4℃〜30℃が用いられる。この条件で浸
漬処理することによりフィルタ4に酵素96を高密度で
非特異吸着させることが可能となる。
【0100】A−1(d)は未反応の酵素96溶液を洗
浄除去するステップである。このステップはA−1
(c)と同様、測定用の発色基質溶液調整が簡便となる
ように行うステップであり、必要に応じて操作を行う。
緩衝液で、フィルタ4を好ましくは1回〜10回、更に
好ましくは2回〜5回洗浄することで、未反応の酵素9
6を効率的に除去することができ、以降の測定の精度を
向上させることができる。
【0101】A−1(e)はブロッキング剤でフィルタ
4の非特異吸着面を被覆するステップである。フィルタ
4にブロッキング剤溶液を接触させ、フィルタ4の非特
異吸着面を被覆した。ブロッキング剤溶液によるフィル
タ4の処理条件としてはpH5〜pH9、処理時間10
分〜48時間、処理温度4℃〜40℃、好ましくはpH
6〜pH8、処理時間30分〜2時間、処理温度5℃〜
30℃が用いられる。この条件で浸漬処理することによ
りフィルタ4に残存する非特異吸着を起こす表面にブロ
ッキング剤を非特異吸着させ、以後他の有機物の非特異
吸着が極力おこらないようになり、より精度の高い測定
が可能となる。
【0102】ブロッキング剤として、牛血清アルブミ
ン、牛乳由来カゼイン、ゼラチン等のタンパク質を含有
したブロッキング剤溶液を使用する。ブロッキング剤溶
液の溶媒としてはりん酸緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いら
れる。他の溶液でpHを一定に保持することができるも
のでもよい。上記緩衝液に塩類、例えば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムを溶解して使用するのが好ましい。緩
衝液のpHとしてはpH5〜pH9、好ましくはpH6
〜pH8が用いられる。緩衝液のpHがpH6より小さ
くなるにつれ、安定なブロッキング剤の非特異吸着を測
定用反応容器に発生させることができないという傾向が
認められ、またpH8よりも大きくなるにつれても、安
定な抗ブロッキング剤の非特異吸着を測定用反応容器に
発生させることができないという傾向が認められるの
で、いずれも好ましくない。
【0103】A−1(f)は未反応のブロッキング剤を
洗浄除去するステップである。界面活性剤含有緩衝液
で、フィルタ4を1回〜10回、好ましくは2回〜5回
洗浄することで、未反応のブロッキング剤を効率的に除
去することができ以降の測定の精度を向上させることが
できる。ここで、界面活性剤としてポリオキシエチレン
(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレ
ン(80)ソルビタンモノラウレートを含有させて使用
するものである。界面活性剤の濃度は好ましくは0.0
01W/V%〜1W/V%、好ましくは0.01W/V
%〜0.2W/V%が用いられる。界面活性剤の濃度が
0.01W/V%より少なくなるにつれ未反応のタンパ
ク質等を効率的に除去することができず以降の測定の精
度を低下させる傾向が認められ、また、0.2W/V%
より多くなるにつれ、発泡が著しく起こるため洗浄し難
くなるという傾向が認められるので、いずれも好ましく
ない。
【0104】A−1(g)はフィルタ4を保存可能とす
る処理を行うステップである。保存手段として凍結乾燥
法、風乾等を用いて、フィルタ4を長期安定化した状態
とする。
【0105】A−1(h)は酵素標識抗体94を放出用
パッド2に含浸させるステップである。放出用パッド2
に、測定対象となる抗原(アレルゲン)に特異的に結合
する抗体91(図15参照)に酵素95を結合させた酵
素標識抗体94の溶液を接触させて含浸させる。
【0106】放出用パッド2は多孔質状、不織布状、網
状のいずれか一種類の形状または複数種類が複合した形
状でガラス、セルロース、ポリプロピレン、フッ素樹脂
等のいずれか一種類の材質または複数種類が複合した材
質で非特異的結合が極力起こらない様に例えばポリビニ
ルアルコール等で正面を親水化処理したもの等が使用で
きる。
【0107】酵素標識抗体94溶液の濃度は0.000
1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは0.00
1μg/mL〜10μg/mLが用いられる。酵素標識
抗体94の濃度が0.001μg/mLよりも少なくな
るにつれ、充分な酵素標識抗体94をフィルタ4に供給
することが不可能となる傾向が認めら、また、10μg
/mLよりも多くなるにつれ、フィルタ4に固定化した
標準抗原93への酵素標識抗体94の吸着量が飽和し、
未反応の酵素標識抗体94が増加し、経済性が悪くなる
という傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
酵素標識抗体94溶液の溶媒としては、A−1(a)に
示す標準抗原93溶液と同様のものが使用できる。
【0108】A−1(i)は酵素標識抗体94が含浸し
た放出用パッド2を保存可能とする処理を行うステップ
である。保存手段として凍結乾燥法、風乾等を用いて、
フィルタ4を長期安定化した状態とする。
【0109】A−1(j)は免疫学的測定測定用エレメ
ント33を組み立てるステップである。フィルタ4、放
出用パッド2、導入用パッド1、連絡用パッド3、吸水
パッド7を組み合わせて測定用エレメント支持体30で
密閉し、免疫学的測定用エレメント33とする。
【0110】導入用パッド1と連絡用パッド3は多孔質
状、不織布状、網状のいずれか一種類の形状または複数
種類が複合した形状でガラス、セルロース、ポリプロピ
レン、フッ素樹脂等のいずれか一種類の材質または複数
種類が複合した材質で非特異的結合が極力起こらない様
に例えばポリビニルアルコール等で正面を親水化処理し
たもの等が使用できる。
【0111】吸水パッド7は多孔質状、不織布状、網状
のいずれか一種類の形状または複数種類が複合した形状
でガラス、セルロース、ポリプロピレン、フッ素樹脂等
のいずれか一種類の材質または複数種類が複合した材質
のもの等が使用できる。
【0112】組み上がった免疫学的測定エレメント33
の概略断面図を図1に、その斜視図を図8に示す。
【0113】次に、A−1.測定エレメント作製工程5
0で作製された免疫学的測定用エレメント33を用い
て、アレルゲン濃度を測定する本発明の実施の形態1に
よる免疫学的測定方法の(A−2.反応工程51)、
(A−3.測定工程52)、(A−4.演算工程53)
について説明する。
【0114】まずA−2.反応工程51について説明す
る。
【0115】これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体
94を免疫学的測定用エレメント33のフィルタ4に固
定化された標準抗原93と被検液等に含まれる抗原(測
定対象抗原)92とに分配させ、分配させた酵素標識抗
体94を分離する工程である。以下に示す(a)〜
(c)のステップから構成される。
【0116】A−2(a)は測定用エレメントと被検液
を接触させるステップ54である(図3)。
【0117】図4(a)に示すように、サンプル容器4
0に標準液あるいは被検液70を定量注ぎ、測定用エレ
メントの導入口22を標準液あるいは被検液70に接触
させる。標準液あるいは被検液70は毛細管現象によっ
て上昇するが、必要があれば、測定用エレメント支持体
30の通気口21から負圧力を供給する。負圧力の供給
手段としてはシリンジを測定用エレメント支持体30の
通気口21に接続してシリンジの内筒を動かし、シリン
ジ外筒と内筒で構成される空間を大きくする方法や真空
ポンプのサクション側に測定用エレメント支持体30の
通気口21を接続して真空ポンプで発生する負圧力を供
給する方法等が考えられ、安定的な標準液あるいは被検
液70の移動や、速い標準液あるいは被検液70の移
動、自由度の高い測定用エレメント支持体30の配置方
向の提供を行うことができるため精度良く、迅速に、自
由度高く抗原または抗体を測定することができる。標準
液により得られたデータを基に検量線を作成し、この検
量線を利用して被検液の濃度を算出する。
【0118】標準液あるいは被検液70は毛細管現象ま
たは負圧力により測定用エレメント支持体30を上昇
し、導入用パッド1を経由して連絡用パッド2に達す
る。連絡用パッド2において酵素標識抗体94が標準液
あるいは被検液70に溶解する。さらに標準液あるいは
被検液70は上昇して連絡用パッド3を経由してフィル
タ4に達する。フィルタ4において、酵素標識抗体94
は、フィルタ4に固定化された標準抗原93の濃度と、
標準液あるいは被検液70中の抗原(測定対象抗原)の
濃度とに応じて分配される。この後、図4(b)に示す
ように、さらに標準液あるいは被検液70は上昇して吸
水パッド7に到達する。
【0119】サンプル容器40は、例えば図9に示すよ
うに容器42を容器連結枠43で一体に構成した形状の
もの等が使用できる。その材質としてはポリプロピレ
ン、ポリエチレン、フッ素樹脂等、タンパク質との非特
異吸着が起こりにくいものが使用できる。材質に関わら
ず、タンパク質との非特異吸着を低減させる処理を施し
て使用することもできる。
【0120】A−2(b)は免疫学的測定用エレメント
33を洗浄するステップ55である。
【0121】図5(a)に示すように、サンプル容器4
0に洗浄液71を定量注ぎ、免疫学的測定用エレメント
33の導入口22を洗浄液71に接触させる。必要があ
れば、測定用エレメント支持体30の通気口21から負
圧を供給する。洗浄液71は毛細管現象または負圧によ
り測定用エレメント支持体30内を導入用パッド1、連
絡用パッド2、連絡用パッド3、フィルタ4、吸水パッ
ド7まで上昇し、上昇する間に測定用エレメント支持体
30内の特異吸着していない酵素標識抗体94の大部分
を図5(b)に示すように、吸水パッド7に移行させ
る。洗浄液71としては例えば、A−1(f)ステップ
で示した界面活性剤含有緩衝液が使用できる。サンプル
容器40はA−2(a)ステップで示したサンプル容器
40と同じものが使用できる。
【0122】A−2(c)は免疫学的測定用エレメント
33とフィルタ4とを分離するステップである。免疫学
的測定用エレメント33からフィルタ4をフィルタ操作
用ハンドル6を利用して分離する。
【0123】次に、A−3.測定工程52について説明
する。
【0124】これは、フィルタ4に結合した酵素標識抗
体94と発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色
の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)〜
(c)のステップから構成される。
【0125】A−3(a)はフィルタ4と基質溶液72
を接触させるステップである。図6(a)に示すよう
に、測定容器41に基質溶液72を一定量注ぎ、フィル
タ4を基質溶液72に接触させる。例えば、図10に示
すように複数個を同時に測定することもできる。基質溶
液72は溶質として標識物質に応じた発色基質を含有
し、発色基質としては例えば標識物質が酵素95でペル
オキシダーゼの場合はオルトフェニレンジアミン二塩酸
塩、3、3‘、5、5’−テトラメチルベンチジン、
2、2‘−アジノ−ビス、3−エチルベンゾチアゾリン
−6−スルホン酸二アンモニウム塩、5−アミノサリチ
ル酸等が使用でき、また、基質溶液72は基質として過
酸化水素を含有し、溶媒としては緩衝液を使用し、pH
5.0±0.1の0.1mol/Lクエン酸緩衝液等が
使用できる。また、過酸化水素を発生する酵素96がフ
ィルタ4に固定化されている場合は、酵素96の基質を
加えることで過酸化水素を要時調整することなく簡便に
基質溶液の調整ができる。例えば、酵素95がペルオキ
シダーゼの場合、酵素96としてグルコースオキシダー
ゼ、その基質としてグルコースを使用することができ
る。
【0126】測定容器41としては、例えば、図9に示
すように容器42を容器連結枠43で一体に構成した形
状のもの等が使用できる。その材質としてはポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂等
の光学的に透明な合成樹脂を用いて形成されたものが使
用できる。
【0127】A−3(b)は基質溶液72を発色させる
ステップ56である。
【0128】図6(b)に示すように、測定容器41内
の基質溶液72中の発色基質がフィルタ4上の酵素95
によって発色する。フィルタ4と基質溶液72の反応条
件としては、反応時間1分〜60分、反応温度10℃〜
40℃、好ましくは反応時間2分〜20分、反応温度1
5℃〜30℃が用いられる。この条件で反応させること
によりフィルタ4に残留している標識物質が発色基質か
ら酵素反応によって色素を効率的に生成させることが可
能となる。反応時間が2分より短くなるにつれ十分な発
色が得られなくなるという傾向が認められ、また、20
分より長くなるにつれ、測定感度が低下する傾向が認め
られるので、いずれも好ましくない。反応温度が15℃
より低くなるにつれ、酵素の活性が低下するという傾向
が認められ、また、30℃より高くなるにつれ、酵素の
活性が低下する傾向が認められるので、いずれも好まし
くない。
【0129】A−3(c)は酵素反応を停止させるステ
ップである。あらかじめ反応停止液を測定容器41に適
量添加し、酵素反応を停止させる。反応停止液は溶質と
して標識物質に応じた反応停止剤を含有し、反応停止剤
として硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、水酸化ナトリウム等
が用いられる。
【0130】A−3(d)は発色波長における発色の度
合いの測定ステップである。測定容器内で発色した色素
が特異的に吸収する波長の光を吸光度として吸光光度計
で測定する。
【0131】次に、A−4.演算工程53について説明
する。
【0132】これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度
の換算を行う工程である。以下に示す(a)のステップ
から構成される。
【0133】A−4(a)は換算ステップである。A−
1.工程50〜A−3.工程52の操作により別途求め
た標準抗原溶液の検量線を使用して、被検液の吸光度よ
り被検液の濃度を演算し算出する。
【0134】なお、以上の説明では、抗原の測定につい
て説明したが、抗原と抗体を逆にして抗体の測定につい
ても同様に実施可能である。
【0135】以上のように本実施の形態によれば、供給
者側で反応済み免疫学的測定用エレメント33を作製
し、免疫学的測定用エレメント33と被検液とを反応さ
せることで、被検液の測定対象抗原92の濃度に応じて
酵素標識抗体94の分配をおこなはせ、免疫学的測定用
エレメント33のフィルタ4に固定化した標準抗原93
と結合した酵素標識抗体94の標識物質の濃度を定量す
ることで被検液中の測定対象抗原の濃度を測定すること
が可能で、従来の測定方法、例えば、現在最も一般的に
利用されているサンドイッチELISA法と本実施の形
態における測定方法とを比較すると、サンドイッチEL
ISA法が2工程の抗原抗体反応工程、2工程の洗浄操
作を必要とするのに対して、本実施の形態における測定
方法は1工程の抗原抗体反応工程、洗浄操作は1工程で
簡易にでき、簡便、迅速、安価に抗原(または抗体)を
定量することができる特異的な免疫学的測定方法及び免
疫学的測定用エレメントを提供することができる。
【0136】
【実施例】本発明の実施例では、実施の形態1における
免疫学的測定方法及び実施の形態1による免疫学的測定
用エレメント33を用いて、コナヒョウヒダニのアレル
ゲンであるrDerfIIの濃度の測定をおこなった。
【0137】図12は本発明の実施例で作成したコナヒ
ョウヒダニのアレルゲンrDerfIIの検量線を示す
グラフである。実施の形態1における免疫学的測定方法
は、4段階の工程(A−1.測定用エレメント作製工程
50)、(A−2.反応工程51)、(A−3.測定工
程52)および(A−4.演算工程53)から構成され
る。
【0138】最初にA−1.測定用エレメント作製工程
50について説明する。
【0139】工程50のA−1(a)は標準抗原93を
フィルタ4に固定化するステップである。
【0140】フィルタ4に標準抗原93の溶液を接触さ
せ、フィルタ4の表面に標準抗原93を非特異的に固定
化した。標準抗原93としてコナヒョウヒダニの虫体由
来アレルゲンを大腸菌の遺伝子操作により生産させ精製
したrDerfIIを使用した。その希釈にはpH7.
4±0.2のダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(以下、
「PBS」と記載する)を使用し、濃度は1μg/mL
に調整した。フィルタ4はニトロセルロ−ス製で、直径
5mmで、粒子保持能が10μmのものを使用した。図
7に示すフィルタ4をフィルタ操作用ハンドル6と一体
となったフィルタ支持枠5で支持し、さらに8個のフィ
ルタ操作用ハンドル6をフィルタ連結枠32で一体に構
成したものが使用した。標準抗原93溶液によるフィル
タ4の処理条件はpH7.4±0.2、処理時間2時
間、処理温度25℃を用いた。
【0141】A−1(b)は未反応の標準抗原93を洗
浄除去するステップである。緩衝液で、フィルタ4を3
回洗浄して、未反応の標準抗原93を除去した。緩衝液
としてPBSを用いた。
【0142】A−1(c)は第2の酵素96をフィルタ
4に固定化するステップである。フィルタ4に酵素96
を接触させ、フィルタ4の表面に酵素96を非特異的に
固定化した。第1の酵素95としてペルオキシダーゼを
使用したため、その基質である過酸化水素を生成させる
グルコースオキシダーゼを酵素96として使用した。酵
素96溶液の濃度は5μg/mL、溶媒としてPBSを
用い、処理条件としてはpH7.4±0.2、処理時間
2時間、処理温度25℃で処理した。
【0143】A−1(d)は未反応の酵素96溶液を洗
浄除去するステップである。緩衝液で、フィルタ4を3
回洗浄して、未反応の酵素96を除去した。緩衝液とし
てPBSを用いた。
【0144】A−1(e)はブロッキング剤でフィルタ
4の非特異吸着面を被覆するステップである。フィルタ
4にブロッキング剤溶液を接触させ、フィルタ4の非特
異吸着面を被覆した。ブロッキング剤溶液によるフィル
タ4の処理条件はpH7.4±0.2、処理時間1時
間、処理温度25℃を用いた。ブロッキング剤として、
10g/Lの牛血清アルブミンを混合したPBS溶液
(以下、「PBS−B」と記載する)を使用した。
【0145】A−1(f)は未反応のブロッキング剤を
洗浄除去するステップである。界面活性剤含有緩衝液
で、フィルタ4を3回洗浄することで未反応のブロッキ
ング剤を除去した。界面活性剤含有緩衝液としてPBS
に0.05w/v%ポリオキシエチレン(20)ソルビ
タンモノラウレートを含有し、pH7.4±0.2の溶
液(以下、「PBS−T」と記載する)を使用した。
【0146】A−1(g)はフィルタ4を保存可能とす
る処理を行うステップである。保存手段として風乾等を
用いて、フィルタ4を長期安定化した状態とした。
【0147】A−1(h)は酵素標識抗体94を放出用
パッド2に含浸させるステップである。放出用パッド2
に酵素標識抗体94として抗DerfIIマウスモノク
ロナールIgG抗体に西洋ワサビ由来のペルオキシダー
ゼを標識化した抗体(以下、「13A4PO」と記載す
る)を使用し、1μg/mLの13A4POのPBS−
T溶液を接触させて含浸させた。放出用パッド2は不織
布状、表面をポリビニルアルコールで親水化処理したポ
リプロピレン製のものを使用した。
【0148】A−1(i)は酵素標識抗体94が含浸し
た放出用パッド2を保存可能とする処理を行うステップ
である。保存手段として凍結乾燥法用いて、フィルタ4
を長期安定化した状態とした。
【0149】A−1(j)は免疫学的測定用エレメント
33を組み立てるステップである。フィルタ4、放出用
パッド2、導入用パッド1、連絡用パッド3、吸水パッ
ド7を組み合わせて測定用エレメント支持体30で密閉
し免疫学的測定用エレメント33とした。詳細な免疫学
的測定用エレメント33の構成と組み立て方法は後述す
る。導入用パッド1と連絡用パッド3は不織布状、表面
をポリビニルアルコールで親水化処理したポリプロピレ
ン製でA−1(h)ステップで示した放出用パッド2と
同様のものを使用した。吸水パッド7は不織布状、ガラ
ス製のものを使用した。
【0150】次に、免疫学的測定用エレメント33の構
成と組み立て方法を図11に基づいて説明する。
【0151】フィルタ4は円形でリング状のフィルタ支
持体5に固定されており、フィルタ支持体5の上下には
それぞれOリング36が取り付けられ、フィルタ支持体
5の一端にはフィルタ操作用ハンドル6が取り付けられ
ている。測定用エレメント支持体30はパイプ状の構造
をしており、中間部にフィルタ支持体5を挿入する開口
が180°の半円状に、フィルタ支持体5の上下のOリ
ング36で密着するように設けられており、上部には通
気口21を設けた測定用エレメント上部蓋34、下部に
は導入口22を設けた測定用エレメント下部蓋35を組
み合わせることが可能な構造となっている。測定用エレ
メント支持体30にフィルタ支持体5を挿入後、測定用
エレメント支持体30上部より吸水パッド7を挿入し、
測定用エレメント上部蓋34を測定用エレメント支持体
30に固定する。さらに、連絡用パッド3、放出用パッ
ド2、導入用パッド1をこの順番に測定用エレメント支
持体30下部より挿入し、測定用エレメント下部蓋35
を測定用エレメント支持体30に固定する。
【0152】次にA−2.反応工程51について説明す
る。
【0153】A−2(a)は免疫学的測定用エレメント
33と被検液を接触させるステップである。サンプル容
器40として図9に示す8個の容器40を容器連結枠4
3で一体に構成した形状で、あらかじめタンパク質との
非特異吸着が起こりにくいいようにBSAでブロッキン
グ処理したポリスチレンのものを使用した。標準抗原r
DerfIIを0.1μg/mLより3倍に順次PBS
−Tで希釈して7種の標準希釈列の溶液を調製し、7種
の標準希釈列の溶液とブランク液としてPBS−Tをサ
ンプル容器40の8個の容器42にそれぞれ250μL
注いだ。免疫学的測定用エレメント33の8個を該サン
プル容器40のそれぞれの容器40に各1個ずつ、免疫
学的測定用エレメント33の通気口21が上になるよう
に挿入し、導入口22と容器40内の液体とを接触させ
た。
【0154】標準液あるいは被検液70は毛細管現象ま
たは負圧力により測定用エレメント支持体30を上昇
し、導入用パッド1を経由して連絡用パッド2に達す
る。連絡用パッド2において酵素標識抗体94が標準液
あるいは被検液70に溶解する。さらに標準液あるいは
被検液70は上昇して連絡用パッド3を経由してフィル
タ4に達する。フィルタ4において酵素標識抗体94
は、フィルタ4に固定化された標準抗原93の濃度と標
準液あるいは被検液70中の抗原92(測定対象抗原)
の濃度に応じて分配される。この後、図4(b)に示す
ように、さらに標準液あるいは被検液70は上昇して吸
水パッド7に到達する。
【0155】A−2(b)は測定用エレメントを洗浄す
るステップである。新たなサンプル容器40として図9
に示す8個の容器42を容器連結枠43で一体に構成し
た形状で、あらかじめタンパク質との非特異吸着が起こ
りにくいようにBSAでブロッキング処理したポリスチ
レンのものを使用した。洗浄液71としてPBS―Tを
サンプル容器40の8個の容器42にそれぞれ250μ
L注いだ。上記免疫学的測定用エレメント33の8個を
該サンプル容器40のそれぞれの容器42に各1個ず
つ、免疫学的測定用エレメント33の通気口21が上に
なるように挿入し、導入口22と容器42内の液体とを
接触させた。洗浄液71は毛細管現象または負圧により
測定用エレメント支持体30内を導入用パッド1、連絡
用パッド2、連絡用パッド3、フィルタ4、吸水パッド
7まで上昇し、上昇する間に測定用エレメント支持体3
0内の特異吸着していない酵素標識抗体94の大部分を
図5(b)に示すように、吸水パッド7に移行させる。
【0156】A−2(c)は免疫学的測定用エレメント
33とフィルタ4とを分離するステップである。上記免
疫学的測定用エレメント33の測定用エレメント支持体
30からフィルタ4をフィルタ操作用ハンドル6を利用
してそれぞれ分離する。
【0157】次に、A−3.測定工程52について説明
する。
【0158】A−3(a)はフィルタ4と基質溶液72
を接触させるステップである。基質溶液72を測定容器
41の8個の容器42にそれぞれ100μL注ぎ、前記
フィルタ4をそれぞれの容器42に入れて15分間、2
5℃で反応させ、フィルタ4に固定化した第2の酵素9
6であるグルコースオキシダーゼにより過酸化水素を生
成させ、ペルオキシダーゼの基質とした。測定容器41
として図9に示す8個の容器42を容器連結枠43で一
体に構成した形状で、あらかじめタンパク質との非特異
吸着が起こりにくいようにBSAでブロッキング処理し
たポリスチレンで光学的に透明なものを使用した。容器
42は水平断面積約24mm2(内径5.5mm)で、
深さ約11.5mmの円筒形のものを使用した。基質溶
液72として10mLのpH5.0±0.1の0.1m
ol/Lクエン酸緩衝液(以下、「クエン酸緩衝液」と
記載する)に4mgのオルトフェニレンジアミン二塩酸
塩(以下、「OPD」と記載する)を溶解させ、グルコ
ースを18mg/mL溶解させたものを調整して使用し
た。
【0159】A−3(b)は基質溶液72を発色させる
ステップである。反応時間15分、反応温度25℃の条
件で反応させ、第1の酵素95であるペルオキシダーゼ
にグルコースオキシダーゼにより生成した過酸化水素を
基質として、発色基質であるOPDを発色物質へと変化
させることによって発色させた。
【0160】A−3(c)は酵素反応を停止させるステ
ップである。あらかじめ反応停止液として2Nの硫酸を
使用し、測定容器41の8個の容器42にそれぞれ50
μL注ぎ、酵素反応を停止させた。
【0161】A−3(d)は発色波長における発色の度
合いの測定ステップである。測定容器41内で発色した
色素が特異的に吸収する490nmの光を吸光度光度計
で測定した。
【0162】次に、A−4.演算工程53について説明
する。
【0163】これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度
の換算を行う工程である。以下に示す(a)のステップ
から構成される。
【0164】A−4(a)は換算ステップである。A−
1.工程50〜A−3.工程52の操作により求めた標
準抗原溶液の検量線を使用して、被検液の吸光度より被
検液の濃度を演算し算出する。ブランク液であるPBS
−T溶液の吸光度を各標準抗原溶液の吸光度より差し引
き検量線を作成すると、図12のグラフが得られた。図
12で縦軸は吸光度を示す。図12の直線部より最小2
乗法で回帰直線を求めると次式(1)が得られた。
【0165】 [吸光度(−)]=0.252×ln[rDerfII濃度(μg/mL)] +1.880・・・・・・・・(1) 図12より明らかなように本実施例では0.002μg
/mL以上、0.03μg/mL以下のrDerfII
が測定可能であることがわかる。ここでrDerfII
濃度と吸光度のこの範囲における相関係数は0.995
であり、危険率1%で優位に相関が認められた。任意の
被検液に対してこの検量線と同条件で吸光度測定をおこ
なえば、式(1)より被検液の濃度を算出することがで
きる。
【0166】従来の方法ではrDerfII濃度の測定
に24時間と長い測定時間を必要とし、かつ高価な測定
装置が必要であるのに対して、本実施例はあらかじめ作
製した免疫学的測定用エレメント33を利用することで
ユーザの測定操作は30分で完了させることができた。
【0167】なお、本実施例以外にも抗原(または抗
体)を測定する免疫学的測定用エレメントは種々考える
ことが出来る。また、より自動化を推進した装置、検出
法が電気化学的、放射性同位体の検出を利用したものと
の組み合わせ等が考えられる。
【0168】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
記載の免疫学的測定方法によれば、測定用エレメントを
用意し、測定対象抗原を含有する被検液を測定用エレメ
ントの一方端から負圧力または毛細管現象により含浸さ
せ、測定対象抗原と特異的に結合することができ標識物
質が結合された抗体を担持させた部位にまで測定用エレ
メント内の含浸をすすませて抗体を被検液に混入し、さ
らに測定用エレメントの他方端側に位置し標準抗原が固
定化された部位にまで含浸がすすむと、標準抗原と測定
対象抗原との間で抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの
抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成し、標
準抗原が固定化された部位の抗原抗体複合体に含まれる
標識物質の量の測定を行い、測定対象抗原の濃度を標識
物質の量より換算することにより、操作を簡単なものと
することができるので、抗原または抗体の濃度を迅速簡
便に低価格で測定することができるという有利な効果が
得られる。
【0169】請求項2に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、測定用エレメントを用意し、測定対象抗体を含有す
る被検液を測定用エレメントの一方端から負圧力または
毛細管現象により含浸させ、測定対象抗体と特異的に結
合することができ標識物質が結合された抗原を担持させ
た部位にまで測定用エレメント内の含浸をすすませて抗
原を被検液に混入し、さらに測定用エレメントの他方端
側に位置し標準抗体が固定化された部位にまで含浸がす
すむと、標準抗体と測定対象抗体との間で抗原を抗原抗
体反応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原
抗体複合体を形成し、標準抗体が固定化された部位の抗
原抗体複合体に含まれる標識物質の量の測定を行い、測
定対象抗体の濃度を前記標識物質の量より換算すること
により、操作を簡単なものとすることができるので、抗
原または抗体の濃度を迅速簡便に低価格で測定すること
ができるという有利な効果が得られる。
【0170】請求項3に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、脱着自在なフィルタに測定対象抗原と同一種の標準
抗原を一定量固定化し、多孔質で液体を吸収する第1の
吸収体と第2の吸収体とが接触した状態で前記フィルタ
を挟んで配置し、測定対象抗原と特異的に結合すること
ができ標識物質を結合した抗体を含有した第3の吸収体
を第2の吸収体に接触した状態で配置し、被検液を導入
するための第4の吸収体を第3の吸収体に接触した状態
で配置し、全体を気密性の密閉部材で覆い、密閉部材の
第4の吸収体側に導入口を配置し、密閉部材の第1の吸
収体側に通気口を配置した測定用エレメントを用意し、
測定対象抗原を含有する被検液を測定用エレメントの導
入口に接触させ、被検液を負圧または毛細管現象により
第4の吸収体から第1の吸収体まで移動させ、第3の吸
収体から抗体を被検液中に放出させ、フィルタに固定化
された標準抗原と測定対象抗原とで抗体を抗原抗体反応
によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複
合体を形成させた後、フィルタを測定用エレメントより
分離し、フィルタの標識物質量の測定をおこない、測定
対象抗原の濃度を標識物質量より換算することにより、
別途作製され保存された上記測定用エレメントを用いる
ことで測定を簡便・迅速化することができ、また、抗原
抗体反応は被検液と測定用エレメントの接触を行うとき
の一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応で
あるならば各反応間に必要となる洗浄を不要化すること
ができ、測定用エレメントの脱着自在なフィルタに固定
化された一定量の標準抗原と測定対象抗原によって、被
検液が測定用エレメントを通過する際に、放出用パッド
から標準抗原と特異的に結合することができ標識物質を
結合した抗体が被検液に溶解し、溶解した上記抗体をそ
れぞれの抗原濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配
された抗体の量と標識物質との間には所定の関係がある
ため、フィルタと結合した標識物質量を測定することに
よって、測定対象抗原の濃度を算出することができると
いう有利な効果が得られる。
【0171】請求項4に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、脱着自在なフィルタに測定対象抗体と同一種の標準
抗体を一定量固定化し、多孔質で液体を吸収する第1の
吸収体と第2の吸収体とが接触した状態でフィルタを挟
んで配置し、測定対象抗体と特異的に結合することがで
き標識物質を結合した抗原を含有した第3の吸収体を第
2の吸収体に接触した状態で配置し、被検液を導入する
ための第4の吸収体を第3の吸収体に接触した状態で配
置し、全体を気密性の密閉部材で覆い、密閉部材の第4
の吸収体側に導入口を配置し、密閉部材の第1の吸収体
側に通気口を配置した測定用エレメントを用意し、測定
対象抗体を含有する被検液を測定用エレメントの導入口
に接触させ、被検液を負圧または毛細管現象により第4
の吸収体から第1の吸収体まで移動させ、第3の吸収体
から抗原を被検液中に放出させ、フィルタに固定化され
た標準抗体と測定対象抗体との間で抗原を抗原抗体反応
によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複
合体を形成させた後、フィルタを測定用エレメントより
分離し、フィルタの標識物質量の測定をおこない、測定
対象抗体の濃度を標識物質量より換算することにより、
別途作製され保存された上記測定用エレメントを用いる
ことで測定を簡便・迅速化することができ、また、抗原
抗体反応は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの
一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応であ
るならば各反応間に必要となる洗浄を不要化することが
でき、測定用反応容器に固定化された一定量の標準抗体
と測定対象抗体によって、被検液に添加した上記抗原を
それぞれの抗体濃度に応じて所定の割合に分配させ、分
配された抗原の量と標識物質との間には所定の関係があ
るため、測定用反応容器または被検液と結合した標識物
質量を測定することによって、測定対象抗体の濃度を算
出することができるという有利な効果が得られる。
【0172】請求項5に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、請求項1乃至4のいずれか1に記載の免疫学的測定
方法において、負圧力を発生する負圧発生手段を通気口
に接続して、被検液の移動を行うことにより、安定的な
被検液の移動や、速い被検液の移動、自由度の高い配置
方向の提供を行うことができるため、精度良く、迅速
に、自由度高く抗原または抗体を測定することができる
という有利な効果が得られる。
【0173】請求項6に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、請求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的測定
方法において、標識物質が酵素であって、標識物質量の
測定を吸光度を測定することにより行うことにより、酵
素を利用することで、迅速に、容易に、安価に抗原また
は抗体を測定することができるという有利な効果が得ら
れる。
【0174】請求項7に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、請求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的測定
方法において、標識物質が蛍光物質であって、標識物質
量の測定を蛍光強度により行うことにより、蛍光物質を
利用することで、迅速に、容易に抗原または抗体を測定
することができるという有利な効果が得られる。
【0175】請求項8に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、請求項6に記載の免疫学的測定方法において、標識
物質の酵素を第1の酵素としたとき、フィルタの固相に
は抗原または抗体に加えて第2の酵素が固定化されてい
ることにより、酵素を利用することで、標識物質として
の酵素の基質を第2の酵素により供給することで測定用
発色基質液の調整を簡便にできるという有利な効果が得
られる。
【0176】請求項9に記載の免疫学的測定方法によれ
ば、請求項3乃至8のいずれか1に記載の免疫学的測定
方法において、フィルタの形状が多孔質状、不織布状、
網状のいずれか1種類の形状または複数種類が複合した
形状であることにより、抗原または抗体が吸着する単位
体積当たりの表面積を大きくすることができ、抗原抗体
反応を短時間かつ容易に行うことができるという有利な
効果が得られる。
【0177】請求項10に記載の免疫学的測定方法によ
れば、請求項3乃至9のいずれか1に記載の免疫学的測
定方法において、フィルタがニトロセルロース、ポリス
チレン、ガラスのいずれか1種類の材質または複数種類
が複合した材質であることにより、フィルタへの抗原ま
たは抗体の単位面積当たりの吸着量を大きくすることが
でき、抗原抗体反応を短時間かつ容易に行うことができ
るという有利な効果が得られる。
【0178】請求項11に記載の免疫学的測定方法によ
れば、請求項3乃至10のいずれか1に記載の免疫学的
測定方法において、フィルタの粒子保持能が0.1μm
〜100μmであることにより、被検液が濁質を含有す
るために測定への影響がある場合、フィルターの最上流
部にて該濁質を捕捉し、抗原抗体反応をフィルタ内部に
おいて濁質の影響を排除しておこなえ、濁質除去等の前
処理を必要としないため測定を簡便かつ短時間に行うこ
とができるという有利な効果が得られる。
【0179】請求項12に記載の免疫学的測定方法によ
れば、請求項3乃至11のいずれか1に記載の免疫学的
測定方法において、測定用エレメントを複数複合したこ
とにより、複数の被検液を同時に測定できるようにな
り、一検体当たりの測定を簡便かつ短時間に行うことが
できるという有利な効果が得られる。
【0180】請求項13に記載の免疫学的測定方法によ
れば、請求項1乃至12のいずれか1に記載の免疫学的
測定方法において、免疫反応および酵素反応の温度を一
定に保持する温度保持装置を備えたことにより、反応が
最適化し、安定化されるようになり、測定を短時間に安
定して行うことができるという有利な効果が得られる。
【0181】請求項14に記載の免疫学的測定用エレメ
ントによれば、測定対象抗原と同一種の標準抗原を一定
量固定化した脱着自在なフィルタと、フィルタに近接し
て配置された吸水パッドと、フィルタの前記吸水パッド
と逆側に近接するように配置された連絡用パッドと、連
絡用パッドのフィルタと逆側に近接するように配置さ
れ、測定対象抗原と特異的に結合することができ標識物
質を結合した抗体を含有した放出用パッドと、放出用パ
ッドの連絡用パッドと逆側に近接するように配置された
導入用パッドと、全体を覆う気密性の測定用エレメント
支持体と、導入用パッドの放出用パッドと逆側に配置さ
れた導入口と、吸水パッドのフィルタと逆側に配置され
た通気口とを有することにより、測定対象抗原を含有す
る被検液をサンプル容器に注ぎ、被検液と測定用エレメ
ントの導入口を接触させ、被検液を負圧または毛細管現
象により上昇させ、放出用パッドから抗体を被検液中に
放出させ、フィルタに固定化された標準抗原と測定対象
抗原との間で抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原
濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、
フィルタを測定用エレメントより分離し、フィルタの標
識物質量の測定をおこない、測定対象抗原の濃度を該標
識物質量より換算することができるという有利な効果が
得られる。また、免疫学的測定用エレメントにより測定
を簡便・迅速化することができ、さらに、抗原抗体反応
は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの一回であ
るため短時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば
各反応間に必要となる洗浄を不要化することができ、測
定用反応容器に固定化された一定量の標準抗原と測定対
象抗原によって、被検液に添加した抗体をそれぞれの抗
原濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配された抗体
量と標識物質には所定の関係があるため、測定用反応容
器または被検液と結合した標識物質量を測定することに
よって、測定対象抗原の濃度を算出することができると
いう有利な効果が得られる。
【0182】請求項15に記載の免疫学的測定用エレメ
ントによれば、測定対象抗体と同一種の標準抗体を一定
量固定化した脱着自在なフィルタと、フィルタに近接し
て配置された吸水パッドと、フィルタの吸水パッドと逆
側に近接するように配置された連絡用パッドと、連絡用
パッドのフィルタと逆側に近接するように配置され、測
定対象抗体と特異的に結合することができ標識物質を結
合した抗原を含有した放出用パッドと、放出用パッドの
連絡用パッドと逆側に近接するように配置された導入用
パッドと、全体を覆う気密性の測定用エレメント支持体
と、導入用パッドの放出用パッドと逆側に配置された導
入口と、吸水パッドのフィルタと逆側に配置された通気
口とを有することにより、測定対象抗体を含有する被検
液をサンプル容器に注ぎ、被検液と測定用エレメントの
導入口を接触させ、被検液を負圧または毛細管現象によ
り上昇させ、放出用パッドから抗原を被検液中に放出さ
せ、フィルタに固定化された標準抗体と測定対象抗体と
の間で抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体濃度に
応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、フィル
タを測定用エレメントより分離し、フィルタの標識物質
量の測定をおこない、測定対象抗体の濃度を該標識物質
量より換算することができるという有利な効果が得られ
る。また、免疫学的測定用エレメンにより測定を簡便・
迅速化することができ、さらに、抗原抗体反応は被検液
と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短
時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間
に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応
容器に固定化された一定量の標準抗体と測定対象抗体に
よって、被検液に添加した抗原をそれぞれの抗体濃度に
応じて所定の割合に分配させ、分配された抗原量と標識
物質との間には所定の関係があるため、測定用反応容器
または被検液と結合した標識物質量を測定することによ
って、測定対象抗体の濃度を算出することができるとい
う有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エ
レメントの概略断面図
【図2】本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エ
レメントを使用した主要な工程を示す工程図
【図3】本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エ
レメントを使用した主要なステップを示すステップ図
【図4】(a)本発明の実施の形態1による免疫学的測
定用エレメントを使用した反応工程の接触のステップを
説明するためのエレメント・サンプル容器の概略断面図 (b)本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エレ
メントを使用した反応工程の接触のステップを説明する
ためのエレメント・サンプル容器の概略断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態1による免疫学的測
定用エレメントを使用した反応工程の洗浄のステップを
説明するためのエレメント・サンプル容器の概略断面図 (b)本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エレ
メントを使用した反応工程の洗浄のステップを説明する
ためのエレメント・サンプル容器の概略断面図
【図6】(a)本発明の実施の形態1による免疫学的測
定用エレメントを使用した測定工程の発色のステップを
説明するための測定容器の概略断面図 (b)本発明の実施の形態1による免疫学的測定用エレ
メントを使用した測定工程の発色のステップを説明する
ための測定容器の概略断面図
【図7】本発明の実施の形態1におけるフィルタの斜視
【図8】本発明の実施の形態1における免疫学的測定用
エレメントの斜視図
【図9】本発明の実施の形態1における測定容器の斜視
【図10】本発明の実施の形態1における反応工程の発
色ステップでのフィルタと測定容器の部分拡大図
【図11】本発明の実施の形態1による免疫学的測定用
エレメントの断面図
【図12】本発明の実施例で作成したコナヒョウヒダニ
のアレルゲンrDerfIIの検量線を示すグラフ
【図13】従来のサンドイッチELISA法の主要工程
を示す工程図
【図14】従来のサンドイッチELISA法の反応工程
の主要なステップを示すステップ図
【図15】測定用反応容器における反応を示す反応説明
【符号の説明】
1 導入用パッド 2 放出用パッド 3 連絡用パッド 4 フィルタ(部位) 5 フィルタ支持枠 6 フィルタ操作用ハンドル 7 吸水パッド 21 通気口 22 導入口 30 測定用エレメント支持体 31 測定用エレメント支持体連結枠 32 フィルタ連結枠 33 免疫学的測定用エレメント 34 測定用エレメント上部蓋 35 測定用エレメント下部蓋 36 Oリング 40 サンプル容器 41 測定容器 42 容器 43 容器連結枠 50 A−1.測定用エレメント作製工程 51 A−2.反応工程 52 A−3.測定工程 53 A−4.換算工程 54 A−2(a).接触のステップ 55 A−2(b).洗浄のステップ 56 A−3(b).発色のステップ 70 標準液(被検液) 71 洗浄液 72 基質溶液 92 測定対象抗原 93 標準抗原 94 酵素標識抗体 95 第1の酵素(標識物質) 96 第2の酵素

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定用エレメントを用意し、測定対象抗原
    を含有する被検液を前記測定用エレメントの一方端から
    負圧力または毛細管現象により含浸させ、前記測定対象
    抗原と特異的に結合することができ標識物質が結合され
    た抗体を担持させた部位にまで前記測定用エレメント内
    の含浸をすすませて前記抗体を前記被検液に混入し、さ
    らに前記測定用エレメントの他方端側に位置し標準抗原
    が固定化された部位にまで含浸がすすむと、前記標準抗
    原と前記測定対象抗原との間で前記抗体を抗原抗体反応
    によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複
    合体を形成し、前記標準抗原が固定化された部位の抗原
    抗体複合体に含まれる標識物質の量の測定を行い、前記
    測定対象抗原の濃度を前記標識物質の量より換算するこ
    とを特徴とする免疫学的測定方法。
  2. 【請求項2】測定用エレメントを用意し、測定対象抗体
    を含有する被検液を前記測定用エレメントの一方端から
    負圧力または毛細管現象により含浸させ、前記測定対象
    抗体と特異的に結合することができ標識物質が結合され
    た抗原を担持させた部位にまで前記測定用エレメント内
    の含浸をすすませて前記抗原を前記被検液に混入し、さ
    らに前記測定用エレメントの他方端側に位置し標準抗体
    が固定化された部位にまで含浸がすすむと、前記標準抗
    体と前記測定対象抗体との間で前記抗原を抗原抗体反応
    によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複
    合体を形成し、前記標準抗体が固定化された部位の抗原
    抗体複合体に含まれる標識物質の量の測定を行い、前記
    測定対象抗体の濃度を前記標識物質の量より換算するこ
    とを特徴とする免疫学的測定方法。
  3. 【請求項3】脱着自在なフィルタに測定対象抗原と同一
    種の標準抗原を一定量固定化し、多孔質で液体を吸収す
    る第1の吸収体と第2の吸収体とが接触した状態で前記
    フィルタを挟んで配置し、前記測定対象抗原と特異的に
    結合することができ標識物質を結合した抗体を含有した
    第3の吸収体を前記第2の吸収体に接触した状態で配置
    し、被検液を導入するための第4の吸収体を前記第3の
    吸収体に接触した状態で配置し、全体を気密性の密閉部
    材で覆い、前記密閉部材の前記第4の吸収体側に導入口
    を配置し、前記密閉部材の前記第1の吸収体側に通気口
    を配置した測定用エレメントを用意し、前記測定対象抗
    原を含有する被検液を前記測定用エレメントの導入口に
    接触させ、前記被検液を負圧または毛細管現象により前
    記第4の吸収体から前記第1の吸収体まで移動させ、前
    記第3の吸収体から前記抗体を前記被検液中に放出さ
    せ、前記フィルタに固定化された前記標準抗原と前記測
    定対象抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれ
    の抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させ
    た後、前記フィルタを測定用エレメントより分離し、前
    記フィルタの前記標識物質量の測定をおこない、前記測
    定対象抗原の濃度を前記標識物質量より換算することを
    特徴とする免疫学的測定方法。
  4. 【請求項4】脱着自在なフィルタに測定対象抗体と同一
    種の標準抗体を一定量固定化し、多孔質で液体を吸収す
    る第1の吸収体と第2の吸収体とが接触した状態で前記
    フィルタを挟んで配置し、前記測定対象抗体と特異的に
    結合することができ標識物質を結合した抗原を含有した
    第3の吸収体を前記第2の吸収体に接触した状態で配置
    し、被検液を導入するための第4の吸収体を前記第3の
    吸収体に接触した状態で配置し、全体を気密性の密閉部
    材で覆い、前記密閉部材の前記第4の吸収体側に導入口
    を配置し、前記密閉部材の前記第1の吸収体側に通気口
    を配置した測定用エレメントを用意し、前記測定対象抗
    体を含有する被検液を前記測定用エレメントの導入口に
    接触させ、前記被検液を負圧または毛細管現象により前
    記第4の吸収体から前記第1の吸収体まで移動させ、前
    記第3の吸収体から前記抗原を前記被検液中に放出さ
    せ、前記フィルタに固定化された前記標準抗体と前記測
    定対象抗体との間で前記抗原を抗原抗体反応によりそれ
    ぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成
    させた後、前記フィルタを測定用エレメントより分離
    し、前記フィルタの前記標識物質量の測定をおこない、
    前記測定対象抗体の濃度を前記標識物質量より換算する
    ことを特徴とする免疫学的測定方法。
  5. 【請求項5】負圧力を発生する負圧発生手段を前記通気
    口に接続して、前記被検液の移動を行うことを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれか1に記載の免疫学的測定方
    法。
  6. 【請求項6】前記標識物質が酵素であって、前記標識物
    質量の測定を吸光度を測定することにより行うことを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的
    測定方法。
  7. 【請求項7】前記標識物質が蛍光物質であって、前記標
    識物質量の測定を蛍光強度により行うことを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれか1に記載の免疫学的測定方
    法。
  8. 【請求項8】前記標識物質の酵素を第1の酵素としたと
    き、前記フィルタの固相には抗原または抗体に加えて第
    2の酵素が固定化されていることを特徴とする請求項6
    に記載の免疫学的測定方法。
  9. 【請求項9】前記フィルタの形状が多孔質状、不織布
    状、網状のいずれか1種類の形状または複数種類が複合
    した形状であることを特徴とする請求項3乃至8のいず
    れか1に記載の免疫学的測定方法。
  10. 【請求項10】前記フィルタがニトロセルロース、ポリ
    スチレン、ガラスのいずれか1種類の材質または複数種
    類が複合した材質であることを特徴とする請求項3乃至
    9のいずれか1に記載の免疫学的測定方法。
  11. 【請求項11】前記フィルタの粒子保持能が0.1μm
    〜100μmであることを特徴とする請求項3乃至10
    のいずれか1に記載の免疫学的測定方法。
  12. 【請求項12】前記測定用エレメントを複数複合したこ
    とを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1に記載の
    免疫学的測定方法。
  13. 【請求項13】免疫反応および酵素反応の温度を一定に
    保持する温度保持装置を備えたことを特徴とする請求項
    1乃至12のいずれか1に記載の免疫学的測定方法。
  14. 【請求項14】測定対象抗原と同一種の標準抗原を一定
    量固定化した脱着自在なフィルタと、前記フィルタに近
    接して配置された吸水パッドと、前記フィルタの前記吸
    水パッドと逆側に近接するように配置された連絡用パッ
    ドと、前記連絡用パッドの前記フィルタと逆側に近接す
    るように配置され、前記測定対象抗原と特異的に結合す
    ることができ標識物質を結合した抗体を含有した放出用
    パッドと、前記放出用パッドの前記連絡用パッドと逆側
    に近接するように配置された導入用パッドと、全体を覆
    う気密性の測定用エレメント支持体と、前記導入用パッ
    ドの前記放出用パッドと逆側に配置された導入口と、前
    記吸水パッドの前記フィルタと逆側に配置された通気口
    とを有することを特徴とする免疫学的測定用エレメン
    ト。
  15. 【請求項15】測定対象抗体と同一種の標準抗体を一定
    量固定化した脱着自在なフィルタと、前記フィルタに近
    接して配置された吸水パッドと、前記フィルタの前記吸
    水パッドと逆側に近接するように配置された連絡用パッ
    ドと、前記連絡用パッドの前記フィルタと逆側に近接す
    るように配置され、前記測定対象抗体と特異的に結合す
    ることができ標識物質を結合した抗原を含有した放出用
    パッドと、前記放出用パッドの前記連絡用パッドと逆側
    に近接するように配置された導入用パッドと、全体を覆
    う気密性の測定用エレメント支持体と、前記導入用パッ
    ドの前記放出用パッドと逆側に配置された導入口と、前
    記吸水パッドの前記フィルタと逆側に配置された通気口
    とを有することを特徴とする免疫学的測定用エレメン
    ト。
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