JP3669184B2 - 免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置 - Google Patents

免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中の抗原または抗体の濃度を測定する免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、抗原の一種であるアレルゲンが発症原因物質とされる花粉症等のアレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のいわゆるアレルギー症患が、先進諸国を中心に増加傾向にあり、ダニ、花粉、動物の毛、カビ等の各種構成物質がその原因物質であることが特定されてきている。これらのアレルギー症状は比較的軽度の場合もあるが、アレルギー性気管支喘息のように死に至るほど重篤な場合もある。このため、感作、発症を抑制するための一つの手段として、各個人に特有な発症原因物質であるアレルゲンを低レベルに維持することが必要になってくる。しかし、現状ではアレルゲンの測定は比較的難しい高度な技術とされ、専門の測定技術者を必要とし、半日から1日かかる長い測定時間を必要とし、かつ高価な測定装置が必要である。ところで、環境中のアレルゲン濃度とアレルギー疾患の感作・発症は一般的に相関することが知られている。環境中のアレルゲン濃度の測定をおこなえば、掃除、洗濯等をどの程度おこなったり、どのくらいの頻度おこなえばよいのかの指標となり、アレルギー疾患患者やアレルギー疾患の感作の危険のある者にとって社会生活上有用なものとなる。また、アレルギー疾患患者の血液中のIgE抗体の濃度が即時型アレルギー反応のI型アレルギーの感作程度の指標になることも一般に知られており、血液中のIgE抗体濃度の測定が感作の程度ひいてはアレルギー疾患の程度を知るための指標としてきわめて有用である。
【0003】
また、近年病原性大腸菌O−157に代表されるバクテリア等の微生物の感染、代謝物に起因する食中毒等の被害が問題になっているが、問題となる微生物の検出は培養した後に種類の同定や定量することが一般的であり、培養操作に時間が掛かることを主因として検査結果が出るまで1〜7日間といった長時間を要し、かつ専門の測定技術者を必要とする。特に生鮮食品等への検査の必要が生じた場合には、測定時間が長いことが問題となる。ところで、このような微生物と上記した抗原は無縁のものではない。すなわち、菌体例えば病原性大腸菌O−157という名称は抗体の名前に由来しており、病原性大腸菌O−157は“O−157という抗体が特異的に結合する抗原決定基を菌体表面に発現した病原性を有する大腸菌”の意味である。個々の微生物種はそれぞれ体表面に固有の抗原決定基を有しており、微生物自体を抗原と捉えることができる。以上のような理由で、微生物を抗原として同定、定量することが可能であり、生鮮食品等の検査にきわめて有用である。
【0004】
このような背景から、抗原あるいは抗体濃度をそれぞれ特異的、迅速、簡便さらに高感度に測定する方法およびその方法を利用した安価な測定装置が求められている。
【0005】
以下、従来の抗原濃度の分析方法について説明する。
従来の抗原抗体反応を利用した抗原の測定法は免疫測定法と総称され、非標識免疫測定法と標識免疫測定法に大別される。非標識免疫測定法は抗体に酵素等の標識物質を結合せずに抗原抗体反応による物理量等の変化を利用して抗原の量を測定する方法である。非標識免疫測定法にはSPR法(表面プラズモン共鳴法)や水晶振動子を使った方法等がある。標識免疫測定法は抗体に酵素等の標識物質を結合させたものを使用し標識物質の量を測定することで抗原の量を測定する方法である。標識免疫測定法には標識の種類によってラジオイムノアッセイ法(放射性同位体標識)、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法(例えば、石川英治ら:「酵素免疫測定法(第三版)」、p31〜54、医学書院(1987)を参照)等がある。
【0006】
これらの測定法のうち現在主として用いられている免疫測定法は、酵素免疫測定法の一種であるELISA法と呼称される方法である。なかでも特に、サンドイッチ法(以下サンドイッチELISA法)と呼ばれる方法が、測定感度が高いことと比較的操作が簡易であることを主な理由に一般的に広く用いられている。
【0007】
例えば、ダニアレルゲンの測定をする場合を例にしてサンドイッチELISA法がどの様におこなはれるのか図14と図15に基づいて概要を説明する。
【0008】
図14は従来のサンドイッチELISA法の主要工程を示す模式図であり、図15は同各ステップの反応模式を示す図である。
【0009】
図14において、80はC−1測定用反応容器作製工程、81はC−2反応工程、82はC−3測定工程、83はC−4換算工程である。
【0010】
図15において、1は測定用反応容器、91は抗体、92は抗原、94は酵素標識抗体、95は酵素である。
【0011】
この方法は図14に示すように4段階の工程(C−1.測定用反応容器作製工程)、(C−2.反応工程)、(C−3.測定工程)、および(C−4.換算工程)から構成される。
【0012】
以下、上記4段階の工程について説明する。
(C−1.測定用反応容器作製工程)
これは抗体を測定用反応容器に固定化して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)乃至(e)のステップから構成される。
【0013】
(C−1a)は抗原に特異的に結合する抗体91を測定用反応容器1に固定化するステップである。非特異的な吸着が起こり易い測定用反応容器1に、測定対象の抗原に特異的に結合する抗体91の溶液を注ぎ、測定用反応容器1の固相に抗体91を非特異吸着させて固定化する。
【0014】
(C−1b)は未反応の抗体91を洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応容器1を洗浄して、未反応であった抗体91を除去する。
【0015】
(C−1c)はブロッキング剤で測定用反応容器1の非特異吸着面を被覆するステップである。測定用反応容器1にブロッキング剤溶液を注ぎ、測定用反応容器1の表面に残存する非特異吸着面に、ブロッキング剤を非特異吸着させ、以後他の有機物等の測定用反応容器1への非特異的吸着が極力おこらないようにする。
【0016】
(C−1d)は未反応のブロッキング剤を洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応容器1を洗浄して、未反応であったブロッキング剤を除去する。
【0017】
(C−1e)は測定用の測定用反応容器1を保存可能とする処理をするステップである。保存手段として凍結乾燥法を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とする。
【0018】
(C−2.反応工程)
これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体を測定用反応容器1に固定化させる工程である。以下に示す(a)乃至(d)のステップから構成される。
【0019】
(C−2a)は抗原92を測定用反応容器1に特異的に固定化するステップである。少なくとも3つの測定用反応容器1に濃度が既知の標準抗原溶液、抗原92を含有する被検液、およびブランク液をそれぞれ注ぎ、それぞれ同条件下で平行して標準抗原または抗原92を測定用反応容器1内の固定化抗体91に抗原抗体反応で特異的に結合させる。
【0020】
(C−2b)は未反応の抗原92を洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応容器1を洗浄して、未反応であった抗原92を除去する。
【0021】
(C−2c)は酵素標識抗体94を測定用反応容器1に特異的に結合させるステップである。測定用反応容器1に酵素標識抗体94溶液を注ぎ、酵素標識抗体94を測定用反応容器1内の抗原抗体複合体の抗原92を介して抗原抗体反応で特異的に結合させる。
【0022】
(C−2d)は未反応の酵素標識抗体94を洗浄除去するステップである。緩衝液等で3回以上測定用反応容器1を洗浄して、未反応であった酵素標識抗体94を除去する。
【0023】
以上各ステップの反応模式図を図15に示す。抗体91が固定化された測定用反応容器1を図15(a)に示し、測定用反応容器1への抗原92含有溶液の添加時の状態を図15(b)に示し、時間経過による固定化抗体91と抗原92の抗原抗体反応の進行を図15(c)に示し、洗浄操作による未反応抗原92を除去した状態を図15(d)に示し、測定用反応容器1への酵素標識抗体94の添加した状態を図15(e)に示し、時間経過による固定化抗体91−抗原92複合体と酵素標識抗体94の抗原抗体反応の進行状態を図15(f)に示し、洗浄操作による未反応酵素標識抗体94を除去した状態を図15(g)に示す。
【0024】
(C−3.測定工程)
これは発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)乃至(c)のステップから構成される。
【0025】
(C−3a)は基質を酵素反応で発色させるステップである。基質溶液を測定用反応容器1に添加し、測定用反応容器1内の酵素標識抗体94の酵素95に基質から酵素反応によって色素を生成させる。
【0026】
(C−3b)は酵素反応を停止させるステップである。反応停止液を測定用反応容器1に添加して酵素反応を停止させる。
【0027】
(C−3c)は発色波長における発色の度合いの測定ステップである。分光光度計の所定の波長で生じた色素を測定する。
【0028】
(C−4.換算工程)
これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度の換算をおこなう工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0029】
(C−4a)は換算ステップである。測定結果から標準抗原溶液の検量線を作成し、被検液の抗原濃度の換算をおこない、被検液の抗原濃度の値を得ることができる。
【0030】
尚、以上が抗原濃度の測定についての説明であるが、抗原と抗体を入れ替えて抗体を測定することでもまったく同一である。したがって、特に断らない限り、一方を説明したらもう一方も説明しているものである。さらに、必要に応じて抗原(または抗体)あるいは抗体(または抗原)と明示的に記載することとする。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の測定方法は、以下の課題を有していた。
【0032】
(1)2ステップの抗原抗体反応(上記(C−2a)、(C−2c))が必要で、反応全てが完全に進行せねば正しい値が得られず、かつ全体で4〜24時間程度と測定に要する時間が長い。特に精度を向上させるためには24時間程度を要し、測定時間が長いという課題を有していた。
【0033】
(2)10種類程度の異なる試薬を必要とし、また、2ステップの洗浄操作(上記(C−2b)、(C−2d))をおこなう必要があり、作業が煩雑で操作性が悪く、利便性に欠けるという課題を有していた。
【0034】
(3)試験をおこなうためには分注器、恒温槽、冷蔵庫等が必要であり、測定コストが高いという課題を有していた。
【0035】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、迅速、簡便、安価に定量することができる抗原(または抗体)の特異的な測定方法を提供、及び迅速、簡便、高精度な測定が自動的におこなえ、低原価で量産できる抗原(または抗体)の特異的な免疫学的測定装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の免疫学的測定方法及び測定装置は次の構成からなる。
【0037】
本発明の免疫学的測定方法は、測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、次いで、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗体を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗原と前記被検液中の前記第二の抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行う構成を有している。
【0038】
この構成により、迅速、簡便、安価に定量することができる抗原(または抗体)の特異的な免疫学的測定方法を提供することができる。
【0039】
また、本発明の免疫学的測定装置は、測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定した測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合できる標識物質を結合した抗体を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗原と抗原抗体反応した前記抗体の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗原濃度に換算する換算部と、を備えた構成を有している。
【0040】
この構成により、迅速、簡便、高精度な測定が自動的におこなえ、低原価で量産できる抗原(または抗体)の特異的な免疫学的測定装置を提供することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の免疫学的測定方法は、測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、次いで、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗体を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗原と前記被検液中の前記第二の抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行う構成を有している。
【0042】
これにより、(1)別途作製され保存された前記測定用反応容器を用いることで測定を簡便・迅速化することができるという作用を有する。
【0043】
(2)前記測定用反応容器は前記抗原だけを固定化しているため、長期保存をすることができるという作用を有する。
【0044】
(3)抗原抗体反応は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容器に固定化された一定量の第一の標準抗原と被検液中の第二の抗原によって、被検液に添加した前記抗体を、それぞれの抗原濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配された抗体量と標識物質には所定の関係があるため、前記測定用反応容器または前記被検液と結合した前記標識物質の量を測定することによって、前記被検液中の第二の抗原濃度を算出することができるという作用を有する。
【0045】
ここで、測定用反応容器は、ポリスチレン、ガラス、石英ガラスの光学的に透明な材料を用いて形成される。測定用反応容器の水平断面積が10mm2〜500mm2が用いられる。また、測定用反応容器1の内容量が10μl〜15ml、好ましくは50μl〜500μlが用いられる。測定用反応容器の内容量が50μlより小さくなるにつれ、操作が困難になるという傾向が認められ、また500μlよりも大きくなるにつれ、一検体を測定するのに要する高価な抗原、抗体等の試薬を大量に要し無駄にするという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0046】
測定用反応容器は独立した単一又は複数の容器の集合体でよい。例えば、図3に示すように形成される。
【0047】
標準抗原としては、濃度既知の抗原である菌体やアレルゲンの溶液が用いられる。標準抗原溶液は菌体の場合は104個/ml〜1012個/ml、好ましくは107個/ml〜1011個/mlが用いられ、アレルゲンの場合は0.0001μg/ml〜100μg/ml、好ましくは0.001μg/ml〜10μg/mlが用いられる。標準抗原の濃度は、菌体の場合107個/mlあるいはアレルゲンの場合0.001μg/mlより少なくなるにつれ、充分な抗原量を測定用反応容器1に接触し非特異吸着により固定化することが不可能となる傾向が認められ、また菌体の場合1011個/mlあるいはアレルゲンの場合10μg/mlよりも多くなるにつれ、吸着量が飽和して未反応の抗原が増加し、経済性が悪くなる傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0048】
標準抗原溶液の溶媒としては、りん酸緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の溶液のpHを一定に保持することができるものでもよい。前記緩衝液に塩類、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムを溶解して使用するのが好ましい。緩衝液のpHとしてはpH5〜pH9、好ましくはpH6〜pH8が用いられる。緩衝液のpHがpH6より小さくなるにつれ、安定な抗原の非特異吸着を測定用反応容器に発生させることができないという傾向が認められ、またpH8よりも大きくなるにつれ、安定な抗原の非特異吸着を測定用反応容器に発生させることができないという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0049】
本発明の請求項2に記載の免疫学的測定方法は、測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、次いで、測定対象である第二の抗体と前記抗体と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗原を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗体と前記被検液中の前記第二の抗体とで前記抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行う構成を有している。
【0050】
これにより、(1)別途作製され保存された前記測定用反応容器を用いることで測定を簡便・迅速化することができるという作用を有する。
【0051】
(2)前記測定用反応容器は前記抗体だけを固定化しているため、長期保存をすることができるという作用を有する。
【0052】
(3)抗原抗体反応は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容器に固定化された一定量の第一の標準抗体と被検液中の第二の抗体によって、被検液に添加した前記抗原を、それぞれの抗体濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配された抗原量と標識物質には所定の関係があるため、前記測定用反応容器または前記被検液と結合した前記標識物質の量を測定することによって、前記被検液中の第二の抗体濃度を算出することができるという作用を有する。
【0053】
ここで、測定用反応容器としては、請求項1と同様のものが用いられる。
標準抗体としては、抗原である菌体又はアレルゲンに特異的な結合能を有するモノクロナール(又はポリクロナール)抗体が用いられる。標準抗体溶液は標準抗体が0.0001μg/ml〜100μg/ml、好ましくは0.001μg/ml〜10μg/mlが用いられる。標準抗体が0.001μg/mlより少なくなるにつれ、充分な抗体量を測定用反応容器に固定化することが不可能となるという傾向が認められ、また10μg/mlよりも多くなるにつれ、吸着量が飽和して未反応の抗原が増加し、経済性が悪くなる傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0054】
標準抗体溶液の溶媒としては、請求項1と同様のものが用いられる。本発明の請求項3に記載の免疫学的測定方法は、測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、次いで、前記第一の標準抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗体を前記第一の標準抗原に接触させ、固相上に前記第一の標準抗原と前記抗体の抗原抗体複合体を形成させた後、測定対象である第二の抗原を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗原と前記被検液中の前記第二の抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させ、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行う構成を有している。
【0055】
これにより、(1)別途作製され保存された前記測定用反応容器を用いることで測定を簡便・迅速化することができるという作用を有する。
【0056】
(2)前記測定用反応容器には前記第一の標準抗原と前記抗体を固定化しているため、前記抗体を後で加える操作を省くことができるという作用を有する。
【0057】
(3)抗原抗体反応は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容器に固定化された一定量の第一の標準抗原と被検液中の第二の抗原によって、被検液に添加した前記抗体を、それぞれの抗原濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配された抗体量と標識物質には所定の関係があるため、前記測定用反応容器または前記被検液と結合した前記標識物質の量を測定することによって、前記被検液中の第二の抗原濃度を算出することができるという作用を有する。
【0058】
ここで、測定用反応容器としては、請求項1と同様のものが用いられる。
標準抗原としては、請求項1と同様のものが用いられる。
【0059】
標準抗原溶液の溶媒としては、請求項1と同様のものが用いられる。本発明の請求項4に記載の免疫学的測定方法は、測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、次いで、前記第一の標準抗体と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗原を前記第一の標準抗体に接触させ、固相上に前記第一の標準抗体と前記抗原の抗原抗体複合体を形成させた後、測定対象である第二の抗体を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗体と前記被検液中の前記第二の抗体とで前記抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成し、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行う構成を有している。
【0060】
これにより、(1)別途作製され保存された前記測定用反応容器を用いることで測定を簡便・迅速化することができるという作用を有する。
【0061】
(2)前記測定用反応容器には前記第一の標準抗体と前記抗原を固定化しているため、前記抗原を後で加える操作を省くことができるという作用を有する。
【0062】
(3)抗原抗体反応は被検液と測定用反応容器の接触を行うときの一回であるため短時間のうちに、かつ複数回の反応であるならば各反応間に必要となる洗浄を不要化することができ、測定用反応容器に固定化された一定量の第一の標準抗体と被検液中の第二の抗体によって、被検液に添加した前記抗原を、それぞれの抗体濃度に応じて所定の割合に分配させ、分配された抗原量と標識物質には所定の関係があるため、前記測定用反応容器または前記被検液と結合した前記標識物質の量を測定することによって、前記被検液中の第二の抗体濃度を算出することができるという作用を有する。
【0063】
ここで、測定用反応容器としては、請求項1と同様のものが用いられる。
標準抗体としては、請求項2と同様のものが用いられる。
【0064】
標準抗体溶液の溶媒としては、請求項1と同様のものが用いられる。
請求項5に記載の免疫学的測定方法は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発明において、標識物質が酵素である構成を有している。
【0065】
これにより、請求項1乃至4の内いずれか1項により得られる作用の他、酵素を利用することで、速く、容易に、安価に抗原または抗体を測定することができるという作用を有する。
【0066】
ここで、酵素としては、ペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等が用いられる。
【0067】
請求項6に記載の免疫学的測定方法は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の発明において、分離用液体が、シリコンオイル、単糖類の溶液、二糖類以上の多糖類の溶液、ゼラチンの溶液、ポリエチレングリコールの溶液、アルギン酸ナトリウムの溶液の少なくとも1種またはそれらの混合物である構成を有している。
【0068】
これにより、請求項1乃至5の内いずれか1項により得られる作用の他、測定用反応容器固相上の抗原抗体複合体と前記被検液の液相中の抗原抗体複合体との分離を、前記分離用液体を添加するだけで、短時間かつ容易におこなうことができるという作用を有する。
【0069】
ここで、単糖類としては、トレオース、エリトロース、エリツルロース、リボース、デオキシリボース、アラビノース、キシロース、リブロース、キシルロース、アラビヌロース、グルコース、マンノース、アロース、アルトロース、ガラクトース、タロース、イドース、グロース、フコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース等が用いられる。また、二糖類以上の多糖類としては、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロース等が用いられる。
【0070】
請求項7に記載の免疫学的測定方法は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の発明において、分離用固体に1以上の貫通孔が形成された構成を有している。
【0071】
これにより、請求項1乃至5の内いずれか1項により得られる作用の他、測定用反応容器固相上の抗原抗体複合体と前記被検液の液相中の抗原抗体複合体との分離を、前記分離用固体を挿入するだけで、短時間かつ容易におこなうことができるという作用を有する。
【0072】
請求項8に記載の免疫学的測定装置は、測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定した測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合できる標識物質を結合した抗体を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗原と抗原抗体反応した前記抗体の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗原濃度に換算する換算部と、を備えた構成を有している。
【0073】
これにより、(1)測定用反応容器は抗原だけを固定化しているため、長期保存ができ、測定が常時簡便におこなうことができるという作用を有する。
【0074】
(2)1台の測定装置により反応・測定・換算をおこなえるため、操作のバラツキや煩雑さが低減され、高精度かつ簡便な測定をおこなうことができるという作用を有する。
【0075】
ここで、移送部は測定用反応容器を水平方向に順次移動させるための駆動力を供給する測定用反応容器駆動用モータと、測定用反応容器駆動用モータの駆動力を測定用反応容器に伝達するための測定用反応容器駆動用ベルトと、を備えている。
【0076】
分離用液体注入部は、分離用溶液を貯留する分離用溶液槽と、分離用溶液槽内の分離用溶液の蒸発を防止する分離用溶液槽蓋と、分離用溶液槽の分離用溶液を測定用反応容器に注入するための分離用溶液ポンプと、分離用溶液ポンプから吐出される分離用溶液を測定用反応容器に導くための分離用溶液注入ノズルと、を備えている。
【0077】
分離用固体挿入部は、分離用固体と、分離用固体を挿入するための駆動力を供給する分離用固体挿入用モータと、分離用固体挿入用モータの駆動力を分離用固体に伝達するための分離用固体挿入用サポートと、を備えている。
【0078】
測定部は、可視光を照射するための発光ダイオード、ハロゲンランプを用いた発光部と、測定用反応容器の透過光を検知するために必要に応じてフィルタ、レンズ、フォトマル、フォトダイオードを使用した受光部と、を備えている。
【0079】
換算部は、液晶等を使用した表示部と、入力部と、サーマルヘッドプリンタ等を利用した印字部と、外部情報の入力や出力を行うための入出力インターフェース部と、電源部と、マイコン又は制御部と、を備えている。
【0080】
請求項9に記載の免疫学的測定装置は、測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定した測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗体と前記抗体と特異的に結合できる標識物質を結合した抗原を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗体と抗原抗体反応した前記抗原の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗体濃度に換算する換算部と、を備えた構成を有している。
【0081】
これにより、(1)測定用反応容器は抗体だけを固定化しているため、長期保存ができ、測定が常時簡便におこなえることができるという作用を有する。
【0082】
(2)1台の測定装置により反応・測定・換算をおこなえるため、操作のバラツキや煩雑さが低減され、高精度かつ簡便な測定をおこなうことができるという作用を有する。
【0083】
ここで、移送部や分離用液体注入部又は分離用固体挿入部や測定部及び換算部は請求項8と同様のものが形成されている。
【0084】
請求項10に記載の免疫学的測定装置は、測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、前記第一の標準抗原と特異的に結合できる標識物質を結合した抗体と前記第一の標準抗原の抗原抗体複合体を形成させた測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗原を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗原と抗原抗体反応した前記抗体の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗原濃度に換算する換算部と、を備えた構成を有している。
【0085】
これにより、(1)測定用反応容器には前記抗原と前記抗体を固定化しているため、前記抗体を、後で加える操作を省くことができるという作用を有する。
【0086】
(2)1台の測定装置により反応・測定・換算をおこなえるため、操作のバラツキや煩雑さが低減され、高精度かつ簡便な測定をおこなうことができるという作用を有する。
【0087】
ここで、移送部や分離用液体注入部又は分離用固体挿入部や測定部及び換算部は請求項8と同様のものが形成されている。
【0088】
請求項11に記載の免疫学的測定装置は、測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、前記第一の標準抗体と特異的に結合できる標識物質を結合した抗原と前記第一の標準抗体の抗原抗体複合体を形成させた測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗体を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗体と抗原抗体反応した前記抗原の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗体濃度に換算する換算部と、を備えた構成を有している。
【0089】
これにより、(1)測定用反応容器には前記抗体と前記抗原を固定化しているため、前記抗原を、後で加える操作を省くことができるという作用を有する。
【0090】
(2)1台の測定装置により反応・測定・換算をおこなえるため、操作のバラツキや煩雑さが低減され、高精度かつ簡便な測定をおこなうことができるという作用を有する。
【0091】
ここで、移送部や分離用液体注入部又は分離用固体挿入部や測定部及び換算部は請求項8と同様のものが形成されている。
【0092】
請求項12に記載の免疫学的測定装置は、請求項8乃至11の内いずれか1項に記載の発明において、前記測定用反応容器が1以上配設されユニット化された構成を有している。
【0093】
これにより、請求項8乃至11の内いずれか1項により得られる作用の他、複数の被険液を同時に測定でき、一被検液当たりの測定時間を短くし、一被検液当たりの測定操作を軽減し、一被検液当たりの測定に要する費用を安価にすることができるという作用を有する。
【0094】
請求項13に記載の免疫学的測定装置は、請求項8乃至12の内いずれか1項に記載の発明において、測定用反応容器が、円筒体、角筒体の少なくとも1種またはそれらの複合した形状である構成を有している。
【0095】
これにより、請求項8乃至12の内いずれか1項により得られる作用の他、前記測定用試験片固相上の抗原抗体複合体と前記被検液の液相中の抗原抗体複合体との分離を、短時間かつ容易におこなうことができるという作用を有する。
【0096】
請求項14に記載の免疫学的測定装置は、請求項8乃至13の内いずれか1項に記載の発明において、測定用反応容器の温度を一定に保持する温度保持手段を備えた構成を有している。
【0097】
これにより、請求項8乃至13の内いずれか1項により得られる作用の他、抗原抗体反応、酵素反応時の温度を一定とすることで、適正な反応を迅速かつ安定的に進行させ、測定時間を短くし、高精度な測定をおこなうことができるという作用を有する。
【0098】
ここで、温度保持装置としては、反応時の温度を測定するために熱電対等を利用した温度センサと、ニクロム線、ペルチェ素子等を利用した温度調整ヒータと、温度センサからの温度測定結果を受けて設定した温度になるように温度調整ヒータを制御する温度調整ユニットと、を備えている。
【0099】
請求項15に記載の免疫学的測定装置は、請求項8乃至14の内いずれか1項に記載の発明において、前記測定用反応容器を撹拌する撹拌手段を備えた構成を有している。
【0100】
これにより、請求項8乃至14の内いずれか1項により得られる作用の他、撹拌によって抗原抗体反応、酵素反応を効率的に進行させ、測定時間を短くすることができるという作用を有する。
【0101】
ここで、撹拌手段としては、移送部の測定用反応容器駆動用モータと、測定用反応容器駆動用ベルトと、により測定用反応容器を水平方向に1〜300往復/分で振動する手段や、垂直方向に振動させる手段や、空気を被検液に導入し曝気する手段や、外部の磁性体の回転運動等を被検液中の磁性体に磁力により伝える手段等が用いられる。
【0102】
以下、本発明の抗原(または抗体)の免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0103】
(実施の形態1)
実施の形態1では、抗体が特異的に結合する抗原決定基を有する菌体を抗原とし、分離用液体を使用して菌体数を測定する免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置について説明する。
【0104】
以下、抗原の測定について説明するが、抗原と抗体を逆にすることも可能である。抗体の測定に関する説明は省略する。
【0105】
図1は本発明の実施の形態1の免疫学的測定装置の概略断面図であり、図2は本発明の実施の形態1の免疫学的測定装置の概略平面図であり、図3は本発明の実施の形態1の測定用反応容器を示す概略斜視図であり、図4は本発明の実施の形態1の主要工程を示す模式図であり、図5は本発明の実施の形態1の各ステップの反応模式を示す図である。
【0106】
図1、図2において、1は標準液や被検液等を保持して反応させるための測定用反応容器、2は測定用反応容器1を水平方向に順次移動させるための駆動力を供給する測定用反応容器駆動用モータ、3は測定用反応容器駆動用モータ2の駆動力を測定用反応容器1に伝達するための測定用反応容器駆動用ベルト、4は分離用溶液槽5内の分離用溶液の蒸発を防止するための分離用溶液槽蓋、5は分離用溶液を貯留するための分離用溶液槽、6は分離用溶液槽5の分離用溶液を測定用反応容器1に注入するための分離用溶液ポンプ、7は分離用溶液ポンプ6から吐出される分離用溶液を測定用反応容器1に導くための分離用溶液注入ノズル、8は基質溶液槽9内の基質溶液の蒸発を防止するための基質溶液槽蓋、9は基質溶液を貯留するための基質溶液槽、10は基質溶液槽9の基質溶液を測定用反応容器1に注入するための基質溶液ポンプ、11は基質溶液ポンプ10から吐出される基質溶液を測定用反応容器1に導くための基質溶液注入ノズル、12は反応停止液槽13内の反応停止液の蒸発を防止するための反応停止液槽蓋、13は反応停止液を貯留するための反応停止液槽、14は反応停止液槽13の反応停止液を測定用反応容器1に注入するための反応停止液ポンプ、15は反応停止液ポンプ14から吐出される反応停止液を測定用反応容器1に導くための反応停止液注入ノズル、18は可視光を照射するための発光ダイオード、ハロゲンランプ等を使用した発光部、19は測定用反応容器1の透過光を検知するために必要に応じてフィルタ、レンズ、フォトマル等を使用した受光部、20はマイコン等を使用し菌体濃度まで算出する換算部、21は液晶等を使用した表示部、22は入力部、23はサーマルヘッドプリンタ等を利用した印字部、24は外部情報の入力や出力を行うための入出力インターフェース部、25は電源部、26は制御部、27は測定用反応容器1を入れるための測定用反応容器挿入口、28は測定用反応容器1を取り出すための測定用反応容器排出口、29は筐体、31は反応時の温度を測定するために熱電対等を使用した温度センサー、32は温度センサー31からの温度測定結果を受けて設定した温度になるように温度調整ヒータ33を制御する温度調整ユニット、33は温度調整のための熱を供給するためにニクロム線等を使用した温度調整ヒータである。
【0107】
図3において、50は反応容器51乃至58を一体化する反応容器連結枠、51乃至58は独立した第1乃至第8反応容器である。
【0108】
図4において、71はA−1測定用反応容器作製工程、72はA−2反応工程、73はA−3測定工程、74はA−4換算工程である。
【0109】
図5において、91は抗体、92は抗原、93は標準抗原、94は酵素標識抗体、95は酵素、40は分離用溶液、70は標準液あるいは被検液である。
【0110】
尚、図1または図2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態1の免疫学的測定方法は、図4に示すように4段階の工程(A−1.測定用反応容器作製工程)、(A−2.反応工程)、(A−3.測定工程)、および(A−4.換算工程)から構成される。
【0111】
測定用反応容器1は以下の工程によって作製した。
(A−1.測定用反応容器1作製工程)
これは標準抗原93を測定用反応容器1(図3に示す)に固定化して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)〜(g)のステップから構成される。
【0112】
(A−1a)は標準抗原93を測定用反応容器1に固定化するステップである。標準抗原93は測定対象となる抗原で単一種の菌体の懸濁液を使用する。
【0113】
測定用反応容器1は、ポリスチレン、ガラス、石英ガラスの光学的に透明な合成樹脂を用いて形成される。測定用反応容器1は独立した単一又は複数の容器の集合体でもよい。例えば、図3に示すように形成される。
【0114】
標準抗原溶液の標準抗原93濃度としては104個/ml〜1012個/ml、好ましくは107個/ml〜1011個/mlが用いられる。
【0115】
標準抗原93溶液の溶媒としては、りん酸緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の溶液でpHを一定に保持することができるものでもよい。前記緩衝液に塩類、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムを溶解して使用するのが好ましい。緩衝液のpHとしてはpH5〜pH9、好ましくはpH6〜pH8が用いられる。
【0116】
標準抗原93溶液を測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ同容量・同濃度となるように注ぐ。
【0117】
標準抗原93溶液による測定用反応容器1の処理条件としては、pH5〜pH9、処理時間10分〜48時間、処理温度4℃〜40℃、好ましくはpH6〜pH8、処理時間30分〜2時間、処理温度5℃〜30℃が用いられる。この条件で浸漬処理することにより測定用反応容器1に標準抗原93である菌体を高密度で非特異吸着させることが可能となる。
【0118】
(A−1b)は未反応の標準抗原93を洗浄除去するステップである。緩衝液で、測定用反応容器1を好ましくは1回〜10回、好ましくは2回〜5回洗浄することで未反応の標準抗原93を効率的に除去することができ、以降の測定の精度を向上させることができる。
【0119】
(A−1c)はブロッキング剤で測定用反応容器1の非特異吸着面を被覆するステップである。測定用反応容器1にブロッキング剤溶液を注ぐ。ブロッキング剤溶液による測定用反応容器1の処理条件としては、pH5〜pH9、処理時間10分〜48時間、処理温度4℃〜40℃、好ましくはpH6〜pH8、処理時間30分〜2時間、処理温度5℃〜30℃が用いられる。この条件で浸漬処理することにより測定用反応容器1に残存する非特異吸着を起こす表面にブロッキング剤を非特異吸着させ、以後他の有機物の非特異吸着が極力おこらないようになり、より精度の高い測定が可能となる。
【0120】
ブロッキング剤として、牛血清アルブミン、牛乳由来カゼイン、ゼラチン等のタンパク質を含有したブロッキング剤溶液を使用する。ブロッキング剤溶液の溶媒としては、りん酸緩衝液、ホウ酸緩衝液が用いられる。他の溶液のpHを一定に保持することができるものでもよい。前記緩衝液に塩類、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムを溶解して使用するのが好ましい。緩衝液のpHとしては、pH5〜pH9、好ましくはpH6〜pH8が用いられる。緩衝液のpHがpH6より小さくなるにつれ、安定なブロッキング剤の非特異吸着を測定用反応容器に発生させることができないという傾向が認められ、またpH8より大きくなるにつれ、安定な抗ブロッキング剤の非特異吸着を測定用反応容器に発生させることができないという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0121】
(A−1d)は未反応のブロッキング剤を洗浄除去するステップである。界面活性剤含有緩衝液で、測定用反応容器1を1回〜10回、好ましくは2回〜5回洗浄することで未反応のブロッキング剤を効率的に除去することができ以降の測定の精度を向上させることができる。
【0122】
ここで、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノラウレートが用いられる。界面活性剤の濃度は0.001W/V%〜1W/V、好ましくは0.01W/V%〜0.2W/V%が用いられる。界面活性剤の濃度が0.01W/V%より少なくなるにつれ、未反応のタンパク質等を効率的に除去することができず以降の測定の精度を低下させるという傾向が認められ、また0.2W/V%より多くなるにつれ、発泡が著しく起こるため洗浄しにくくなるという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0123】
(A−1e)は酵素標識抗体94を測定用反応容器1上の標準抗原93に特異吸着させるステップである。酵素標識抗体94としては、界面活性剤含有緩衝液に抗体として、抗原である菌体に特異的な結合能を有するモノクロナール(またはポリクロナール)抗体に標識物質を結合させた抗体、または抗原である菌体に特異的な結合能を有するモノクロナール(またはポリクロナール)抗体とこの抗体に特異的な結合能を有するモノクロナール(またはポリクロナール)抗体に標識物質を結合させた抗体の組み合わせたものが用いられる。
【0124】
標識物質95としては、ペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ酵素が用いられる。
【0125】
酵素標識抗体94溶液を測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ同容量・同濃度となるように注ぐ。酵素標識抗体94溶液による測定用反応容器1の処理条件はpH5〜pH9、処理時間10分〜48時間、処理温度4℃〜40℃、好ましくはpH6〜pH8、処理時間30分〜2時間、処理温度5℃〜30℃で浸漬処理することにより、測定用反応容器1上の固定化標準抗原93に酵素標識抗体94が抗原抗体反応で特異的に結合することが可能となる。
【0126】
(A−1f)は未反応の酵素標識抗体94を洗浄除去するステップである。界面活性剤含有緩衝液で、測定用反応容器1を好ましくは1回〜10回、好ましくは2回〜5回洗浄することで未反応の酵素標識抗体94を効率的に除去することができ以降の測定の精度を向上させることができる。
【0127】
(A−1g)は測定用反応容器1を保存可能とする処理をおこなうステップである。保存手段として凍結乾燥法、風乾等を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とする。
【0128】
標準抗原93と酵素標識抗体94を測定用反応容器1上に固定した様子を図5(a)に示す。
【0129】
次に(A−1.測定用反応容器作製工程)で作製された測定用反応容器1を用いて菌体数を測定する本発明の免疫学的測定方法の(A−2.反応工程)、(A−3.測定工程)、(A−4.換算工程)と、その免疫学的測定方法を実施するための免疫学的測定装置について説明する。
【0130】
実施の形態1における免疫学的測定装置は、標準液や被検液等を保持して反応させるための測定用反応容器1と、測定用反応容器1を水平方向に順次移動させるための駆動力を供給する測定用反応容器駆動用モータ2と、測定用反応容器駆動用モータ2の駆動力を測定用反応容器1に伝達するための測定用反応容器駆動用ベルト3を備えた移送部と、分離用溶液槽5内の分離用溶液の蒸発を防止するための分離用溶液槽蓋4と分離用溶液を貯留するための分離用溶液槽5と分離用溶液槽5の分離用溶液を測定用反応容器1に注入するための分離用溶液ポンプ6と分離用溶液ポンプ6から吐出される分離用溶液を測定用反応容器1に導くための分離用溶液注入ノズル7を備えた分離部と、可視光を照射するための発光ダイオード、ハロゲンランプ等を使用した発光部18と、測定用反応容器1の透過光を検知するために必要に応じてフィルタ、レンズ、フォトマル、フォトダイオード等を使用した受光部19、を備えた測定部と、マイコン等を使用し菌体濃度まで算出する換算部20からなる構成とした。
【0131】
また、基質溶液の蒸発を防止するための基質溶液槽蓋8と基質溶液を貯留するための基質溶液槽9と基質溶液槽9の基質溶液を測定用反応容器1に注入するための基質溶液ポンプ10と基質溶液ポンプ10から吐出される基質溶液を測定用反応容器1に導くための基質溶液注入ノズル11を配設した。
【0132】
更に、反応停止液の蒸発を防止するための反応停止液槽蓋12と反応停止液を貯留するための反応停止液槽13と反応停止液槽13の反応停止液を測定用反応容器1に注入するための反応停止液ポンプ14と反応停止液ポンプ14から吐出される反応停止液を測定用反応容器1に導くための反応停止液注入ノズル15を配設した。
【0133】
換算部20に、液晶等を使用した表示部21と入力部22とサーマルヘッドプリンタ等を利用した印字部23と外部情報の入力や出力を行うための入出力インターフェース部24と電源部25及び制御部26を必要に応じて配設した。
【0134】
必要に応じて筐体29内が、測定用反応容器1を入れるための測定用反応容器挿入口27と測定用反応容器1を取り出すための測定用反応容器排出口28と反応時の温度を測定するために熱電対等を使用した温度センサー31と温度センサ−31からの温度測定結果を受けて設定した温度になるように温度調整ヒータ33を制御する温度調整ユニット32と温度調整のための熱を供給するためにニクロム線等を使用した温度調整ヒータ33等を配設した。
【0135】
また、撹拌手段としては、移送部の測定用反応容器駆動用モータと、測定用反応容器駆動用ベルトと、により測定用反応容器を水平方向に1〜300往復/分で振動する手段を用いた。
【0136】
次に、上記実施の形態1の免疫学的測定装置を用いた、免疫学的測定方法を説明する。
【0137】
(A−2.反応工程)
これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1に固定化された標準抗原93と被検液等に含まれる抗原92に分配させ、分配させた酵素標識抗体94を分離する工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0138】
(A−2a)は抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1と被検液に分配・分離させるステップである。標準抗原懸濁液を原液として、界面活性剤含有緩衝液で順次希釈して6種類の2倍から20倍好ましくは3倍から5倍の標準希釈列溶液を調製し、測定用反応容器1の第2反応容器52から第7反応容器57にそれぞれ一定量注ぐ。ブランク液として界面活性剤含有緩衝液を新たな測定用反応容器1の第1反応容器51に標準希釈列溶液と同量注ぐ。被検液を新たな測定用反応容器1の第8反応容器58に標準希釈列溶液と同量注ぐ。ブランク液と標準希釈列溶液は検量線作成に用いるためのものである。
【0139】
測定用反応容器1を筐体29に設けられた測定用反応容器挿入口27より挿入する。さらに、標準希釈列の溶液の菌体濃度と測定用反応容器1の各測定用反応容器の対応を入力部22を介して換算部20に入力する。入力部22からの操作により反応容器駆動用モータ2の正回転、逆回転により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1水平方向に周期的に動かすことによって、測定用反応容器1を構成する複数の容器内に貯められた被検液と標準希釈列の溶液とブランク液を撹拌させる。被検液と標準希釈列の溶液とブランク液による測定用反応容器1の処理条件は、処理時間10分〜3時間、処理温度4℃〜40℃、好ましくは処理時間30分〜2時間、処理温度4℃〜30℃で浸漬処理することにより、酵素標識抗体94を固相である測定用反応容器1に固定化されている標準抗原93と測定用反応容器1内の液相に溶解している抗原92に化学平衡反応で分配させることが可能となる。より好ましくは、処理時間30分以上2時間以下で、処理温度4℃以上30℃以下の範囲での浸漬処理である。
【0140】
あらかじめ分離用溶液40を調製し、この分離用溶液を分離用溶液槽5に充填する。分離用溶液40としてはシリコンオイル、単糖類の溶液、二糖類以上の多糖類の溶液、ゼラチンの溶液、ポリエチレングリコールの溶液、アルギン酸ナトリウムの溶液等の少なくとも一種またはそれらの混合物で比重が標準液、被検液またはブランク液よりも大きい溶液が使用可能である。好ましくは比重1.1以上2以下の溶液である。また、光学的な測定をする場合は使用する波長の吸収が極力少ないことが望ましい。
【0141】
反応容器駆動用モータ2により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を順次移動させながら、分離用溶液ポンプ7により分離用溶液槽5内の分離用溶液40を分離用溶液注入ノズル7を介して測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に一定量添加することにより、極めて簡単に測定用反応容器1の標準抗原93に分配された酵素標識抗体94の酵素95が以後の測定工程で反応しない状態とする。
【0142】
以上各ステップの反応模式を図5(b)〜(d)に示す。測定用反応容器1への抗原92含有被検液の注入による測定用反応容器1と抗原92含有被検液の接触を図5(b)に示し、時間経過による酵素標識抗体94の測定用反応容器1と被検液への分配を図5(c)に示し、分離用溶液40の添加を図15(d)に示す。
【0143】
(A−3.測定工程)
これは発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)乃至(c)のステップから構成される。
【0144】
(A−3a)は基質を酵素反応で発色させるステップである。あらかじめ基質溶液を調製し、この基質溶液を基質溶液槽9に充填する。基質溶液は溶質として標識物質に応じた発色基質を含有し、発色基質としてペルオキシダーゼの場合はオルトフェニレンジアミン二塩酸塩、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン、2,2’−アジノ−ビス(3−チルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩、5−アミノサリチル酸等が使用できる。また、基質溶液は基質として過酸化水素を含有し、溶媒としては緩衝液を使用し、pH5.0±0.1の0.1mol/lクエン酸緩衝液等が使用できる。測定用反応容器駆動用モータ2により測定用反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を水平方向に順次移動させて、測定用反応容器1の複数の各測定用反応容器に基質溶液槽9内の基質溶液を基質溶液注入ポンプ10により基質溶液注入ノズル11を介し添加し反応を進める。
【0145】
反応条件としては、反応時間1分〜60分、反応温度10℃〜40℃、好ましくは反応時間2分〜20分、反応温度15℃〜30℃が用いられる。この条件で反応させることにより測定用反応容器1に残留している標識物質が発色基質から酵素反応によって色素を効率的に生成させることが可能となる。反応時間が2分より短くなるにつれ、十分な発色が得られないという傾向が認められ、また20分より長くなるにつれ、測定感度が低下するという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。反応温度が15℃より低くなるにつれ、酵素の活性が低下するという傾向が認められ、また30℃より高くなるにつれ、酵素の活性が低下するという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0146】
(A−3b)は酵素反応を停止させるステップである。あらかじめ反応停止液を調製し、反応停止液槽13に充填する。反応停止液は溶質として標識物質に応じた反応停止剤を含有し、反応停止剤として硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、水酸化ナトリウムが用いられる。
【0147】
測定用反応容器駆動用モータ2により測定用反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を水平方向に順次移動させて、測定用反応容器1の各測定用反応容器に反応停止液槽13内の反応停止液を反応停止液注入ポンプ14により反応停止液注入ノズル15を介して添加して、酵素反応を停止させる。
【0148】
(A−3c)は発色波長における発色の度合いの測定ステップである。測定用反応容器駆動用モータ2により測定用反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を水平方向に順次移動させて、発光部18を光源とし、色素が特異的に吸収する波長の光を受光部19で検出し換算部20に出力する。
【0149】
これにより標準希釈列溶液の菌体濃度に対応した吸光度の関係を示す検量関係のデータおよび被検液に関するデータが得られる。
【0150】
(A−4.換算工程)
これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度の換算をおこなう工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0151】
(A−4a)は換算ステップである。換算部20において受光部19の検出値より吸光度を算出し、ブランク液の吸光度を各標準抗原溶液の吸光度より差し引き検量線の回帰直線または回帰曲線を換算部20で求める。検量線の回帰直線または回帰曲線より任意の被検液の吸光度を測定すれば、被検液の濃度を算出することができ結果を表示部21に出力し、表示ことができる。さらに、印字部23により結果の印字出力や入出力インターフェース24を介して結果を外部換算装置等に出力することができる。
【0152】
以上のように本実施の形態によれば、供給者側で反応済み測定用反応容器1を作製し、測定用反応容器1と被検液を測定用反応容器1内で反応させることで被検液の抗原92濃度に応じた標識抗体(または抗原)の測定用反応容器1あるいは標準液あるいは被検液70への分配を行わせ、分離用溶液で極めて容易に分離でき、測定用反応容器1内の液体または測定用反応容器2上の標識物質濃度を定量することで被検液中の抗原(または抗体)濃度を測定することが可能で、従来の測定方法及び測定装置、例えば、現在最も一般的に利用されているサンドイッチ法ELISAと本発明の測定方法を比較すると、サンドイッチ法が2工程の抗原抗体反応工程、2工程の洗浄操作を必要とするのに対して、本発明の測定方法は1工程の抗原抗体反応工程、洗浄操作は不要にでき簡便、迅速、安価に抗原(または抗体)を定量することができる特異的な免疫学的測定方法及び測定装置を提供することができる。
【0153】
(実施の形態2)
実施の形態2では、抗体が特異的に結合する抗原決定基を有するアレルゲンを抗原とし、分離用固体を使用してアレルゲン濃度を測定する免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置について説明する。
【0154】
以下抗原の測定について説明するが、例えば、アレルゲン(抗原)に対する血清中の抗体量を測定する等、抗原と抗体を逆にすることも可能である。こうした理由から抗体の測定に関する説明は省略する。
【0155】
図6は本発明の実施の形態2における免疫学的測定装置の概略断面図であり、図7は本発明の実施の形態2の免疫学的測定装置の概略平面図であり、図8は本発明の実施の形態2の分離用固体を示す概略斜視図であり、図9は本発明の実施の形態2の測定用反応容器と分離用固体を組み合わせた状態を示す概念断面図であり、図10は本発明の実施の形態2の主要工程を示す模式図であり、図11は同各ステップの反応模式を示す図である。
【0156】
図6、図7において、43は分離用固体、44は分離用固体挿入用サポート45を介して分離用固体43を測定用反応容器1に挿入するための分離用固体挿入用モータ、45は分離用固体挿入用サポートである。
【0157】
図8、図9、図10において、46は分離用固体43の垂直方向に設けた1以上の貫通孔、47は測定用反応容器1の内径に適合し標準液あるいは被検液70を貫通孔46以外から流動させないためのO−リングである。
【0158】
図11において、75はB−1測定用反応容器作製工程、76はB−2反応工程、77はB−3測定工程、78はB−4換算工程である。
【0159】
尚、図1乃至図5と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2の免疫学的測定方法は、4段階の工程(B−1.測定用反応容器作製工程)、(B−2.反応工程)、(B−3.測定工程)、および(B−4.換算工程)から構成される。
【0160】
測定用反応容器1は以下の工程によって作製した。
(B−1.測定用反応容器1作製工程)
これは標準抗原93を測定用反応容器1に固定化して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)乃至(e)のステップから構成される。
【0161】
(B−1a)は標準抗原93を測定用反応容器1に固定化するステップである。標準抗原93は測定対象となる抗原で単一種のアレルゲンの溶液を使用する。
【0162】
測定用反応容器1は実施の形態1の(A−1a)と同様のものが用いられる。
標準抗原93溶液としては、抗原であるアレルゲンの溶液が用いられる。標準抗原93の濃度は0.0001μg/ml〜100μg/ml、好ましくは0.001μg/ml〜10μg/mlが用いられる。この範囲の標準抗原93の濃度が、充分な抗原量を測定用反応容器1に接触し非特異吸着により固定化することが可能となる。標準抗原93の濃度が0.001μg/mlより少なくなるにつれ、充分な抗原量を測定用反応容器に固定化することが不可能となるという傾向が認められ、また10μg/mlより多くなるにつれ、吸着量が飽和して未反応の抗原が増加し、経済性が悪くなるという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0163】
標準抗原93の溶媒は、実施の形態1の(A−1a)と同様のものを用いた。
緩衝液は、実施の形態1の(A−1a)と同様のものを用いた。
【0164】
標準抗原93溶液を測定用反応容器1の第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58にそれぞれ同容量・同濃度となるように注ぐ。
【0165】
標準抗原93溶液による測定用反応容器1の処理は実施の形態1の(A−1a)と同様の条件で行った。
【0166】
(B−1b)は未反応の標準抗原93を洗浄除去するステップである。緩衝液で、測定用反応容器1を1回〜10回、好ましくは2回〜5回洗浄することで未反応の標準抗原93を効率的に除去することができ、以降の測定の精度を向上させることができる。
【0167】
(B−1c)はブロッキング剤で測定用反応容器1の非特異吸着面を被覆するステップである。(B−1c)では実施の形態1の(A−1c)と同様の条件、同様のものを用いて浸漬処理を行った。
【0168】
(B−1d)は未反応のブロッキング剤を洗浄除去するステップである。(B−1d)では実施の形態1の(A−1d)と同様の条件、同様のものを用いて洗浄を行った。
【0169】
(B−1e)は測定用反応容器1を保存可能とする処理をおこなうステップである。保存手段として凍結乾燥法、風乾等を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とする。
【0170】
標準抗原93が測定用反応容器1に固定化された様子を図11(a)に示す。次に(B−1.測定用反応容器作製工程)で作製された測定用反応容器1を用いてアレルゲン濃度測定する本発明の免疫学的測定方法の(B−2.反応工程)、(B−3.測定工程)、(B−4.換算工程)と、その免疫学的測定方法を実施するための免疫学的測定装置について説明する。
【0171】
以下図6と図7に記載した免疫学的測定装置と図8と図9に記載した分離用固体に従って説明する。
【0172】
実施の形態2の免疫学的測定装置と実施の形態1の免疫学的測定装置との相違は、分離溶液注入部の代わりに分離用固体挿入部が配設されたことである。
【0173】
実施の形態2の免疫学的測定装置の分離用固体挿入部は、図6と図7に示すような分離用固体43と、分離用固体挿入用サポート45を介して分離用固体40を測定用反応容器1に挿入するための分離用固体挿入用モータ44と、分離用固体挿入用サポート45と、を備えている。
【0174】
実施の形態2の分離用固体43は、図8に示すような分離用固体43の垂直方向に設けた1または複数の貫通孔46と、測定用反応容器1の内径に適合し標準液あるいは被検液70を貫通孔46以外から流動させないためのO−リング47と、を備えている。
【0175】
実施の形態2の測定用反応容器1と分離用固体43は図9の様に配設される。測定用反応容器1の内側に、1以上の貫通孔46を垂直方向に形成した分離用固体43と分離用固体挿入用サポート45を配設し、測定用反応容器1の内径に適合し標準液あるいは被検液70を貫通孔46以外から流動させないためのO−リングを配設した。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0176】
次に、実施の形態2の測定装置を用いて、免疫学的測定方法を説明する。尚、実施の形態1と同様のものは説明を省略する。
【0177】
(B−2.反応工程)
これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1に固定化された標準抗原93と被検液等に含まれる抗原92に分配させ、分配させた酵素標識抗体94を分離する工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0178】
(B−2a)は抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1と被検液に分配・分離させるステップである。標準抗原懸濁液を原液として、界面活性剤含有緩衝液で順次希釈して6種類の2倍から20倍好ましくは3倍から5倍の標準希釈列溶液を調製し、測定用反応容器1の第2反応容器52から第7反応容器57にそれぞれ一定量注ぐ。ブランク液として界面活性剤含有緩衝液を新たな測定用反応容器1の第1反応容器51に標準希釈列溶液と同量注ぐ。被検液を新たな測定用反応容器1の第8反応容器58に標準希釈列溶液と同量注ぐ。さらに、一定量の酵素標識抗体94溶液を被検液と標準希釈列溶液とブランク液を注いだ新たな測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ一定量添加する。ブランク液と標準希釈列溶液は検量線作成に用いるためのものである。さらに、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58の上部にそれぞれ分離用固体43を設置する。
【0179】
分離用固体43としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂の光学的に透明な合成樹脂を用いて形成される。測定用反応容器1の各反応容器の内部形状に適合し、標準液あるいは被検液70を貫通孔46以外から流動させない構造を有する。
【0180】
分離用固体43の形状としては、円柱状、角柱状、多孔質状体等が用いられる。例えば、図8に示す形態である。
【0181】
分離用固体43の高さとしては、1mm〜30mm、好ましく2mm〜5mmが用いられる。分離用固体43の高さが2mmより低くなるにつれ、分離が充分に行われないという傾向が認められ、また5mmより高くなるにつれ、貫通孔46の容量が大きくなるという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0182】
貫通孔46は1以上または複数で形成され、貫通孔46の総水平断面積(各貫通孔46の水平断面積の和)は0.1mm2〜50mm2、好ましくは0.2mm2〜5mm2が用いられる。貫通孔46の総水平断面積が0.2より小さくなるにつれ、挿入抵抗が増加し挿入し難くなるという傾向が認められ、また5mm2より大きくなるにつれ、貫通孔46の上下の拡散による混合が早やかに起こるという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0183】
また、各貫通孔46の水平断面積は0.1mm2〜2mm2、好ましくは0.2mm2〜1mm2が用いられる。各貫通孔46の水平断面積が0.2mm2より小さくなるにつれ、挿入抵抗が増加し挿入し難くなるという傾向が認められ、また1mm2より大きくなるにつれ、貫通孔46の上下の拡散による混合が早やかに起こるという傾向が認められるので、いずれも好ましくない。
【0184】
分離用固体43を上部に設置した測定用反応容器1を、筐体29に設けられた測定用反応容器挿入口27より挿入する。さらに、標準希釈列溶液のアレルゲン濃度と測定用反応容器1の各測定用反応容器の対応を入力部22を介して換算部20に入力する。入力部22からの操作により反応容器駆動用モータ2の正回転、逆回転により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1水平方向に周期的に動かすことによって、測定用反応容器1を構成する複数の容器内に貯められた被検液と標準希釈列の溶液とブランク液を撹拌させる。被検液と標準希釈列の溶液とブランク液による測定用反応容器1の処理条件は、実施の形態1の(A−2a)と同様の条件で行った。
【0185】
反応容器駆動用モータ2により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を移動させ、分離用固体挿入用モータ44を起動し、分離用固体挿入用サポート46を介して各分離用固体43を測定用反応容器1の各反応容器底面まで挿入することにより、測定用反応容器1の標準抗原93に分配された酵素標識抗体94の酵素95が以後の測定工程で反応しない状態とする。図9は分離用固体挿入用サポート46により各分離用固体43を測定用反応容器1の各反応容器底面まで挿入した状態を示している。
【0186】
以上の各ステップの反応模式は図11(b)〜(d)を示す。測定用反応容器1への抗原含有被検液の注入による測定用反応容器1と抗原含有被検液の接触及び分離用固体43の上部設置を図11(b)に示し、時間経過による酵素標識抗体94の測定用反応容器1と被検液への分配を図11(c)に示し、分離用固体43の挿入を図11(d)に示す。
【0187】
(B−3.測定工程)
これは発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)〜(c)のステップから構成される。
【0188】
(B−3a)、(B−3b)、(B−3c)は実施の形態1の(A−3a)、(A−3b)、(A−3c)と同様のものを用いて同様の条件で処理を行った。
【0189】
(B−4.換算工程)
これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度の換算をおこなう工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0190】
(B−4a)は換算ステップである。(B−4a)は実施の形態1の(A−4a)と同様のものを用いて同様の条件で換算を行った。被検液の抗原92濃度が表示部又は印字部の出力から得られる。
【0191】
なお、以上の説明では、抗原の測定について説明したが、抗原と抗体を逆にして抗体の測定についても同様に実施可能である。
【0192】
以上のように本実施の形態によれば、供給者側で反応済み測定用反応容器1を作製し、測定用反応容器1と被検液を測定用反応容器1内で反応させることで被検液の抗原92濃度に応じた標識抗体(または抗原)の測定用反応容器1あるいは標準液あるいは被検液70への分配を行わせ、分離用固体43により極めて容易に分離ができ、測定用反応容器1内の液体または測定用反応容器1上の標識物質濃度を定量することで被検液中の抗原(または抗体)濃度を測定することが可能で、従来の測定方法及び測定装置、例えば、現在最も一般的に利用されているサンドイッチ法ELISAと本発明の測定方法を比較すると、サンドイッチ法ELISAが2工程の抗原抗体反応工程、2工程の洗浄操作を必要とするのに対して、本発明の測定方法は1工程の抗原抗体反応工程、洗浄操作は不要にでき簡便、迅速、安価に抗原(または抗体)を定量することができる特異的な免疫学的測定方法及び測定装置を提供することができる。
【0193】
【実施例】
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1の免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置を用いて、レジオネラ ニューモフィラ セログループI(Legionella pneumophila serogroup I)の菌体数の測定をおこなった。
【0194】
実施の形態1の免疫学的測定方法は4段階の工程(A−1.測定用反応容器作製工程)、(A−2.反応工程)、(A−3.測定工程)、および(A−4.換算工程)から構成される。
【0195】
(A−1.測定用反応容器1作製工程)
これは標準抗原93を測定用反応容器1に固定化して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)乃至(g)のステップから構成される。
【0196】
(A−1a)は標準抗原93を測定用反応容器1に固定化するステップである。標準抗原93として24時間70%エタノールで処理したレジオネラ ニューモフィラ セログループ1(Legionella pneumophila serogroup I、以下Lp)を使用した。その希釈にはpH7.4±0.2のダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(以下PBS)を使用した。
【0197】
測定用反応容器1はポリスチレン製で、水平断面積約24mm2(内径5.5mm)で、深さ約11.5mmの円筒形の容器で、容器底部が光学的に透明で均一である第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58までの8個が測定用反応容器連結枠50で一列に形成された構造である。
【0198】
測定用反応容器1に標準抗原93であるLpのPBS懸濁液を1010個/mlに調製してそれぞれ50μl注ぎ、2時間、25℃の条件で浸漬処理すことによって標準抗原Lpを固相となる測定用反応容器1の内側の底面と底から約2.2mmの側面に非特異的に固定化させた。
【0199】
(A−1b)は未反応の標準抗原93を洗浄除去するステップである。緩衝液であるPBSで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58内をそれぞれ3回洗浄して、未反応のLpを除去した。
【0200】
(A−1c)はブロッキング剤で測定用反応容器1の非特異吸着面を被覆するステップである。ブロッキング剤として1w/v%の牛血清アルブミン(以下BSA)を含有したpH7.4±0.2のPBS溶液(以下PBS−B)を使用した。
【0201】
測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58内にPBS−Bを250μl注ぎ、1時間、25℃の条件で浸漬処理して、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に残存する非特異吸着面にBSAを非特異吸着させ、以後他の有機物の非特異吸着が極力おこらないようにした。
【0202】
(A−1d)は未反応のブロッキング剤を洗浄除去するステップである。緩衝液としてPBSに0.05w/v%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含有し、pH7.4±0.2の溶液(以下PBS−T)を使用した。PBS−Tで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58をそれぞれ3回洗浄して未反応のBSAを除去した。
【0203】
(A−1e)は酵素標識抗体94を測定用反応容器1上の標準抗原93に特異吸着させるステップである。酵素標識抗体94として抗Lpマウス由来モノクロナールIgG抗体に西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼを標識化したもの(以下ALpPO)を使用した。
【0204】
測定用反応容器1の第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58に20.0μg/mlのALpPO溶液50μlを注ぎ、2時間、25℃の条件で浸漬処理して、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58の表面上の固相化抗原Lpに抗原抗体反応で特異的に結合させた。
【0205】
(A−1f)は未反応の酵素標識抗体94を洗浄除去するステップである。PBS−Tで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58をそれぞれ3回洗浄して未反応のALpPOを除去した。
【0206】
(A−1g)は測定用反応容器1を保存可能とする処理を行うステップである。保存手段として凍結乾燥法を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とした。
【0207】
(A−2.反応工程)
これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1に固定化された標準抗原93と被検液等に含まれる抗原92に分配させ、分配させた酵素標識抗体94を分離する工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0208】
(A−2a)は抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1と被検液に分配・分離させるステップである。標準抗原5×109個/mlより10倍に順次PBS−Tで希釈して7種の標準希釈列の溶液を調製し、7種の標準希釈列の溶液とブランク液としてPBS−Tを測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ50μl添加した。
【0209】
2時間、25℃の条件で測定用反応容器1を浸漬処理して、測定用反応容器1に固相化された標準抗原Lp93と溶液中の抗原Lp92の濃度に応じて、酵素標識抗体ALpPO94を固相である測定用反応容器1に固定化されている標準抗原93と測定用反応容器1の液相に溶解している抗原92に化学平衡反応で分配させた。
【0210】
あらかじめ2mlの100W/V%ショ糖溶液を蒸留水で調整し、分離用溶液40とした。さらに、分離用溶液40を分離用溶液槽5に充填した。
【0211】
分離用溶液40を測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ100μl添加し、測定用反応容器1の標準抗原93に分配された酵素標識抗体94の酵素95が以後の測定工程で反応しない状態とした。
【0212】
(A−3.測定工程)
これは発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)乃至(c)のステップから構成される。
【0213】
(A−3a)は基質を酵素反応で発色させるステップである。あらかじめ10mlのpH5.0±0.1の0.1mol/lクエン酸緩衝液(以下クエン酸緩衝液)に4mgのオルトフェニレンジアミン二塩酸塩(以下OPD)を溶解させ、10μlの30%過酸化水素を添加した溶液(以下基質溶液)を調製した。基質溶液を基質溶液槽9に充填した。
【0214】
測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に基質溶液を各々50μl添加し、15分間、25℃反応させ、ALpPOの標識物質(酵素)であるペルオキシダーゼに発色基質OPDから酵素反応によって色素を生成させた。
【0215】
(A−3b)は酵素反応を停止させるステップである。あらかじめ5mlの1mol/l硫酸溶液(以下反応停止液)を反応停止液槽13に充填した。測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に基質溶液を各々50μl添加し、酵素反応を停止させた。
【0216】
(A−3c)は発色波長における発色の度合いの測定ステップである。発光部18を光源とした波長490nmの光を受光部19で検出し換算部20に出力した。
【0217】
(A−4.換算工程)
これは標準抗原溶液の検量線より抗原濃度の換算をおこなう工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0218】
(A−4a)は換算ステップである。換算部20において受光部19の検出値より吸光度を算出し、ブランク液であるPBS−T溶液の吸光度を、各標準抗原溶液の吸光度より差し引き検量線を作成すると図12が得られた。図12の直線部より最小2乗法で回帰直線を求めると次式(1)が得られた。
【0219】
吸光度(−)=0.223×ln(Lp濃度(個/ml))−2.189・・・(1)
図12は実施の形態1の測定装置を使用して作成したレジオネラ ニューモフィラ セログループI(Legionella pneumophila serogroup I)の検量線である。
【0220】
図12から明らかなように、実施例1では5×104個/ml〜5×106個/mlの範囲のレジオネラ ニューモフィラ セログループIが測定可能であることがわかる。そして、任意の被検液に対して吸光度測定をすれば、式(1)より被検液の濃度を算出することができ結果を表示部21に出力に表示ことができた。さらに、印字部23により結果の印字出力や入出力インターフェース24を介して結果を外部換算装置等に出力することもできる。
【0221】
従来の方法では、レジオネラ ニューモフィラ セログループIの菌体数の測定を24時間と長い測定時間を必要とし、かつ高価な測定装置が必要であるのに対して、実施例1はあらかじめ制作した測定用反応容器を利用することで、2時間30分で測定を完了させることができた。
【0222】
(実施例2)
実施例2では、実施の形態2の免疫学的測定方法及び測定装置を用いて、コナヒョウヒダ二のアレルゲンであるrDerfIIの濃度の測定をおこなった。
【0223】
実施の形態2の免疫学的測定方法は、4段階の工程(B−1.測定用反応容器作製工程)、(B−2.反応工程)、(B−3.測定工程)、および(B−4.換算工程)から構成される。
【0224】
(B−1.測定用反応容器1作製工程)
これは標準抗原93と酵素標識抗体94を測定用反応容器1に固定化して安定化状態とする工程である。以下に示す(a)乃至(g)のステップから構成される。
【0225】
(B−1a)は標準抗原93を測定用反応容器1に固定化するステップである。標準抗原93としてコナヒョウヒダニの虫体由来アレルゲンを大腸菌の遺伝子操作により生産させ精製したrDerfII(以下rDerfII)を使用した。その希釈にはpH7.4±0.2のダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(以下PBS)を使用した。
【0226】
測定用反応容器1はポリスチレン製で、水平断面積約24mm2(内径5.5mm)で、深さ約11.5mmの円筒形の容器で、容器底部が光学的に透明で均一である第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58までの8個が測定用反応容器連結枠50で一列に形成された構造である。
【0227】
測定用反応容器1に標準抗原93であるrDerfIIのPBS溶液を0.5μg/mlに調製してそれぞれ50μl注ぎ、2時間、25℃の条件で浸漬処理すことによって標準抗原rDerfIIを固相となる測定用反応容器1の内側の底面と底から約2.2mmの側面に非特異的に固定化させた。
【0228】
(B−1b)は未反応の標準抗原93を洗浄除去するステップである。緩衝液であるPBSで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58内をそれぞれ3回洗浄して、未反応のrDerfIIを除去した。
【0229】
(B−1c)はブロッキング剤で測定用反応容器1の非特異吸着面を被覆するステップである。測定用反応容器1の第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58にPBS−Bを各250μl注ぎ、1時間、25℃の条件で浸漬処理して、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に残存する非特異吸着面にBSAを非特異吸着させ、以後他の有機物の非特異吸着が極力おこらないようにした。
【0230】
(B−1d)は未反応のブロッキング剤を洗浄除去するステップである。緩衝液としてPBSに0.05w/v%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含有し、pH7.4±0.2の溶液(以下PBS−T)を使用した。PBS−Tで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58をそれぞれ3回洗浄して未反応のBSAを除去した。
【0231】
(B−1e)は測定用反応容器1を保存可能とする処理をおこなうステップである。保存手段として凍結乾燥法を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とした。
【0232】
測定用反応容器1の第1測定用反応容器51から第8測定用反応容器58に0.5μg/mlの13A4PO溶液(アサヒビール(株)製、商品名)100μlを注ぎ、2時間、25℃の条件で浸漬処理して、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58の表面上の固相化抗原rDerfIIに抗原抗体反応で特異的に結合させた。
【0233】
(B−1f)は未反応の酵素標識抗体94を洗浄除去するステップである。PBS−Tで測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58をそれぞれ3回洗浄して未反応の13A4POを除去した。
【0234】
(B−1g)は測定用反応容器2を保存可能とする処理をおこなうステップである。保存手段として凍結乾燥法を用いて、測定用反応容器1を長期安定化した状態とした。
【0235】
(B−2.反応工程)
これは抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1に固定化された標準抗原93と被検液等に含まれる抗原92に分配させ、分配させた酵素標識抗体94を分離する工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0236】
(B−2a)は抗原量に比例した量の酵素標識抗体94を測定用反応容器1とと被検液に分配・分離させるステップである。標準抗原を0.1μg/mlより3倍に順次PBS−Tで希釈して7種の標準希釈列の溶液を調製し、7種の標準希釈列の溶液とブランク液としてPBS−Tを新たな測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ50μl添加した。酵素標識抗体94として抗rDerfIIマウスモノクロナールIgG抗体に西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼを標識化した抗体(以下13A4PO)を使用した。5μg/mlの13A4POのPBS−T溶液を各5μlずつ標準希釈列溶液とブランク液を注いだ測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58にそれぞれ添加した。さらに、測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58の上部にそれぞれ分離用固体43を設置した。分離用固体として水平断面積約23mm2(外径5.4mm)で、高さ3mmの円柱形に、貫通孔46として水平断面積約0.26mm2(外径0.5mm)で、高さ3mmの円筒形を8個設けたものを使用した。また、O−リング47としてシリコンゴム製のものを使用した。
【0237】
さらに、第1反応容器51から第8反応容器58の上部にそれぞれ分離用固体43を設置した測定用反応容器1を、筐体29に設けられた測定用反応容器挿入口27より挿入し、反応容器駆動用モータ2の正回転、逆回転により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1水平方向に周期的に動かすことによって、測定用反応容器1を構成する8個の反応容器内に貯められた標準希釈列の溶液とブランク液を2時間、25℃の条件で撹拌させた。以上の操作により測定用反応容器1に固定化された標準抗原rDerfII93と溶液中の抗原rDerfII92の濃度に応じて、酵素標識抗体rDerfII94を固相である測定用反応容器1に固定化されている標準抗原93と測定用反応容器1内の液相に溶解している抗原92に化学平衡反応で分配させた。
【0238】
反応容器駆動用モータ2により反応容器駆動用ベルト3ひいては測定用反応容器1を移動させ、分離用固体挿入用モータ44を起動し、分離用固体挿入用サポート46を介して各分離用固体43を測定用反応容器1の各反応容器底面まで挿入することにより、測定用反応容器1の標準抗原93に分配された酵素標識抗体94の酵素95が以後の測定工程で反応しない状態とした。
【0239】
(B−3.測定工程)
発色基質を添加して酵素反応で発色させ、発色の度合いを測定する工程である。以下に示す(a)乃至(c)のステップから構成される。
【0240】
(B−3a)は基質を酵素反応で発色させるステップである。あらかじめ10mlのpH5.0±0.1の0.1mol/lクエン酸緩衝液(以下クエン酸緩衝液)に4mgのオルトフェニレンジアミン二塩酸塩(以下OPD)を溶解させ、10μlの30%過酸化水素を添加した溶液(以下基質溶液)を調製した。基質溶液を基質溶液槽9に充填した。
【0241】
測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に基質溶液を各々50μl添加し、15分間、25℃反応させ、13A4POの標識物質(酵素)であるペルオキシダーゼに発色基質OPDから酵素反応によって色素を生成させた。
【0242】
(B−3b)は酵素反応を停止させるステップである。あらかじめ5mlの1mol/l硫酸溶液(以下反応停止液)を反応停止液槽13に充填した。
【0243】
各測定用反応容器1の第1反応容器51から第8反応容器58に基質溶液を各々50μl添加し、酵素反応を停止させた。
【0244】
(B−3c)は発色波長における発色の度合いの測定ステップである。発光部18を光源とした波長490nmの光を受光部19で検出し換算部20に出力した。
【0245】
(B−4.換算工程)
標準抗原溶液の検量線より抗原濃度の換算をおこなう工程である。以下に示す(a)のステップから構成される。
【0246】
(B−4a)は換算ステップである。換算部20において受光部19の検出値より吸光度を算出し、ブランク液であるPBS−T溶液の吸光度を、各標準抗原溶液の吸光度より差し引き検量線を作成すると図13が得られた。図13の直線部より最小2乗法で回帰直線を求めると次式(2)が得られる。
【0247】
吸光度(−)=0.335×ln(rDerfII濃度(μg/ml))+2.542・・・(2)
図13は本発明の測定装置を使用して作成したコナヒョウヒダ二のアレルゲンrDerfIIの検量線図である。
【0248】
図13から明らかなように、実施例2では0.002μg/ml〜0.03μg/mlの範囲のrDerfIIが測定可能であることがわかる。そして、任意の被検液に対しても吸光度測定をすれば、式(2)より被検液の濃度を算出することができ結果を表示部21に出力に表示ことができた。さらに、印字部23により結果の印字出力や入出力インターフェース24を介して結果を外部換算装置等に出力することもできる。
【0249】
従来方法では、rDerfII濃度の測定に24時間と長い測定時間を必要とし、かつ高価な測定装置が必要であることに対して、実施例2はあらかじめ制作した測定用反応容器を利用することで、2時間30分で測定を完了させることができた。
【0250】
実施の形態1、2以外にも抗原(または抗体)を測定する装置は種々考えることが出来る。例えば、より自動化を推進した装置、検出法が電気化学的、放射性同位体の検出を利用したもの等、抗原抗体反応にカラムを利用したもの等が考えられる。
【0251】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、以下の優れた効果を実現できる。
【0252】
(1)本発明の免疫学的測定方法によれば、測定用反応容器と被検液を反応させることで被検液濃度に応じた標識抗体(または抗原)の液相あるいは固相への分配をおこなはせ、液相または固相の標識物質濃度を定量することで被検液中の抗原(または抗体)濃度を測定することに着目することで迅速、簡便、安価に定量することができる。
【0253】
(2)本発明の免疫学的測定装置によれば、迅速、簡便、高精度な測定が自動的におこなえ、且つ低原価で量産できる抗原(または抗体)に特異的な免疫学的測定装置を提供できる。
【0254】
(3)本発明の抗原(または抗体)の免疫学的測定方法及び免疫学的測定装置の利用で抗原(または抗体)成分濃度を特異的、簡便、迅速、安価に入手できるようになり、医療現場での臨床検査、クリーニング業者、清掃業者の洗浄度合いの確認のみならず家庭での個人的なアレルゲン管理においても有用な情報提供が可能になる。さらに各成分に係る基礎研究や応用・開発研究において研究速度および研究精度の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の免疫学的測定装置の概略断面図
【図2】本発明の実施の形態1の免疫学的測定装置の概略平面図
【図3】本発明の実施の形態1及び実施の形態2の測定用反応容器を示す概略斜視図
【図4】本発明の実施の形態1の主要工程を示す模式図
【図5】本発明の実施の形態1の各ステップの反応模式を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における免疫学的測定装置の概略断面図
【図7】本発明の実施の形態2の免疫学的測定装置の概略平面図
【図8】本発明の実施の形態2の分離用固体を示す概略斜視図
【図9】本発明の実施の形態2の測定用反応容器と分離用固体を組み合わせた状態を示す概念断面図
【図10】本発明の実施の形態2の主要工程を示す模式図
【図11】本発明の実施の形態2の各ステップの反応模式を示す図
【図12】本発明の測定装置を使用して作成したレジオネラ ニューモフィラ セログループIの検量線図
【図13】本発明の測定装置を使用して作成したコナヒョウヒダニのアレルゲンrDerfIIの検量線図
【図14】従来のサンドイッチELISA法の主要工程を示す模式図
【図15】従来のサンドイッチELISA法の各ステップの反応模式を示す図
【符号の説明】
1 測定用反応容器
2 反応容器駆動用モータ
3 反応容器駆動用ベルト
4 分離用溶液槽蓋
5 分離用溶液槽
6 分離用溶液ポンプ
7 分離用溶液注入ノズル
8 基質溶液槽蓋
9 基質溶液槽
10 基質溶液ポンプ
11 基質溶液注入ノズル
12 反応停止液槽蓋
13 反応停止液槽
14 反応停止液ポンプ
15 反応停止液注入ノズル
18 発光部
19 受光部
20 換算部
21 表示部
22 入力部
23 印字部
24 入出力インターフェース部
25 電源部
26 制御部
27 反応容器挿入口
28 反応容器排出口
29 筐体
31 温度センサー
32 温度調整ユニット
33 温度調整ヒータ
40 分離用溶液
43 分離用固体
44 分離用固体挿入用モータ
45 分離用固体挿入用サポート
46 貫通孔
47 O−リング
50 反応容器連結枠
51 第1反応容器
52 第2反応容器
53 第3反応容器
54 第4反応容器
55 第5反応容器
56 第6反応容器
57 第7反応容器
58 第8反応容器
70 標準液あるいは被検液
71 A−1,測定用反応容器作製工程
72 A−2,反応工程
73 A−3,測定工程
74 A−4,換算工程
75 B−1,測定用反応容器作製工程
76 B−2,反応工程
77 B−3,測定工程
78 B−4,換算工程
80 C−1,測定用反応容器作製工程
81 C−2,反応工程
82 C−3,測定工程
83 C−4,換算工程
91 抗体
92 抗原(被検液由来、第二の)
93 標準抗原(第一の)
94 酵素標識抗体
95 酵素

Claims (15)

  1. 測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、次いで、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗体を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗原と前記被検液中の前記第二の抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行うことを特徴とする免疫学的測定方法。
  2. 測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、次いで、測定対象である第二の抗体と前記抗体と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗原を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗体と前記被検液中の前記第二の抗体とで前記抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させた後、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行うことを特徴とする免疫学的測定方法。
  3. 測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、次いで、前記第一の標準抗原と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗体を前記第一の標準抗原に接触させ、固相上に前記第一の標準抗原と前記抗体の抗原抗体複合体を形成させた後、測定対象である第二の抗原を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗原と前記被検液中の前記第二の抗原とで前記抗体を抗原抗体反応によりそれぞれの抗原濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成させ、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行うことを特徴とする免疫学的測定方法。
  4. 測定用反応容器の固相に測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、次いで、前記
    第一の標準抗体と特異的に結合することができ標識物質を結合した抗原を前記第一の標準抗体に接触させ、固相上に前記第一の標準抗体と前記抗原の抗原抗体複合体を形成させた後、測定対象である第二の抗体を含有する被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、前記測定用反応容器に固定された前記第一の標準抗体と前記被検液中の前記第二の抗体とで前記抗原を抗原抗体反応によりそれぞれの抗体濃度に応じて分配して抗原抗体複合体を形成し、前記測定用反応容器に比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を添加または分離用固体を挿入し、前記測定用反応容器の固相上の標識物質の反応を抑制し、前記被検液の液相中の前記標識物質量の測定を行うことを特徴とする免疫学的測定方法。
  5. 前記標識物質が酵素であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  6. 前記分離用液体が、シリコンオイル、単糖類の溶液、二糖類以上の多糖類の溶液、ゼラチンの溶液、ポリエチレングリコールの溶液、アルギン酸ナトリウムの溶液の少なくとも1種またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  7. 前記分離用固体に1以上の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  8. 測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定した測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗原と前記抗原と特異的に結合できる標識物質を結合した抗体を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗原と抗原抗体反応した前記抗体の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗原濃度に換算する換算部と、を備えていることを特徴とする免疫学的測定装置。
  9. 測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定した測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗体と前記抗体と特異的に結合できる標識物質を結合した抗原を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗体と抗原抗体反応した前記抗原の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗体濃度に換算する換算部と、を備えていることを特徴とする免疫学的測定装置。
  10. 測定対象である第二の抗原と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗原を一定量固定し、前記第一の標準抗原と特異的に結合できる標識物質を結合した抗体と前記第一の標準抗原の抗原抗体複合体を形成させた測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗原を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗原と抗原抗体反応した前記抗体の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗原濃度に換算する換算部と、を備えていることを特徴とする免疫学的測定装置。
  11. 測定対象である第二の抗体と同一若しくはその抗原抗体反応のための抗原決定基が共通な第一の標準抗体を一定量固定し、前記第一の標準抗体と特異的に結合できる標識物質を結合した抗原と前記第一の標準抗体の抗原抗体複合体を形成させた測定用反応容器を移送する移送部と、測定対象である第二の抗体を含有した被検液を前記測定用反応容器に注ぎ、比重が前記被検液よりも大きな分離用液体を一定量添加する分離用液体注入部または分離用固体を挿入する分離用固体挿入部と、前記被検液中の前記第二の抗体と抗原抗体反応した前記抗原の前記標識物質の量を測定する測定部と、前記測定部が計測した前記標識物質の量を前記被検液の前記第二の抗体濃度に換算する換算部と、を備えていることを特徴とする免疫学的測定装置。
  12. 前記測定用反応容器が1以上配設されユニット化されていることを特徴とする請求項8乃至11の内いずれか1項に記載の免疫学的測定装置。
  13. 前記測定用反応容器が、円筒体、角筒体の少なくとも1種またはそれらの複合した形状であることを特徴とする請求項8乃至12の内いずれか1項に記載の免疫学的測定装置。
  14. 前記測定用反応容器の温度を一定に保持する温度保持手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至13の内いずれか1項に記載の免疫学的測定装置。
  15. 前記測定用反応容器を撹拌する撹拌手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至14の内いずれか1項に記載の免疫学的測定装置。
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