JP2000327515A - 骨補填剤及びその製造方法 - Google Patents
骨補填剤及びその製造方法Info
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Abstract
を提供すること。 【解決手段】 キチン・キトサンゾルとアパタイトとを
練和して作られたゾル体を中和して作製したフィルムを
乾燥した後に、前記フィルムに溶液を吸水させて骨補填
剤を製造する骨補填剤及びその方法において、乾燥して
いる前記フィルムに前記溶液としてリンゲル液を吸水さ
せることによって弾性を有する前記フィルムを製造す
る。
Description
補填剤及びその製造方法に属し、特に弾性を有する骨補
填剤及びその製造方法に属する。
サン酸性水溶液、ハイドロキシアパタイト(α型−トリ
カルシウムホスヘイト、β型−トリカルシウムホスヘイ
トなど)、ならびに酸化亜鉛及び/又は酸化マグネシウ
ムを混合して製造された硬化性の組成物が知られてい
る。この組成物では、アパタイトを含有しているので
歯、骨などの親和性に優れており、中性付近で硬化する
という特徴を有している(例えば、特開平1−2083
47号公報を参照)。
すように、酸によって溶解したキトサンゾルとアパタイ
トとを練和しゾル体を得る(ゾル化工程11)。キチン・
キトサンの溶解に使用される酸としては、キチン・キト
サンを溶解させる酸であればよい。具体的には酸とし
て、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸、酒
石酸、マロン酸などの一種が用いられる。この酸によっ
て、溶解されキチン・キトサンを酸性ゾルとすることが
できる。
体を中和する(中和工程S21)。ゾル体は中和水溶液中
で3〜60分で硬化し、pH7.0〜10.0の範囲の
骨補填剤が得られる。そして、骨補填剤を乾燥する(乾
燥工程S31)。この状態では、煎餅のようにもろい材質
である。この骨補填剤を生体に埋入する前に、蒸留水も
しくは生理食塩水を骨補填剤に吸水させ(吸水工程S4
1)、ゴムのような弾性体に戻してから生体に埋入す
る。
填剤では、アパタイト顆粒が移動したり排除されること
がない。即ち、キトサンゾルがゲル化してアパタイト顆
粒を固定するため、キチン・キトサンが生体に吸収され
る時期には類骨基質が認められ骨に置換していく。
の寸法に合わせて所望する寸法に自在に切断される。即
ち、骨補填剤は、歯周病などの手術後、顎骨と歯肉との
間に挿入することによって顎骨の再建を行うものであ
る。
せた骨補填剤へ吸水させる蒸留水もしくは生理食塩水な
どの溶液によって、新生骨に置換、形成に差が生じるこ
とが明らかとなった。
た骨補填剤を、SD系ラッドの頭骸骨の骨膜を剥離し骨
膜下に埋入したところ、術後8週間目の骨形成状態にお
いて、蒸留水によって骨補填剤を弾性体に戻すと、骨補
填剤のばらけが進行し、結合組織で被包化されつつある
程度であった。また、骨補填剤の両端部分の骨は成長し
骨補填剤がばらけているが、骨と結合している状態は観
察されなかった。
吸水した骨補填剤では、骨形成が生体で置換されるまで
には長期間を要するものである。
ルムへ吸水させる溶液を新たに見出だすたことによって
骨形成がさらに促進され優れた骨補填剤及びその製造方
法を提供することにある。
って溶解したキチン・キトサンゾルとアパタイトとを練
和して作られたゾル体を中和して作製したフィルムを乾
燥した後、前記フィルムに吸水させた溶液を含む骨補填
剤において、前記溶液がリンゲル液であることを特徴と
する骨補填剤が得られる。
たキチン・キトサンゾルとアパタイトとを練和して作ら
れたゾル体を中和して作製したフィルムを乾燥した後
に、前記フィルムに溶液を吸水させて骨補填剤を製造す
る方法において、前記溶液にリンゲル液を用い、乾燥し
ている前記フィルムに前記リンゲル液を吸水させること
によって弾性を有する前記フィルムとすることを特徴と
する骨補填剤の製造方法が得られる。
された各種アパタイトを練り込んで製作したキチン・キ
トサンフィルムを、骨形成を行う目的で生体に埋入する
前に乾燥して、エチレンオキサイドガス滅菌を行う。こ
の状態では、煎餅のようにもろい材質である。これを生
体に埋入するとき、骨補填剤に溶液を吸水させてゴムの
ような弾性体として用いる。ここでリンゲル液を溶液と
して、このリンゲル液にフィルムを浸漬してから生体に
埋入する。なお、骨補填剤はpH値を7.0〜10.0
に調節したリンゲル液に所定時間(5〜10分程度)浸
漬される。
る。骨伝導物は、歯科医療の分野において骨の近傍もし
くは骨内に物質を充填した場合に骨を作り出す性質のも
のをいう。
態例を説明する。この実施の形態例における骨補填剤
は、酸によって溶解したキチン・キトサンゾルとアパタ
イトとを練和して作られたゾル体を中和した後に乾燥
し、ゲル体に吸水させた溶液とを含む。骨補填剤は溶液
としてリンゲル液を含む。また、この骨補填剤はフイル
ム形状を呈している。
ープから選択された少なくとも一つの元素を含む化合物
の溶液によって中和されている。アパタイトは化学的に
合成したハイドロキシアパタイト(α型−トリカルシウ
ムホスヘイト、β型−トリカルシウムホスヘイトなど)
を用いる。フィルムは、水溶液によって中和されると、
所定の強度を有する骨補填剤が得られる。I族金属元素
の化合物を含む溶液は、生理食塩水、例えば、塩化ナト
リウム、重炭酸ナトリウム、ポリリン酸塩化ナトリウム
のうち少なくとも1つを用いる。また、II族金属元素を
含む化合物としては酸化カルシウムを用いる。
造方法を図1を参照して説明する。図1を参照して、骨
補填剤の製造方法では、図3に示すように、酸によって
溶解したキトサンゾルとアパタイトとを練和しゾル体を
得る(ゾル化工程1 )。練和したキトサンゾルのゾル体
は中和してフィルム状に形成することができる。その
後、化合物を含む水溶液によってゾル体を中和(中和工
程S2 )して骨補填剤を作る。
に埋入する前に、骨補填剤を乾燥する(乾燥工程S3
)。その後に、骨補填剤はエチレンオキサイドガス滅
菌を行う(滅菌工程S4 )。この状態における骨補填剤
は、煎餅のようにもろい材質である。
に、リンゲル液を骨補填剤に吸水させる(吸水工程S5
)。リンゲル液を吸水させた骨補填剤はゴムのような
弾性体に戻される。こうして、リンゲル液を吸水させる
ことによって弾性を有するゲル体のフィルムを製造す
る。その後、骨補填剤は所定形状に切断されて生体の患
部の処置部分に埋入する。
て得られた骨補填剤と、従来の骨補填剤とを比較するた
めに、以下の検証を行った。
ム)、蒸留水 1,000ml(ミリリットル)、生理
食塩水の各溶液を用いて骨補填剤を弾性体に戻す。
CaCl 0.33gを蒸留水に溶かして全量 1,0
00mlとする。水酸化ナトリウムと炭酸水素ナトリウ
ムとでpH値を調節する。そして120℃/10分で高
圧滅菌を行う。このリンゲル液を用い、ガス滅菌を行っ
た骨補填剤を吸水させて弾性体とする。
m、長さ 3mm、幅 2mm)をSD系ラットの頭骸
骨の骨膜を剥離して、骨膜下に埋入を行った。そして、
ラットの術後、1週間、2週間、4週間、8週間後にラ
ットを屠殺し、骨補填剤を埋入した部分を採取した。採
取した骨片を10%ホルマリン溶液で固定を行った。つ
いで、10%のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶
液で脱灰を行い、パラフィン包埋を行った。約4μmの
組織切片を製作しヘマトキシリン・エオジン染色を施
し、光学顕微鏡で観察した。各週間の骨形成の結果は以
下のとおりである。
た骨補填剤では、骨補填剤の両端と骨補填剤の直下に骨
形成が観察された。骨と骨補填剤との間には結合組織は
まだ認められない。蒸留水を用いた骨補填剤では、ほと
んど新生骨が観察されない。骨補填剤は結合組織に包ま
れ、骨補填剤と骨との間の距離は広い。生理食塩水を用
いた骨補填剤では、わずかに骨補填剤の両端に近いとこ
ろに骨形成が観察された。骨と骨補填剤との間には結合
組織が認められた。
た骨補填剤では、骨補填剤の両端の骨は成長し、直下の
骨もフイルムと置換する部分が観察されていた。蒸留水
を用いた骨補填剤では、結合組織が発達し、骨補填剤は
わずかに吸収されつつある。骨補填剤の両端よりわずか
に骨形成が認められた。生理食塩水を用いた骨補填剤で
は、骨補填剤の両端の骨は成長を続けており、骨補填剤
は僅かに吸収されつつある。
た骨補填剤では、骨補填剤がかなりばらけて骨の進入が
観察される部分が多く確認された。蒸留水を用いた骨補
填剤では、骨補填剤がばらけが進行し、結合組織が進入
し発達している。骨補填剤の両端の骨は成長が観察され
た。生理食塩水を用いた骨補填剤では、骨補填剤の両端
の骨は成長しており、骨補填剤はかなりばらけて組織が
進入し、吸収されつつある。
た骨補填剤では、両端の骨はかなり成長し、骨補填剤の
直下は骨補填剤の1/2は骨と置換していた。皮下に近
い部分の骨補填剤はばらけて吸収が進行していた。蒸留
水を用いた骨補填剤では、骨補填剤のばらけがかなり進
行し、結合組織でほとんどが被包化されつつあった。骨
は4週目よりもわずかに成長していた。生理食塩水を用
いた骨補填剤では、骨補填剤の両端部分の骨はかなり成
長しており、骨補填剤はかなりばらけているが、骨と結
合しているものは観察されなかった。
ロン酸)を溶解し、キチン・キトサンを溶解し各種アパ
タイトを練り込んで製作したキチン・キトサンフィルム
も良好な骨形成を示した。
(もしくはマロン酸)の溶液で溶解し、キチン・キトサ
ンゾル体を製作する。このゾル体をハイドロアパタイト
粉末(α型−トリカルシウムホスヘイト、β型−トリカ
ルシウムホスヘイトなど)にキチン・キトサンゾルのゲ
ル化材である金属酸化物(MgO,CaO,ZnO、そ
の他)やCaSiO3 ,CaCO3 ,MgCO3 ,ポリ
リン酸ナトリウムなどを混合して合成した粉末を練和す
る自己硬化型の骨補填材がある。硬化に要する時間は約
5分である。
塩水を用いてリンゴ酸を溶かし骨補填剤とする場合と、
リンゲル液を用いてリンゴ酸を溶かして得られる骨補填
剤とでは、新生骨の形成状態が異なる。そこで、先に説
明した実施の形態例と同様に生理食塩水とリンゲル液と
を用いて同じ検証を行った。
末 0.1gを生理食塩水 2mlで溶解し、キチン・
キトサンゾル体を製作する。このゾル体とハイドロキシ
アパタイト粉末 0.3g、MgO 0.02g、Ca
O 0.03gを混合した粉末とを練和する。このペー
スト状の骨補填剤をシリジンでSD系ラットの頭蓋骨の
骨膜を剥離した骨面に注入した。術後、1週間、2週
間、4週間後にラットを屠殺し、骨補填剤を注入した部
分の骨を採取した。採取した骨を10%ホルマリン溶液
で固定を行った。ついで、10%のエチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム溶液で脱灰を行いパラフィン包埋を行
った。
をリンゴ酸 0.1gと先の実施の形態例と同様のリン
ゲル液を用いて溶解し、その骨補填剤をSD系ラットの
頭蓋骨の骨膜を剥離した骨面に注入した。術後、1週
間、2週間、4週間後にラットを屠殺し、ペーストを注
入した部分の骨を採取した。採取した骨を10%ホルマ
リン溶液で固定を行った。ついで、10%のエチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム溶液で脱灰を行いパラフィン
包埋を行った。約4μmの組織切片を製作しヘマトキシ
リン・エオジン染色を施し、光学顕微鏡で観察した。各
週間の骨形成の結果は以下のとおりである。
た骨補填剤では、注入した骨補填材が結合組織に被包化
されているが、骨と接触している部分に新生骨が形成さ
れていた。生理食塩水を用いた骨補填剤では、注入した
骨補填材が結合組織に被包化されているが、骨と接触し
ている部分に新生骨が形成されていた。
骨補填材の約50%は吸収され、新生骨と置換してお
り、骨補填材全体はかなりばらけて、新生血管が認めら
れた。生理食塩水を用いた骨補填剤では、骨補填材の約
30%は吸収され、新生骨と置換していた。
た骨補填剤では、骨補填材の約90%は吸収され、新生
骨と置換し、骨補填材の残部は新生した骨内部にばらけ
て散在していた。
材の残部の外周面はばらけて、新生血管が認められ、約
40%の新生骨と置換していた。
解し、キチン・キトサンをゾル化して用いると、新生骨
の骨形成が促進されることが検証された。
発明の骨補填剤及びその製造方法によれば、リンゲル液
を用い酸を溶解し、キチン・キトサンをゾル化して用い
ると、乾燥したフイルムをゴム状に戻すのに、リンゲル
液を用いることによって新生骨の骨形成がさらに促進す
ることができる。
方法を示す工程説明図である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸によって溶解したキチン・キトサンゾ
ルとアパタイトとを練和して作られたゾル体を中和して
作製したフィルムを乾燥した後、前記フィルムに吸水さ
せた溶液を含む骨補填剤において、前記溶液がリンゲル
液であることを特徴とする骨補填剤。 - 【請求項2】 請求項1記載の骨補填剤において、前記
リンゲル液のpH値が7.0〜10.0であることを特
徴とする骨補填剤。 - 【請求項3】 酸によって溶解したキチン・キトサンゾ
ルとアパタイトとを練和して作られたゾル体を中和して
作製したフィルムを乾燥した後に、前記フィルムに溶液
を吸水させて骨補填剤を製造する方法において、前記溶
液にリンゲル液を用い、乾燥している前記フィルムに前
記リンゲル液を吸水させることによって弾性を有する前
記フィルムとすることを特徴とする骨補填剤の製造方
法。 - 【請求項4】 請求項3記載の骨補填剤の製造方法にお
いて、pH値を6.0〜8.0に調節した前記リンゲル
液に前記フィルムを浸漬することを特徴とする骨補填剤
の製造方法。
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