JP2000326345A - 人工大理石板の製造方法 - Google Patents

人工大理石板の製造方法

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JP2000326345A
JP2000326345A JP11138754A JP13875499A JP2000326345A JP 2000326345 A JP2000326345 A JP 2000326345A JP 11138754 A JP11138754 A JP 11138754A JP 13875499 A JP13875499 A JP 13875499A JP 2000326345 A JP2000326345 A JP 2000326345A
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Japan
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gasket
artificial marble
raw material
polymerization
marble plate
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JP11138754A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Watanabe
博之 渡辺
Kenji Suemura
賢二 末村
Shogo Okazaki
正吾 岡崎
Koji Nishida
耕二 西田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対のエンドレスベルトを重合硬化装置とし
て寸法精度の優れた人工大理石板を高い生産性で連続的
に製造する方法を提供する。 【解決手段】 対向して走行する一対のエンドレスベル
トの対向面と、そのベルト両側端付近で両ベルト面間に
挟まれてベルトの走行に追随して走行するガスケットと
により形成される空間部に人工大理石板重合原料混合物
を注入して加熱重合固化する連続製造方法において、予
めラジカル重合性ビニル化合物を含浸させたガスケット
を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工大理石板の連
続製造方法、さらに詳しくは無機充填材の混合された重
合原料混合物を一対のエンドレスベルトを使用する連続
硬化装置を用いて硬化させる人工大理石板の連続製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系人工大理石板は、アクリル系
樹脂組成物に多量の粉末形無機質充填材、大理石紋柄発
現用粒子(マーブルチップ)等の各種の添加剤、及び硬
化開始剤、顔料などを混合してスラリー状の人工大理石
原料混合物を製造し、これを金型等に注入した後適切な
硬化装置で硬化させて板状品を製造した後、エッジトリ
ミング及び表面研磨過程を経ることにより、最終製品に
製造される。このようなアクリル系人工大理石板は、表
面と内部とが均質である無孔質の素材からなるため堅固
であり、切断、研磨、熱による屈曲や接着剤による接合
加工などが容易であって台所用シンクの上板、各種のカ
ウンター、洗浄台、壁材などの建築内蔵材としての需要
が増加している。
【0003】通常、アクリル系人工大理石は、鋳型法と
連続製造方法との2種類の製法によって商業的に製造さ
れる。鋳型法は特開昭52−36155号公報、特開昭
53−112990号公報などに開示されているよう
に、2枚の金属板或いはガラス板に樹脂製ガスケットを
入れてクランプで圧着した型枠に人工大理石原料混合物
を注入し、水槽あるいは空気循環オーブンで1、2次硬
化させた後、型枠を解体して最終製品を取得する方法で
ある。しかし、この方法はバッチ式操作なので操作が複
雑であり、製造費用も上昇して生産性が非常に低いとい
う問題があるため連続化による製法の合理化が要望され
た。
【0004】そこで上述したような鋳型法を連続化する
人工大理石の連続製造方法として、特公昭47−348
15号公報、特公昭49−35818号公報及び特公昭
49−36944号公報に記載されているような無機質
の含まれていないアクリル樹脂板の連続製造方法を利用
することが考えられている。この方法は対向する面が同
一方向、同一速度で走行する上下に設けられた一対のエ
ンドレススチールベルト、該ベルトの幅方向の両側の間
に樹脂ガスケットを連続的に供給する装置、適切な加熱
及び冷却装置などから構成される硬化装置を用いて、原
料混合物をベルトとガスケットによって形成される空間
に連続的に注入し、エンドレスベルトの移動に従って走
行中に重合させて板状の製品を装置の出口から連続的に
取り出す方法である。
【0005】また、アメリカ合衆国特許第3,570,
056号明細書には、アクリル系樹脂板重合原料を1個
のエンドレススチールベルトと付帯装置から構成される
連続硬化装置に連続的に注入し、スチールベルトの移動
に応じて連続的に硬化させて板状の製品を製造する方法
について開示されている。同明細書には、エンドレスベ
ルト表面にフィルムを貼り付け、その上に重合原料を流
し込み、重合原料の上をもう一方のフィルムで覆う方法
についても開示されている。
【0006】これらの無機質の含まれていないアクリル
樹脂板の連続製造方法をアクリル系人工大理石板の製造
に応用した内容の出願として、特表平9−512303
号公報、WO98/17713号公報、特開平10−2
17264号公報がある。しかしながら、これら公報に
記載されている方法により、金属製鋳型やエンドレスス
チールベルトを用いてアクリル系人工大理石を製造しよ
うとした場合、ガスケット近傍の鋳型面やスチールベル
ト面に人工大理石の硬化物が付着して残り、離型が困難
になるという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、
一対のエンドレスベルトを重合硬化装置として寸法精度
の優れた人工大理石板を高い生産性で連続的に製造する
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、対向
して走行する一対のエンドレスベルトの対向面と、その
ベルト両側端付近で両ベルト面間に挟まれてベルトの走
行に追随して走行するガスケットとにより形成される成
形空間部に人工大理石板重合原料混合物を連続的に注入
して加熱重合固化する人工大理石板の連続製造方法にお
いて、予めラジカル重合性ビニル化合物を含浸させたガ
スケットを使用することを特徴とする人工大理石板の連
続製造方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付の図面を参照
して説明する。図1は本発明を実施するために使用する
連続製板装置の全体側面図であって、相対するベルト面
が同一方向に同一速度で走行するように一対のエンドレ
スベルト1、1’を上側、下側回転ドラム2、3、
2’、3’に巻きかけて配置する。この一対のエンドレ
スベルト1、1’の相対するベルト面と、その両側辺部
においてベルト面で挟まれた状態で走行する連続したガ
スケット7、7’とによって囲まれた成形空間に、その
上流端に配置した原料注入装置6から人工大理石板重合
原料混合物を連続的に注入し、成形空間における第1加
熱ゾーン13、第2加熱ゾーン9、9’、第1冷却ゾー
ン10及び第2冷却ゾーン11を経た後、人工大理石板
としてエンドレスベルト1、1’の末端より取り出すよ
うにした連続製板装置を示す。2個のエンドレスベルト
1、1’は実質的に水平に設置されていることを特徴と
しており、板厚精度の高い人工大理石板を得ることがで
きる。図1における矢印は、一対のエンドレスベルト
1、1’の進行方向を示している。
【0010】また、本発明においては、特開昭54−1
57166号公報記載の方法である、人工大理石板の片
面または両面に凹凸模様を転写させるため、上流端より
エンドレスベルトの成形面の一方または両方に重合原料
混合物と相溶しない、かつ凹凸模様を予め施したポリエ
チレンテレフタレートやポリビニルアルコール等のフィ
ルムを連続的に供給する装置を用いることもできる。そ
の際、ベルトとフィルムとの間に気泡等の空気層を挟み
込まないように、また、フィルムがベルトに接して傷を
つけたりしないように、両者の間に流動パラフィンや液
状ポリエチレングリコール等の密着液を介在させること
もできる。
【0011】本発明によって人工大理石板を製造するに
当たっては、重合成分(A)、無機充填材(B)及び必
要に応じて少量の分散剤、架橋剤、光安定剤、重合開始
剤及び顔料を攪拌型混合機で混合し、真空下で脱気して
人工大理石板重合原料混合物を製造した後、前記の連続
製板装置の成形空間に注入する。
【0012】上述の人工大理石板重合原料混合物は、原
料注入装置6を経て、エンドレスベルト1’の上流端上
に連続的に注入される。原料注入装置6としては、特公
昭60−31643号公報に記載されているような少な
くとも2個の原料注入手段を具えた装置を用いることが
できる。また、特公平3−5287号公報に記載されて
いるような複数の注入装置を用いて流れ模様とか、異色
模様を有する人工大理石板を得ることもできる。
【0013】注入される人工大理石板重合原料混合物の
粘度範囲は、室温で0.6〜10Pa・sであることが
好ましく、0.6〜5Pa・sであることが特に好まし
い。粘度が低すぎると、重合中に無機充填材(B)が重
合成分(A)中で沈降してしまい、製品価値が低くなる
ので好ましくない。粘度が高すぎると、注入装置6への
送液が困難であったりエンドレスベルト上に注入された
後成形空間に流延しないことがあるので好ましくない。
【0014】エンドレスベルト1、1’に挟まれ成形空
間を形成するためのガスケット7、7’の素材として
は、従来一般に用いられているもの、例えば軟質ポリ塩
化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、可撓性プラスチック、天然ゴム等が用いられるが、
軟質ポリ塩化ビニルが最も好ましく用いられる。ガスケ
ット供給装置としては特公昭51−33826号公報記
載のように、たとえば、保管のため扁平になったガスケ
ットを蒸気または電熱加熱により本来の形状に戻して上
下ベルト間に供給することが好ましい。
【0015】本発明においてガスケットは、ラジカル重
合性ビニル化合物により含浸されたものを用いる。ガス
ケットに対するラジカル重合性ビニル化合物の含浸手段
としては、適宜の方法が採用できるが、一例として図2
に示すような、エンドレスベルト1、1’間に供給され
る前に、走行中のガスケット7をラジカル重合性ビニル
化合物の槽17に浸漬することにより達成される。ガス
ケットはラジカル重合性ビニル化合物の槽に浸漬する前
に加温しておくと含浸の効率は向上する。図2において
15は加温のための蒸気パイプ、16は案内ローラーを
示す。なお、ガスケット7’も全く同様にしてラジカル
重合性ビニル化合物が含浸処理される。
【0016】ここで用いられるラジカル重合性ビニル化
合物としては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタク
リル酸エステル;エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート等のアクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基
含有単量体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエ
ステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート等のエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メ
チルスチレン等の分子中にエチレン性不飽和結合を有す
る重合性芳香族化合物;エチレングリコールジメタクリ
レート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、
ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジメタクリレート等が挙げられるが、好
ましく用いられるものは後述の重合成分(A)に使用さ
れる単量体と同じものである。
【0017】また、ガスケットとしては、特公昭47−
33497号公報記載のように、4本を用いて二重に配
置することもできる。こうすることによって、水溶性の
フィルムをベルト面に貼り付けて使用した場合でもフィ
ルムを内側のガスケットで抑え外側のガスケットの外ま
で出てこない幅寸法とすれば、後述する第1加熱ゾーン
13の加熱方式として温水を使用可能とすることができ
る。この場合、ラジカル重合性ビニル化合物を含浸した
ガスケットを用いるのは内側に配置する2本のみでよ
い。
【0018】注入装置6より注入された人工大理石板重
合原料混合物は、エンドレスベルト1’と共に移動しな
がら上側エンドレスベルト1に挟み込まれ、第1加熱ゾ
ーン13内に移送される。
【0019】第1加熱ゾーン13における加熱方式とし
ては、特開平6−239905号公報に記載されている
ようなベルトの外部に熱風をあてる方法、特公昭47−
33495号公報に記載されているような温水をシャワ
ー状にして散布する方法の他、温水浴中を走行させる方
法、赤外線を用いる方法等を採用できる。また、特公昭
58−49167号公報や特公昭58−49168号公
報に記載されているような、エンドレスベルトの幅方向
及び上下エンドレスベルト面で温水シャワーの分布を調
節することにより温度分布をとらせる方法も、板厚精度
を向上する目的で好適な方法として採用できる。温水温
度としては、100℃以下の任意の温度を用いることが
できるが、装置の大型化を避け生産性を上げるために可
及的急速に重合させることが好ましい。急速に重合させ
るためには、温水温度が60℃以上であることが好まし
い。
【0020】第2加熱ゾーン9、9’には、特公昭47
−33495号公報に記載されているような空気炉等が
設置されており、重合硬化の進んだ人工大理石板重合原
料混合物の熱処理を行い重合を完結させる。次いで、冷
却ゾーン10、11で冷却され、製品としての人工大理
石板12が連続的に取り出される。
【0021】本発明による方法の実施に適用される人工
大理石板重合原料混合物は、メタクリル酸メチルまたは
メタクリル酸メチルとその重合体の混合物を主成分とす
る重合成分(A)と無機充填材(B)の混合物を含んで
なり、次のような組成から構成されるものが好ましい。
【0022】重合成分(A)は、メチルメタクリレート
単独またはメチルメタクリレート70重量%以上と共重
合可能な他の単量体が混合されたものである。共重合可
能な他の単量体としては、例えば、ブチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメチルメタ
クリレート以外のメタクリル酸エステル;エチルアクリ
レート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有
単量体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステ
ル類;メタクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含
有単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート等のエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メ
チルスチレン等の分子中にエチレン性不飽和結合を有す
る重合性芳香族化合物等が挙げられる。
【0023】このような重合成分(A)は、工程適合性
のために連続式あるいは回分式反応器で部分重合する
か、またはポリメチルメタクリレートをメチルメタクリ
レートに溶解してポリマーの含量が10〜35重量%範
囲内のシラップ形態にして使用することが好ましい。本
発明において、重合成分(A)としてシラップを用いる
利点としては、重合性原料に無機充填材(B)を添加す
る際、重合性原料であるシラップの粘度をコントロール
することによって、人工大理石板重合原料混合物中の無
機充填材(B)の沈降を防ぐことができること、該重合
性原料混合物を重合硬化させるに当たり、硬化時間を短
縮でき、生産性が向上すること等が挙げられる。
【0024】また、本発明においては上記シラップに、
分子内に2個以上のビニル基を有する架橋性ビニル化合
物を配合することができる。架橋性ビニル化合物の具体
例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート、ジビニルベ
ンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジメタクリレートや、エチレン系不飽和ポリカルボ
ン酸を含む少なくとも一種の多価カルボン酸と少なくと
も一種のジオール類とから誘導された不飽和ポリエステ
ルプレポリマー等が挙げられる。
【0025】使用される無機充填材(B)の例としては
炭酸カルシウム、アルミナ、ガラス繊維、水酸化アルミ
ニウム、シリカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム等が挙げられ、重合成分(A)100重量部
に対して10〜400重量部の範囲で使用することが好
ましい。無機充填材(B)の量が低過ぎると大理石様の
質感、重量感が得られにくくなり、高すぎると人工大理
石としての透明感、機械的物性が低下して人工大理石と
して不適になる。製品を天然石とよく似た質感、風合い
とするためには、無機充填材(B)の添加量が重合成分
(A)100重量部に対して40〜400重量部とする
ことがさらに好ましく、60〜400重量部とすること
が最も好ましい。
【0026】無機充填材を混合する際には、特開平3−
285854号公報や特開平9−110498号公報に
記載されているような一次粒子径5〜50nm、比表面
積50〜400m2 /gのシリカ微粒子を、人工大理石
板重合原料混合物100重量部に対して5重量部以下添
加する等の無機充填材の沈降防止方法を採用することが
できる。
【0027】なお、本発明においては無機充填材(B)
としては、表面を例えばシラン系カップリング剤、チタ
ネート系カップリング剤、リン酸系カップリング剤等で
処理したものを用いることもできる。これらで処理した
無機充填材(B)を使用した場合、未処理の無機充填材
と比較して人工大理石板の強度、耐熱性、耐候性、耐熱
水性を向上させることができる。無機充填材に対する表
面処理剤量は、無機充填材100重量部あたり0.01
〜2重量部程度が標準である。表面処理剤としては、γ
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
等、メタクリル基を有するアルコキシシランが好適であ
る。
【0028】無機充填材(B)としては、水酸化アルミ
ニウムが特に好ましく用いられる。人工大理石板を石目
調製品とする場合には、さらに、着色あるいは未着色の
粒子形マーブルチップが加えられる。
【0029】また、本発明において使用する無機充填材
(B)は、平均粒子径5〜30μmのものであることが
好ましい。粒子径がこれより大き過ぎると人工大理石の
物性が低下し、小さ過ぎると人工大理石の光透過性が低
下する。また、無機充填材(B)はJIS P8123
に準じた方法で測定されたハンター白色度が90%以
上、好ましくは95%以上の高白色タイプのものを用い
ることが人工大理石製品の色調を良好にし、または色調
の調節をし易くするのでより好ましい。
【0030】これら平均粒子径5〜30μmの無機充填
材(B)を構成成分とした人工大理石は、平均粒子径が
30μmより大きい無機充填材を用いたものに比べて、
強度、耐熱性、耐候性、耐熱水性が極めて良好である
が、ベルトとガスケットで形成された成形空間で重合硬
化させて人工大理石板を製造する際に、ガスケット近傍
のベルト面に人工大理石の硬化物が付着して残り、離型
が困難になる。
【0031】本発明者らは、かかる問題を解決すべく鋭
意検討した結果、この現象が以下の理由により起きるこ
とを見いだし本発明に至ったものである。すなわち、本
発明者らの検討結果によれば、この現象は用いる無機充
填材の粒子径が小さいほど起こる傾向にある。また、無
機充填材の表面をシランカップリング剤等で処理したも
のを用いる方がより起こり易い。さらに、単量体混合物
と無機充填材を主成分とする人工大理石板重合原料混合
物中の単量体がポリ塩化ビニル製ガスケットに接触する
と、ガスケットの中に含浸し、結果としてガスケット近
傍の該重合原料混合物中の無機充填材含有量が増大す
る。この部分の重合硬化物は無機充填材の含有量が多い
ことから金属板等への接着性が大きくなるとともに、重
合硬化物そのものの強度は小さくなるため、ガスケット
近傍のスチールベルト面に人工大理石の硬化物が付着し
て残り、ひいては離型が困難になると考えられる。
【0032】実際に、該付着物中の無機充填材含有量を
調べたところ、仕込んだ人工大理石板重合原料混合物中
の無機充填材含有量が60重量%であったのに対し、該
付着物中の無機充填材含有量は90重量%であった。そ
こで、本発明ではこの点に着目し、人工大理石板重合原
料混合物中の単量体のガスケットへの含浸を少なくする
ことによりこの問題を解決することができた。その一方
法として、使用するガスケットに予めラジカル重合性ビ
ニル化合物、好ましくは重合成分(A)に使用される単
量体と同じものを含浸させるものであり、これにより人
工大理石板重合原料混合物中の単量体が重合中にポリ塩
化ビニル製ガスケットへ含浸する量が少なくなり、結果
としてガスケット近傍の該重合原料混合物中の無機充填
材含有量の増大が抑えられ、ひいては上記の付着現象が
起こらなくなり、離型を容易にし、連続製造を可能とす
ることができるのである。
【0033】本発明において、人工大理石板を石目調と
するために添加される粒子形マーブルチップとしては、
樹脂や、樹脂に無機充填材を分散した人工大理石を破砕
して得られる粒子径範囲100〜5000μmの着色あ
るいは無着色の粒子が用いられることが好ましい。これ
らは特表平4−504402号公報、特開平9−285
7号公報、特開平9−188556号公報等に記載され
ているように、所望のデザインに応じて適当量用いられ
る。
【0034】また、人工大理石板重合原料混合物を重合
硬化させるに当たり、ラジカル重合開始剤を使用するこ
とができる。使用されるラジカル重合開始剤としては、
重合成分基準で0.001〜5重量%の範囲で通常のラ
ジカル重合開始剤が使用されることが好ましい。その具
体例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)等のアゾ化合物、t−ヘキシルパーオキシピバ
レート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチル
パーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル
類、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸
化物及びこれらのレドックス系の重合開始剤等であり、
これらは単独あるいは併用して使用することができる。
【0035】重合開始剤が有機過酸化物の場合、重合促
進剤として第三級アミンを用いることもできる。また、
例えばt−ブチルパーオキシマレイン酸等の飽和第三級
アルキルパーオキシマレイン酸と塩基性金属化合物を反
応させたマレイン酸のヘミパーエステル類に、重合促進
剤として水、エチレングリコールジメルカプトアセテー
ト等のメルカプタン化合物、硫黄のオキソ酸塩またはそ
の遊離酸塩である硫黄活性剤等を組み合わせた系も用い
ることができる。これらの重合開始剤系は、製造者が所
望する重合硬化条件(温度、時間、コスト等)によって
適宜選択することができる。
【0036】さらに、本発明においては、上述の各成分
以外にも、従来より人工大理石の添加成分として知られ
ている各種成分が使用できる。例えば白色(酸化チタ
ン、硫化亜鉛)、黄色(酸化鉄イエロー)、黒色(酸化
鉄ブラック)、赤色(酸化鉄レッド)、青色(ウルトラ
マリンブルー、フタロシアニンブルー)等の顔料、染
料、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、流動化剤、増粘
剤、重合禁止剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0037】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げてさらに説
明する。説明中「%」は重量%を、「部」は重量部を意
味する。
【0038】[実施例1]重合率20%のメタクリル酸
メチルシラップ(粘度1.2Pa・s、20℃)70
部、メタクリル酸メチル29部、エチレングリコールジ
メタクリレート1部を混合したシラップ100部に、離
型剤としてジオクチルスルホサクシネートを1.25
部、アルキルアシッドフォスフェート(デュポン社製、
商品名:ゼレックUN)を1.25部加えて溶解させ
た。混合物をミキサーで攪拌しながら、これにシラン処
理を施された平均粒子径8μm、ハンター白色度99%
の水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属(株)製、商品
名:BW103ST)150部を少しずつ加え、水酸化
アルミニウム粉末がシラップ中に均一に混合されたスラ
リーを得た。その後、スラリー250部に対して重合開
始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油
脂(株)製、商品名:パーヘキシルPV)0.2部を加
えて均一に混合し、重合原料混合物を得た。20℃にお
ける重合原料混合物の粘度は1.4Pa・sであった。
【0039】得られた重合原料混合物を真空容器内で脱
泡した後、図1に示した連続製板装置を用いて厚さ3m
mの人工大理石板を製造した。図1の装置は厚さ1.5
mm、幅1500mmの有意面が鏡面加工された上下2
枚のステンレス製エンドレスベルト1、1’が実質的に
水平に設置され、下ベルト1’のみがベルト駆動用モー
ター14によって駆動され、板状重合物として得られる
人工大理石板が均一な3mmの厚さになるようにローラ
ー群4、4’によって保持されている。ガスケット7、
7’としては特公昭47−49823号公報に記載のポ
リ塩化ビニル製ガスケットを用い、図2に示した装置に
より案内ローラー16により走行中蒸気パイプ15で加
熱された後、ラジカル重合性ビニル化合物としてメチル
メタクリレート槽17を浸漬通過し、メチルメタクリレ
ートが含浸され、さらに案内ローラー16によりエンド
レスベルト1、1’間に供給されている。
【0040】連続製板装置の全長は90mで、前部の第
1加熱ゾーン13(長さ60m)はベルト外面から温水
スプレー装置8、8’により80℃の温水をシャワー状
に散布して加熱し、後部の第2加熱ゾーン9、9’(長
さ10m)は120℃の空気炉中で加熱されている。エ
ンドレスベルト1、1’の走行速度は1.5m/分であ
る。
【0041】連続製板装置出口におけるステンレス製エ
ンドレスベルト1、1’からの人工大理石板12の離型
性には問題はなく、安定した運転が可能であった。離型
後のステンレス製エンドレスベルトは清浄であり、基本
的に洗浄することなく連続的に使用可能であった。得ら
れた人工大理石板は表面が平滑でエンドレスベルト面が
転写されており、欠陥もなく意匠性に優れていた。板厚
精度は3±0.1mmであり、良好であった。
【0042】[比較例1]ガスケット7、7’にメチル
メタクリレートを含浸させない他は、実施例1と同様の
方法で人工大理石板の製造を行った。連続製板装置出口
において、ステンレス製エンドレスベルトからの人工大
理石板の離型が困難で、安定した運転の継続が不可能で
あった。離型後のステンレス製エンドレスベルトを見る
と、ガスケットが設置されてあった部分の内側近傍にガ
スケット位置に並行した形で5〜10mm幅の線状の固
い人工大理石の付着物が残存しており、簡単に除去する
ことはできなかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明した本発明の人工大理石板の連
続製造方法によれば、ガスケットにラジカル重合性ビニ
ル化合物を含浸させたことにより、ガスケット近傍特定
部位におけるエンドレスベルトとの離型不良を低減する
ことができ、安定した連続製造を可能とするものであ
る。また、得られた人工大理石板は、従来技術にない板
厚精度を有し、撓み、クラック、気泡、へこみ等の無い
ものを連続的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する人工大理石板の連続製造装置
の1例の側面概略図である。
【図2】ガスケットにラジカル重合性ビニル化合物を含
浸して供給する方法の概略図である。
【符号の説明】
1、1’ エンドレスベルト 2、2’ 回転ドラム(前) 3、3’ 回転ドラム(後) 4、4’ ローラー群 5 人工大理石板重合原料混合物供給用の定量
ポンプ 6 人工大理石板重合原料混合物注入装置 7、7’ ガスケット 8、8’ 温水スプレー装置 9、9’ 第2加熱ゾーン 10、11 冷却ゾーン 12 人工大理石板 13 第1加熱ゾーン 14 ベルト駆動用モーター 15 ガスケット加熱用蒸気パイプ 16 案内ローラー 17 ラジカル重合性ビニル化合物槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 正吾 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 西田 耕二 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4F204 AA21 AA21E AB03 AB04 AB11 AB16 AB17 AF09 AG01 AH49 EA03 EA04 EB02 EF01 EK04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して走行する一対のエンドレスベル
    トの対向面と、そのベルト両側端付近で両ベルト面間に
    挟まれてベルトの走行に追随して走行するガスケットと
    により形成される空間部に人工大理石板重合原料混合物
    を連続的に注入して加熱重合固化する人工大理石板の連
    続製造方法において、予めラジカル重合性ビニル化合物
    を含浸させたガスケットを使用することを特徴とする人
    工大理石板の連続製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020062053A (ko) * 2001-01-19 2002-07-25 이상순 싱크대 상판의 제조장치
JP2008524103A (ja) * 2004-12-17 2008-07-10 チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド 発泡大理石成形品及びその製造方法
JP2008534314A (ja) * 2005-03-22 2008-08-28 コセンティノ,ソシエダッド アノニマ 真空下において、振動・圧縮を用いてメタクリレート樹脂を含む屋外用の人工石板を製造するための方法

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