JP2000324948A - 切り花用保水剤及び保水材 - Google Patents

切り花用保水剤及び保水材

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JP2000324948A
JP2000324948A JP11140980A JP14098099A JP2000324948A JP 2000324948 A JP2000324948 A JP 2000324948A JP 11140980 A JP11140980 A JP 11140980A JP 14098099 A JP14098099 A JP 14098099A JP 2000324948 A JP2000324948 A JP 2000324948A
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cut flowers
water retention
hydrogel
ion
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JP11140980A
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Kazuhiro Kasuya
和宏 糟谷
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な保水性を有し、しかも植物の生育或い
は鮮度保持に悪影響を生じない切り花用保水剤及び保水
材を提供する。 【解決手段】 カルシウム吸収量が乾燥重量1gあたり
0〜100mgであり;塩素イオンの含有量が感想重量
1gあたり0.07〜7mmolであり;且つ、25℃
のイオン交換水中での吸水倍率が1.0×101〜1.
0×103倍数であるハイドロゲル形成性の高分子から
なる切り花用保水剤とこれらの保水剤が水溶性若しくは
水崩壊性の紙及び/若しくはフィルムに包まれてなる切
り花用保水材を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切り花用保水剤に
関し、より詳しくは切り花の一輪差し、切り花の盛りつ
け、切り花の輸送などの目的に適した切り花用保水剤及
び保水材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、花き生産者が切り花を採取して、
出荷する際、その包装梱包形態は、通常、切り花の切り
口を含水した紙や綿状物で包み、耐水性の段ボール箱に
詰めるか、その口を含水紙とともにプラスチックフィル
ム或いはアルミホイルで包み、段ボール箱に詰めてい
る。また、小売店では、茎の太さ、枝振りの異なる種々
の切り花を束ねて、顧客に届けることが、日常的になさ
れているが、この時、切り花の切り口に含水した保水性
スポンジを当て、プラスチックフィルムを巻き、更に、
アルミ箔などで装飾して、段ボール箱に詰めている。し
かし、これらの材では保水能が不充分で、顧客に届けら
れた段階で、すでに鮮度が落ち、商品価値が下がり、ト
ラブルの原因となっている。その為、近年、新しい切り
花用保水剤として水に不溶で水に接して多量の水を吸収
する各種ハイドロゲル形成性の高分子が提案され利用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
は保水能は充分であるが、切り花の切り口がハイドロゲ
ル形成性の高分子に直接接すると切り花の生育或いは鮮
度保持に悪影響を及ぼし、それが原因で切り花を枯らす
場合がある。本発明の目的は植物の生育或いは鮮度保持
に悪影響を生じないで、且つ良好な保水能を有する切り
花用保水剤および保水材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を改善した切り花用保水剤および保水材を得るべく鋭意
検討した結果、特定のハイドロゲル形成性の高分子のゲ
ルが極めて良好な切り花用保水剤となることを見出し、
本発明を完成した。即ち本発明は、下記(1)〜(3)
である。 ( 1)下記に示すハイドロゲル形成性の高分子(A)から
なる切り花用保水剤である。 ハイドロゲル形成性の高分子(A):カルシウムイオン
吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgであり;塩
素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7m
molであり;且つ、25℃のイオン交換水中での吸水
倍率が10〜1,000倍であるハイドロゲル形成性の
高分子。 (2)切り花用保水剤が、水溶性若しくは水崩壊性の紙
及び/若しくはフィルムに包まれてなる切り花用保水材
である。 (3)非水溶性の紙及び/若しくはフィルムからなる包
体又は非水溶性の容器中に(2)の切り花用保水材が存
在してなる切り花用保水材である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においてハイドロゲル形成
性の高分子(A)とは、架橋(crosslinking)構造ない
し網目構造を有し、該構造に基づき(その内部に)水を
保持することにより、ハイドロゲルを形成可能な性質を
有する高分子をいう。また、「ハイドロゲル」とは、高
分子からなる架橋ないし網目構造と、該構造中に支持な
いし保持された(分散液体たる)水とを少なくとも含む
ゲルをいう。
【0006】本発明において(A)としては、例えば
(1)デンプンまたはセルロース(イ)とカルボキシル
基、スルホン酸基などの親水基を含有する水溶性単量体
及び/又は加水分解により水溶性となる単量体から選ば
れる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分と
して重合させ、必要により加水分解を行うことにより得
られる吸水性樹脂。(イ)、(ロ)及び(ハ)の割合、製造法及
び吸水性樹脂の具体例は特開昭52−25886号、特
公昭53−46199号、特公昭55−21041号公
報及び特願平10−316440号明細書に記載されて
いる。 (2)(イ)と(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリ
ロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−
アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物等); (3)(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架
橋物等); (4)(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリル
アミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アク
リルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架
橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリ
アクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエス
テル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52
−14689号及び特開昭52−27455号公報に記
載)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたア
クリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイ
ソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリ
ビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリ
ビニルアルコール);並びに (5)自己架橋性を有する(ロ)の重合物(自己架橋型ポ
リアクリル酸塩等)が挙げられる。以上例示したハイド
ロゲル形成性の高分子は2種以上併用してもよい。
【0007】これらのハイドロゲル形成性の高分子のう
ち、好ましいものは、(1)並びに(4)として例示し
たもののうち、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋
されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−
アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン
−無水マレイン酸共重合体、および架橋されたカルボン
酸変性ポリビニルアルコールである。(A)の吸水倍率
は、上記の架橋構造、特に架橋密度に依存し、一般に架
橋密度が低い程、吸水倍率が大きくなる傾向がある。
(A)においては、架橋密度は、全単量体に対する分岐
点のモル%で、約0.01〜約10mol%、好ましく
は約0.05〜約5mol%である。架橋剤により架橋
構造を導入する場合、架橋剤の全単量体(該架橋剤自体
をも含む)に対する共重合重量比は、約0.005〜約
3wt.%、好ましくは約0.01〜約2wt.%であ
る。
【0008】本発明において架橋密度が約10mol%
未満の場合には、(A)の吸水倍率が大きくなるため
に、本発明の切り花用保水剤としての効果が大きくな
る。一方、架橋密度が約0.01mol%以上の場合に
は、該(A)の機械的強度が強くなり、取扱いが良好と
なる。(A)および粒子の集合体の形状、大きさ等は特
に制限なく、例えば粉末状、粒状、塊(ブロック)状等の
ものが使用可能であり、またその大きさは1μmから数
cmのものまでが使用可能である。使用する目的に応じ
て、これらの形状、大きさ等は適宜選択することができ
る。例えば、平均粒子径は通常5〜5,000μm、好
ましくは10〜4,000μmであり、特に好ましくは
100〜900μmである。
【0009】(A)はカルシウムイオン吸収量が乾燥重
量1gあたり0〜100mgである。本発明において、
「カルシウムイオン吸収量」は例えば以下の方法により
好適に測定可能である。 (カルシウムイオン吸収量の測定)1gの乾燥した
(A)を、カルシウムイオン濃度200mg/Lの塩化
カルシウム水溶液1Lに添加し、時々撹拌しながら25
℃で48時間、恒温槽中で放置して、上記の(A)を膨
潤させつつカルシウムイオンを吸収させる。膨潤した
(A)を分離し、残存する上清(上記塩化カルシウム水
溶液の過剰分)中のカルシウムイオン濃度を原子吸光分
析により定量する(a mg/L)。
【0010】この際、上記原子吸光分析法によるカルシ
ウムイオン分析においては、下記の条件が使用可能であ
る。 <原子吸光分析の測定条件> 原子吸光分析装置:島津製作所社製、商品名:AA−6
500オートシステム 点灯条件:Ca#8 電流:10mA/0mA 波長:422.7nm スリット幅:0.5μm このようにして測定したカルシウムイオン濃度の定量値
(a)に基づき、(A)1gあたりのカルシウムイオン
吸収量は、次式により求められる。(A)と上清の分離
に際し、未架橋の水溶性高分子が上清中に溶解している
可能性があるため、必要に応じて、重量平均分子量1,
000〜 3,000程度の限外濾過膜を用いた限外濾
過による分離を行う。 (A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量(mg/
g)=200−a
【0011】上記方法により測定された「カルシウムイ
オン吸収量」が(A)の乾燥重量1gあたり100mg
を越える場合では、該(A)に接触する切り花に「カル
シウムイオン欠乏症」が生じ易くなる。本発明において
は、この「カルシウムイオン吸収量」は、(A)の乾燥
重量1gあたり0〜100mgであり、好ましくは0〜
80mgである。「ポリアクリル酸のアルカリ金属塩の
架橋物」からなる従来のハイドロゲルは、非イオン性の
親水性高分子架橋物からなるハイドロゲルと比較して著
しく高い吸水倍率を有し、この高吸水倍率がゆえに従
来、農業分野で保水用材料として使用されてきた。しか
しながら、このハイドロゲルは、解離性のイオン基の導
入量が非常に大きく(例えば、アクリル酸のアルカリ金
属塩の導入量が乾燥樹脂1gあたり約8mmol以
上)、切り花の生命に必須であるカルシウムイオン等の
重金属イオンを吸着してしまい、切り花の生存を著しく
阻害する傾向があった。これに対して、解離性のイオン
基(例えばカルボキシル基のアルカリ金属塩またはアン
モニウム塩)を乾燥保水用材料1gあたり0.3〜7m
mol導入した場合には、切り花に対してカルシウムイ
オン欠乏症を生じさせることなく切り花を生存させるに
充分な保水効果(イオン交換水中での吸水倍率が10〜
1,000倍)を示すことが見出された。
【0012】ここでカルボキシル基のアルカリ金属塩と
しては、ナトリウム塩またはカリウム塩が望ましい。カ
ルボキシル基のアルカリ金属塩の含有量が乾燥した該
(A)1gあたり、0.3mmol以上では、該(A)
体の吸水倍率を10倍以上とすることが可能となる。一
方、カルボキシル基のアルカリ金属塩の含有量が7mm
ol以下であると、カルシウムイオン吸収量が乾燥した
該(A)1gあたり100mgを超えにくくなる。
【0013】本発明における(A)の塩素イオンの含有
量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolである。
塩素イオン含有量は例えば、以下の方法で測定できる。 (塩素イオン含有量の測定)0.2gの乾燥状態の
(A)を200mlのイオン交換水に浸漬し、2日間放
置する。この上清をフィルターで濾過し、濾液中の塩素
イオン濃度をイオン分析計(Ion AnalyzerIA−10
0、東亜電波工業)により分析する。このようにして求
めた塩素イオン濃度に基づき、上記イオン交換水200
ml中の塩素イオン量を計算により求め、該計算値を
「乾燥ハイドロゲル形成性の高分子0.2g」中の塩素
イオン量とする。
【0014】この際、上記イオン分析計による塩素イオ
ン分析においては、下記の条件が使用可能である。 <イオン分析計の測定条件> カラム:陰イオン用カラムPCI−201S(東亜電波
工業社製)、およびカードカラムPCI−201SG
(東亜電波工業社製) 溶媒:陰イオン用溶離液(東亜電波工業社製) カラム槽温度:40±4℃ 上記方法により測定された「塩素イオン含有量」が該
(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolの範
囲内であれば、後述する実施例に示すように「カルシウ
ムイオン欠乏症」を抑制することが可能となる。好まし
くは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜
6.0mmolである。塩素イオンのカウンター陽イオ
ンの種類に特に制限はないが、Na,K,Ca,NH4
イオンであることが好ましい。中でも、Naイオンであ
ることが特に好ましい。
【0015】本発明の切り花用保水剤に塩素イオンを含
有させる方法としては、(A)に塩素イオンを含有する
水溶液を吸収させることによって行うことができる。ま
た、(A)を水中で合成する場合には、この水溶液に塩
素イオンを含有させておく方法がより好ましい。この
時、塩素イオンの添加量は得られる(A)の乾燥重量1
gあたり0.07〜7mmolとなるように設定する。
また、既に(A)が塩素イオンを乾燥重量1gあたり7
mmol以上含有している場合は、これを塩素イオンを
含まない(あるいは低塩素イオン濃度の)水で洗浄する
ことにより、塩素イオンの含有量を所望の設定値まで低
減させることもできる。
【0016】本発明において(A)の吸水倍率は、通常
10〜1,000倍であり、好ましくは30〜900倍
であり、特に好ましくは50〜800倍である。吸水倍
率が10倍以上では、(A)の一定量を用いた場合に、
切り花に充分な水分を供給することが可能となる。本発
明において、上記した「イオン交換水中での吸水倍率」
は、例えば、以下の方法により測定可能である。 (イオン交換水中の吸水倍率の測定)乾燥した(A)の
一定量(W1g)を秤取り、過剰量(例えば、前記保水
材の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水
(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で4
8時間恒温槽中に放置して、前記(A)を膨潤させる。
余剰の水を濾過により除去した後、吸水膨潤した保水材
の重量(W2g)を測定し、次式により吸水倍率を求め
る。 吸水倍率=(W2−W1)/W1 この吸水倍率の測定に際しては、重量W1、W2の測定
は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR A
EG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて
測定することが好ましい。
【0017】(A)が、高分子鎖に結合されたカルボキ
シル基を有し、且つ、該カルボキシル基のアルカリ金属
塩またはアンモニウム塩の含有量が、乾燥重量1gあた
り0.3〜7mmolである。 (カルボキシル基のアルカリ金属塩の含有量の測定方
法)(A)をイオン交換水で充分に洗浄した後乾燥し、
0.2gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電
気炉で灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加
えて50mlの定容として、原子吸光分析により陽イオ
ン濃度(DmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカ
ルボキシル基塩の含有量は、D/4(mmol=1リッ
トル中のモル濃度)として算出される。ここで使用した
原子吸光分析用の溶液中の乾燥した(A)の濃度は、上
述したように0.2g/50ml=4g/1L(リット
ル)であるから、乾燥した(A)1g中のカルボキシル
基塩の含有量は、(D/4)mmolとなる。
【0018】この際、上記原子吸光分析法による陽イオ
ンにおいては、前述した「カルシウムイオン分析」にお
けるのと同様の条件が使用可能である。本発明において
は、「ハイドロゲル形成性の高分子」が「カルボキシル
基の多価金属塩」を含有することが、好ましい一態様で
ある。該多価金属塩のイオンとしては、例えば、C
2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+、B
2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+等が挙げられる。中で
も、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+
Be2+が好ましく、Ca2+が特に好ましい。該多価金属
塩の含有量は、「ハイドロゲル形成性の高分子」の乾燥
重量1g当たり0.1〜7mmolであり、好ましくは
0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.
0mmolである。
【0019】本発明において、上記した「カルボキシル
基の多価金属塩の含有量」は、例えば、以下の方法によ
り測定可能である。 (カルボキシル基の多価金属塩の含有量の測定方法)
(A)をイオン交換水で充分洗浄した後乾燥し、0.2
gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電気炉で
灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加えて5
0mlの定容として、原子吸光分析により多価金属イオ
ン濃度(EmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカ
ルボキシル基多価金属塩の含有量はE×価数/4(mm
ol)として算出される。この多価金属イオンの価数
(例えば、Mgイオンであれば、価数=2)は、該多価
金属イオンが混合している場合には、各多価金属イオン
の価数を「重み付け平均」して得られた価数を用いる。
【0020】特にポリアクリル酸塩系のハイドロゲル形
成性の高分子を使用する場合、アクリル酸およびアクリ
ル酸のアルカリ金属塩を架橋重合させた後、多価金属塩
を添加する方法が好適に利用される。特に多価金属塩と
して塩化カルシウム、塩化マグネシウムを使用した場合
には、アルカリ金属塩をCa,Mgに置換することによ
り、該ハイドロゲルのCa吸収量を抑制し、且つ、該ハ
イドロゲルに塩素イオンを導入することができる。本発
明の含水された(A)における、水と(A)との質量比
率は、(A)の種類、植物の最適水分量により種々変化
しうるが、通常99.9:0.1〜80:20、好まし
くは99.2:0.2〜91:9、より好ましくは9
9.7:0.3〜94:6である。(A)が0.1以上
では保水能力が十分となり、20以下で使用する場合は
経済的な観点から好ましい。
【0021】本発明の切り花用保水剤には、(A)及び
水の他に肥料、鮮度保持剤、防腐剤、殺菌剤、殺藻剤、
植物ホルモン剤、界面活性剤からなる群から選ばれる1
種又は2種以上を配合して使用出来る。肥料としては、
窒素質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、有機質肥料、
複合肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マン
ガン質肥料、ホウ素質肥料、微量要素複合肥料等の普通
肥料と、その他の特殊肥料を挙げることができる。以上
例示した肥料は2種以上併用してもよい。これらの肥料
成分は液状又は粉末などの固体状であり、(A)に対し
て添加することによって、或いは(A)に注水する水に
含有させることによって、切り用花保水剤中に存在させ
ることができる。
【0022】鮮度保持剤としては、8‐ヒドロキシキノ
リン、しょ糖、チオ硫酸銀錯体、銀化合物とアミノ酸の
混合物又は反応生成物(特開平成06‐321701
号)、銀化合物と第一アミン及び/又は核酸関連物質と
の混合物や反応生成物(WO93/08685号)等が
挙げられ、2種以上併用してもよい。防腐剤としては、
ハロゲン供給剤、特に塩素供給剤、例えばクロロ−シア
ヌル酸類又はその塩,特に、ジクロロイソシアヌル酸モ
ノ−ナトリウムまたはカリウム;ヒドロキシキノン類,
亜硫酸塩;および銀または銅塩等を挙げられ、2種以上
併用してもよい。
【0023】殺菌剤としては、8‐オキシキノリン銅等
の有機銅剤;ペニシリン、ストレプトマイシン、クロラ
ムフェニルアルコール等の抗生物質;ジネブ、マンネ
ブ、チオジアジン剤、チウラム剤等の有機硫黄剤;TP
N、キャブタン、ピンクロゾリン剤、ブラシミドン剤、
ベンチアゾール剤、第4級アンモニウム塩、フエノール
化合物、第4ピリジニウム塩、過酸、ホルムアルデヒ
ド、抗生物質、N−クロルスクシンイミド、石灰、いお
う、モノ及びジチオカルバベート、チオジアジン、スル
ホンアミド、フタルイミド、石油エーテル、ナフトキノ
ン、ベンゾキノン、ジスルフイド、第二水銀化合物、テ
トラヒドロフタルイミド、アルセネート、第二銅塩、グ
アニジン塩、トリアジン、グリオキサリジン塩、キノリ
ニウム塩、フエニルクロトネート等を挙げられ、2種以
上併用してもよい。
【0024】殺藻剤としては、第四アンモニウム塩、テ
クニカルアビエチルアミンアセテート及び硫酸銅等を挙
げられ、2種以上併用してもよい。植物ホルモン剤とし
ては、2,4‐D等のオーキシン類、カイネチン等のサ
イトカイニン類、ジベレリン等が挙げられ、2種以上併
用してもよい。界面活性剤としては、従来公知の非イオ
ン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール型、
多価アルコール型界面活性剤等)、アニオン性界面活性
剤(例えば、セッケン、硫酸エステル塩型、スルホン酸
塩型、リン酸エステル塩型界面活性剤等)、カチオン性
界面活性剤(例えば、アミン塩型、第4級アンモニウム
塩型界面活性剤等)、両性界面活性剤(例えば、アミノ
酸型、ベタイン型界面活性剤等)等が挙げられる。これ
らは2種以上併用してもよい。
【0025】本発明における含水させた(A)と肥料、
鮮度保持剤、防腐剤、殺菌剤、殺藻剤、植物ホルモン
剤、界面活性剤からなる群との質量比率は、(A)の種
類、鮮度保持剤、防腐剤、殺菌剤、殺藻剤、植物ホルモ
ン剤、界面活性剤からなる群の種類、植物の最適水分量
により種々変化しうるが、通常99.999999:
0.000001〜80:20、好ましくは99.99
9999:0・000001〜99:1である。
【0026】本発明においてさらに担体を使用してもよ
い。担体としては植物体育成用として使用されているも
のでよく、無機物質及び/又は有機物質等の粉末、多孔
体、ペレット状、繊維状及び発泡体等の水不溶性の固状
のものが使用できる。これに用いられる無機物質として
は、無機質粉体[土壌(赤玉土、黒土、ビートモス、培
養土、腐葉土、石灰、鹿沼土、山苔、日向土、水苔、ケ
ト土等)、砂(川砂、山砂、矢作砂、桐生砂、富士砂、
朝明砂等)、フライアッシュ、珪藻土、クレー、タル
ク、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシ
ウム、アルミナ等);無機質繊維(ロックウール、ガラ
ス繊維等);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミ
ック、くんたん)、バーミキュライト、軽石、火山灰、
ゼオライト、シラスバルーン等];無機質発泡体(パー
ライト等)等が挙げられる。有機物質としては、有機質
粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、ミカンの
殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体、合成樹脂粉末
(ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、エチレン−
酢酸ビニル共重合体粉末等)等];有機質繊維[天然繊
維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラ等)お
よびその他、草炭、羊毛等〕、人造繊維(レーヨン、ア
セテート等のセルロース系等)、合成繊維(ポリアミ
ド、ポリエステル、アクリル等)、パルプ〔メカニカル
パルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パ
ルプ等)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパル
プ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプ等)、セミ
ケミカルパルプ、再生パルプ(たとえばパルプを一旦製
紙して作った紙の機械的破砕または粉砕物、または故紙
の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプ等)
等〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材等)
等];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭等);有機質発泡体
[穀物、合成樹脂又はゴムの発泡体(ポリスチレン発泡
体、ポリビニルアセタール系スポンジ、ゴムスポンジ、
ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ウレ
タンフォーム等)等];有機質ペレット[ゴム及び合成
樹脂のペレット等]等が挙げられる。上記の無機物質及
び/又は有機物質は、単独で、あるいは必要に応じて2
種類以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいも
のは、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質繊維、ゴム
及び合成樹脂である。発泡体の密度は0.01〜1g/c
m3である。以上例示した無機物質及び/又は有機物質は
2種以上併用してもよい。
【0027】ゴム及び/又は合成樹脂については一般的
に使用されているものでよいが、詳しく説明する。ゴム
としては、例えば、通常の天然ゴム(NR)のほか、ス
チレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(B
R)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレ
ンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴ
ム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、ア
クリロニトリルーブタジエンゴム等が挙げられる。合成
樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げら
れる。熱可塑性樹脂としては、軟質、硬質をとわず、例
えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化
物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレ
ン、塩素化ポリエチレン、ウレタン系樹脂、スチレン系
樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
【0028】担体の形態の大きさについては制限がない
が、これらの粉末の粒子径(長径)は通常1〜800
μ、好ましくは5〜200μであり、多孔体、繊維およ
び発泡体の大きさは通常0.001〜20mm、好まし
くは0.01〜10mmである。ペレットは通常1〜1
000mmである。含水させた(A)と担体との重量比
率は、(A)の種類、担体の種類、植物の最適水分量に
より種々変化しうるが、通常100:0〜10:90、
好ましくは100:0〜30:70、特に好ましくは1
00:0〜50:50である。含水された(A)が10
以上では保水能力が十分となり好ましい。
【0029】本発明において、包装用材料として用いる
該水崩壊性の紙としては、例えば、紙のパルプ繊維同士
を水溶性または親水性の糊、水膨潤性ポリマー等で接着
させて水との接触によりパルプ繊維同士がバラバラに崩
壊するようにした紙(三島製紙株式会社製の「ディゾル
ボWA」等)、さらにこれにヒートシール剤を併用して
成形加工性(熱接着性)を加味した紙(三島製紙株式会
社製の「ディゾルボWAP」等)等が挙げられる。これ
らの紙は、吸水により崩壊するスピードが速い特徴を有
する。
【0030】該水溶性のフィルムとしては、水溶性ポバ
ールフィルム、デンプンフィルム、カラギーナンフィル
ム等が挙げられる。これらのフィルムは、同一の厚みで
比較した場合、上記水崩壊性の紙より水溶解(崩壊)速
度は劣るものの、乾燥状態でのフィルム強度が大きい特
徴を有する。また、該水崩壊性の紙と水溶性のフィルム
を貼り合わせたラミネートシートとしては、少なくとも
1種以上の、上記水崩壊性の紙および水溶性のフィルム
を接着、ラミネートしたもの(上記「ディゾルボWA」
にポバールフィルムを貼り合わせた三島製紙株式会社製
の「ディゾルボWAL」等)が挙げられる。これらのラ
ミネートシートは水への溶解(崩壊)性が速くかつフィ
ルム強度も大きいという特徴を有する。これは、紙の強
度の分、貼り合わせる水水溶性フィルムのい厚みを薄く
できるため、トータルとして溶解(崩壊)速度とフィル
ム強度の両面を向上させることが出来る。これら包装用
材料の中で好ましいものは、水崩壊性の紙及び上記ラミ
ネート、特にラミネートシートである。また、これら包
装用材料が水中で崩壊ないし溶解に要する時間は、通常
5分以内、好ましくは2分以内、更に好ましくは1分以
内である。
【0031】本発明の切り花用保水材の製法を例示する
と、あらかじめ上記に例示した何れかの包装用材料で所
定の形と大きさの開口部を設けた包装部材を作ってお
き、この中に所定量の(A)、粒状の肥料を入れた後、
熱融解(ヒートシール)、接着剤、縫い合わせ等で封を
することによって本発明の切り花用保水材を製造するこ
とが出来る。本発明の切り花用保水材の形状は、袋状、
箱状、円筒状、ボール状、球状等の任意の形でよく、特
に限定されない。また、大きさも特に限定されない。本
発明の切り花用保水材の使用法を例示すると、あらかじ
め下記に例示した何れかの袋体もしくは容器に切り花用
保水材を投入しておき、所定量の水もしくは上記に例示
した肥料、鮮度保持剤、殺菌剤等を溶解した水溶液を投
入し、必要により攪拌することにより、短時間(通常1
0分以内、好ましくは5分以内、更に好ましくは2分以
内)にゲル化物とすることができる。次に適当量の切り
花をゲル化物に挿入し使用され、切り花の鮮度保持や延
命をさせることが出来る。
【0032】本発明に用いられる袋体もしくは容器とし
ては、特に限定されないが、袋体であれば正方形、長方
形、台形三角形等が挙げられ、容器であれば円筒状、円
錐状、角錐状、底面が平らな球状等が挙げられる。又、
袋体もしくは容器の材質としては、非透水性のものであ
れば特に限定されないが、袋体であれば、紙、合成樹脂
のフィルムもしくはシート、合成樹脂のフィルムに金属
(銅、アルミ等)を蒸着もしくは積層したもの、これら
の積層物等が挙げられ、容器としては、ガラス、陶器、
磁器等の無機物;合成樹脂等が挙げられる。合成樹脂と
しては、通常の合成樹脂の範疇に含まれる全てのものが
使用され、特に限定されない。合成樹脂としては熱可塑
性、熱硬化性を問わず、又、軟質、硬質の何れであって
も使用することができ、例えばエチレン‐酢酸ビニル共
重合体もしくはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレン‐アクリル酸塩共重合物、アクリロニトリル‐ブ
タジエン共重合物、スチレン‐ブタジエン共重合物、ポ
リエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン
樹脂等が挙げられる。
【0033】以下本発明を図面により説明する。図1は
本発明の切り花用保水材の1実施例を示す断面図であ
る。 1:水崩壊性の紙 2:水溶性ポバール(1と2は接着されている) 3:粒状のハイドロゲル形成性の高分子 4:粒状の肥料 5:ヒートシール部 を示す。図1は一部省略してあるが、全体は袋状であり
その周辺四方のうち、一方にのみ開口部があり、その部
分がヒートシールされている。ヒートシール部の数や位
置は、保水材の形状等、特に開口部の数や位置により各
々であり、要はハイドロゲル形成性の高分子を含む内容
物を密封できるならば何れにあってもよい。したがって
例えば方形の袋状保水材の場合には周囲四方のうち、い
ずれか一方または二方以上にあってもよく、四方すべて
にあってもよい。
【0034】以下製造例および使用例を示す実施例によ
り本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。以下部は質量部を示す。
【0035】(ハイドロゲル形成性の高分子の調整)実施例1 1リッターのビーカーに、アクリル酸230g、48%
の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリト
ールトリアリルエーテル1.0g、および水636gを
添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入
れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリ
エント電気社製、商品名溶存酸素計 DO220PBで
測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、
L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カ
リウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重
合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達し
た。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させ
た。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この
重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH KNEADE
RPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して
細断し、更に50%の塩化カルシウム水溶液35.5g
を配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き
続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒径45
0ミクロン(日機装社製、商品名:マイクロトラックF
RA粒度分析計で測定)であって、カルシウムイオン吸
収量85.4(mg/g)、塩素イオン含有量1.6
(mmol/g)、吸水倍率309(g/g)の吸水性
樹脂A(ハイドロゲル形成性の高分子)を得た。
【0036】実施例2 実施例1で用いたニーダーに無機塩の水溶液を配合する
際に、50%塩化カルシウム水溶液35.5gに代え
て、該50%塩化カルシウム水溶液71gを用いた以外
は実施例1と同様な操作を行い、平均粒径450ミクロ
ン、カルシウムイオン吸収量62.8(mg/g)、塩
素イオン含有量1.9(mmol/g)、吸水倍率21
0(g/g)の吸水性樹脂B(ハイドロゲル形成性の高
分子)を得た。実施例3 実施例1で用いたニーダーに無機塩の水溶液を配合する
際に、50%塩化カルシウム水溶液35.5gに代え
て、該50%塩化カルシウム水溶液106.5gを用い
た以外は実施例1と同様な操作を行い、平均粒径450
ミクロン、カルシウムイオン吸収量42.0(mg/
g)、塩素イオン含有量2.5(mmol/g)、吸水
倍率105(g/g)の吸水性樹脂C(ハイドロゲル形
成性の高分子)を得た。
【0037】実施例4 市販のポリアクリル酸系ハイドロゲル(三洋化成工業社
製,商品名:サンフレッシュST−500D)10gを
4Lの蒸留水で膨潤させたところに、1LのCaCl2
溶液(Ca含有1g;濃度0.28%)を加え、よく撹
拌した。時々撹拌しながら2時間ほど放置し、網(メッ
シュの細かさ:ナイロンメッシュ濾過布、250メッシ
ュ、安積濾紙社製、商品名N−No250HD)でゲル
を濾し取った後、乾燥器(120℃)中で1時間乾燥さ
せた。乾燥後、乳鉢で粉砕しゲル粉末とし、平均粒径4
50ミクロン、カルシウムイオン吸収量62.9(mg
/g)、塩素イオン含有量0.6(mmol/g)、吸
水倍率244(g/g)の吸水性樹脂D(ハイドロゲル
形成性の高分子)を得た。
【0038】比較例1 市販のポリアクリル酸系ハイドロゲル4種(サンフレッ
シュ、三洋化成工業社製; アクリホ−プ、日本触媒社
製; ダイヤウェット、三菱化学社製; スミカゲル、
住友化学社製)のそれぞれについて、カルシウムイオン
吸収量、塩素イオン含有量、吸水倍率を測定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】(切り花の鮮度保持、延命試験)試験管に
上記実施例1〜4、比較例1のハイドロゲル形成性の高
分子を、水道水を添加した時にそれぞれについて示す吸
水倍率より低い膨潤倍率にになる量だけ入れた。次に、
それぞれのハイドロゲル形成性の高分子に対し、肥料成
分として市販液体肥料(N:P:K=5:10:5)
を、水道水で最終的に希釈した時に1000倍希釈
(0.1%)になるように添加した。その後、所定量の
水道水により穏やかに攪拌しながら希釈し、数分間攪拌
した後に2時間程度静置し、ゲル状の水性人工培地を得
た。又、上記液体肥料を水道水で1000倍に希釈した
ものを比較例2として用いた。ハイドロゲル形成性の高
分子これらを表1に示す。切り花としては、開花直後の
バラを用い、花下部15cm程度のところで導管をふさ
がないように鋭利に切断した後、上記ゲル状の水性人工
培地及び比較例に直接挿した。その後、温度20℃、湿
度60%、照度1万lxの条件化で栽培した。鮮度保
持、延命効果は花勢の目視観察により下記の評価基準に
従って評価した。栽培5日目の結果を表1に示した。 花勢目視評価; 5 生育が極めて良好 4 生育が良好 3 花が半分程度しおれ、 2 花が75%程度しおれ 1 完全にしおれ
【0041】実施例5 三島製紙株式会社製の「ディゾルボWAL」を5cm×
5cmの大きさの正方形に切り、これを2枚重ねて3方
の端をヒートシールして袋を作った。この中に実施例1
で得られた吸水性樹脂A1g、市販粒状肥料(N:P:
K=5:10:5)0.001gを入れ、ついで開口部
をヒートシール(密封)して本発明の切り花用保水材を
作った。この保水材を200ccのビーカーに投入し、
更に水道水100gを加え、約3分後にゲル状物を得
た。切り花としては、開花直後のバラを用い、花下部1
5cm程度のところで導管をふさがないように鋭利に切
断した後、上記ゲル状物に直接挿した。その後、温度2
0℃、湿度60%、照度1万lxの条件化で栽培した。
栽培5日目の花勢は良好であった。
【0042】
【発明の効果】本発明の切り花用保水剤及び保水材は、
以下の効果を奏する。本発明の切り花用保水剤及び保水
材は、植物の生育を阻害することがなく、吸水能が優れ
ているので、植物に十分な水分を補給し、切り花の鮮度
保持や延命に有用である。本発明の切り花用保水剤及び
保水材は、ゲル状となって水を保水することから従来の
切り花の吸水式による輸送方法の漏水による危険性を防
止できる新しい輸送方法として有用である。本発明の切
り花用保水剤及び保水材は、切り花用のみならず土壌栽
培又は水耕栽培可能な全ての植物に対して適用可能であ
る。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】 切り花用保水材の一実施例の断面図である。
【符号の説明】 1 水崩壊性の紙 2 水溶性ポバール(1と2は接着されている) 3 粒状のハイドロゲル形成の高分子 4 粒状の肥料 5 ヒートシール部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示すハイドロゲル形成性の高分子
    (A)からなる切り花用保水剤。 ハイドロゲル形成性の高分子(A):カルシウムイオン
    吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgであり;塩
    素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7m
    molであり;且つ、25℃のイオン交換水中での吸水
    倍率が10〜1,000倍であるハイドロゲル形成性の
    高分子。
  2. 【請求項2】 前記(A)が、高分子鎖に結合されたカ
    ルボキシル基を有し、且つ、該カルボキシル基のアルカ
    リ金属塩またはアンモニウム塩の含有量が、乾燥重量1
    gあたり0.3〜7mmolである請求項1記載の切り
    花用保水剤。
  3. 【請求項3】 前記(A)が、高分子鎖に結合されたカ
    ルボキシル基を乾燥重量1gあたり3〜17mmol有
    する請求項1又は2記載の切り花用保水材。
  4. 【請求項4】 さらに肥料成分を含有してなる、請求項
    1〜3の何れか記載の切り花用保水剤。
  5. 【請求項5】 さらに鮮度保持剤、防腐剤、殺菌剤、殺
    藻剤、植物ホルモン剤、界面活性剤からなる群から選ば
    れる1種以上を含有してなる、請求項1〜4の何れか記
    載の切り花用保水剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか記載の切り花用保
    水剤及び担体からなる切り花用保水剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか記載の切り花用保
    水剤が、水溶性もしくは水崩壊性の紙及び/若しくはフ
    ィルムに包まれてなる切り花用保水材。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の切り花用保水材が非水溶
    性の紙及び/若しくはフィルムからなる袋体又は非水溶
    性の容器中に存在してなる切り花用保水材。
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