JP2002051638A - 生分解性植物支持体 - Google Patents

生分解性植物支持体

Info

Publication number
JP2002051638A
JP2002051638A JP2000238508A JP2000238508A JP2002051638A JP 2002051638 A JP2002051638 A JP 2002051638A JP 2000238508 A JP2000238508 A JP 2000238508A JP 2000238508 A JP2000238508 A JP 2000238508A JP 2002051638 A JP2002051638 A JP 2002051638A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
plant
support
biodegradable
water supply
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000238508A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Kawanaka
聡 川中
Yoshio Nakai
美穂 中井
Norihiro Naito
宣博 内藤
Satoko Wada
里子 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2000238508A priority Critical patent/JP2002051638A/ja
Publication of JP2002051638A publication Critical patent/JP2002051638A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Cultivation Of Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、植物の土壌栽培及び水耕栽
培の培地として好適な植物支持体を提供する。 【解決手段】 生分解性を有する吸水性樹脂と、生分解
性を有する多孔性水供給支持体とからなる生分解性植物
支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉢植え用や切り花
用として好適な生分解性の植物支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、農業分野に於いては、農業の近代
化、効率化、人手不足の解消、収益性のアップを理由
に、栽培方法の改良が成され、従来の播種栽培から、苗
圃における育苗、苗の移植の2段階栽培となっている。
【0003】苗圃に於ける育苗用の培地資材(以下、
「育苗培地」という)としては、より発根、発芽性が良
く、育苗用資材ごと圃場へ移植可能なものが求められ、
ペーパーポット的なもの、プラグ苗的なもの、あるいは
人工培土的な樹脂フォームによるものが開発されてい
る。
【0004】これらのうち、ペーパーポット的なものあ
るいはプラグ苗的なものは、いわゆる育苗箱をより簡易
的な形としたものであり、従って、培土を必要とし、ま
た苗床を作成する作業を必要とするが、樹脂フォームは
それ自体が人工培土として用いられるため、農作業を簡
素化することができ、現在注目されている。
【0005】この育苗培土としての樹脂フォームの材質
は、植物の発根が容易な適度な脆さと吸水性を兼ね備え
ていることが要求されており、現在、その条件を満たす
ものとしては主にフェノール樹脂が使われている。ま
た、軟質ポリウレタンフォームも一部で育苗培地として
用いられているが、ポリウレタンフォーム自体は吸水性
がないので、育苗培地として用いる場合には一旦圧縮し
て水分あるいは液肥溶液を物理的に吸収せしめる必要が
あり、扱いが煩雑であるという欠点があった。
【0006】一方、近年、趣味の多様化により生け花等
のサークルも多く開講され、生け花を芸術として楽しむ
人が多くなっている。また、結婚式、各種パーティー、
イベントあるいはウィンドーディスプレイ等に於いて
も、花卉によるデコレーションは欠かせないものとなっ
ている。
【0007】これらに於ける生け花は、古典的なものか
らは一線を隔し、自由な発想のもとに花卉を生ける、い
わゆるフラワーアレンジメントの色彩が強くなってお
り、花卉をアレンジメントするための土台となる剣山
も、従来の金属製のものは、重い、扱いづらい、あるい
はデコレーションの形が限定され発想に制約を受ける等
の理由により敬遠され、最近では使い捨てタイプの樹脂
フォーム製のものが主に使用されている。
【0008】この剣山に用いられる樹脂フォームも、そ
の材質として、花卉を突き刺せる適度な脆さと吸水性を
兼ね備えていることが要求され、現在実用化されている
のは唯一フェノール樹脂である。
【0009】吸水性樹脂を植物の培地に用いることは既
に知られている。これは例えば架橋ポリアクリル酸塩
系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系等のポリマーを土壌
の一部に混合して培地とするものであが、植物の栽培に
適した培地とするためには、吸水性樹脂により提供され
る保水性と給水性のバランスがとれていること等が特に
必要である。最近はこうした観点から、改良された性能
を有する吸水性樹脂が提案されるに至っている。
【0010】例えば特開平8-256592号公報は、N-ビニル
カルボン酸アミド系の架橋ホモポリマー又はコポリマー
を0.3〜10質量%配合した人工培地を教示している。こ
れらのポリマーは保水能力と植物に対する水の供給能力
のバランスがとれ、植物の生育にも影響を与えないとさ
れる。また特開平8-266147号公報は、ポリN-置換(メ
タ)アクリルアミド誘導体等の、温度依存型の平衡吸水
率を有する架橋ポリマーを0.1〜10質量%程度の量で培
地に含有させることにより、温度変化に応じて給水量を
調節することを開示している。また、特開平2-13306号
公報には、上下二層の発泡体の間に植物の種子を含有さ
せた植物栽培装置が、更に特開平8-130981号公報には、
吸水性物質の周囲にゲル層を配置した水分封入物体が開
示されている。また特開2000-41480号公報には、上層に
吸水性樹脂を配し、下層に多孔性水供給支持体を配した
植物支持体が記載されている。
【0011】しかしながら、これらの植物支持体は一部
に生分解性を有する素材を用いているか、全く生分解性
を有していない素材から構成されており、地球環境保護
から好ましいものではなく、これらの吸水性樹脂や水供
給支持体は分解性を有しないため、使用後の廃棄が問題
である。現状としては、これらの吸水性樹脂や水供給支
持体は、廃棄時には焼却処理する方法と埋め立てする方
法が行われているが、焼却炉で処理する方法では、焼却
時に発生する熱による炉材の損傷のほかに、地球の温暖
化や酸性雨の原因となることが指摘されている。さら
に、含水率の高い植物支持体を焼却する場合、焼却炉へ
の投入時に炉内燃焼温度が低下し、炉材の劣化やダイオ
キシンが発生し易い燃焼雰囲気となるために、後段での
排ガス処理設備への負担が大きくなり、またより性能の
高い排ガス処理設備が必要とされる。埋め立て処理する
方法では、プラスチックは容積がかさばる、腐らないた
め地盤が安定しない等の問題があるうえ、埋め立てに適
した場所がなくなってきたことが大きな問題となってい
る。
【0012】すなわち、これらの吸水性樹脂や水供給支
持体は、分解性に乏しく、水中や土壌中では半永久的に
存在するので、廃棄物処理における環境保全を考えると
非常に重大な問題である。これらの吸水性樹脂や水供給
支持体を構成する合成高分子樹脂は自然界には全くない
ものであり、長期に渡るそれら樹脂の土中への蓄積によ
る生態系への影響は不明であり、十分に調べる必要があ
り、その使用には慎重な態度が望まれる。同様に非イオ
ン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しないが、非
分解性のため土壌中へ蓄積する恐れがあり、その自然界
への影響は疑わしい。さらにこれらの重合系の樹脂は、
人間の肌等に対して毒性の強いモノマーを使用してお
り、重合後の製品からこれを除去するために多くの検討
がなされているが、完全に除くことは困難である。特に
工業的規模での製造ではより困難となることが予想され
る。
【0013】近年、「地球にやさしい素材」として生分
解性ポリマーが注目されており、これを吸水材、フィル
ム、不織布として使用することが提案されている。生分
解性を有する吸水材としては、例えばポリエチレンオキ
シド架橋体(特開平6−157795号公報など)、ポ
リビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロー
ス架橋体(米国特許4650716号公報)、アルギン
酸架橋体、澱粉架橋体(特開昭55−15634号公
報)、ポリアミノ酸架橋体(特開平7−224163号
公報、特開平7−309943号公報、特開平8−59
820号公報、特開平8−504219号公報、特開平
9−169840号公報など)、ガラクトマンナン−金
属イオン架橋体(特開平8−59891号公報、特公平
3−66321号公報、特開昭56−97450号公
報)などが知られている。
【0014】生分解性素材から構成された多孔性の水供
給支持体としては、古くはヘチマを乾燥して得た「ヘチ
マスポンジ」や、豆腐を凍結融解して得た「凍り豆腐」
などが一般的に知られている。その他、特開平8−19
6462号公報において、グルコマンナンのカルシウム
イオン架橋体から成るスポンジ、特開平10−2267
32号公報において、アルギン酸ナトリウム、キサンタ
ンガム、グアガム、ローカストビーンガム、ヒアルロン
酸、ペクチンなどの多糖類とグルタルアルデヒド、ジン
クロヘキシカルボジイミド、ヘキサメチレンイソシアネ
ート、カルシウム、亜鉛との架橋体から成るスポンジ、
特開平8−92417号公報において、デンプン、アル
ギン酸ナトリウム、CMCと粘土ゾルから成る多孔体、特
開平7−316202号公報において、キチンから成る
スポンジ、特開平5−43734号においてコラーゲン
から成るスポンジ、特開平6−157807号におい
て、コラーゲン、ゼラチンから成る多孔体などが知られ
ている。
【0015】このような生分解性の吸水性樹脂を膨潤さ
せたポリマー粒子だけで植物支持体を作成することが考
えられるが、吸水性樹脂だけでは、それぞれが水を含ん
でいるために脆く、植物を刺した場合に、植物の質量に
耐えられず支持体にならなかった。また生分解性を有す
る水供給支持体だけを植物支持体とすることが考えられ
るが、これらは水分をその空隙に保持するだけであるこ
とから保水性はなく、水分が表面から徐々に蒸発するた
めに随時、水分補給の必要があった。このため手間がか
かっていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構成
する素材が全て生分解性を有している植物支持体を容易
に安価に供給することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、生分解性を有する吸水性樹脂と、生分解性を有
する多孔性水供給支持体とを、自立可能な容器に収納し
てなる生分解性植物支持体が、植物に対して安定な水供
給が可能であることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において「生分解性を有す
る吸水性樹脂」は、水又は液体肥料を自重の5〜100
倍程度吸水できるものが好ましい。このような吸水性樹
脂としては、多糖類を多価金属イオン或いは有機化合物
架橋剤で架橋した吸水性樹脂、ポリアミノ酸系吸水性樹
脂などがあるが、製造方法及びコストが安価であること
から多糖類と多価金属イオンから成る吸水性樹脂が好ま
しい。多糖類としてはセルロース、デンプン、アルギン
酸ナトリウム、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ペ
クチン、カラギーナンなど又はそれらの誘導体が挙げら
れるが、ガラクトマンナンが好ましい。天然に存在する
ガラクトマンナンとしてはグアガムとローカストビーン
ガムが一般的であるが、特に好ましくはグアガムであ
る。
【0019】多糖類と架橋させる多価金属イオンとして
は、植物に対して毒性が低く、多糖類と架橋して水に不
溶なゲル架橋体を形成できるものであれば特に限定され
るものではない。例えば、カルシウムイオン、マグネシ
ウムイオン、ホウ素イオン、チタンイオン、ジルコニウ
ムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオン、イッ
トリウムイオン、ランタンイオン、アンチモンイオン、
ニオブイオン、鉄イオンなどが挙げられるが、好ましく
はホウ素イオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、
セリウムイオン、イットリウムイオンであり、さらに好
ましくはホウ素イオン、チタンイオンである。これらの
うち1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】多糖類と多価金属イオンの混合比率は多糖
類と多価金属イオンの種類によって異なるので適宜選択
する必要がある。例えば、多糖類としてグアガムを用
い、多価金属イオンとしてホウ素イオンとチタンイオン
を併用する場合、グアガム質量1kg当たり、ホウ素は
10〜2000ミリモル、チタンは1〜200ミリモル
添加することが好ましい。これらの多糖類を水和させて
ゾル化し、架橋剤を加えてゲル化したあと、乾燥すると
生分解性を有する吸水性樹脂が作成できる。
【0021】本発明において「生分解性を有する多孔性
水供給支持体」とは、生分解性素材から構成され、水の
包含能と徐放能とを有し、植物体を差して固定し支持し
得る強度を有するものであり、特に生分解性樹脂の発泡
体や多糖類、タンパク質から成るスポンジ状多孔体が好
ましい。
【0022】生分解性樹脂としては、ポリ乳酸系重合
体、デンプン−ポリカプロラクトン共重合体、コハク酸
エステル系重合体、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−
3−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリ−β−ヒドロ
キシ酪酸重合体、ポリ−ε−カプロラクトン重合体、ポ
リブチレンサクシネート重合体、ポリエステルアミド重
合体などが挙げられる。
【0023】多糖類としては、セルロース、デンプン、
アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、ガラクトマン
ナン、ペクチン、カラギーナンなど又はそれらの誘導体
が挙げられるが、コストが安価なことからセルロース、
デンプン、ガラクトマンナン又はそれらの誘導体が好ま
しい。これらの多糖類は、場合によっては冷却するだけ
でゲル化し、凍結乾燥や凍結融解することにより多孔体
となる場合、或いはセルロースなどは原料の木材パルプ
をアルカリ処理して二硫化炭素、水酸化ナトリウムなど
を加えてビスコースとし、次いで無機性の発泡剤と混合
して発泡凝固させて発泡体を得る場合もあり、その製造
方法は多糖類の特性により様々であり限定されない。
【0024】また場合によっては、多価金属イオンなど
の架橋剤と架橋させてゲル化させ、凍結融解することで
多孔体を得てもよい。多価金属イオンとしてはカルシウ
ム、マグネシウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、ア
ルミニウム、セリウム、イットリウム、ランタン、アン
チモン、ニオブ、鉄などのイオンが挙げられるが、好ま
しくはホウ素イオン、ジルコニウムイオン、チタンイオ
ン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンである。こ
れらは多糖類との組み合わせによってスポンジ化する条
件が異なるので、その組み合わせにおいて適宜検討する
必要がある。例えばグルコマンナンの場合、グルコマン
ナン質量1kg当たり水酸化カルシウム粉末を200〜
1000ミリモル加えることが好ましい。多糖類と多価
金属イオンをゲル化させる温度は20〜120℃が好ま
しく、架橋時間は1分〜2時間が好ましい。作成したゲ
ルは凍結融解法により多孔体とさせることが好ましい
が、凍結させる温度は−4〜−30℃、融解させる温度
は4〜30℃が好ましく、凍結融解回数は1回以上が好
ましい。この凍結融解により、ゲル中の水分は離水し多
孔体が得られる。タンパク質の場合も同様の操作で多孔
体が得られる。
【0025】このようにして得られた水供給支持体を育
苗培地や剣山としての必要な機能を満たすためには、そ
の密度は0.015〜0.2g/cm3程度が好まし
く、0.02〜0.05g/cm3が特に好ましい。
【0026】本発明の植物支持体の形態は、生分解性吸
水性樹脂部が水分の蒸発を防ぎ、水供給支持体の保水性
を高め、かつ水供給支持体への水供給を行う役割で、水
供給支持体部が植物体の支持と植物体への水の供給を行
う役割を有する構造ならばどのような構造でもよい。例
えば吸水性樹脂部の周囲を水供給支持体部で覆う形態や
水供給支持体の周囲に吸水性樹脂部を覆う形態、吸水性
樹脂を水供給支持体で挟み込んだ形態などが挙げられ
る。より好ましくは、容器中で吸水性樹脂が多孔性水供
給支持体の上層に設けられることであり、その具体例は
吸水性樹脂部が上層、水供給支持体部が下層となる2層
構造である。この構造の場合は植物体への水の供給と植
物体の支持力がより優れ、植物の長期の生育を可能とす
る。この場合、吸水性樹脂の形状としては粉末、顆粒
状、薄片状、繊維状、フィルム状、シート状など何れの
形状でもよい。
【0027】特開平2-13306号公報に示す構造では、植
物の根が吸水性樹脂部と完全に接触し、植物への水の供
給が悪く、根の発育が吸水性樹脂に阻害される可能性が
強く、そのため植物体の支持が十分にされない。さらに
吸水性樹脂部が下層に配置されているため、吸水性樹脂
部から上部の発泡体へ極めて移行しにくく、発泡体が乾
燥しやすく、本発明のように切り花等の支持・育成に適
した支持体を得ることはできない。また特開平8-130981
号公報では吸水性物質の周囲にゲル層を配置するが、ゲ
ル層の材質から、ゲル層が培地の保水性は示すが、ゲル
層から吸水性物質への水の供給が困難であり、本発明の
ような植物の生育向上効果は得られない。
【0028】水供給支持体の使用量は、吸水性樹脂と水
供給支持体とからなる植物支持体に対して0.01〜50質量
%、好ましくは1.0〜50質量%の範囲である。この範囲
において植物体の支持効果と水供給効果の両方に優れ
る。
【0029】本発明の植物支持体は、吸水性樹脂及び水
供給支持体の両方が水を保持するため、水分の蒸発を防
ぎ、水分のトータル含量が維持でき、植物体が水供給支
持体より水を吸水した際、更に吸水性樹脂から水供給支
持体へ水分が移行するという、従来の知見からは予期で
きない機構が確認された。ここで、吸水性樹脂及び水供
給支持体は、それぞれ水を含浸させた状態で体積比で1
/9〜9/1程度とする。植物体に対する水の供給は、
吸水性樹脂からよりも水供給支持体からの方が容易であ
るため、本発明の植物支持体によれば、吸水性樹脂のみ
もしくは吸水性樹脂を主体とする従来の人工培地に比べ
て良好な生育が可能となる。しかも、水供給支持体によ
り植物体の支持を十分に行うことができ、植物が生長し
たり、大型の植物に対しても充分に効果を発揮する。
【0030】吸水性樹脂と水供給支持体を収容する容器
としては、自立可能なものであれば何でも用いることが
できるが、インテリア性及び持ち運びの容易性からプラ
スチック製の透明なものが好ましい。
【0031】本発明の植物支持体に用いる水には肥料成
分を含有させることができる。肥料成分としては、窒素
質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、有機質肥料、複合
肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マンガン
質肥料、ホウ素質肥料、微量要素複合肥料等の普通肥料
と、その他の特殊肥料を挙げることができる。これらの
肥料成分は液状又は粉末等の固体状であり、水と共に吸
水性樹脂或いは水供給支持体に対して添加することによ
って、或いは吸水性樹脂に注水する水に添加することに
よって含有させることができる。
【0032】本発明の植物支持体に用いる水には、さら
に鮮度保持剤、活力剤、防腐剤、殺菌剤、殺虫剤、殺菌
殺虫剤、土壌改質剤、植物ホルモン剤等の1種以上を含
有させることができる。これらの成分も、水と共に吸水
性樹脂或いは水供給支持体に添加することによって、或
いは吸水性樹脂に注水する水に添加することによって含
有させることができる。
【0033】本発明の植物支持体は、土壌、砂、無機
物、その他の支持体等の1種以上と混合した形態とする
ことができる。こうした場合でも、本発明の植物支持体
は従来の吸水性樹脂よりも植物に対して良好な影響を有
することから、従来の吸水性樹脂のみを含有する培地よ
りも植物にとって好ましいものとなる。こうした場合の
本発明の植物支持体と土壌等との配合割合は特に限定さ
れるものではないが、鉢植え植物の栽培等の場合、例え
ば土壌(イ)と水を含浸させた吸水性樹脂と水供給支持
体の合計体積(ロ)を、(イ)/(ロ)=0.1〜1.0程度
の体積比率で用いることができる。
【0034】土壌としては、赤玉土、黒土、ビートモ
ス、培養土、腐葉土、石灰、鹿沼土、山苔、日向土、水
苔、ケト土等がある。砂や無機物としては、川砂、山
砂、矢作砂、桐生砂、富士砂、朝明砂、多孔性鉱物とし
て砕石、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、
オスマンダ、鉱さい、軽石、苦土石灰、ドリームボー
ル、くん灰、火山灰等が挙げられるがこの限りではな
い。その他の支持体とは肥料や鮮度保持剤その他の添加
剤の支持体となり得る基体であり、例えば鋸屑、パル
プ、紙、腐食土壌、チップ、ダスト、バーク、稲わら、
麦わら、バーミキュライト、ロックウール、石膏、多孔
質セラミック等を挙げることができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の植物支持体を実施例により具
体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるも
のではない。なお、植物支持体の試験は、下記のとおり
行った。
【0036】1.切り花の鮮度保持、延命試験 切り花は、開花直後のミニバラ(リトルマーベル)を用
いた。下記で調製した切り花用植物支持体の水供給支
持体部分に、花下部20cmのところで導管をふさがないよ
うに鋭利に切断した切り花を挿した。その後、温度20
℃、湿度60%、照度1万luxの条件下で栽培した。鮮度
保持、延命効果は、栽培5日目の花勢の目視観察により
評価した。
【0037】2.花(根付き植物)の生育維持試験 下記で調製した花(根付き植物)用植物支持体につい
て根付き植物の生育維持試験を行った。上記の花(根付
き植物)用植物支持体の調整の後、温度20℃、湿度60
%、照度1万lux の条件下で栽培した。水が植物以外か
ら蒸発しないように、植物体の周りをシールし、植物と
栽培容器全体質量を経時的に測定し、植物による蒸散量
を測定した。蒸散量測定は毎日行い、蒸散量分の水道水
を随時補給することで、容器内の溶質濃度を一定に維持
した。生育維持評価は、栽培10日目の目視評価と全蒸散
量により行った。
【0038】3.生分解性試験 植物支持体を25℃、水分含量30%の土壌中に埋設し、2週
間後の分解状況をモニタリングした。モニタリングは水
供給支持体の崩壊や消滅程度を目視観察し、次に土壌中
の吸水性樹脂粒子の残存の有無を顕微鏡下で行った。
【0039】実施例1〜3、比較例1〜22 1.ガラクトマンナン−ジルコニウム架橋多孔性水供給
支持体(A)の調製 グアガム(大日本製薬社製 PF−20)6gを50℃
に加温した純水200mlに攪拌しながら添加し、溶解
・膨潤させゾル液を作成した。1時間膨潤後、そのゾル
液200mlに予め117.6g/Lに調製したZrCl4(石津製
薬社製)液を4ml(ジルコニウムイオンとして10mM)
添加し、ゲル化させた。このゲルを−5℃で凍結、15
℃で融解する処理を12時間毎に3回繰り返し、スポン
ジ状ゲルを得た。この間、凍結・融解処理によりゲルか
ら多量の離水があり、この水は適宜排水した。このスポ
ンジ状ゲルを2日間常温減圧乾燥した後、40℃で熱風
乾燥させ、多孔性水供給支持体(A)を得た。
【0040】2.ガラクトマンナン−ホウ素−チタン系
吸水性樹脂(a)の調製 グアガム(大日本製薬社製 PF-20)4gを50℃に加
温した純水200ml(固形分濃度2質量%)に攪拌し
ながら添加し、溶解・膨潤させゾル液を作成した。1時
間膨潤後、そのゾル液200mlにTyzor131溶
液を最終的なチタンイオン含有量がグアガム質量1kg
当たり50ミリモル、0.5Mの四ホウ酸ナトリウム十
水和物水溶液を最終的なホウ素イオン含有量が500ミ
リモルになるようにそれぞれ添加し、ブレンダーで破砕
混合しながら充分に架橋させた。これらのゲルのpHは
9.0±0.1になるよう調製した。このゲルを凍結乾
燥させ、得られた乾燥物を窒素流下において鑢で1mm
以下に破砕して吸水性樹脂(a)を得た。
【0041】3.植物支持体の調製 多孔性水供給支持体として、(A)上記1−1で作製し
たガラクトマンナン−ジルコニウム架橋多孔性水供給支
持体、(B)こんにゃくスポンジ(市販品浴用スポン
ジ:商品名つやの玉、ジェイローゼ社製)、(C)セル
ローススポンジ(市販品食器洗い、浴用スポンジ:商品
名セルローススポンジ、無印良品)、(D)フェノール
樹脂(市販品切り花用支持体:商品名アクアフォーム、
松村工芸社製)を用い、また吸水性樹脂として (a)上記1−2で作成したガラクトマンナン−ホウ素
−チタン系吸水性樹脂:91倍、 (b)イソブチレン/マレイン酸塩(クラレ社製 商品
名KIゲル):120倍、 (c)デンプン/ポリアクリル酸塩(三洋化成社製 商
品名サンフレッシュST100):250倍、 (d)酢酸ビニル/マレイン酸塩(日本合成化学社製
商品名アクアリザーブ):200倍 (e)架橋ポリアクリル酸Na(花王社製):150倍 を用い、切り花用植物支持体、及び花(根付き植
物)用植物支持体を、下記の方法で調製した。
【0042】切り花用植物支持体の調製 水供給支持体3gを300ml水耕栽培容器の下部から約半
分の高さまで、水耕栽培容器の型に成型して充填した。
その上部へ吸水性樹脂をそれぞれの吸水倍率になるよう
に所定量を入れた。また全ての切り花用植物支持体に防
腐剤としてプロキセルBDNを最終濃度200ppmになるよ
うに添加した。その後、所定量の水道水により緩やかに
撹拌しながら希釈し、数分間撹拌した後、2時間程度静
置し、合計20種類の上層が吸水性樹脂層、下層が水供
給支持体である、切り花用の植物支持体を得た。
【0043】花(根付き植物)用植物支持体の調製 市販の鉢物植物ポリアンサの根を傷めないように土壌を
丁寧に流水にて洗い流し、水供給支持体を適度に粉砕
し、それぞれ3gずつを300ml水耕栽培容器に半分くら
いの高さまで敷き詰めた。水供給支持体により根を覆う
ようにして植物を移植した。次に水供給支持体の上部
に、上記吸水性樹脂をそれぞれの吸水倍率(質量比)に
なるように所定量を入れた。さらに肥料成分として、市
販液体肥料(N:P:K=5:10:5)を、1000倍希釈
(0.1%)になるように添加した。また全ての花用植物
支持体に防腐剤としてプロキセルBDNを最終濃度200p
pmになるように添加した。その後、所定量の水道水によ
り緩やかに撹拌しながら希釈し、数分間撹拌した後、2
時間程度静置し、合計20種類の上層が吸水性樹脂層、
下層が水供給支持体からなる、花(根付き植物)用植物
支持体を得た。
【0044】表1に示す吸水性樹脂と水供給支持体の組
み合わせからなる植物支持体、において、切り花の
鮮度保持、延命効果について、花勢の目視観察評価を、
また花(根付き植物)の生育維持試験については、花勢
の目視観察評価と蒸散量を表1に示した。また、植物支
持体の生分解性試験結果も併せて表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】植物支持体において、比較例18〜22
の吸水性樹脂単独を培地として栽培した場合と比較し
て、吸水性樹脂と水供給支持体からなる植物支持体を用
いた系は全ての実施例と比較例1〜17において花勢は
良好であった。また、本発明の生分解性吸水性樹脂と生
分解性水供給支持体から成る植物支持体は非生分解性素
材から成る吸水性樹脂や水供給支持体と同等の性能を有
し、なんら問題もなかった。比較例18〜22の吸水性
樹脂単独のものでは切り花の支持、固定が不十分であっ
たが、本発明品では切り花が充分に支持され自由なアレ
ンジメントが可能となった。
【0047】植物支持体において、比較例18〜22
の吸水性樹脂単独系と比較して、水供給支持体を添加し
た系は、全ての実施例において花勢が良好で、蒸散量も
多く、生育維持効果が高いことが観察された。また、比
較例18〜22の吸水性樹脂単独のものでは根付き植物
は安定に支持できなかったが、吸水性樹脂と水供給支持
体から成る植物支持体では土壌と同等に充分に支持でき
た。
【0048】水供給支持体が生分解性でない比較例1、
5、9、13、17は土壌中に全く変化せずに植物支持
体が残っていた。一方、水供給支持体が生分解性である
ものは外観は崩壊していたが、詳細に土壌を観察すると
土壌粒子の間にゲル状の非生分解性吸水性樹脂粒子が残
存していた(比較例2−4、6−8、10−12、14
−16)。全てが生分解性素材から成る実施例1−3に
ついては土壌中に吸水性樹脂粒子の残存は認められず、
また水供給支持体は崩壊するだけでなく、完全に消滅し
た。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来、非
生分解性素材から構成されていた植物の生育に有用な植
物支持体を、全て生分解性の素材から構成されたもので
十分に代替できることが明らかである。さらに本発明の
植物支持体は、使用後に植物と一緒にコンポスト化した
り、土中に埋設しても生分解性が高いため環境中の微生
物により速やかに分解されるため、地球環境保全の面か
らも優れている。この植物支持体は、鉢植え植物の生
育、種子の発芽、発根、生育、及び切り花の鮮度保持や
延命に有用なものであり、且つ植物体の支持力の点で優
れ、土壌栽培又は水耕栽培可能な全ての植物に対して適
用可能である。
フロントページの続き (72)発明者 和田 里子 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 2B022 AA05 BA01 BA02 BA04 BA11 BA16 BA21 BA24 BB02 BB10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自立可能な容器に収納してなる植物支持
    体であって、生分解性を有する吸水性樹脂と、生分解性
    を有する多孔性水供給支持体とからなることを特徴とす
    る生分解性植物支持体。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する吸水性樹脂が、ガラク
    トマンナンと三価以上の多価金属イオンから成ることを
    特徴とする請求項1記載の植物支持体。
  3. 【請求項3】 三価以上の多価金属イオンが、ホウ素イ
    オン、チタンイオン、ジルコニウムイオン、セリウムイ
    オン、イットリウムイオンから選ばれる1種以上のイオ
    ンである請求項2記載の生分解性植物支持体。
  4. 【請求項4】 生分解性を有する多孔性水供給支持体
    が、多糖類と多価金属イオンから成ることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の植物支持体。
JP2000238508A 2000-08-07 2000-08-07 生分解性植物支持体 Pending JP2002051638A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000238508A JP2002051638A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 生分解性植物支持体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000238508A JP2002051638A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 生分解性植物支持体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002051638A true JP2002051638A (ja) 2002-02-19

Family

ID=18730199

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000238508A Pending JP2002051638A (ja) 2000-08-07 2000-08-07 生分解性植物支持体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002051638A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004018680A (ja) * 2002-06-17 2004-01-22 Nec Corp 生分解性樹脂、生分解性樹脂組成物、生分解性成形体、生分解性樹脂組成物の製造方法
JP2006183277A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Shimizu Corp コンクリート体の縁切り方法および縁切り材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004018680A (ja) * 2002-06-17 2004-01-22 Nec Corp 生分解性樹脂、生分解性樹脂組成物、生分解性成形体、生分解性樹脂組成物の製造方法
JP2006183277A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Shimizu Corp コンクリート体の縁切り方法および縁切り材
JP4640670B2 (ja) * 2004-12-27 2011-03-02 清水建設株式会社 コンクリート体の縁切り方法および縁切り材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4346112B2 (ja) 植物保水用坦体
EP2457438A1 (en) Compressed growing medium
CN105900808A (zh) 一种环保轻便的多孔仿土栽培基质体及其制备方法
US4074997A (en) Plant plug
KR20090086521A (ko) 발아 및 식물 성장 배지로서 가공된 왕겨 재료
JP2005000176A (ja) 吸水ポリマー製人工培土による植物栽培方法、植物用保水体及びその製造方法並びに使用方法、根腐れ防止剤及び根腐れ防止方法、並びに保水剤及び保水方法
JP2003199425A (ja) 吸水ポリマー製人工培土による植物栽培方法、植物用保水体及びその製造方法並びに使用方法、根腐れ防止剤及び根腐れ防止方法、並びに保水剤及び保水方法
CA2180900C (en) Culture soil, process for producing the same and seedling-growing peat board
US2143468A (en) Block for germinating seeds and growing plants and manufacture of such block
JP2002051638A (ja) 生分解性植物支持体
JPS5934822A (ja) 植物生育用保水剤
JP2000041480A (ja) 植物支持体
JPH09235732A (ja) 植物生育基盤材
JP2006254902A (ja) 粒状培養土
JPH04169127A (ja) 植物栽培用培地
GB2269378A (en) Fibrous growth media
JPH11113387A (ja) 植物栽培用吸水性樹脂及びそれを用いた植物栽培方法
JP2000053965A (ja) 植物育成用カルボキシメチルセルロースゲル組成物、その製造方法および使用方法
JPH10150846A (ja) 蘚苔類増殖体及びその製造方法
JPH11155363A (ja) 種子固着培土及び植物製品
JPS6098910A (ja) 植物栽培用基材
JPH10248376A (ja) セル育苗用培土
JP2002051611A (ja) 植物種子被覆材
JP2002053859A (ja) 土壌保水材及びそれを用いた土壌改良方法
JP2004236530A (ja) 培養土