JP2000320599A - 油圧緩衝器の減衰力発生構造 - Google Patents

油圧緩衝器の減衰力発生構造

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JP2000320599A
JP2000320599A JP11127824A JP12782499A JP2000320599A JP 2000320599 A JP2000320599 A JP 2000320599A JP 11127824 A JP11127824 A JP 11127824A JP 12782499 A JP12782499 A JP 12782499A JP 2000320599 A JP2000320599 A JP 2000320599A
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cylinder
stroke
piston rod
chamber
damping force
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JP11127824A
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Shizuka Sakai
静 坂井
Toshihiko Hidaka
俊彦 日高
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KYB Corp
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Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧緩衝器のピストンがストロークの下限域
に突入したときの圧縮側減衰力を、通常のストローク領
域よりも高くすること。 【解決手段】 ピストンロッド1がストロークの下限域
Sdに突入した際に、タンク室Dの作動油Fが下側に充
満する高さで前記外筒22の内面(シリンダ21の外
面)に固定された補助シール31(41)は、上部から
下部への流れは、前記シリンダの外面(外筒の内面)に
当接させたシールリップ31C(41C)により小さい
差圧で許容する一方、下部から上部への流れは、断面中
央部を上下に貫通するオリフィス31A(41A)を介
してのみ許容することにより、ストロークの下限域での
み補助減衰力を発生させること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の懸架装置な
ど車体の振動を抑制する油圧緩衝器の減衰力発生構造に
関し、特にピストンがストロークの下限域に突入したと
きの圧側減衰力を増加させる構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の油圧緩衝器としては、例えば図
2に示すようなものが知られている。まず構造の概要を
図面に基づいて説明する。車体と車輪との間に結合部材
を介して取付けられる油圧緩衝器は、ピストンロッド1
に伸側減衰弁PVを組み付け、それを摺動自在に収容す
るとともに下端部に圧側減衰弁BVを装着したシリンダ
21を外筒22に収容し、外気を遮断するシール23と
ロッドガイド24とを収容したパッキンケース25を外
筒22の上部から嵌挿した後、外筒22の上端部を全周
溶接等により密封して形成されている。そして、シリン
ダ21と外筒22の間には下部に作動油Fを蓄えたタン
ク室Dが形成される。
【0003】作動油の充満したシリンダ21内をピスト
ンロッド1が上昇する際には、密閉された上部室Aの作
動油は、伸側減衰弁PVを介して下部室Bに流出し、こ
の際の通路抵抗が伸側減衰力となる。ピストンロッド1
の上昇によって不足するピストンロッド退出体積分の作
動油は、前記シリンダ21の下端部に配設された圧側減
衰弁BVを介してタンク室Dに連なる底部室Cより下部
室Bに吸入される。
【0004】次に、この油圧緩衝器の伸側減衰弁PVに
ついて説明する。ピストンロッド1の下端部には上部よ
りも小径のインロー部1Aが設けられ、ここに円筒状の
バルブストッパ2が嵌挿されている。当該バルブストッ
パ2の外面には、外筒部が数箇所作動油の通路として切
欠かれた数本の支持脚からなるキャップ3の上部が嵌合
している。そしてキャップ3の外筒部には、前記バルブ
ストッパ2の外面にスプリング4に背面から付勢されて
上下動自在に嵌合するディスク5と、当該ディスク5の
下面の開口窓5Bの内筒部下端面5Cと外面にガイド部
材8Dが巻着されたピストン8の上面に設けられた円環
状のシート面8Cとの間に、ディスク5側にリーフバル
ブ6,シート面8C側に切欠きリーフバルブ7とが重畳
されて上下動自在に収容され、これらの部品を収容した
前記キャップ3の支持脚がピストン8の上面に設けられ
た円環状のシート面8Cの外側に嵌着されて伸側減衰弁
PVが構成される。最後に、ピストンナット9をピスト
ンロッドのインロー部1Aのネジ部に螺着し、締付け工
具により伸側減衰弁PVをピストンロッドに締結する。
【0005】ピストンロッド1が上昇する所謂伸長行程
において、ピストン速度が小さく上部室Aとピストン上
部の開口部8Bとの圧力差が小さい所謂微低速〜低速域
においては、上部室Aとピストン上部の開口部8Bの間
はシート面8Cに着座している図2(C)に示す切欠き
リーフバルブ7の切欠き7Aを介して連通している。切
欠き7Aを通過した圧油は、ピストン8に穿設されたポ
ート8Aを介して下部室Bに開放され、この際の通路抵
抗により微低速〜低速域の伸側減衰力を発生する。
【0006】ピストン速度が増大するに伴い切欠き7A
を通過する流量も増え、切欠き7A前後の圧力差も増大
する。ピストン速度が中速域に近づくにつれ、上部室A
とピストン上部の開口部8B間の圧力差が大きくなる。
その結果、切欠きリーフバルブ7及びこれに重畳して配
設された図2(B)に示すリーフバルブ6の内周側が、
これらリーフバルブの合成された撓み剛性に打ち勝っ
て、ディスク下面の開口窓5Bの内筒部下端面5Cから
押し開かれ、上部室Aの作動油がディスク5の通孔5A
を介して開口部8Bに解放される。解放された作動油は
ピストンのポート8Aを介して下部室Bに流出し、この
際の通路抵抗により中速域以降の伸側減衰力を発生す
る。
【0007】以上の説明は作動油の充満したシリンダ2
1内をピストンロッド1が上昇する伸長行程についてで
あるが、逆にピストンロッド1が下降する所謂圧縮行程
においては、密閉された下部室Bの作動油の一部は、ピ
ストン8のポート8Aを通り、切欠きリーフバルブ7及
びリーフバルブ6の外周側をピストン8のシート面8C
から押し開き、負圧となる上部室Aに補充される。この
分を除いた下部室Bの作動油は、シリンダ21の下端部
に装着された圧側減衰弁BVを介して底部室Cに流出
し、この際の通路抵抗により圧側減衰力を発生する。
【0008】油圧緩衝器の液圧室の外殻をなすシリンダ
21の下端部には、圧側減衰弁BVが装着されている。
シリンダ21の下端部に圧入されたバルブケース16の
上端外周側には、外筒部が数箇所作動油の通路として切
欠かれたキャップ11の数本の支持脚が嵌着されてい
る。キャップ11の外筒部には、スプリング12に背面
から付勢されて上下動自在に案内されるディスク13
と、当該ディスク13に穿設された通孔13Aに連なる
開口窓13Bの内周側シート面13Cとバルブケース1
6の上面に形成された円環状のシート面16Aとの間
に、ディスク側に図2(B)と同様なリーフバルブ1
4,シート面側に図2(C)と同様な切欠きリーフバル
ブ15とが重畳されて挟持されるとともに、これらリー
フバルブ14,15及びディスク13が上下動自在に収
容され圧側減衰弁BVが構成される。
【0009】ピストンロッド1が下降する圧縮行程にお
けるピストン速度の低速域において、上部室Aに補充さ
れる分を除いた下部室Bの圧油は、外周側の一部を切り
欠いた切欠きリーフバルブ15の切欠き15Aを通り底
部室Cに流出し、この際の通路抵抗により微低速〜低速
域の圧側減衰力を発生する。またピストン速度の増大す
る中速域以降においては、下部室Bからディスク13の
通孔13Aを介して開口窓13Bに導かれた圧油が、切
欠きリーフバルブ15及びこれに重畳して配設されたリ
ーフバルブ14の内周側を押し開いて、ピストンロッド
1の進入体積分の作動油を下部室Bから底部室Cに排出
し、その際の通路抵抗により中速域以降の圧側減衰力を
発生させる。
【0010】逆にピストンロッド1が上昇する伸長行程
においては、ディスク13を介してスプリング12に付
勢されキャップ11の外筒部に上下動自在に案内される
リーフバルブ14,切欠きリーフバルブ15の外周側を
押し開いて、ピストンロッド1の退出体積分の作動油を
タンク室Dに連なる底部室Cから負圧となる下部室Bに
吸入する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の様にピストン速
度の低速域においては、上流側の作動油は外周側の一部
を切り欠いた切欠きリーフバルブの切欠きを通り、また
中速域以降ににおいてはこの通路に加え、切欠きリーフ
バルブ及びこれに重畳されたリーフバルブの内周側を押
し開いて下流側に流出し、この際の通路抵抗で減衰力を
発生する。そしてこの減衰力は、図1(C)の破線で示
すように全ストローク域に亘りほぼ一定である。車両の
乗り心地をよくするために圧側減衰力を低くすると、道
路のうねり等を通過する際の大振幅の上下振動の減衰が
不十分であるため、ピストンがストロークの下限域に接
近して所謂底突きが発生し、車両の乗り心地を逆に悪化
させてしまう。
【0012】本発明は以上のような実情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、ピストンがス
トロークの下限域に突入したときの圧側減衰力を、通常
のストローク領域よりも高くすることのできる油圧緩衝
器を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、「外筒に収容
されたシリンダ内を上部室と下部室とに区画する一方、
シリンダ内に摺動自在に案内される伸側減衰弁をピスト
ンロッドの下端部に結合して、ピストンロッドが伸長す
る際の伸側減衰力を制御するとともに、シリンダ内を下
部室とタンク室に連通する底部室とに区画する圧側減衰
弁をシリンダ下端部に嵌着して、ピストンロッドが収縮
する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器」を前提とす
るものである。課題を解決するため本発明の採った手段
は、「前記ピストンロッドがストロークの下限域に突入
した際に、前記タンク室の作動油が下側に充満する高さ
で前記外筒の内面又はシリンダの外面のいずれかに固定
された補助シールは、上部から下部への流れは、前記シ
リンダの外面又は外筒の内面に当接させたシールリップ
により小さい差圧で許容する一方、下部から上部への流
れは、断面中央部を上下に貫通するオリフィスを介して
のみ許容することにより、ストロークの下限域でのみ補
助減衰力を発生させること」である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係わる油圧緩衝器は、図
2の従来技術と同じ基本構造を備え、ピストンロッド1
がその下端部に装着された伸側減衰弁PVを介して、シ
リンダ21内に移動自在に挿入されるとともに、上部室
A,下部室Bを区画する。また、シリンダ21の下端部
には圧側減衰弁BVが設けられ、同じく下部室B,底部
室Cを区画している。
【0015】前記従来技術の課題を解決するには、ピス
トン8がストロークの下限域Sdに突入したときの下限
域減衰力を、図1(C)の破線で示すように、通常のス
トローク域Suの実線で示す圧側減衰力よりも高くし
て、ストロークの下限Zに接近するほどピストン8の下
降速度を減速する構造にすればよい。以下、本発明を左
半断面の図1(A)に示す第1実施形態に基づき、従来
技術と異なる部分にのみ異なる符号を付して説明する。
【0016】従来技術で説明した油圧緩衝器との相違点
は、ピストン8がストロークの下限域Sdに接近する
と、タンク室D内に固定した補助シール31の下側が作
動油Fで充満するようにし、ピストン8がストロークの
下限域Sdに突入した後は、タンク室Dの作動油Fが補
助シール31に設けたオリフィス31Aを通過するよう
にしたことである。ここで補助シール31は、補強環3
1Bにシールリップ31Cを焼き付け成形し、断面中央
部に上下室を連通するオリフィス31Aを穿設したもの
で、これを外筒22の内面に圧入又は加締め等により所
定の高さに固定したものである。補強環31Bの外周側
に薄いゴム膜31Dを形成すれば、外筒22の内面の寸
法精度が多少悪くても強固に固定することができる。
【0017】圧側減衰弁BVを下端に嵌着したシリンダ
21を外筒22に収容すると、前記シールリップ31C
がシリンダ21の外面に当接する。シールリップ31C
は、下から上への流れは阻止するが、上から下への流れ
に対しては、シールリップ31Cが外側に押し開かれ、
作動油を小さい差圧で下側に還流させる。
【0018】上記第1実施形態においては、補助シール
31を外筒22の内面に固定したが、右半断面の図1
(B)に示す第2実施形態の補助シール41に示すよう
に、シリンダ21の外面に繋止してもよい。この補助シ
ール41は、補強環41Bにシールリップ41Cを焼き
付け成形し、断面中央部に上下室を連通するオリフィス
41Aを穿設したもので、これをシリンダ21の外面に
圧入又は加締め等により所定の高さに固定したものであ
る。補強環41Bの内周側に薄いゴム膜41Dを形成す
れば、シリンダ21の外面の寸法精度が多少悪くても強
固に固定することができる。
【0019】圧側減衰弁BVを下端に嵌着し補助シール
41を所定の高さに固定したシリンダ21を外筒22に
収容すると、前記シールリップ41Cが外筒22内面に
当接する。シールリップ41Cは、下から上への流れは
阻止するが、上から下への流れに対しては、シールリッ
プ31Cが外側に押し開かれ、作動油を小さい差圧で下
側に還流させる。
【0020】以下、第1及び第2実施形態に共通する事
項を適宜番号を区分して説明する。第1(第2)のいず
れの実施形態においても、ピストンロッド1が通常のス
トローク域Suで作動する場合は、補助シール31(4
1)の上下は双方とも粘度の小さい封入ガスであるた
め、当該封入ガスは、オリフィス31A(41A)を殆
ど抵抗なく通過する。
【0021】ピストンロッド1がストロークの下限域S
dに接近すると、タンク室D内の作動油Fが補助シール
31(41)の下側に充満する。ピストンロッド1がス
トロークの下限域Sdに突入し下降するに従って、作動
油Fはオリフィス31A(41A)を通って上側に流出
し、この際の通路抵抗により補助減衰力を発生する。ピ
ストンロッド1には、ストロークの下限域Sdでのみ発
生する補助シール31(41)の補助減衰力と、圧側減
衰弁BVによってストローク全域で発生する圧側減衰力
との合成された図1(C)に破線で示す下限域減衰力が
反力として加わるので、ストロークの下限域Sdにまで
下降したピストンロッドの下降速度は速やかに減速す
る。
【0022】この状態からピストンロッド1が上昇する
場合は、補助シール31(41)の上側の作動油が、前
記オリフィス31A(41A)を通って下側に流出する
一方、前記シールリップ31C(41C)を小さい差圧
で押し開き、補助シール31(41)の下側に殆ど抵抗
なく還流する。
【0023】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明の第1(第2)
実施形態によれば、タンク室の外筒側(シリンダ側)に
補助シールを固定するとともに、ピストンロッドがスト
ロークの下限域に突入する場合に、タンク室に流入した
作動油が補助シールの下側に充満するようにしたので、
タンク室下部の作動油は、ピストンロッドがストローク
の下限域を下降するに従って、補助シールのオリフィス
を通って上側に流出し、この際の通路抵抗により補助減
衰力を発生する。上記いずれの実施形態においても、ピ
ストンロッドには、ストロークの下限域でのみ発生する
補助減衰力と、ストローク全域で発生する圧側減衰力と
の合成された下限域減衰力が反力として加わるので、ス
トロークの下限域にまで下降したピストンロッドの下降
速度が速やかに減速し、油圧緩衝器の底突きが防止され
るとともに車両の乗り心地を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) 本発明の第1実施形態に係わる油圧緩
衝器の左半断面図である。 (B) 本発明の第2実施形態に係わる油圧緩衝器の右
半断面図である。 (C) 本発明に係わる油圧緩衝器の通常域及び下限域
の減衰力特性である。
【図2】(A) 従来技術に係る油圧緩衝器の縦断面図
である。 (B) 従来技術に係る切欠きリーフバルブの平面図で
ある。 (C) 従来技術に係る下側リーフバルブの平面図であ
る。
【符号の説明】
A 上部室 B 下部室 C 底部室 D タンク室 F 作動油 PV 伸側減衰弁 BV 圧側減衰弁 Sd ストロークの下限域 1 ピストンロッド 21 シリンダ 22 外筒 31,41 補助シール 31A,41A オリフィス 31C,41C シールリップ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外筒に収容されたシリンダ内を上部室と下
    部室とに区画する一方、シリンダ内に摺動自在に案内さ
    れる伸側減衰弁をピストンロッドの下端部に結合して、
    ピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御すると
    ともに、シリンダ内を下部室とタンク室に連通する底部
    室とに区画する圧側減衰弁をシリンダ下端部に嵌着し
    て、ピストンロッドが収縮する際の圧側減衰力を制御す
    る油圧緩衝器において、 前記ピストンロッドがストロークの下限域に突入した際
    に、前記タンク室の作動油が下側に充満する高さで前記
    外筒の内面又はシリンダの外面のいずれかに固定された
    補助シールは、上部から下部への流れは、前記シリンダ
    の外面又は外筒の内面に当接させたシールリップにより
    小さい差圧で許容する一方、下部から上部への流れは、
    断面中央部を上下に貫通するオリフィスを介してのみ許
    容することにより、ストロークの下限域でのみ補助減衰
    力を発生させることを特徴とする油圧緩衝器の減衰力発
    生構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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