JP2000320356A - 内燃機関のバルブタイミング調整装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング調整装置

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適切な吸気バルブの閉タイミングで内燃機関
を始動する。 【解決手段】 バルブタイミング調整装置10は、ベー
ン29とハウジング28で形成される進角室や遅角室へ
の油圧を調整してベーン29を進角又は遅角させて吸気
バルブの開閉タイミングを変更する。ベーン29は、最
進角位置の係止穴49Aや最遅角位置の係止穴にロック
ピン43を嵌挿することによりその位置で固定される。
エンジンの停止はベーン29が中間位置になるよう行な
い、始動は、冷却水温度が低いときにはクランクシャフ
トを所定角度逆回転させてベーン29を最進角位置に固
定してから行ない、温度が高いときにはそのままクラン
キングすることによりベーン29を最遅角位置に固定し
て行なう。最進角位置で始動すると圧縮圧が高くなるか
ら冷間時の始動が容易となり、最遅角位置で始動すると
圧縮圧が低くなるから温間時の始動の際の振動を減少さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のバルブ
タイミング調整装置に関し、詳しくは、クランクシャフ
トの下死点以降の回転角で内燃機関の吸気バルブの閉タ
イミングを調整するバルブタイミング調整装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の内燃機関のバルブタイミ
ング調整装置としては、クランクシャフトに対するカム
シャフトの回転位相を変更して内燃機関の吸気バルブの
開閉タイミングを変更するものが提案されている(特開
平8−121122号公報など)。この装置は、クラン
クシャフトと同期して回転するハウジングと、カムシャ
フトに結合されハウジングに対して相対的に回転可能な
ベーンと、油の流入によってその体積を広げてベーンの
クランクシャフトに対する回転位相を進角させる進角室
と、油の流入によってその体積を広げてベーンのクラン
クシャフトに対する回転位相を遅角させる遅角室とを備
え、進角室と遅角室への油の流入を制御することによ
り、吸気バルブを駆動するカムシャフトのクランクシャ
フトに対する回転位相を可変とし、これによって吸気バ
ルブの開閉タイミングを変更できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
たバルブタイミング調整装置では、内燃機関の始動が適
切に行えない場合を生じるといった問題があった。一般
に、内燃機関の吸気バルブの閉タイミングは、吸気の慣
性を利用して混合気をできるだけ多くシリンダ内に充填
するために、吸気行程におけるクランクシャフトの下死
点以降の回転角(例えば、45度など)としているが、
吸気バルブの開閉タイミングを調整する装置では、内燃
機関の運転を停止したときの開閉タイミングによって内
燃機関を始動することになるから、始動に適切なタイミ
ングとならない場合が生じる。例えば、吸気バルブの閉
タイミングが遅い状態で冷えた内燃機関を始動すると、
始動時の圧縮圧力が不足して始動が困難な場合を生じた
り、吸気バルブの閉タイミングが早い状態で暖まった内
燃機関を始動すると、圧縮圧力が高くなりすぎて始動時
の振動が大きくなる場合を生じる。こうした問題は、内
燃機関の吸気バルブの閉タイミングを、ノッキングの減
少や振動の減少,燃費の向上を図るために遅角側で行な
うようにした内燃機関では顕著に現われる。
【0004】こうした問題に対して、内燃機関の始動時
に吸気バルブの閉タイミングを変更することも考えられ
るが、進角室や遅角室への油圧を発生させるポンプの駆
動力を内燃機関の駆動力から得るものでは内燃機関の始
動時に油圧を発生することができない。
【0005】本発明の内燃機関のバルブタイミング調整
装置は、内燃機関の始動時に吸気バルブの閉タイミング
を適切なタイミングとすることを目的の一つとする。ま
た、こうした目的を簡易な構成で達成することを目的の
一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の第1および第2の内燃機関のバルブタイミング調
整装置は、上述の目的の少なくとも一部を達成するため
に以下の手段を採った。
【0007】本発明の第1の内燃機関のバルブタイミン
グ調整装置は、クランクシャフトの下死点以降の回転角
で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整するバル
ブタイミング調整装置であって、前記クランクシャフト
を回転駆動する電動機と、前記クランクシャフトの回転
角との位相を固定して、前記吸気バルブの閉タイミング
を進角側の所定角に固定可能なタイミング固定手段と、
前記内燃機関の状態を検出する状態検出手段と、前記内
燃機関の始動要求がなされたとき、前記状態検出手段に
より検出された該内燃機関の状態が所定の状態の場合に
は、前記吸気バルブの閉タイミングを前記進角側の所定
角に設定するタイミング設定手段と、前記タイミング設
定手段による設定に基づいて、前記電動機により前記ク
ランクシャフトを所定の角度逆回転させることにより、
前記タイミング固定手段によって前記クランクシャフト
の回転角との位相を前記進角側の所定角に固定する進角
制御手段とを備えることを要旨とする。
【0008】この本発明の第1の内燃機関のバルブタイ
ミング調整装置は、内燃機関の始動要求がなされたと
き、タイミング設定手段が、状態検出手段により検出さ
れた内燃機関の状態が所定の状態のときには、吸気バル
ブの閉タイミングを進角側の所定角に設定する。タイミ
ング制御手段は、この設定された閉タイミングで内燃機
関が始動されるように、電動機によりクランクシャフト
を所定の角度逆回転させて、クランクシャフトの回転角
との位相を、上記進角側の所定角に固定する。したがっ
て、内燃機関の駆動力が得られない内燃機関の始動前で
あっても、吸気バルブの閉タイミングを変更することが
できる。
【0009】ここで、「内燃機関の状態」には、内燃機
関の温度や内燃機関の停止時からの経過時間などが含ま
れる。したがって、例えば、状態検出手段を内燃機関の
温度を検出する手段とし、内燃機関の温度が所定温度未
満であるか否かに基づいて吸気バルブの閉タイミングを
設定したり、あるいは、状態検出手段を内燃機関の停止
時からの経過時間を検出する手段とし、内燃機関の停止
時からの経過時間が所定時間以上である否かに基づいて
吸気バルブの閉タイミングを設定するものなども含まれ
る。
【0010】こうした本発明の第1の内燃機関のバルブ
タイミング調整装置によれば、内燃機関の状態が所定の
状態のときには、電動機を用いて、吸気バルブの閉タイ
ミングを進角側の所定角に固定するから、吸気バルブの
閉タイミングを、内燃機関の状態から必要とされる進角
側の所定角として、内燃機関を始動することができる。
この結果、始動時の圧縮圧力が不足して始動が困難とな
るといった不都合を回避することができる。
【0011】これら変形例を含めて本発明の第1の内燃
機関のバルブタイミング調整装置において、前記状態検
出手段により検出された前記内燃機関の状態が所定の状
態にないときには、前記吸気バルブの閉タイミングを遅
角側の所定角とする手段を設けることもできる。この態
様のバルブタイミング調整装置では、前記クランクシャ
フトの回転角との位相を前記遅角側に所定角に固定する
遅角固定手段を備え、内燃機関の状態に基づいて、遅角
固定手段により前記クランクシャフトの回転角との位相
が前記遅角側の所定角に固定する構成とすることもでき
る。
【0012】また、本発明の第2の内燃機関のバルブタ
イミング調整装置は、クランクシャフトの下死点以降の
回転角で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整す
るバルブタイミング調整装置であって、前記クランクシ
ャフトの回転角との位相を進角側の所定角に固定する進
角固定手段および前記クランクシャフトの回転角との位
相を遅角側の所定角に固定する遅角固定手段を有し、前
記吸気バルブの閉タイミングを、該進角側の所定値およ
び該遅角側の固定値のいずれかまたは両固定値間に変更
可能なタイミング変更手段と、前記内燃機関の状態を検
出する状態検出手段と、前記内燃機関の始動要求がなさ
れたとき、前記状態検出手段により検出された該内燃機
関の状態に基づいて前記吸気バルブの閉タイミングを設
定するタイミング設定手段と、該設定された閉タイミン
グで前記内燃機関が始動されるよう前記タイミング変更
手段を制御するタイミング制御手段と前記内燃機関の停
止要求がなされたとき、該内燃機関が停止したときの前
記吸気バルブの閉タイミングが前記進角側の所定角と前
記遅角側の所定角との間のタイミングとなるよう前記タ
イミング変更手段を制御する停止制御手段とを備え、前
記タイミング設定手段は、前記状態検出手段により検出
された前記内燃機関の状態に基づいて前記吸気バルブの
閉タイミングを前記進角側の所定角と前記遅角側の所定
角のいずれかに設定する手段であり、前記タイミング設
定手段は、前記状態検出手段により検出された前記内燃
機関の状態が所定の状態のときには前記吸気バルブの閉
タイミングを進角側の所定角となるタイミングに設定
し、該内燃機関の状態が該所定の状態にないときには前
記吸気バルブの閉タイミングを進角側の所定角となるタ
イミングに設定する手段であり、前記タイミング制御手
段は、前記タイミング設定手段による設定に基づいて前
記進角固定手段と前記遅角固定手段のいずれかにより前
記クランクシャフトの回転角との位相が固定されるよう
制御する手段であることを要旨としている。
【0013】かかるバルブタイミング調整装置では、吸
気バルブの閉タイミングを、進角側の所定角および遅角
側の所定角のいずれかまたは両固定角の間に変更可能で
あり、内燃機関の停止要求がなされたときには、吸気バ
ルブの閉タイミングを両固定角の間のタイミングに制御
する。その上で、内燃機関の始動要求がなされたときに
は、内燃機関の状態が所定状態のときには、吸気バルブ
の閉タイミングを進角側の所定角に固定し、内燃機関が
所定の状態にないときには、遅角側の所定角に固定す
る。このため、適正な吸気バルブの閉タイミングで内燃
機関を始動することができ、始動時の圧縮圧力が不足し
て始動が困難となったり、圧縮圧力が高くなりすぎて始
動時の振動が大きくなるといった不都合を回避すること
ができる。
【0014】この態様のバルブタイミング調整装置で
は、前記クランクシャフトを回転駆動する電動機を備
え、前記タイミング制御手段は、前記タイミング設定手
段により前記吸気バルブの閉タイミングが前記進角側の
所定角に設定されたときには、前記電動機により前記ク
ランクシャフトを所定の角度逆回転させて前記進角固定
手段により前記クランクシャフトの回転角との位相が固
定されるよう制御する進角制御手段と、前記タイミング
設定手段により前記吸気バルブの閉タイミングが前記遅
角側の所定角に設定されたときには、前記電動機により
前記クランクシャフトを所定の角度正回転させて前記遅
角固定手段により前記クランクシャフトの回転角との位
相が固定されるよう制御する遅角制御手段とを備えるも
のとすることもできる。
【0015】こうすれば、油圧を発生させるポンプの駆
動力を内燃機関の駆動力から得るものであっても、内燃
機関の状態に応じてクランクシャフトを正逆に所定の角
度回転させることにより吸気バルブの閉タイミングを調
整することができる。
【0016】進角制御手段を備える本発明の第1の内燃
機関のバルブタイミング調整装置において、前記タイミ
ング変更手段は、圧力流体が出入りする出入弁を有し該
圧力流体が流入することにより前記クランクシャフトの
回転角との位相を遅角させる遅角室を備え、前記進角制
御手段は、前記クランクシャフトを逆回転させる際に前
記出入弁が開弁するよう前記タイミング変更手段を制御
する開弁制御手段を備えるものとすることもできる。こ
うすれば、開弁されることによって遅角室の圧力流体が
流出するから、クランクシャフトの回転角との位相を容
易に進角側に変更することができる。
【0017】本発明の第3の内燃機関のバルブタイミン
グ調整装置は、クランクシャフトの下死点以降の回転角
で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整するバル
ブタイミング調整装置であって、前記クランクシャフト
の回転角との位相を変更することにより前記吸気バルブ
の閉タイミングを変更するタイミング変更手段と、前記
内燃機関の停止要求がなされたとき、該停止要求の要因
に基づいて、停止時からの経過時間を予測し、該予測さ
れた経過時間が所定時間以上のとき、次の始動時に該内
燃機関は所定の状態にあると予測する状態予測手段と、
該予測に基づいて次の前記内燃機関の始動時の前記吸気
バルブの閉タイミングを設定するタイミング設定手段
と、該設定された閉タイミングで前記内燃機関が停止す
るよう前記タイミング変更手段を制御するタイミング制
御手段とを備えることを要旨とする。
【0018】この本発明の第2の内燃機関のバルブタイ
ミング調整装置は、内燃機関の停止要求がなされたとき
に、状態予測手段が、この停止要求の要因に基づいて、
停止時間の経過時間を予測し、この予測された経過時間
が所定時間以上のとき、次の始動時に内燃機関は所定の
状態にあると予測し、タイミング設定手段が、この予測
された状態に基づいて次の内燃機関の始動時の吸気バル
ブの閉タイミングを設定する。タイミング制御手段は、
この設定された閉タイミングで内燃機関が停止するよう
クランクシャフトの回転角との位相を変更することによ
り吸気バルブの閉タイミングを変更するタイミング変更
手段を制御する。なお、停止要求の要因としては、運転
者による車両停止時の内燃機関の停止か、車両制御上の
養成による内燃機関の自動停止か、などの区別を設ける
ことができる。
【0019】こうした本発明の第3の内燃機関のバルブ
タイミング調整装置によれば、予測された内燃機関の状
態に基づいて次に始動されるときの吸気バルブの閉タイ
ミングを設定し、内燃機関がその閉タイミングで停止す
るから、次の内燃機関の始動を、より適正な吸気バルブ
の閉タイミングで行なうことができる。この結果、始動
時の圧縮圧力が不足して始動が困難となったり、圧縮圧
力が高くなりすぎて始動時の振動が大きくなるといった
不都合を回避することができる。
【0020】この本発明の第3の内燃機関のバルブタイ
ミング調整装置において、前記タイミング設定手段は、
前記状態予測手段により予測された前記内燃機関の状態
が所定の状態のときには、前記吸気バルブの閉タイミン
グを進角側の所定角となるタイミングに設定する手段で
あるものとすることもできる。この態様のバルブタイミ
ング調整装置では、前記タイミング変更手段は、前記ク
ランクシャフトの回転角との位相を前記進角側の所定角
に固定する進角固定手段を備え、前記タイミング制御手
段は、前記タイミング設定手段による設定に基づいて前
記進角固定手段により前記クランクシャフトの回転角と
の位相が前記所定角に固定されるよう制御する手段であ
るものとすることもできる。
【0021】これら変形例を含めて本発明の第3の内燃
機関のバルブタイミング調整装置において、前記タイミ
ング設定手段は、前記状態予測手段により予測された前
記内燃機関の状態が所定の状態にないときには、前記吸
気バルブの閉タイミングを遅角側の所定角となるタイミ
ングに設定する手段であるものとすることもできる。こ
の態様のバルブタイミング調整装置では、前記タイミン
グ変更手段は、前記クランクシャフトの回転角との位相
を前記遅角側に所定角に固定する遅角固定手段を備え、
前記タイミング制御手段は、前記タイミング設定手段に
よる設定に基づいて前記遅角固定手段により前記クラン
クシャフトの回転角との位相が前記遅角側の所定角に固
定されるよう制御する手段であるものとすることもでき
る。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は本発明の一実施例であるバ
ルブタイミング調整装置10の構成の概略を示す構成
図、図2および図3は図1のバルブタイミング調整装置
10のA−A線断面図、図4は吸気側カムシャフト12
と排気側カムシャフト23の構成を例示する構成図、図
5は実施例のバルブタイミング調整装置10により吸気
バルブのタイミングが調整されるエンジン60を搭載す
る車両100の概略構成図である。
【0023】まず、図5を用いて車両100の構成につ
いて簡単に説明する。図示するように、車両100は、
エンジン60と、エンジン60から出力される動力によ
り発電すると共にエンジン60を始動する際のセルモー
タとして駆動可能な発電用モータ69と、駆動輪17
4,176にディファレンシャルギヤ172を介して結
合された駆動軸170を駆動する駆動用モータ150
と、発電用モータ69を駆動する発電用モータ駆動回路
142と、駆動用モータ150を駆動する駆動用モータ
駆動回路152と、発電用モータ駆動回路142を介し
て発電用モータ69と電力の授受を行なうと共に駆動用
モータ150を介して駆動用モータ150と電力の授受
を行なうバッテリ160と、エンジン60および両モー
タ69,150を駆動制御すると共にバルブタイミング
調整装置10を制御する電子制御ユニット(以下、EC
Uという)17とを備える、いわゆるハイブリッド型の
電気自動車である。ここで、実施例のバルブタイミング
調整装置10は、エンジン60に組み込まれた後述する
位相変更機構11やECU17などにより構成される。
【0024】ECU17は、CPU(図示せず)を中心
としたマイクロコンピュータであり、制御プログラムを
記憶したROMやワーク用のRAM,入出力ポートなど
を備える。ECU17の入力ポートには、図1および図
5に示すように、エンジン60の運転状態や発電用モー
タ69および駆動用モータ150の運転状態等を示す種
々のセンサやこれらを運転するのに必要なセンサが接続
されている。例えば、エンジン60の運転状態を検出す
るセンサとしては、エンジン60の負荷を検出する吸気
圧センサ80、図示しないディストリビュータに設けら
れクランクシャフト68の回転数と回転角度を検出する
回転数センサ81およびクランク角センサ82、後述す
る吸気側カムシャフト12の回転角度を検出するカム角
センサ83、エンジン60の水温を検出する水温センサ
84など、また、発電用モータ69および駆動用モータ
150の運転状態を検出するセンサとしては、発電用モ
ータ駆動回路142を介して発電用モータ69に流され
る三相の電流を検出する電流計144や駆動用モータ駆
動回路152を介して駆動用モータ150に流される三
相の電流を検出する電流計154などである。このほ
か、ECU17には、例えば、イグニッションキーの状
態を検出するイグニッションスイッチ85や時間を計測
するタイマ86、アクセルペダル163の踏込量を検出
するアクセルペダルポジションセンサ164、ブレーキ
ペダル165の踏込量を検出するブレーキペダルポジシ
ョンセンサ166、バッテリ160の残容量BRMを検
出する残容量計162、図示しないスロットルバルブの
開度(ポジション)を検出するスロットルバルブポジシ
ョンセンサなども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。また、ECU17の出
力ポートには、発電用モータ駆動回路142や駆動用モ
ータ駆動回路152、図示しないイグナイタや燃料噴射
弁やスロットルバルブアクチュエータ、後述するオイル
コントロールバルブ16の電磁ソレノイド78等が接続
されている。
【0025】こうして構成された車両100では、EC
U17は、アクセルペダルポジションセンサ164やブ
レーキペダルポジションセンサ166により検出された
アクセルペダル163やブレーキペダル165の踏込量
に応じたトルクを駆動用モータ150から出力するよう
駆動用モータ駆動回路152を制御すると共に、残容量
計162により検出されるバッテリ160の残容量BR
Mが所定範囲内となるようエンジン60を間欠運転制御
する。
【0026】次に、こうした車両100に組み込まれる
本発明の実施例としてのバルブタイミング調整装置10
について説明する。バルブタイミング調整装置10は、
図1に示すように、吸気側カムシャフト12に取り付け
られた位相変更機構11と、エンジン60の駆動力を動
力源として位相変更機構11へオイルを圧送するオイル
ポンプ15と、オイルポンプ15により圧送されるオイ
ルの油路を変更するオイルコントロールバルブ16と、
ECU17とを備える。
【0027】吸気側カムシャフト12は、エンジン60
のシリンダヘッド18の上端面とベアリングキャップ1
9により回転可能に軸支されており、その図1の右端側
には、図4に示すように外周部に2つで1対をなす4対
のカム20が形成されている。各カム20には、エンジ
ン60の気筒毎に設けられた吸気バルブ62の上端部が
当接されており、吸気側カムシャフト12と共にカム2
0が回転することにより吸気バルブ62が開閉するよう
になっている。
【0028】吸気側カムシャフト12のシリンダヘッド
18およびベアリングキャップ19により軸支された部
分より先端側(図1の左側)の部分には広径部21が形
成されており、この広径部21の外周には、環状のドリ
ブンギヤ22が回転可能に被嵌されている。このドリブ
ンギヤ22の外周部には、複数の外歯22aが形成され
ており、この外歯22aは、図4に示すように、排気側
カムシャフト23に取り付けられたギヤ比が1:1のド
ライブギヤ24の外歯24aに噛合されている。排気側
カムシャフト23には、吸気側カムシャフト12と同様
に、2つで1対をなす4対のカム25が形成されてお
り、各カム25には、エンジン60の気筒毎に設けられ
た排気バルブ64の上端部が当接されている。この結
果、排気側カムシャフト23と共にカム25が回転する
ことにより排気バルブ64が開閉駆動する。
【0029】このように噛合したドリブンギヤ22とド
ライブギヤ24は、図4に示すように、クランクシャフ
ト68の端部に取り付けられたクランクプーリ68Aに
タイミングベルト27によって掛装されている。クラン
クプーリ68Aとドリブンギヤ22およびドライブギヤ
24とのギヤ比は1:2となっているから、クランクシ
ャフト68が2回転すると、ドリブンギヤ22およびド
ライブギヤ24が一回転するようになっている。
【0030】位相変更機構11は、図1ないし図3に示
すように、略中空円盤状のハウジング28と、このハウ
ジング28内に回転自在に嵌挿されたベーン29とを備
えている。ハウジング28は、ベーン29を覆うカバー
38と共にボルト30でドリブンギヤ22に固定されて
おり、カバー38と共にドリブンギヤ22と一体となっ
て回転する。ハウジング28の内部には、所定間隔を隔
てた位置に吸気側カムシャフト12の軸心に向けて突出
した4つの突部33が形成されており、この4つの突部
33と、ベーン29の固定部31に形成された略十字状
の4つの受圧部32とにより、4つの進角油圧室13と
4つの遅角油圧室14とが形成されている。この進角油
圧室13と遅角油圧室14とは、各受圧部32の外周部
形成された外周溝35にシール部材36が板ばね37に
より外周面に付勢されるよう配設されることによりシー
ルされている。ベーン29は、その固定部31の中心に
設けられた中心孔40に挿入された取付ボルト41によ
り吸気側カムシャフト12に固定されると共に、図示し
ないノックピンにより吸気側カムシャフト12と係合さ
れており、吸気側カムシャフト12と一体となって回転
する。
【0031】ベーン29は、ハウジング28に回転自在
に嵌挿されているから、ハウジング28に対して図3の
断面図の状態から図4の断面図の状態まで回転すること
ができ、その回転角だけハウジング28に対して回転位
相をもつこととなる。この回転位相は、ハウジング28
がクランクシャフト68に同期して回転することから、
クランクシャフト68に対するものということができ
る。したがって、ハウジング28に対するベーン29の
位置、すなわち進角油圧室13と遅角油圧室14の大き
さを調整することによりクランクシャフト68に対する
吸気側カムシャフト12の回転位相を変更することがで
きる。こうした回転位相の変更は、進角油圧室13およ
び遅角油圧室14に連通する進角側油路P1と遅角側油
路P2と介してオイルコントロールバルブ16からオイ
ルを供給することによって行なうことができる。
【0032】なお、実施例では、図6のバルブタイミン
グダイヤグラムに例示するように、吸気バルブ62の閉
タイミングがクランクシャフト68の下死点から約90
度遅角させた位置を挟む範囲で調整できるようにカム2
0とのタイミングがとってある。このように吸気バルブ
62の閉タイミングをクランクシャフト68の下死点か
ら大きく遅角させたのは、エンジン60の出力トルクと
回転数とを効率のよい運転ポイントで定常運転できるシ
リーズハイブリッド型の電気自動車にバルブタイミング
調整装置10を組み込んだからである。吸気バルブ62
の閉タイミングをこのように遅角させると、吸気バルブ
62は圧縮行程になってもまだ開いているから、エンジ
ン60の燃料室に一旦吸入された混合気の一部は吸気マ
ニホールド側に排出されことになり、実際の圧縮行程を
短くすることができる。このような膨張行程に比べて圧
縮行程が短いいわゆるアトキンソンサイクルでは、圧縮
圧が小さくなるからエンジン60をノッキングや振動の
少ないものとすることができると共に、サイクルの効率
も高くなるからエンジン60を燃費のよいものとするこ
とができる。
【0033】ベーン29の4つの受圧部32のうち対角
の位置にある2つには、吸気側カムシャフト12の軸方
向に段差部42aを有する貫通孔42が形成されてお
り、この貫通孔42には有底円筒状のロックピン43が
嵌挿されている。このロックピン43の内部にはスプリ
ング48が配設されており、ロックピン43はドリブン
ギヤ22側に付勢されるようになっている。図3におけ
るドリブンギヤ22のベーン29への当接面の図3中下
部に位置するロックピン43に対向する位置(図2中の
下部に形成される遅角油圧室14の略中央の位置)に
は、ロックピン43を挿入可能な進角側係止穴49Aが
形成されており、ロックピン43を進角側係止穴49A
に嵌挿することによりベーン29の回転位相を最進角側
に固定できるようになっている。同様に、図2における
ドリブンギヤ22のベーン29への当接面の図2中上部
に位置するロックピン43に対向する位置(図3中の上
部に形成される進角油圧室13の略中央の位置)には、
ロックピン43を挿入可能な遅角側係止穴49Bが形成
されており、ロックピン43を遅角側係止穴49Bに嵌
挿することによりベーン29の回転位相を最遅角側に固
定できるようになっている。なお、上述したように、ロ
ックピン43はスプリング48によりドリブンギヤ22
側に付勢されているから、ベーン29を回転させてロッ
クピン43を進角側係止穴49Aか遅角側係止穴49B
に整合させれば、ロックピン43は進角側係止穴49A
か遅角側係止穴49Bに嵌挿することになり、ベーン2
9の回転位相を最進角側か最遅角側に固定できる。
【0034】ロックピン43の先端部には広径部43a
が形成されており、貫通孔42との間に環状の油圧室4
4を形成している。図2中上部に位置するロックピン4
3により形成される油圧室44は連絡路45Aによって
進角側油路P1と連通している。したがって、図2中上
部に位置するロックピン43が遅角側係止穴49Bに嵌
挿した状態(ベーン29が最遅角側に固定された状態)
のときに、進角側油路P1を介してこのロックピン43
によって形成される油圧室44にオイルを供給すること
により、ロックピン43の広径部43aに油圧が作用し
て、ロックピン43が遅角側係止穴49Bから抜け出
し、ベーン29の進角側への回転を可能とする。一方、
図2中下部に位置するロックピン43により形成される
油圧室44は連絡路45Bによって遅角側油路P2と連
通している。したがって、図2中下部に位置するロック
ピン43が進角側係止穴49Aに嵌挿した状態(ベーン
29が最進角側に固定された状態)のときに、遅角側油
路P2を介してこのロックピン43によって形成される
油圧室44にオイルを供給することにより、ロックピン
43が進角側係止穴49Aから抜け出し、ベーン29の
遅角側への回転を可能とする。
【0035】オイルポンプ15は、図1に示すように、
エンジン60の駆動力を駆動源として動作するポンプ
で、オイルパン57に貯蔵されたオイルをオイルコント
ロールバルブ16に圧送する。なお、オイルポンプ15
とオイルコントロールバルブ16との間には、オイル中
の異物を除去するオイルフィルタ55が設けられてい
る。
【0036】オイルコントロールバルブ16は、図1に
示すように、ケーシング70と、ケーシング70に嵌挿
されたスプール76と、スプール76をその軸方向に駆
動する電磁ソレノイド78と、スプール76を電磁ソレ
ノイド78側に付勢するスプリング79とを備える。ケ
ーシング70には、進角側油路P1に接続された進角側
ポート71と、進角側油路P1から流れ込んだオイルを
オイルパン57に排出する進角側ドレンポート72と、
遅角側油路P2に接続された遅角側ポート73と、遅角
側油路P2から流れ込んだオイルをオイルパン57に排
出する遅角側ドレンポート74と、オイルポンプ15か
らオイルフィルタ55を介して圧送されるオイルの流入
口である流入ポート75とが形成されている。
【0037】スプール76には、進角側ポート71と遅
角側ポート73とを同時に閉成可能な位置にそれぞれ弁
体77が形成されていると共に、進角側ドレンポート7
2および遅角側ドレンポート74が開成されるように両
サイドの弁体77が形成されている。したがって、スプ
ール76を図中右側に移動させて図1の状態とし、流入
ポート75と遅角側ポート73とを連通する共に進角側
ポート71と進角側ドレンポート72とを連通すること
により、遅角側油路P2を介して遅角油圧室14にオイ
ルを供給すると共に進角側油路P1を介して進角油圧室
13からオイルを排出して、ベーン29を遅角側に回転
させることができる。逆に、スプール76を図中左側に
移動させて流入ポート75と進角側ポート71とを連通
すると共に遅角側ポート73と遅角側ドレンポート74
とを連通することにより、進角側油路P1を介して進角
油圧室13にオイルを供給すると共に遅角側油路P2を
介して遅角油圧室14からオイルを排出して、ベーン2
9を進角側に回転させることができる。なお、このスプ
ール76は、電磁ソレノイド78による図中左側への付
勢力とスプリング79による図中右側への付勢力とが釣
り合う位置に静止するから、電磁ソレノイド78へ印加
する電圧をデューティ制御することによってその位置を
制御することができる。
【0038】次に実施例のバルブタイミング調整装置1
0によるエンジン60の停止時および始動時の制御につ
いて図7に例示するエンジン停止時制御ルーチンと図8
に例示するエンジン始動時停止ルーチンとに基づき説明
する。
【0039】図7のエンジン停止時制御ルーチンは、E
CU17によるバッテリ160の残容量BRMの検出に
基づいてエンジン60の運転を停止する信号が出力され
たとき及び運転者によりイグニッションキーをオフとし
たのをイグニッションスイッチ85により検出したとき
に実行される。本ルーチンが実行されると、ECU17
は、まず、吸気バルブ62の開閉タイミングを変更可能
な範囲の中央値に変更する(ステップS100)。具体
的には、クランク角センサ82とカム角センサ83とに
より検出されるクランクシャフト68の回転角度と吸気
側カムシャフト12の回転角度との回転位相をもとめ、
この回転位相が変更可能な範囲の中央値となるようオイ
ルコントロールバルブ16を駆動制御するのである。
【0040】続いて、回転数センサ81により検出され
るクランクシャフト68の回転数、すなわちエンジン6
0の回転数Neを読み込み(ステップS102)、エン
ジン60が停止しているかを判定し(ステップS10
4)、エンジン60が停止するのを待って本ルーチンを
終了する。
【0041】こうした処理により吸気バルブ62の開閉
タイミングを変更可能な範囲の中央値にすることができ
る。すなわち位相変更機構11のベーン29は、進角油
圧室13と遅角油圧室14とがほぼ同体積となる位置と
なり、進角側係止穴49Aや遅角側係止穴49Bにはロ
ックピン43が嵌挿されていない状態となる。
【0042】この開閉タイミングでエンジン60が停止
状態にあるときに、ECU17によるバッテリ160の
残容量BRMの検出に基づいてエンジン60を始動する
信号が出力されたり、運転者がイグニッションキーをオ
ンとしたのをイグニッションスイッチ85により検出さ
れると、ECU17は、図8のエンジン始動時制御ルー
チンを実行してエンジン60を始動する。本ルーチンが
実行されると、ECU17は、まず、水温センサ84に
より検出されるエンジン60の冷却水の温度THWを読
み込み(ステップS110)、読み込んだ温度THWを
閾値THWRと比較する(ステップS112)。ここ
で、閾値THWRは、冷却水の温度THWによりエンジ
ン60がまだ暖かいか既に冷えてしまったかを判定する
値である。
【0043】温度THWが閾値THWRより低いときに
は、エンジン60は既に冷えてしまっている判断し、遅
角側ポート73と遅角側ドレンポート74とが連通する
ようオイルコントロールバルブ16を駆動すると共に
(ステップS114)、発電用モータ69により所定角
度だけクランクシャフト68を逆回転させて(ステップ
S116)、エンジン60を始動する(ステップS12
0)。エンジン60の始動の前にクランクシャフト68
を逆回転させるのは、変更可能な範囲の中央値に位置す
るベーン29を吸気側カムシャフト12の静止摩擦力の
作用により進角側に移動させ、進角側係止穴49Aにロ
ックピン43を嵌挿させて、吸気バルブ62の開閉タイ
ミングを最進角位置に固定するためである。なお、クラ
ンクシャフト68の逆回転に先立って遅角側ポート73
と遅角側ドレンポート74とが連通するようオイルコン
トロールバルブ16を駆動するのは、遅角油圧室14に
溜まっているオイルによってベーン29の移動が妨げら
れるのを防止するためである。このように冷間時のエン
ジン60を始動するときに吸気バルブ62の開閉タイミ
ングを最進角とするのは、冷間時のエンジン60は混合
気に十分な圧縮圧を与えないと始動し難いから、吸気バ
ルブ62の閉タイミングをクランクシャフト68の下死
点に向けて進角させることにより圧縮行程を長くして十
分な圧縮圧を確保し、圧縮比の不足による始動の困難性
を低減するためである。
【0044】一方、温度THWが閾値THWRより高い
ときには、エンジン60はまだ暖かい判断し、進角側ポ
ート71と進角側ドレンポート72とが連通するようオ
イルコントロールバルブ16を駆動して(ステップS1
18)、エンジン60を始動する(ステップS12
0)。エンジン60を始動させると、変更可能な範囲の
中央値に位置するベーン29は、吸気側カムシャフト1
2の静止摩擦力の作用により遅角側に移動し、遅角側係
止穴49Bにロックピン43を嵌挿させて、吸気バルブ
62の開閉タイミングを最遅角位置に固定する。したが
って、この場合は、吸気バルブ62の開閉タイミングを
載置閣位置とした状態でエンジン60を始動する動作と
なる。ここで、エンジン60の始動に先立って進角側ポ
ート71と進角側ドレンポート72とが連通するようオ
イルコントロールバルブ16を駆動するのは、進角油圧
室13に溜まっているオイルによってベーン29の移動
が妨げられるのを防止するためである。なお、このよう
に温間時のエンジン60を始動するときに吸気バルブ6
2の開閉タイミングを最遅角とするのは、エンジン60
はまだ暖かいから十分な圧縮圧を与えなくても始動する
から、吸気バルブ62の閉タイミングをクランクシャフ
ト68の下死点から遅角させることにより圧縮行程を短
くして始動時および始動直後の振動を小さくするためで
ある。
【0045】以上説明した実施例のバルブタイミング調
整装置10によれば、エンジン60の温度に基づいて、
吸気バルブ62の開閉タイミングをより適切なタイミン
グとしてエンジン60を始動することができる。すなわ
ち、冷間時の始動では、吸気バルブ62の開閉タイミン
グを最進角として圧縮行程における混合気の圧縮圧を高
くするから、エンジン60の始動の困難性をより小さく
することができ、温間時の始動では、吸気バルブ62の
開閉タイミングを最遅角として圧縮行程における混合気
の圧縮圧を小さくするから、始動時およびその直後の振
動を小さくすることができる。
【0046】実施例のバルブタイミング調整装置10で
は、吸気バルブ62の開閉タイミングが変更可能な範囲
の中央値となる状態でエンジン60を停止させたが、ロ
ックピン43が進角側係止穴49Aや遅角側係止穴49
Bに嵌挿されていなければ、如何なる位置の状態でエン
ジン60を停止させるものとしてもよい。
【0047】実施例のバルブタイミング調整装置10で
は、遅角側係止穴49Bを備え、温間時の始動でロック
ピン43を遅角側係止穴49Bに嵌挿させるものとした
が、遅角側係止穴49Bを備えないものとしてもよい。
温間時の始動では、ベーン29は吸気側カムシャフト1
2の静止摩擦力や動摩擦力によって遅角側に移動し、ベ
ーン29の受圧部32がハウジング28の突部33に当
接することにより最遅角位置となるからである。
【0048】実施例のバルブタイミング調整装置10で
は、クランクシャフト68の逆回転やエンジン60の始
動に先立ってオイルコントロールバルブ16を駆動して
遅角油圧室14または進角油圧室13のオイルが抜けや
すいようにしたが、エンジン60を停止した後に進角油
圧室13や遅角油圧室14に溜まっているオイルが抜け
る構成の場合には、オイルコントロールバルブ16の駆
動は不要となる。
【0049】実施例のバルブタイミング調整装置10で
は、エンジン60の駆動力により駆動するオイルポンプ
15を用いてオイルを圧送するものとしたが、バッテリ
160に蓄えられた電力により駆動するオイルポンプを
用いるものとしてもよい。この場合、図7のエンジン停
止制御ルーチンの実行は不要となり、図8のエンジン始
動制御ルーチンの実行では、ステップS114およびS
116の処理に代えて吸気バルブ62の開閉タイミング
が最進角位置となるようオイルコントロールバルブ16
を駆動する処理を行ない、ステップS118の処理に代
えて吸気バルブ62の開閉タイミングが最遅角位置とな
るようオイルコントロールバルブ16を駆動する処理を
行なえばよい。
【0050】実施例のバルブタイミング調整装置10で
は、エンジン60を間欠運転する構成に適用したが、エ
ンジン60を間欠運転しない構成に適用するものとして
もよい。
【0051】次に、本発明の第2の実施例のバルブタイ
ミング調整装置10Bについて説明する。第2実施例の
バルブタイミング調整装置10Bは、第1実施例のバル
ブタイミング調整装置10と同一のハード構成をしてい
る。したがって、第2実施例のバルブタイミング調整装
置10Bのハード構成については、第1実施例のバルブ
タイミング調整装置10のハード構成に付した符号と同
一の符号を付し、その説明は省略する。以下、第2実施
例のバルブタイミング調整装置10Bによるエンジン6
0の停止時の制御について図9に例示するエンジン停止
時制御ルーチンに基づき説明する。
【0052】図9のエンジン停止時制御ルーチンも、第
1実施例のバルブタイミング調整装置10が実行する図
7のエンジン停止時制御ルーチンと同様に、ECU17
によるバッテリ160の残容量BRMの検出に基づいて
エンジン60の運転を停止する信号が出力されたときや
運転者によりイグニッションキーをオフとしたのをイグ
ニッションスイッチ85により検出したときに実行され
る。本ルーチンが実行されると、ECU17は、まず、
エンジン60の停止命令(信号)が、ECU17による
バッテリ160の残容量BRMの検出に基づいてエンジ
ン60の運転を停止する信号であるか、運転者によるイ
グニッションキーの操作に基づいてイグニッションスイ
ッチ85から出力される信号であるかを判定する(ステ
ップS200)。
【0053】運転停止の信号が運転者によるものと判定
されたときには、エンジン60の次の始動までに長時間
経過し次の始動が冷間時の始動になると判断して、吸気
バルブ62の開閉タイミングを最進角位置に変更し(ス
テップS202)、運転停止の信号がECU17による
ものと判定されたときには、エンジン60がまだ暖かい
うちに始動されると判断して、吸気バルブ62の開閉タ
イミングを最遅角位置に変更する(ステップS20
4)。そして、エンジン60が停止するのを待って(ス
テップS206およびS208)、本ルーチンを終了す
る。なお、第2実施例のバルブタイミング調整装置10
Bのハード構成は第1実施例のバルブタイミング調整装
置10と同一であるから、吸気バルブ62の開閉タイミ
ングを最進角位置に変更すれば、ロックピン43が進角
側係止穴49Aに嵌挿されてベーン29が最進角位置で
固定され、吸気バルブ62の開閉タイミングを最遅角位
置に変更すれば、ロックピン43が遅角側係止穴49B
に嵌挿されてベーン29が最遅角位置で固定される。し
たがって、次のエンジン60の始動は、吸気バルブ62
の開閉タイミングが最進角位置か最遅角位置に固定され
た状態で行なわれる。
【0054】以上説明した第2実施例のバルブタイミン
グ調整装置10Bによれば、エンジン60の停止信号の
種類に基づいてエンジン60の次の始動時の温度を予測
し、その温度に適する吸気バルブ62の開閉タイミング
としてエンジン60の運転を停止することができる。し
たがって、エンジン60の始動を、吸気バルブ62の開
閉タイミングの調整なしに、適切な開閉タイミングで行
なうことができる。
【0055】次に、本発明の第3の実施例としてのバル
ブタイミング調整装置10Cについて説明する。第3実
施例のバルブタイミング調整装置10Cのハード構成
は、遅角側係止穴49Bとこの遅角側係止穴49Bに嵌
挿するロックピン43とがない点を除いて第1実施例の
バルブタイミング調整装置10のハード構成と同一の構
成をしている。したがって、第3実施例のバルブタイミ
ング調整装置10Cの構成のうち第1実施例のバルブタ
イミング調整装置10の構成と同一の構成については同
一の符号を付し、その説明は省略する。以下、第3実施
例のバルブタイミング調整装置10Cによるエンジン6
0の停止時の制御と始動時の制御について図10に例示
するエンジン停止時制御ルーチンと図11に例示するエ
ンジン始動制御ルーチンに基づき説明する。なお、図1
0のエンジン停止制御ルーチンは、第1実施例や第2実
施例と同様に、ECU17によるバッテリ160の残容
量BRMの検出に基づいてエンジン60の運転を停止す
る信号が出力されたとき及び運転者によりイグニッショ
ンキーをオフとしたのをイグニッションスイッチ85に
より検出したときに実行され、図11のエンジン始動時
制御ルーチンは、第1実施例と同様に、ECU17によ
るバッテリ160の残容量BRMの検出に基づいてエン
ジン60を始動する信号が出力されたり、運転者がイグ
ニッションキーをオンとしたのをイグニッションスイッ
チ85により検出されたときに実行される。まず図10
のエンジン停止時制御ルーチンに基づいてエンジン60
の停止時の処理について説明する。
【0056】図10のエンジン停止時制御ルーチンが実
行されると、ECU17は、まず、第2実施例の図9の
エンジン停止時制御ルーチンのステップS200の処理
と同様に、エンジン60の停止命令(信号)がECU1
7によるものか運転者によるものかを判定する(ステッ
プS300)。運転停止の信号が運転者によるものでは
ると判定されたときには、水温センサ84により検出さ
れるエンジン60の冷却水の温度THWを読み込み(ス
テップS302)、読み込んだ温度THWを閾値THW
Rと比較する(ステップS304)。この閾値THWR
は、第1実施例で用いたものと同じものである。温度T
HWが閾値THWRより低いときには、吸気バルブ62
の次の始動は冷間時の始動になると判断して、吸気バル
ブ62の開閉タイミングを最進角位置に変更し(ステッ
プS306)、エンジン60が停止するのを待って(ス
テップS310およびS312)、タイマ86をリセッ
トし(ステップS314)、本ルーチンを終了する。な
お、吸気バルブ62の開閉タイミングを最進角位置に変
更すると、進角側係止穴49Aにロックピン43が嵌挿
されるから、吸気バルブ62の開閉タイミングは最進角
位置に固定されることになる。
【0057】一方、ステップS300でエンジン60の
運転停止の信号がECU17によるものであると判定さ
れたときや、ステップS304で温度THWが閾値TH
WRより高いときには、エンジン60がまだ暖かいうち
に始動される場合があると判断して、吸気バルブ62の
開閉タイミングを最遅角位置に変更し(ステップS30
8)、エンジン60が停止するのを待って(ステップS
310およびS312)、タイマ86をリセットし(ス
テップS314)、本ルーチンを終了する。第3実施例
のバルブタイミング調整装置10では、遅角側係止穴4
9Bとこれに嵌挿するロックピン43は備えないから、
吸気バルブ62の開閉タイミングを最遅角位置に変更し
ても、吸気バルブ62の開閉タイミングは最遅角位置に
固定されることはない。
【0058】こうしてエンジン60が停止状態にあると
きに、ECU17によるバッテリ160の残容量BRM
の検出に基づいてエンジン60を始動する信号が出力さ
れたり、運転者がイグニッションキーをオンとしたのを
イグニッションスイッチ85により検出されると、EC
U17は、図11のエンジン始動時制御ルーチンを実行
してエンジン60を始動する。本ルーチンが実行される
と、ECU17は、まず、停止時と同様に、エンジン6
0の停止命令(信号)が、ECU17によるものか運転
者によるものかを判定する(ステップS320)。運転
停止の信号が運転者によるものと判定したときには、エ
ンジン60の冷却水の温度THWを読み込み(ステップ
S322)、読み込んだ温度THWを閾値THWRと比
較する(ステップS324)。温度THWが閾値THW
Rより低いときには、冷間時の始動と判断し、遅角側ポ
ート73と遅角側ドレンポート74とが連通するようオ
イルコントロールバルブ16を駆動すると共に(ステッ
プS326)、発電用モータ69により所定角度だけク
ランクシャフト68を逆回転させて(ステップS32
8)、エンジン60を始動する(ステップS336)。
吸気バルブ62の開閉タイミングは、図10のエンジン
停止時制御ルーチンにより、最進角位置か最遅角位置に
あるから、最進角位置にあるときには、その位置に固定
された状態でクランクシャフト68が逆回転された後に
エンジン60が始動され、最遅角位置にあるときには、
クランクシャフト68の逆回転により最進角位置に固定
された後にエンジン60が始動される。したがって、吸
気バルブ62の開閉タイミングが如何なる位置にあって
も最進角位置で固定されてエンジン60が始動されるこ
とになる。
【0059】ステップS320でECU17によるもの
と判定されたときや、ステップS324で温度THWが
閾値THWRより高いときには、タイマ86により計測
されているエンジン60の停止からの経過時間TIMを
読み込み(ステップS330)、経過時間TIMを閾値
TIMRと比較する(ステップS332)。ここで、閾
値TIMRは、オイルコントロールバルブ16のケーシ
ング70とスプール76の弁体77との間の若干のクリ
アランスが存在することにより進角油圧室13や遅角油
圧室14からオイルが抜け出しているか否かを判定する
ためのものである。進角油圧室13や遅角油圧室14か
らオイルが抜け出しているときに、吸気バルブ62の開
閉タイミングを固定せずにエンジン60を始動すると異
音を生じることがある。経過時間TIMを閾値TIMR
と比較して吸気バルブ62の開閉タイミングを変更する
のは、こうした異音の発生を防止するためである。
【0060】こうしたステップS330およびS332
が実行されるときは、エンジン60の始動信号がECU
17によるものと判定されたときか、エンジン60の始
動信号が運転者によるものと判定されてもエンジン60
の冷却水の温度THWが閾値THWRより高いときであ
る。こうした始動処理に先立つエンジン60の停止制御
(図10)では、エンジン60の始動信号がECU17
によるものと判定されるときには、エンジン60の停止
信号もECU17によるものと判定されるから、吸気バ
ルブ62の開閉タイミングは最遅角位置とされ(図10
のステップS308)、エンジン60の始動信号が運転
者によるものと判定されてもエンジン60の冷却水の温
度THWが閾値THWRより高いときには、エンジン6
0の停止信号も運転者によると判定されるがエンジン6
0の冷却水の温度THWも閾値THWRより高いと判定
されるから(図10のステップS304)、これも同様
に、吸気バルブ62の開閉タイミングは最遅角位置とさ
れる(図10のステップS308)。したがって、ステ
ップS330およびS332の処理が実行されるときに
は、吸気バルブ62の開閉タイミングは、いつも最遅角
位置になっていることになる。
【0061】経過時間TIMが閾値TIMRより短いと
きには、進角油圧室13や遅角油圧室14からのオイル
の抜け出しはないと判断し、エンジン60を始動する
(ステップS336)。
【0062】一方、経過時間TIMが閾値TIMRより
長いときには、進角油圧室13や遅角油圧室14からオ
イルが抜け出している場合があると判断し、吸気バルブ
62の開閉タイミングを固定するために、遅角側ポート
73と遅角側ドレンポート74とが連通するようオイル
コントロールバルブ16を駆動すると共に(ステップS
326)、発電用モータ69により所定角度だけクラン
クシャフト68を逆回転させて(ステップS328)、
エンジン60を始動する(ステップS336)。なお、
遅角側ポート73と遅角側ドレンポート74とが連通す
るようオイルコントロールバルブ16を駆動するのは、
オイルの抜け出しがないときや、抜け出しがあっても少
量のときに、遅角油圧室14に溜まっているオイルによ
ってベーン29の移動が妨げられるのを防止するためで
ある。こうした処理により、吸気バルブ62の開閉タイ
ミングは最進角位置に固定されるから、エンジン60の
始動時に異音が生じる場合を防止することができる。
【0063】以上説明した第3実施例のバルブタイミン
グ調整装置10Cによれば、エンジン60の温度に基づ
いて、吸気バルブ62の開閉タイミングをより適切なタ
イミングとしてエンジン60を始動することができる。
すなわち、冷間時の始動では、吸気バルブ62の開閉タ
イミングを最進角として圧縮行程における混合気の圧縮
圧を高くするから、エンジン60の始動の困難性をより
小さくすることができ、温間時の始動では、吸気バルブ
62の開閉タイミングを最遅角として圧縮行程における
混合気の圧縮圧を小さくするから、始動時およびその直
後の振動を小さくすることができる。しかも、エンジン
60の停止信号の種類に基づいてエンジン60の次の始
動時の温度を予測し、その温度に適する吸気バルブ62
の開閉タイミングとしてエンジン60の運転を停止する
ことができ、エンジン60の始動をより適切な吸気バル
ブ62の開閉タイミングで行なうことができる。さら
に、エンジン60の停止からの経過時間により進角油圧
室13や遅角油圧室14からのオイルの抜け出しを推測
し、オイルの抜け出しが推測されるときには、吸気バル
ブ62の開閉タイミングを最進角位置に固定してエンジ
ン60を始動するから、始動時に異音が生じるといった
不都合を回避することができる。
【0064】第1,第2および第3実施例のバルブタイ
ミング調整装置10,10B,10Cでは、吸気バルブ
62の閉タイミングをクランクシャフト68の下死点よ
りかなり遅角した範囲で調整可能なものに適用したが、
クランクシャフト68の下死点以降の如何なる範囲で調
整可能なものに適用するものとしてもよい。
【0065】また、第1,第2および第3実施例のバル
ブタイミング調整装置10,10B,10Cでは、吸気
バルブ62の閉タイミングの変更に伴って開タイミング
も変更されるものとしたが、吸気バルブ62の閉タイミ
ングと開タイミングとを独立に変更可能な構成としても
よい。
【0066】第1,第2および第3実施例のバルブタイ
ミング調整装置10,10B,10Cでは、ダブルオー
バーヘッドカムシャフト式(DOHC式)のエンジン6
0に適用したが、シングルオーバーヘッドカムシャフト
式(SOHC式)のエンジンやオーバーヘッドバルブ式
(OHV式)のエンジンに適用するものとしてもよい。
【0067】第1,第2および第3実施例のバルブタイ
ミング調整装置10,10B,10Cでは、バルブタイ
ミング調整装置をいわゆるシリーズハイブリッド型の電
気自動車に組み込んだが、バルブタイミング調整装置を
エンジンとモータとを動力源とするいわゆるパラレルハ
イブリッド型の電気自動車に組み込むものとしてもよ
く、ハイブリッド型の電気自動車に限らず通常のガソリ
ンエンジンにより駆動する自動車に組み込むものとして
もよい。
【0068】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、例えば、バルブタイミング調整装置を船舶
や航空機などの交通手段や、その他各種産業機械などに
搭載するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるバルブタイミング調整
装置10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】図1のバルブタイミング調整装置10のA−A
線断面図である。
【図3】図1のバルブタイミング調整装置10のA−A
線断面図である。
【図4】吸気側カムシャフト12と排気側カムシャフト
23の構成を例示する構成図である。
【図5】実施例のバルブタイミング調整装置10により
吸気バルブのタイミングが調整されるエンジン60を搭
載する車両100の概略構成図である。
【図6】吸気バルブ62および排気バルブ64の開閉タ
イミングを例示するバルブタイミングダイヤグラムであ
る。
【図7】ECU17により実行されるエンジン停止時制
御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】ECU17により実行されるエンジン始動時制
御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】第2実施例のバルブタイミング調整装置10B
のECU17により実行されるエンジン停止時制御ルー
チンの一例を示すフローチャートである。
【図10】第3実施例のバルブタイミング調整装置10
CのECU17により実行されるエンジン停止時制御ル
ーチンの一例を示すフローチャートである。
【図11】第3実施例のバルブタイミング調整装置10
CのECU17により実行されるエンジン始動時制御ル
ーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…バルブタイミング調整装置 10B…バルブタイミング調整装置 10C…バルブタイミング調整装置 11…位相変更機構 12…吸気側カムシャフト 13…進角油圧室 14…遅角油圧室 15…オイルポンプ 16…オイルコントロールバルブ 17…ECU 18…シリンダヘッド 19…ベアリングキャップ 20…カム 21…広径部 22…ドリブンギヤ 22a…外歯 23…排気側カムシャフト 24…ドライブギヤ 24a…外歯 25…カム 27…タイミングベルト 28…ハウジング 29…ベーン 30…ボルト 31…固定部 32…受圧部 33…突部 35…外周溝 36…シール部材 37…板ばね 38…カバー 40…中心孔 41…取付ボルト 42…貫通孔 42a…段差部 43…ロックピン 43a…広径部 44…油圧室 45A…連絡路 45B…連絡路 48…スプリング 49A…進角側係止穴 49B…遅角側係止穴 55…オイルフィルタ 57…オイルパン 60…エンジン 62…吸気バルブ 64…排気バルブ 68…クランクシャフト 68A…クランクプーリ 69…発電用モータ 70…ケーシング 71…進角側ポート 72…進角側ドレンポート 73…遅角側ポート 74…遅角側ドレンポート 75…流入ポート 76…スプール 77…弁体 78…電磁ソレノイド 79…スプリング 80…吸気圧センサ 81…回転数センサ 82…クランク角センサ 83…カム角センサ 84…水温センサ 85…イグニッションスイッチ 86…タイマ 100…車両 142…発電用モータ駆動回路 144…電流計 150…駆動用モータ 152…駆動用モータ駆動回路 154…電流計 160…バッテリ 162…残容量計 163…アクセルペダル 164…アクセルペダルポジションセンサ 165…ブレーキペダル 166…ブレーキペダルポジションセンサ 170…駆動軸 172…ディファレンシャルギヤ 174,176…駆動輪 P1…進角側油路 P2…遅角側油路
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Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフトの下死点以降の回転角
    で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整するバル
    ブタイミング調整装置であって、 前記クランクシャフトを回転駆動する電動機と、 前記クランクシャフトの回転角との位相を固定して、前
    記吸気バルブの閉タイミングを進角側の所定角に固定可
    能なタイミング固定手段と、 前記内燃機関の状態を検出する状態検出手段と、 前記内燃機関の始動要求がなされたとき、前記状態検出
    手段により検出された該内燃機関の状態が所定の状態の
    場合には、前記吸気バルブの閉タイミングを前記進角側
    の所定角に設定するタイミング設定手段と、 前記タイミング設定手段による設定に基づいて、前記電
    動機により前記クランクシャフトを所定の角度逆回転さ
    せることにより、前記タイミング固定手段によって前記
    クランクシャフトの回転角との位相を前記進角側の所定
    角に固定する進角制御手段とを備えるバルブタイミング
    調整装置。
  2. 【請求項2】 前記状態検出手段により検出された前記
    内燃機関の状態が所定の状態にないときには、前記吸気
    バルブの閉タイミングを遅角側のタイミングに設定する
    遅角制御手段を備えた請求項1記載のバルブタイミング
    調整装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のバルブタイミング調整装
    置であって、 前記クランクシャフトの回転角との位相を固定して、前
    記吸気バルブの閉タイミングを遅角側の所定角に固定可
    能な遅角固定手段を備え、 前記遅角制御手段は、状態検出手段が検出した始動時の
    内燃機関の状態に基づいて、前記遅角固定手段により、
    前記クランクシャフトの回転角との位相を前記遅角側の
    所定角に固定する手段であるバルブタイミング調整装
    置。
  4. 【請求項4】 クランクシャフトの下死点以降の回転角
    で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整するバル
    ブタイミング調整装置であって、 前記クランクシャフトの回転角との位相を進角側の所定
    角に固定する進角固定手段および前記クランクシャフト
    の回転角との位相を遅角側の所定角に固定する遅角固定
    手段を有し、前記吸気バルブの閉タイミングを、該進角
    側の所定値および該遅角側の固定角のいずれかまたは両
    固定角間に変更可能なタイミング変更手段と、 前記内燃機関の状態を検出する状態検出手段と、 前記内燃機関の始動要求がなされたとき、前記状態検出
    手段により検出された該内燃機関の状態に基づいて前記
    吸気バルブの閉タイミングを設定するタイミング設定手
    段と、 該設定された閉タイミングで前記内燃機関が始動される
    よう前記タイミング変更手段を制御するタイミング制御
    手段と前記内燃機関の停止要求がなされたとき、該内燃
    機関が停止したときの前記吸気バルブの閉タイミングが
    前記進角側の所定角と前記遅角側の所定角との間のタイ
    ミングとなるよう前記タイミング変更手段を制御する停
    止制御手段とを備え、 前記タイミング設定手段は、前記状態検出手段により検
    出された前記内燃機関の状態に基づいて前記吸気バルブ
    の閉タイミングを前記進角側の所定角と前記遅角側の所
    定角のいずれかに設定する手段であり、 前記タイミング設定手段は、前記状態検出手段により検
    出された前記内燃機関の状態が所定の状態のときには前
    記吸気バルブの閉タイミングを進角側の所定角となるタ
    イミングに設定し、該内燃機関の状態が該所定の状態に
    ないときには前記吸気バルブの閉タイミングを進角側の
    所定角となるタイミングに設定する手段であり、 前記タイミング制御手段は、前記タイミング設定手段に
    よる設定に基づいて前記進角固定手段と前記遅角固定手
    段のいずれかにより前記クランクシャフトの回転角との
    位相が固定されるよう制御する手段であるバルブタイミ
    ング調整装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のバルブタイミング調整装
    置であって、 前記クランクシャフトを回転駆動する電動機を備え、 前記タイミング制御手段は、 前記タイミング設定手段により前記吸気バルブの閉タイ
    ミングが前記進角側の所定角に設定されたときには、前
    記電動機により前記クランクシャフトを所定の角度逆回
    転させて前記進角固定手段により前記クランクシャフト
    の回転角との位相が固定されるよう制御する進角制御手
    段と、 前記タイミング設定手段により前記吸気バルブの閉タイ
    ミングが前記遅角側の所定角に設定されたときには、前
    記電動機により前記クランクシャフトを所定の角度正回
    転させて前記遅角固定手段により前記クランクシャフト
    の回転角との位相が固定されるよう制御する遅角制御手
    段とを備えるバルブタイミング調整装置。
  6. 【請求項6】 請求項1または5記載のバルブタイミン
    グ調整装置であって、 前記タイミング変更手段は、圧力流体が出入りする出入
    弁を有し該圧力流体が流入することにより前記クランク
    シャフトの回転角との位相を遅角させる遅角室を備え、 前記進角制御手段は、前記電動機により前記クランクシ
    ャフトを逆回転させる際に前記出入弁が開弁するよう前
    記タイミング変更手段を制御する開弁制御手段を備える
    バルブタイミング調整装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6いずれか記載のバルブ
    タイミング調整装置であって、 前記状態検出手段は、前記内燃機関の温度を検出する手
    段であり、 前記所定の状態は、前記内燃機関の温度が所定温度未満
    の状態であるバルブタイミング調整装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6いずれか記載のバルブ
    タイミング調整装置であって、 前記状態検出手段は、前記内燃機関の停止時からの経過
    時間を検出する手段であり、 前記所定の状態は、前記経過時間が所定時間以上の状態
    であるバルブタイミング調整装置。
  9. 【請求項9】 クランクシャフトの下死点以降の回転角
    で内燃機関の吸気バルブの閉タイミングを調整するバル
    ブタイミング調整装置であって、 前記クランクシャフトの回転角との位相を変更すること
    により前記吸気バルブの閉タイミングを変更するタイミ
    ング変更手段と、 前記内燃機関の停止要求がなされたとき、該停止要求の
    要因に基づいて、停止時からの経過時間を予測し、該予
    測された経過時間が所定時間以上のとき、次の始動時に
    該内燃機関は所定の状態にあると予測する状態予測手段
    と、 該予測に基づいて次の前記内燃機関の始動時の前記吸気
    バルブの閉タイミングを設定するタイミング設定手段
    と、 該設定された閉タイミングで前記内燃機関が停止するよ
    う前記タイミング変更手段を制御するタイミング制御手
    段とを備えるバルブタイミング調整装置。
  10. 【請求項10】 前記タイミング設定手段は、前記状態
    予測手段により前記内燃機関の状態が所定の状態にある
    と予測されたときには、前記吸気バルブの閉タイミング
    を進角側の所定角となるタイミングに設定する手段であ
    る請求項9記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のバルブタイミング調
    整装置であって、 前記タイミング変更手段は、前記クランクシャフトの回
    転角との位相を前記進角側の所定角に固定する進角固定
    手段を備え、 前記タイミング制御手段は、前記タイミング設定手段に
    よる設定に基づいて前記進角固定手段により前記クラン
    クシャフトの回転角との位相が前記所定角に固定される
    よう制御する手段であるバルブタイミング調整装置。
  12. 【請求項12】 前記タイミング設定手段は、前記状態
    予測手段により予測された前記内燃機関の状態が所定の
    状態にないときには、前記吸気バルブの閉タイミングを
    遅角側の所定角となるタイミングに設定する手段である
    請求項9ないし請求項11のいずれか記載のバルブタイ
    ミング調整装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のバルブタイミング調
    整装置であって、 前記タイミング変更手段は、前記クランクシャフトの回
    転角との位相を前記遅角側に所定角に固定する遅角固定
    手段を備え、 前記タイミング制御手段は、前記タイミング設定手段に
    よる設定に基づいて前記遅角固定手段により前記クラン
    クシャフトの回転角との位相が前記遅角側の所定角に固
    定されるよう制御する手段であるバルブタイミング調整
    装置。
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