JP2000319529A - 合成樹脂系微粒子、電気光学パネル用スペーサ、合わせガラス用スペーサ及び塗料用充填材 - Google Patents
合成樹脂系微粒子、電気光学パネル用スペーサ、合わせガラス用スペーサ及び塗料用充填材Info
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Abstract
パネルの暗状態の部分で、光の透過を防止できる電気光
学パネル用スペーサ、合わせガラス用スペーサ及び塗料
用充填材を提供する。 【解決手段】 単量体の重合によって得られる合成樹脂
系微粒子であって、前記合成樹脂系微粒子中に、酸化マ
ンガン系黒色顔料が含有されている、合成樹脂系微粒子
を提供する。この微粒子は、カーボンブラックやチタン
ブラック等の導電性の高い、微粉末として分散し難い黒
色顔料を主たる顔料として含有せず、導電性の著しく低
い酸化マンガン系黒色顔料を、微粉末として合成樹脂中
に均一に分散して含有しているため、強度、黒色度及び
絶縁性等の均質性に極めて優れた微粒子を構成する。
Description
築材料、電気電子材料、その他各種用途に適し、特に、
電気光学パネル用スペーサに適した、合成樹脂系微粒子
に関する。
質顔料、化粧品・アイロン掛け用糊剤添加材、合わせガ
ラス用スペーサ、センサー用ギャップ材、電気光学パネ
ル用ギャップ材等様々な用途に利用されている。
おいては、一般に、二枚の透明電極基板の間に、均一な
直径分布を持つスペーサを挟み、基板のギャップを一定
に保ち、液晶層の厚さを一定に保持して、透過偏光を制
御する。こうしたスペーサとしては、ガラスファイバー
チップ、シリカ製微粒子、合成樹脂製微粒子が知られて
いる。
有無によって、液晶の分子配向が制御され、透過光が旋
光され、パネルの外表面に添付した偏光フィルタが組み
合わされることによって、透過光量が制御される。例え
ば、ツイステッド・ネマティック液晶表示装置では、二
枚の直線偏光板と偏光軸が平行になるように配置した場
合、電圧の無印荷状態の液晶は、90度の旋光性を示
し、電圧印荷時には、この旋光性が解除される。したが
って、画像は、電圧印荷時に明状態となり、電圧をオフ
にすると暗状態になる。
は、できる限り光の透過を防止し、これによって、明暗
のコントラストを大きくする必要がある。しかし、スペ
ーサとして使われるガラスファイバーチップ、シリカ製
微粒子、合成樹脂製微粒子は、透明且つ非旋光性であ
り、そして、スペーサの存在する部分には、当然液晶が
存在しないので、画像が暗状態の場合でも、スペーサが
かなりの光を透過し、画像のコントラストを低下させて
いた。
色された種々の遮光性スペーサが検討されている。しか
し、本発明者は、これらのスペーサが、いずれも液晶表
示パネル用スペーサとして欠点が多いことを解明した。
化物や炭素を無機ガラスに添加して黒色化したスペーサ
がある。かかるガラス製やシリカ製のスペーサは、硬度
が高過ぎて、透明電極やトランジスタを傷つけることが
あり、また、スペーサを圧縮することで、ギャップを調
節することも困難となる。
子を得ることにある。また、本発明の課題は、液晶表示
パネルの暗状態の部分で、光の透過を防止できる電気光
学パネル用スペーサを提供することにある。さらに、本
発明の課題は、合わせガラス用スペーサ及び塗料用ビヒ
クルを提供することにある。
によって得られる合成樹脂系微粒子であって、前記合成
樹脂系微粒子中に、酸化マンガン系黒色顔料が含有され
ている、合成樹脂系微粒子に係るものである。
製造が容易であり、色素等が有機溶媒や液晶中に抽出さ
れることがない、合成樹脂系微粒子を得るため、種々の
合成樹脂製微粒子を試作し、検討した。その結果、以下
の知見を得た。
般に用いられる。しかし、かかる架橋高分子は染色が困
難であるため、本発明者は、スルホン化等の染着基を付
与する処理の後に、かかる微粒子の染色を試みた。しか
し、染料が有機溶剤や液晶中に抽出される等の不具合が
生じた。
合させることも検討した。しかし、一般に、染料分子は
アミノ基を有し、酸化系重合開始剤は、かかるアミノ基
とレドックス反応を組んで急速に分解する。このため、
単量体の重合反応が起こらなかったり、変色するという
問題が生じた。また、たとえ重合反応が起きても、染料
が抽出される等、実用上十分な黒色スペーサは得られな
かった。
加することを考えた。しかし、一般に使用されている黒
色顔料のカーボンブラックやチタンブラックには、導電
性があるので、電極間に使用され絶縁性が要求される電
気光学パネル用スペーサとしては不適当であることがわ
かった。
結果、合成樹脂系微粒子に、酸化マンガン単体又は酸化
マンガンを含む無機黒色顔料(以下、「酸化マンガン系
黒色顔料」と称する)を遮光成分として含有させたとこ
ろ、絶縁性に優れた黒色微粒子が得られることを突き止
め、本発明に至った。
構成要素が合成樹脂単独ではなく、合成樹脂と顔料及び
/又はその他の充填材からなる合成樹脂微粒子をいう。
合成樹脂系微粒子には、酸化マンガン系黒色顔料を含有
させる。このように、本発明の合成樹脂系微粒子は、導
電性の極めて低い酸化マンガンを無機黒色顔料として使
用しているので、絶縁性に著しく優れた着色微粒子を構
成する。
マンガン系黒色顔料が、樹脂によって拘束され、有機溶
剤や液晶、水にまったく溶解しないため、液晶パネルや
合わせガラス等の製造工程中及び製品中に、合成樹脂系
微粒子から黒色物が溶けだしたり、抽出されたりしな
い。
化マンガン系黒色顔料の添加量を変えることによって、
黒色度が自由に設計され、酸化マンガン系黒色顔料の化
学的な安定性により、長期使用によっても色あせること
なく、鮮明度に優れた合成樹脂系微粒子が得られる。
ガン系黒色顔料(体積固有抵抗値>105 Ωcm)を、
極めて絶縁性の高い合成樹脂(体積固有抵抗値>1014
Ωcm)中に分散させることによって、無機ガラスより
硬度が低く、製造が容易であり、顔料が有機溶媒や液晶
中に抽出されることがなく、絶縁性を満足させる合成樹
脂系微粒子が得られる。
は、微粉末として合成樹脂中に均一に分散することがで
き、合成樹脂との反応性に乏しいので、微粒子中で安定
に存在し、合成樹脂系微粒子の耐久性を長期間保つこと
ができる。
いため、一次微粉末にまで粉砕し、マトリックス樹脂中
に分散させることは、現在達成されておらず、一般に、
塗料用又はインク用カーボンブラックは、0.1〜5μ
m程度の二次凝集微粉末として使用されている。
ると、光散乱効果によって反射光が白色でも、透過光は
遮えぎられるため、黒色顔料と同様の効果が得られる。
mと粒径が大きいため、各微粒子中に均一に含有させる
ことが困難となる。
化チタン等は、合成樹脂系微粒子中に均一に分散させる
ことができない。このため、かかるカーボンブラックや
酸化チタンを含有する合成樹脂製微粒子は、各微粒子間
で遮光度にばらつきが生じ、強度的に均一でもない。
脂系微粒子を遮光させるのに十分な量含有させると、そ
れ自体の低い抵抗値に加え、カーボン粒子の凝集、接近
による接触又はトンネル電流によって、抵抗値は上がら
ない。例えば、加硫合成ブチルゴムの場合、カーボンブ
ラック28容積%の添加で、ゴムの抵抗値は、ゴム単独
の1014Ωcmから104 Ωcmに低下する。
有させた合成樹脂製微粒子は、絶縁性にばらつきが生
じ、均一な絶縁性微粒子を得ることができない。
13Ωcm程度であり、液晶パネルにおけるスペーサは、
これと同等以上の絶縁性が要求される。そのため、かか
る絶縁性の要求される電気光学パネル用スペーサには、
カーボンブラックを含有させた合成樹脂製微粒子を用い
ることができない。
ラックやチタンブラック等の導電性の高い、微粉末を形
成し難い黒色顔料を主たる顔料として含有せず、導電性
の著しく低い酸化マンガン系黒色顔料を、微粉末として
合成樹脂中に均一に分散して含有しているため、強度、
黒色度及び絶縁性等の均質性に極めて優れた微粒子を構
成する。
酸化マンガンを含む無機黒色顔料によって黒色に着色し
て、電気光学パネル用スペーサに用いることにより、透
明なスペーサを用いる従来の液晶表示パネルに比べて、
表示模様の明暗部のコントラストが向上した、鮮明な画
像の電気光学パネルを得ることができる。
子の平均粒子径を50〜1000μmにそろえて、合わ
せガラス用スペーサーとして利用することができる。か
かる合成樹脂系微粒子は、合わせガラス用スペーサとし
て用いることで、合わせガラス板間を所定の間隔に保持
することができるとともに、スペーサの光吸収による表
面反射がなくなり、チラつきを防止することができる。
粒子を、酸化マンガンを含む無機黒色顔料によって黒色
に着色して、塗料中に含有される塗料用ビヒクルとして
用いることによって、同じ無機黒色顔料を塗料ビヒクル
に直接添加した場合より、落ち着いた感じの高級感のあ
る塗膜を得ることができる。
色顔料は、酸化マンガンを含有する無機黒色顔料であ
る。酸化マンガン系黒色顔料は、マンガンが7価までと
り得るアルカリ土類金属であるため、Mn3 O4 、Mn
2 O2 、Mn2 O3 等の様々な酸化物の形態を取るの
で、分子式を特定することはできない。これらの酸化マ
ンガンは、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄等と共晶、混晶
又は複合物を形成し、黒色顔料となる。
晶と定義されていないか、又は解明されていいない2種
以上の金属原子を含む固体物質であって、固溶体とも呼
ばれているものである。
る酸化銅、酸化クロム、酸化鉄の割合は、分析者によっ
て異なり、酸化マンガン系黒色顔料の酸素含有量を特定
することは困難であるが、いずれもスピネル型結晶構造
と言われる。
銅系の複合物では、Mn2 O3 ・CuO・Cr2 O3 又
はMn3 O4 ・Cu・Cr2 O4 と記述することができ
る場合があり、 酸化マンガン・ 酸化銅・ 酸化鉄系の複合
物では、Mn2 O3 ・CuO・Fe2 O3 又はMn3 O
4 ・CuO・Fe2 O3 或いはMn2 O3 ・CuO・F
e3 O4 等、研究者によって記述が異なっている。
率は、例えば、Mn2 O3 ・CuO・Fe3 O4 系黒色
顔料の場合、 それぞれモル比で、2対1対3であるとは
限らず、種々の複合比をとることができる。
含有される金属の種類、割合等によって、種々の酸化状
態を取り得るので、本発明では、各酸化物の金属原子の
みについてその含有比をモルで定義することにした。
なく、共晶、混晶又は複合物等と称される形態を取る酸
化マンガン系顔料を、原料の一部として使用する。
マンガン(Mn3 O4 )を用いるのが好ましい。四三酸
化マンガンの体積抵抗値は、9×107 Ωcmで、カー
ボンの90〜400Ωcmに比べ、105 〜106 倍高
く、ほとんど絶縁体と言って良いからである。
ンガン系黒色顔料として用いられる全金属のうち、50
モル%以上がマンガンである酸化マンガン系黒色顔料を
用いるのが好ましい。かかる合成樹脂系微粒子を電気光
学パネル用スペーサとして用いる場合、良好な絶縁性が
得られるからである。
は、酸化マンガンとの共晶、混晶、又は複合物等の形
で、他の種類の金属を含むことができる。酸化銅や酸化
鉄、酸化クロム等との黒色酸化物は、これら自体の黒色
度が高く、本発明の合成樹脂系微粒子の黒色度を更に増
すことができ、有用である。
化マンガン/酸化銅/酸化クロム系の黒色顔料が、粒径
0.001〜0.005μmと最も細かく粉砕すること
ができるので好ましい。更に、かかる酸化マンガン/酸
化銅/酸化鉄系の黒色顔料は磁性もなく、最も好まし
い。
銅(CuO)は、106 Ωcm以上の体積抵抗値をもっ
ているので、複合化する割合としては、特に問題はな
い。しかし、四三酸化鉄は、0.04Ωcmと導電性が
あるため、全酸化マンガン系黒色顔料中、30モル%以
下であることが好ましい。
化マンガン系黒色顔料の割合は、0.1〜35容積%が
好ましく、更に1〜20容積%が望ましい。0.1容積
%未満では、得られる合成樹脂系微粒子が薄い灰色がか
ったものであり、本発明にかかる遮光性の電気光学パネ
ル用スペーサが得られない。また、35容積%を超える
と、酸化マンガン系黒色顔料の、モノマー等の合成樹脂
原料中への分散が困難となり、重合前にゲル化してしま
うことがある。酸化マンガン系黒色顔料の粒子径にもよ
るが、1〜20容積%の酸化マンガン系黒色顔料を含有
させれば、遮光性を十分に発揮する電気光学パネル用ス
ペーサとして、実用上十分な黒色度が得られる。
に導電性が高く、好ましくない顔料であるが、これを酸
化マンガン系黒色顔料と併用し、樹脂マトリックスに対
し、5容積%以下、好ましくは2容積%以下のカーボン
ブラックを、酸化マンガン系黒色顔料と混合併用するこ
とで、体積固有抵抗値を1011Ωcm以下に落とすこと
なく、黒色度、即ち遮光率を向上させることができる。
かかる割合のカーボンブラックは、必要に応じて用いて
もよい。
した酸化マンガン系黒色顔料の比重と樹脂の比重と、混
合する重量とから求める。
れる合成樹脂系微粒子の大きさによって適切に選択する
ことができる。0.001〜1μmの平均粒子径と1μ
m以下の標準偏差であるのが好ましい。かかる範囲の酸
化マンガン系黒色顔料は、合成樹脂系微粒子中に均一に
分散させることができるからである。
料は、本発明の合成樹脂系微粒子を分級して粒子系を揃
える場合、微粒子間の比重のバラツキが極めて少なく、
分級操作によって均一な微粒子を得ることができる。
色顔料の粒子径が、0.001〜0.05μmと特に小
さい場合は、黒色度が濃く、好ましい。
料の粒子径を、合成樹脂系微粒子に添加する前に測定す
る。添加する時の酸化マンガン系黒色顔料の粒子径は、
この酸化マンガン系黒色顔料を添加した樹脂原料に混合
させる際、或いは、水系分散液中に分散させる時や、重
合の際の加熱時に、顔料粒子の凝集によって、変わる場
合があるので注意を要する。
グ剤を顔料粒子に吸着させ、凝集を防止することができ
る。合成樹脂系微粒子中の酸化マンガン系黒色顔料の粒
子径は、電子顕微鏡によって観察し、求めることができ
る。
学パネル用スペーサとして用いる場合、かかる酸化マン
ガン系黒色顔料は、0.001〜0.2μmの平均粒径
と0.2μm以下の標準偏差とを有しているのが好まし
い。かかる範囲の粒径の酸化マンガン系黒色顔料を用い
れば、1〜20μmの平均粒径と10%以下の粒径分布
変動係数とを有する電気光学パネル用スペーサでも、均
一に黒色顔料を分散させることができるからである。
01〜0.05μmの平均粒子径である場合、電気光学
パネル用スペーサの黒色度が増し、好ましい。
細な粒子に粉砕する方法としては、サンドミル、遊星ミ
ル、振動ミル、ボールミル等公知の粉砕装置を用いるこ
とができる。また、かかる方法では、乾式、湿式法いず
れの方法によってもよい。湿式法においては、水や有機
溶剤等の分散媒中で粉砕した後、分散媒を樹脂原料に置
換してもよいが、当初より樹脂原料中で粉砕するのが、
顔料表面に樹脂原料を吸着させ、且つ工程の短縮となり
好ましい。
ンガン系黒色顔料が含有されているので、この酸化マン
ガンを含む無機粉体の混合量を調節することによって、
合成樹脂のみからなる従来のスペーサに比べ、圧縮弾性
率を著しく向上させることができる。
ン系黒色顔料を含有させた多官能モノマーを含む樹脂原
料を単量体として重合させて、酸化マンガン系黒色顔料
と架橋高分子とからなる粒状体を製造することで得るこ
とができる。かかる重合方法としては、水系懸濁重合法
を用いることができる。
チレンジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)
アクリレート類(類とは各種異性体を表す)、ブチレン
ジ(メタ)アクリレート類、ヘキシレンジ(メタ)アク
リレート類、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロー
ルジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)
アクリレート、ジ(メタ)アリルフタレート、トリ(メ
タ)アリル(イソ)シアヌレート、トリ(メタ)アリル
トリメライト、(メタ)アリル(メタ)アクリレート、
ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、フェ
ニレンジ(メタ)アクリレート、フェニレンジ(メタ)
アクリルアミド類、メチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド、ジビニルベンゼン類等があり、これら各モノマーの
1種又は2種以上を用いることができる。
ル酸エステル類及びジビニルベンゼン類からなる群より
選ばれた少なくとも一種のモノマーを用いるのが好まし
い。これらのモノマーは、高い強度の架橋高分子を形成
し、本発明の合成樹脂系微粒子の酸化マンガン系黒色顔
料を強固に固定するからである。
ーと共重合し得る単官能モノマーの1種又は2種以上を
加えても良い。例えば、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ
ート類、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、イソホロン(メタ)アクリレート、スチレン、ビニ
ルトルエン類、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロ
ニトリル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、イ
タコン酸ジメチル、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸、(メタ)アクリル酸等がある。
の混合物からなる架橋高分子の原料中では、多官能モノ
マーの割合は、20〜100重量%が好ましい。この範
囲内であれば、電気光学パネル用スペーサ又は合わせガ
ラス用スペーサとして適切な強度の合成樹脂系微粒子が
得られるからである。
成樹脂系微粒子は、初期圧縮弾性率を10〜100kg
/mm2 に設計することができ、 かつ、 永久圧縮変形を
回避することができるため、 二枚の板に挟まれた各微粒
子は、応力に応じて弾性変形し、 ギャップを一定に保つ
のに適している。 強度、 初期弾性率等の測定は、 島津製
作所製の微小圧縮試験機MCTM−200を用いること
ができる。 電気光学パネル用スペーサとして十分な弾性
率(40〜100kg/mm2 )を持たせるには、多官
能モノマーの割合は、50重量%以上であることが更に
好ましい。
マー中に、十分均一に分散させ、安定化するためには、
分散剤を用いてもよい。かかる分散剤としては、重合性
分散剤、例えば、メタアクロイルオキシエチルジメチル
シラノール等の重合性シランカップリング剤、メタアク
ロイルオキシエチルジメチルチタノール等の重合性チタ
ンカップリング剤等の重合性カップリング剤、フマル
酸、マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の
極性モノマーが特に好ましい。
する水酸基と反応し、 かつビヒクルであるモノマーと共
重合して、顔料と合成樹脂とを結合させ、微粒子の表面
に顔料粒子が存在する場合でも、顔料粒子の脱落を防止
する働きをする。
ー混合液を重合させるには、重合開始剤を添加すること
ができる。かかる重合開始剤としては、過酸化ベンゾイ
ル、過酸化ラウロイル、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド、ジ−t−ブチルペルオキシド、メチルエチルケトン
ペルオキシド、アゾビスイソブチルオキシド、アゾビス
バレロニトリル等の油溶性のものを用いることができ
る。
ル、ブトキシ−ヒドロキシトルエン等の公知の重合防止
剤を微量添加して、モノマー混合液を安定化させること
ができる。
系懸濁重合を行うのが好ましい。即ち、酸化マンガン系
黒色顔料及び重合開始剤を含有するモノマー混合物を、
懸濁安定剤を含む水溶液に添加し、充分なせん断力をか
けて水中に液滴粒子を分散させ、ついで加熱して重合さ
せる。
ン、ポリビニルアルコール、部分懸化ポリビニルアルコ
ール、ポリ(メタ)アクリル酸塩、部分懸化ポリ(メ
タ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、部分
懸化ポリ(メタ)アクリルアミド、カルボキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ
エチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロッ
ク共重合体等の水溶性高分子、燐酸カルシウム類、炭酸
カルシウム等の無機粉体があり、これらの1種又は2種
以上を用いる。
径が一定でないため、分級操作を行う必要がある。分級
方法としては、孔径の互いに異なる二種のメッシュ又は
均一孔径のメンブレンフィルターによる篩い分け、水流
又は空気中でのストークスの法則を利用した分級など、
公知の方法が採用される。
ガンを含む無機粉体が混合されている。無機粉体の比重
は、合成樹脂の比重より大であるので、本発明のスペー
サの方が、透明スペーサに比べて見かけ比重が大きい。
このため、ストークスの原理を利用した沈降法によっ
て、スペーサを分級する操作が容易となり、従来製造が
困難であった、粒径1〜3μmの小さい均一合成樹脂粒
子でも、容易に製造できる。
リカ製又はガラス製の均一孔メンブレンを用い、この膜
の一方から、酸化マンガン系黒色顔料を含有させた上記
モノマー混合物を加圧し、懸濁安定剤を含む水溶液の方
へと押し出す方法を利用することもできる。こうして得
られた水系懸濁液を加熱し、モノマーを重合させ、粒径
が均一な微粒子を得ることができる。
を、水やアルコール等の適当な溶剤で洗浄し、濾過、遠
心分離、沈殿等によって分別し、乾燥し、製品としての
合成樹脂系微粒子を得ることができる。
ネル用スペーサとして、透明基板の表面に、乾燥状態で
そのまま散布したり、窒素又は空気をブローしながら散
布したり、静電散布法で散布することもできる。また、
水/アルコール系媒体やフロン系媒体にかかる微粒子を
分散させた状態で、分散液をスプレーし、媒体を乾燥さ
せて散布することもできる。スペーサの散布量は、10
〜300個/mm2 とすると、ギャップを一定にする効
果が得られ、外観上も支障がない。
おいては、微粒子表面に、ホットメルト型接着剤樹脂や
フッ素樹脂を単純コーティングしたり、グラフト重合さ
せ、接着性スペーサや耐薬品性スペーサとすることもで
きる。
せガラスの間隙を一定にしたり、透過光の屈折を一定と
して歪を生じさせないために用いることができる。
ガラスが強化ガラスの場合、10〜500μmの平均粒
子径のものを用い、強化ガラスの間隙に接着剤を用い
て、強化ガラスの間を10〜500μmの間で一定に保
つことができる。
いる場合は、断熱ガラスの間を真空にしたり、乾燥空気
を充填するが、50〜1000μmの平均粒径の本発明
の合わせガラス用スペーサを用いることによって、断熱
ガラス間を50〜1000μmの間隙に保つことができ
る。
脂系微粒子を、粒子径、粒径分布に制限されることな
く、粒子径、粒径分布が一定であるか否かにかかわりな
く、用いることができる。
かる厚み範囲以下の粒径の塗料用充填材が用いられる。
しかし、表面化粧に用いられる塗料の場合は、デザイン
的要求から、粒径が50〜5000μmと大きい微粒子
を用いて、粗面効果を持たせることもできる。
する。 (実施例1)酸化マンガン系黒色顔料〔冨士色素(株)
製、Mn/Fe/Cuモル比=65/20/15、比重
4.8〕を平均0.03μm、最大0.1μm以下(標
準偏差:0.02μm)に粉砕したもの20重量部
(5.9容積%)、重合性シランカップリング剤ジメチ
ルメタアクロイルエチルシラノール(信越化学製)1重
量部、トリメチロールプロパントリメタアアクリレート
(三菱レイヨン製)79重量部(樹脂部:比重1.2
0、94.1容積%)及びメトキシフェノール(和光純
薬製)0.2重量部を、ボールミルに仕込み、40時間
混練した。
ンゾイル(日本油脂製品を再結晶した)2重量部とトリ
メチロールプロパントリメタアクリレート50重量部と
の混合液を加えてよくかき混ぜ、これを5%ポリビニル
アルコール水900重量部中に添加して激しく攪拌し、
1〜15μm程度に分散した後、窒素下80℃で16時
間加熱して重合させ、黒色微粒子を得た。
10重量%、即ち2.9容積%)を熱水で洗浄した後、
定法により分級して、平均粒子径5.2μm、標準偏差
0.26μmの均一合成樹脂微粒子を得た。この微粒子
の強度は、46kg/mm2(島津製作所製微小圧縮試
験器で測定)であった。また、この微粒子は、水、有機
溶剤に脱色されなかった。
の前記酸化マンガン系黒色顔料を10重量%含有するト
リメチロールプロパントリメタアクリレートを平板状に
重合させ、東亜電波製絶縁計「ウルトラメガオーム計
Model SM−10E」で抵抗値を測定したとこ
ろ、4.1×1014Ωcmであり、電気光学パネル用ス
ペーサーとして十分な絶縁度を持つ材料であることがわ
かった。
成樹脂微粒子を用いて、STN液晶パネルを製造し、映
像を映したところ、従来の透明微粒子スペーサーを用い
たパネルに比べて、コントラストが良く鮮明な映像であ
ることが観察された。
ロールプロパントリメタアクリレートに代えて、ジビニ
ルベンゼン(三共化成工業(株)製、純度57%)とジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬
(株)製)との等重量混合物を用いた外は、実施例1と
同様にして、黒色合成樹脂微粒子を得た。
色度を有しており、これを分級することにより、平均粒
径6.0μm、標準偏差0.31μmのスペーサ用合成
樹脂微粒子が得られた。圧縮強度は、実施例1と同様に
測定して、51kg/mm2であった。本例でも、実施
例1と同様にSTN液晶パネルを作製したが、実施例1
と同様に、コントラストが良く鮮明な映像が得られた。
リメチロールプロパントリメタアクリレートを増加し
て、酸化マンガン系黒色顔料濃度を3重量%(0.82
容積%)とし、他の添加剤は、モノマー比同重量部とし
て、合成樹脂微粒子を得た。また、この微粒子を同様に
処理して、平均粒径6.0μm、標準偏差0.28μm
のスペーサー用合成樹脂微粒子を製造した。この粒子を
透過型顕微鏡で観察すると、濃灰色であったが、これを
用いて、実施例1と同様にSTN液晶パネルを製造し、
映像を映したところ、十分鮮明な映像が得られ、遮光性
が十分あることがわかった。
ガン系黒色顔料に代えて、十分粉砕した天然マンガン鉱
(Mn3 O4 、比重4.7、平均粒径0.1μm、標準
偏差0.15μm)を用いた他は、実施例1と同様にし
て、平均粒子径6.5μm、標準偏差0.32μmの黒
色合成樹脂微粒子を得た。圧縮強度は、実施例1と同様
に測定したところ、58kg/mm2 であった。これを
用いて、実施例1と同様にSTN液晶パネルを製造し、
映像を映したところ、十分鮮明な映像が得られ、遮光性
が十分あることがわかった。
ガン系黒色顔料を68g(34.5容積%)とし、シラ
ンカップリング剤7gとトリメチロールプロパントリメ
タアクリレート25gとを混合し、直ちに使用した場
合、実施例1と同様に、STN液晶パネルに十分鮮明な
映像を与えるスペーサが得られたが、シランカップリン
グ剤とトリメチロールプロパントリメタアクリレートと
を混合し、一夜放置した場合には、混合液がゲル化して
しまい、水系懸濁重合させることができなかった。
粒子を洗浄乾燥したもの50重量部と、ハヤトーンOP
コート〔早川ゴム(株)製〕50重量部とを混練し、ポ
リカーボネート板上に20μm厚に塗布し、紫外線硬化
させたところ、均一で深みのある黒色の塗膜が得られ
た。また、合成樹脂系微粒子の平均粒径を変えることに
より、同じ顔料を塗料ビヒクルに直接添加した場合より
は、落ち着いた感じの高級感のある塗膜を得ることがで
きた。
施例1で得た平均粒子径5.2μmの微粒子0.01重
量%を混練して、2枚のガラス板を張り合わせ、室温で
40時間3kg/cm2 の荷重をかけ硬化させた。目視
では全く微粒子は見えず、あたかも1枚のガラス板の様
に見えた。
成樹脂系微粒子は、液晶表示パネルの液晶層の厚みを規
制するスペーサーとして使用することにより、透明なス
ペーサーを用いる従来の液晶表示パネルに比べて、透過
光に対する表示模様のコントラストが向上し、鮮明な画
像が得られるようになった。
させた酸化マンガン系黒色顔料は、低絶縁性ではある
が、合成樹脂中に均一に分散させることにより、液晶表
示パネル用のスペーサーとして、十分に絶縁性が高く、
問題なく使用できることがわかった。この点、カーボン
ブラックを黒色顔料として用いたスペーサでは解決でき
ないものである。
酸化マンガン系顔料からなる無機粉体が混合されている
ので、合成樹脂のみからなる従来のスペーサーに比べ
て、圧縮弾性率が著しく向上する。この結果、同じ粒子
径及び標準偏差の透明な合成樹脂製スペーサに比べて、
パネル内部に含有させるスペーサ密度を減少させること
ができ、パネルの明るさが向上することがわかった。
脂の比重よりも大きいので、透明な合成樹脂スペーサー
に比べ、本発明の合成樹脂系微粒子の方が見かけ比重が
大きい。このため、沈降法による微粒子の分級操作が容
易になり、従来分級が困難であった、粒径1〜3μm程
度の小さい均一合成樹脂系微粒子でも製造ができるよう
になった。
微粒子を、合わせガラス用接着剤中に微量添加すること
により、加圧張り合わせ後、微粒子が見えないで、糊剤
の厚みが均一となり、ニュートンリング状模様が発生す
ることもなく、張り合わせの歩留まりが向上した。
用充填材として塗料化した場合、同じ顔料を塗料用充填
材に直接添加した場合よりは、落ち着いた感じの高級感
のある塗膜を得ることができた。
ブラックやチタンブラック等の導電性の高い、微粉末と
して分散し難い黒色顔料を主たる顔料として含有せず、
導電性の著しく低い酸化マンガン系黒色顔料を、微粉末
として合成樹脂中に均一に分散して含有しているため、
強度、黒色度及び絶縁性等の均質性に極めて優れた微粒
子を構成する。
Claims (14)
- 【請求項1】 単量体の重合によって得られる合成樹脂
系微粒子であって、前記合成樹脂系微粒子中に、酸化マ
ンガン系黒色顔料が含有されていることを特徴とする、
合成樹脂系微粒子。 - 【請求項2】 前記酸化マンガン系黒色顔料に含有され
ている全金属のうち、マンガンが50〜100モル%を
占めることを特徴とする、請求項1記載の合成樹脂系微
粒子。 - 【請求項3】 前記酸化マンガン系黒色顔料が、酸化マ
ンガン単体、又は酸化マンガンと、銅、クロム及び鉄か
らなる群より選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物と
の共晶物、混晶物又は複合物であることを特徴とする、
請求項1又は2記載の合成樹脂系微粒子。 - 【請求項4】 前記酸化マンガン系黒色顔料が、マンガ
ン、鉄及び銅の酸化物からなることを特徴とする、請求
項1〜3のいずれか一項記載の合成樹脂系微粒子。 - 【請求項5】 前記酸化マンガン系黒色顔料が、0.0
01〜1μmの平均粒径と1μm以下の標準偏差とを有
することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記
載の合成樹脂系微粒子。 - 【請求項6】 前記合成樹脂系微粒子が、0.1〜35
容積%の前記酸化マンガン系黒色顔料を含有しているこ
とを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の合
成樹脂系微粒子。 - 【請求項7】 前記重合に、重合性カップリング剤が用
いられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれ
か一項記載の合成樹脂系微粒子。 - 【請求項8】 前記単量体が、多官能モノマーと単官能
モノマーとからなり、前記多官能モノマーが、前記単量
体中、20〜100重量%含有されていることを特徴と
する、請求項1〜7のいずれか一項記載の合成樹脂系微
粒子。 - 【請求項9】 前記多官能モノマーが、(メタ)アクリ
ル酸エステル及びジビニルベンゼンからなる群より選ば
れた少なくとも一種のモノマーであることを特徴とす
る、請求項8記載の合成樹脂系微粒子。 - 【請求項10】 少なくとも一対の透明電極基板の間に
挟み込まれ、前記各透明電極基板間を所定の間隔に保持
する電気光学パネル用スペーサであって、 前記電気光学パネル用スペーサが、1〜20μmの平均
粒径と10%以下の粒径分布変動係数とを有している請
求項1〜9のいずれか一項記載の合成樹脂系微粒子から
なることを特徴とする、電気光学パネル用スペーサ。 - 【請求項11】 前記多官能モノマーが、前記単量体
中、55〜100重量%含有されていることを特徴とす
る、請求項10記載の電気光学パネル用スペーサ。 - 【請求項12】 前記酸化マンガン系黒色顔料が、0.
001〜0.2μmの平均粒径と0.2μm以下の標準
偏差とを有していることを特徴とする、請求項10又は
11記載の電気光学パネル用スペーサ。 - 【請求項13】 少なくとも一対のガラス板の間に挟み
込まれ、前記各ガラス板間を所定の間隔に保持する合わ
せガラス用スペーサであって、 前記合わせガラス用スペーサが、請求項1〜9のいずれ
か一項記載の合成樹脂系微粒子からなることを特徴とす
る、合わせガラス用スペーサ。 - 【請求項14】 塗料中に含有される塗料用充填材であ
って、 前記塗料用充填材が、請求項1〜9のいずれか一項記載
の合成樹脂系微粒子からなることを特徴とする、塗料用
充填材。
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1999
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