JP2000319423A - 可撓性材料 - Google Patents

可撓性材料

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JP2000319423A
JP2000319423A JP11131443A JP13144399A JP2000319423A JP 2000319423 A JP2000319423 A JP 2000319423A JP 11131443 A JP11131443 A JP 11131443A JP 13144399 A JP13144399 A JP 13144399A JP 2000319423 A JP2000319423 A JP 2000319423A
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Fumio Matsui
二三雄 松井
Katsuhisa Morita
勝久 森田
Yoshitaka Hatano
善孝 波田野
Akihiro Shimizu
明浩 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜の成形が容易であり、かつ低温領域にお
いてもよく弾性性能を保持し、さらには応力による変形
後、応力を解除したときに限りなくもとの形態に復す
る、いわゆる形態保持の性質も併せ有する可撓性材料を
提供すること。 【解決手段】 繊維質基材に対して、(A)ビニルエス
テル樹脂と、(B)アルキル(メタ)アクリレート、ア
ルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキ
シポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートから
なる群から選択された少なくとも一種のビニルモノマー
と、(C)ラジカル重合開始剤とを含む樹脂組成物を含
浸し、硬化せしめてなる可撓性材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形加工プロセスが
簡便であり、製品が優れた可撓性を有する可撓性材料に
関し、更に詳しくは従来にない薄膜の成形が容易であ
り、かつ低温領域においてもよく弾性性能を保持してい
る可撓性材料に関するものであり、更には応力による変
形後、応力を解除したときに限りなくもとの形態に復す
る、いわゆる形態保持の性質も併せ有する可撓性材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクス産業を先頭として、ほ
とんどの産業分野において、近年の技術革新はまことに
目覚ましいものがあり、これを底辺で支える材料技術も
また長足の進歩を遂げてきている。材料の一つである高
分子材料の開発についても無論例外ではなく、新規のま
たはより高性能の高分子材料が新たに多数登場してきて
おり、それぞれが自らの地歩を固めつつある。こうした
材料のひとつとして可撓性材料に対する要請があり、従
来からシリコーンゴム、SBRゴム、ポリアミド、軟質
ポリ塩化ビニル、多種の熱可塑性エラストマー等の材料
が、各々目的に応じて選定されて、単独でまたは他材料
と複合して利用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゴムは
本来カーボン等の充填材による補強が特性発揮上不可欠
であり、透明材料や薄膜材料としては不向きである。ま
たゴムの加工プロセスは、工業生産的に不適切な前近代
的要素を多く抱えていることも問題点のひとつである。
ポリアミドは価格面の問題以外に吸湿性が大きいこと
や、吸湿時の物性低下も課題となっている。軟質ポリ塩
化ビニルはこうした状況の中で唯一大量に用いられてき
た材料であり、かつてはビニールの名の下で高分子材料
の代名詞になっていた程である。しかしながら、環境へ
の配慮が何より重要視されるような現代においては、軟
質ポリ塩化ビニルは大きなハンディキャップを背負うこ
ととなった。すなわち多量に含有されている塩素は、ダ
イオキシン問題につながることで厳しい逆風に見舞われ
ている。一方、これまた多量に含有される可塑剤のフタ
ル酸エステルは、環境ホルモン関連物質として糾弾され
ようとしている。そのような状況下にあつても、極めて
安価であって大量に消費されていること、適切な代替の
材料も見当たらないことなどから、やむなく放置されて
いるのが実情といえる。
【0004】したがって本発明の目的は、薄膜の形成が
容易であり、かつ低温領域においてもよく弾性性能を保
持し、さらには応力による変形後、応力を解除したとき
に限りなくもとの状態に復する、いわゆる形態保持の性
質も併せ有する可撓性材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは先にビニル
エステル樹脂と、特定のビニルモノマーとを複合した熱
硬化性透明樹脂シートに関する技術を提案した(特願平
10-337880号)。この技術は、ビニルエステル樹脂が他
の熱硬化性樹脂と比較して、並み外れて可撓性、タフさ
を付与しうる特徴を生かしたものに他ならない。本発明
者らは同様な視点に立脚して、更にその可撓性をエラス
トマーの領域にまで拡張するとともに繊維質基材と複合
することで、全く新しい機能を有する可撓性材料が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、繊維質基材に対して、
(A)ビニルエステル樹脂と、(B)アルキル(メタ)
アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
トおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)
アクリレートからなる群から選択された少なくとも一種
のビニルモノマーと、(C)ラジカル重合開始剤とを含
む樹脂組成物を含浸し、硬化せしめてなる可撓性材料を
提供するものである。また本発明は、(A)成分と
(B)成分との総和における(B)成分の割合が10〜
60重量%であることを特徴とする、前記の可撓性材料
を提供するものである。また本発明は、繊維質基材が、
織物、不織布、マット、ネットまたは紙の形態であるこ
とを特徴とする、前記の可撓性材料を提供するものであ
る。また本発明は、(A)成分のビニルエステル樹脂
が、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と
(メタ)アクリル酸とを反応せしめてなるビニルエステ
ル樹脂であることを特徴とする、前記の可撓性材料を提
供するものである。また本発明は、(B)成分のアルキ
ル、アルコキシアルキルまたはアルコキシポリアルキレ
ングリコール部分の炭素原子数が6以上12以下である
ことを特徴とする、前記の可撓性材料を提供するもので
ある。また本発明は、(A)成分および/または(B)
成分がハロゲン含有化合物を含むことを特徴とする、前
記の可撓性材料を提供するものである。また本発明は、
可撓性材料に応力をかけ変形させた後、応力を解除した
ときに、可撓性材料がもとの形態に限りなく復する性質
を備えていることを特徴とする、前記の可撓性材料を提
供するものである。また本発明は、厚さが0.1〜2m
mの薄膜であることを特徴とする、前記の可撓性材料を
提供するものである。また本発明は、表面にシボ模様を
付けたことを特徴とする、前記の可撓性材料を提供する
ものである。
【0007】
【発明の実施の形態】汎用の不飽和ポリエステル樹脂
は、プレポリマーをスチレン等のモノマーに溶解し、こ
のモノマーと共重合、架橋することで三次元硬化体とし
て用いられている。この汎用の不飽和ポリエステル樹脂
は成形加工性が極めて良好であるものの、固くてもろい
性質を示し、本発明の可撓性材料の主原料としては利用
できない。一方、特殊な不飽和ポリエステルともいえる
ビニルエステル樹脂は、成形加工性が良好であり、靱性
もあって、本発明の目的とする可撓性材料を実現しうる
可能性を秘めたベース材料といえる。(A)成分 本発明において(A)成分として使用されるビニルエステ
ル樹脂であるが、狭義には、例えば、滝山栄一郎著 ポ
リエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社昭和63
年発行336頁)に記載されるように、エポキシ基の開
環反応により生成した2級水酸基と、(メタ)アクリロ
イル基とを同一分子中に共有する一連のオリゴアクリレ
ートをビニルエステルと定義し、そしてモノマーを含有
する場合にはビニルエステル樹脂と定義しているケース
もあるが、本発明においては以下に記述するように、よ
り広義のものを包含している。(A)成分は、従来実施さ
れている公知の方法で合成することが可能であるが、次
のような方法で合成するのが副反応による着色を最小限
に止める点で特に好適である。すなわち窒素ガスの様な
不活性ガスの雰囲気において原料の反応を行い、酸価が
一定値以下になるまで反応を完結せしめる。このときゲ
ル化には十分留意して反応を進める必要がある。また
(A)成分には、ビスフェノールA型および/または脂環
式のビニルエステル樹脂が特に適しており、これはビス
フェノールA型または脂環式の次に例示されるような化
合物を原料に用い、これにアクリル酸またはメタクリル
酸を反応せしめて合成することができる。
【0008】末端エポキシ基を有する化合物:ビスフェ
ノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビス
フェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロ
ヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応
物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンと
の反応物、テトラブロモビスフェノールとエピクロルヒ
ドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエ
ピクロルヒドリンとの反応物、アリサイクリックジエポ
キシアジペート、アリサイクリックジエポキシカーボネ
ート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサ
イクリックジエポキシカルボキシレート。 末端水酸基の化合物:ビスフェノールA、水素化ビスフ
ェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナ
ンジアルコール、テトラブロモビスフェノールA、トリ
シクロデカンジメタノール。 末端水酸基にエチレンオキサイドおよび/またはプロピ
レンオキサイドを付加せしめた化合物:ビスフェノール
Aエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピ
レンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノールエ
チレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール
プロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA
エチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプ
ロピレンオキサイド付加物、ジフェニルエチレンオキサ
イド付加物、ジフェニルプロピレンオキサイド付加物、
テトラブロムビスフェノールAエチレンオキサイド付加
物。なおこの場合のエチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイドの付加モル数であるが、平均で2〜4モル程度
の比較的少ない付加体が耐熱性、耐候性、耐湿性等の面
で好ましい。中でも、ビスフェノール型または脂環式の
エポシキ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応せしめて
なるビニルエステル樹脂が好ましい。また、(A)成分
は、難燃性を付与するために臭素や塩素等のハロゲンで
置換されたハロゲン含有化合物を含むこともできる。
【0009】(B)成分 本発明の可撓性材料を構成する(B)成分は、アルキル
(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)ア
クリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコール
(メタ)アクリレートあるいはこれらの組み合わせであ
る。なお、アルキル、アルコキシアルキルまたはアルコ
キシポリアルキレングリコール部分の炭素原子数は6以
上12以下が好ましい。以下に例示する。ヘプチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル
(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリ
ーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アク
リレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、エ
トキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロ
ピレングリコール(メタ)アクリレート。また、(B)
成分は、難燃性を付与するために臭素や塩素等のハロゲ
ンで置換されたハロゲン含有化合物を含むこともでき
る。先に言う炭素原子数が6未満では本発明の可撓性材
料の弾性、破断伸び共に小さく、実用的でない。また炭
素原子数が12を超えるアルキル(メタ)アクリレー
ト、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはア
ルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレー
トではビニルエステル樹脂との相溶性が不十分となり、
相分離が起きる。
【0010】(B)成分には上記の、アルキル(メタ)
アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
トまたはアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)
アクリレートに加えてアクリル酸エステルモノマー、メ
タクリル酸エステルモノマーおよびその他のビニルモノ
マーの群から選ばれた一種または複数種のモノマーを併
用することができ、具体的には次の様なものが例示しう
る。難燃化のためにこれらのハロゲン置換化合物を利用
することもできる。 アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモ
ノマー:フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニ
ルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロ
ペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテ
ニルオキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロ
パンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリスーオキシエチレンアクリレート、
トリメチロールプロパントリスーオキシエチレンメタク
リレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリ
ンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート。 その他のビニルモノマー:スチレン、αメチルスチレ
ン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどのビニルモノマ
ー。
【0011】本発明において、(A)成分と(B)成分
との総和における(B)成分の割合は10〜60重量%
がよく、好ましくは20〜50重量%である。(B)成
分の割合が10重量%未満では本発明の可撓性材料の引
張伸び率が20%未満となり、場合によっては弾性の発
現が不十分となる。一方(B)成分の割合が60重量%
を超えると、引張強度が不良となる傾向がある。同じ理
由により、(B)成分の中におけるアルキル(メタ)ア
クリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート
またはアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)ア
クリレートの割合は20〜100重量%、より好ましく
は30〜100重量%である。
【0012】本発明の可撓性材料には、増粘、補強、接
着性などの改良のために一次粒子径が2〜50nmの超
微粒シリカを複合することも有効な手法である。この様
な微粒子のシリカは合成非晶質シリカであり、乾式法、
湿式法のいずれの製造方法のものでも効果的である。シ
リカの表面はシランカップリング剤またはシリコーンで
処理してあるものが分散性、吸水率等の面で本発明の可
撓性材料に適している。このような超微粒シリカをなる
べく一次粒子に近い状態に分散させるには、マスターバ
ッチの手法で予め高濃度に分散させたものを用いるのが
好ましい。通常、超微粒シリカの添加はフィルムの剛性
を高めるとともに破断伸びが小さくなり、折曲げ時に破
損しやすくなる。しかし本発明においては、超微粒シリ
カの添加は樹脂分に対して30重量%程度まで破断伸び
の大きな低下は認められないので、この範囲で複合する
ことも可能である。
【0013】本発明における樹脂組成物を用いて可撓性
材料に成形加工する工程の中では、脱泡等を目的として
加熱、減圧する処理が含まれることが必須となるが、ビ
ニルエステル樹脂は嫌気硬化性が強いことからそのゲル
化には十分注意する必要がある。重合禁止剤にフェノー
ル系禁止剤を多く使用すると着色が不可避となり、不都
合となる。本発明における重合禁止剤としては、N−ニ
トロソフェニルヒドロキシルアミン塩が好適であり、ア
ルミニウム塩が最も好ましいが、アルミニウム塩に限定
されず、各種の金属塩およびアンモニウム塩等が使用可
能である。その使用量は樹脂組成物に対して、0.00
1〜0.01重量%がよい。
【0014】本発明の可撓性材料を硬化させるには従来
ビニルエステル樹脂等で用いられている硬化方法、例え
ばUV硬化等も採用しうるが、特に重合開始剤を用いて
加熱硬化するのが簡便である。無論、両方法を併用して
用いることも可能である。すなわち本発明における
(C)成分は、ジアルキルパーオキサイド、アシルパー
オキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキ
サイド、パーオキシエステルなどの公知の有機過酸化物
を用いることができ、具体的には以下のようなものが例
示しうる。ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5
−ジブチルパーオキシヘキサン。
【0015】樹脂組成物を光硬化させるには、以下に例
示するような汎用の光重合開始剤を添加するとともに、
光等の活性エネルギー線を照射すればよい。2,2−ジ
メトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−
ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベゾ
フェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニ
ル)−2−モンフォリノプロパノン−1、2−ベンジル
−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニ
ル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニル-プロパン−1−オン、2,4,6−トリメ
チルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド。
このとき実用的には紫外線照射装置を用いるのが簡便で
ある。また必要に応じて重合促進剤を併用して硬化を促
進することも可能である。光硬化の方法で可撓性材料を
製造するための型は、無機ガラス等の光透過性の材質で
構成する必要がある。またこのとき硬化収縮によるひ
け、クラック等の弊害を回避するためにZ方向にゴム、
スポンジ等の可撓性材料を使用する方法は熱可塑性アク
リルシートの製造等で公知であり、本発明の可撓性材料
に対しても有効である。これらの(C)成分は、複数組
み合わせて使用することもでき、またその使用量は樹脂
組成物に対して0.5〜4重量%程度の範囲が好まし
い。
【0016】樹脂組成物を得るには、各成分をミキサー
を使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。ラ
ジカル重合開始剤(C)は、樹脂組成物の他の成分とは
別途用意しておき、使用に先立ちその都度混合撹拌して
使用に供するのが好ましい。このとき気泡の混入が避け
られないが、加温して粘度を低下せしめ、さらに必要な
らば減圧をかけて気泡を除去する。前述のように、ビニ
ルエステル樹脂は通常、酸素を取り除くと極めて重合し
やすい、いわゆる嫌気性の強い樹脂であるが、本発明に
おける樹脂組成物では、例えば50℃程度に加温しても
数時間のポットライフを有しており、実用性は十分であ
る。また常温に下げて翌日の製造に供することも可能で
ある。製造時に加熱し流動性を高めて、加工することも
可能であり、その場合も注入装置内でのゲル化等のトラ
ブルを避けることもできる。
【0017】本発明における繊維質基材としては、公知
の多様な形態、材質のものを利用しうるが、織物、不織
布、マット、ネット、紙のようなものが特に好ましい。
その繊維材質も、天然繊維、合成繊維の他種類の中から
選択しうる。また有機繊維だけでなく、無機質の繊維も
利用可能である。
【0018】本発明において、繊維質基材と樹脂組成物
とから可撓性材料を製造するには、含浸ロールの間を繊
維質基材を通しながら一定量の樹脂組成物を含浸させ、
次いで加熱ゾーンで硬化するのが最も量産に適した方法
といえる。このときロール表面でシボ模様等の転写を施
すことも可能である。
【0019】本発明で用いる樹脂組成物は、溶媒を全く
含まない場合でも低粘度であり、勿論少量の溶剤を含有
せしめて一層の低粘度化も図れることから、薄いもので
は100ミクロン程度、一方厚いものは、たとえば厚さ
数mmといった比較的厚いフィルム、シート状の可撓性
材料の製造も容易である点が利点となる。好ましくは、
本発明の可撓性材料は0.1〜2mmの薄膜であるのが
よい。
【0020】本発明の可撓性材料のマトリックスエラス
トマーの−20℃から40℃における引張伸び率は、2
0%以上300%以下がよく、より好ましくは30%以
上200%以下である。引張伸び率が20%未満のもの
は引張弾性率が高く、エラストマーの範疇から逸脱す
る。また引張伸び率が300%を超えると、引張強度が
著しく低下し実用的な強度が期待できなくなる。
【0021】本発明の可撓性材料の際立った特徴とし
て、応力をかけ変形させた後、応力を解除したときにも
との形態に限りなく復する性質を備えていることをが挙
げられる。加硫ゴム製品のように瞬時に戻るのではな
く、一定の時間をかけゆっくりと戻るのが特徴的であ
り、形状記憶の表現にまさにふさわしい挙動が観察され
る。またシボ模様のような微細な表面パターンを付けた
ときにも、荷重による一時的な変形があつても、荷重を
取り除いて一定時間が経過するともとの形状に復するこ
とができる。80℃といった比較的高温下でも、上記の
性能は発現する点が軟質ポリ塩化ビニルとは異なる本発
明の可撓性材料の特長でもある。
【0022】本発明の可撓性材料には、硬度、耐久性、
耐候性、耐水性、防蝕性等を改良するために、光散乱
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レ
ベリング剤、チクソトロピー性付与剤、内部離型剤、イ
オン捕捉剤等の添加剤を加えて更に一層の性能改善を図
ることもできる。
【0023】本発明の可撓性材料は一般的な日常品にも
有用であるが、電気・電子産業、車両等の分野で特に有
用である。耐溶剤性、耐薬品性、電気絶縁性、耐熱性、
透明性が良好であることから、単に従来品の代替だけで
なく、新規な用途開発も期待される。
【0024】
【作用】本発明の目的のひとつに、いわゆる形態保持の
機能がある。これは変形させている応力を解除したとき
に限りなく本来の形状に復することができる性質であ
り、マクロな変形だけでなく、例えばシボ模様のような
表面の微細な凹凸の形状保持機能とも関連する。上記材
料のうち軟質ポリ塩化ビニルでは不満足なレベルではあ
るものの、上述したような性質を示すのに対し、熱可塑
性エラストマーやポリアミドはこの面では全く期待でき
ない。本発明者らはこのような状況に鑑み、優れた弾性
を有する可撓性材料を目標に、さらに詳しくは、低温領
域においてもその特性をよく保持しうるような可撓性材
料を目標として、鋭意検討を行なってきた。その成果と
して、繊維質基材と特定の樹脂組成物とを複合したとき
に、本発明の目的である可撓性材料を得ることができる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の可
撓性材料はまた、いわゆる形態保持の性質も有するよう
なものであることも確認された。また本発明の可撓性材
料は、出発原料の樹脂組成物が液状であることから、そ
の成形プロセスは従来のゴムの加工工程と比較すると
き、圧倒的に簡便となる利点も享受しうるものである。
一方、元来ビニルエステル樹脂はタフさの点では定評の
ある樹脂であり、そのビニルエステル樹脂の柔軟性を更
に改善しているのが、本発明の(B)成分であるアルキ
ル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)
アクリレートおよびアルコキシポリアルキレングリコー
ル(メタ)アクリレートであり、共重合によって分子骨
格側鎖から一定長さのアルキル、アルコキシアルキルま
たはアルコキシポリアルキレングリコールの枝が伸びる
ことが分子構造のエラストマー化に貢献している。
(B)成分を配合することにより、熱硬化性材料であり
ながら破断伸び率を大きくすることができるため、繊維
質基材と複合したときにフルに繊維強度を生かすことが
可能となる。また三次元硬化した網目構造が形態保持の
役割を担っている。
【0025】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるもの
ではない。 実施例 1 下記表1の成分をフラスコ中で均一に溶解混合して、樹
脂組成物を用意した。
【0026】
【表1】 ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂 100重量部 (昭和高分子(株)リポキシ樹脂、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテ ルと(メタ)アクリル酸とを反応させたもの、スチレン40重量%を含有) ブトキシエチルアクリレート 25重量部 エトキシジエチレングリコールアクリレート 15重量部 超微粒シリカ 1重量部 (日本シリカ(株)アエロジルR972、一次粒子径2〜50nm) N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.005重量部 t−ブチルパーオキシベンゾエート 1.5重量部
【0027】この樹脂組成物の中にポリエステル繊維か
らなる織物を浸漬し、次いで一定間隙に調整したロール
間で余分な樹脂を絞って含浸量300g/m2となるよ
うにした。次に、平滑な表面とシボ模様表面を有する2
枚のPETフィルムの間に挟んで150℃で30分間キ
ュアを行った。この一見レザー調のシートは厚さ1mm
であり、−20℃においてもなおしなやかさを保持して
おり、くしゃくしゃに丸めても5分後には完全に元のフ
ラットな形態に戻ることが観察された。また、80℃で
3kg/m2の荷重をかけ1時間放置し、次いで荷重を
取り除いて常温で1時間後の表面を観察したところ、シ
ボ模様は元の状態を保持していた。
【0028】実施例 2 温度計、攪拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取
付けた1リットルのフラスコに、アリサイクリックジエ
ポキシアジペート 480g(1.20モル)、メタク
リル酸 206.4g(2.4モル)、オクチル酸クロ
ム 1.5g、亜燐酸0.15g、ハイドロキノン0.
2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら120〜125
℃で2時間反応を行なった。酸価11.0となった段階
で、フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却した
ところ無色透明な樹脂が得られた。この樹脂を(A−
1)とする。次に下記表2の成分をフラスコ中で均一に
溶解混合して、ベース樹脂組成物を用意した。
【0029】
【表2】 A−1樹脂 60重量部 イソノニルアクリレート 25重量部 スチレン 20重量部 N−ニトロソフェニルヒドロキシル アミンアルミニウム塩 0.003重量部 1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ −2−エチルヘキサネート 1.5重量部
【0030】この樹脂組成物を厚さ0.1mmの和紙に
含浸し、実施例1と同じPETフィルムに挟んで、12
0℃で30分間キュアを行なった。このシートの厚みは
0.3mmと薄いものの、しなやかで強靭であり、以下
のような物性であった。 引張強度 10.2 kgf/cm2 引張弾性率 38 kgf/cm2 またこのシートは常温で変形を与えて観察していると、
約1分間で大変形の後も元のシート状にゆっくりと形態
を回復することが確認された。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、薄膜の成形が容易であ
り、かつ低温領域においてもよく弾性性能を保持し、さ
らには応力による変形後、応力を解除したときに限りな
くもとの形態に復する、いわゆる形態保持の性質も併せ
有する可撓性材料が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 299/00 C08L 63/10 C08K 7/02 71/00 A C08L 63/10 B29C 67/14 W 71/00 B // B29K 31:00 33:00 105:08 311:12 (72)発明者 清水 明浩 群馬県高崎市並榎町397 Fターム(参考) 4F072 AA01 AA07 AB02 AB08 AB28 AB29 AB30 AB31 AD26 AD27 AE02 AF06 AG03 AH31 AJ04 AK05 AL02 AL11 4F205 AA36 AD06 AD16 AF07 AG01 AR12 HA06 HA33 HA35 HB02 HB29 HC05 HC06 HC07 HC08 HF01 HK05 HW05 4J002 CD20W CH05X EH017 EH037 EH057 EH076 EH156 EK037 FA048 FD010 FD147 GN00 GQ00 4J011 CA02 CA03 CA08 CB01 CB02 CC02 CC10 4J027 AC02 AC03 AC06 AE02 AE04 AE06 AE07 AJ08 BA04 BA05 BA07 BA10 BA12 BA17 BA19 BA23 BA26 BA28 CA36 CA38 CB04 CB10 CC02 CC05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基材に対して、(A)ビニルエス
    テル樹脂と、(B)アルキル(メタ)アクリレート、ア
    ルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキ
    シポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートから
    なる群から選択された少なくとも一種のビニルモノマー
    と、(C)ラジカル重合開始剤とを含む樹脂組成物を含
    浸し、硬化せしめてなる可撓性材料。
  2. 【請求項2】 (A)成分と(B)成分との総和におけ
    る(B)成分の割合が10〜60重量%であることを特
    徴とする、請求項1に記載の可撓性材料。
  3. 【請求項3】 繊維質基材が、織物、不織布、マット、
    ネットまたは紙の形態であることを特徴とする、請求項
    1または2に記載の可撓性材料。
  4. 【請求項4】 (A)成分のビニルエステル樹脂が、ビ
    スフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と(メ
    タ)アクリル酸とを反応せしめてなるビニルエステル樹
    脂であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載の可撓性材料。
  5. 【請求項5】 (B)成分のアルキル、アルコキシアル
    キルまたはアルコキシポリアルキレングリコール部分の
    炭素原子数が6以上12以下であることを特徴とする、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可撓性材料。
  6. 【請求項6】 (A)成分および/または(B)成分が
    ハロゲン含有化合物を含むことを特徴とする、請求項1
    ないし5のいずれか1項に記載の可撓性材料。
  7. 【請求項7】 可撓性材料に応力をかけ変形させた後、
    応力を解除したときに、可撓性材料がもとの形態に限り
    なく復する性質を備えていることを特徴とする請求項1
    ないし6のいずれか1項に記載の可撓性材料。
  8. 【請求項8】 厚さが0.1〜2mmの薄膜であること
    を特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の
    可撓性材料。
  9. 【請求項9】 表面にシボ模様を付けたことを特徴とす
    る請求項1ないし8のいずれか1項に記載の可撓性材
    料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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