JP2000319317A - ゴム変性芳香族ビニル系樹脂重合液からの重合体成分の精製分離方法 - Google Patents

ゴム変性芳香族ビニル系樹脂重合液からの重合体成分の精製分離方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム変性芳香族ビニル系樹脂の重合挙動の詳
細な解析を可能とするために、相分離現象を伴う重合系
から重合体成分を分離精製する方法を提供する。 【解決手段】 ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニル単
量体を含む単量体を重合転化率80%以下の範囲で重合
した、相分離現象を伴う重合液、又は該重合液中から取
り出した固形分を、特定の混合比の2−ブタノンとメタ
ノールの混合溶媒又は2−ブタノンとアセトンの混合溶
媒に分散させた後、芳香族ビニル系重合体が溶解した上
澄液と、ゴム状重合体およびグラフト共重合体を含有す
る不溶分に分離し、続いて不溶分を石油ベンジン等から
選ばれた溶媒に浸漬した後、ゴム状重合体が溶解した上
澄液と、グラフト共重合体を含有する不溶分に分離する
ことによって、芳香族ビニル系重合体、ゴム状重合体、
およびグラフト共重合体の3成分を精製分離する重合体
成分の精製分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴム変性芳香族ビニ
ル系樹脂重合液からの重合体成分の精製分離方法に関す
るものである。さらに詳しくは、ゴム状重合体の存在下
で芳香族ビニル単量体を含む単量体を重合して得られる
重合液から、芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位
からなる重合体、ゴム状重合体、およびゴム状重合体を
幹とし芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からな
る重合体を枝とするグラフト共重合体の3成分を濃縮し
た状態で精製分離する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性芳香族ビニル系樹脂は成形性、
寸法安定性、耐衝撃性にすぐれていることから、OA機
器、家電製品等、様々な用途に使用されている。この樹
脂はゴム状重合体を芳香族ビニル単量体に溶解する等、
ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体を含む単
量体を重合することにより製造される。この場合、重合
系には重合の進行とともにゴム状重合体、芳香族ビニル
単量体を含む単量体の他に、芳香族ビニル単量体単位を
含む単量体単位からなる重合体、およびゴム状重合体を
幹とし芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からな
る重合体を枝とするグラフト共重合体が生成していく。
またこれと同時に、重合前はゴム状重合体と芳香族ビニ
ル単量体を含む単量体からなる溶液は透明、均一な状態
であるが、重合が進むにつれて、芳香族ビニル単量体単
位を含む単量体単位からなる重合体が芳香族ビニル単量
体を含む単量体に溶解した液相が、ゴム状重合体が芳香
族ビニル単量体を含む単量体に溶解した液相にオイルイ
ンオイルエマルジョンとして分散して相分離現象を起こ
し、重合液が白濁を呈すようになる。更に重合が進むと
相転移現象が生じて、芳香族ビニル単量体単位を含む単
量体単位からなる重合体が溶解した液相が連続相とな
り、一方ゴム状重合体が溶解した液相が、芳香族ビニル
単量体単位を含む単量体単位からなる重合体が溶解した
液相を小粒子状態で内包したゴム粒子として分散した形
態をとるようになる。
【0003】従来は、このような相分離現象を伴う重合
系から芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からな
る重合体、ゴム状重合体を幹とし芳香族ビニル単量体単
位を含む単量体単位からなる重合体を枝とするグラフト
共重合体、およびゴム状重合体という3つの重合体成分
を分離精製することができなかった。これは重合という
化学反応の他に相分離現象という物理現象が同時に起こ
るため生成重合体成分が高次構造を形成する結果、ある
重合体成分のみを他の重合体成分から分離することが困
難になってくるためである。また分離精製ができないた
め、これらの重合体成分の構造解析を行うことはでき
ず、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂の重合挙動を詳細に把
握することが出来なかった。例えば、Macromol
ecules,Vol.29,2498−2509,1
996にはポリブタジエンの存在下におけるスチレンモ
ノマーの重合において、ポリスチレン、ポリブタジエ
ン、ポリブタジエンを幹としポリスチレンを枝とするグ
ラフトコポリマーの3つの重合体成分を2−ブタノン/
アセトン(3:2(体積比))および石油ベンジンによ
る溶媒抽出により分離し重合挙動の解析を行っている
が、ポリブタジエンとスチレンモノマーに溶媒として大
量のトルエンを加えた、相分離を伴わない均一溶液の重
合系における重合挙動の解析が主体であり、相分離現象
を伴ったバルク重合における重合挙動の解析は具体的に
は記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂の重合挙動の詳細
な解析を可能とするために、相分離現象を伴う重合系か
ら芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からなる重
合体(以下、芳香族ビニル系重合体と記す)、ゴム状重
合体を幹とし芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位
からなる重合体を枝とするグラフト共重合体(以下、単
にグラフト共重合体と記す)、およびゴム状重合体とい
う3つの重合体成分を分離精製する方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、相分離現
象を伴う重合系から芳香族ビニル系重合体、グラフト共
重合体、およびゴム状重合体という3つの重合体成分を
分離精製する方法を確立すべく鋭意研究を重ねた結果、
驚くべきことに、ある種の有機溶媒で重合液を処理する
ことにより、相分離現象を伴う重合液からにおいても前
記3つの重合体成分を分離精製できることを見い出し、
本発明に到達した。即ち本発明は、ゴム状重合体の存在
下で芳香族ビニル単量体を含む単量体を0%を超えて8
0%以下の重合転化率の範囲で重合して得られる、相分
離現象を伴う重合液、又は該重合液から取り出した固形
分から、芳香族ビニル系重合体、ゴム状重合体、および
グラフト共重合体の3成分を精製分離する方法であっ
て、(A)重合液、又は該重合液中から取り出した固形
分を、2−ブタノンとメタノールの混合溶媒(2−ブタ
ノンとメタノールの比が2−ブタノン/メタノール=1
00/0〜86/14(重量比))又は2−ブタノンと
アセトンの混合溶媒(2−ブタノンとアセトンの比が2
−ブタノン/アセトン=100/0〜48/52(重量
比))に分散させた後、遠心分離操作により芳香族ビニ
ル系重合体が溶解した上澄液(A−1)と、ゴム状重合
体およびグラフト共重合体を含有する不溶分(A−2)
に分離する。(B)続いて不溶分(A−2)を石油ベン
ジン、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n
−ペンタンから選ばれた1種の溶媒または2種以上の混
合溶媒に浸漬した後、遠心分離操作によりゴム状重合体
が溶解した上澄液(B−1)と、グラフト共重合体を含
有する不溶分(B−2)に分離することを特徴とする重
合体成分の精製分離方法である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−
スチレンランダム共重合体、ブタジエン−アクリロニト
リルランダム共重合体、ポリイソプレン、イソブチレン
−イソプレン共重合体、天然ゴム等が挙げられる。ポリ
ブタジエンについてはローシスポリブタジエンであって
も、ハイシスポリブタジエンであってもよい。好ましく
用いられるゴム状重合体としては、ローシスポリブタジ
エン、ハイシスポリブタジエン等が挙げられる。またゴ
ム状重合体は、その1種のみ用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0007】本発明の芳香族ビニル単量体としては、ス
チレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、
エチルスチレン、t−ブチルスチレン等の核アルキル置
換スチレンや、α−メチルスチレン、α−メチル−p−
メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン等が挙げ
られ、好ましくはスチレンが挙げられる。これらの芳香
族ビニル単量体は、その1種のみ用いてもよく、また、
2種以上を併用して用いてもよい。また芳香族ビニル単
量体以外の共重合可能な単量体を併用して共重合させる
こともできる。この共重合可能な単量体としては、具体
例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)ア
クリル酸エステルや、マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、
N−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフ
ェニル)マレイミド、N−(アルキル置換フェニル)マ
レイミド等のマレイミド系化合物、更に無水マレイン酸
等の不飽和ジカルボン酸無水物系化合物等が挙げられ
る。この場合においても、このような共重合可能な単量
体はいずれも単独又は2種以上併用して用いることがで
きる。
【0008】本発明で用いられる重合液は、ゴム状重合
体の存在下で芳香族ビニル単量体を含む単量体を0%を
超えて80%以下の重合転化率の範囲で重合して得ら
れ、かつ、相分離現象を伴う重合液である。重合転化率
が80%より大きいと、ゴム状重合体の架橋反応が生じ
てゲル成分が発生する場合があるため、本発明の精製分
離方法を用いることができない。また本発明で用いる重
合液は、ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニル単量体を
含む単量体を重合して得られるが、この場合相分離現象
が生じる範囲内で溶媒を含有させることができる。溶媒
としては、具体的にはベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、キシレン、ジエチルベンゼン等を挙げることがで
き、好ましくはエチルベンゼン等が挙げられる。さらに
重合開始剤や連鎖移動剤を用いて重合させることもでき
るし、これらを用いず熱により重合を進めることも可能
である。重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ系化合
物等が挙げられるが、好ましくは有機過酸化物が挙げら
れる。また本発明で用いられる重合液には、一般的な酸
化防止剤、ミネラルオイル、シリコンオイル等を適宜添
加することができる。
【0009】本発明の精製分離方法では、上記の重合液
の代わりに、該重合液から取り出した固形分を用いるこ
ともできる。該重合液から取り出した固形分とは、該重
合液中に存在する芳香族ビニル系重合体、ゴム状重合
体、およびグラフト共重合体の3成分を含有する固体を
いう。該重合液から取り出した固形分は重合液を、例え
ば60℃で20時間以上真空乾燥することにより未反
応単量体等の揮発成分をを蒸発させる。重合液をトル
エンに均一溶解した液を大過剰のメタノールに注ぎ未反
応単量体等を除くことにより得ることができる。
【0010】本発明の精製分離方法とは、上記の重合
液、又は該重合液中から取り出した固形分から、芳香族
ビニル系重合体、ゴム状重合体、およびグラフト共重合
体の3成分を精製分離する方法であって、次の(A)処
理、続いて(B)処理を施すことを特徴とする。
【0011】(A)処理 重合液、又は該重合液から取り出した固形分を、2−ブ
タノンとメタノールの混合溶媒(2−ブタノンとメタノ
ールの比が2−ブタノン/メタノール=100/0〜8
6/14(重量比))又は2−ブタノンとアセトンの混
合溶媒(2−ブタノンとアセトンの比が2−ブタノン/
アセトン=100/0〜48/52(重量比))に分散
させた後、遠心分離操作により芳香族ビニル系重合体が
溶解した上澄液(A−1)と、ゴム状重合体およびグラ
フト共重合体を含有する不溶分(A−2)に分離する。
【0012】(B)処理 続いて不溶分(A−2)を石油ベンジン、石油エーテ
ル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタンから選
ばれた1種の溶媒または2種以上の混合溶媒に浸漬した
後、遠心分離操作によりゴム状重合体が溶解した上澄液
(B−1)と、グラフト共重合体を含有する不溶分(B
−2)に分離する。
【0013】(A)処理において用いる溶媒は、2−ブ
タノンとメタノールの混合溶媒で、2−ブタノンとメタ
ノールの比が2−ブタノン/メタノール=100/0〜
86/14(重量比)、好ましくは2−ブタノン/メタ
ノール=95/5〜86/14(重量比)、更に好まし
くは2−ブタノン/メタノール=90/10〜86/1
4(重量比)、又は2−ブタノンとアセトンの混合溶媒
で2−ブタノンとアセトンの比が2−ブタノン/アセト
ン=100/0〜48/52(重量比)、好ましくは2
−ブタノン/アセトン=60/40〜50/50(重量
比)である。溶媒の組成が上記以外の場合は、芳香族ビ
ニル系重合体が溶媒に溶解せず、ゴム状重合体およびグ
ラフト共重合体と分離することができない。
【0014】また重合液、又は該重合液から取り出した
固形分と、2−ブタノンとメタノールの混合溶媒又は2
−ブタノンとアセトンの混合溶媒の比率は1/5〜1/
1000(重量比)が好ましく、1/10〜1/100
(重量比)が更に好ましい。比率が1/5より大きいと
分散液の粘度が高くなり不溶分(A−2)の分離が困難
になる場合があり、比率が1/1000より小さいと不
溶分(A−2)の量が少なく充分に解析できない場合が
ある。
【0015】(A)処理において、重合液又は該重合液
から取り出した固形分を混合溶媒に分散させた後、遠心
分離操作によって不溶分を沈降させて、芳香族ビニル系
重合体が溶解した上澄液(A−1)と、ゴム状重合体お
よびグラフト共重合体を含有する不溶分(A−2)に分
離する。遠心分離操作は不溶分(A−2)が沈降すれば
いかなる条件でもよいが、好ましくは35000G以上
の遠心加速度で1時間以上遠心するのがよい。
【0016】(A)処理において分離した上澄液(A−
1)から芳香族ビニル系重合体を得るにはいかなる方法
であってもよいが、例えば上澄液を60℃で20時間
以上真空乾燥することにより揮発成分を蒸発させて生じ
る固形分、或いは上澄液を大過剰のメタノールに注い
で生じる固形分として得ることができる。また、不溶分
(A−2)はゲル化が起こらない条件であればいかなる
条件で乾燥してもよいが、好ましくは60℃以下の温度
で16時間以上真空乾燥、更に好ましくは30℃で20
時間以上真空乾燥する。さらに(A)処理は1回のみ行
ってもよいし、2回以上繰り返して行ってもよい。好ま
しくは2回繰り返すのがよい。2回以上繰り返す場合
は、前の回で得られた不溶分を1回目と同量の混合溶媒
で分散させればよい。また前の回で得られた不溶分を乾
燥させずに、1回目と同量の混合溶媒で分散させてもよ
い。
【0017】(A)処理に続いて(B)処理を行う。
(B)処理で用いる不溶分(A−2)は乾燥したもので
あっても、乾燥していないものであってもよい。乾燥し
たものを用いる場合はゲル化が起こらない条件で乾燥す
る。
【0018】(B)処理に用いる溶媒は、石油ベンジ
ン、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−
ペンタンから選ばれた1種の溶媒または2種以上の混合
溶媒である。好ましくは石油ベンジンが用いられる。石
油ベンジン、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−ペンタンから選ばれた溶媒を用いることにより
不溶分(A−2)からゴム状重合体を溶解させ、グラフ
ト共重合体を不溶分として分離することができる。
【0019】また不溶分(A−2)と、石油ベンジン、
石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペン
タンから選ばれた溶媒の比率は1/10〜1/1000
(重量比)が好ましく、1/10〜1/100(重量
比)が更に好ましい。比率が1/10より大きいと不溶
分の分離が困難になる場合があり、比率が1/1000
より小さいと不溶分の量が少なく充分に解析できない場
合がある。
【0020】(B)処理において、(A)処理の不溶分
を石油ベンジン、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘ
プタン、n−ペンタンから選ばれた1種の溶媒または2
種以上の混合溶媒に浸漬させた後、遠心分離操作によっ
て不溶分を沈降させて、ゴム状重合体が溶解した上澄液
(B−1)と、グラフト共重合体を含有する不溶分(B
−2)に分離する。遠心分離操作は不溶分(B−2)が
沈降すればいかなる条件でもよいが、好ましくは750
0G以上の遠心加速度で5分間以上遠心するのがよい。
【0021】(B)処理において分離した上澄液(B−
1)からゴム状重合体を得るにはいかなる方法であって
もよいが、例えば上澄液(B−1)を30℃で2時間以
上真空乾燥することにより揮発成分を蒸発させて生じる
固形分として得ることができる。また、不溶分(B−
2)はゲル化が起こらない条件であればいかなる条件で
乾燥してよいが、好ましくは30℃で2時間以上真空乾
燥する。さらに(B)処理は1回のみ行ってもよいし、
2回以上繰り返して行ってもよい。好ましくは2回繰り
返すのがよい。2回以上繰り返す場合は、前の回で得ら
れた不溶分を1回目と同量の溶媒に浸漬させればよい。
また前の回で得られた不溶分を乾燥させずに、1回目と
同量の溶媒に浸漬させてもよい。
【0022】(A)処理および(B)処理で用いられる
溶媒には、ゴム状重合体及びグラフト共重合体を安定化
させるために酸化防止剤を含有させて使用してもよい。
酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤が好まし
く、具体的には2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−
メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−
ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−
6−ターシャリーブチルフェノール)、2−ターシャリ
ーブチル−6−(3−ターシャリーブチル−2−ヒドロ
キシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアク
リレート)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−
6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−チオ
ビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノー
ル)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−ターシャ
リーブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3−
(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート)メタン、3,9−ビス(2−
(3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)−プロピオニロキシ)−1,1−ジ
メチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビ
ス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオ
ール−ビス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−
ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−ターシャリーブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジン等が挙げられる。
【0023】
【実施例】本発明をさらに説明するために以下に実施例
を挙げるが、これらの実施例はいかなる意味においても
本発明を制限するものではない。 重合例1 ローシスポリブタジエン(旭化成社製ジエン55A)6
重量部、スチレンモノマー93重量部、エチルベンゼン
1重量部、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.015
重量部の原料溶液を10リットルの攪拌装置の付いたオ
ートクレーブに供給し、温度130℃で攪拌下重合を行
った。昇温開始後110分に重合液を適量採取した。こ
の時重合液は白濁を呈していた。更に昇温開始後280
分で重合液を適量採取した後、残りの重合液をガラス製
容器に入れて引き続き140℃に加熱して無攪拌下で重
合を進め、140℃加熱開始後90分で重合液を採取
し、残りを更に140℃加熱開始後10時間まで重合さ
せた。攪拌下の重合での昇温開始後280分までの重合
液の屈折率の測定を行い、スチレンモノマーの転化率を
求めた。また無攪拌下重合で得た重合液については、ガ
スクロマトグラフィーにより残留しているスチレンモノ
マー量を測定し、その値からスチレンモノマーの転化率
を求めた。その結果、攪拌重合での昇温開始後110
分、280分でのスチレンモノマーの転化率はそれぞれ
2.5%、40%であった。無攪拌重合での140℃加
熱開始後90分、10時間でのスチレンモノマーの転化
率はそれぞれ79%、95%であった。なお、屈折率は
ASTM D−542に従い、アッベ式屈折率計により
測定した。
【0024】実施例1 (A)処理 重合例1で得られた攪拌重合の昇温開始後280分の重
合液5gに2−ブタノン45gを加えてマグネティック
スターラーを用いてよく攪拌した。続いてメタノール5
gを加えて白濁の分散液を得た。これを遠心分離(回転
数30000rpm、遠心加速度39000G〜690
00G、1時間)し、上澄液と沈降した不溶分に分離し
た。不溶分は2−ブタノン45gに再び分散させた後メ
タノール5gを加えて分散液とし、これを遠心分離して
上澄液と不溶分に分離した。上澄液はホモポリスチレン
が溶解した液であり、不溶分はポリブタジエン、および
ポリスチレンを枝としポリブタジエンを幹としたグラフ
ト共重合体を含有する。上澄液は1回目のものと2回目
のものを混合した後、大過剰のメタノールに注ぎ吸引濾
過により固形分を得、これを60℃で20時間真空乾燥
した。不溶分は30℃で20時間真空乾燥した。得られ
た上澄液の固形分および不溶分については、分子量およ
び分子量分布の測定をGPC(ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー、溶媒:テトラヒドロフラン、検出
器:示差屈折率検出器(RI))により行い、また1
−NMRの測定からスチレン含有率を求めた。さらに薄
層クロマトグラフィーによる純度の確認を実施した。結
果を表1に示す。
【0025】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分0.5gを石油ベンジン
10gに24時間浸漬した後、これを遠心分離(回転数
15000rpm、遠心加速度11000G〜2000
0G、10分間)し、上澄液と不溶分に分離した。不溶
分は石油ベンジン10gに再び浸漬した後、これを遠心
分離して上澄液と不溶分に分離した。上澄液はポリブタ
ジエンが溶解した液であり、不溶分はポリスチレンを枝
としポリブタジエンを幹としたグラフト共重合体を含有
する。上澄液は1回目のものと2回目のものを混合した
後、30℃真空下で溶媒を留去後、30℃で2時間真空
乾燥して固形分を得た。不溶分は30℃で2時間真空乾
燥した。
【0026】得られた上澄液の固形分および不溶分につ
いては、分子量および分子量分布の測定、更に純度の確
認をGPC(溶媒:テトラヒドロフラン、検出器:示差
屈折率検出器(RI)および紫外線吸光検出器(UV、
波長:254nm))により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表1に示
す。なお、遠心分離は(A)処理では日立工機製超遠心
機55P−7を使用し、(B)処理ではコクサン製KO
KUSAN H−103RLHを使用した。また 1H−
NMRによるスチレン含有率、薄層クロマトグラフィー
による純度の確認方法、およびGPCによる純度の確認
方法は以下の通りである。
【0027】(1)1H−NMRによるスチレン含有率 溶媒に重テトラヒドロフランを用い重合体成分を溶解し
1H−NMRの測定を行った。4.8〜5.7ppm
のポリブタジエンの2重結合のプロトンのピークと6.
3〜7.5ppmのスチレンのベンゼン環のプロトンの
ピークの面積値の比から、スチレン含有量(重量%)を
求めた。
【0028】(2)薄層クロマトグラフィーによる純度
の確認 重合体成分のテトラヒドロフラン溶液(濃度:2重量
%)2μlをTLCプレート(MERCK製シリカゲル
60F254(層厚み0.2mm)、Art.5554)に滴
下し、2−ブタノンで展開した。展開後、紫外光をプレ
ートに照射して移動した成分を確認した。ホモポリスチ
レンのRfは0.96、ポリブタジエン、およびポリス
チレンを枝としポリブタジエンを幹とするグラフト共重
合体のRfは0であることから、Rfが0.96の成分
の有無、及びRfが0の成分の有無を調べることによ
り、各重合体成分に他の重合体成分が混入していないか
判定した。
【0029】(3)GPCによる純度の確認 重合体成分のGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン)
を検出器にRI及びUV(波長:254nm)を用いて
行う。ポリブタジエンはRIでは検出されるが、UVで
は検出されない。一方ポリスチレンを枝としポリブタジ
エンを幹とするグラフト共重合体はRIでもUVでもと
もに検出される。RIとUVのクロマトグラムから、ポ
リブタジエンとグラフト共重合体の分離の精度を判定し
た。
【0030】実施例2 (A)処理 重合液から上澄液と不溶分を分離する2度の操作におい
て、2−ブタノン45gとメタノール5gを使用する代
わりに、2−ブタノン50gのみを使用する以外は、実
施例1と同様の処理を行った。得られた上澄液の固形分
および不溶分については、実施例1と同様、分子量およ
び分子量分布の測定をGPCにより行い、また1H−N
MRの測定からスチレン含有率を求めた。さらに薄層ク
ロマトグラフィーによる純度の確認を実施した。結果を
表1に示す。
【0031】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表1に示
す。
【0032】実施例3 (A)処理 重合液から上澄液と不溶分を分離する2度の操作におい
て、2−ブタノン45gとメタノール5gを使用する代
わりに、2−ブタノン30gとアセトン20gを使用す
る以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた上
澄液の固形分および不溶分については、実施例1と同
様、分子量および分子量分布の測定をGPCにより行
い、また1H−NMRの測定からスチレン含有率を求め
た。さらに薄層クロマトグラフィーによる純度の確認を
実施した。結果を表1に示す。
【0033】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表1に示
す。
【0034】実施例4 (A)処理 重合液から上澄液と不溶分を分離する2度の操作におい
て、2−ブタノン45gとメタノール5gを使用する代
わりに、2−ブタノン25gとアセトン25gを使用す
る以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた上
澄液の固形分および不溶分については、実施例1と同
様、分子量および分子量分布の測定をGPCにより行
い、また1H−NMRの測定からスチレン含有率を求め
た。さらに薄層クロマトグラフィーによる純度の確認を
実施した。結果を表1に示す。
【0035】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表1に示
す。
【0036】実施例5 (A)処理 実施例1と同様の操作を行って、重合液から上澄液と不
溶分を分離し、得られた上澄液の固形分および不溶分に
ついて、実施例1と同様、分子量および分子量分布の測
定をGPCにより行い、また1H−NMRの測定からス
チレン含有率を求めた。さらに薄層クロマトグラフィー
による純度の確認を実施した。結果を表1に示す。
【0037】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、石油ベンジン
の代わりにn−ヘキサンを使用する以外は、実施例1と
同様に2回の分離操作を行い、上澄液と不溶分に分離し
た後、乾燥した。得られた上澄液の固形分および不溶分
については、実施例1と同様、分子量および分子量分布
の測定、更に純度の確認をGPCおよび紫外線吸光検出
器により行った。また1H−NMRの測定からスチレン
含有率を求めた。結果を表1に示す。
【0038】実施例6 (A)処理 重合液から上澄液と不溶分を分離する操作を1回だけに
する以外は、2−ブタノン45gとメタノール5gを使
用して、実施例1と同様の処理を行った。得られた上澄
液の固形分および不溶分については、実施例1と同様、
分子量および分子量分布の測定をGPCにより行い、ま
1H−NMRの測定からスチレン含有率を求めた。さ
らに薄層クロマトグラフィーによる純度の確認を実施し
た。結果を表2に示す。
【0039】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について石油ベンジンを
用いて行う分離操作を1回だけにした以外は、実施例1
と同様に分離操作を行い、上澄液と不溶分に分離した
後、乾燥した。得られた上澄液の固形分および不溶分に
ついては、実施例1と同様、分子量および分子量分布の
測定、更に純度の確認をGPCおよび紫外線吸光検出器
により行った。また1H−NMRの測定からスチレン含
有率を求めた。結果を表2に示す。
【0040】実施例7 (A)処理 実施例1と同様の操作を行って、重合液から上澄液と不
溶分を分離する操作を3回繰り返した以外は、実施例1
と同様に分離操作を行い、得られた上澄液の固形分およ
び不溶分について、実施例1と同様、分子量および分子
量分布の測定をGPCにより行い、また1H−NMRの
測定からスチレン含有率を求めた。さらに薄層クロマト
グラフィーによる純度の確認を実施した。結果を表2に
示す。
【0041】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について石油ベンジンを
用いて行う分離操作を3回繰り返した以外は、実施例1
と同様に分離操作を行い、上澄液と不溶分に分離した
後、乾燥した。得られた上澄液の固形分および不溶分に
ついては、実施例1と同様、分子量および分子量分布の
測定、更に純度の確認をGPCおよび紫外線吸光検出器
により行った。また1H−NMRの測定からスチレン含
有率を求めた。結果を表2に示す。
【0042】比較例1 重合例1で得られた攪拌重合の昇温開始後280分の重
合液30gをトルエン180gに均一に溶解した。この
溶液を3リットルのメタノールに注ぎ、固形分を濾別し
た後、30℃で20時間真空乾燥した。この固形分5g
を、溶媒に2−ブタノン/アセトン(90/10(重量
比))50gを用いて24時間還流させてソックスレー
抽出した。その後、溶媒を大過剰のメタノールに注ぎ吸
引濾過により固形分を得、これを60℃で20時間真空
乾燥した。濾紙中の残渣は30℃で20時間真空乾燥し
た。得られた溶媒中の固形分の1H−NMRの測定を行
ったところ、ポリスチレン由来のピークの他に、4.8
〜5.7ppmにポリブタジエンの2重結合のプロトン
のピークが認められ、ホモポリスチレンの他にポリブタ
ジエン成分が混入していることが分かった。
【0043】比較例2 重合例1で得られた攪拌重合の昇温開始後280分の重
合液5gに2−ブタノン45gを加えてマグネティック
スターラーを用いてよく攪拌した。続いてメタノール5
gを加えて白濁の分散液を得た。これを遠心分離(回転
数30000rpm、遠心加速度39000G〜690
00G、1時間)し、上澄液と沈降した不溶分に分離し
た。不溶分は2−ブタノン45gに再び分散させた後メ
タノール5gを加えて分散液とし、これを遠心分離して
上澄液と不溶分に分離した。上澄液はホモポリスチレン
が溶解した液であり、不溶分はポリブタジエン、および
ポリスチレンを枝としポリブタジエンを幹としたグラフ
ト共重合体を含有する。上澄液は1回目のものと2回目
のものを混合した後、大過剰のメタノールに注ぎ吸引濾
過により固形分を得、これを60℃で20時間真空乾燥
した。不溶分は30℃で20時間真空乾燥した。続い
て、この不溶分0.5gをテトラヒドロフラン10gに
溶解した。この溶液を石油ベンジン200gに注いだと
ころ、ごく僅か白濁するのみであり、石油ベンジンに対
する不溶分は沈降しなかった。
【0044】実施例8 (A)処理 重合例1で得られた攪拌重合の昇温開始後110分の重
合液(スチレン転化率2.5%)5gを用いた以外は、
実施例1と同様の操作を行って、重合液から上澄液と不
溶分を分離し、得られた上澄液の固形分および不溶分に
ついて、実施例1と同様、分子量および分子量分布の測
定をGPCにより行い、また1H−NMRの測定からス
チレン含有率を求めた。さらに薄層クロマトグラフィー
による純度の確認を実施した。結果を表2に示す。
【0045】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また 1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表2に示
す。
【0046】実施例9 (A)処理 重合例1で得られた無攪拌重合の140℃加熱開始後9
0分の重合液(スチレン転化率79%)5gを用いた以
外は、実施例1と同様の操作を行って、重合液から上澄
液と不溶分を分離し、得られた上澄液の固形分および不
溶分について、実施例1と同様、分子量および分子量分
布の測定をGPCにより行い、また1H−NMRの測定
からスチレン含有率を求めた。さらに薄層クロマトグラ
フィーによる純度の確認を実施した。結果を表2に示
す。
【0047】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表2に示
す。
【0048】比較例3 (A)処理 重合例1で得られた無攪拌重合の140℃加熱開始後1
0時間の重合液(スチレン転化率95%)5gに2−ブ
タノン45gを加えてマグネティックスターラーを用い
てよく攪拌した。続いてメタノール5gを加えて白濁の
分散液を得た。これを遠心分離(回転数30000rp
m、遠心加速度39000G〜69000G、1時間)
し、上澄液と沈降した不溶分に分離した。不溶分は2−
ブタノン45gに再び分散させた後メタノール5gを加
えて分散液とし、これを遠心分離して上澄液と不溶分に
分離した。上澄液はホモポリスチレンが溶解した液であ
り、不溶分はポリブタジエン、およびポリスチレンを枝
としポリブタジエンを幹としたグラフト共重合体を含有
する。上澄液は1回目のものと2回目のものを混合した
後、大過剰のメタノールに注ぎ吸引濾過により固形分を
得、これを60℃で20時間真空乾燥した。不溶分は3
0℃で20時間真空乾燥した。得られた上澄液の固形分
については分子量および分子量分布の測定をGPCによ
り行い、また1H−NMRの測定からポリスチレン含有
率を求めた。さらに薄層クロマトグラフィーによる純度
の確認を実施した。不溶分については、テトラヒドロフ
ラン及び重テトラヒドロフランには溶解せずゲルが発生
したため、GPCによる分子量および分子量分布の測
定、1H−NMRの測定、薄層クロマトグラフィーによ
る純度の確認を実施することができなかった。またこの
後の(B)処理は行わなかった。結果を表2に示す。
【0049】実施例10 (A)処理 重合例1で得られた攪拌重合の昇温開始後280分の重
合液(スチレン転化率40%)30gをトルエン180
gに均一に溶解した。この溶液を3リットルのメタノー
ルに注ぎ、固形分を吸引濾過した後、30℃で20時間
真空乾燥した。この固形分5gを用いた以外は、実施例
1と同様の操作を行って、固形分から上澄液と不溶分を
分離し、得られた上澄液の固形分および不溶分につい
て、実施例1と同様、分子量および分子量分布の測定を
GPCにより行い、また1H−NMRの測定からスチレ
ン含有率を求めた。さらに薄層クロマトグラフィーによ
る純度の確認を実施した。結果を表3に示す。
【0050】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表3に示
す。
【0051】重合例2 ハイシスポリブタジエン(宇部興産製15H)10重量
部、スチレンモノマー89重量部、エチルベンゼン1重
量部、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.015重量
部の原料溶液を10リットルの攪拌装置の付いたオート
クレーブに供給し、温度130℃で攪拌下重合を行っ
た。昇温開始後270分に重合液を採取した。この時重
合液は白濁を呈していた。270分の重合液の屈折率の
測定を行い、スチレンモノマーの転化率を求めた。その
結果、270分でのスチレンモノマーの転化率は42%
であった。なお、屈折率はASTM D−542に従
い、アッベ式屈折率計により測定した。
【0052】実施例11 (A)処理 重合例2で得られた攪拌重合の昇温開始後270分の重
合液(スチレン転化率42%)5gを用いた以外は、実
施例1と同様の操作を行って、重合液から上澄液と不溶
分を分離し、得られた上澄液の固形分および不溶分につ
いて、実施例1と同様、分子量および分子量分布の測定
をGPCにより行い、また1H−NMRの測定からスチ
レン含有率を求めた。さらに薄層クロマトグラフィーに
よる純度の確認を実施した。結果を表3に示す。
【0053】(B)処理 続いて(A)処理で得た不溶分について、実施例1と同
様に、石油ベンジンによる2回の分離操作を行い、上澄
液と不溶分に分離した後、乾燥した。得られた上澄液の
固形分および不溶分については、実施例1と同様、分子
量および分子量分布の測定、更に純度の確認をGPCお
よび紫外線吸光検出器により行った。また1H−NMR
の測定からスチレン含有率を求めた。結果を表3に示
す。
【0054】比較例4 (A)処理 重合例2で得られた攪拌重合の昇温開始後270分の重
合液(スチレン転化率42%)5gに2−ブタノン40
gを加えてマグネティックスターラーを用いてよく攪拌
した。続いてメタノール10gを加えて白濁の分散液を
得た。これを遠心分離(回転数30000rpm、遠心
加速度39000G〜69000G、1時間)し、上澄
液と沈降した不溶分に分離した。不溶分は2−ブタノン
40gに再び分散させた後メタノール10gを加えて分
散液とし、これを遠心分離して上澄液と不溶分に分離し
た。上澄液は1回目のものと2回目のものを混合した
後、大過剰のメタノールに注ぎ吸引濾過により固形分を
得、これを60℃で20時間真空乾燥した。不溶分は3
0℃で20時間真空乾燥した。不溶分について、 1H−
NMRの測定からスチレン含有率を求めたところ、50
重量%であった。さらに薄層クロマトグラフィーによる
純度の確認を実施したところ、Rfが0.96の成分と
Rfが0の成分(ポリブタジエン及びグラフト共重合
体)の両方が認められ、分離したポリブタジエンとグラ
フト共重合体の混合物にはホモポリスチレンが混入して
いた。なお(B)処理は実施しなかった。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】表中、MEKは2−ブタノン、MeOHは
メタノール、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子
量、Mw/Mnは分子量分布を表す。また(A)処理の
純度の確認において、上澄液の固形分の○印は、薄層ク
ロマトグラフィーでRfが0の成分が見られずRfが
0.96の成分(ポリスチレン)のみが認められ、精製
分離したホモポリスチレンの純度が高く分離が良好であ
ることを示す。不溶分の○印は、薄層クロマトグラフィ
ーでRfが0.96の成分が見られずRfが0の成分
(ポリブタジエン及びグラフト共重合体)のみが認めら
れ、精製分離したポリブタジエンとグラフト共重合体の
混合物の純度が高く分離が良好であることを示す。さら
に(B)処理の純度の確認において、上澄液の固形分の
○印は、RI検出器では分子量測定が可能であったがU
V検出器では何も検出されず、精製分離したポリブタジ
エンの純度が高く、分離が良好であることを示す。不溶
分の○印は、RI検出器による平均分子量及び分子量分
布とUV検出器による平均分子量及び分子量分布が一致
し、精製分離したグラフト共重合体の純度が高く、分離
が良好であることを示す。
【0059】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、特定の有
機溶媒で処理することにより、相分離現象を伴う重合液
から芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からなる
重合体(芳香族ビニル系重合体)、ゴム状重合体を幹と
し芳香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からなる重
合体を枝とするグラフト共重合体(グラフト共重合
体)、およびゴム状重合体という3つの重合体成分を分
離精製する方法が提供され、ゴム変性芳香族ビニル系樹
脂の重合挙動の詳細な解析が可能となる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニル単
    量体を含む単量体を80%以下の重合転化率の範囲で重
    合して得られる、相分離現象を伴う重合液、又は該重合
    液から取り出した固形分から、芳香族ビニル単量体単位
    を含む単量体単位からなる重合体、ゴム状重合体、およ
    びゴム状重合体を幹とし芳香族ビニル単量体単位を含む
    単量体単位からなる重合体を枝とするグラフト共重合体
    の3成分を精製分離する方法であって、(A)重合液、
    又は該重合液から取り出した固形分を、2−ブタノンと
    メタノールの混合溶媒(2−ブタノンとメタノールの比
    が2−ブタノン/メタノール=100/0〜86/14
    (重量比))又は2−ブタノンとアセトンの混合溶媒
    (2−ブタノンとアセトンの比が2−ブタノン/アセト
    ン=100/0〜48/52(重量比))に分散させた
    後、遠心分離操作により芳香族ビニル単量体単位を含む
    単量体単位からなる重合体が溶解した上澄液(A−1)
    と、ゴム状重合体およびゴム状重合体を幹とし芳香族ビ
    ニル単量体単位を含む単量体単位からなる重合体を枝と
    するグラフト共重合体を含有する不溶分(A−2)に分
    離する。(B)続いて不溶分(A−2)を石油ベンジ
    ン、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−
    ペンタンから選ばれた1種の溶媒または2種以上の混合
    溶媒に浸漬した後、遠心分離操作によりゴム状重合体が
    溶解した上澄液(B−1)と、ゴム状重合体を幹とし芳
    香族ビニル単量体単位を含む単量体単位からなる重合体
    を枝とするグラフト共重合体を含有する不溶分(B−
    2)に分離することを特徴とする重合体成分の精製分離
    方法。
  2. 【請求項2】 重合液を真空乾燥して揮発成分を蒸発さ
    せることにより固形分を取り出すことを特徴とする請求
    項1記載の重合体成分の精製分離方法。
  3. 【請求項3】 重合液をトルエンに均一溶解した液を大
    過剰のメタノールに注ぐことにより固形分を取り出すこ
    とを特徴とする請求項1記載の重合体成分の精製分離方
    法。
  4. 【請求項4】 (A)の操作において、2−ブタノンと
    メタノールの混合溶媒の2−ブタノンとメタノールの比
    が2−ブタノン/メタノール=95/5〜86/14
    (重量比)であることを特徴とする請求項1から3のい
    ずれか1項記載の重合体成分の精製分離方法。
  5. 【請求項5】 (A)の操作において、2−ブタノンと
    メタノールの混合溶媒の2−ブタノンとメタノールの比
    が2−ブタノン/メタノール=90/10〜86/14
    (重量比)であることを特徴とする請求項1から3のい
    ずれか1項記載の重合体成分の精製分離方法。
  6. 【請求項6】 (A)の操作において、2−ブタノンと
    アセトンの混合溶媒の2−ブタノンとアセトンの比が2
    −ブタノン/アセトン=60/40〜50/50(重量
    比)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか
    1項記載の重合体成分の精製分離方法。
  7. 【請求項7】 重合体成分の精製分離方法において、2
    −ブタノンとメタノールの混合溶媒又は2−ブタノンと
    アセトンの混合溶媒を用いた分離操作を2回以上繰り返
    すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載
    の重合体成分の精製分離方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項記載の重
    合体成分の精製分離方法により得た試料を分析すること
    によって行うことを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系
    樹脂の重合挙動の解析方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の解析結果を基に重合条件
    の調整を行うことを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系
    樹脂の製造方法。
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