JP2000319312A - ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の重合用開始剤及びそれを用いた重合方法 - Google Patents

ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の重合用開始剤及びそれを用いた重合方法

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JP2000319312A
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Mitsuo Sawamoto
光男 澤本
Masami Uegakito
正己 上垣外
Kotaro Sato
浩太郎 佐藤
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F12/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F12/02Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical
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    • C08F12/14Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring substituted by hetero atoms or groups containing heteroatoms
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導
体の重合用開始剤に関して、特にリビング重合性に優れ
たカチオン重合用開始剤と、この重合用開始剤を用いた
ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の重合方
法を提供する。 【解決手段】 本発明のビニルフェノール又はビニルフ
ェノール誘導体の重合用開始剤は、(A)三フッ化ホウ
素又は三フッ化ホウ素錯体、(B)一般式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は水素原子又はアルキル基を示す)
で表される化合物、及び、(C)水からなることを特徴
とし、又、本発明のビニルフェノール又はビニルフェノ
ール誘導体の重合方法は、有機溶媒中でビニルフェノー
ル又はビニルフェノール誘導体を重合する方法におい
て、(A)三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体、
(B)上記一般式(1)で表される化合物、及び、
(C)水からなる重合用開始剤を用いることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルフェノール
又はビニルフェノール誘導体の新規な重合用開始剤及び
それを用いた重合方法に関する。更に詳しくは、本発明
は、ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体のカ
チオン重合に適した重合用開始剤、及び、該重合用開始
剤を用いたビニルフェノール又はビニルフェノール誘導
体の重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニルフェノール又はビニルフェノール
誘導体(以下、単にビニルフェノール類と略称する場合
がある)から得られる重合体は、各種の産業分野で機能
性高分子材料、即ち、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、コー
ティング材料や防錆剤原料等として使用されている。
又、近年、ビニルフェノール類重合体は、電子材料の分
野、特に超高集積度半導体回路を製造するためのフォト
レジストに不可欠な材料として注目されている。ビニル
フェノール類重合体は、このような各種用途に応じた分
子量や分子量分布を具えていることが必要であり、又、
他のビニルモノマーとの共重合も含めて、分子構造の厳
密な制御が必要とされている。
【0003】ところで、ビニルフェノール類の重合方法
としては、一般にラジカル重合法或いはカチオン重合法
が知られている。特に、カチオン重合法の場合、生長分
子の活性末端が停止反応も連鎖移動反応もしない重合、
いわゆる「リビング重合」が実現すれば、分子量や分子
量分布の厳密な制御はもちろん、ポリマー末端の制御も
可能となる。従って、例えば特定のモノマーのリビング
重合末端に他のカチオン重合性モノマーを追加し、重合
させることによってブロック重合体を合成したり、分子
中にビニル基をもつ停止剤を反応させることによってマ
クロモノマーを合成することも可能であり、重合体の分
子設計の幅を大きく拡げることができる。
【0004】しかるに、ビニルフェノール類のカチオン
重合法に関しては、従来よりリビング重合性を示す開始
剤について記載した文献は見られない。例えば、特開昭
51−39788号公報においては、ニトリル化合物の
存在下、三フッ化ホウ素錯体等のカチオン重合開始剤を
用いてパラヒドロキシスチレン(即ち、p−ビニルフェ
ノール)を重合する方法が提案されている。しかし、こ
の公報では開始剤のリビング重合性については言及され
ていない。又、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー法(GPC法)によって測定した重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは2.8〜
4.7の範囲であり、得られる重合体の分子量分布は比
較的広いものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の重
合用開始剤に関して、特にリビング重合性に優れたカチ
オン重合用開始剤を提供することにある。
【0006】又、本発明の他の目的は、上記の重合用開
始剤を用いたビニルフェノール又はビニルフェノール誘
導体の重合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、上
記のような状況に鑑み、ビニルフェノール又はビニルフ
ェノール誘導体のカチオン重合用開始剤について鋭意研
究した結果、従来公知の三フッ化ホウ素又は三フッ化ホ
ウ素錯体と水からなる開始剤に特定の化合物を組み合わ
せることにより、重合速度が速く、リビング重合性に優
れたカチオン重合用開始剤が得られることを見い出し、
更に研究を続けた結果、本発明を完成させたものであ
る。
【0008】即ち、本願における第一の発明の要旨は、
(A)三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体、(B)
一般式(1)
【化3】 (式中、R1及びR2は水素原子又はアルキル基を示す)
で表される化合物、及び、(C)水からなることを特徴
とするビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の
重合用開始剤に存し、又、第二の発明の要旨は、有機溶
媒中でビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体を
重合する方法において、(A)三フッ化ホウ素又は三フ
ッ化ホウ素錯体、(B)上記一般式(1)で表される化
合物、及び、(C)水からなる重合用開始剤を用いるこ
とを特徴とする重合方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明の重合用開始剤を構成する第一の成
分は、三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体である。
三フッ化ホウ素錯体としては、特にジエチルエーテル、
ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテルと
の錯体、或いはメタノール、フェノール、水等との錯体
が好ましい。
【0011】本発明の重合用開始剤を構成する第二の成
分は、前記の一般式(1)で表される化合物である。
尚、式(1)中、R1及びR2は水素原子又はアルキル基
を示しており、R1或いはR2がアルキル基の場合、これ
は炭素数1〜10のアルキル基である。一般式(1)で
表される化合物の具体例としては、4−メトキシ−α−
メチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−α−メチ
ルベンジルアルコール、1−エトキシ−1−(p−メト
キシフェニル)エタン、3−メトキシ−α−メチルベン
ジルアルコール、3−ヒドロキシ−α−メチルベンジル
アルコール、1−エトキシ−1−(m−メトキシフェニ
ル)エタン等が挙げられ、特に4−メトキシ−α−メチ
ルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−α−メチルベ
ンジルアルコール及び1−エトキシ−1−(p−メトキ
シフェニル)エタンが好ましい。
【0012】上記一般式(1)で表される化合物は、公
知化合物であると共に、簡便に製造し得るものであっ
て、例えば、4−ヒドロキシ−α−メチルベンジルアル
コールは市販の4−ヒドロキシアセトフェノンを還元す
ることにより、又、4−メトキシ−α−メチルベンジル
アルコールは市販の4−メトキシアセトフェノンを還元
することにより、それぞれ製造することができ、更に、
1−エトキシ−1−(p−メトキシフェニル)エタンは
前記4−メトキシ−α−メチルベンジルアルコールをエ
タノールによりエーテル化することにより、製造するこ
とができる。
【0013】そして更に、本発明の重合用開始剤を構成
する第三の成分は、水である。
【0014】これら本発明の重合用開始剤を構成する各
成分の量比は、三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体
1モルに対して、一般式(1)で表される化合物が1〜
50モル、好ましくは1〜20モルである。又、水は、
すべての原料成分中の水を含めた総量として、三フッ化
ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体1モルに対して0.00
1〜20モルであり、好ましくは0.005〜10モル
である。
【0015】重合条件により水の必要量が少量のときに
は、例えば重合用開始剤を構成する上記各成分中に元々
含まれる水分で十分であって、新たな追加を必要としな
い場合がある。しかしながら、重合毎に重合系内の水分
量が変動すると、重合速度に影響が出るため、そのよう
な場合も含め、原料成分中の水の含有量を、例えばカー
ルフィッシャー法のような水分分析法により正確に把握
し、すべての原料成分中の水を含めた総量が上記の範囲
に入っているか、確認しておくことが好ましい。
【0016】本発明において、以上のように構成される
重合用開始剤により重合させるために使用されるモノマ
ーは、ビニルフェノール類、即ち、ビニルフェノール又
はビニルフェノール誘導体である。ビニルフェノールと
しては、具体的にはp−ビニルフェノール又はm−ビニ
ルフェノールが挙げられ、特にp−ビニルフェノールが
好ましい。
【0017】又、ビニルフェノール誘導体としては、ビ
ニルフェノールのフェノール性水素をアルキル基で置換
したp−アルコキシスチレン又はm−アルコキシスチレ
ンが挙げられ、特にp−アルコキシスチレンが好まし
い。具体的にはp−メトキシスチレン、p−エトキシス
チレン、p−t−ブトキシスチレン、m−メトキシスチ
レン、m−エトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレ
ン等であり、特にp−メトキシスチレン、p−エトキシ
スチレン、p−t−ブトキシスチレンが好ましい。
【0018】更に、ビニルフェノール誘導体としては、
ビニルフェノールのフェノール性水素をアセチル基で置
換したp−アセトキシスチレン又はm−アセトキシスチ
レンが挙げられ、特にp−アセトキシスチレンが好まし
い。
【0019】上記ビニルフェノールの合成は、例えばア
セトキシスチレンの加水分解、ヒドロキシ桂皮酸の脱炭
酸、ビスフェノールエタンの接触分解、エチルフェノー
ルの脱水素等の従来公知の方法により行うことができ
る。具体的には、「ビニルフェノール−基礎と応用」
(1991年、教育出版センター発行)22頁以下に記
載された方法、或いはその引用文献を参考にすればよ
い。
【0020】又、上記ビニルフェノール誘導体のうちの
p−アルコキシスチレン又はm−アルコキシスチレン
は、例えばp−ビニルフェノール又はm−ビニルフェノ
ールとハロゲン化アルキルを、ピリジン等の塩基性化合
物の存在下に反応させることによって得ることができ
る。
【0021】更に、上記ビニルフェノール誘導体のうち
のp−アセトキシスチレン又はm−アセトキシスチレン
は、例えばp−ビニルフェノール又はm−ビニルフェノ
ールと無水酢酸を、ピリジン等の塩基性化合物の存在下
に反応させることによって得ることができる。
【0022】一方、本発明の重合方法は、上記本発明の
重合用開始剤を用いて、上記ビニルフェノール類を重合
するものであるが、その重合に際しての重合開始剤の使
用量は、ビニルフェノール類1モルに対して、重合開始
剤中の三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体が0.0
01〜0.10の割合、好ましくは0.002〜0.0
3の割合となる量である。
【0023】本発明の重合方法は、有機溶媒中で実施さ
れるものであり、この有機溶媒としては、例えばベンゼ
ン、トルエン、エチルフェノール等の芳香族炭化水素;
ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;
アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物
が用いられる。これらの溶媒のうちでは、特にビニルフ
ェノール類重合体の溶解性に優れ、且つ、低沸点である
ためにビニルフェノール類重合体からの除去が容易な、
ニトリル化合物が好ましい。
【0024】本発明の重合方法の条件としては、温度が
−70〜60℃、好ましくは−30〜40℃であり、時
間が1分〜2時間、好ましくは20分〜1時間である。
【0025】又、重合系内のビニルフェノール類濃度と
しては、一般に10〜80重量%、好ましくは20〜7
0重量%であり、80重量%を超える高濃度では、重合
熱により反応温度の制御が困難となる場合があり、又、
生成する重合体により反応溶液が高粘度のものとなるた
め、重合率を一定以上に上げることができず、生産性が
悪化する。一方、10重量%を下回る低濃度では、有機
溶媒の量が多くなり、実用面で不利となる場合がある。
【0026】重合体の分子量は、重合温度、重合系内の
モノマー濃度、開始剤濃度、開始剤の成分比等のいくつ
かの条件で制御できるが、特に重合温度や開始剤濃度の
変更によるのが簡便であり、実用的な観点から好都合で
ある。
【0027】上記のように本発明の重合方法で得られた
生成物であるビニルフェノール類重合体は、メタノール
等の低級アルコール、場合によってアンモニアやアミン
等の塩基性化合物を加えた低級アルコール溶液によって
重合の停止、即ち生長末端の失活を行う。その後、生成
物はそのまま、或いは水、メタノール等で洗浄した後、
溶媒再沈殿法或いは薄膜蒸発法等によって未反応モノマ
ーや溶媒を除くことにより、目的のビニルフェノール類
重合体を得ることができる。
【0028】本発明では、例えば以下の実施例における
重合条件を採用した場合、通常分子量(数平均分子量)
が3,000〜20,000、分子量分布の指標である
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
(Mw/Mn)が1.70〜2.20である重合体が得
られる。
【0029】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限さ
れるものではない。
【0030】尚、以下の実施例及び比較例中、重合率
(即ち、モノマーの転化率)は重合溶液中の残存モノマ
ーを1HNMRにより分析して求めた。又、重合体の重
量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(溶媒:DMF、温度:
40℃)により測定した。更に、得られたMwとMnの
比を算出し、分子量分布の指標とした。
【0031】実施例1 乾燥したガラス製反応容器を窒素ガスで置換した。この
反応容器に溶媒としてアセトニトリル2.62mlを投
入し、続いてp−ビニルフェノール0.073g(0.
6ミリモル)、水0.65μl(0.036ミリモル)
及び4−メトキシ−α−メチルベンジルアルコール1.
68μl(0.012ミリモル)を順次添加した。この
混合液を攪拌しながら系内の温度を−15℃にした後、
三フッ化ホウ素ジエチルエーチル錯体のアセトニトリル
溶液0.3ml(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体
として0.006ミリモル)を加え、重合を開始した。
時間の経過と共に、順次系内から重合溶液をサンプルと
して採取しながら、100秒後まで重合を続けた。各サ
ンプルは、アンモニア性メタノールで後処理した後、1
HNMR分析及びGPC測定を行った。
【0032】各サンプルの転化率、Mw、Mn及びMw
/Mnは表1に示すとおりであった。表1の転化率のデ
ータとMnのデータの関係を、図1にグラフで示す(図
1における点線部分)。
【表1】
【0033】実施例2 実施例1において、重合開始から100秒後、再度p−
ビニルフェノールのアセトニトリル溶液0.5ml(p
−ビニルフェノール0.6ミリモル)を添加し、更に6
分間重合反応を続けた。
【0034】反応生成物を実施例1と同様に採取し、後
処理したサンプルの1HNMR分析及びGPC測定を行
った。結果は表2のとおりであった。表2の転化率のデ
ータとMnのデータの関係を図1において実線部分とし
て示す。
【表2】
【0035】実施例2からわかるように、p−ビニルフ
ェノールの追加によって、転化率及びMnが更に増大
し、又、実施例1及び実施例2の実験を通じ、転化率と
共にMnが増大しており、このことから本発明の重合開
始剤は、明らかにリビング重合性を示す。
【0036】実施例3 実施例1において、4−メトキシ−α−メチルべンジル
アルコールの代わりに、1−エトキシ−1−(p−メト
キシフェニル)エタンを用いた以外は、実施例1と同様
にして重合を行った。そして280秒後まで、実施例1
と同様にサンプルの採取と後処理を行い、次いでこれら
のサンプルについて1HNMR分析及びGPC測定を行
った。結果は表3のとおりであった。
【表3】
【0037】実施例4 実施例3において、重合開始から280秒後、再度p−
ビニルフェノールのアセトニトリル溶液0.5ml(p
−ビニルフェノール0.6ミリモル)を加えて、3分間
重合反応を続けた。
【0038】採取したサンプルの1HNMR分析及びG
PC測定の結果は、表4のとおりである。p−ビニルフ
ェノールの追加によって、転化率及びMnが更に増大し
たことがわかる。
【表4】
【0039】比較例1 実施例1において、4−メトキシ−α−メチルベンジル
アルコールの代わりに、アルコールのヒドロキシ部分が
塩素原子で置換され、4−メトキシ−α−メチルベンジ
ルアルコールと類似構造をもつ1−クロロ−1−(p−
メトキシフェニル)エタンを用いた。その他の条件、方
法を実施例1と同様にして重合を行った。結果を表5に
示す。
【表5】
【0040】表5から明らかなように、本発明の重合開
始剤における第二成分としての4−メトキシ−α−メチ
ルベンジルアルコールの代わりに、1−クロロ−1−
(p−メトキシフェニル)エタンを用いた場合、実施例
に比べ重合速度が遅い上に、90分後には分子量の低下
とMw/Mnの増大が見られた。即ち、分子量の低下と
Mw/Mnの増大は、この開始剤を用いた場合に連鎖移
動反応が起こることと、それに伴い分子量分布の拡大が
起こることを示している。
【0041】
【発明の効果】本発明のビニルフェノール又はビニルフ
ェノール誘導体の重合用開始剤は、重合速度が速く、し
かも、リビング重合性に優れているものである。そのた
め、この開始剤をビニルフェノール又はビニルフェノー
ル誘導体のカチオン重合に使用した場合、広い範囲の分
子量と比較的狭い分子量分布の重合体を得ることができ
る。又、リビング重合性に優れているため、ブロック共
重合体やマクロモノマーの製造に適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び実施例2における、転化率のデー
タと数平均分子量Mnのデータの関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J015 DA14 EA03 4J100 AB07P BA03P BA04P BA05P BA06P BA14P CA01 FA12 JA01 JA37 JA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ
    素錯体、(B)一般式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は水素原子又はアルキル基を示す)
    で表される化合物、及び、(C)水からなることを特徴
    とするビニルフェノール又はビニルフェノール誘導体の
    重合用開始剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)で表される化合物が、4−
    メトキシ−α−メチルベンジルアルコール、4−ヒドロ
    キシ−α−メチルベンジルアルコール又は1−エトキシ
    −1−(p−メトキシフェニル)エタンである請求項1
    に記載の重合用開始剤。
  3. 【請求項3】 有機溶媒中でビニルフェノール又はビニ
    ルフェノール誘導体を重合する方法において、(A)三
    フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体、(B)一般式
    (1) 【化2】 (式中、R1及びR2は水素原子又はアルキル基を示す)
    で表される化合物、及び、(C)水からなる重合用開始
    剤を用いることを特徴とする重合方法。
  4. 【請求項4】 ビニルフェノール又はビニルフェノール
    誘導体が、p−ビニルフェノール、p−アルコキシスチ
    レン又はp−アセトキシスチレンである請求項3に記載
    の重合方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)で表される化合物が、4−
    メトキシ−α−メチルベンジルアルコール、4−ヒドロ
    キシ−α−メチルベンジルアルコール又は1−エトキシ
    −1−(p−メトキシフェニル)エタンである請求項3
    に記載の重合方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005507029A (ja) * 2001-10-30 2005-03-10 バイエル・インコーポレーテツド イソブチレンに基づくポリマーの製造のための遷移金属不含の開始剤
WO2006088147A1 (ja) * 2005-02-18 2006-08-24 Sanyo Chemical Industries, Ltd. ビニルフェノール重合体の製造方法

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