JP2000317706A - 被覆工具 - Google Patents

被覆工具

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JP2000317706A
JP2000317706A JP30660699A JP30660699A JP2000317706A JP 2000317706 A JP2000317706 A JP 2000317706A JP 30660699 A JP30660699 A JP 30660699A JP 30660699 A JP30660699 A JP 30660699A JP 2000317706 A JP2000317706 A JP 2000317706A
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wear
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cutting
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治世 福井
Hisanori Ohara
久典 大原
Yasuhiro Yamamoto
泰弘 山本
Kazuo Noguchi
和男 野口
Makoto Setoyama
誠 瀬戸山
Takaya Ishii
孝也 石井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寿命が長い被覆工具を提供する。 【解決手段】 ドリル471は、基材474と、その基
材474の上に形成された(Ti、Al)Nを含む耐摩
耗性被膜475とを備える。耐摩耗性被膜475の表面
において横寸法が24μmで縦寸法が18μmの矩形の
表面領域を任意に3ヶ所選び、その3ヶ所で耐摩耗性被
膜形成時に不可避的に発生した高さ0.5μm以上の突
起の個数の合計値が15以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基材の上に被膜
を形成した被覆工具に関し、特に、その表面に耐摩耗性
被膜を形成したドリル、エンドミル、フライス加工用ま
たは旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、
リーマ、タップなどの切削工具、その表面に耐摩耗性被
膜を形成した金属プレス加工用、金属鍛造用、ダイキャ
スト用、プラスチック成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、ドリルにおいて穴開け加工をする場合には、切削中
に被削材とドリルとの界面に切削油剤を供給することが
一般に行なわれている。この切削油剤は切削加工中にお
ける工具と被削材の界面の潤滑性向上、工具の冷却、切
屑の排出促進に大きな効果を持っており、近年における
切削能力の向上に大きく寄与してきた。
【0003】しかし、潤滑性を向上させる目的で切削油
剤中に添加されている硫黄やリンや塩素などの極圧添加
剤が、切削加工現場における作業環境の悪化、工場周辺
の環境汚染、使用済み切削油剤の廃棄処理に伴う有害物
質の飛散、廃棄処理費用問題などをもたらしてきた。
【0004】ある調査では、切削加工においては、切削
油剤関連費用が工具費を大幅に上回り、生産加工費全体
のうちの15〜30%を上回るとも言われている。
【0005】このような背景の下、切削油剤を減らして
も寿命や切削能率が低下しない切削工具の開発が強く求
められている。
【0006】なお、種々の切削加工の中でも、旋削加
工、フライス加工の分野では切削油剤の削減に伴う技術
的問題が比較的少なく乾式化が進んでいるといえる。し
かしながら、穴開け加工においては、乾式化はずいぶん
と遅れているのが現状である。
【0007】ドリルを用いた加工においては、切削油剤
は、ドリルの逃げ面およびすくい面と被削材との間に薄
い膜を形成するため潤滑効果を発揮する。また、切削の
摩擦熱を吸収して、ドリルの刃先を冷却するという効果
を有する。これら2つの効果により、ドリルの刃先、特
に、逃げ面の摩耗を防ぐことができる。
【0008】また、切削油剤はドリルの刃先と被削材と
の間の潤滑効果を有するので、加工穴の表面が加工硬化
を起こすことが少ない。さらに、ドリルを用いた加工に
おいては、ドリルの刃先が被削材内に深く入り込むた
め、ドリルの溝を通して切屑を排出する必要がある。こ
こで、潤滑油剤は、この溝の表面に膜を作り切屑がスム
ーズに排出される効果も果たす。
【0009】そのため、切削油剤を使用しないと、上述
の効果が達成できなくなり、逃げ面の摩耗の増大による
工具寿命の低下、加工穴の加工硬化による穴質の低下、
切屑の流出抵抗の増大によるドリルの折損等の問題が発
生することが考えられる。
【0010】エンドミル、フライス加工用および旋削用
刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タ
ップなどの切削工具では、工具の損傷を防止する技術に
ついての開発が進められている。
【0011】この損傷は、主として摩耗と欠損に大別で
きる。摩耗は大きく分けると(1)機械的な摩擦摩耗に
よるものと、(2)高温での酸化や被削材との拡散など
によって生じる熱的摩耗に分類される。いずれの摩耗
も、切削速度や送り速度が大きくなって工具の刃先温度
が高くなると著しくなる。
【0012】欠損は刃先にかかる大きな切削抵抗や機械
的、熱的な衝撃によって起こり、高送り切削や断続切削
で顕著に現われる。
【0013】従来から、これらの損傷を低減させるため
に、WC基超硬合金、サーメット、セラミックス、高速
度鋼などの切削工具の硬質基材の表面には、硬質被覆層
として、PVD法(物理的気相蒸着法)やCVD法(化
学的気相蒸着法)によりチタンの炭化物、窒化物、炭窒
化物またはアルミニウムの酸化物を単層または複層形成
することがよく知られている。
【0014】しかし、上記の切削工具においても、
(1)加工能率を一層向上させるために切削速度がより
高速になりつつあること、(2)切削油剤削減のための
ドライ加工化が進みつつあることから、工具刃先温度は
ますます高温になる傾向がある。そのため、工具材料に
要求される特性は一層厳しくなっている。
【0015】そこで、たとえば特公平5−67705号
公報に開示されているように、組成が(TixAl1-x
(Ny1-y)(ただし、0.56≦x≦0.75、0.
6≦y≦1)で表わされるTiAl系の被膜が提案され
ている。通常のTiN膜では酸化開始温度が600℃程
度であるが、このTiAl系被膜を用いると、酸化開始
温度が850℃まで向上する。これにより、高温での酸
化を抑制できることになる。
【0016】しかしながら、この技術では、被膜の表面
粗さや基材と被膜との密着性に関しては何ら改善されて
いない。被膜の表面粗さが大きく、被膜の表面に突起が
多く存在すれば、被膜の表面粗さが大きくなり滑り性や
焼付き性が悪化する。また、被膜の表面に硬度が高い突
起が存在すれば、加工後の被削材の表面仕上げ状態も損
なわれる。
【0017】また、被膜と基材との密着性が悪ければ、
たとえば耐酸化性に優れる被膜であったとしても切削工
具寿命が短くなるという問題がある。
【0018】金属プレス加工用、金属鍛造用、ダイキャ
スト用、プラスチック成形用などの金型技術も年々急速
に進歩している。その発展は金型製作技術によるところ
が大きく、今後も金型の高精度、高強度、高寿命および
低価格化の傾向が一段と増していくものと考えられる。
そこで、適切な金型基材の選定や金型表面被覆処理技術
などは上記要求を満たす上で非常に重要となってきてい
る。
【0019】従来、金型の寿命を向上させるためには、
耐摩耗性や耐焼付き性などに優れる拡散浸透法やCVD
法(化学的気相蒸着法)が広く用いられてきた。しか
し、これらの処理方法では非常に高温で処理するため、
寸法精度や歪みなどに問題があり、近年、高精度の金型
を製造する場合には、これらの方法は必ずしも好ましい
ものではなかった。
【0020】しかし、温度200℃以下の比較的低温で
処理することが可能なPVD法(物理的気相蒸着法)の
技術が急速に発展した。その中でも、特にTiN被膜は
切削工具関連の技術から発展してきた。この被膜は密着
性が高いため、金型用途への応用が極めて活発になって
きている。このPVD法を金型の製作に用いると有利な
点は、基材の変態による体積変化が起こらず、高精度の
金型が得られることおよび各種焼戻し温度の鋼基材やア
ルミニウム基材などにコーティングすることが可能であ
る点である。
【0021】しかし、最近切削工具関連の技術において
指摘されているように、TiN膜は酸化開始温度が60
0℃と低く、過酷な使用条件下では耐熱性に問題があっ
た。
【0022】そこで、上記公報に記載されたTiAl系
被膜を金型に用いることにより酸化開始温度を850℃
まで向上させることができる。
【0023】しかしながら、このような被膜でも、被膜
表面の表面粗さや基材との密着性は向上していない。被
膜の表面に突起が多く存在する場合には表面粗さが大き
くなって滑り性や焼付き性が低下するとともに突起およ
び突起が脱落して凹部となった部分が腐食の起点となる
ため耐食性も損なわれる。また、被膜の密着性が低けれ
ば金型寿命も短くなる。
【0024】そこで、この発明は、上述のような問題点
を解決するためになされたものであり、この発明の1つ
の局面に従った目的は、寿命が長い被覆工具を提供する
ことである。
【0025】また、この発明の別の局面に従った目的
は、切削油剤を削減しても寿命が長く、加工孔の品質が
低下せず、折損を防ぐことができるドリルを提供するこ
とである。
【0026】また、この発明のさらに別の局面に従った
目的は、耐摩耗性、滑り性、焼付き性、被削材の加工精
度(表面仕上げ状態)などが高いエンドミル、フライス
加工用および旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯
切工具、リーマ、タップなどの切削工具を提供すること
である。
【0027】この発明のさらに別の局面に従った目的
は、耐摩耗性、耐食性、滑り性、焼付き性などが高い金
属プレス加工用、金属鍛造用、ダイキャスト用、プラス
チック成形用などの金型を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のド
リル、エンドミル、チップなどの切削工具、金属プレス
用、金属鍛造用の金型などにおいて、種々の問題を解決
するためにさまざまな研究を行なった。その結果、低温
でも被覆可能なPVD法によって、耐酸化性を持たせな
がら耐摩耗性被膜を非常に平滑な状態で密着性よく基材
表面に被覆することが必要であるとの知見を得た。
【0029】また、ドリルの刃先、エンドミル、フライ
ス加工用および旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、
歯切工具、リーマ、タップなどの切削工具の刃先の摩耗
や金属プレス加工用、金属鍛造用、ダイキャスト用、プ
ラスチック成形用などの金型表面の摩耗を防止するため
には、特に硬い材料からなる膜を形成する必要がある。
さらに、これらの表面での潤滑性を発揮させるために
は、この被膜と被削材との間に何らかの潤滑剤を介在さ
せる必要がある。
【0030】また、ドリルにおいては、切屑を効率よく
排出させるためには、ドリルの溝に切削油剤が存在しな
くても、切屑が溝の表面に引っ掛からない程度の高い平
坦性が溝の表面に要求される。
【0031】上述の知見に基づいてなされた、この発明
に従った被覆工具は、基材と、その基材の上に形成され
た(Ti、Al)Nを含む耐摩耗性被膜とを備える。耐
摩耗性被膜の表面において横寸法が24μmで縦寸法が
18μmの矩形の表面領域を任意に3ヶ所選び、その3
ヶ所で高さ0.5μm以上の突起の個数の合計値が15
以下である。
【0032】このような被覆工具においては、耐摩耗性
被膜は(Ti、Al)Nを含む。この(Ti、Al)N
は極めて硬いため、被覆工具の耐摩耗性が向上する。そ
のため、たとえばドリルやフライスなどの切削工具で
は、逃げ面も摩耗を防ぎ、工具寿命を長くすることがで
きる。また、金型では、被削材と接触する面の摩耗を防
ぎ、工具寿命を長くすることができる。また、(Ti、
Al)Nの表面は切削加工中または金型加工中に酸化さ
れて、この表面にアルミナ(Al23)が生成する。こ
のアルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を
向上させる。
【0033】これにより、たとえば被覆工具をドリルと
して用いた場合には、加工孔の表面での表面硬化が起こ
ることが少ない。そのため、加工孔の品質が向上する。
また、被覆工具を切削工具として用いた場合には、この
アルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を向
上させるため、滑り性が良くなる。さらに、被覆工具を
金型として用いた場合には、アルミナが被加工材と耐摩
耗性被膜との間の潤滑性を向上させるため、滑り性が向
上する。
【0034】また、この発明の別の局面に従った被覆工
具は、基材と、その基材の上に形成された(Ti、A
l)Nを含む耐摩耗性被膜とを備える。耐摩耗性被膜の
表面において横寸法が60μmで縦寸法が45μmの矩
形の表面領域で高さ0.5μm以上の突起の個数値が2
8以下である。
【0035】このような被覆工具においては、耐摩耗性
被膜は(Ti、Al)Nを含む。この(Ti、Al)N
は極めて硬いため、被覆工具の耐摩耗性が向上する。そ
のため、たとえばドリルやフライスなどの切削工具で
は、逃げ面も摩耗を防ぎ、工具寿命を長くすることがで
きる。また、金型では、被削材と接触する面の摩耗を防
ぎ、工具寿命を長くすることができる。また、(Ti、
Al)Nの表面は切削加工中または金型加工中に酸化さ
れて、この表面にアルミナ(Al23)が生成する。こ
のアルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を
向上させる。
【0036】これにより、たとえば被覆工具をドリルと
して用いた場合には、加工孔の表面での表面硬化が起こ
ることが少ない。そのため、加工孔の品質が向上する。
また、被覆工具を切削工具として用いた場合には、この
アルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を向
上させるため、滑り性が良くなる。さらに、被覆工具を
金型として用いた場合には、アルミナが被加工材と耐摩
耗性被膜との間の潤滑性を向上させるため、滑り性が向
上する。
【0037】この発明のさらに別の局面に従った被覆工
具は、基材と、その基材の上に形成された(Ti、A
l)Nを含む耐摩耗性被膜とを備える。耐摩耗性被膜の
表面において横寸法が60μmで縦寸法が45μmの矩
形の表面領域で高さ1.0μm以上の突起の個数が7以
下である。
【0038】このような被覆工具においては、耐摩耗性
被膜は(Ti、Al)Nを含む。この(Ti、Al)N
は極めて硬いため、被覆工具の耐摩耗性が向上する。そ
のため、たとえばドリルやフライスなどの切削工具で
は、逃げ面も摩耗を防ぎ、工具寿命を長くすることがで
きる。また、金型では、被削材と接触する面の摩耗を防
ぎ、工具寿命を長くすることができる。また、(Ti、
Al)Nの表面は切削加工中または金型加工中に酸化さ
れて、この表面にアルミナ(Al23)が生成する。こ
のアルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を
向上させる。
【0039】これにより、たとえば被覆工具をドリルと
して用いた場合には、加工孔の表面での表面硬化が起こ
ることが少ない。そのため、加工孔の品質が向上する。
また、被覆工具を切削工具として用いた場合には、この
アルミナが被加工材と耐摩耗性被膜との間の潤滑性を向
上させるため、滑り性が良くなる。さらに、被覆工具を
金型として用いた場合には、アルミナが被加工材と耐摩
耗性被膜との間の潤滑性を向上させるため、滑り性が向
上する。
【0040】また、耐摩耗性被膜は、複数層形成されて
いることが好ましい。さらに、耐摩耗性被膜の厚みは
0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0041】また、被覆工具は、基材と耐摩耗性被膜と
の間に形成された、チタンナイトライドを含む中間層を
さらに備えることが好ましい。
【0042】この場合、チタンナイトライドは、基材表
面と耐摩耗性被膜との両方に密着性が良いので、基材と
耐摩耗性被膜の密着性を一層向上させることができる。
そのため、耐摩耗性被膜が基材から剥がれることなく工
具の寿命をさらに向上させることができる。
【0043】さらに、中間層の厚みは0.05μm以上
1.0μm以下であることが好ましい。
【0044】また、突起の高さは走査型電子顕微鏡を用
いて得られた3次元的データをもとに算出されることが
好ましい。
【0045】さらに、基材は、WC基超硬合金、サーメ
ット、立方晶窒化ホウ素含有焼結体、セラミックス、ア
ルミニウム系合金および鉄系合金からなる群より選ばれ
た少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで、セラ
ミックスの例として、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ア
ルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素、炭化ホウ素および
ダイヤモンドを挙げることができる。さらに、鉄系合金
として、高速度鋼、ダイス鋼、ステンレス鋼を挙げるこ
とができる。
【0046】また、当該被覆工具は切削工具であること
が好ましい。さらに、切削工具は、切屑を排出するため
の溝がその表面に形成されたドリルであり、その溝に耐
摩耗性被膜が形成されていることが好ましい。この場
合、溝の表面において、高さが0.5μm以上の突起ま
たは高さが1.0μm以上の突起の個数が従来のドリル
に比べて少ないため、溝の表面は平滑である。そのた
め、耐摩耗性被膜の表面の摩擦抵抗が低減されるため、
この溝を通じて切屑がスムーズに排出されるので、ドリ
ルの折損を防止することができる。
【0047】また、ドリルは、切削油が存在しない乾式
条件下で使用されることが好ましい。
【0048】さらに、ドリルは、切削油を霧状に吹きつ
けるミスト潤滑条件下で使用されることが好ましい。
【0049】また、ドリルは、植物油を切削油として使
用したセミドライ条件下で使用されることが好ましい。
【0050】また、ドリルにおいて、被削材に近い先端
部分の溝の幅は、被削材から遠い根元部分の溝の幅より
も小さいことが好ましい。
【0051】この場合、ドリルの先端部での溝の幅を狭
めることによって、小さくカールした切屑が次々と生成
され、この小さな切屑が根元部の広い溝を通ってスムー
ズに排出される。そのため、ドリルの折損をさらに防止
することができる。
【0052】また、ドリルにおいて、被削材に近い先端
部分の溝の幅と、被削材から遠い根元部分の溝の幅とが
等しいことが好ましい。この場合、溝の幅が一定である
ため、ドリルを製造しやすくなり、低コストでドリルを
提供することができる。
【0053】また、切削工具は、エンドミル、フライス
加工用または旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯
切工具、タップおよびリーマから群より選ばれた1種で
あることが好ましい。この場合、被覆工具の表面におい
て、耐摩耗性被膜形成時に不可避的に発生した高さ0.
5μm以上の突起または高さ1.0μm以上の突起の個
数が従来の切削工具に比べて少ないため、切削工具の表
面は平滑である。そのため、耐摩耗性被膜の表面の摩擦
抵抗が低減し、被加工材の焼付きを防止することができ
る。さらに、従来、突起部が原因で損なわれていた被削
材の表面粗さを小さくすることができる。
【0054】また、当該被覆工具は金型であることが好
ましい。さらに、金型は金属プレス加工用金型、金属鍛
造用金型、金属ダイカスト用金型およびプラスチック成
形用金型からなる群より選ばれた1種であることが好ま
しい。この場合、金型表面において、耐摩耗性被膜形成
時に不可避的に発生した、高さが0.5μm以上の突起
または高さが1.0μm以上の突起の個数が従来の金型
に比べて少ないため、金型の表面が平滑である。そのた
め、耐摩耗性被膜の表面の摩擦抵抗が低減し、被加工材
の焼付きを防止することができる。さらに、従来、突起
部および突起が脱落した凹部が腐食の進行起点となって
いたが、突起が少なくなることで耐食性も向上する。
【0055】高さ0.5μm以上の突起および高さ1.
0μm以上の突起は耐摩耗性被膜形成時に不可避的に発
生したものであることが好ましい。
【0056】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
【0057】実施例1:切削工具(ドリル) (1) サンプルの作製 (i) 本発明品の作製 図1は、この発明の実施例で用いたドリルの基材を示す
図である。図1を参照して、ドリルの基材1は超硬合金
からなる。基材1の表面には2条のねじれ溝2が設けら
れている。
【0058】図2は図1中のX−X線に沿って見た断面
を示す図であり、図3は、図1中のY−Y線に沿って見
た断面を示す図である。図2を参照して、ドリルの先端
部1aでは、ねじれ溝2の角度Y1 とねじれ溝2のない
部分の角度X1 との比Y1 :X1 は0.6:1となって
おり、ねじれ溝2が狭くなっている。図3で示すドリル
の根元部分1bにおいては、ねじれ溝2の角度Y2 とね
じれ溝2が存在しない部分の角度X2 との比Y2 :X2
は1:1であり、ねじれ溝2が存在する部分と存在しな
い部分との角度が等しくなっている。つまり、ドリル1
の基材においては、ねじれ溝2は、先端部分1aで狭
く、根元部分1bで広いといえる。また、図1中の、点
Aから先端部分1aまででは、図2で示すような断面形
状であり、点Bから根元部分1bまでは図3で示すよう
な断面形状であり、点Aと点Bの間では、溝の幅が徐々
にあるいは段階的に変化している。
【0059】図4は、この発明で用いた成膜装置の模式
図である。本装置は特開平10−68071号公報に記
載された装置であり、平滑な表面状態の(Ti、Al)
Nを得るためのものである。図4を参照して、成膜装置
10は、チャンバ12と、主テーブル11と、支持棒1
3と、アーク式蒸発源14aおよび14bと、陰極16
aおよび16bと、可変電源としての直流電源20a、
20bおよび22と、陰極16aおよび16b付近にガ
スを供給するためのガス導入口24aおよび24bとを
備える。
【0060】チャンバ12は真空ポンプと連結されてお
り、チャンバ12内の圧力を変化させることが可能であ
る。チャンバ12内に主テーブル11と支持棒13とガ
ス導入口24aおよび24bと陰極16aおよび16b
が設けられている。
【0061】チャンバ12内に設けられた支持棒13は
主テーブル11を支持する。支持棒13内には回転軸が
設けられており、この回転軸が主テーブル11を回転さ
せる。主テーブル11上にドリルの基材1を保持するた
めの治具100が設けられている。支持棒13、主テー
ブル11および治具100は直流電源22の負極と電気
的に接続されている。直流電源22の正極はアースされ
ている。
【0062】チャンバ12の側壁には、アーク式蒸発源
14aと、そのアーク式蒸発源14aに接続された陰極
16aが取付けられている。アーク式蒸発源14aおよ
び陰極16aと向かい合うように、チャンバ12の側壁
にアーク式蒸発源14bと陰極16bが取付けられてい
る。
【0063】アーク式蒸発源14aおよび陰極16a
は、直流電源20aの負極と電気的に接続されている。
直流電源20aの正極はアースされ、かつチャンバ12
と電気的に接続されている。アーク式蒸発源14bおよ
び陰極16bは直流電源20bの負極と電気的に接続さ
れている。直流電源20bの正極はアースされ、かつチ
ャンバ12に電気的に接続されている。
【0064】アーク式蒸発源14aおよび14bは陰極
16aおよび16bとチャンバ12との間のアーク放電
によって陰極16aおよび16bを部分的に溶解させて
陰極物質を矢印18aおよび18bに示す方向に蒸発さ
せるものである。陰極16aおよび16bとチャンバ1
2との間には数十Vから数百V程度の電圧が印加され
る。陰極16aは、(Ti0.5 、Al0.5 )により構成
される。陰極16bはTiにより構成される。なお、
(Ti0.5 、Al0.5 )とは、TiとAlの原子数比が
0.5:0.5の化合物をいう。
【0065】陰極16aおよび16b付近にガスを供給
するガス導入口24aおよび24bには、矢印26aお
よび26bで示す方向からさまざまなガスが導入され
る。このガスの例として、アルゴン、窒素ガスまたは、
たとえばメタン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素
系ガスなどがある。
【0066】図5は、図4中の治具100を詳細に示す
図である。図6は、治具100の上面図である。図5お
よび図6を参照して、治具100は、主テーブル110
と、副テーブル121〜126、131、134、14
1および144と、回転軸151および152とを備え
る。
【0067】主テーブル110は、主テーブル11と接
続されており矢印110aで示す方向に回転する。主テ
ーブル110上には垂直方向に延びる回転軸151およ
び152が設けられている。また、図5および図6では
示さないが、主テーブル110上には他の4本の回転軸
も設けられている。
【0068】回転軸151には副テーブル121〜12
3が固定されている。それぞれの副テーブル121〜1
23には、図1〜3で示すドリルの基材1が取付けられ
ている。同様に、副テーブル124〜126も回転軸1
52に固定されており、それぞれの副テーブル124〜
126上には基材1が取付けられている。また、副テー
ブル131、134、141および144上にもドリル
の基材1が取付けられている。
【0069】すべての副テーブルは回転軸と固定されて
おり、回転軸151および152は支持棒13中の回転
軸とギアで接続されているため、矢印120aで示す方
向に回転する。そのため、副テーブル121〜126、
131、134、141および144も矢印120aで
示す方向に回転する。
【0070】これらの副テーブル121〜126、13
1、134、141および144上の基材1は、矢印1
10aで示す方向に大きく公転すると同時に、矢印12
0aで示す方向に小さく公転(自転)する。また、副テ
ーブル121〜126、131、134、141および
144の回転数は、主テーブル110の回転数よりも多
いことが好ましい。さらに、基材1を個々に回転させる
機構を付与してもよい。
【0071】まず、図4〜図6で示すような装置を用い
て、主テーブル110を矢印110aで示す方向に回転
させ、副テーブル121〜126、131、134、1
41、および146を矢印120aで示す方向に回転さ
せながら、真空ポンプによりチャンバ1内の圧力を1.
3×10-3Paとした。次に、ガス導入口24からアル
ゴンガスを導入してチャンバ12内の圧力を2.7Pa
に保持し、ヒータ(図示せず)により基材1を温度20
0℃に加熱した後、直流電源22の電圧を−1000V
とし、基材1の表面のクリーニングを行なった。その
後、アルゴンガスを排気した。
【0072】次に、直流電源22の電圧を−1000V
に維持したままチャンバ12内の圧力が6.6×10-1
Paとなるようにアルゴンガスの流量を調整した。直流
電源20bから100Aのアーク電流を供給し、陰極1
6bからチタンイオンを発生させた。これにより、チタ
ンイオンが基材1の表面をスパッタクリーニングし、基
材2の表面の強固な汚れや酸化膜が除去された。
【0073】その後、チャンバ12内の圧力が4Paと
なるようにガス導入口24aおよび24bから窒素ガス
を導入し、直流電源22の電圧を−200Vとした。す
ると、基材1の表面においてTiN膜の形成が始まっ
た。TiN膜が所定の厚み(0.3μm)に達するまで
この状態を維持した。これにより、中間層としてのTi
N膜を形成した。中間層の厚みとしては0.1μm以上
1μm以下であることが好ましい。
【0074】TiN膜の形成が終了すると、この状態の
ままアーク式蒸発源14aに100Aのアーク電流を供
給した。これにより、陰極16aを構成する(Ti
0.5 、Al0.5 )が矢印18aに示す方向に蒸発し、基
材1の表面に厚さが約6μmの耐摩耗性被膜としての
(Ti、Al)N膜を形成して本発明に従ったドリル
(本発明品)を作製した。なお、耐摩耗性被膜としての
(Ti、Al)N膜の厚みとしては、0.5μm以上1
5μm以下であることが好ましい。耐摩耗性被膜の厚さ
が0.5μm未満であれば被膜自体の強度が低下し、被
膜の耐摩耗性が低下する。また、被膜の厚さが15μm
を超えると膜の剥離や欠けが発生しやすくなる。また、
(Ti、Al)N膜の組成式を(TiX 、Al1-X )N
とした場合、0.3≦X≦0.8であることが好まし
い。そのため、上述の陰極16aの組成式を(TiX
Al1-X )とすると、0.3≦X≦0.8であることが
好ましい。
【0075】(ii) 従来品1の作製 従来品1の作製に当たっては、まず、図1〜3で示すよ
うな基材1を準備した。この基材1を図4で示す治具1
00にセットした。また、装置10においてガス導入口
24aおよび24bをチャンバ12の上部12aに一つ
にまとめて配置した。陰極16aをチタンとアルミニウ
ムの化合物(Ti0.5 、Al0.5 )で構成した。その他
の成膜装置10の構成については、本発明品の製造と同
様にした。
【0076】このような装置10を用いて、まず、主テ
ーブル110を矢印110aで示す方向に回転させ、か
つ、副テーブル121〜126、131、134、14
1および146をそれぞれ、矢印120aで示す方向に
回転させた。次に、基材1の表面を本発明品を製造した
のと同様の手法でアルゴンでスパッタクリーニングし、
その後、チタンでスパッタクリーニングした。さらに、
本発明品を製造した工程と同様に基材1の表面に厚さが
0.3μmのTiN膜を形成した。
【0077】TiN膜の形成が終了すると、直流電源2
0aから陰極16aへ−200V、100Aの電力を供
給して、陰極16aを構成する(Ti0.5 、Al0.5
を蒸発させた。また、チャンバ12の上部12aに設け
られたガス導入口から窒素ガスを導入した。これらが基
材1の表面で反応して基材1上のTiN膜上に膜厚が6
μmの(Ti0.5 、Al0.5 )N膜が得られた。これに
より、本発明品とほぼ同一の組成で窒素ガスの導入方法
が異なる耐摩耗性被膜を有する従来品1を得た。
【0078】(iii) 従来品2の作製 従来品2の作製に当たっては、陰極16aおよび陰極1
6bをチタンで構成した。その他の成膜装置10の構成
については従来品1の場合と同様とした。このような成
膜装置10において、まず、治具100に基材1を取付
け、本発明品を製造したのと同様にこれらを回転させ
た。次に、本発明品を製造したのと同様の工程で基材1
の表面をアルゴンでスパッタクリーニングし、その後、
チタンでスパッタクリーニングし、さらに、厚さが0.
3μmのTiN膜を形成した。
【0079】次に、TiN膜の形成が終了すると、直流
電源20aから陰極16aへ−200V、100Aの電
力を供給して、陰極16aからチタンイオンを発生させ
た。また、ガス導入口からメタンガス(CH4 )と窒素
ガスとを導入した。これらが反応して、基材1の表面の
TiN膜上に膜厚が6μmのTi(C0.5 、N0.5 )膜
を形成した。Ti(C0.5 、N0.5 )とは、TiとCと
Nの原子数比が1:0.5:0.5の化合物をいう。
【0080】これにより、陰極として(Ti0.5 、Al
0.5 )を用いた製造した(Ti0.5、Al0.5 )N膜を
有する本発明品、陰極として(Ti0.5 、Al0.5 )を
用いて製造された(Ti0.5 、Al0.5 )N膜を有する
従来品1および陰極としてTiを用いて製造されたTi
(C0.5 、N0.5 )膜を有する従来品2を得た。
【0081】(2) サンプルの表面粗さの評価 図7は、サンプルの表面粗さを評価するのに用いた3D
−SEM(three dimension scanning electron micros
cope)の模式図である。図7を参照して、SEM200
(エリオニクス社製ERA−800)は、電子銃210
と、電子レンズ221〜224と、検出器231〜23
4とを有する。
【0082】電子銃210は、電子線211を発射す
る。電子銃210から発射された電子線211は電子レ
ンズ221〜224によりさまざまにその進路を変えら
れて支持台250上に置かれた試料260に照射され
る。試料260に照射された電子線は、試料260から
2次電子を発生させる。この2次電子を検出器231〜
234が検出することにより、試料260の表面状態を
観察することができる。
【0083】図8は、図7で示す装置において、試料の
表面形状を測定する原理を示す模式図である。図8を参
照して、試料260の表面261aのうち、角度θ1
有する点261bおよび角度θ2 を有する点261dに
電子線211が照射されると、この点261bおよび2
61dから2次電子が発生する。
【0084】発生した2次電子のうち、検出器232に
検出される2次電子の出力信号をAとし、検出器233
に検出される2次電子の出力信号をBとする。すなわ
ち、検出器232に面した点261bでの信号強度は、
検出器232で大きく、その値に比べて検出器233で
小さくなる。一方、検出器233に面した点261dで
の信号強度は検出器233で大きく、頂点261eの影
響を受ける検出器232で極端に小さくなる。
【0085】点261bから発生する2次電子の信号強
度のうち、検出器232で検出される信号の強度を矢印
212の長さで示し、検出器233で検出される信号の
強度を矢印213の長さで示す。また、点261dで発
生する2次電子の信号強度のうち、検出器232で検出
される信号の強度を矢印241の長さで示し、検出器2
33で検出される信号の強度を矢印215の長さで示す
と、矢印215の長さが最も長く、次いで、矢印212
が長く、その次に、矢印213が長く、矢印214は一
番短い。
【0086】また、初期条件設定走査によりなるべく平
面(水平面)に等しい部分から発生して検出器232に
検出される2次電子の出力信号211aをAnとし、検
出器233に検出される2次電子の出力信号211bを
Bnとする。そして、図8中の左から右へ向かう方向を
Xとして、上述のA、B、An、Bnを求めれば、以下
の式に従い、X−Y平面内における角度θを求めること
ができる。
【0087】
【数1】
【0088】また、このようにして求めた試料の傾斜を
積分していくことにより、X軸方向の表面形状を測定す
ることができる。
【0089】このようなSEM200を用いて各サンプ
ルのねじれ溝2の表面に形成された耐摩耗性被膜の評価
を行なった。具体的には、本発明品、従来品1および従
来品2のねじれ溝2の表面から横寸法が80μmで縦寸
法が50μmの試料260を取出した。
【0090】本発明品、従来品1および2について、こ
れらの試料260を支持台250上に置き、SEM20
0でその測定倍率を2000倍として試料260上の横
寸法が60μmで縦寸法が45μmの矩形の領域での表
面形状を観察した。なお、このとき、電子線の走査は基
材2の研磨キズの影響を避けるため、研磨キズに平行に
行なった。
【0091】次に、得られた表面形状についてのデータ
をもとに、このデータを180個のデータに分割した。
すなわち、図9で示すように、SEMで観察した横寸法
が60μmで縦寸法45μmの領域上にライン1からラ
イン180で示す180本の線分を設定し、それぞれの
ライン1〜ライン180においてのX軸方向での表面の
高さを求めた。
【0092】図10は、ライン1におけるサンプルの表
面高さのプロファイル曲線300を示している。このプ
ロファイル曲線300では、極大点301〜308と、
極小点311〜317が存在する。極大点301〜30
8のうち、このプロファイル曲線300上をX軸方向に
沿って進んだ場合に極小点からスレッシュホールド高さ
(しきい値高さ)を通過して極大点に達し、さらにスレ
ッシュホールド高さを通過して極小点に達した場合に
は、その極大点をピークとした。
【0093】具体的には、極小点317から極小点31
6に達する場合には、プロファイル曲線300はスレッ
シュホールド高さTH5 およびTH4 を通過して極大点
307に達し、さらに、スレッシュホールド高さTH4
およびTH5 を通過して極小点316に達するので、極
大点307はピークとして数えた。
【0094】一方、極小点314から極小点313へ至
る場合には、極小点314から極大点307へ至る途中
ではプロファイル曲線300はスレッシュホールド高さ
TH 5 〜TH3 を通過するが、極大点304から極小点
313へ至るまではプロファイル曲線300はスレッシ
ュホールド高さを通過しないので極大点304はピーク
としては数えなかった。
【0095】このようにして、ライン1〜180につい
て所定のスレッシュホールド高さのピークがいくつある
かを算出した。
【0096】図11は、図10で示すプロファイル曲線
300において所定のスレッシュホールド高さのピーク
がいくつあるかを示すグラフである。図11を参照し
て、図10で示すプロファイル曲線300では、スレッ
シュホールド高さがTH5 のピークが3個、スレッシュ
ホールド高さTH4 〜TH1 のピークがそれぞれ1個ず
つあったことを示す。
【0097】これらの手法により、本発明品、従来品1
および従来品2について、横寸法が60μmで縦寸法が
45μmの領域でのピーク高さ(スレッシュホールド高
さ)の個数を調べた。
【0098】なお、このとき、高さが0の基準点として
は、各ラインの測定で得られたプロファイル曲線(ライ
ン1についてのプロファイル曲線)において、測定曲線
の中心線を基準高さ(高さ0μm)とし、その部分から
のスレッシュホールド高さを求めた。それらの結果を表
1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】表1より、本発明品では、低いスレッシュ
ホールド高さ(0.1755μm)の個数が多くなって
いることがわかる。一方、従来品1および2では、比較
的高いスレッシュホールド高さ(0.5264μm)の
個数が比較的多くなっていることがわかる。また、本発
明品では、高さが1μm以上の突起の個数が7個であっ
たのに対し、従来品1では18個、従来品2では17個
存在した。
【0101】これにより、本発明品のねじれ溝2の表面
は従来品1および従来品2のねじれ溝の表面より平滑で
あることがわかる。
【0102】また、本発明品、従来品1および2につい
て、SEMの観察の倍率を5000倍とし、横寸法が2
4μmで縦寸法が18μmの矩形の表面領域を任意に3
ヶ所(視野1〜視野3)選び、それぞれの視野において
図8で示す原理に従って表面の高さについてのデータを
得た。
【0103】その後、図12で示すように、それぞれの
視野を横方向に180分割し、それぞれのライン1〜ラ
イン180について図10で示すようなプロファイル曲
線を求め、この曲線からスレッシュホールド高さの個数
を求めた。それらの結果を表2〜表4に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】表2〜表4より、本発明品では、高さの高
い(1μm)のピークが合計で3個しか存在しないのに
対し、従来品1および従来品2では、高さが高い(1μ
m)のピークが多く存在することがわかる。これより、
本発明品のねじれ溝2の表面は従来品1および2のねじ
れ溝2の表面より平滑であることがわかる。
【0108】(3) サンプルの切削試験評価 乾式切削における切削動力の変化 上述の工程で製造したサンプルである本発明品、従来品
1および従来品2について、以下の条件で切削試験を行
ない、穴開け回数と、切削動力の関係について調べた。
【0109】被削材:SCM(JIS呼称)440 切削速度:V=70m/min 送り:f=0.7mm/回転 穴の深さ:d=32mm(止まり穴) 切削油剤:なし(完全乾式) ドリル:φ8mm超硬 この試験の結果を図13に示す。
【0110】図13より、本発明品では、穴開けを60
0回行なっても縦軸で示す切削動力はほぼ変化せず、一
定の切削動力で試験を続けることができた。また、本発
明品では、目標切削長である20mをクリアし、優れた
特性が得られた。
【0111】一方、従来品1および従来品2では、いず
れも2穴目で切削動力が急上昇したため、これ以上試験
を続けることができなくなった。
【0112】このデータから明らかなように、本発明品
では、切削油剤が存在しない完全乾式状態でも安定に切
削を続けることができるということがわかる。
【0113】 乾式深穴加工における被削材の加工硬
化について 乾式加工で懸念される加工穴の加工硬化についても評価
を行なった。試験の対象は、本発明品を乾式で使用した
もの、本発明品を湿式(切削油剤あり)で使用したもの
および比較品とした。なお、比較品として、本発明品と
同様の基材に本発明と同様のTiNの中間層を形成し、
さらに、その上に、本発明品と同様の厚さでVNからな
る耐摩耗性被膜を形成したものを用いた。なお、比較品
は、特開平10−237628号公報に記載された耐摩
耗性被膜を有するドリルである。
【0114】試験の条件は以下のとおりとした。 被削材:SCM(JIS呼称)440 切削速度:V=70m/min 送り:f=0.3mm/回転 深さ:d=40mm(止まり穴) ドリル:φ8mm超硬 この条件で穴を600個製造し、600穴目についての
穴表面からの距離と被削材の硬度との関係を調べた。そ
の結果を図14に示す。
【0115】図14より、本発明品を乾式で使用した場
合、本発明品を湿式で使用した場合とも穴表面に近い部
分で硬度は大幅に上昇していないことがわかる。一方、
比較品を乾式で使用した場合に穴表面からの距離が近い
部分ではその硬度が400Hvを超えており加工硬化が
生じていることがわかる。また、本発明品では、乾式で
使用した場合と湿式で使用した場合は、ほぼ同様の硬度
分布曲線が得られることがわかる。
【0116】これにより、本発明品は、比較品に比べて
被削材が加工硬化を起こしにくい優れたものであること
がわかる。
【0117】また、上述の条件で試験を行ない、1つ目
の穴と600個目の穴について、被削材の穴表面からの
距離と硬度との関係を調べた。その結果を図15に示
す。
【0118】図15より、本発明品を用いれば、1穴目
と600穴目についてほとんど硬度分布が変化していな
いことがわかる。
【0119】なお、加工穴の内面が加工硬化を生じる原
因としては、工具の切れ味が低下することによって発熱
したり被削材が強い応力を受けることがあると考えられ
る。比較品の場合に加工硬化層の発生が顕著であった原
因として、比較品に形成されたVN膜の耐摩耗性が本発
明品に比べてやや劣るため、切れ刃の摩耗が進行し、被
削材に強い応力が加わったためであると思われる。
【0120】これに対して、本発明品の場合は、600
回の穴開けの加工テスト中にほとんど工具表面が摩耗し
なかったため、最後まで切れ味が落ちることなく結果的
に加工硬化層の発生が1穴目と600穴目で変化しなか
ったものと思われる。
【0121】 再研磨・再コーティング時の切削性能
について 超硬合金製ドリルにおいては、使い捨てにされるケース
はほとんどなく、摩耗したドリル先端を再研磨して切れ
刃を再生し、さらにコーティングを再度施した上で再使
用されるケースが多い。本発明品においても、一度切削
試験に供した後にドリル先端部を再研磨・再コーティン
グしたものを切削長20mまで再度切削試験を行なっ
た。その結果、新品時と同様に切削長20mまで耐摩耗
性に問題はなく、新品同様に使用できることが確認され
た。
【0122】 ミスト潤滑セミドライ潤滑での評価 潤滑油が全く存在しない乾式状態だけではなく、潤滑油
剤を霧状に吹き付けるミスト潤滑状態や植物油を潤滑油
剤として使用したセミドライ条件での切削試験を行なっ
た。その場合でも、乾式条件と同様の結果が得られるこ
とがわかった。
【0123】実施例2:切削工具(チップ) (1) サンプルの作製 (i) 本発明品の作製 基材として、グレードがJIS呼称P30の超硬合金か
らなるチップであり、形状がJIS規格のSDKN42
のものを用意した。
【0124】この基材を図4で示す装置内に入れて所定
の治具により保持した。次に、図4〜6で示す装置にお
いて、主テーブル110を矢印110aで示す方向に回
転させ、副テーブル121〜126、131、134、
141および146を矢印120aで示す方向に回転さ
せながら、真空ポンプによりチャンバ12内を減圧させ
た。ヒータ(図示せず)により基材1を温度500℃に
加熱し、チャンバ12内の圧力が1.3×10-3Paと
なるまで真空引きを行なった。次に、ガス導入口24a
および24bからアルゴンガスを導入してチャンバ12
内の圧力を2.7Paに保持し、直流電源22の電圧を
徐々に上げながら−1000V(支持棒13の電位が−
1000V)とし、基材1の表面のクリーニングを10
分間行なった。その後、アルゴンガスを排気した。
【0125】次に、直流電源22の電圧を−1000V
に維持したまま、チャンバ12内にガス導入口24aお
よび24bを通して流量が100sccm(cm3
分)の窒素ガスを導入した。直流電源20bから80A
のアーク電流を供給し、陰極16bからチタンイオンを
発生させた。これにより、チタンイオンが基材1の表面
をスパッタクリーニングし、基材1の表面の強固な汚れ
や酸化膜が除去された。
【0126】その後、チャンバ12内の圧力が4Paと
なるようにガス導入口24aおよび24bから窒素ガス
を導入し、直流電源22の電圧を−200V(支持棒1
3の電位が−200V)とした。すると、基材1の表面
においてTiN膜の形成が始まった。TiN膜の厚みが
所定の厚み(0.3μm)に達するまでこの状態を維持
した。これにより、中間層としてのTiN膜を形成し
た。なお、この中間層の厚みとしては、0.1μm以上
1μm以下であることが好ましい。
【0127】TiN膜の形成が終了すると、この状態の
まま、アーク式蒸発源14aに95Aの電流を供給し
た。これにより、陰極16aを構成する(Ti0.5、A
0.5)が矢印18aで示す方向に蒸発し、基材1の表
面に厚さが約6μmの耐摩耗性被膜としての(Ti、A
l)N膜を形成して本発明に従った切削工具(チップ)
(本発明品)を作製した。なお、耐摩耗性被膜としての
(Ti、Al)N膜の厚みは0.5μm以上15μm以
下であることが好ましい。耐摩耗性被膜の厚さが0.5
μm未満であれば、耐摩耗性被膜の強度が低下し、被膜
の耐摩耗性が低下する。また、耐摩耗性被膜の厚さが1
5μmを超えると残留内部応力が増大し、被膜が剥離す
る。
【0128】さらに、(Ti、Al)Nの組成式を(T
x、Al1-x)Nとした場合、xは、0.3≦x≦0.
8で示す関係を満たすことが好ましい。そのため、陰極
16aの組成式を(Tix、Al1-x)とすると、xは
0.3≦x≦0.8で示す関係を満たすことが好まし
い。
【0129】(ii) 従来品1の作製 従来品1の作製にあたっては、まず、本発明品と同じ基
材を準備した。この基材を図4で示す治具100にセッ
トした。また、装置10において、ガス導入口24aお
よび24bをチャンバ12の上部12aに一つにまとめ
て配置した。陰極16aにチタンとアルミニウムの化合
物(Ti0.5、Al0.5)で構成した。
【0130】このような装置10を用いて、まず、主テ
ーブル110を矢印110aで示す方向に回転させ、か
つ副テーブル121〜126、134、141および1
46をそれぞれ矢印120aで示す方向に回転させた。
次に、基材1の表面を、本発明品を製造したのと同様の
手法でアルゴンガスでスパッタクリーニングし、その
後、チタンでスパッタクリーニングした。さらに、本発
明品を製造した工程と同様に基材1の表面に厚さが0.
3μmのTiN膜を形成した。
【0131】TiN膜の形成が終了すると、直流電源2
0aから陰極16aへ−200V、95Aの電力を供給
して陰極16aを構成する(Ti0.5 、Al0.5 )を蒸
発させた。また、チャンバ12の上部12aに設けられ
たガス導入口から窒素ガスを導入した。これらが基材1
の表面で反応して基材1の上のTiN膜上に厚さが6μ
mの(Ti0.5、Al0.5)N膜が得られた。これによ
り、本発明品とほぼ同一の組成で窒素ガスの導入方法が
異なる耐摩耗性被膜を有する従来品1を得た。
【0132】(iii) 従来品2の作製 従来品2の作製にあたっては、陰極16aおよび16b
をチタンで構成した。その他の装置10の構成について
は、従来品1の製造と同様とした。このような装置10
において、まず、治具100に基材1を取付け、本発明
品を製造したのと同様にこれらを回転させた。次に、本
発明品を製造したのと同様の工程で基材1の表面をアル
ゴンでスパッタクリーニングし、その後チタンでスパッ
タクリーニングし、さらに厚さが0.3μmのTiN膜
を形成した。
【0133】TiN膜の形成が終了すると、直流電源2
0aから陰極16aへ−200V、95Aの電力を供給
して陰極16aからチタンイオンを発生させた。また、
チャンバ12の容器12aに設けられたガス導入口から
メタンガス(CH4)と窒素ガスを導入した。これらが
反応して基材1の表面のTiN膜上に厚さが6μmのT
i(C0.5、N0.5)膜を形成した。
【0134】以上により、陰極として(Ti0.5、Al
0.5)を用いて製造した(Ti0.5、Al0.5)N膜を有
する本発明品、陰極として(Ti0.5、Al0.5)を用い
て製造された(Ti0.5、Al0.5)N膜を有する従来品
1および陰極としてTiを用いて製造されたTi(C
0.5、N0.5)膜を有する従来品2を得た。
【0135】(2) サンプル表面粗さの評価 実施例1の「(2)サンプルの表面粗さの評価」の欄で
記載したのと同様の手法で、上述の工程で製造した本発
明品、従来品1および従来品2の表面粗さを測定した。
その結果、表1〜表4で示すデータと同様のデータが得
られた。
【0136】(3) 切削工具寿命評価 上述の工程で製造したサンプルである本発明品、従来品
1および従来品2のそれぞれについて、実際に被削材を
熱間ダイス鋼(JIS呼称SKD61)として、正面フ
ライス加工を実施し、切削工具寿命評価を行なった。切
削条件は、切削速度が50m/min、送りが0.3m
m/刃、切込みが2mmでドライ条件とした。なお、寿
命の判定は、切削長15mでの逃げ面摩耗幅により行な
った。その寿命評価結果を表5に示す。
【0137】
【表5】
【0138】表5から明らかなように、本発明品では、
切削工具寿命が大幅に向上したことが確認された。
【0139】図16は、本発明品であるチップを有する
フライスの平面図、図17は、図16で示すフライスで
用いられるチップの平面図、図18は、図17中のA−
A線に沿って見た断面を示す図である。
【0140】図16を参照して、フライス401は、フ
ライス本体402と、チップ403とを有する。フライ
ス本体402の外周部に複数のチップ403が取付けら
れている。
【0141】図17および図18を参照して、チップ4
03は、基材404と、耐摩耗性被膜405とを有す
る。耐摩耗性被膜405は、(Ti0.5、Al0.5)Nか
らなる。チップ403の基材404が耐摩耗性被膜40
5に覆われていた。
【0142】実施例3:切削工具(リーマ) 実施例2と全く同じ方法により、リーマ(JIS呼称K
10超硬合金)にそれぞれコーティングを行ない、本発
明品、従来品1および従来品2を得た。なお、本発明品
は、実施例2の本発明品と同じ耐摩耗性被膜を有し、従
来品1は、実施例2の従来品1と同じ耐摩耗性被膜を有
し、従来品2は実施例2の従来品2と同じ耐摩耗性被膜
を有する。
【0143】次に、これらのサンプルを用いて、実際に
鋳鉄の穴あけ加工を行ない、その寿命評価を行なった。
切削条件は、リーマ径が15mm、切削速度が10m/
min、送りが0.4mm/刃、切込みが0.15mm
とし、ウェット条件とした。なお、寿命の判定は、被加
工材の寸法精度が規定の範囲を外れるまでの加工個数と
した。その結果を表6に示す。
【0144】
【表6】
【0145】表6より、本発明のリーマの寿命が大きく
向上していることが確認された。図19は、この発明に
従って得られたリーマの平面図であり、図20は、図1
9中のB−B線に沿って見た断面を示す図である。図1
9および図20を参照して、リーマ411は、基材41
2と、耐摩耗性被膜413とを有する。耐摩耗性被膜4
13の組成は(Ti0.5、Al0.5)Nである。基材41
2を覆うように耐摩耗性被膜413が形成されている。
【0146】実施例4:切削工具(エンドミル) 実施例2と全く同じ方法により、エンドミルの基材(J
IS呼称K10超硬合金)にコーティングを行ない、サ
ンプルである本発明品、従来品1および従来品2を得
た。本発明品は、実施例2の本発明品と同じ耐摩耗性被
膜を有し、従来品1は、実施例2の従来品1と同じ耐摩
耗性被膜を有し、従来品2は実施例2の従来品2と同じ
耐摩耗性被膜を有する。
【0147】次に、これらのサンプルを用いて実際に鋳
鉄のエンドミル側面削り(切削幅15mm)加工を行な
い、その寿命評価を行なった。切削条件は、切削速度が
75m/min、送りが0.02mm/刃、切込みが2
mmでウェット条件とした。なお、寿命の判定は、被加
工材の寸法精度が規定の範囲を外れた時点とした。その
評価結果を表7に示す。
【0148】
【表7】
【0149】表7より、本発明のエンドミルの寿命が大
きく向上していることが確認された。
【0150】図21は、上述の工程で得られた本発明品
のエンドミルの平面図であり、図22は、図21中のC
−C線に沿って見た断面を示す図である。
【0151】図21および図22を参照して、エンドミ
ル421は、基材422と、耐摩耗性被膜423により
構成されている。耐摩耗性被膜423の組成は(Ti
0.5、Al0.5)Nである。基材422を覆うように耐摩
耗性被膜423が形成されている。
【0152】実施例5:切削工具(旋削用刃先交換型チ
ップ) 実施例2と全く同じ方法により、旋削用刃先交換型チッ
プ(JIS呼称P10超硬合金、刃先形状は、すくい角
8°、逃げ角6°)に耐摩耗性被膜のコーティングを行
ない、本発明品、従来品1および従来品2を得た。本発
明品は、実施例2で示す本発明品と同じ耐摩耗性被膜を
有し、従来品1は、実施例2の従来品1と同じ耐摩耗性
被膜を有し、従来品3は実施例2の従来品2と同じ耐摩
耗性被膜を有する。
【0153】次に、これらのサンプルを用いて、実際に
鋼の中仕上げ旋削加工を行ない、その寿命評価を行なっ
た。切削条件は、切削速度が180m/min、送りが
0.8mm/刃とした。なお、寿命の判定は、被加工材
の寸法精度が規定の範囲を外れた時点とした。その寿命
評価結果を表8に示す。
【0154】
【表8】
【0155】表8より、本発明のチップの寿命が大きく
向上していることが確認された。図23は、上述の工程
で得られた刃先交換型チップの斜視図、図24は、図2
3で示すチップの平面図、図25は、図24中のD−D
線に沿って見た断面を示す図である。
【0156】図23を参照して、刃先交換型のチップ
(スローアウェイチップ)431は、シャンク432に
取付けられる。チップ431の中央部には孔が形成され
ており、この孔にボルト435を嵌め込み、ボルト43
5の先端をシャンク432に差し込んでねじで固定す
る。また、チップ431は、ねじ433とクランプ43
4とによりシャンク432に固定される。
【0157】図24および図25を参照して、チップ4
31は基材437と耐摩耗性被膜438とを有する。耐
摩耗性被膜の組成は(Ti0.5、Al0.5)Nである。耐
摩耗性被膜を形成する際に基材437の底面を治具と接
触させるため、基材437の底面には耐摩耗性被膜43
8の形成されない部分が存在する。
【0158】実施例6:金型(温間鍛造用の金型パン
チ) 基材として、温間鍛造用の金型パンチと表面粗さ測定用
平板(JIS呼称SKH51からなる鋼、ロックウェル
Cスケール硬度53)を用意した。実施例2と同じ方法
により、この金型パンチにコーティングを行ない、サン
プルである本発明品、従来品1および従来品2を得た。
本発明品は、実施例2の本発明品と同じ耐摩耗性被膜を
有し、従来品1は実施例2の従来品1と同じ耐摩耗性被
膜を有し、従来品2は実施例1の耐摩耗性被膜と同じ耐
摩耗性被膜を有する。
【0159】これらのサンプルについて、実際に、温間
鍛造時の金型寿命評価を行なった。鍛造時には、金型の
表面は温度700℃まで加熱されていた。なお、寿命の
判定は、被加工材の寸法精度が規定の範囲から外れた時
点を金型の寿命とした。寿命評価結果を表9に示す。
【0160】
【表9】
【0161】表9より、本発明品では、従来品と比較し
て金型寿命が大きく向上していることがわかる。
【0162】図26は、上述の工程で得られたパンチの
平面図であり、図27は、図26中のE−E線に沿って
見た断面を示す図である。
【0163】図26および図27を参照して、金型パン
チ441は、基材442と耐摩耗性被膜443とを有す
る。耐摩耗性被膜443は、基材442を覆うように形
成されており、耐摩耗性被膜443の組成は(T
0.5、Al0.5)Nである。
【0164】実施例7:金型(アルミニウム合金鋳造用
鋳抜きピン) まず、アルミニウム合金鋳造用鋳抜きピンの基材(JI
S呼称SKD61の鋼、ロックウェルCスケール硬度5
1)を用意した。この基材にコーティングを行ない、サ
ンプルである本発明品、従来品1および従来品2を得
た。本発明品は、実施例2の本発明品と同じ耐摩耗性被
膜を有し、従来品1は実施例2の従来品1と同じ耐摩耗
性被膜を有し、従来品2は実施例2従来品2と同じ耐摩
耗性被膜を有する。
【0165】次に、これらのサンプルを用いて、実際に
アルミニウム合金の鍛造時に鋳抜きピンの寿命評価を行
なった。鋳造方法は重力鋳造とし、鋳抜きピンの表面の
温度は670℃まで加熱されていた。なお、被加工材の
寸法精度が規定の範囲を外れた時点を寿命とした。寿命
評価結果を、表10に示す。
【0166】
【表10】
【0167】表10より、従来品と比較して、本発明の
鋳抜きピンの寿命が大きく向上していることが確認され
た。
【0168】図28は、上述の工程で得られた鋳抜きピ
ンの平面図であり、図29は、図28中のF−F線に沿
って見た断面を示す図である。
【0169】図28および図29を参照して、鋳抜きピ
ン451は、基材452と耐摩耗性被膜453とにより
構成される。耐摩耗性被膜453の材質は(Ti0.5
Al0 .5)Nである。基材452の表面を覆うように耐
摩耗性被膜453が形成されている。
【0170】実施例8 実施例2と全く同じ方法により、JIS呼称SKD11
の鋼(ロックウェルCスケール硬度58)の平板のそれ
ぞれにコーティングを行ない、サンプルである本発明
品、従来品1および従来品2を得た。本発明品は、実施
例2の本発明品と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品1は
実施例2の従来品1と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品
2は実施例2の従来品2と同じ耐摩耗性被膜を有する。
【0171】次に、これらのサンプルを用いて実際に塩
水噴霧試験を行なった。試験条件はJIS呼称Z237
1に準じて行なうもので、5重量%のNaCl水溶液を
温度35℃の条件で1000時間サンプルに吹き付ける
方法とした。その結果を表11に示す。
【0172】
【表11】
【0173】表11より、本発明品では表面に変化が見
られないものの、従来品1および従来品2では膜が部分
的に剥離し、基材の腐食が生じていることがわかった。
【0174】実施例9:金型(プラスチック射出成形機
用スクリュー) JIS呼称SKD11(ロックウェルCスケール硬度5
8)の鋼からなるプラスチック射出成形機用スクリュー
の基材を用意した。この基材表面に、実施例2と同じ方
法でコーティングを行ない、サンプルである本発明品、
従来品1および従来品2を得た。本発明品は実施例2の
本発明品と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品1は、実施
例2の従来品1と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品2は
実施例2の従来品2と同じ耐摩耗性被膜を有する。
【0175】次に、これらのサンプルを用いて、プラス
チック射出成形を行ない、スクリューの寿命を評価し
た。その結果を表12に示す。
【0176】
【表12】
【0177】表12より、本発明品では樹脂の離型性が
良く、樹脂焼けも減少するので、従来品1および2の寿
命に比べて約5倍の寿命の延長が確かめられた。
【0178】図30は、上述の工程で得られたプラスチ
ック射出成形機用のスクリューの平面図であり、図31
は、図30中のG−G線に沿って見た断面を示す図であ
る。
【0179】図30および図31を参照して、スクリュ
ー461は、基材462と、耐摩耗性被膜463とを備
える。耐摩耗性被膜463の組成は(Ti0.5、A
0.5)Nである。基材462の表面を覆うように耐摩
耗性被膜463が形成されている。
【0180】実施例10:切削工具(ドリル) 実施例10では、実施例1で製造したドリルにおいて、
ねじれ溝の角度とねじれ溝のない部分の角度との比がド
リルの全長にわたって一定の基材を準備した。この基材
の表面に、実施例1と同様の方法で耐摩耗性被膜のコー
ティングを行ない、サンプルである本発明品、従来品1
および従来品2を得た。本発明品は、実施例1の本発明
品と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品1は実施例1の従
来品1と同じ耐摩耗性被膜を有し、従来品2は、実施例
1の従来品2と同じ耐摩耗性被膜を有する。
【0181】次に、これらのサンプルを用いて、実施例
1と同様のさまざまな試験を行なった。その結果、実施
例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0182】図32は、上述の工程でえられたドリルを
示す図であり、図33は図32中のH−H線に沿って見
た断面を示す図でる。図32および33を参照して、ド
リルの基材474は超硬合金からなる。基材474の表
面には2条のねじれ溝472が設けられている。ドリル
の先端部471aでは、ねじれ溝472の角度Y3 とね
じれ溝472のない部分の角度X3 との比Y3 :X3
0.8:1となっている。ドリルの根元部分471bに
おいては、ねじれ溝472の角度Y3 とねじれ溝472
が存在しない部分の角度X3 との比Y3 :X3 は0.
8:1である。つまり、ドリル1の基材においては、ね
じれ溝472の幅は一定である。
【0183】以上、この発明について説明したが、この
発明は、上記の工具だけでなく、他の形状のエンドミ
ル、フライス加工用および旋削用刃先交換型チップ、メ
タルソー、歯切工具、リーマ、タップなどの切削工具に
適用することができる。また、他の形状の金属プレス加
工用、金属鍛造用、ダイキャスト用、プラスチック成形
用などの金型にも適用することができる。
【0184】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。たとえば、耐摩耗性被膜を複数層設けてもよく、被
膜中のTiとAlの割合をさまざまに設定してもよい。
本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲
によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範
囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0185】
【発明の効果】この発明に従えば、乾式条件、ミスト潤
滑条件およびセミドライ条件など切削油剤が少ない条件
においても工具寿命が長く、被削材の加工硬化が生じに
くくかつ折損の可能性の少ないドリルを提供することが
できる。
【0186】また、この発明に従えば、エンドミル、フ
ライス加工用および旋削用刃先交換型チップ、メタルソ
ー、歯切工具、リーマ、タップなどの切削工具における
耐摩耗性、高滑り性、高焼付き性、被削材の加工精度
(表面仕上げ状態)などの向上を図れるため、寿命の長
い切削工具を提供することができる。
【0187】さらに、この発明に従えば、金属プレス加
工用、金属鍛造用、ダイキャスト用、プラスチック成形
用などの金型における耐摩耗性、高耐食性、高滑り性、
高焼付き性などの向上が図れるため、長寿命の金型を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いたドリルの基材を示す図であ
る。
【図2】 図1中のX−X線に沿って見た断面を示す図
である。
【図3】 図1中のY−Y線に沿って見た断面を示す図
である。
【図4】 本発明で用いた成膜装置の模式図である。
【図5】 図4中の治具を詳細に示す図である。
【図6】 図5で示す治具の上面図である。
【図7】 3D−SEMの模式図である。
【図8】 試料の表面形状を測定する原理を示す模式図
である。
【図9】 180分割された視野を示す模式図である。
【図10】 プロファイル曲線を示すグラフである。
【図11】 スレッシュホールド高さと、その個数との
関係を示すグラフである。
【図12】 180分割された視野を示す模式図であ
る。
【図13】 穴開け回数と切削動力との関係を示すグラ
フである。
【図14】 600穴目における穴表面からの距離と被
削材の硬度との関係を示すグラフである。
【図15】 1穴目と600穴目における穴表面からの
距離と被削材の硬度との関係を示すグラフである。
【図16】 この本発明品であるチップを有するフライ
スの平面図である。
【図17】 図16で示すフライスで用いられるチップ
の平面図である。
【図18】 図17中のA−A線に沿って見た断面を示
す図である。
【図19】 この発明に従ったリーマの平面図である。
【図20】 図19中のB−B線に沿って見た断面を示
す図である。
【図21】 この発明に従ったエンドミルの平面図であ
る。
【図22】 図21中のC−C線に沿って見た断面を示
す図である。
【図23】 この発明に従ったチップの斜視図である。
【図24】 図23で示すチップの平面図である。
【図25】 図24中のD−D線に沿って見た断面を示
す図である。
【図26】 この発明に従ったパンチの平面図である。
【図27】 図26中のE−E線に沿って見た断面を示
す図である。
【図28】 この発明に従った鋳抜きピンの平面図であ
る。
【図29】 図28中のF−F線に沿って見た断面を示
す図である。
【図30】 この発明に従ったプラスチック射出成形機
用のスクリューの平面図である。
【図31】 図30中のG−G線に沿って見た断面を示
す図である。
【図32】 この発明に従ったドリルの平面図である。
【図33】 図32中のH−H線に沿って見た断面を示
す図である。
【符号の説明】
1,404,422,437,442,452,46
2,471 基材、1a先端部、1b 根元部、2,4
72 ねじれ溝、405,413,423,438,4
43,453,463 耐摩耗性被膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/06 C23C 14/06 L (72)発明者 大原 久典 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 山本 泰弘 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 野口 和男 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 瀬戸山 誠 京都市南区久世殿城町575番地 日本ア イ・ティ・エフ株式会社内 (72)発明者 石井 孝也 京都市南区久世殿城町575番地 日本ア イ・ティ・エフ株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、 その基材の上に形成された(Ti、Al)Nを含む耐摩
    耗性被膜とを備えた被覆工具であって、 前記耐摩耗性被膜の表面において横寸法が24μmで縦
    寸法が18μmの矩形の表面領域を任意に3ヶ所選び、
    その3ヶ所で高さ0.5μm以上の突起の個数の合計値
    が15以下であることを特徴とする、被覆工具。
  2. 【請求項2】 基材と、 その基材の上に形成された(Ti、Al)Nを含む耐摩
    耗性被膜とを備えた被覆工具であって、 前記耐摩耗性被膜の表面において横寸法が60μmで縦
    寸法が45μmの矩形の表面領域で高さ0.5μm以上
    の突起の個数が28以下であることを特徴とする、被覆
    工具。
  3. 【請求項3】 基材と、 その基材の上に形成された(Ti、Al)Nを含む耐摩
    耗性被膜とを備えた被覆工具であって、 前記耐摩耗性被膜の表面において横寸法が60μmで縦
    寸法が45μmの矩形の表面領域で高さ1.0μm以上
    の突起の個数が7以下であることを特徴とする、被覆工
    具。
  4. 【請求項4】 前記耐摩耗性被膜は、複数層形成されて
    いることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項
    に記載の被覆工具。
  5. 【請求項5】 前記耐摩耗性被膜の厚みは0.5μm以
    上10μm以下であることを特徴とする、請求項1から
    4のいずれか1項に記載の被覆工具。
  6. 【請求項6】 前記基材と前記耐摩耗性被膜との間に形
    成された、チタンナイトライドを含む中間層をさらに備
    えた、請求項1から5のいずれか1項に記載の被覆工
    具。
  7. 【請求項7】 前記中間層の厚みは0.05μm以上
    1.0μm以下であることを特徴とする、請求項6に記
    載の被覆工具。
  8. 【請求項8】 前記突起の高さは走査型電子顕微鏡を用
    いて得られた3次元的データをもとに算出されることを
    特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の被
    覆工具。
  9. 【請求項9】 前記基材は、WC基超硬合金、サーメッ
    ト、立方晶窒化ホウ素含有焼結体、セラミックス、アル
    ミニウム系合金および鉄系合金からなる群より選ばれた
    少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項1から
    8のいずれか1項に記載の被覆工具。
  10. 【請求項10】 当該被覆工具は切削工具であることを
    特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の被
    覆工具。
  11. 【請求項11】 前記切削工具は、切屑を排出するため
    の溝がその表面に形成されたドリルであり、前記溝に前
    記耐摩耗性被膜が形成されていることを特徴とする、請
    求項10に記載の被覆工具。
  12. 【請求項12】 前記ドリルは、切削油が存在しない乾
    式条件下で使用されることを特徴とする、請求項11に
    記載の被覆工具。
  13. 【請求項13】 前記ドリルは、切削油を霧状に吹きつ
    けるミスト潤滑条件下で使用されることを特徴とする、
    請求項11に記載の被覆工具。
  14. 【請求項14】 前記ドリルは、植物油を切削油として
    使用したセミドライ条件下で使用されることを特徴とす
    る、請求項11に記載の被覆工具。
  15. 【請求項15】 前記ドリルにおいて、被削材に近い先
    端部分の前記溝の幅は、被削材から遠い根元部分の前記
    溝の幅よりも小さいことを特徴とする、請求項11から
    14のいずれか1項に記載の被覆工具。
  16. 【請求項16】 前記ドリルにおいて、被削材に近い先
    端部分の前記溝の幅と、被削材から遠い根元部分の前記
    溝の幅とが等しいことを特徴とする、請求項11から1
    4のいずれか1項に記載の被覆工具。
  17. 【請求項17】 前記切削工具は、エンドミル、フライ
    ス加工用または旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、
    歯切工具、タップおよびリーマからなる群より選ばれた
    1種であることを特徴とする、請求項10に記載の被覆
    工具。
  18. 【請求項18】 当該被覆工具は金型であることを特徴
    とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の被覆工
    具。
  19. 【請求項19】 前記金型は、金属プレス加工用金型、
    金属鍛造用金型、金属ダイカスト用金型およびプラスチ
    ック成形用金型からなる群より選ばれた1種であること
    を特徴とする、請求項18に記載の被覆工具。
  20. 【請求項20】 前記高さ0.5μm以上の突起および
    前記高さ1.0μm以上の突起は前記耐摩耗性被膜形成
    時に不可避的に発生したものである、請求項1から19
    のいずれか1項に記載の被覆工具。
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