JP2000314460A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JP2000314460A
JP2000314460A JP11123532A JP12353299A JP2000314460A JP 2000314460 A JP2000314460 A JP 2000314460A JP 11123532 A JP11123532 A JP 11123532A JP 12353299 A JP12353299 A JP 12353299A JP 2000314460 A JP2000314460 A JP 2000314460A
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input
curvature
transmission
toroidal
power roller
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Rikiya Kunii
力也 國井
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルキャビティタイプのトロイダル変速ユ
ニットにおけるパワーローラ支持軸荷重および伝達トル
ク容量のアンバランスを調整する。 【解決手段】 ダブルキャビティタイプのトロイダル型
無段変速機において、第1入力ディスク110の側面にロ
ーディングカム機構LCを設け、この機構LCを介して変速
機入力軸50と第1入力ディスク110とを連結し、第1入
力ディスク110と第2入力ディスク210とを入力連結シャ
フト60により連結する。第1入力および第1出力ディス
ク110,120の接触凹曲面110a,120aの曲率半径(R1)と第1
パワーローラ150,160の接触凸曲面150a,160aの曲率半径
(r1)との曲率比(r1/R1)が、第2入力および第2出力デ
ィスク210,220および第2パワーローラ250,260における
曲率比(r2/R2)より大きく設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二つのトロイダル
変速ユニットを同軸上に並んで配設してなるダブルキャ
ビティタイプのトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】互いに対向して配設された入力および出
力ディスクの間に形成されたキャビティ内に両ディスク
に当接した状態でパワーローラを挟持配設してなるトロ
イダル変速ユニットを用いたトロイダル型無段変速機は
既に知られている。また、このようなトロイダル変速ユ
ニットを軸方向に並列に二組配設し、これら二組のトロ
イダル変速ユニットの入力ディスクをともに入力部材に
連結するとともに出力ディスクをともに出力部材に連結
して構成されたダブルキャビティタイプのトロイダル型
無段変速機も既に知られている。
【0003】このような構成のトロイダル型無段変速機
においては、入力ディスクの側面に設けられた押圧力発
生機構を介して入力ディスクが変速機入力軸に繋がり、
押圧力発生機構は入力軸に伝達された駆動力を入力ディ
スクに伝達するとともにこの駆動力に対応する軸方向押
圧力を入力ディスクに付与する。この結果、入力および
出力ディスクがこの軸方向押圧力を受けてパワーローラ
を挟持し、この軸方向押圧力による入力および出力ディ
スクとパワーローラとの接触部に発生する摩擦力(トラ
クション力)により、入力ディスクの回転がパワーロー
ラを介して出力ディスクに伝達され、出力ディスクが回
転駆動される。
【0004】このように押圧力発生機構は変速機入力軸
から入力ディスクに伝達される駆動に対応した軸方向押
圧力を加えるようになっているため、変速機入力軸から
の伝達駆動力が変化した場合でも、入出力ディスクとパ
ワーローラとの摩擦力がこの伝達駆動力に対応して変化
し、滑りのない動力伝達が可能となっている。なお、こ
のような動力伝達を行う際に、パワーローラを傾転揺動
させることにより、入力ディスクと出力ディスクとの動
力伝達比を無段階に変化させる。
【0005】ところで、ダブルキャビティタイプのトロ
イダル型無段変速機は、それぞれ入出力ディスクの間に
パワーローラを挟持して構成された第1および第2トロ
イダル変速ユニットを同軸上に並んで配設して構成され
ており、押圧力発生機構は第1入力ディスクの側面に設
けられて、第1および第2トロイダル変速ユニットに軸
方向押圧力を付与する。このため、挟持された部材の変
形に伴い第1入力ディスクと入力連結軸とが相対的に軸
方向に移動してボールスプライン部等においてフリクシ
ョンが発生し、押圧力発生機構から直接押圧力を受ける
第1トロイダル変速ユニットの軸方向押圧力の方が、第
2トロイダル変速ユニットの軸方向押圧力より大きく、
軸方向押圧力のアンバランスが発生する傾向がある。
【0006】一方、変速機入力軸からの駆動力は押圧力
発生機構を介して第1入力ディスクに伝達され、さら
に、第1入力ディスクと第2入力ディスクとを連結する
入力連結軸を介して第2入力ディスクに伝達される。こ
のため、入力連結軸を回転自在に支持するベアリングの
摩擦等により第2入力ディスクに伝達される駆動力が低
下し、第1および第2入力ディスクへの伝達駆動力に差
が生じる(第1および第2入力ディスクの駆動トルクの
アンバランスが発生する)傾向もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような軸方向押圧
力および入力ディスク駆動力のアンバランスが発生する
と、第1トロイダル変速ユニットにおけるディスクとパ
ワーローラ間のトラクション荷重に比べて、第2トロイ
ダル変速ユニットにおけるディスクとパワーローラ間の
トラクション荷重が小さくなり、両変速ユニット間でト
ラクション荷重の反力となるパワーローラ支持軸荷重に
差が生じて変速制御が不安定になったり、伝達トルク容
量に差が生じてスリップが生じたりするおそれがある。
【0008】なお、従来においては、例えば、特開平4
−366049号公報に示されているように、パワーロ
ーラ支持部材を軸方向に駆動可能な油圧シリンダ装置を
設け、その回転量と回転軸方向の移動量とを変速制御弁
に伝えて変速比のフィードバックを行うカムリンク構造
をパワーローラ支持部材に設けるものが知られている。
また、特許第2743646号に示されているように、
パワーローラを支持して変速制御圧に応じて作動される
油圧サーボ機構を両変速ユニットにそれぞれ設け、両油
圧サーボ機構のピストンシリンダ径や作動油圧を異なら
せることによりパワーローラ軸支持荷重を調整するよう
にしたものも知られている。
【0009】しかしながら、特開平4−366049号
公報に開示の変速機では、パワーローラ支持軸にフィー
ドバック制御用のカムリンク機構を設けた油圧制御装置
が必要であり、これらを配置するスペースが必要となっ
て変速機が大型化するという問題や、構成部品点数が増
えるため、組立性が低下する、コストが上昇するという
問題がある。また、この装置では、二組の変速ユニット
での伝達トルク容量のアンバランスを解消するのは難し
い。
【0010】一方、特許第2743646号に開示の変
速機では、二組の変速ユニットの伝達トルク容量のアン
バランスを油圧もしくは受圧面積の調整により解消する
ようにしているが、2種類のシリンダ径のサーボ装置が
必要であったり、2種類の油圧を発生させるバルブ装置
が必要であったりするため、構成部品点数が多くなった
り、油圧回路構成や油圧制御が複雑化するという問題が
ある。また、この装置では伝達トルク容量のアンバラン
スに対応するだけで、二組の変速ユニットの入力トルク
のアンバランスを解消することは難しい。
【0011】本発明はこのような問題に鑑みたもので、
比較的簡単な構成で、二組のトロイダル変速ユニットに
おける伝達トルク容量のアンバランスのみならず入力ト
ルクのアンバランスも調整可能となるトロイダル型無段
変速機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明によれば、それぞれ互いに対向配設された入
力および出力ディスクの間にパワーローラを挟持してな
る第1および第2トロイダル変速ユニットを、第1およ
び第2出力ディスクが背中合わせとなるように同軸上に
並んで配設してダブルキャビティタイプのトロイダル型
無段変速機を構成し、第1入力ディスクの側面に設けら
れて第1および第2トロイダル変速ユニットに軸方向の
押圧力を付与するための押圧力発生機構(例えば、実施
形態におけるローディングカム機構)と、この押圧力発
生機構を介して第1入力ディスクに連結された変速機入
力軸と、第1入力ディスクと第2入力ディスクとを連結
する入力連結軸(例えば、実施形態における入力連結シ
ャフト)とを備える。そして、第1入力および第1出力
ディスクの接触凹曲面の曲率半径(R1)と第1パワー
ローラの接触凸曲面の曲率半径(r1)との曲率比(r
1/R1)が、第2入力および第2出力ディスクの接触
凹曲面の曲率半径(R2)と第2パワーローラの接触凸
曲面の曲率半径(r2)との曲率比(r2/R2)より
大きく設定される。
【0013】このような構成のトロイダル型無段変速機
の場合には、第1トロイダル変速ユニットにおける曲率
比(r1/R1)が、第2トロイダル変速ユニットにお
ける曲率比(r2/R2)より大きいため、軸方向押圧
力が同一であれば、第2トロイダル変速ユニットにおけ
る入出力ディスクとパワーローラとの当接部の面圧が高
くなってトラクション係数(摩擦係数)が高くなる。こ
のため、第2トロイダル変速ユニットにおける軸方向押
圧力が第1トロイダル変速ユニットより小さくなって
も、このように摩擦係数が高くなることにより相殺さ
れ、パワーローラの支持軸荷重および駆動トルクのアン
バランスが解消される。
【0014】なお、第1入力および第1出力ディスクの
接触凹曲面の曲率半径(R1)と第2入力および第2出
力ディスクの接触凹曲面の曲率半径(R2)とを等しく
設定し、第1パワーローラの接触凸曲面の曲率半径(r
1)を第2パワーローラの接触凸曲面の曲率半径(r
2)より大きく設定して、第1トロイダル変速ユニット
における曲率比(r1/R1)が、第2トロイダル変速
ユニットにおける曲率比(r2/R2)より大きくなる
ようにするのが好ましい。これは、ディスクの曲率半径
を異ならせた場合、一方の変速ユニットにおいてディス
ク中心とパワーローラの傾転中心とを一致させることが
できても、他方の変速ユニットにおいてはディスク中心
がパワーローラの傾転中心からずれるという問題が生じ
るからである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について図面を参照して説明する。本発明に係るトロイ
ダル型無段変速機の動力伝達経路構成を図1および図2
に示す。このトロイダル型無段変速機Tは、エンジンE
の出力軸に繋がるトルクコンバータT/Cを備え、トル
クコンバータT/Cのタービンに繋がる変速機入力軸5
0と、変速機入力軸50に繋がって配設されたローディ
ングカム機構(押圧力発生機構)LCと、変速機入力軸
50と同軸上に並列に配設された第1および第2トロイ
ダル変速ユニット100,200とを備える。ここで、
第1および第2トロイダル変速ユニット100,200
は、後述するように球面曲率を除いて左右対称で同一構
成であるので、対応する構成部材については下二桁が同
一の番号を付して示している。
【0016】図2に詳しく示すように、ローディングカ
ム機構LCは駆動プレート31とカム部材32とを有
し、駆動プレート31は変速機入力軸部材50とスプラ
イン係合されて変速機入力軸部材部材50と同一回転す
る。駆動プレート31はカム部材32を介して第1トロ
イダル変速ユニット100(正確には、第1入力ディス
ク110)と係合され、駆動プレート31の回転がその
まま第1入力ディスク100に伝達されるようになって
いる。但し、このように駆動力伝達を行うときに、カム
部材32の作用により駆動トルクに対応した軸方向押圧
力F(図2において左方向に作用する力)が第1入力デ
ィスク110に加えられる。このようなローディングカ
ム機構LCについては、トロイダル変速装置において一
般的に用いられており、従来から周知であるので、その
説明は省略する。
【0017】第1トロイダル変速ユニット100は、断
面が半円状となる半ドーナッツ状の接触凹曲面110a
を有した第1入力ディスク110と、この接触凹曲面1
10aに対して軸方向に対向するとともに断面が半円状
となる半ドーナッツ状の接触凹曲面120aを有した第
1出力ディスク120と、第1入力および第1出力ディ
スク110,120の接触凹曲面110a,120aに
囲まれた第1キャビティ130内に配設され、これら接
触凹曲面110a,120aと当接した状態で挟持され
た一対の第1および第2パワーローラ150,160と
から構成される。なお、これらパワーローラ150,1
60は接触凹曲面110a,120aと当接接触する接
触凸曲面150a,160aを有し、両ディスク11
0,120の回転軸を挟んで対向する位置、すなわち、
回転軸を挟んで対称となる位置に配設されている。
【0018】第1入力ディスク110および第1出力デ
ィスク120は変速機入力軸部材50と同軸上に互いに
対向して回転自在に配設されており、前述のように第1
入力ディスク110はローディングカム機構LCを介し
て変速機入力軸部材50に連結されてこれと一体回転す
る。一方、第1出力ディスク120は第1ギヤ2に結合
され、第1ギヤ2と一体回転する。
【0019】第2トロイダル変速ユニット200は、第
1トロイダル変速ユニット100に対して軸方向左右対
称となって構成されており、半ドーナッツ状の接触凹曲
面210aを有した第2入力ディスク210と、この接
触凹曲面210aに対して軸方向に対向するとともに半
ドーナッツ状の接触凹曲面220aを有した第2出力デ
ィスク220と、これら接触凹曲面210a,220a
に囲まれた第2キャビティ230内に挟持配設された持
された一対の第3および第4パワーローラ250,26
0とから構成される。これらパワーローラ250,26
0は接触凹曲面210a,220aと当接接触する接触
凸曲面250a,260aを有し、両ディスク210,
220の回転軸を挟んで対向する位置、すなわち、回転
軸を挟んで対称となる位置に配設されている。
【0020】両ディスク210,220は変速機入力軸
部材50と同軸上に互いに対向して配設されている。第
2入力ディスク210は入力連結シャフト60を介して
第1入力ディスク110と結合されており、両入力ディ
スク110,210は一体回転する。一方、第2出力デ
ィスク220は入力連結シャフト60上に相対回転自在
に配設され、第1ギヤ2に結合され、第1ギヤ2と一体
回転する。このことから分かるように、第1および第2
出力ディスク120,220と第1ギヤ2とが一体回転
する。
【0021】第1ギヤ2はカウンタ軸3の一端に結合配
設された第2ギヤ3aと噛合し、第2ギヤ3aは出力軸
5の上に相対回転自在に配設された第3ギヤ5aと噛合
する。カウンタ軸3の他端には第4ギヤ3bが結合配設
され、第2ギヤ3aと一体に回転する。第4ギヤ3bは
第5ギヤ4(リバースアイドラギヤ)と噛合し、第5ギ
ヤ4は出力軸5の上に相対回転自在に配設された第6ギ
ヤ5bと噛合する。第3ギヤ5aと出力軸5とを係脱す
る前進クラッチ6aと、第5ギヤ5bと出力軸5とを係
脱する後進クラッチ6bとを備え、出力軸5の端部には
第7ギヤ7aが結合配設されている。第7ギヤ7aはデ
ィファレンシャル機構8を有した第8ギヤ7bと噛合す
る。
【0022】このため、前進クラッチ6aを係合作動さ
せると、第1ギヤ2の回転は第2および第3ギヤ3a,
5aを介して出力軸5に伝達され、この回転が第7およ
び第8ギヤ7a,7bからディファレンシャル機構8を
介して左右の車軸9a,9bに伝達され、車両が前進方
向に駆動される。一方、後進クラッチ6bを係合作動さ
せると、第1ギヤ2の回転は第4、第5および第6ギヤ
3b,4,5bを介して出力軸5に伝達され、この回転
が第7および第8ギヤ7a,7bからディファレンシャ
ル機構8を介して左右の車軸9a,9bに伝達され、車
両が後進方向に駆動される。
【0023】このような構成の変速機における変速作動
は、第1〜第4パワーローラ150,160,250,
260をそれぞれの傾転揺動軸O1,O2を中心として
矢印φで示すように傾転揺動させて行われる。その構造
を、図1の矢印III-IIIに沿った断面図である図3を参
照して、第1トロイダル変速ユニット100の場合を例
にして説明する。なお、第2トロイダル変速ユニット2
00については、基本的に同一構成であるのでその説明
は省略する。
【0024】第1トロイダル変速ユニット100は第1
および第2パワーローラ150,160を有し、これら
パワーローラ150,160は入力シャフト1の回転中
心軸(第1入力および第1出力ディスク110,120
の回転中心軸でもある)を挟んで対称となる位置に配設
されている。第1および第2パワーローラ150,16
0は、図3において左右方向(y方向)にスライド移動
可能な第1および第2張力部材10,20(なお、第1
張力部材10が請求の範囲の張力部材に該当する)に支
持されたトラニオン部材151,161を有する。この
トラニオン部材151,161は、左右トラニオン軸部
151a,151bおよび161a,161bにおい
て、それぞれベアリング152a,152bおよび16
2a,162bを介して両張力部材10,20により支
持され、傾転揺動軸O1を中心として傾転揺動(φ方向
の回転運動)することが可能となっている。このため、
トラニオン部材151,161は、y方向に移動可能で
且つφ方向に傾転揺動可能となっている。
【0025】トラニオン部材151,161は、その傾
転揺動軸O1と直行する軸を有したシャフト部材15
4,164が取り付けられ、このシャフト部材154,
164には回転自在にコーン部材153,163が取り
付けられている。なお、コーン部材153,163はト
ラニオン部材151,161によりベアリングを介して
回転自在に支持されており、これによりコーン部材15
3,163は入力および出力ディスク110,120の
接触凹曲面110a,120aに押圧されて当接挟持さ
れた状態で保持される。
【0026】ここでシャフト部材154,164はコー
ン部材153,163の回転中心から偏心した偏心シャ
フト部154a,164aを一体に有しており、この偏
心シャフト部154a,164aがトラニオン部材15
1,161に支持されている。これにより、トラニオン
部材151,161の自動調芯が可能となっており、コ
ーン部材153,163と入出力ディスク110,12
0との接触点における両者の回転速度方向は常に一致す
るように自動調心される。
【0027】一方、トラニオン部材151,161をy
方向に移動させると、コーン部材153,163と入出
力ディスク110,120との接触点における両者の回
転速度方向に差が生じ、この回転速度方向を一致させる
方向の力が傾転揺動方向に発生し、トラニオン部材15
1,161が傾転揺動軸O1を中心としてφ方向に傾転
揺動される。その結果、コーン部材153,163は入
力および出力ディスク110,120の間に挟持された
まま接触凹曲面110a,120aに沿って傾転揺動、
すなわち、図1の面内において傾転揺動軸O1を中心と
して傾転揺動し、変速がなされる。このことから分かる
ように、トラニオン部材151,161をy方向に押圧
することにより変速制御を行うことができる。このよう
にトラニオン部材151,161をy方向に押圧させる
力を付与するために、油圧アクチュエータ145,14
6が設けられている。
【0028】以上のような構成のトロイダル変速ユニッ
トを用いた無段変速機の動力伝達について、図4のモデ
ルを用いて説明する。この図では、上述の第1トロイダ
ル変速ユニット100を例にして模式的に示しており、
入力ディスク110の接触凹曲面110aと出力ディス
ク120の接触凹曲面120aとの間にパワーローラ1
50を挟持してトロイダル変速ユニット100が構成さ
れる。前述のように、ローディングカム機構LCにより
入力ディスク110に軸方向押圧力Fが付与され、出力
ディスク120は保持部材(例えば、図2における保持
プレート65)により保持されて軸方向反力Fを受け、
パワーローラ150はこの軸方向押圧力Fで入出力ディ
スク110,120により挟持される。
【0029】この軸方向押圧力Fは、入出力ディスク1
10,120の接触凹曲面110a,120aとパワー
ローラ150の接触凸曲面150aとの接触部に作用す
る。これにより、入力ディスク110の回転に対して、
軸方向押圧力Fに比例するトラクション力(摩擦力)が
発生してパワーローラ150を回転させ、このようなパ
ワーローラ150の回転を受けて出力ディスク120が
回転される。ここで、図4に示すように、入力ディスク
110とパワーローラ150との接触部の回転径Diに
対する出力ディスク120とパワーローラ150との接
触部の回転径Doの比により変速比が定まる。このこと
から分かるように、パワーローラ150の傾転揺動制御
を行えば、変速比を無段階に制御することができる。
【0030】このような構成においては、伝達トルク容
量は入出力ディスク110,120とパワーローラ15
0との接触部におけるトラクション力(摩擦力)に依存
して決まる。入出力ディスク110,120の接触凹曲
面110a,120aの曲率半径Rは同一であるが、パ
ワーローラ150の接触凸曲面150aの曲率半径rは
曲率半径Rより小さく設定されている。このため、図4
にハッチングを施して示すように、入力ディスク110
もしくは出力ディスク120とパワーローラ150との
接触部は長径d1、短径d2の楕円形状となる。
【0031】入出力ディスク110,120の接触凹曲
面110a,120aの曲率半径Rに対するパワーロー
ラ150の接触凸曲面150aの曲率半径rの比、すな
わち、曲率半径比(r/R)を変化させた場合における
接触面積A、接触楕円形状の長径d1、短径d2との関
係を図5に示している。
【0032】ここで図1および図2に示すダブルキャビ
ティタイプのトロイダル型無段変速機の動力伝達を考え
る。この変速機では第1および第2トロイダル変速ユニ
ット100,200が軸方向に並んで設けられている
が、ローディングカム機構LCは第1トロイダル変速ユ
ニット100の第1入力ディスク110の側面に設けら
れている。この構成の故に、ローディングカムLCの軸
方向押圧力Fは第1トロイダル変速ユニット100に対
しては直接作用する(この押圧力をF1とする)が、第
2トロイダル変速ユニット200に対しては入力連結シ
ャフト60を介して作用し、挟持された部材の変形に伴
い第1入力ディスク110と入力連結シャフト60とが
相対的に軸方向に移動してボールスプライン部等におい
てフリクションが発生し、このフリクション抵抗等によ
り第2トロイダル変速ユニット200に対する軸方向押
圧力F2は上記押圧力F1より小さくなる傾向がある。
すなわち、両変速ユニット100,200における軸方
向押圧力のアンバランスが生じる傾向がある。
【0033】また、変速機入力軸50からローディング
カム機構LCを介して伝達される入力駆動力(トルク)
は、第1入力ディスク110には直接作用するが、第2
入力ディスク210には入力連結シャフト60を介して
作用する。このため、入力連結シャフト60を回転自在
に支持するベアリングでのフリクション抵抗等により第
2入力ディスク210の駆動トルクが第1入力ディスク
110の駆動トルクより小さくなる傾向がある。すなわ
ち、両入力ディスク110,210の駆動トルクにアン
バランスが生じる傾向がある。
【0034】このような軸方向押圧力および駆動トルク
のアンバランスが発生すると、変速制御が不安定になっ
たり、スリップが生じたりするおそれがある。このた
め、本変速機においては、第1入力および第1出力ディ
スク110,120の接触凹曲面110a,120aの
曲率半径(R1)と第1パワーローラ150,160の
接触凸曲面150a,160aの曲率半径(r1)との
曲率比(r1/R1)が、第2入力および第2出力ディ
スク210,220の接触凹曲面210a,220aの
曲率半径(R2)と第2パワーローラ250,260の
接触凸曲面250a,260aの曲率半径(r2)との
曲率比(r2/R2)より大きくなるように各曲面を設
定している。具体的には、入出力ディスク110,12
0,210,220の曲率半径R1,R2を全て等しく
設定した上で、第1パワーローラ150,160のの曲
率半径(r1)を第2パワーローラ250,260の曲
率半径(r2)より大きく設定している。すなわち、R
1=R2であり、r1>r2であり、さらに、R1>r
1且つR2>r2となるように設定される。
【0035】ここで曲率比(r/R)と接触面積Aとの
関係は図5のようになるため、接触部の面圧Pは曲率比
(r/R)に対応して決まる。一方、前述のように、両
変速ユニット100,200における軸方向押圧力のア
ンバランスおよび両入力ディスク110,210の駆動
トルクのアンバランスのため、第1トロイダル変速ユニ
ット100における接触面圧Pと曲率比(r/R)との
関係は図6における線G1のようになり、第2トロイダ
ル変速ユニット200における接触面圧Pと曲率比(r
/R)との関係は図6における線G2のようになる。一
方、接触面圧Pが作用したときにおける接触部のトラク
ション係数(摩擦係数)μは図7に示すような関係とな
る。
【0036】このような関係の下で、本例における第1
および第2トロイダル変速ユニット100,200の曲
率比は(r1/R1)>(r2/R2)と設定されてい
るため、図6に示すように、第1トロイダル変速ユニッ
ト100の接触部における面圧P1は第2トロイダル変
速ユニット200の接触部における面圧P2より小さく
なる。このような面圧P1,P2の関係となるため、図
7から分かるように、第1トロイダル変速ユニット10
0の接触部におけるトラクション係数μ1は第2トロイ
ダル変速ユニット200の接触部におけるトラクション
係数μ2より小さくなる。
【0037】このように曲率比を異ならせることにより
トラクション係数を異ならせており、この結果、両変速
ユニット100,200における軸方向押圧力のアンバ
ランスおよび両入力ディスク110,210の駆動トル
クのアンバランスをトラクション係数の相違により相殺
して両変速ユニット100,200における伝達トルク
容量およびパワーローラ支持軸荷重を等しくすることが
できる。この結果、変速制御が安定し、変速ユニットの
接触部におけるスリップの発生を防止することができ、
さらに結果的に変速機全体としての動力伝達効率が向上
する。
【0038】なお、上記例においては、入出力ディスク
の接触凹曲面の曲率半径Rを等しくして、パワーローラ
の接触凸曲面の曲率半径rを異ならせて曲率比を相違さ
せているが、その逆の設定でもよく、さらに、両曲率半
径を異ならせて曲率比を相違させる設定を行っても良
い。
【0039】但し、上記例の設定が最も好ましく、上記
例と逆の設定、すなわち、パワーローラの接触凸曲面の
曲率半径rを等しくして、入出力ディスクの接触凹曲面
の曲率半径Rを異ならせる構成の場合に次のような問題
がある。このような構成を行った場合の構成を図8に示
しているが、この図から分かるように、第1変速ユニッ
ト100’においては、ディスク半径中心とパワーロー
ラ傾転中心が一致しているが、第2変速ユニット20
0’においてはディスク半径中心とパワーローラ傾転中
心とが距離Lだけずれている。このため、第1変速ユニ
ット100’の場合には、変速比の変化に伴いパワーロ
ーラが左右に変位する必要がないが、第2変速ユニット
200’の場合には、変速比の変化に伴い、図9のグラ
フに示すようにパワーローラの傾転中心が左右に揺動変
位してしまう。
【0040】ダブルキャビティタイプの変速機の場合に
は、パワーローラのディスク反力を両変速ユニット間で
打ち消すための張力部材が必要であり、傾転中心がずれ
るのに対して張力部材が対応する構成とする必要があ
り、この部分の構成が複雑化するという問題がある。こ
のため、ディスク半径を等しくしてパワーローラの球面
半径を異ならせるほうがより現実的である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1トロイダル変速ユニットにおける曲率比(r1/R
1)を第2トロイダル変速ユニットにおける曲率比(r
2/R2)より大きくなるように構成されているため、
第2トロイダル変速ユニットにおける入出力ディスクと
パワーローラとの当接部のトラクション係数(摩擦係
数)が第1トロイダル変速ユニットより高くなる。この
結果、第2トロイダル変速ユニットにおける軸方向押圧
力や伝達駆動トルクが第1トロイダル変速ユニットより
小さくなる現象が、摩擦係数が高くなることにより相殺
され、パワーローラの支持軸荷重および伝達トルク容量
のアンバランスを解消することができ、変速制御を安定
して行うことができるとともに接触部のスリップを防止
することができ、その結果、伝達効率を向上させること
ができる。
【0042】なお、第1入力および第1出力ディスクの
接触凹曲面の曲率半径(R1)と第2入力および第2出
力ディスクの接触凹曲面の曲率半径(R2)とを等しく
設定し、第1パワーローラの接触凸曲面の曲率半径(r
1)を第2パワーローラの接触凸曲面の曲率半径(r
2)より大きく設定するのが好ましく、これにより、比
較的簡単に、第1トロイダル変速ユニットにおける曲率
比(r1/R1)を第2トロイダル変速ユニットにおけ
る曲率比(r2/R2)より大きくなるようにすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトロイダル型無段変速機の動力伝
達経路を示す概略図である。
【図2】この変速機のトロイダル変速機構を拡大して詳
細に示す断面図である。
【図3】この変速機のトロイダル変速機構を図1の矢印
III−IIIに沿って示す拡大断面図である。
【図4】上記変速機における第1トロイダル変速ユニッ
トの動力伝達原理を説明するための模式図である。
【図5】上記変速機のトロイダル変速ユニットにおける
曲率比(r/R)と接触部楕円形状の長径d1,短径d
2および面積Aとの関係を示すグラフである。
【図6】上記変速機のトロイダル変速ユニットにおける
曲率比(r/R)と接触面圧Pとの関係を示すグラフで
ある。
【図7】上記変速機のトロイダル変速ユニットにおける
接触面圧Pとトラクション係数μとの関係を示すグラフ
である。
【図8】本発明の異なる実施形態に係る変速機のトロイ
ダル変速機構を拡大して詳細に示す断面図である。
【図9】図8の変速機において、変速比の変化に対する
パワーローラの傾転中心の左右揺動変位の関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
E エンジン T トロイダル型無段変速機 T/C トルクコンバータ 30 ローディングカム機構(押圧力発生機構) 50 変速機入力軸 100,200 トロイダル変速ユニット 110,210 入力ディスク 120,220 出力ディスク 150,160,250,260 パワーローラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向配設された第1入力および第
    1出力ディスクの間に第1パワーローラを挟持してなる
    第1トロイダル変速ユニットと、互いに対向配設された
    第2入力および第2出力ディスクの間に第2パワーロー
    ラを挟持してなる第2トロイダル変速ユニットとを、前
    記第1および第2出力ディスクが背中合わせとなるよう
    に同軸上に並んで配設してなるダブルキャビティタイプ
    のトロイダル型無段変速機において、 前記第1入力ディスクの側面に設けられて前記第1およ
    び第2トロイダル変速ユニットに軸方向の押圧力を付与
    するための押圧力発生機構と、 前記押圧力発生機構を介して前記第1入力ディスクに連
    結された変速機入力軸と、 前記第1入力ディスクと前記第2入力ディスクとを連結
    する入力連結軸とを備え、 前記第1入力および第1出力ディスクの接触凹曲面の曲
    率半径(R1)と前記第1パワーローラの接触凸曲面の
    曲率半径(r1)との曲率比(r1/R1)が、前記第
    2入力および第2出力ディスクの接触凹曲面の曲率半径
    (R2)と前記第2パワーローラの接触凸曲面の曲率半
    径(r2)との曲率比(r2/R2)より大きく設定さ
    れていることを特徴とするトロイダル式無段変速機。
  2. 【請求項2】 前記第1入力および第1出力ディスクの
    接触凹曲面の曲率半径(R1)と前記第2入力および第
    2出力ディスクの接触凹曲面の曲率半径(R2)とが等
    しく、前記第1パワーローラの接触凸曲面の曲率半径
    (r1)が前記第2パワーローラの接触凸曲面の曲率半
    径(r2)より大きく設定されていることを特徴とする
    請求項1に記載のトロイダル式無段変速機。
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