JP2000314063A - 安定性を有する弾性経編地 - Google Patents

安定性を有する弾性経編地

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JP2000314063A JP11127096A JP12709699A JP2000314063A JP 2000314063 A JP2000314063 A JP 2000314063A JP 11127096 A JP11127096 A JP 11127096A JP 12709699 A JP12709699 A JP 12709699A JP 2000314063 A JP2000314063 A JP 2000314063A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縫製に際して優れた寸法安定性と耐カール性
を有すると共に弾性経編地を用いて作られた製品におい
ても良好な耐カール性を発揮することができる弾性経編
地の提供。 【解決手段】 1種又は複数種の非弾性糸1〜7と1種
の第1弾性糸11〜17から成る弾性トリコット布帛の
それぞれのウエールに鎖編みの第2弾性糸21〜27が
少くとも一部のコースでニットしながら配置されてい
る、安定性を有する弾性経編地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は安定性を有する弾性
経編地に関する。より詳しくは本発明はファンデーショ
ン、スポーツ衣料、外衣又はそれらの構成布片として用
いられ、カールや寸法安定性等の改良された弾性経編地
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ファンデーション、スポーツ
衣料、外衣等の衣料又はそれらの構成布片として用いら
れる弾性トリコット布帛は、合成繊維マルチフィラメン
ト又は綿糸の如き紡績糸から成る非弾性糸を用いて地組
織を編成し、この地組織に弾性糸を組合せることによっ
て得られ、通常は1種の非弾性糸と1種の弾性糸を用い
たハーフトリコット組織で提供されている。近年、前述
のような用途に用いられる弾性経編地に対してより優れ
た機能が要求されることになり、伸び特性、回復特性、
弾性力等の物性の向上と共に、縫製時に要求される性
能、例えば切断部に発生するほつれ防止、平面性の改
良、まくれ上り防止等のより一層の改善が求められてい
る。しかし前述のような従来から用いられている弾性ト
リコット布帛では、縫製時において寸法安定性が不充分
であったり、まくれ上り、すなわちカールの発生が多
く、その結果縫製時の効率が低下したり、極端な場合縫
製不能になる場合があった。特にファッションの高度化
に伴って弾性トリコット布帛により薄地で且つ高伸度、
高弾性回復力を要求されてくると上述のような問題点が
より顕著になってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来公知の弾
性トリコット布帛の有する前述の問題を解決して、縫製
に際して優れた寸法安定性と耐カール性を有すると共に
製品にした場合でも良好な耐カール性を付与することが
できる弾性経編地を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、一種ま
たは複数種の非弾性糸と一種の第1弾性糸から成る弾性
トリコット布帛のそれぞれのウエールに鎖編みの第2弾
性糸が少くとも一部のコースでニットしながら配置され
ている、安定性を有する弾性経編地によって達成され
る。上述の弾性経編地において第2弾性糸が全てのコー
スでニットしながら配置されていると、寸法安定性と耐
カール性をより改善することができるので好ましい。さ
らに本発明の弾性経編地が、2種類の非弾性糸が異なる
編組織でニットされて地組織を形成し、この地組織に第
1弾性糸が左右に振られながらニットされ、さらに鎖編
みの第2弾性糸が少くとも一部のコースでニットされな
がら配置されているとより好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の構成を有する弾性経編地
は製品を構成する構成布片、例えばショーツの前身頃全
体に用いられてもよく、裾部分にのみ本発明の弾性経編
地が用いられ、それに接続する部分が他の構成を有する
経編地で構成されていてもよい。すなわち通常の弾性ト
リコット布帛の裾部分の如き一部分を特に安定化させた
い場合には、その部分のみに本発明の構成の弾性経編地
を用いれば、製品全体の機能の向上に役立つ。本発明の
弾性経編地において、ニットするとはオープンループま
たクローズドループを作ることを意味する。ニットしな
い場合の編糸の配置は挿入として示される。
【0006】非弾性糸としてはポリアミド繊維、ポリエ
ステル繊維、ポリアクリル繊維等の合成繊維マルチフィ
ラメント、ビスコースレーヨン、キュプラアンモニーム
レーヨン等の再生繊維マルチフィラメント、あるいは綿
糸または各種合成繊維短繊維と綿繊維との混紡糸が広く
用いられる。糸の太さはマルチフィラメントの場合で1
0d〜70d、紡績糸の場合で綿番手30/1〜80/
1が好ましく用いられる。弾性糸としては乾式、溶融方
式、湿式等で作られる各種弾性糸、ポリエーテルエステ
ル弾性糸を用いることができる。弾性糸を用いた経編地
をソフトで軽量にするためには、特に共重合のソフトセ
グメントを有するソフトタイプの弾性糸、熱セット性の
大きい高セットタイプのポリウレタン弾性糸、ポリウレ
タン部のみからなるポリウレタン弾性糸が好んで用いら
れる。本発明で用いられる第1弾性糸と第2弾性糸とが
同一銘柄、すなわち同一の物性を有する弾性糸であって
も、異る銘柄のものであってもよい。弾性糸の太さは1
0〜140dが好んで用いられる。本発明の弾性経編地
は28ゲージから36ゲージで且つ複数の筬を有するト
リコット機を用いて編成されるとよい。編組織としては
ハーフ編みが好んで用いられるが、デンビー編み、二目
編み等の任意の編組織を用いることができる。第2弾性
糸が鎖編みで配置される場合に、全コースでニットされ
ていても良く、このようにすれば寸法安定性及び耐カー
ル性を一層改善することができる。しかし製品に対して
求められる物性および用いる弾性糸の物性に応じて、一
コースまたはそれ以上のコースを飛ばしてニットさせて
もよい(飛ばされた部分では第2弾性糸は挿入されてい
ることになる)。このようにすることにより、第2弾性
糸の使用量を減少させて、より軽量の弾性経編地を得る
ことができる。
【0007】経編機を用いて得られた本発明の弾性経編
地は公知の弾性経編地の染色整理処理に準ずる方法で染
色整理される。すなわち編下ろされた経編地の生機を、
温風または温水中でリラックス後、180℃から200
℃の範囲の乾熱または130℃以下の熱水でプレセット
し、生機を安定化させる。液流染色機、ビーム染色機ま
たは気流染色機を用いて染色し、水染や風合い調整等の
後処理後、最終的には160℃〜190℃で乾熱セット
する。なお必要に応じて風合改良剤、帯電防止剤を付与
してもよい。
【0008】本発明で得られた弾性経編地は、通常のハ
ーフ組織のものに比べて、耐カール性が著しく良好で、
静置状態でのカールに加え、伸縮を繰り返した後のカー
ルも著しく少ないという大きな特徴がある。この特徴
は、生地の縫製という生産工程での取り扱い性向上にも
大きく貢献する。すなわち本発明の弾性経編地は縫製工
程の裁断やミシン処理で取り扱われてもカールしにく
く、良好な安定性を有し、その結果縫合時の正確性を保
ち、縫製効率を高め、さらに製品の出来映えを向上させ
る。本発明の弾性経編地は縫製工程のみならず、製品に
した場合の耐カール性が良好である。したがって従来の
弾性トリコット布帛を用いて水着、アンダーウェア、シ
ャツ等にした場合に生ずる裾のまくれ上り防止のため
に、別途テープ、レース類を縫製によって取り付ける作
業を必要とせずに、本発明の弾性経編地だけで製品化す
ることができる。
【0009】以下本発明の弾性経編地の一例を示す添付
図面を参照して本発明を以下詳述する。実施例1 図1に本発明の弾性経編地の実施例1の組織図を示す。
図1において、縦方向にコース番号(1)〜(5)を示
し、横方向にウエール番号(1)〜(7)を示す。図1
のウエール数は編組織の説明のための一例と解すべきで
あり、図1のコース数も説明上の一例にすぎない。図1
の下方に糸通し図を示す。たゞしこの糸通し図は経編地
の組織を示す図面の慣習によって、組織図と一体に解す
べきものであり、縦方向の短線で示す位置で、経編地に
供給される糸の位置と糸の種類が示されている。
【0010】図1中参照番号1〜7を付し、細い実線で
示す糸が弾性経編地の全幅に亘って筬L−3によって供
給され、ニットで編成される非弾性糸である。参照番号
11〜17を付し、破線で示す糸が筬L−1によって供
給され、非弾性糸と共にニットして地組織を編成する第
1弾性糸である。参照番号21〜27を付し、太い実線
で示す糸が筬L−2によって供給され、鎖編みを編成す
る弾性糸(以下第2弾性糸と称す)である。
【0011】図1で示す弾性経編地で地組織が非弾性糸
1〜7、第1弾性糸11〜17を用いてハーフ組織で編
成される。非弾性糸としてはポリアミド異型断面マルチ
フィラメント30d/6f、第1弾性糸としては20d
の弾性糸(旭化成工業(株)製、登録商標ロイカS−8
04タイプ)が用いられる。その編成は非弾性糸3と第
1弾性糸13で示すと、非弾性糸3は筬L−3によって
コース(1)においてウエール(3)の左側から編針に
供給されてニットし、2ウエール分左側に振られてコー
ス(2)でウエール(1)の編針でニットし、次いで2
ウエール分右側に振られてコース(3)でウエール
(3)の編針でニットし、この編成を繰返してコース
(5)ではウエール(3)の編針でニットする。第1弾
性糸13は筬L−1によってコース(1)においてウエ
ール(2)の右側から編針に供給されてニットし、1ウ
エール分右側に振られてコース(2)でウエール(3)
の編針でニットし、次いで1ウエール分左側に振られて
コース(3)でウエール(2)の編針でニットし、この
編成を繰返してコース(5)ではウエール(2)の編針
でニットする。このように地組織は非弾性糸と第1弾性
糸で互いにニットする組織で編成されているので薄地の
経編地となる。
【0012】次に第2弾性糸21〜27は図1に示すよ
うに鎖編みで編成される。第2弾性糸としては第1弾性
糸と同種の20dの弾性糸を用いる。その編成を第2弾
性糸21で示すと第2弾性糸21は筬L−2によってコ
ース(1)においてウエール(1)の右側から編針に供
給されてニットし、ウエール方向に沿って延び、コース
(2)において左側から編針に供給されてニットし、こ
の編成を繰返してコース(5)において右側から編針に
供給されてニットする。
【0013】得られた生機を、温水60℃でスラックス
処理した後、180℃の乾熱セッターでプレセットし、
次いで液流染色機でボイル条件で通常の酸性染料を用い
て染色した。得られた染色布に市販のシリコーン系ソフ
ナーを付与した後170℃の乾熱セッターでファイナル
セットした。
【0014】比較例1 第2弾性糸の鎖編みを行わない以外は実施例1と同一条
件で弾性経編地を編成・染色整理し、比較例1とした。
【0015】得られた実施例1及び比較例1の弾性経編
地に対して、下記に示す測定法に基づき2.25kg時伸
度(%)、伸張回復率(%)、カール率(%)及びカー
ル角度を測定した。 (1)2.25kg時伸度(%) 弾性経編地より幅25mm、長さ200mmの長方形の試料
を裁断し、伸度測定器により、2.25kgの応力をかけ
た時の伸度(%) (2)伸張回復率(%) (1)と同じ試料を用意し、80%の伸度で折り返す伸
縮を行い、回復応力が0となる伸度aを求め、下記式に
よって伸張回復率(%)を算出する。 伸張回復率(%)=〔(80−a)/80〕×100 (3)カール性 弾性経編地より100mm×100mmの試料を裁断し、標
準状態(20℃、RH65%)下で4時間水平状態で放
置する。放置後の試料の経方向について、平面図で垂直
に投影された長さ(カールすることによって長さが短く
なる)を測定してbmmとし、下記式によってカール率
(%)を算定する。 カール率(%)=〔(100−b)/100〕×100 放置後の試料の経方向でカールによって持上った端に対
する接線の平面となす角度を測定しカール角度とする。
【0016】実施例1及び比較例1の物性値を下記に示
す 実施例1 比較例1 2.25kg時伸度(%)経 200 250 〃 緯 150 180 伸張回復率(%) 経 88 94 〃 緯 78 89 カール率(%) 2 20 カール角度(度) 10 60 上記のように比較例1の弾性経編地では20%のカール
率、60度のカール角度でカール性が劣るが、実施例1
の弾性経編地では上述のように実用上問題のない低い値
であった。
【0017】実施例2 図2に本発明の弾性経編地の実施例2の組織図を示す。
図2においても図1と同様にコース番号(1)〜
(5)、ウエール番号(1)〜(5)を付し、同時に糸
通し図を付した。図2に示した実施例2の弾性経編地は
図1に示した実施例1の弾性経編地とは用いる非弾性糸
が2種類になっている点のみ異り、ポリエステル糸と綿
糸から成るリバーシブル経編地である。すなわち図2中
参照番号1〜6を付し、細い実線で示す糸が弾性経編地
の全幅に亘って筬L−4によって供給され、ニットで編
成される第1非弾性糸のポリエステルマルチフィラメン
ト75d/24f、参照番号11〜15を付し、細い破
線で示す糸が同様に筬L−3によって供給され、ニット
で編成される第2非弾性糸の綿糸100s/2、参照番
号21〜26を付し、太い破線で示す糸が同様に筬L−
1によって供給され、ニットで編成される40dの第1
弾性糸(旭化成工業(株)製、登録商標ロイカS−80
4タイプ)、最後に参照番号31〜35を付し、太い実
線で示す糸が同様に筬L−2によって供給され、鎖線で
編成される、第1弾性糸と同一の銘柄の40dの第2弾
性糸である。得られた生機を第1実施例と同一条件で染
色整理した。
【0018】比較例2 第2弾性糸の鎖編みを行わない以外は実施例2と同一条
件で弾性経編地を編成・染色整理して比較例2とした。
【0019】得られた実施例2及び比較例2の弾性経編
地に対して物性値を測定して、得られた結果を下記に示
す。 実施例2 比較例2 2.25kg時伸度(%)経 190 200 〃 緯 160 190 伸張回復率(%) 経 94 90 〃 緯 90 85 カール率(%) 20 60 カール角度(度) 45 180 比較例2の弾性経編地は、カール率60%、カール角度
180°とカール性が極めて悪く、縫製に際して筒状に
丸まり、取扱いが困難であった。これに対して実施例2
の弾性経編地のカール性は実施例1よりは劣るが平面で
押え付けても折れ曲がることなく、取扱い時の支障はな
かった。
【0020】実施例3 図3に本発明の弾性経編地の実施例3の組織図を示す。
図3においても図1及び図2と同様にコース番号(1)
〜(5)、ウエール番号(1)〜(5)を付し、同時に
糸通し図を付した。図3に示した実施例3の弾性経編地
は図2に示した実施例2の弾性経編地とは鎖編みの第2
弾性糸の編成方法が異る。これを第2弾性糸31で示す
と、第2弾性糸31はコース(1)においてウエール
(1)の編針の右側から筬L−2によって供給されてニ
ットし、次いでウエール方向に沿ってコース(2)にお
いて編針の右側に挿入され、次いでコース(3)におい
て編針の左側に挿入され、コース(4)では編針にニッ
トされている。すなわち1コースニットした後に2コー
ス飛ばされ、それによって第2弾性糸の使用量を減少さ
せて弾性経編地の重量を軽くすることができる。なお第
2弾性糸としては30dの登録商標ロイカS−804タ
イプを用いた。得られた生機を第1実施例と同一条件で
染色整理した。
【0021】比較例3 第2弾性糸の鎖編みを行わない以外は実施例3と同一条
件で弾性経編地を編成・染色整理して比較例3とした。
【0022】得られた実施例3及び比較例3の弾性経編
地に対して物性値を測定して、得られた結果を下記に示
す。 実施例3 比較例3 2.25kg時伸度(%)経 110 130 〃 緯 130 140 伸張回復率(%) 経 92 85 〃 緯 91 86 カール率(%) 0 10 カール角度(度) 0 90 上述のように、実施例3の弾性経編地は実際上カールが
発生しないが、比較例3ではカール率10%、カール角
度90度とカール性が劣っていた。
【0023】
【発明の効果】本発明の弾性経編地は前述のように構成
されているので、寸法安定性と耐カール性の優れた弾性
経編地となり、縫製しやすい弾性経編地であると共に、
得られた製品においても良好な耐カール性を発揮させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の弾性経編地の組織図であ
る。
【図2】本発明の実施例2の弾性経編地の組織図であ
る。
【図3】本発明の実施例3の弾性経編地の組織図であ
る。
【符号の説明】
図1において、 1〜7…非弾性糸 11〜17…第1弾性糸 21〜27…第2弾性糸 図2及び図3において、 1〜6…第1非弾性糸 11〜15…第2非弾性糸 21〜26…第1弾性糸 31〜35…第2弾性糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L002 AA06 AB02 AC00 AC01 CA01 DA01 EA00 EA06 FA01 FA02 FA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一種または複数種の非弾性糸と一種の第
    1弾性糸から成る弾性トリコット布帛のそれぞれのウエ
    ールに鎖編みの第2弾性糸が少くとも一部のコースでニ
    ットしながら配置されている安定性を有する弾性経編
    地。
  2. 【請求項2】 第2弾性糸が全てのコースでニットしな
    がら配置されていることを特徴とする請求項1記載の弾
    性経編地。
  3. 【請求項3】 2種類の非弾性糸が異なる編組織でニッ
    トされて地組織を形成し、該地組織に第1弾性糸が左右
    に振られながらニットされ、さらに鎖編みの第2弾性糸
    が少くとも一部のコースでニットしながら配置されてい
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性経編
    地。
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