JP2000311703A - 密閉型アルカリ蓄電池 - Google Patents
密閉型アルカリ蓄電池Info
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Abstract
極7と、セパレータ6と、負極集電棒4を備える密閉型
アルカリ蓄電池において、充放電サイクルの長期にわた
って電解液が外部に漏出しにくく、かつ信頼性の高い放
電スタートの密閉型アルカリ蓄電池を得る。 【解決手段】 正極活物質であるγ型オキシ水酸化ニッ
ケルがマンガンを5〜50重量%固溶しており、かつ正
極5中に含まれる電解液にリチウムイオンが含有されて
いることを特徴としている。
Description
閉型アルカリ蓄電池に関するものである。放電スタート
の蓄電池とは、予め充電することなく初回の放電を行う
ことができる蓄電池のことである。
亜鉛を負極活物質とする密閉型アルカリ蓄電池用の正極
活物質としては、二酸化マンガンが提案されている(特
公昭45−3570号公報参照)。また、亜鉛を負極活
物質とするアルカリ蓄電池の正極活物質として、酸化ニ
ッケルと二酸化マンガンを混合したものが提案されてい
る(特公昭49−114741号公報参照)。
イクルにおける可逆性が悪く、初回の放電を行った後充
電しても当初の二酸化マンガンに戻らないので、充放電
サイクルにおいて放電容量が急激に低下する。また、二
酸化マンガンの酸素過電圧が低いために、充電時に正極
側で酸素ガス(水の電気分解による)が発生して電池内
圧が上昇し、それに伴い電池外装部材の接合部における
密着性が低下して、電解液が外部に漏出しやすい。ま
た、酸化ニッケルと二酸化マンガンとの混合物を蓄電池
に用いた場合、活物質である酸化ニッケルの酸素過電圧
が低いために、二酸化マンガンを単独で使用した場合と
同様に、電池内圧が上昇しやすく漏液が起こりやすい。
して、本出願人はマンガンを固溶したγ型オキシ水酸化
ニッケルを提案している(特開平10−214621号
公報参照)。マンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッ
ケルを正極活物質として用いることにより、充放電サイ
クルの長期に渡って電解液が外部に漏出しにくい、信頼
性の高い放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池を得るこ
とができる。
蓄電池においては、さらに酸素過電圧を高め、電解液の
漏出をより完全に防止することを要求される場合があ
る。本発明の目的は、充放電サイクルの長期にわたって
電解液が外部に漏出し難い、より信頼性の高い放電スタ
ートの密閉型アルカリ蓄電池を提供することにある。
蓄電池は、電池缶と、電池缶と電気的に接触するように
電池缶内に配置される、γ型オキシ水酸化ニッケルを正
極活物質とした中空状の正極と、正極の内側に配置され
る、亜鉛を負極活物質とした負極と、正極と負極の間に
配置されるセパレータと、負極内に挿入された状態で配
置される負極集電体と、電池缶内に充填され、正極、負
極、及びセパレータ内に含浸される電解液とを備える密
閉型アルカリ蓄電池であって、γ型オキシ水酸化ニッケ
ルがマンガンを5〜50重量%固溶しており、かつ正極
中に含まれる電解液にリチウムイオンが含有されている
ことを特徴としている。
型オキシ水酸化ニッケルは、マンガン(Mn)を5〜5
0重量%固溶している。本発明におけるマンガンの固溶
量は以下の式により定義される。
シ水酸化ニッケル中のマンガン量)/(γ型オキシ水酸
化ニッケル中のニッケル及びマンガンの合計量)×10
0 本発明に従いγ型オキシ水酸化ニッケルにマンガンを固
溶させることにより、酸素過電圧を増加させることがで
きる。マンガンの固溶量が5重量%未満であると、酸素
過電圧を十分に向上させることができないため、充放電
を繰り返した際に電解液の漏れが発生する。マンガンの
固溶量が50重量%を超えると、活物質であるγ型オキ
シ水酸化ニッケルの量が相対的に減少するため、十分な
放電容量が得られない。
れる電解液にリチウムイオンが含有されている。リチウ
ムイオンを含有させることにより、酸素過電圧をさらに
高めることができ、電解液の漏出をより有効に防止する
ことができる。リチウムイオンは、電解液に水酸化リチ
ウムや炭酸リチウムなどのリチウム化合物を添加し溶解
させることにより電解液中に含有させることができる。
電解液中に含まれるリチウムイオンの濃度としては、
0.01〜0.3重量%が好ましい。なお、このリチウ
ムイオン濃度は以下の式により定義される。
中のリチウムイオンの重量)/(電解液の重量)×10
0 正極中に含まれる電解液中のリチウムイオン濃度が0.
01重量%未満であると、リチウムイオンによる酸素過
電圧の上昇が十分ではなく、リチウムイオンによる電池
の液漏れ防止の効果が十分に得られない場合がある。ま
た、0.3重量%を超えると、電解液の導電性が低下す
るため、電池の内部抵抗が上昇し、放電容量が低下する
場合がある。
は、30〜45重量%の濃度の水酸化カリウム水溶液で
あることが好ましい。また、負極及びセパレータ中に含
まれる電解液も、同様に30〜45重量%の濃度の水酸
化カリウム水溶液であることが好ましい。30重量%未
満であると、充電受け入れ性が低下するため、十分な放
電容量が得られない場合がある。また、45重量%を超
えると、正極活物質の放電生成物であるα型の水酸化ニ
ッケルの結晶構造がβ型に変化しやすくなるため、酸素
過電圧を向上させることができなくなり、充放電を繰り
返した際に電解液の漏れが発生する場合がある。
電解液の量は、マンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニ
ッケルに対して5〜20重量%であることが好ましい。
すなわち、マンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッケ
ル100重量部に対して、5〜20重量部含まれている
ことが好ましい。一般に、本発明のタイプの密閉型アル
カリ蓄電池を充放電した場合、サイクル経過時に電解液
中の水が正極活物質中に取り込まれる、いわゆるドライ
アウトと呼ばれる現象が生じる。このようなドライアウ
トが生じると、電池の内部抵抗が上昇し、放電容量が低
下する。正極中に含まれる電解液の量が、5重量%未満
となると、正極中の水が不足するため、このようなドラ
イアウトが生じやすくなる。また、正極中に含まれる電
解液が20重量%を超えると、正極活物質であるγ型水
酸化ニッケルの量が相対的に減少するため、十分な放電
容量が得られない場合がある。
中のニッケル原子の価数は、初回放電前において、すな
わち満充電状態で、3.4〜3.8価であることが好ま
しい。ニッケル原子の価数が3.4未満になると、十分
な放電容量が得られにくく、また酸素過電圧が低いため
充電時に電解液の漏れが発生する場合がある。また、一
般にオキシ水酸化ニッケルにおいては、ニッケル原子の
価数が3.8価よりも大きなものは存在しない。従っ
て、満充填状態の後にさらに充電を続けても、水が分解
して酸素ガスが発生するだけであり、ニッケル原子の価
数が3.8価を超えることはない。
ッケルは、例えば水酸化ニッケルを次亜塩素酸ナトリウ
ム(NaClO)等の酸化剤で酸化することにより得ら
れる。またニッケルの価数は、反応させる酸化剤の添加
量により調整することができる。
ッケルには、マンガン以外に、さらに亜鉛、コバルト、
ビスマス、アルミニウム、イットリウム、エルビウム、
イッテルビウム及びガドリニウムよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素が固溶されていてもよい。これ
らの元素が固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルを用いる
ことにより、正極の酸素過電圧をさらに高めることがで
きる。これらの元素の固溶量としては、0.5〜5重量
%程度が好ましい。なお、この固溶量は以下の式により
定義される。
シ水酸化ニッケル中の他の元素の量)/(γ型オキシ水
酸化ニッケル中のニッケル及び他の元素の合計量)×1
00 また、本発明においては、正極、負極、セパレータ、負
極集電体、及び電解液が、電池缶内の容積の75体積%
以上を占めることが好ましい。これにより、電池缶内に
おける活物質の充填量を高めることができ、放電容量の
高い密閉型アルカリ蓄電池とすることができる。また、
このような放電容量の高い密閉型アルカリ蓄電池におい
て、電池内圧の上昇を抑制し、充放電を繰り返した際に
電解液が外部へ漏出するのを防止することができる。
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。
の異なるγ型オキシ水酸化ニッケル、濃度の異なる水酸
化カリウム水溶液にリチウムイオンを含有させたアルカ
リ水溶液を添加して作製した正極を用いた電池A1〜A
10、二酸化マンガンに30重量%の電解液を添加した
正極活物質を使用した比較電池C1の1サイクル目の放
電容量、25サイクル目の放電容量維持率及び漏液電池
発生数を調べた。
リウム(含有量85重量%)823gを投入し、十分に
溶解させた(35重量%水酸化カリウム水溶液)。これ
に水酸化リチウム(LiOH・H2 O)を12.2g溶
解させた。原子吸光法で定量分析した結果、リチウムイ
オンが0.10重量%含有されていることを確認した。
硫酸ニッケル154.8gを溶解した水溶液を5000
ml用意し、60℃に保持したこの水溶液に、10重量
%アンモニアと10重量%水酸化ナトリウムを重量比で
1:1に混合した水溶液を滴下しpHを9.5±0.3
に保持した。pHが低下した際には混合水溶液を滴下し
pHが一定になった後1時間混合した。混合後、ろ過、
水洗し、80℃にて乾燥して、マンガンを固溶した水酸
化ニッケル粉末を得た。
溶液500mlと10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶
液1500mlの混合液に、上記のマンガンを固溶した
水酸化ニッケル粉末100gを攪拌しながら投入し、1
時間攪拌混合した後、沈殿物をろ過し、水洗し、60℃
で乾燥して、γ型オキシ水酸化ニッケルを得た。この
時、マンガンがγ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル
とマンガンの総量に対して20重量%固溶されているこ
とを原子吸光法で確認した。また、この時のニッケル原
子の価数は鉄の2価・3価の酸化還元滴定により測定し
た結果3.6であった。
ケル(正極活物質)100重量部と、黒鉛粉末10重量
部と、上記のリチウムイオンを溶解させた電解液として
の水酸化カリウム水溶液10重量部とを、らいかい機で
30分間混合し、加圧成型して、外径1.3cm、内径
0.95cm、高さ1.15cmの円筒中空状の成型体
を作製した。なお、電池の作製においては、この円筒中
空状の正極を3個直列に重ねて、全体として1個の円筒
中空状正極として使用した。
末65重量部と酸化亜鉛(ZnO)を飽和量含む40重
量%水酸化カリウム水溶液34重量部と、ゲル化剤とし
てのアクリル酸樹脂(日本純薬社製、商品名「ジュンロ
ンPW150」)1重量部とを混合して、ゲル状の負極
を作製した。
て、通称「インサイドアウト型」と呼ばれている構造
(電池缶側が正極側、電池蓋側が負極側:「アウトサイ
ド・正極型」とも呼ばれる)で、AAサイズの密閉型ア
ルカリ蓄電池(本発明電池)A1を作製した。なお、放
電容量を正極容量で規定するために、正極と負極との電
気化学的な容量を1:1.2とした(以下の電池も全て
これと同じ容量比にした)。また、負極、正極、電解
液、セパレータ、負極集電体、及び電解液からなる発電
要素体が占める体積を、電池缶内の容積に対して、80
体積%とした(以下の電池も全てこれと同じ充填率にし
た)。
示す部分断面図である。図示の密閉型アルカリ蓄電池
は、有底円筒状の正極缶(正極外部端子)1、負極蓋
(負極外部端子)2、絶縁パッキング3、真鍮製の負極
集電棒4、円筒中空状の正極(ニッケル極)5、ビニロ
ンを主材とする円筒フィルム状のセパレータ6、ゲル状
負極(亜鉛極)7などからなる。
に当接させて正極5が収納されており、該円筒中空状の
正極5の内周面には、セパレータ6が外周面を当接させ
て設けられており、セパレータ6の内側には、ゲル状の
負極7が充填されている。負極7の中央部には、正極缶
1と負極蓋2とを電気的に絶縁する絶縁パッキング3に
より一端を支持された負極集電棒(負極集電体)4が挿
入されている。正極缶1の開口部は、負極蓋2により閉
蓋されている。電池内部の密閉は、正極缶1の開口部に
絶縁パッキング3を嵌め込み、その上に負極蓋2を載置
した後、正極缶1の閉口端を内側にかしめることにより
なされている。本実施例の密閉型アルカリ蓄電池におい
て、電極缶は、正極缶1、負極蓋2及び絶縁パッキング
3から構成される。
においては中空状正極として円筒状の正極を用いている
が、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、
角筒状などの中空状正極であってもよい。
量を5.1gとしたこと以外は同様にして電池A2を作
製した。このときのマンガン固溶量は、2.5重量%で
あることを原子吸光法で確認した。
量を10.2gとしたこと以外は同様にして電池A3を
作製した。このときのマンガン固溶量は、5重量%であ
ることを原子吸光法で確認した。
量を20.2gとしたこと以外は同様にして電池A4を
作製した。このときのマンガン固溶量は、10重量%で
あることを原子吸光法で確認した。
量を101gとしたこと以外は同様にして電池A5を作
製した。このときのマンガン固溶量は、50重量%であ
ることを原子吸光法で確認した。
量を121gとしたこと以外は同様にして電池A6を作
製した。このときのマンガン固溶量は、60重量%であ
ることを原子吸光法で確認した。
(含有量85重量%)706gを投入し、十分に溶解さ
せた(30重量%水酸化カリウム水溶液)。これに水酸
化リチウム(LiOH・H2 O)を2.0g溶解させ
た。原子吸光法で定量分析した結果、リチウムイオンが
0.10重量%含有されていることを確認した。このア
ルカリ水溶液を電解液として用いたことを除いては実験
1と同様にして電池A7を作製した。このときの正極活
物質中のマンガン固溶量は20重量%である。
(含有量85重量%)1059gを投入し、十分に溶解
させた(45重量%水酸化カリウム水溶液)。これに水
酸化リチウム(LiOH・H2 O)を2.0g溶解させ
た。原子吸光法で定量分析した結果、リチウムイオンが
0.10重量%含有されていることを確認した。このア
ルカリ水溶液を電解液として用いたことを除いては実験
1と同様にして電池A8を作製した。このときの正極活
物質中のマンガン固溶量は20重量%である。
(含有量85重量%)659gを投入し、十分に溶解さ
せた(28重量%水酸化カリウム水溶液)。これに水酸
化リチウム(LiOH・H2 O)を2.0g溶解させ
た。原子吸光法で定量分析した結果、リチウムイオンが
0.10重量%含有されていることを確認した。このア
ルカリ水溶液を電解液として用いたことを除いては実験
1と同様にして電池A9を作製した。このときの正極活
物質中のマンガン固溶量は20重量%である。
(含有量85重量%)1106gを投入し、十分に溶解
させた(47重量%水酸化カリウム水溶液)。これに水
酸化リチウム(LiOH・H2 O)を2.0g溶解させ
た。原子吸光法で定量分析した結果、リチウムイオンが
0.10重量%含有されていることを確認した。このア
ルカリ水溶液を電解液として用いたことを除いては実験
1と同様にして電池A10を作製した。このときの正極
活物質中のマンガン固溶量は20重量%である。
溶解させなかったアルカリ水溶液を用いたことを除いて
は同様にして電池Xを作製した。
鉛27重量部とアセチレンブラック3重量部の混合粉末
にパラフィンの懸濁液(固形分40重量%含有)0.1
5重量部を添加し、これに二酸化マンガン150重量部
と30重量%の水酸化カリウム水溶液からなる電解液を
15重量部を添加して混合したものを用いたことを除い
て、同様にして電池Yを作製した。
容量維持率及び漏液電池発生数)正極活物質のみが異な
る上記12種の密閉型アルカリ蓄電池について、100
mAで電池電圧が1Vになるまで放電した後、100m
Aで電池電圧が1.95V(比較例2では1.65V)
に達するまで充電を行う工程を1サイクルとする充放電
サイクル試験を行って、各電池の初期放電容量、25サ
イクル目における容量維持率及び漏液電池発生数を調べ
た。
は、電池A1の1サイクル目の容量を100とした指数
である。また25サイクルにおける容量維持率は、各電
池の1サイクル目の放電容量に対する比率(%)であ
り、かつ電解液が漏出しなかった電池の容量維持率の平
均値である。
〜50重量%が好ましいことがわかる。また、電解液で
ある水酸化カリウム水溶液の濃度としては、30〜45
重量%が好ましいことがわかる。これらの範囲内とする
ことにより、サイクル特性及び耐漏液特性において特に
優れた電池とすることができる。
うに、正極に添加する電解液にリチウムイオンを添加す
ることにより、サイクル特性を高め、耐漏液特性を高め
ることができる。これは、リチウムイオンを電解液に添
加することより、充電時の酸素過電圧を高めることがで
きるからであると考えられる。
り結晶構造が変化したためであると考えられる。また耐
漏液特性が悪いのは、正極の酸素過電圧が低いためであ
ると考えられる。
リチウムイオンの添加量について検討した。実験1の電
解液作製で、水酸化リチウムの添加量を49.5g、3
6.9g、6.1g、1.2g、0.6gとしたこと以
外は同様にして電池B1〜B5を作製した。
オンの溶解量は0.4重量%、0.3重量%、0.05
重量%、0.01重量%、0.005重量%である。こ
れらB1〜B5の各電池について実験1で行ったのと同
じ条件で充放電サイクル試験を行い、1サイクル目の放
電容量並びに25サイクル目の放電容量及び漏液電池発
生数を調べた。結果を表2に示す。表2中の初期放電容
量は、電池A1の1サイクル目の容量を100とした指
数である。また25サイクルにおける容量維持率は、各
電池の1サイクル目の放電容量に対する比率(%)であ
る。A1は表1中のA1と同じ電池である。
酸化カリウム水溶液にリチウムイオンを添加することに
より、サイクル特性及び耐漏液特性に優れた電池とする
ことができる。特に、リチウムイオンの添加量を0.0
1〜0.3重量%とすることにより良好な特性が得られ
る。電池B1の放電容量が低くなっているのは、リチウ
ムイオンの含有量が多いため電解液の導電性が低くなっ
たためであると考えられる。また、電池B5の耐漏液特
性が悪くなっているのは、添加するリチウムイオンの量
が少ないため、充電時の酸素過電圧の上昇が少ないため
であると考えられる。
100重量部に対する電解液の添加量について検討し
た。35重量%水酸化カリウム(リチウムイオン0.1
0重量%含有)の添加量を、γ型オキシ水酸化ニッケル
100重量部に対して、3重量部、5重量部、20重量
部、25重量部とし、それ以外は同様にして電池C1〜
C4を作製した。従って、電池C1〜C4における、電
解液の添加量は、それぞれγ型オキシ水酸化ニッケルに
対して、3重量%、5重量%、20重量%、25重量%
である。
たのと同じ条件で充放電サイクル試験を行い、1サイク
ル目の放電容量並びに25サイクル目の放電容量及び漏
液電池発生数を調べた。結果を表3に示す。表3中の初
期放電量は、電池A1の1サイクル目の放電容量を10
0とした指数である。また25サイクルにおける容量維
持率は、各電池の1サイクル目の放電容量に対する比率
(%)である。A1は表1中のA1と同じ電池である。
としては、γ型オキシ水酸化ニッケルに対し5〜20重
量%が特に好ましいことがわかる。電池C1のサイクル
特性が悪くなっているのは、電解液の添加量が少ないた
めサイクル経過時にドライアウトが生じるためであると
考えられる。また、C4の放電容量が低いのは、電解液
の添加量が多いため、活物質であるγ型オキシ水酸化ニ
ッケルの量が相対的に少なくなっているためであると考
えられる。
中のニッケル原子の価数と放電容量及び漏液電池発生数
の関係を調べた。
ウム水溶液500mlと混合する10重量%次亜塩素酸
ナトリウム水溶液の量を、1500mlに代えて、13
50ml、1400ml、または1600mlとしたこ
と以外は電池A1の作製と同様にして、密閉型アルカリ
蓄電池D1〜D3を作製した。なおこのときのニッケル
原子の価数は、3.3、3.4、3.8である。アルカ
リ水溶液としては35重量%水酸化カリウム水溶液(リ
チウムイオン0.10重量%含有)を用い、添加量は1
0重量%とした。そして、活物質中のマンガンの固溶量
は20重量%のものを用いた。これらD1〜D3の各電
池について実験1で行ったのと同じ条件で充放電サイク
ル試験を行い、1サイクル目の放電容量並びに25サイ
クル目の放電容量及び漏液電池発生数を調べた。結果を
表4に示す。表4中の1サイクル目の放電容量は、電池
A1の1サイクル目の放電容量を100とした指数であ
る。また25サイクル目における容量維持率は、各電池
の1サイクル目の放電容量に対する比率(%)であり、
かつ電解液が漏出しなかった電池の容量維持率の平均値
である。A1は表1中のA1と同じ電池である。
くかつ電解液の漏れの少ない電池を得るためには、正極
活物質としてニッケルの原子の価数が3.4〜3.8の
γ型オキシ水酸化ニッケルを使用することが好ましいこ
とがわかる。
外に固溶させる元素の影響について検討した。なお、固
溶量の定義を以下に示す。
ッケル中のマンガン以外の固溶元素量)/(γ型オキシ
水酸化ニッケル中のニッケル量+マンガン以外の固溶元
素量)×100 (実験14) 実験1の正極の作製において硫酸マンガン、硫酸ニッケ
ル以外に硫酸亜鉛(ZnSO4 )を1.46g溶解させ
たこと以外は同様にして電池E1を作製した。このと
き、亜鉛の固溶量が1重量%、マンガンの固溶量が20
重量%であることを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸コバルト(Co
SO4 )を1.55g溶解させたこと以外は同様にして
電池E2を作製した。このとき、コバルトの固溶量が1
重量%、マンガンの固溶量が20重量%であることを原
子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硝酸ビスマス(Bi
(NO3 )3 )を0.96g溶解させたこと以外は同様
にして電池E3を作製した。このとき、ビスマスの固溶
量が1重量%、マンガンの固溶量が20重量%であるこ
とを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸アルミニウム
(Al2 (SO4 )3 )を3.74g溶解させたこと以
外は同様にして電池E4を作製した。このとき、アルミ
ニウムの固溶量が1重量%、マンガンの固溶量が20重
量%であることを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸イットリウム
(Y2 (SO4 )3 )を1.55g溶解させたこと以外
は同様にして電池E5を作製した。このとき、イットリ
ウムの固溶量が1重量%であることを発光分析法(IC
P)で確認した。また、マンガンの固溶量が20重量%
であることを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸エルビウム(E
r(SO4 )3 )を1.10g溶解させたこと以外は同
様にして電池E6を作製した。このとき、エルビウムの
固溶量が1重量%であることを発光分析法(ICP)で
確認した。また、マンガンの固溶量が20重量%である
ことを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸イッテルビウム
(Yb2 (SO4 )3 )を1.08g溶解させたこと以
外は同様にして電池E7を作製した。このとき、イッテ
ルビウムの固溶量が1重量%であることを発光分析法
(ICP)で確認した。また、マンガンの固溶量が20
重量%であることを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸ガドリニウム
(Gd2 (SO4 )3 )を1.13g溶解させたこと以
外は同様にして電池E8を作製した。このとき、ガドリ
ニウムの固溶量が1重量%であることを発光分析法(I
CP)で確認した。また、マンガンの固溶量が20重量
%であることを原子吸光法で確認した。
硫酸マンガン、硫酸ニッケル以外に硫酸エルビウムを
1.10g、硫酸アルミニウムを3.74g溶解させた
こと以外は同様にして電池E9を作製した。このとき、
エルビウムの固溶量が1重量%であることを発光分析法
(ICP)で確認した。また、アルミニウムの固溶量が
1重量%、マンガンの固溶量が20重量%であることを
原子吸光法で確認した。
で行ったのと同じ条件で充放電サイクル試験を行い、1
サイクル目の放電容量並びに25サイクル目の放電容量
及び漏液電池数を調べた。結果を表5に示す。表5中の
1サイクル目の放電容量は、電池A1の1サイクル目の
放電容量を100とした指数である。また25サイクル
における容量維持率は、各電池の1サイクル目の放電容
量に対する比率(%)であり、かつ電解液が漏出しなか
った電池の容量維持率の平均値である。A1は表1中の
A1と同じ電池である。
ガン以外に亜鉛、コバルト、ビスマス、アルミニウム、
イットリウム、エルビウム、イッテルビウム及びガドリ
ニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を固溶さ
せても優れた特性が得られることがわかる。
にわたって電解液が外部に漏出しにくい、信頼性の高い
放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池とすることができ
る。
を示す部分断面図。
Claims (6)
- 【請求項1】 電池缶と、前記電池缶と電気的に接触す
るように前記電池缶内に配置される、γ型オキシ水酸化
ニッケルを正極活物質とした中空状の正極と、前記正極
の内側に配置される、亜鉛を負極活物質とした負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、前
記負極内に挿入された状態で配置される負極集電体と、
前記電池缶内に充填され、前記正極、前記負極、及び前
記セパレータ内に含浸される電解液とを備える密閉型ア
ルカリ蓄電池であって、 前記γ型オキシ水酸化ニッケルがマンガンを5〜50重
量%固溶しており、かつ前記正極中に含まれる電解液に
リチウムイオンが含有されていることを特徴とする密閉
型アルカリ蓄電池。 - 【請求項2】 前記電解液中のリチウムイオン濃度が
0.01〜0.3重量%であることを特徴とする請求項
1に記載の密閉型アルカリ蓄電池。 - 【請求項3】 前記正極中に含まれる電解液が30〜4
5重量%の濃度の水酸化カリウム水溶液であることを特
徴とする請求項1または2に記載の密閉型アルカリ蓄電
池。 - 【請求項4】 前記正極中に含まれる電解液の量が、マ
ンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルに対して5
〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の密閉型アルカリ蓄電池。 - 【請求項5】 初回放電前の前記γ型オキシ水酸化ニッ
ケル中のニッケル原子の価数が3.4〜3.8価である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
密閉型アルカリ蓄電池。 - 【請求項6】 前記γ型オキシ水酸化ニッケルに、マン
ガン以外に、さらに亜鉛、コバルト、ビスマス、アルミ
ニウム、イットリウム、エルビウム、イッテルビウム及
びガドリニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素が固溶していることを特徴とする請求項1〜5の
いずれか1項に記載の密閉型アルカリ蓄電池。
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---|---|---|---|
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JP12136699A JP3902351B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 密閉型アルカリ蓄電池 |
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---|---|
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JP3902351B2 JP3902351B2 (ja) | 2007-04-04 |
Family
ID=14809478
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP12136699A Expired - Lifetime JP3902351B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 密閉型アルカリ蓄電池 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3902351B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002041422A1 (en) * | 2000-11-17 | 2002-05-23 | Toshiba Battery Co., Ltd. | Enclosed nickel-zinc primary battery, its anode and production methods for them |
WO2004021484A1 (en) * | 2002-08-28 | 2004-03-11 | The Gillette Company | Alkaline battery including nickel oxyhydroxide cathode and zinc anode |
-
1999
- 1999-04-28 JP JP12136699A patent/JP3902351B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2002041422A1 (en) * | 2000-11-17 | 2002-05-23 | Toshiba Battery Co., Ltd. | Enclosed nickel-zinc primary battery, its anode and production methods for them |
US7238447B2 (en) | 2000-11-17 | 2007-07-03 | Toshiba Battery Co., Ltd. | Enclosed nickel-zinc primary battery its anode and production methods for them |
US7594938B2 (en) | 2000-11-17 | 2009-09-29 | Toshiba Battery Co., Ltd. | Enclosed nickel-zinc primary battery, its anode and production methods for them |
US7851087B2 (en) | 2000-11-17 | 2010-12-14 | Toshiba Battery Co., Ltd. | Enclosed nickel-zinc primary battery, its anode and production methods for them |
WO2004021484A1 (en) * | 2002-08-28 | 2004-03-11 | The Gillette Company | Alkaline battery including nickel oxyhydroxide cathode and zinc anode |
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JP3902351B2 (ja) | 2007-04-04 |
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