JP2000304486A - 熱交換器およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮組み作業性を向上し、各部材を正確に位置
決めした状態でろう付けでき、ろう付け不良等のおそれ
のない高品質の熱交換器およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ヘッダタンクに複数の熱交換媒体流通用
チューブが挿入、接合されるとともに、前記ヘッダタン
クの端部にサイドプレートが接合される熱交換器におい
て、前記ヘッダタンクの端部に、ヘッダタンクの端面側
に開口する切欠部を形成するとともに、前記サイドプレ
ートの端部に前記切欠部に嵌合する突起部を設けたこと
を特徴とする熱交換器およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数の熱交換媒体
流通チューブが挿入、嵌合されるヘッダタンクの端部に
サイドプレートが接合される熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、一対のヘッダタンクと、該ヘ
ッダタンクを互いに連通する複数のチューブを有する熱
交換器はよく知られている。また、このような熱交換器
においては、熱交換器の構造的強度を向上するととも
に、外側に配列されるチューブの変形防止等を目的と
し、チューブの積層部の外側にはサイドプレートが設け
られている。

【０００３】また、上記のような熱交換器は、各部材を
仮組み状態（アセンブリ状態）にした後に、炉中におい
て各部材が一括してろう付けされるようになっている。
つまり、ヘッダタンクにチューブを挿入するとともに、
サイドプレートを取り付けて各部材が一括してろう付け
されるようになっている。

【０００４】ところで、上記サイドプレートの取り付け
方法（仮固定方法）としてはヘッダタンクのチューブ挿
入側の外面に凹部を設け、該凹部にサイドプレートの先
端を嵌め込んでサイドプレートを仮固定する方法（たと
えば、特開平４−３４００９３号公報）、あるいは、ヘ
ッダタンクの一部を該タンクの長手方向に延設し、該延
設部に挿入穴を設けてサイドプレートの先端を挿入して
サイドプレートを仮固定する方法（たとえば、特開平５
−２４８７８３号公報）のような提案がなされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような提案においては、サイドプレートの先端をヘッダ
タンクのチューブ挿入方向から挿入等しなければサイド
プレートの仮固定構造は形成されない。このため、ヘッ
ダタンクへの複数のチューブの挿入と同時にサイドプレ
ートを取り付けなければならず、仮組み作業性が著しく
低下するおそれがある。さらに、各部材の位置決め精度
が低下しチューブに歪み等が発生するおそれもある。

【０００６】本発明の課題は、熱交換器の仮組み作業性
および各部材の位置決め精度を向上することにより、ろ
う付け性を向上した高品質の熱交換器およびその製造方
法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の熱交換器は、ヘッダタンクに複数の熱交換
媒体流通用チューブが挿入、接合されるとともに、前記
ヘッダタンクの端部にサイドプレートが接合される熱交
換器において、前記ヘッダタンクの端部に、ヘッダタン
クの端面側に開口する切欠部を形成するとともに、前記
サイドプレートの端部に前記切欠部に嵌合する突起部を
設けたことを特徴とするものからなる。

【０００８】上記切欠部は、ヘッダタンクの端面から内
側に向かって幅が広がるあり溝形状であることが好まし
い。切欠部をあり溝形状にすれば、切欠部と突起との嵌
合強度を一層向上することができ、仮組時におけるサイ
ドプレートの位置ずれ等を確実に防止できるので、ろう
付け性をさらに向上することができる。

【０００９】上記ヘッダタンクの端部にはエンドキャッ
プを設けることができる。エンドキャップはヘッダタン
クの端面に接合することも可能であるが、良好な気密性
を確保する観点から、エンドキャップはヘッダタンクの
端部に嵌入されることが好ましい。また、エンドキャッ
プがヘッダタンクの端部に嵌入される場合には、エンド
キャップとヘッダタンクの端面とが面一になることが好
ましい。

【００１０】また、エンドキャップをヘッダタンクの端
部に嵌入する場合には、エンドキャップの嵌入代を規制
するための係止部をヘッダタンクの内面に設けることが
好ましい。このような、係止部は、たとえばヘッダタン
クに形成された段部とすることができ、該段部の深さと
エンドキャップの厚みを略同一にすれば、エンドキャッ
プとヘッダタンクの端面とを面一にすることができる。
なお、ヘッダタンクへの切欠部の形成は、ブレス加工に
より行われることが好ましい。プレス加工により切欠部
を形成する場合には、切欠部の周縁には多かれ少なかれ
ヘッダタンクの内面側に突出する肉ずれ（いわゆるバ
リ）が生じるので、該肉ずれをエンドキャップの係止部
として利用することもできる。

【００１１】上記エンドキャップの外周面は、ヘッダタ
ンクの内部側から端面側に向かって末広がりとなるテー
パ面に形成されることが好ましい。エンドキャップの外
周面を上記のようなテーパ面に形成すれば、エンドキャ
ップをヘッダタンクの端部に嵌入する場合に、エンドキ
ャップがヘッダタンクの内側に嵌入されるほどテーパ面
とヘッダタンクの内側がより強く当接することになるの
で、上記係止部を省略しつつ、あるいは上記係止部によ
る作用と相まってエンドキャップを所定の位置に確実に
仮固定できる。

【００１２】また、上記課題を解決するために、本発明
の熱交換器の製造方法は、ヘッダタンクに複数の熱交換
媒体流通用チューブが挿入されるとともに、前記ヘッダ
タンクの端部にサイドプレートが接合される熱交換器を
製造するに際し、前記ヘッダタンクにチューブを挿入し
た後に、前記ヘッダタンクの端部に形成した、ヘッダタ
ンクの端面側に開口する切欠部に、サイドプレートの端
部に設けた突起部を嵌合することによりサイドプレート
をヘッダタンクに取り付けることを特徴とする方法から
なる。

【００１３】上記切欠部は、ヘッダタンクの端面から内
側に向かって幅が広がるあり溝に形成されることが好ま
しい。この場合は、切欠部の開口側端縁を拡開して、サ
イドプレートの突起部を切欠部に挿入した後に、上記拡
開された端縁をかしめれば、ヘッダタンクにチューブを
挿入した後であっても該ヘッダタンクにサイドプレート
を容易にしかも強固に仮固定することができる。

【００１４】上記のような熱交換器およびその製造方法
においては、ヘッダタンクの端部には端面側に開口する
切欠部が形成されるとともに、サイドプレートの端部に
は上記切欠部に嵌合する突起部が設けられているので、
ヘッダタンクにチューブを挿入した後であっても、切欠
部に突起部を容易に嵌合することができ、サイドプレー
トをヘッダタンクに取り付けることができる。このた
め、従来のようにヘッダタンクへのチューブの挿入と同
時にサイドプレートを取り付ける必要はなく、チューブ
の挿入、サイドプレートの取り付けを切り離して行うこ
とが可能となるので、チューブの歪み等を防止しつつ、
各部材を位置決め精度よくしかも強固に仮固定してろう
付けすることができ、良好なろう付け性を確保すること
ができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に本発明の熱交換器およびそ
の製造方法の望ましい実施の形態について、図面を参照
して説明する。図１ないし図６は、本発明の第１実施態
様に係る熱交換器を示している。図において、１は熱交
換器を示している。熱交換器１は、ヘッダタンク２、３
と、該タンク２、３を互いに連通する熱交換媒体流通用
チューブ４と該チューブ４間に配置されたフィン５とを
有している。また、最外側のフィン５の外側にはサイド
プレート６、７が設けられている。

【００１６】ヘッダタンク２、３の端部にはヘッダタン
クの端面側に開口する切欠部８、９が形成されている。
一方、サイドプレート６、７の端部には、切欠部８、９
に嵌合する突起部１０、１１が設けられている。

【００１７】切欠部８、９は、図２、図６に示すように
ヘッダタンク２、３の端面１６、１７から内側に向かっ
て幅が広がるあり溝形状に形成されている。

【００１８】また、ヘッダタンク２、３の端部には、エ
ンドキャップ１２、１３が設けられており、該エンドキ
ャップ１２、１３によりヘッダタンク２、３の端部が閉
塞されるようになっている。エンドキャップ１２、１３
の外周面１４、１５は図３、図５に示すようにヘッダタ
ンクの内部側から端面側に向かって末広がりになるテー
パ面に形成されている。したがって、エンドキャップ１
２、１３をヘッダタンク２、３の端部に嵌入した場合に
は、テーパ面である外周面１４、１５がヘッダタンク
２、３の内面に徐々に強く当接され、所定の位置におい
て正確に位置決めされるようになっている。なお、ヘッ
ダタンク２、３への切欠部８、９の形成をプレス加工等
により行う場合には、切欠部８、９の周縁にヘッダタン
ク２、３の内面に突出する肉ずれ（いわゆる、バリ）が
多かれ少なかれ形成されるので、上記肉ずれをエンドキ
ャップの位置決めに利用することもできる。

【００１９】そして、本実施態様においては、図３、図
４に示すようにエンドキャップ１２、１３はヘッダタン
ク２、３の端面１６、１７と面一になるように嵌入され
ている。また、本実施態様においては、エンドキャップ
１２、１３が、ヘッダタンク２、３の端部に嵌入される
と図４に示すように、該エンドキャップ１２、１３の外
周面１４、１５が切欠部８、９と突起部１０、１１との
嵌合部をヘッダタンク２、３の内面から覆うようになっ
ている。

【００２０】本実施態様のような熱交換器１は、以下の
ような方法により製造される。まずはじめに、ヘッダタ
ンク２、３にチューブ４を挿入するとともに、該チュー
ブ間にフィン５を配設する。次に、ヘッダタンク２、３
の端部に設けられた切欠部８、９の開口側端縁を拡開し
（図６（ａ））、該切欠部８、９にサイドプレート６、
７の突起部１０、１１を挿入する（図６（ｂ））。そし
て、切欠部８、９の開口側端縁をかしめることによりサ
イドプレート６、７を仮固定する（図６（ｃ））。さら
に、このように仮組み（アセンブリ状態）の熱交換器１
を炉中において一括ろう付けし熱交換器１が完成する。
なお、切欠部８、９の開口端縁の拡開は、ヘッダタンク
２、３へのチューブ４の挿入前に行うこともできる。

【００２１】したがって、本実施態様の熱交換器１にお
いては、ヘッダタンク２、３にチューブ４を挿入した後
に、サイドプレート６、７を仮固定することができるの
で、従来、チューブの挿入とサイドプレートの取り付け
を同時に行っていた場合に比べ仮組み作業効率を大幅に
向上することができる。また、切欠部８、９はあり溝に
形成されているので、サイドプレート６、７を位置決め
精度よく、しかも強固に仮固定することができ、ろう付
け性を向上することができる。

【００２２】また、切欠部８、９と突起部１０、１１の
嵌合部は、エンドキャップ１２、１３の外周面１４、１
５によりヘッダタンク２、３の内面から覆われているの
で、該嵌合部とエンドキャップ２、３の外周面１４、１
５とがろう付けされる結果、該部分の気密性を確保する
ことができる。

【００２３】図７は、本発明の第２実施態様に係る熱交
換器を示している。本実施態様においては、ヘッダタン
ク１８、１９の端部の内面には、エンドキャップ２０、
２１のヘッダタンク１８、１９の内側への移動を規制す
る係止部として段部２２、２３が形成されている。段部
２２、２３のヘッダタンク１８、１９の端面２４、２５
からの深さは、エンドキャップ２０、２１の厚みと略同
一になっており、端面２４、２５とエンドキャップ２
０、２１は略面一になるようになっている。

【００２４】また、本実施態様においても、ヘッダタン
ク１８、１９の端部には、端面２４、２５に開口するあ
り溝形状の切欠部２６、２７が設けられており、サイド
プレート２８、２９の端部には、切欠部２６、２７に嵌
合可能な突起部３０、３１が設けられている。

【００２５】本実施態様においても、上記第１実施態様
に準じた作用により、仮組み作業性およびろう付け性を
大幅に向上することができる。

【００２６】図８、図９は、本発明の第３実施態様に係
る熱交換器を示している。ヘッダタンク３２、３３に
は、複数のチューブ３４が挿入、接合されている。ヘッ
ダタンク３２、３３の端部には、端面３５、３６に開口
する切欠部３７、３８が設けられている。切欠部３７、
３８は図８に示すようにあり溝形状になっている。一
方、サイドプレート３９、４０の端部には、切欠部３
７、３８に嵌合する突起部４１、４２が設けられてい
る。

【００２７】ヘッダタンク３２、３３の端部は、エンド
キャップ４３、４４により閉塞されている。本実施態様
においては、ヘッダタンク３２、３３の端面３５、３６
にエンドキャップ４３、４４が接合されるようになって
いる。

【００２８】また、エンドキャップ４３、４４には、ヘ
ッダタンク３２、３３の内側に向かって突出する凸部４
５、４６が設けられている。そして、エンドキャップ４
３、４４がヘッダタンク３２、３３に接合された際に
は、凸部４５、４６はヘッダタンク３２、３３内へ嵌入
され、凸部４５、４６の周面とヘッダタンク３２、３３
の内面が当接するようになっている。したがって、本実
施態様においても、切欠部３７、３８と突起部４１、４
２との嵌合部がヘッダタンク３２、３３の内面からエン
ドキャップ４３、４４により覆われるようになってい
る。

【００２９】本実施態様においても、ヘッダタンク３
２、３３に対してチューブ３４を挿入した後に、該ヘッ
ダタンク３２、３３に対してサイドプレート３９、４０
を取り付けることができるので、仮組み作業性が向上
し、各部材が所定の位置に正確に仮固定され、ろう付け
性を向上することができる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の熱交換器お
よびその製造方法によるときは、熱交換器の仮組み作業
性が向上し、各部材を正確に位置決めした状態でろう付
けすることができるので、ろう付け不良等のおそれのな
い高品質の熱交換器を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施態様に係る熱交換器の正面図
である。

【図２】図１の熱交換器の部分分解斜視図である。

【図３】図１の熱交換器の部分斜視図である。

【図４】図１の熱交換器のヘッダタンク端部の拡大断面
図である。

【図５】図１の熱交換器のエンドキャップの側面図であ
る。

【図６】図１の熱交換器のヘッダタンクにサイドプレー
トを仮固定する際の工程図である。

【図７】本発明の第２実施態様に係る熱交換器のヘッダ
タンクの端部の拡大断面図である。

【図８】本発明の第３実施態様に係る熱交換器の部分分
解斜視図である。

【図９】本発明の第３実施態様に係る熱交換器の部分斜
視図である。

【符号の説明】

１ 熱交換器 ２、３、１８、１９、３２、３３ ヘッダタンク ４、３４ 熱交換媒体流通用チューブ ５ フィン ６、７、２８、２９、３９、４０ サイドプレート ８、９、２６、２７、３７、３８ 切欠部 １０、１１、３０、３１、４１、４２ 突起部 １２、１３、２０、２１、４３、４４ エンドキャップ １４、１５ 外周面 １６、１７、２４、２５、３５、３６ 端面 ２２、２３ 段部 ４５、４６ 凸部

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッダタンクに複数の熱交換媒体流通用
   チューブが挿入、接合されるとともに、前記ヘッダタン
   クの端部にサイドプレートが接合される熱交換器におい
   て、前記ヘッダタンクの端部に、ヘッダタンクの端面側
   に開口する切欠部を形成するとともに、前記サイドプレ
   ートの端部に前記切欠部に嵌合する突起部を設けたこと
   を特徴とする熱交換器。
2. 【請求項２】 前記切欠部が、ヘッダタンクの端面から
   内側に向かって幅が広がるあり溝形状に形成されてい
   る、請求項１の熱交換器。
3. 【請求項３】 前記ヘッダタンクの端部にエンドキャッ
   プが設けられている、請求項１または２の熱交換器。
4. 【請求項４】 前記エンドキャップが、前記ヘッダタン
   クの端部に嵌入されている、請求項３の熱交換器。
5. 【請求項５】 前記エンドキャップがヘッダタンクの端
   面と面一に接合されている、請求項４の熱交換器。
6. 【請求項６】 前記ヘッダタンクの内面に、前記エンド
   キャップを係止する係止部が設けられている、請求項４
   または５の熱交換器。
7. 【請求項７】 前記係止部がヘッダタンクに形成された
   段部であり、該段部の深さとエンドキャップの厚みが略
   同一である、請求項６の熱交換器。
8. 【請求項８】 前記エンドキャップが、前記切欠部と突
   起部との嵌合部をヘッダタンクの内面から覆っている、
   請求項４ないし７のいずれかに記載の熱交換器。
9. 【請求項９】 前記エンドキャップの外周面が、ヘッダ
   タンクの内部側から端面側に向かって末広がり状となる
   テーパ面に形成されている、請求項４ないし８のいずれ
   かに記載の熱交換器。
10. 【請求項１０】 ヘッダタンクに複数の熱交換媒体流通
    用チューブが挿入されるとともに、前記ヘッダタンクの
    端部にサイドプレートが接合される熱交換器を製造する
    に際し、前記ヘッダタンクにチューブを挿入した後に、
    前記ヘッダタンクの端部に形成した、ヘッダタンクの端
    面側に開口する切欠部に、サイドプレートの端部に設け
    た突起部を嵌合することによりサイドプレートをヘッダ
    タンクに取り付けることを特徴とする、熱交換器の製造
    方法。
11. 【請求項１１】 前記切欠部をヘッダタンクの端面から
    内側に向かって幅が広がるあり溝形状に形成し、該切欠
    部の開口側端縁を拡開し、前記サイドプレートの突起を
    切欠部に挿入した後に、前記拡開された端縁をかしめ
    る、請求項１０の熱交換器の製造方法。