JP2000304195A - 円筒型貯槽の上部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮設足場の建造が不要で、作業工程を短縮で
きる円筒型貯槽の上部構造を提供しようとする。 【解決手段】 従来のサスペンションデッキ方式の円筒
型貯槽の上部構造に代えて、外槽上部を覆う外槽屋根１
３と、中央部の円形床５１と複数のリング状床５２？５
６とを有し内槽上部を覆うデッキ５０と、その外槽屋根
の下部からデッキを支持する吊り構造４０と、上記デッ
キの上面に隙間なく積まれた断熱部材６０とを備え、リ
ング状床の上面と外屋根との隙間が略所定間隔になるよ
うに、リング状床が円形床を中心にして同心円状に配置
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液化天然ガス等の
液体を貯蔵する円筒型貯槽の上部構造に係り、更に詳し
くは、従来に比べ建造工程が少なく、作業が容易な円筒
型貯槽の上部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】液化天然ガス、液化プロパンガス等の低
温液体を貯蔵するために、円筒型貯槽が用いられる。円
筒型貯槽には各種の形式があり、内槽の断熱方法として
サスペンションデッキ方式がある。以下に、サスペンシ
ョンデッキ方式を採用した地下式２重貯槽の構造を説明
する。図３は、この貯槽の概略断面図である。円筒型貯
槽は、外槽１０と内槽３０との二重構造をしている。外
槽１０は、外槽底板１１と外槽側板１２と外槽屋根１３
とを有する。外槽底板１１と外槽側板１２はコンクリー
ト製である。外槽屋根１３は、外槽屋根板１４とその上
層を覆うコンクリート製の外槽屋根上部１６とを有す
る。外槽屋根板１４は、外槽側板１２の上端に設けられ
たナックルプレート１５に接合されている。内槽３０
は、内槽底板３１と内槽側板３２とを備える。内槽底板
３１と内槽側板３２とは低温材料でできている。外槽底
板１１の上面に底部断熱部材２１が配置され、その上に
内槽底板３１がのっている。外槽側板１２と内槽側板３
２の隙間には、側部断熱部材２２が挟まれている。円形
平板状のデッキ８０が、内槽の開放した上面を覆ってい
る。吊り構造４０が、外槽屋根１３の下部から下がり、
デッキ８０を吊っている。デッキ８０の上面には、パー
ライトを主材料とした断熱部材６０が敷き詰められてい
る。このデッキ８０のことを、サスペンションデッキと
呼称している。

【０００３】以下に、このサスペンションデッキ方式を
採用した円筒型貯槽の建造工程を簡単に説明する。図４
は建造工程を現したフロー図である。 （第Ａ工程）地下に穴を掘り、コンクリート製の外槽底
板１１と外槽側板１２を建造する。外槽側板１２の上端
部にはナックルプレート１５が設けられる。（第Ｂ工
程）外槽の底部中央に作業足場９０を組む。（第Ｃ工
程）予め工場にて分割して建造された外槽屋根板１４の
複数のブロックをおろし、作業足場９０上で溶接し組み
立てる。この際、溶接組立作業の足場を確保するため、
外槽底部に仮設足場を組んだり、リフト台車を導入した
りする。（第Ｄ工程）外槽屋根板１４が完成したら、作
業足場９０を撤去する。（第Ｅ工程）デッキ８０を外槽
底板１１上で溶接組立てる。（第Ｆ工程）デッキ８０が
完成すると、外槽外屋根から下ろした吊り構造４０とデ
ッキ８０をつなぐ。（第Ｇ工程）外槽屋根板１４と外槽
側板１２の隙間を仮屋根で褶動可能にシールし、外槽屋
根板１４の下部に圧縮エアーを導入し、外槽屋根板１４
とデッキ８０と吊り構造４０の一体構造を持ち上げる。
外槽屋根板１４と外槽側板上端のナックルプレート１５
を溶接接合する。（第Ｈ工程）外槽底板１１の上部に底
部断熱部材２１と内槽底板３１を設置し、外槽側板１２
の内面に側部断熱部材２２と内槽側板３２とを設置す
る。さらに、デッキ８０の上面に断熱部材６０を敷き詰
める、外槽屋根板１４の上面をコンクリート１６で覆
い、補器（図示せず）を設置して、概略完成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の構造の
貯槽を建造するには上述の様に、外槽の底部で外槽屋根
板１４を組み立てるのに、大掛かりな仮設足場やリフト
台車を必要とする。そのため、外槽屋根板１４の下に大
規模な仮設足場を建設する必要があり、作業が大掛かり
なり、作業時間がかかるという問題があった。また、外
槽屋根板１４を組み立てる時には、外槽底部に作業足場
９０を設置し、作業員の足場を確保するため、外槽底部
に仮設足場を組んだり、作業台車を導入するので、外槽
屋根板１３の組立工程が完了した後でなければ、外槽底
部でデッキ８０を組み立てることができない。そのため
に貯槽の建設工程を短縮できないという問題があった。

【０００５】本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出さ
れたもので、従来の円筒型貯槽の上部構造にかわって、
仮設足場の建造が不要で、作業工程を短縮できる円筒型
貯槽の上部構造を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る内槽と外槽とを有し液体を貯蔵するための
円筒型貯槽の上部構造は、外槽上部を覆う外槽屋根（１
３）と、中央部の円形床（５１）と複数のリング状床
（５２？５６）とを有し内槽上部を覆うデッキ（５０）
と、その外槽屋根の下部からデッキを支持する吊り構造
（４０）とを備え、前記リング状床の上面と外槽屋根と
の隙間が略所定間隔になるように、リング状床が円形床
を中心にして同心円状に配置されるものとした。

【０００７】上記本発明の構成により、外槽屋根（１
３）は、外槽の上部を覆って、外槽の上部を密閉でき
る。吊り構造（４０）は、外屋根の下面からデッキを吊
って支えることができる。デッキ（５０）は、中央部の
円形床と複数のリング状床とを有し、リング状床の上面
と外屋根との隙間が略所定間隔になるように、リング状
床が円形床を中心にして同心円状に配置され、内槽上部
を覆うことができる。

【０００８】さらに、本発明に係る上記デッキ（５０）
の上面に隙間なく積まれた断熱部材（６０）を備えたも
のとした。上記本発明の構成により、断熱部材が、上記
デッキの上面に隙間なく積まれ、デッキ上部にある外屋
根の隙間と内槽の内部との熱の伝導、伝達を抑制でき
る。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通
する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略す
る。

【００１０】本発明の円筒型貯槽の上部構造の実施の形
態を説明する。図１は、本発明の実施形態の断面図であ
り、図２は組み立て工程概略図である。

【００１１】円筒型貯槽は、外槽１０と内槽３０と断熱
部材２０とデッキ５０と吊り構造４０を備える。外槽１
０は、外槽底板１１と外槽側板１２と外槽屋根１３とを
有する。外槽底板１１と外槽側板１２はコンクリート製
である。外槽底板１１は円板構造をし、円筒構造の外槽
側板１２がその外槽底板１１の周囲から立ち上がり、外
槽側板１２の上面を外槽屋根１３が覆っている。外槽屋
根１３は、中央部が上に凸の鏡板形状をしている。外槽
屋根１３は、外槽屋根板１４とその上層を覆うコンクリ
ート製の外槽屋根上部１６とを有する。外槽屋根１３の
外槽屋根板１４は、外槽側板１２の上端に設けられたナ
ックルプレート１５に接合されている。ナックルプレー
ト１５とは、鏡板形状の外槽屋根１３の外周部の一定の
幅部分の肉厚の金属板でできている部分をいう。内槽３
０は、内槽底板３１と内槽側板３２を備える。断熱部材
２０は、底部断熱部材２１と側部断熱部材２２と上部断
熱部材６０を有する。底部断熱部材２１が外槽底板１１
の上面を覆い、さらに内槽底板３１がその上を覆ってい
る。側部断熱部材２２が外槽側板１２の内側面を覆い、
さらに内槽側板３２がその内側面を覆っている。デッキ
５０は、１つの円形床５１と複数のリング状床５２、５
３、５４、５５、５６を有する。吊り構造４０は、複数
の吊り部材を有する。複数のリング状床５２、５３、５
４、５５、５６は、円形床５１を中心として同心円状に
配置される。説明の便宜上、複数のリング状床を第１の
リング状床５２、第２のリング状床５３、、、第Ｎのリ
ング状床５６と呼称する。円形床５１の回りを、第１の
リング状床５２が囲い、その第１のリング状床５２の周
囲を第２のリング状床５３が囲い、第Ｎのリング状床５
６が最外周を囲っている。各リング状床は、外周に行く
に従い、下方向へ幾分下がった位置に設置され、外槽屋
根１３の下面とデッキ５０の円形床５１及び複数のリン
グ状床５２、５３、５４、５５、５６の上面との間隔は
略所定の距離を維持している。所定の距離とは、作業員
がデッキ状に立って上方の外槽屋根の溶接組立作業がで
きるほどの高さであり、かつ内槽３０内部の断熱のため
に必要な厚さの断熱部材６０をデッキ５０上に積層でき
る距離である。例えば、断熱部材６０の厚さとして、最
低０．９メータ程度の距離が必要である。吊り構造４０
は、外槽屋根１３の下面とデッキ５０の円形床５１と複
数のリング床５２、５３、５４、５５、５６をつないで
いる。断熱部材６０がデッキ５０の上面に隙間なく積層
されている。断熱部材６０は断熱に適当な、例えばパー
ライトブロックやパーライト粉末が用いられる。

【００１２】次に、円筒型貯槽の上部構造の実施の形態
の建造工程のうち、特に上部構造の建造工程を中心に説
明する。 （第Ａ工程）地下に穴を掘り、コンクリート製の外槽底
板１１と外槽側板１２を建造する。この際、外槽側板１
２の上部には、ナックルプレート１５を取り付けてお
く。（第Ｂ工程）外槽の底部中央に作業足場９０を設置
する。（第Ｃ工程）予め工場にて分割して建造された外
槽屋根板１４の複数のブロックをおろし、作業足場９０
上で溶接組み立てる。この外槽屋根板１４は、下部にブ
ロックに分割された円形床５１とリング状床５２、５
３、５４、５５、５６が吊り構造４０で繋がれている。
作業員は、デッキ５０上に乗って、外槽屋根板１４とデ
ッキ５０のブロックを溶接組立する。外槽屋根板１４と
デッキ５０との間は所定の隙間でできているので、作業
員は安全かつ快適な作業環境で作業をすることができ
る。（第Ｄ工程）外槽外屋根板１４とデッキ５０が一体
となって完成したら、作業足場を撤去する。（第Ｅ工
程）外槽外屋根板１４と外槽側板１２の隙間を仮屋根で
褶動可能にシールし、外槽屋根板１４の下部に圧縮エア
ーを導入し、外槽外屋根板１４とデッキ５０と吊り構造
４０との一体構造を持ち上げる。外槽屋根板１４が所定
の位置に上がったら、外槽屋根板１４と外槽側板上部の
ナックルプレート１５を溶接接合する。（第Ｆ工程）外
槽底板の上部に断熱部材２１と内槽底板３１を設置し、
外槽側板１２の内面に断熱部材２２と内槽側板３２とを
設置する。さらに、デッキ５０の上面に断熱部材６０を
敷き詰める、外槽外屋根１４の上面とコンクリート１６
で覆い、補器を設置して、貯槽が完成する。

【００１３】本実施形態の円筒型貯槽の上部構造を採用
すると、外槽屋根と吊り構造とデッキを一体として予め
所定の形状に分割したものを工場で建造し、外槽底部で
組み立てることができる。外槽屋根と吊り構造とデッキ
の建造工程を時系列におこなっていた従来工法に比べ、
上部構造の建造が容易で、建造時間を短縮することがで
きる。また、外槽屋根の建造時に、外槽屋根の下に吊り
部材に吊られたデッキを作業足場として利用することが
できるので、従来工法の様に別個の作業台車や大掛かり
な作業足場の建造、撤去作業が不要となる。従って、工
程時間が短縮できる。また、デッキ上に断熱材を設置で
きるので、従来の様に外層屋根の下部に別個のサスペン
ションデッキを設ける必要がなく、建造工程が省略でき
る。

【００１４】本発明は以上に述べた実施形態に限られる
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変
更が可能である。例えば、デッキの円形床やリング状床
は必ずしも真円に限定されず、例えば略円形をした多角
形でもよい。また、デッキの床は必ずしも水平に限定さ
れず、作業に際仕えない程度の傾斜してもよい。当然、
外槽屋根とサスペンションデッキには補機のために貫通
口等があいていてよい。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明の円筒型貯槽
の上部構造は、その構成により、以下の効果を有する。
外槽屋根は、外槽の上部を覆うので、外槽を密閉でき
る。吊り構造は、外屋根の下面からデッキを吊って支え
るので、デッキを内槽の上面を覆うように位置決めをす
ることができる。デッキは、円形床及びリング状床と外
屋根との隙間が略所定間隔になるようにリング状床が階
段状に配置され、中央部の円形床と複数のリング状床と
で構成され、内槽上部を覆うことができるので、吊り屋
根とデッキと吊り構造とを一体で建造されたブロックを
外槽底部で組み立てることができ、さらに、外槽屋根と
デッキを溶接、組立する際に、作業員が円形床及びリン
グ状床と外屋根との隙間に入り、デッキに身体を安全に
あずけて、作業をすることができる。さらに、断熱部材
が上記デッキの上面に隙間なく積まれているので、デッ
キ上部にある外屋根の隙間と内槽の内部との熱の伝導、
伝達を妨げることができるので、従来の様に、外層屋根
の下部に別個のサスペンションデッキを設ける必要がな
く、建造工程が省略できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の正面の断面図である。

【図２】本発明の実施形態の建造工程概念である。

【図３】従来の正面の断面図である。

【図４】従来の建造工程概念である。

【符号の説明】

１０ 外槽 １１ 外槽底部 １２ 外槽側板 １３ 外槽屋根 １４ 外槽屋根板 １５ ナックルプレート １６ 外槽屋根上部 ２０ 断熱部材 ２１ 底部断熱部材 ２２ 側部断熱部材 ３０ 内槽 ３１ 内槽底部 ３２ 内槽側板 ４０ 吊り構造（吊り部材） ５０ デッキ ５１ 円形床 ５２ 第１のリング状床 ５３ 第２のリング状床 ５４ 第３のリング状床 ５５ 第４のリング状床 ５６ 第Ｎのリング状床 ６０ 断熱部材 ７０ 液体 ８０ デッキ（従来タイプ）

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【手続補正書】

【提出日】平成１１年５月１８日（１９９９．５．１
８）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正内容】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る内槽と外槽とを有し液体を貯蔵するための
円筒型貯槽の上部構造は、外槽上部を覆う外槽屋根（１
３）と、中央部の円形床（５１）と複数のリング状床
（５２−５６）とを有し内槽上部を覆うデッキ（５０）
と、その外槽屋根の下部からデッキを支持する吊り構造
（４０）とを備え、前記リング状床の上面と外槽屋根と
の隙間が略所定間隔になるように、リング状床が円形床
を中心にして同心円状に配置されるものとした。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3E070 AA03 AB32 DA03 NA10 QA04 VA30 3E073 AA01 AB03 BA02 BA24 CA01 CB04 CC01

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内槽（３０）と外槽（１０）とを有し液
   体を貯蔵するための円筒型貯槽の上部構造であって、外
   槽上部を覆う外槽屋根（１３）と、中央部の円形床（５
   １）と複数のリング状床（５２？５６）とを有し内槽上
   部を覆うデッキ（５０）と、その外槽屋根の下部からデ
   ッキを支持する吊り構造（４０）とを備え、前記リング
   状床の上面と外槽屋根との隙間が略所定間隔になるよう
   に、リング状床が円形床を中心にして同心円状に配置さ
   れる、ことを特徴とする円筒型貯槽の上部構造。
2. 【請求項２】 さらに、上記デッキ（５０）の上面に隙
   間なく積まれた断熱部材（６０）を備えた、ことを特徴
   とする請求項１記載の円筒型貯槽の上部構造。