JP2000301286A - ダイカスト用水性離型剤 - Google Patents

ダイカスト用水性離型剤

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JP2000301286A
JP2000301286A JP11705999A JP11705999A JP2000301286A JP 2000301286 A JP2000301286 A JP 2000301286A JP 11705999 A JP11705999 A JP 11705999A JP 11705999 A JP11705999 A JP 11705999A JP 2000301286 A JP2000301286 A JP 2000301286A
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Toshihide Sakurai
俊秀 桜井
Minoru Okamura
稔 岡村
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型性の向上、金属溶湯の保
温性の向上、金型キャビティ面への付着性および金型摺
動部の潤滑性の向上を図ることが可能なダイカスト用水
性離型剤を提供すること。 【解決手段】 超微粒子状の無機化合物を少
なくとも5重量%を含む粉状無機化合物からなる離型剤
基材と該離型剤基材に接着性を付与するバインダとの混
合物を水で希釈したダイカスト用水性離型剤とした。ま
た、超微粒子状の無機化合物の平均粒径を0.1μm以
下とし、離型剤基材とバインダとの配合割合を重量%で
95〜50:5〜50とした。更に、離型剤基材として
粉状の粘土系無機化合物を添加したダイカスト用水性離
型剤とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムやマ
グネシウム等の合金をダイカスト、スクイズキャスト等
の高圧鋳造法により鋳造する際に用いられる水性離型剤
に係り、金型キャビティ内、射出スリーブ、プランジャ
チップ等の合金溶湯が接触する部分に塗布される、断熱
性と潤滑性の向上、作業環境の改善、鋳造時のガスの発
生防止および金型等鋳造装置の耐腐食性の向上を図った
ダイカスト用水性離型剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイカスト、スクイズキャスト等の高圧
による鋳造では、高品質の製品を高生産性のもとに製造
できるため、自動車や電気機器など多分野の部品の製造
に多く利用されている。このような高圧による鋳造にお
いては、金型キャビティ内面への合金溶湯の焼付きを防
止するとともに合金溶湯の保温性を向上して湯流れを良
好に保つために離型剤が使用されている。また、離型剤
は、射出スリーブ内面に対しても、溶湯の焼付き防止や
保温性向上と、射出スリーブとプランジャチップとの潤
滑の目的で塗布されている。これらの離型剤としては、
粉体離型剤や水性離型剤、油性系離型剤が知られてい
る。
【0003】ところが、油性系離型剤は発煙や引火の恐
れがあるため、あまり採用されていない。一方、水性離
型剤はスプレイのし易さや金型を冷却できること等によ
り粉体離型剤に比べて多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販されている
水性離型剤について説明する。市販の水性離型剤の離型
剤基材としては黒鉛、窒化硼素、粘土等が使用されてい
るが、以下の問題がある。黒鉛は付着性、潤滑性に優れ
ているが、熱伝導率が大きく断熱性が悪い。また、導電
性のため、飛散した黒鉛による漏電等の設備関係の故障
が発生しやすい。次に、窒化硼素は導電性はないが、熱
伝導率が粘土系(タルク、雲母等)より大きくて断熱性
に劣る。更に、粘土系は熱伝導率が小さくて断熱性に優
れているとともに安価であるが、金型への付着性が悪い
ため付着性向上を目的として無機系のバインダを添加す
ると金型堆積物のクリーニングが困難となる。また、有
機系バインダを多くすると鋳造時の熱分解に起因するガ
スの発生量が多くなり、製品の欠陥発生率が高くなる。
一方、粘土系や窒化硼素を離型剤基材とした水性離型剤
の場合は潤滑性が悪いので、金型摺動部(ガイドピン
等)に付着すると金型にカジリが発生し鋳造機の損傷を
招くという問題があった。
【0005】水性離型剤には塗膜の付着性と結合力とを
強め、また、離型剤基材の分散性を高めるために、通常
バインダと分散剤が添加されている。これらは有機系と
無機系があり、有機系化合物は鋳造時に熱分解を受けて
ガスを発生し成形品の欠陥発生率が高くなるとともに、
スプレイにより周囲の鋳造装置が濡れやすく腐食が促進
される。更に、この飛散物や熱分解生成物の吸引は健康
上好ましくない。また、廃水処理においても生物分解活
性に乏しく、この処理にコストがかさむ。一方、無機化
合物系のバインダや分散剤を使用した場合は熱分解ガス
の発生はないが、無機バインダを添加した離型剤はスプ
レイ等の塗布によって金型等の表面に粉末が堆積しやす
く、しかも固く結合しているので金型表面のクリーニン
グが困難となる。また、無機系分散剤は高濃度の粉末に
対する分散力が弱く、更に、イオン性の塩であり鋳造装
置へ付着すると腐食が促進される。
【0006】また、超微粒子の無機化合物を使って断熱
性・保温性の向上を図った水性離型剤がある。この先行
技術として特開平2−120397号「潤滑離型剤」、
特開平6−15406号「金型鋳造用離型剤」、特開平
6−114494号「金型鋳造用離型剤」等がある。特
開平2−120397号公報には、BN粉末−水溶性リ
ン酸塩−コロイド状シリカ−粘土系沈降防止剤からなる
水性離型剤により、常温から高温までの任意の温度の金
型表面に塗布しても均一な潤滑性、離型性に優れた塗膜
が形成できることが記載されている。上記の特開平6−
15406号公報には、比表面積が40m2 /g以上の
多孔質合成珪酸化合物からなる離型剤粒子を、分散剤を
含有する水に懸濁させた水性離型剤が優れた断熱効果を
示すことが記載されている。
【0007】しかしながら、特開平2−120397号
公報では、水に分散剤や粘土系沈降防止剤を含有させ
て、粉末の分散の安定化を図っている。分散剤は環境や
鋳造装置腐食の問題があり、粘土系沈降防止剤は水中で
は水を吸収して膨潤し、金型等へ塗布した場合、水分が
残りやすく、この水分により成形品の欠陥が発生しやす
くなる。また、特開平6−15406号公報にも有機バ
インダと分散剤を含有することが記載されており、前述
の問題が発生する。
【0008】以上から本発明の目的は、環境改善と鋳造
装置の腐食性を低減させるとともに鋳造時のガス発生防
止、離型性の向上、金属溶湯の保温性の向上、金型キャ
ビティ面への付着性および金型摺動部の潤滑性向上を図
ることが可能なダイカスト用水性離型剤を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
して、環境改善と鋳造装置の腐食性を低減させるととも
に、安価で金型や鋳造装置への腐食性がなく、良好な溶
湯の保温性・製品の離型性や離型剤の金型面への付着性
を確保するとともに鋳造時に発生する有害なガスをなく
し、且つ、金型摺動部への潤滑性を付与するために、本
発明では、第1の発明においては、平均粒子径が0.1
μm以下の超微粒子無機化合物と該超微粒子無機化合物
に接着性を付与する無機系バインダとの混合物を水で希
釈し、該超微粒子無機化合物の水溶液中の濃度を40重
量%以下とした。また、第2の発明においては、平均粒
子径が0.1μm以下の超微粒子無機化合物と平均粒子
径が0.5〜20μmの範囲の粉状無機化合物からなる
離型剤基材と該離型剤基材に接着性を付与する無機系バ
インダとの混合物を水で希釈し、該超微粒子無機化合物
の水溶液中の濃度を5〜40重量%とし、かつ、該粉状
無機化合物の水溶液中の濃度を20重量%以下とした。
【0010】
【作用】本発明は球状の超微粒子無機化合物の持つ断熱
性と分散性および潤滑性に着眼してなされたものであ
る。即ち、超微粒子間の強い凝集力で離型剤基材中に粉
体層を形成し、この粉体層は超微粒子の網目状凝集層内
に多くの空気を含んでいるので高い断熱効果を持ってい
るとともに、離型剤基材の中には球状の超微粒子を含ん
でいるので粒子相互の滑りがよく、高い潤滑性をも持っ
ている。更に、超微粒子無機化合物は微粒子間の強い凝
集力により離型剤基材を結合させるので、バインダの量
も少なくできる。従って、鋳造時に高温の合金溶湯に接
した時に熱分解ガスを発生する有機系バインダを使用す
る必要はなく、少量の無機バインダで塗膜の付着力が得
られるので、金型への堆積物のクリーニングも容易にで
きる。
【0011】本発明の水性離型剤は原液を水で希釈して
使用する。どの程度希釈するかは成形品形状や成形条
件、離型剤の成分種類によって異なる。基本的には、金
型キャビティ表面の温度が使用する離型剤が付着しやす
い温度となるように水分量を決定するのが一般的であ
る。具体的には、水性離型剤原液を3〜1000倍の水
で希釈して、直接金型等へスプレイ・塗布する。保温性
を高める場合には希釈の程度を低くし(粉末状混合品の
重量に対して10〜100倍)、金型等の冷却を重視す
る場合は希釈の程度を大きくして(粉末状混合品の重量
に対して100〜2500倍)使用する。なお、刷毛塗
りでは離型剤原液を使用しても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴は、離型剤基
材の中に超微粒子状の無機化合物を含ませたことにあ
る。超微粒子とは、平均粒径が0.1μm以下のものを
言うが、好ましくは平均粒径が0.005〜0.05μ
mの範囲のものが良い。また、超微粒子状の無機化合物
の形状としては球状のものが好ましい。水溶液中の超微
粒子状無機化合物の濃度は40重量%(以後は40wt
%と記載する)以下とすることが必要である。40wt
%以上では超微粒子が強く凝集し水溶液の流動性が悪く
なり取扱が困難となる。また、離型剤基材を球状超微粒
子無機化合物のみで構成することも可能であり、その効
果も非常に優れたものとなるが離型剤のコストが高くな
るという欠点がある。従って、離型剤基材の構成は超微
粒子無機化合物単独か、または超微粒子無機化合物と粉
状無機化合物との混合物である。この場合、粉状無機化
合物の水溶液中での分散状態を良好に保つためには、水
溶液中での粉状無機化合物を20wt%以下とし、且
つ、超微粒子無機化合物を5〜40wt%とすることが
必要である。超微粒子無機化合物は水に良く分散すると
ともに増粘作用があり、水溶液中での超微粒子無機化合
物の適度な凝集によって粉状無機化合物を分散させるこ
とができる。
【0013】球状超微粒子の無機化合物の具体的な例と
しては、高純度超微粒子の無水シリカ、アルミナ、チタ
ニア等がある。これ以外にもマグネシアがあるが、水と
反応するため水性離型剤としては好ましくない。これら
の超微粒子の無機化合物を単独若しくは複数種類を混合
して離型剤基材を構成する。
【0014】一方、粉状の無機化合物としてはタルク、
珪藻土、カオリンや雲母等の粘土系無機化合物を始めと
してアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、フェラ
イト等の金属酸化物や複合酸化物や、更に、窒化硼素、
窒化珪素等の窒化物がある。これらは離型剤用として平
均粒径が0.5〜20μmのものが市販されている。こ
れらの粉状無機化合物を離型剤基材中に混合することに
より、粉末離型剤としての機能を殆ど低下させずに高価
な球状超微粒子無機化合物の量を低減させることができ
る。
【0015】次に、離型剤原液中の粉状無機化合物の濃
度について説明する。前にも述べた通り、シリカ、アル
ミナ、チタニア等の超微粒子は水中での分散性が極めて
良好である。従って、粉状無機化合物の水溶液中の濃度
が20wt%以下であれば、超微粒子無機化合物の水溶
液中の濃度を5wt%以上、好ましくは10〜40wt
%にすることにより水溶液中の粉状無機化合物の分散性
を良好に保つことができる。一方、粉状無機化合物の水
溶液中の濃度20wt%以上にすると、粉状無機化合物
粒子間の凝集が強まり分散が不充分となる。水溶液中の
粉状無機化合物の分散性を良好に保つには水溶液のpH
を4〜9の範囲に保つのが好ましい。pHを中性付近に
保つことにより超微粒子無機化合物の増粘作用が高ま
る。つまり、pHが4〜9の範囲外では水溶液の粘性が
低くさらさらの状態となり、粒径の比較的大きな粉状無
機化合物が沈殿しやすくなる。
【0016】バインダは離型剤基材の表面を濡らし、結
合力を得るために添加することが必要であり、鋳造時の
熱分解によりガスが発生しない無機化合物が好ましい。
配合比率は付着性能と金型キャビティ面への堆積物のク
リーニング性を考慮して決定する。無機バインダとして
は、水ガラス(珪酸ソーダ)やリン酸アルミニウム等が
ある。
【0017】次に、離型剤基材とバインダの混合比率に
ついて説明する。本発明は離型剤基材中に球状超微粒子
無機化合物を含ませているので、この球状超微粒子無機
化合物が平均粒径の大きな粉状粘土系無機化合物間の空
隙部に侵入して粉体層を形成する。球状超微粒子無機化
合物は強い凝集力があるので、粉状無機化合物同士を結
合させるとともに、空隙部には空気層を形成しているの
で断熱効果をも発揮できる。従って、粉状無機化合物に
接着性を付与するバインダの量は少なくて良い。具体的
には離型剤基材に対して0.1〜10wt%、好ましく
は0.5〜5wt%である。なお、バインダの量が0.
1wt%より少ないと金型キャビティ面への離型剤の付
着が不充分となる。また、逆にバインダの量が10wt
%より多いとバインダが無機系であり、鋳造時に分解さ
れず金型表面へ強固な堆積物を形成しクリーニングが困
難となる。
【0018】次に、合金溶湯へのガスの巻込みについて
説明する。水性離型剤の場合は有機系バインダの熱分解
により発生するガスと多量の水分によるガスとが原因と
なり得る。しかしながら、水分によるガス(水蒸気)は
金型表面温度を適切に保てば、スプレイ後、直ちに蒸発
して金型キャビティ面より排除されるので、溶湯が射出
されるまでには無くなっている。従って、溶湯に巻込ま
れるガスは殆どが有機系バインダの熱分解や分散剤の熱
分解により発生するガスである。よって、有機系バイン
ダや分散剤を添加しないことにより、成形品へのガスの
巻込みが少なくなり、製品欠陥の発生率を低減できる。
また、結晶水等の水を含有する無機化合物を離型剤基材
とする場合は、予め結晶水含有化合物を800℃以上で
焼成すれば注湯時に結晶水の分解によるガスの発生はな
くなる。なお、超微粒子無機化合物は粒子表面に水を吸
着するがスプレイ等による塗布時の金型表面温度が20
0℃以上に保たれていれば殆どの吸着水を除去できる。
【0019】次に、本発明の優れた効果を確認するため
に以下の実験を行った。以下に記載している9種類の離
型剤(試料A〜試料I)について、特性評価試験とダイ
カスト試験装置を使って成形テストを行った。各条件の
離型剤基材とバインダの所定量を容器に入れて、これに
水を加えて攪拌・分散させて水性離型剤の原液を調合し
た。この離型剤の評価項目は、水溶液中での離型剤基材
の分散の安定性、塗布面への付着性、溶湯の保温性(離
型剤の断熱性)および潤滑性とし、各々について特性評
価試験を行って比較した。判定は、◎:は非常に良
い、:は良い、△:は少し悪い、×:は非常に悪いの4
ランクで評価した。
【0020】水溶液中での離型剤の分散性の評価は、離
型剤原液を200mlのガラス製容器に入れて静置し、
24時間後、72時間経過後に静かに傾けて排水し、底
部の沈殿物の残り具合を観た。次に、塗布面への付着性
は、水溶液中の離型剤基材濃度が1wt%となるように
水で希釈し、300℃に加熱された鋼板(材質:SKD
61、寸法:100×100×10mm)に200mm
の距離より2秒間で10mlをスプレイし、付着面積を
比較した。また、溶湯の保温性は、材質がSKD61で
径10mmの円筒内中央に底から5mmの位置まで熱電
対を挿入した治具を用いて評価試験を行った。この円筒
の外表面に刷毛で離型剤を塗布し風乾後電磁膜厚計で粉
体層の厚みを測定し、厚みが10μmとなったところで
750℃の溶融したアルミ合金中に浸して温度変化を比
較した。更に、離型剤の潤滑性は、ダイカスト試験装置
のスリーブ部に離型剤原液を刷毛で塗布し、装置のカジ
リ具合を比較評価した。
【0021】以下に実験に使用した水性離型剤原液の各
成分含有量の多少について説明する。以下の実験は前に
述べた離型剤の特性評価試験にしたがって実施した。 実施例1(試料A):離型剤基材としては超微粒子無水
シリカのみで水溶液中の濃度を10wt%とし、粉体の
平均粒径は0.007μmである。無機系バインダ(以
後はバインダと記載する)として水ガラスを0.05w
t%混合し、残りは水である。 実施例2(試料B):離型剤基材としては超微粒子無水
シリカのみで水溶液中の濃度を40wt%とし、粉体の
平均粒径は0.03μmである。バインダとして水ガラ
スを2.0wt%混合し、残りは水である。 実施例3(試料C):離型剤基材としては平均粒径0.
013μmの超微粒子アルミナで水溶液中の濃度10w
t%と、平均粒径0.02μmの超微粒子チタニアで水
溶液中の濃度10wt%との混合物である。バインダと
して水ガラスを0.5wt%混合し、残りは水である。
【0022】実施例4(試料D):離型剤基材としては
平均粒径5.7μmのタルクで水溶液中の濃度20wt
%と、平均粒径0.012μmの超微粒子無水シリカで
水溶液中の濃度10wt%との混合物である。バインダ
として水ガラスを0.5wt%混合し、残りは水であ
る。 実施例5(試料E):離型剤基材としては平均粒径2.
4μmのカリオンで水溶液中の濃度10wt%と、平均
粒径0.03μmの超微粒子無水シリカで水溶液中の濃
度40wt%との混合物である。バインダとして水ガラ
スを1.0wt%混合し、残りは水である。 実施例6(試料F):離型剤基材としては平均粒径4.
7μmの珪藻土で水溶液中の濃度20wt%と、平均粒
径0.012μmの超微粒子無水シリカで水溶液中の濃
度20wt%との混合物である。バインダとして水ガラ
スを2.0wt%混合し、残りは水である。
【0023】比較例1(試料G):離型剤基材としては
平均粒径5.7μmのタルクで水溶液中の濃度は20w
t%である。バインダとして水ガラスを0.5wt%混
合し、残りは水である。 比較例2(試料H):離型剤基材としては平均粒径2.
4μmのカリオンで水溶液中の濃度は10wt%であ
る。バインダとして水ガラスを1.0wt%混合し、残
りは水である。 比較例3(試料I):離型剤基材としては平均粒径4.
7μmの珪藻土で水溶液中の濃度は20wt%である。
バインダとして水ガラスを2.0wt%混合し、残りは
水である。 比較例4(試料J):離型剤基材としては平均粒径2.
4μmのカリオンで水溶液中の濃度30wt%と、平均
粒径0.012μmの超微粒子無水シリカで水溶液中の
濃度10wt%との混合物である。バインダとして水ガ
ラスを2.0wt%混合し、残りは水である。 表1
【0024】表1から明らかなように、離型剤基材が球
状超微粒子無機化合物のみで構成されている実施例1〜
実施例3は離型剤としての格別に優れた機能を発揮して
いる。また、離型剤基材中に粉状無機粉体を添加した実
施例4〜実施例6においても実施例1〜実施例3に相当
する効果を発揮していることが判る。一方、比較例1〜
比較例4においては水溶液中での安定した分散状態が得
られず、また、比較例1〜比較例3においては潤滑性や
付着性が劣っている。特に潤滑性に問題のあることが判
る。
【0025】以上、本発明のに実施例について詳述して
きたが、これは文字通りの例示であって、本発明はかか
る具体例に限定して解釈されるものではない。例えば、
本発明におけるダイカスト法は、所定の金属溶湯を金型
に充填した後、加圧下で成形する成形法全般に適用でき
る。従って具体的には、高圧ダイカスト法、中圧ダイカ
スト法、スクイズキャスト、低圧鋳造法等、溶湯を金型
に流し込んで凝固させる鋳造法全般にも適用できるし、
更に、チクソキャスト、レオキャスト等の半溶融状態の
金属を金型に充填、加圧成形する半溶融法全般にも適用
できるものである。その他、一々列挙はしないが、本発
明は当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良
等を加えた態様において実施され得るものであり、また
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、何れも本発明の範囲内に含まれるものである
ことは、言うまでもないところである。
【0026】
【発明の効果】本発明においては、以下の効果がある。 離型剤基材中に含まれる球状の超微粒子無機化合物の
凝集力により、粉状の無機化合物同士の付着力が大きく
なるので有機系バインダを添加する必要がなく無機系バ
インダの添加量も少なくすることができる。従って、鋳
造時に高温の合金溶湯に接した時に発生する有機系バイ
ンダの熱分解ガスもなく、ガスの巻込みによる製品欠陥
の発生を抑制することができる。 金型内面に塗布された粉末離型剤は、超微粒子の強い
凝集力により網目状凝集層内に多くの空気を含んでいる
ので断熱層を形成し、高い保温能力を有する。 安定した保温効果の高い断熱層が形成できるので、合
金溶湯の湯流れが良好となり従来よりも薄肉成形品を得
ることができる。 高価な分散剤が不要となり、且つ、鋳造装置の腐食性
雰囲気がなくなり、金型等の鋳造装置の寿命が長くな
る。 球状超微粒子は潤滑性に優れており、金型周りの摺動
部に付着してもカジリ等の発生はない。 少量の離型剤で必要な断熱性が得られるので、金型内
面への離型剤の堆積も少なくなり、定期的に行う金型内
面の離型剤堆積物の除去も容易である。 水性離型剤のため、スプレイしやすく取扱が容易であ
る。また、金型キャビティ面の冷却も同時に行える。 有機系のバインダや分散剤、粘土系沈降防止剤を使っ
ていないので、鋳造時のガス発生もなく、作業環境が大
幅に改善される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が0.1μm以下の超微粒子
    無機化合物と該超微粒子無機化合物に接着性を付与する
    無機系バインダとの混合物を水で希釈し、該超微粒子無
    機化合物の水溶液中の濃度を40重量%以下としたダイ
    カスト用水性離型剤。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が0.1μm以下の超微粒子
    無機化合物と平均粒子径が0.5〜20μmの範囲の粉
    状無機化合物からなる離型剤基材と該離型剤基材に接着
    性を付与する無機系バインダとの混合物を水で希釈し、
    該超微粒子無機化合物の水溶液中の濃度を5〜40重量
    %とし、かつ、該粉状無機化合物の水溶液中の濃度を2
    0重量%以下としたダイカスト用水性離型剤。
JP11705999A 1999-04-23 1999-04-23 ダイカスト用水性離型剤 Pending JP2000301286A (ja)

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