JP2015139779A - 電解用アノードの製造方法 - Google Patents

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川中 一哲
Kazuaki Kawanaka
一哲 川中
恵介 山本
Keisuke Yamamoto
恵介 山本
陽介 星野
Yosuke Hoshino
陽介 星野
明久 谷
Akihisa Tani
明久 谷
広大 栗本
Kodai Kurimoto
広大 栗本
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Abstract

【課題】電解用アノードの表面に生じる「膨れ」の発生を十分に抑制することができる電解用アノードの製造方法を提供すること。【解決手段】電解用アノードの製造方法を、溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、アノード鋳型に鋳込まれた溶融粗金属を冷却する冷却工程と、冷却工程で冷却されたアノード鋳型から、前記溶融粗金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、前記電解用アノードが剥ぎ取られたアノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程と、を有する電解用アノードの製造方法とし、離型剤は結晶水を含有し、且つ、該離型剤を、前記アノード鋳型へ散布する前に、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理を行うことを特徴とする製造方法とする。【選択図】図1

Description

本発明は、銅製錬に代表される非鉄製錬プロセスにおける電解工程で使用される電解用アノードの製造方法に関する。
従来、例えば銅やニッケル等の有価金属を含有する硫化精鉱のような非鉄金属原料から銅やニッケルといった有価金属を得るための非鉄製錬プロセスでは、原料を熔解し、酸化させる工程において、濃縮した目的金属を含む溶融状態にあるマットとスラグとに比重分離し、マットを次の工程において、更に酸化して、溶融粗金属とする。そして、得られた溶融粗金属は、次の鋳造工程において電解用アノードの形状に鋳造され、電解工程で電解製錬が行われることにより、更に純度の高い目的金属に仕上げられる。
例えば、非鉄金属製錬の一例である銅製錬においては、銅精鉱等の原料を熔錬炉、転炉、精製炉で順番に処理して銅品位を99%程度まで高めた溶融粗金属である粗銅(以下「精製粗銅」と言う)を鋳造して電解用アノードとし、これを続く電解工程に投入する。
電解工程では、上記アノードとカソードが電解槽中に交互に装入され、電解精製が行われる。アノードから溶け出した銅はカソード上に電着し、その後、電解精製の終了したカソードは電解槽から引き上げられ、洗浄され、所定の枚数に結束され、製品として保管される。尚、製品形状や電解槽サイズにも関連するが、アノード及びカソードのサイズは、1000mm〜1400mm程度の方形に収まるサイズが一般的である。この電解工程では、純度99.99%程度の電気銅を得ることができる。
従来、銅製錬プロセスにおける電解工程で使用される電解用アノードは、ターンテーブル上に複数のアノード鋳型を載置し、ターンテーブルを間欠的に回転しつつ鋳込、冷却、剥取りを行う図1にその構成を模式的に示すような電解用アノード鋳造装置10により鋳造されている(特許文献1参照)。
この電解用アノード鋳造装置10は、ターンテーブル11の上に載置されたアノード鋳型20を間欠的に回転しつつ、鋳込、冷却、剥取りを順次行うことによって、電解用アノード30(図2参照)を形成することができるように構成されている。アノード鋳型20に傾注して鋳込まれた精製粗銅は冷却されて固体化する。そして、固体化した精製粗銅は、アノード鋳型20から剥ぎ取られることにより、電解用アノード30となる。
この電解用アノードの製造の過程で、電解用アノード30となった精製粗銅を剥ぎ取った後のアノード鋳型20には、次の精製粗銅を鋳込む前に、アノード鋳型20からの電解用アノード30の剥離性を高めるために、粘土等の離型剤を水で溶いたものが鋳型内面に散布される。そして離型剤の水分を蒸発させた後、再び、精製粗銅がアノード鋳型20に鋳込まれるというサイクルを繰り返す。
このような製造方法によって製造される電解用アノードの形状の良し悪しは、次工程である電解工程におけるトラブルの発生頻度に大きな影響を及ぼす。電解用アノード30の表面は平滑であることが求められている。電解工程においては、生産性を上げるために、アノードとカソードの間隔は出来るだけ狭く設定されているが、アノード表面に不要な凸部等の出っ張りがあると、前記アノードとカソードの間隔が狭く設定された場合、前記アノードのショート発生率を増加させ、電解工程の電流効率を著しく悪化させてしまう。
そこで、電解用アノードの表面の平滑性を向上させることを目的とした様々な手段が考案されている。一例として、アノード鋳型に離型剤の水溶液を塗布、乾燥した後に、粗銅を注湯し、冷却固化後のアノードを鋳型から取り出すアノードの鋳造方法であって、離型剤の水溶液として粘土粉と水ガラスを含有する混合水溶液を使用する電解用アノードの製造方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開平7−32090号公報 特開平10−15659号公報
しかしながら、上述のアノードの製造方法によっても、アノード表面に生じる「御椀を伏せたような形」の出っ張り(以下、この出っ張りを「膨れ」と言う)の発生を十分に抑制することは出来なかった。従って、この「膨れ」の発生を十分に抑制することができる電解用アノードの製造方法が求められていた。
本発明は、電解用アノードの鋳造時にその表面に生じる「膨れ」の発生を十分に抑制して、表面平滑性の高い電解用アノードを提供することを目的とする。
本発明者らは、電解用アノードの製造において、電解用アノードが剥ぎ取られた後のアノード鋳型に散布する離型剤として、結晶水を含有する離型剤を用いる場合に、当該離型剤をアノード鋳型へ散布する前に、示差熱−熱重量分析(「TG−DTA」とも言う)により測定される含有結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理を行うことによって、電解用アノードの表面に生じる「膨れ」の発生を十分に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、アノード鋳型に鋳込まれた前記溶融粗金属を冷却する冷却工程と、冷却工程で冷却された前記アノード鋳型から、前記溶融素金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、前記電解用アノードが剥ぎ取られた後に、前記アノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程と、を有する電解用アノードの製造方法であって、前記離型剤は結晶水を含有し、且つ、該離型剤を、前記アノード鋳型へ散布する前に、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理を行うことを特徴とする電解用アノードの製造方法。
(2) 前記離型剤が粘土である(1)に記載の電解用アノードの製造方法。
(3) 前記結晶水分解処理を、前記結晶水の分解温度以上該結晶水の分解温度+300℃以下の温度で行う(1)又は(2)に記載の電解用アノードの製造方法。
(4) 前記結晶水分解処理における前記保持の時間が、10分以上120分以下である(1)から(3)のいずれかに記載の電解用アノードの製造方法。
(5) 電解用アノードの製造に用いる改質型離型剤であって、結晶水を含有する粘土系の離型剤を、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上該結晶水の分解温度+300℃以下の温度で加熱して、結晶水分解処理を行ったものである改質型離型剤。
本発明によれば、電解用アノードの鋳造時にその表面に生じる「膨れ」の発生を十分に抑制して、表面平滑性の高い電解用アノードを提供することができる。
本発明の電解用アノードの製造方法を好ましく実施することができる電解用アノード鋳造装置の構成を模式的に示す概略図である。 本発明の電解用アノードの製造方法を用いて製造することのできる電解用アノードの平面図である。 本発明に係る電解用アノード鋳造装置を構成するアノード鋳型の斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明は、例えば図1に示すような構成の電解用アノード鋳造装置10において実施することができる。そして、本発明の電解用アノードの製造方法によれば、例えば、図2に示すような電解用アノード30であって、その表面の「膨れ」の発生を十分に抑制した電解用アノードを製造することができる。尚、以下、本発明の電解用アノードの製造方法の実施形態の好ましい一具体例として、銅製錬プロセスの一部に本発明の電解用アノードの製造方法を適用した場合について説明する
<電解用アノード鋳造装置>
図1に示す通り、本発明の電解用アノードの製造方法を実施可能な、電解用アノード鋳造装置10は、ターンテーブル11、冷却装置13、剥取機14、離型剤散布部15、及びアノード鋳型20等を備える。
電解用アノード鋳造装置10において、ターンテーブル11は、図1の矢印Rの方向に間欠的に回転可能に設置されており、ターンテーブル11上には、複数個のアノード鋳型20が載置されている。そして、電解用アノード鋳造装置10おいては、更に、アノード鋳型20に、溶融粗金属として、精製粗銅を傾注する樋部12、アノード鋳型20に鋳込まれた精製粗銅を冷却してその固体化を促進する冷却装置13、精製粗銅が固体化してなる電解用アノード30をアノード鋳型20から剥ぎ取る剥取機14、そして、剥ぎ取り時の剥離性を高めるための離型剤をアノード鋳型20内に散布する離型剤散布部15等が設置されている。尚、簡略化のために図1ではアノード鋳型20の個数を5個としたが、通常、アノード鋳型の個数は20個程度で実施される。
そして、このような電解用アノード鋳造装置10によれば、ターンテーブル11の上に載置された複数個のアノード鋳型20を、矢印Aの方向に間欠的に回転しつつ、鋳込み工程、冷却工程、剥取り工程を行い、更に、離型剤散布工程を、本願特有の処理が施された改質型離型剤を用いて行うことにより、本発明の電解用アノードの製造方法を、十分にその効果を奏しうる好ましい態様で実施することができる。
<電解用アノード>
図2に示す通り、本発明の電解用アノードの製造方法によって製造可能な電解用アノード30は、後の電解工程において電解液に浸漬されるアノード本体と、アノード本体を電解槽に垂下するための一対の垂下用耳部を有する。電解用アノードの本体の大きさと形状については、一般的には、1000mm×1000mm程度の概略矩形状とされる。そして、電解用アノード30は、本体部表面における膨れの発生を抑制することにより、その表面の平滑性を十分に向上させたものであるため、後の電解工程における、電解用アノードの表面の不均一性に起因するアノード間のショート発生率を十分に低減させて、銅精錬プロセスの生産性向上に大きく寄与することができる。
<電解用アノードの製造方法>
本発明の電解用アノードの製造方法は、電解用アノード鋳造装置10において、以下にその詳細を説明する鋳込み工程、冷却工程、剥取り工程、及び離型剤散布工程を、繰返し行うことにより、電解用アノードを鋳造する製造方法である。そして、本発明の電解用アノードの製造方法は、上記工程のうち、特に、離型剤散布工程において用いる離型剤を、本願特有の改質型離型剤とする結晶水分解処理を必須の処理として行うことを特徴とする製造方法である。
〔鋳込み工程〕
鋳込み工程は、精製粗銅を、アノード鋳型20に鋳込む工程である。この工程では、精製粗銅を、樋部12を介して、一定量ずつアノード鋳型20の鋳型凹部21に傾注することにより、精製粗銅を電解用アノード30の形状に鋳込む。
〔冷却工程〕
冷却工程は、アノード鋳型20の鋳型凹部21に鋳込まれた精製粗銅を冷却する工程である。この工程では、鋳込み工程での鋳型凹部21に鋳込まれた精製粗銅に、冷却装置13により冷却水を散布する手段等により、鋳型凹部21内の精製粗銅の固体化を促進する。又、この工程では、同時にアノード鋳型20の温度も、適切な温度にまで低減するように冷却する。
〔剥取り工程〕
剥取り工程は、冷却工程で冷却されたアノード鋳型20の鋳型凹部21から固体化した電解用アノード30を剥ぎ取る工程である。電解用アノード30の剥ぎ取り方法として、例えば、予め鋳型凹部21内に設置されている押し上げピン等(図示せず)によって鋳型凹部21から電解用アノード30の一部である耳部分を押し上げ、押し上げられた当該部分を剥取機14により引掛けて剥取る方法が一般的である。
〔離型剤散布工程〕
離型剤散布工程は、電解用アノード30が剥ぎ取られた後のアノード鋳型20の鋳型凹部21内に離型剤を散布する工程である。上記の剥取り工程において電解用アノード30が剥ぎ取られた後、次の鋳込み工程を好ましい態様で行うために、この離型剤散布工程において離型剤を散布する。そして、離型剤が散布されたアノード鋳型20は、充分に水分を蒸発させてから、次サイクルの鋳込み工程を行うために、精製粗銅の鋳込み位置まで回送され、新たな精製粗銅が鋳込まれる。
(離型剤)
本発明の電解用アノードの製造方法においては、離型剤として、粘土、雲母、或いは、ひる石等、結晶水を含有する無機系の離型剤を適宜用いることができる。
従来の電解用アノードの製造方法による場合、電解用アノードの表面に生じる「膨れ」の発生を抑制するために、離型剤として結晶水を含まないものを用いることもできる。しかし、結晶水を含まない離型剤は、硫酸バリウム等、人工的に得られる離型剤がほとんどであり、値段も高価となる。
一方、粘土に代表される天然系の離型剤は、結晶水を含有はしているものの、入手が容易で、値段も安価である。又、そのような天然系の離型剤の中でも、取り扱い性が良好な粘土を、特に好ましく用いることができる。粘土は、アノード鋳型20への流送の際や、アノード鋳型20の鋳型凹部21内への散布の際に、容易に水と混合でき、均一なスラリーが得易いためである。
後に詳述する通り、電解用アノードの製造に用いる離型剤として、粘土を採用すると、一般的には、結晶水に起因する膨れ発生のリスクが増大する。しかし、膨れ発生を独自の手段で抑制可能とした本発明の製造方法によれば、費用対効果において優れ、且つ、取り扱い性においても優れる粘土を、上記一般的リスクを回避しつつ選択することができる。これによって、電解用アノードの品質を保持したまま、その生産性と経済性を大きく高めることができる。
ここで、本明細書における粘土とは、粒径が2μm以下の微細な鉱物であり、主成分は、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライト等の鉱物のうち、1種、或いは2種以上を含む鉱物のことを言うものとする。
粘土を電解用アノードの製造に用いる離型剤として用いる場合、水と混合したスラリーとして用いることが一般的であるが、そのスラリー状態における粘土濃度は、30〜120g/Lが好ましい。前記粘土濃度が30g/L未満の場合、アノードを鋳型からスムーズに剥がすことができるという離型剤の効果が減少する。又、粘土濃度が120g/Lを超えると、前記離型剤の効果は変わらないものの、離型剤の使用量が増える、又、鋳型からの輻射熱により高温となる離型剤散布用の配管やノズルの詰りが生じ易くなる。
又、上記スラリーを鋳型に散布する量は、一般的なサイズである1000mm×1000mm程度の電解用アノードを製造する場合においては、アノード鋳型20の1枚あたり1.0〜3.0L/枚の散布量とすることが好ましい。散布量が1.0L/枚未満の場合、上述の離型剤の効果が減少する。又、3.0L/枚を超えると、スラリーに含まれる水分を完全に乾燥させることができない。
又、スラリーを鋳型凹部21に散布してから、鋳型凹部21に精製粗銅を注ぐまでの乾燥時間は60〜160秒が好ましい。この工程段階におけるアノード鋳型20の温度は、170〜180℃程度であるので、鋳型凹部21に散布された離型剤のスラリーに含まれる水分を乾燥させるためには、60〜160秒の時間が必要である。乾燥時間が60秒よりも短い場合、散布された離型剤に水分が残ってしまう。又、乾燥時間が160秒を超える場合、電解用アノードの生産量が低下してしまう。
(結晶水分解処理)
本発明の電解用アノードの製造方法は、結晶水を含有する粘土等からなる離型剤に、結晶水分解処理を施すことによって、離型剤を改質型離型剤とした後に、当該改質型離型剤を、鋳型凹部21内に散布することとした。本明細書における、結晶水分解処理とは、離型剤を、それに含有される結晶水の分解温度以上の温度で保持する処理のことを言う。又、本明細書における結晶水の分解温度とは、示差熱−熱重量分析により求めた分解温度のことを言うものとする。この示差熱−熱重量分析による結晶水の分解温度の測定は、具体的には、JIS K0129による測定方法によって測定することができる。この結晶水の分解温度は、測定する機器に由来するバラツキや、示差熱−熱重量分析以外の方法で測定した場合の測定方法に由来する違いがあることから、示差熱−熱重量分析により測定した結晶水の分解温度に対して、5%程度低い温度で保持しても、本発明とほぼ同じ効果を得ることができる。
尚、本発明者らの独自の知見によれば、離型剤として、粘土等、結晶水を含有する離型剤を用いる場合には、当該離型剤が含有する結晶水が、電解用アノード30の表面に生じる「膨れ」の原因となる。一般的な電解用アノードの製造において、離型剤散布時におけるアノード鋳型20の温度は170〜180℃程度となる。よって、離型剤(スラリー)に含まれる水分の内、付着水は蒸発するが、離型剤に含有される結晶水は、分解されずに次工程である再度の鋳込み工程時まで残存してしまう。そして、この結晶水が残存する離型剤が付着したアノード鋳型20に精製粗銅を注湯した場合には、精製粗銅の熱により、上記の残存結晶水が分解し、発生した水蒸気がアノード表面に膨れを生じさせるものと考えられる。
結晶水分解処理時に、離型剤を保持する温度は、当該離型剤に含まれる結晶水の分解温度以上とする。そして、このようにして測定して得た結晶水の分解温度は、結晶水が完全に分解した温度を示す。このようにして結晶水が分解された粘土を改質型離型剤として使用することにより、電解用アノードの表面の膨れの原因となる水蒸気ガスの発生源を無くし、膨れを抑えることができる。結晶水分解処理の具体的方法としては、例えば、電気炉やキルン等、同一プラント内の既存の各種加熱炉を使用して、結晶水を含む粘土等の離型剤を、上述の通り、所定温度範囲で保持することによる方法によることができる。
又、結晶水分解処理時に、離型剤を保持する温度は、結晶水の分解温度以上で結晶水の分解温度+300℃以下であることが好ましい。結晶水分解処理時における離型剤の保持温度が、結晶水の分解温度未満の場合、離型剤中には、同処理後においても結晶水が残存することとなる。この場合、続く、再度の製造工程における膨れの抑制効果を十分に得ることは出来ない。又、離型剤に含まれる結晶水の上記保持温度が、結晶水の分解温度+300℃よりも高い温度である場合、離型剤中の結晶水は完全に分解している。しかしながら、この場合においては、粘土等の離型剤は焼結してしまい、水と混合してスラリー状とするためには、焼結した離型剤を粉砕する必要が生じるため生産性が低下してしまい好ましくない。
又、結晶水分解処理時に、離型剤を保持する時間は、10〜120分であることが好ましい。この保持時間が10分に満たないと、上記温度範囲で焼成したとしても、多くの場合に離型剤中に結晶水が残存してしまう。又、上記保持時間が、120分を超える場合、離型剤中の結晶水は完全に分解するが、120分を超えたところでは、最早上記効果はそれ以上向上せず、エネルギーコストが過剰にかかることとなるため好ましくない。
(改質型離型剤)
上記の通り、汎用的な離型剤であり、経済性や取り扱い性に優れる粘土は、本発明独自の結晶水分解処理を施すことによって、電解用アノードの表面の膨れを抑制可能な改質型離型剤とすることができる。このような改質型離型剤それ自体も、又、本発明の実施形態の一つである。この改質型離型剤を用いることによって、表面の平滑性に優れた電解用アノードを、経済的に製造することができる。
本発明の電解用アノードの製造方法は、独自の知見に基づく結晶水分解処理によって、汎用的な粘土系の離型剤を改質型離型剤とする処理を伴う方法であることを特徴とする。但し、この処理を一連のプロセス或いは同一の設備内で行うことは必須ではない。上記の結晶水分解処理と同等の処理が施された粘土系の改質型離型剤を用いる電解用アノードの製造の実施である限り、全て本発明の範囲内である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上記において説明した通りの本発明の電解用アノードの製造方法により、銅精錬用の電解用アノードを製造した。その際、離型剤としては粘土を使用した。使用した粘土に含まれる結晶水の分解温度は、示差熱−熱重量分析より900℃であった。この粘土を900℃で10分間保持することにより結晶水分解処理を施して得た改質型離型剤を、粘土濃度30g/Lのスラリーとし、1.0L/枚をアノード鋳型に散布し、60秒乾燥させた後、精製粗銅を注ぐというサイクルで電解用アノード鋳造を行った。この方法で実施例1のアノードを35枚製造した。尚、上記の示差熱−熱重量分析は、具体的にはJIS K0129による測定方法により行った(実施例2〜比較例2においても同様)。
上記製造条件によって得たそれぞれの電解用アノードについて、その表面に発生した膨れのうち最も高い膨れの高さを測定した。実施例1の電解用アノードにおける最も高い膨れの高さの平均値は、従来の同平均値の61%であった。
(実施例2)
実施例1に用いた粘土を、1200℃で120分間保持することによって結晶水分解処理を施したこと、及び、スラリーの粘土濃度は、120g/Lとし、このスラリーの散布量を3.0L/枚、前記スラリーを散布してから精製粗銅を注ぐまでの乾燥時間を160秒としたことの他は、実施例1と同様にして電解用アノード鋳造を行った。この方法で実施例2のアノードを35枚製造した。
上記製造条件によって得たそれぞれの電解用アノードについて、その表面に発生した膨れのうち最も高い膨れの高さを測定した。実施例2の電解用アノードにおける最も高い膨れの高さの平均値は、従来の同平均値の55%であった。
(比較例1)
実施例1に用いた粘土について、上記の結晶水分解処理を行わずに使用し、その他については、実施例1と同様にして電解用アノード鋳造を行った。この方法で比較例1のアノードを52枚製造した。
上記製造条件によって得たそれぞれの電解用アノードについて、その表面に発生した膨れのうち最も高い膨れの高さを測定した。比較例1の電解用アノードにおける最も高い膨れの高さの平均値は、従来の同平均値と同等であった。
(比較例2)
実施例1に用いた粘土を、700℃で180分間保持したことの他は、実施例1と同様にして電解用アノード鋳造を行った。この方法で比較例2のアノードを52枚製造した。
上記製造条件によって得たそれぞれの電解用アノードについて、その表面に発生した膨れのうち最も高い膨れの高さを測定した。比較例2の電解用アノードにおける最も高い膨れの高さの平均値は、従来の同平均値と同等であった。
以上より、粘土を、その結晶水の分解温度以上の温度に保持する結晶水分解処理を施すことによって改質型離型剤とする処理を行った場合には、そのような処理を行わない場合と比較して、膨れの高さの平均値を40%程度低減することができた。尚、一般的な銅精錬の電解工程において、電解用のアノードとカソードの間隔は、従来の膨れの高さの平均値の2〜3倍程度である。上記程度の膨れの高さの低減によれば、アノードのショート発生率は十分に有意に低減させることができる。この結果から、本発明の電解用アノードの製造方法によれば、電解用アノードの表面に生じる「膨れ」の発生を十分に抑制することができることが分る。
10 アノード鋳造設備
11 ターンテーブル
12 樋部
13 冷却装置
14 剥取機
15 離型剤散布部
20 アノード鋳造用鋳型
21 鋳型凹部
30 電解用アノード

Claims (5)

  1. 溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、
    アノード鋳型に鋳込まれた前記溶融粗金属を冷却する冷却工程と、
    冷却工程で冷却された前記アノード鋳型から、前記溶融粗金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、
    前記電解用アノードが剥ぎ取られた後に、前記アノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程と、を有する電解用アノードの製造方法であって、
    前記離型剤は結晶水を含有し、且つ、該離型剤を、前記アノード鋳型へ散布する前に、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理を行うことを特徴とする電解用アノードの製造方法。
  2. 前記離型剤が粘土である請求項1に記載の電解用アノードの製造方法。
  3. 前記結晶水分解処理を、前記結晶水の分解温度以上該結晶水の分解温度+300℃以下の温度で行う請求項1又は2に記載の電解用アノードの製造方法。
  4. 前記結晶水分解処理における前記保持の時間が、10分以上120分以下である請求項1から3のいずれかに記載の電解用アノードの製造方法。
  5. 電解用アノードの製造に用いる改質型離型剤であって、
    結晶水を含有する粘土系の離型剤を、示差熱分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度該結晶水の分解温度+300℃以下の温度で加熱して、結晶水分解処理を行ったものである改質型離型剤。
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