JP2000301215A - 冷間圧延用ロールおよび冷間圧延方法 - Google Patents

冷間圧延用ロールおよび冷間圧延方法

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JP2000301215A
JP2000301215A JP10998099A JP10998099A JP2000301215A JP 2000301215 A JP2000301215 A JP 2000301215A JP 10998099 A JP10998099 A JP 10998099A JP 10998099 A JP10998099 A JP 10998099A JP 2000301215 A JP2000301215 A JP 2000301215A
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rolling
projection
branch
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Yoshihisa Takahama
義久 高濱
Toshiyuki Shiraishi
利幸 白石
Shigeru Ogawa
茂 小川
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷延鋼帯等のタンデム圧延機等において、ヒ
ートスクラッチ発生や表面模様残存を抑制した高圧下高
速圧延を可能とし、生産性を顕著に向上させる。 【解決手段】 同一形状の独立した突起が多数形成さ
れ、各突起間の溝が連続している。各突起は基点から互
いに 120°の角度をなして直線的に伸びる3本の幹と、
その先端から両側に対称に伸びる合計6本の枝とで構成
される。基点は稠密に並べた同一寸法の正三角形の各頂
点に位置し、幹は該正三角形の辺上にあって基点から伸
びる向きが3方向とも揃っており、基点間隔dに対し幹
の長さaは 0.5d<a<d。幹の先端から、該幹から伸
びる枝の先端までの長さbは 0.1a<bで、枝の先端は
幹および枝に接触しない。突起の高さhは10μm≦h≦
50μm、枝と隣設幹の間隔x≧ 100μm。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷延鋼帯などの金
属帯板を製造するタンデム圧延機などの冷間圧延機にお
いて、高生産性の実現を可能とした冷間圧延用ロール、
および該ロールを使用した冷間圧延方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】鋼板等の板圧延において、帯板の冷間圧
延ではロールと圧延材の間の潤滑がしばしば問題とな
る。冷間圧延で圧延速度や圧下率を増大させると、この
潤滑性能に起因してヒートスクラッチが発生し、冷間タ
ンデム圧延機などの各種冷間圧延機で、高生産性実現の
障害となっている。ヒートスクラッチは、ロールバイト
すなわちワークロールとワークロールに噛み込まれた圧
延材との接触弧に引込まれた圧延油が、高圧と温度上昇
により潤滑性能の劣化を起こし、そのため油膜破断が生
じ、ワークロールと圧延材が金属接触することによる焼
付き疵である。
【0003】ヒートスクラッチが発生すると、圧延され
た製品は表面欠陥により歩留まりが低下する。さらに、
ヒートスクラッチが発生した後、同じワークロールで引
続き圧延を行うと、ワークロールの焼付き疵が圧延材に
転写されるほか、ヒートスクラッチが拡大するおそれが
あるので、その圧延スタンドのワークロールを組替えな
ければならなず、生産性が著しく低下するという問題が
あった。
【0004】ヒートスクラッチの防止策としては、圧延
油の潤滑性能を向上させ、ロールバイト内での油膜破断
を防止することが考えられ、エマルジョン油において油
粒子を大きくしたり、強圧下に耐えるように極圧添加剤
を加えること等が行われた。また特開昭56−1115
05号公報には、圧延機のクーラント量を制御して圧延
材やワークロールの温度を低下させることにより、特開
平6−63624号公報には、圧延速度を低減すること
により、それぞれヒートスクラッチを防止することが開
示されている。
【0005】さらに特開平1−289503号公報に
は、ヒートスクラッチ防止を目的としたものではない
が、あらかじめ圧延材の表面に多数の凹部を形成してお
き、該凹部に圧延油等の流体を閉じ込めつつ圧延するこ
とで、圧延時の摩擦係数を低下させ、ロールの肌荒れや
摩耗を起こさずに高圧下圧延を可能にすることが開示さ
れている。そして特開平5−123716号公報には、
形成する凹部の形状および向きを限定することで、圧延
後の板表面の残留模様を薄くすることが開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のヒートスク
ラッチ防止策のうち、圧延油の潤滑性能向上について
は、エマルジョン油の油粒子拡大も極圧添加剤も、十分
な生産性向上効果が認められるような高圧下高速圧延を
行った場合にはヒートスクラッチが発生することがあ
り、満足できる結果は得られ難い。
【0007】上記特開昭56−111505号公報のよ
うな、圧延機クーラント量によりロールバイト内の温度
制御を行う方法は、ヒートスクラッチの抑制効果は認め
られるがその応答性に問題がある。上記特開平6−63
624号公報のような圧延速度低減による方法は、生産
性が低下するという問題がある。
【0008】また上記特開平1−289503号公報お
よび特開平5−123716号公報に開示されている方
法は、あらかじめ圧延材の表面に形成したディンプルと
呼ばれる凹部に圧延油が閉込められて、ロールバイト内
での摩擦係数が低下する効果はあるものの、圧延後の材
料表面にディンプルが残存することは避けられず、その
うえ十分な生産性向上効果が認められるような高圧下高
速の冷間圧延においては、ヒートスクラッチの抑制効果
は得られ難い。
【0009】そこで本発明が解決しようとする課題は、
冷延鋼帯などの金属帯板を製造するタンデム圧延機など
の冷間圧延機において、顕著な生産性向上効果が発揮さ
れるような高圧下高速圧延を行っても、ヒートスクラッ
チ、すなわちロールバイト内での油膜切れによるロール
と圧延材の焼付きの発生を十分に抑制するとともに、圧
延材表面に模様を残存させないことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明ロールは、ロール表面の少なくとも圧延材と接
触する面に、該面を平面に展開したとき下記 (1)〜 (6)
の条件を満たす同一形状からなる独立した突起が多数形
成されており、各突起間の溝が連続していることを特徴
とする冷間圧延用ロールである。そして前記突起が、さ
らに下記 (7) (8)のいずれか一方または双方の条件を満
たしていることが好ましい。
【0011】(1) 各突起は、基点からたがいに120°
の角度をなして直線的に伸びる3本の幹と、3本の幹そ
れぞれの先端から両側に対称に伸びる合計6本の枝とで
構成されている。 (2) 基点は、稠密に並べた同一寸法の正三角形の各頂点
に位置している。 (3) 各幹は前記正三角形の辺上にあって、基点から伸び
る向きが3方向ともそれぞれ揃っており、各幹の長さa
は等しく、各基点の間隔dの0.5倍よりも長く隣設し
た突起に接しない。 (4) 幹の先端から、該幹から伸びる枝の先端までの長さ
bは両側とも等しく、幹の長さaの0.1倍より長く、
該枝は幹および枝に接触しない。 (5) 各突起の高さhは10μm以上50μm以下であ
る。 (6) 各突起の枝と隣設する突起の幹との間の間隔xは1
00μm以上である。 (7) 各幹の先端から両側に伸びる各枝が、該幹と60°
の角度をなして直線的に伸びている。 (8) 各基点から3方向に伸びる幹のうち1方向の幹がロ
ール軸に平行である。
【0012】また上記課題を解決するための本発明法
は、上記本発明ロールをワークロールとし、エマルジョ
ン油を圧延油として金属帯板を圧延することを特徴とす
る冷間圧延方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明ロールを図1および図2に
示す例により説明する。図1はロール表面を平面に展開
した平面展開図、図2は図1の突起を中心線のみで示し
た部分拡大図である。実際のロール表面は円弧状に湾曲
しているが、各図は平面に展開したものを示している。
本発明ロールは、図1の例のように、ロール1の表面に
多数の突起2が形成され、各突起間の溝が連続してい
る。突起2が形成されている範囲は、ロール表面の少な
くとも圧延材と接触する部位である。多数の突起2は同
一形状からなり、たがいに接触せず独立していて、隣設
する各突起2が入込んで、迷路状に連続した溝を形成し
ており、ロール表面を平面に展開したとき、下記 (1)〜
(6)の条件を満たしている。そして突起2が、さらに上
記 (7) (8)のいずれか一方または双方の条件を満たして
いることが好ましい。
【0014】上記各条件について図面により詳細に説明
する。 (1) 各突起2は、図2のように、基点3からたがいに1
20°の角度をなして直線的に伸びる3本の幹4と、3
本の幹4それぞれの先端から両側に対称に伸びる合計6
本の枝5とで構成されている。枝5は、図2の例のほ
か、さまざまな形をとることができる。例えば、図3
(a) は幹4と直角な直線、図3(b) は幹4を内側とする
円弧、図3(c) は幹4を外側とする円弧、図3(d) は幹
4と120°の角度をなす直線である。なお図3は、一
部を中心線のみで示している。また各突起2が独立して
いることから、幹4および枝5は、他の突起2の幹4や
枝5と接触しない。
【0015】(2) 基点3は、稠密に並べた同一寸法の正
三角形の各頂点、図2の例では点L,M,N,O,P,
Q,Rに位置している。 (3) 各幹4は前記正三角形の辺上にあって、基点3から
伸びる向きが3方向ともそれぞれ揃っている。たとえば
図2において、幹4は点Oから右方、左上方および左下
方に向って伸びており、他の点L,M,N,P,Q,R
からも右方、左上方および左下方に向って伸びている。
そして、各幹4の長さaは等しく、各基点3の間隔dの
0.5倍より長く隣設した突起に接しない。
【0016】(4) 幹4の先端から、該幹4から伸びる枝
5の先端までの長さbは両側とも等しく、幹の長さaの
0.1倍より長い。bの上限は、枝5が自身および他の
突起2の幹4や枝5に接触しない範囲であればよい。但
し、aおよびbは図2のように、突起の中心線での長さ
および間隔である。 (5) 各突起2の高さhは、10μm≦h≦50μmであ
る。 (6) 各突起の枝と隣設する突起の幹との間の間隔xは、
x≧100μmである。xの上限は、ロールバイト内に
て圧延油の圧力により突起が変形しない範囲であればよ
く、特に限定はしない。
【0017】(7) 各幹4の先端から両側に伸びる各枝5
が、図1や図2のように幹4と60°の角度をなして直
線的に伸びている。 (8) 各基点3から3方向に伸びる幹4のうち1方向の幹
4がロール軸に平行である。たとえば図1、図2および
図3において、図の左右方向をロール軸と平行にするこ
とにより、3方向に伸びる幹4のうちの1方向の幹4が
ロール軸に平行であるようにする。
【0018】なお本発明ロールは、突起2が形成された
ロール表面のどの部分をとっても、平面に展開したとき
上記各条件を満たす。したがって、突起2による図1お
よび図2のような模様はロールの周方向に不連続となら
ないように形成されている。たとえば条件(8) を満たす
場合、ロール半径をrとするとき、nd√3=2πr
(nは自然数)となるように各基点3の間隔dを定め
る。
【0019】このような本発明ロールをワークロールと
し、圧延油を使用して鋼帯などの金属帯板を冷間圧延す
ると、ロールバイト内において圧延油が十分に保持さ
れ、ロールと圧延材の間の摩擦係数が低減し潤滑性が著
しく向上する。このため、圧下のための負荷が軽減して
高圧下圧延が可能となるうえ、ヒートスクラッチの発生
を伴うことなく、顕著な生産性向上効果が認められるよ
うな高圧下高速圧延を行うことができる。
【0020】ロールと圧延材の間の摩擦係数を低減する
ための従来技術としては、前述のように、圧延材の表面
にあらかじめ独立した凹部(ディンプル)を形成してお
き、ロールバイト内にて、このディンプルに閉じ込めら
れた圧延油により潤滑性を向上させることが、特開平1
−289503号公報および特開平5−123716号
公報に提案されており、後者は圧延後の残留模様を薄く
するための工夫がなされている。しかし、高圧下高速圧
延においては、ディンプルに閉じ込められた圧延油にか
かる圧力が急速に高まるため、ディンプル部と平坦部と
の間の圧力差が瞬間的に過大となり、後者の方法でもデ
ィンプル模様が残存してしまう。さらに平坦部でのヒー
トスクラッチ発生の問題も解消され難い。
【0021】これに対して、本発明ロールを使用した場
合は、図1、図2、図3のように、ロール表面の多数の
独立した突起2により迷路状の溝が形成され、該溝は閉
鎖されず連続している。このため、ロールバイト内で圧
延油がこの溝に保持されて潤滑性が向上するとともに、
高圧下高速圧延時には、圧延油がこの溝を通って抜け出
るので、圧延油にかかる圧力が急速に高まることが回避
され、圧延材にロール模様が転写され難い。そして、溝
には十分な量の圧延油が保持されるので、ロールと圧延
材の間の摩擦係数が低減して、圧下荷重が低下し、より
高圧下圧延が可能になるとともに、ヒートスクラッチ発
生のおそれも解消される。したがって、高圧下高速圧延
により顕著な生産性向上効果が発揮される。
【0022】本発明ロールは、このような効果を発揮さ
せるため上記条件(1) 〜(8) を限定しているが、この中
の数値限定理由について述べる。ここで、条件(7) のよ
うな、幹4の先端から両側に伸びる枝5が幹4と60°
の角度をなして直線的に伸びている突起2について、各
基点3の間隔dを一定にし幹4の長さaを変化させてみ
る。すると、図4に中心線のみで示すように、枝5の延
長線同士の交わり方により、突起が形成する模様のパタ
ーンに3つ領域があることがわかる。
【0023】領域Iは図4(a) のように、隣設する3つ
の突起の基点、たとえばP,Q,Rを起点とする各突起
2の枝5の延長線がたがいに内側に当たって正三角形を
形作る。領域IIは図4(c) のように、枝5の延長線がた
がいに外側に当たって正三角形を形作る。領域Iと領域
IIの境界は図4(b) のように3本の枝5の延長線が1点
で交わり、このときa=2/3dである。領域IIは図4
(d) のように3本の枝5の延長線が交差せず幹5の先端
に当たるまで、すなわちa=0.5dまでの範囲であ
り、dがこの境界より小さい領域が領域III である。
【0024】条件(3) に関しては、幹4の長さaを変化
させた実験を行った。その1例を図5に示す。この例は
条件(7) を満たす図4のような突起2において、幹4の
1本をロール軸に平行とし、基点3の間隔d=5mm、突
起2の高さh=10mm、突起の幅は、領域Iでは間隔x
が100μmとなるようにし、領域II、III では突起自
身の幅を1/4aとし、枝5の長さbを0.2dとし、
幹4の長さaを変化させたロールをワークロールとし、
エマルジョン油を使用して鋼板の冷間圧延を行いロール
バイトの摩擦係数を測定したものである。
【0025】図5に示すようにa/dが0.5を超える
と効果が表れ摩擦係数が小さくなる。そしてa/dを大
にするほど摩擦係数が漸減し、a/d=2/3のところ
で屈曲する。この屈曲点は突起の幅を変化させた影響が
出ていると考えられる。このようにa/dが0.5を超
えたときに現れる効果は、条件(7) を満たすこの他の例
でも認められ、枝5が図3のような各種の形をとる場合
にも認められた。したがって、本発明においてa>0.
5dとした。
【0026】この領域は、図4において(d) に示す領域
II−III 境界よりもaの長い領域IIおよび領域Iであ
る。これらの領域では、aを長くするほどロールバイト
内で圧延油がより効果的に保持されることにより摩擦係
数が小さくなると考えられる。しかし、a=dでは各突
起2が互いに接するため、高圧下高速圧延を行うとロー
ルバイト内の各突起で形成される溝の圧延油にかかる圧
力が急速に高まり、圧延材にロール模様が残存するおそ
れが生じる。したがって本発明においてa<dとした。
なお、各基点の間隔dは1〜5mmが望ましい。
【0027】条件(4) に関しては、枝5の長さbを変化
させた実験を行った。その1例として、幹4の長さa=
0.95d、間隔x=100μmで一定とし、その他は
上記条件(3) の場合と同様にした実験結果を図6に示
す。b/aが0.1を超えると効果が表れ摩擦係数が小
さくなり、b/aが増すと摩擦係数は漸減するが、b/
aが約0.5以上ではほぼ一定値となる。この効果も、
条件(7) を満たす他の例や図3のような各種の形をとる
場合にも認められた。したがって、本発明においてb/
a>0.1とした。またb/aの上限については、aの
上限と同様の理由で、枝5が自身および他の幹4や枝5
に接触しない範囲とした。
【0028】条件(5) に関しては、突起2の高さhを変
化させた実験を行った。その例としてd=5mmとし、a
=0.8d、b=0.3d、x=100μmで一定(領
域I)、a=0.6d、b=0.3d、突起自身の幅が
1/4aで一定(領域II)の2例について、突起2の高
さhを変化させた実験結果を図7に示す。hが10μm
〜50μmで顕著な効果が認められ、領域Iの方が摩擦
係数がより小さくなる。この効果も、条件(7) を満たす
他の例や図3のような各種の形をとる場合にも認められ
た。これらの結果から、高さhが低いとロールバイト内
での圧延油の保持効果が十分に発揮されず、hが高すぎ
ると突起が抵抗となって摩擦係数が増大すると考えられ
る。また、hが高すぎると圧延板に模様が転写されるお
それも生じる。したがって、本発明においてh=10μ
m〜50μmとした。
【0029】条件(6) に関しては、突起2の太さを変化
させた実験を行った。その1例として、d=5mm、a=
0.8d、b=0.3d、h=10μmとし、突起2の
太さを変化させて間隔xを変化させた実験結果を図8に
示す。xが100μm以上で顕著な効果が認められた。
これは、xが100μm未満では圧延油を閉じ込める効
果を得ることができないためと考えられる。この効果
も、条件(7) を満たす他の例や図3のような各種の形を
とる場合にも認められた。したがって、本発明において
x≧100μmとした。xの上限については、前述のよ
うに、ロールバイト内にて圧延油の圧力により突起が変
形しない範囲であればよく、特に限定はしないが、ロー
ル表面での突起部の面積の割合は、65〜90%が望ま
しい。
【0030】つぎに本発明ロールの好ましい態様とし
て、条件(7) すなわち図1、2および4のように、各幹
4の先端から両側に伸びる各枝5が、幹4と60°の角
度をなして直線的に伸びているものとしたのは、図3の
ような各種形態のものよりもロールバイト内での圧延油
の保持性能が良好で摩擦係数の低減効果が優れているか
らである。
【0031】さらに本発明ロールの好ましい態様とし
て、条件(8) すなわち各基点3から3方向に伸びる幹4
のうちの1方向の幹4がロール軸に平行であるとした理
由について述べる。d=5mm、h=10μmとし、a=
0.8d、b=0.3d、x=100μmで一定(領域
I)、a=0.6d、b=0.3d、突起自身の幅が1
/4aで一定(領域II)の2例につき、ロール軸方向に
最も近い幹の方向とロール軸方向とのなす角αを変えて
実験を行った結果を図9に示す。図示のように、摩擦係
数はαが0°のとき最小、30°のとき最大となった。
αが30°を過ぎると、別の幹についてのαが30°未
満となり、摩擦係数は対称的に低下してそのαが0°で
最小値になる。そして領域Iの方が摩擦係数が低い。こ
の効果も、条件(7) を満たす他の例や図3のような各種
の形をとる場合にも認められた。なお、以上の実験にお
いて、図5および図6のデータと、図7〜図9のデータ
とは、圧延油として使用したエマルジョンの基油が異な
るので、両データ間での摩擦係数の絶対値での比較はで
きない。
【0032】このような本発明ロールを製造するには、
ロール表面を研削して所望のロールプロフィルとした
後、フォトエッチング法等により幾何学的模様を形成す
る。例えばフォトレジスト膜を塗布したのち、所望の幾
何学的模様の原図を通して紫外線を照射し、現像し、酸
液でエッチングして得ることができる。また本発明ロー
ルは、下記の本発明法のほか、ニート油を圧延油とする
冷間圧延等にも適用することができる。
【0033】つぎに本発明法は、上記本発明ロールをワ
ークロールとし、エマルジョン油を圧延油として金属帯
板を圧延する方法である。前述のように、上記本発明ロ
ールをワークロールとし、圧延油を使用して鋼帯などを
冷間圧延すると、ロールバイト内におけるロールと圧延
材の間の潤滑性が著しく向上し摩擦係数が低減する。こ
のため、圧下のための負荷が軽減して高圧下圧延が可能
となるうえ、ヒートスクラッチの発生も抑制される。本
発明法は、潤滑性能および冷却性能に優れているエマル
ジョン油を圧延油として、鋼帯等の金属帯板を圧延する
冷間圧延機に適用し、高圧下かつ高速圧延を行うことで
顕著な生産性向上を実現する。特に冷間タンデム圧延機
の高負荷スタンドに適用するのが効果的である。
【0034】
【実施例】図10に示すような4段圧延機のワークロー
ル6a,6b に本発明ロールを使用し、圧延油供給ノズル
8a,8b からエマルジョン油を供給し、圧延材10とし
て低炭素鋼帯を冷間圧延した。また、突起を有しない従
来ロールをワークロールとする圧延も行った。7a,7b
はバックアップロール、9a,9b は冷却水供給ノズル、
11はペイオフリール、12はテンションリールであ
る。
【0035】ワークロール6a,6b は、胴部直径460
mm、胴長が1300mmであり、本発明ロールには、中央
部の胴長方向1200mmの範囲に、図1に示すような突
起2を、幹4の1方向がロール軸に平行となるように形
成した。各基点3の間隔d=5mm、幹4の長さa=4.
4mm(a/d=0.88)、枝5の長さb=2.2mm
(b/a=0.5)、突起2の高さh=10μm、突起
の間隔x=100μmであり、ロール表面の周方向に連
続した模様とした。
【0036】圧延材10は、板幅988mmの低炭素鋼コ
イルである。圧下率は20%、圧延速度は200m/min
から1600m/min まで200m/min おきに8段階に変
化させ、摩擦係数を測定するとともに、圧延材表面のヒ
ートスクラッチおよびロール模様転写状況を観察した。
圧延油は、パーム油を基油とする油粒子を水中に10%
混入したエマルジョン油を使用し、液温60℃、流量4
0リッター/minで圧延油供給ノズル8a,8b からロール
バイトに向けて噴射した。
【0037】摩擦係数は、図11に示すように、120
0m/min まで圧延速度の増加とともに小さくなる。これ
は、ロールバイト内への圧延油の引込み量が、圧延速度
が増すと増加することによるものである。1200〜1
600m/min では圧延油の引込み量が飽和し摩擦係数は
不変である。そして圧延速度1600m/min まで、圧延
材の表面には、ヒートスクラッチも、ロール模様の転写
も認められなかった。
【0038】これに対して、ワークロール6a,6b に突
起を有しない従来ロール使用した場合は、摩擦係数が相
対的に大きく、また圧延速度1400m/min でヒートス
クラッチの発生が認められた。さらに圧延荷重を測定し
た結果、本発明ロールを使用したときは、従来ロールを
使用したときの約90%に低減した。
【0039】
【発明の効果】本発明ロールは、ロール表面に独立した
多数の突起が適正な条件のもとに形成され、隣設する各
突起がたがいに入込んで迷路状の溝を形成している。こ
のため、本発明ロールをワークロールに使用すると、ロ
ールバイト内で圧延油が十分に保持されて摩擦係数が小
さくなり潤滑性が向上するので、圧延荷重が低下し高圧
下圧延が可能になるとともに、高圧下高速圧延を行って
もヒートスクラッチが発生し難く、そのうえ保持された
圧延油は、突起の間の溝を通って抜け出るので圧力が急
速に高まることが回避され、圧延材にはロール模様が転
写され難い。したがって、冷延鋼帯などの金属帯板を製
造するタンデム圧延機などの冷間圧延機に本発明ロール
を使用し、本発明法で圧延することにより、ヒートスク
ラッチやロール模様の転写といった圧延材表面の品質を
損なうことのない高圧下高速圧延が実現され、顕著な生
産性向上効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ロールの例を示し、ロール胴部を平面に
展開した平面展開図である。
【図2】本発明ロールの例を、突起の中心線のみで示し
た平面展開図である。
【図3】(a)、 (b)、 (c)、 (d)は本発明ロールの別の
例で、一部は突起の中心線のみで示した平面展開図であ
る。
【図4】(a)、 (b)、 (c)は本発明ロールの別の例、
(d)は比較例のロールの例を、突起の中心線のみで示し
た平面展開図である。
【図5】本発明ロールにおける幹の長さaの限定理由の
例を示すグラフである。
【図6】本発明ロールにおける幹の先端から枝の先端ま
での長さbの限定理由の例を示すグラフである。
【図7】本発明ロールにおける突起の高さhの限定理由
の例を示すグラフである。
【図8】本発明ロールにおける突起の間隔xの限定理由
の例を示すグラフである。
【図9】本発明ロールの好ましい態様における幹の方向
とロール軸方向との関係の限定理由例を示すグラフであ
る。
【図10】実施例における冷間圧延機を示す説明図であ
る。
【図11】実施例における摩擦係数を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…ロール 2…突起 3…基点 4…幹 5…枝 6a,6b …ワークロ
ール 7a,7b …バックアップロール 8a,8b …圧延油供
給ノズル 9a,9b …冷却水供給ノズル 10…圧延材 11…ペイオフリール 12…テンションリ
ール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 茂 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4E002 AD05 BB09 CB03 CB09 4E016 AA03 CA04 CA09 DA13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール表面の少なくとも圧延材と接触す
    る面に、該面を平面に展開したとき下記 (1)〜 (6)の条
    件を満たす同一形状からなる独立した突起が多数形成さ
    れており、各突起間の溝が連続していることを特徴とす
    る冷間圧延用ロール。 (1) 各突起は、基点からたがいに120°の角度をなし
    て直線的に伸びる3本の幹と、3本の幹それぞれの先端
    から両側に対称に伸びる合計6本の枝とで構成されてい
    る。 (2) 基点は、稠密に並べた同一寸法の正三角形の各頂点
    に位置している。 (3) 各幹は前記正三角形の辺上にあって、基点から伸び
    る向きが3方向ともそれぞれ揃っており、各幹の長さa
    は等しく、各基点の間隔dの0.5倍よりも長く隣設し
    た突起に接しない。 (4) 幹の先端から、該幹から伸びる枝の先端までの長さ
    bは両側とも等しく、幹の長さaの0.1倍より長く、
    該枝は幹および枝に接触しない。 (5) 各突起の高さhは10μm以上50μm以下であ
    る。 (6) 各突起の枝と隣設する突起の幹との間の間隔xは1
    00μm以上である。
  2. 【請求項2】 前記突起が、さらに下記 (7)の条件を満
    たしていることを特徴とする請求項1記載の冷間圧延用
    ロール。 (7) 各幹の先端から両側に伸びる各枝が、該幹と60°
    の角度をなして直線的に伸びている。
  3. 【請求項3】 前記突起が、さらに下記 (8)の条件を満
    たしていることを特徴とする請求項1または2記載の冷
    間圧延用ロール。 (8) 各基点から3方向に伸びる幹のうち1方向の幹がロ
    ール軸に平行である。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載されたロー
    ルをワークロールとし、エマルジョン油を圧延油として
    金属帯板を圧延することを特徴とする冷間圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT501464B1 (de) * 2004-09-13 2006-09-15 Amag Rolling Gmbh Verfahren zum herstellen eines bleches mit einer oberflächenstruktur

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT501464B1 (de) * 2004-09-13 2006-09-15 Amag Rolling Gmbh Verfahren zum herstellen eines bleches mit einer oberflächenstruktur

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