JP2000300282A - 組換ヒト肝実質細胞増殖因子及び組換発現ベクター - Google Patents
組換ヒト肝実質細胞増殖因子及び組換発現ベクターInfo
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Abstract
する塩基配列を含有するDNAを単離し、これを発現し
うる組換発現ベクターに導入し、該組換発現ベクターで
形質転換した形質転換体を培養し、該培養物から組換ヒ
ト白血球由来肝実質細胞増殖因子を採取、製造する。 【解決手段】 この組換ヒト白血球由来肝実質細胞増殖
因子は、肝実質細胞培養試薬、肝再生促進剤、肝機能の
基礎的研究、肝実質細胞に対する各種ホルモンや薬剤の
作用の研究、肝癌の発癌研究用、さらにこれに対する抗
体を用いる臨床診断試薬、肝疾患治療薬などへの利用に
有用である。
Description
するポリペプチド、さらに詳しくは、生体外(in vitr
o)で肝実質細胞の維持、増殖を可能にする生理活性を
有するポリペプチドをコードする塩基配列を発現し得る
組換発現ベクター、形質転換体、および該ポリペプチド
の製造法に関するものである。本発明により製造された
ポリペプチドは肝実質細胞培養試薬、肝再生促進剤、肝
機能の基礎的研究、肝実質細胞に対する各種ホルモンや
薬剤の作用の研究、肝癌の発癌研究用、さらに該ポリペ
プチドに対する抗体を用いる臨床診断試薬、肝疾患治療
薬などへの利用が期待できる。
として、上皮細胞増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖
因子(FGF)、神経細胞増殖因子(NGF)、血小板
由来増殖因子(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(E
CGF)などが知られている。これらの増殖因子の他
に、生体外において肝実質細胞増殖活性を有するポリペ
プチドが1984年に中村らによって再生肝ラット血清
より部分精製され、肝実質細胞増殖因子(以下HGFと
略す)と命名された。
株化細胞が活発に増殖する哺乳動物血清存在下でも該細
胞の増殖が全く認められず、通常約1週間で培養容器壁
からの脱落が起こり、生体外での長期培養は不可能であ
った。ところがこのHGFの存在下において肝細胞は極
めて良好に増殖し、該細胞の培養が可能となった(Bioc
hem,Biophys.Res.Commun., 122,1450,1984)。他
の研究者によってもこのHGF活性は、肝部分切除手術
後の血中、劇症肝炎患者の血中にも存在することが確認
された。
にラット血小板からHGFを分離精製して研究を重ね、
このラット血小板由来のHGFが2種のサブユニットか
らなることを見出し、かつHGFに含有される一部のア
ミノ酸配列27残基の同定に成功した(特願昭63−3
11866号明細書)。
織あるいは血小板などから極微量分泌されるポリペプチ
ドであるため、原材料組織の入手の困難さにより、安定
供給することはほとんど不可能に近い。特に、ヒトHG
Fにおいては現在までに唯一活性が確認されているのは
劇症肝炎患者血清中のみである。このヒトHGFを肝実
質細胞の培養や肝細胞の研究用、ひいては肝疾患治療薬
として利用するためには、ヒトHGFと同様な活性を有
するポリペプチドを遺伝子組換技術を応用して大量に供
給することが望まれる。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ラット血小板由来H
GFのアミノ配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチ
ドをプローブとしてラット肝臓mRNAより調製したc
DNAライブラリーよりラットHGFポリペプチドをコ
ードする塩基配列を含有するcDNAが得られることを
見出した。さらにラット由来の該cDNAをプローブと
してヒト肝臓mRNAより調製されたcDNAライブラ
リーよりヒトHGFポリペプチドをコードする塩基配列
を含有するcDNAが得られることを見出した。(Natu
re,342,440,1989)。
たは全部をプローブとして肝臓を除いた種々のヒト組織
由来のmRNAとのノザーンハイブリダイゼイションを
行ったところ、胎盤及び白血球mRNAにもHGF様転
写産物の存在が認められることを見出した。本発明者ら
は、このうち白血球由来のmRNAから作製したcDN
Aライブラリーより、ヒトHGFをコードする塩基配列
を含有するcDNAを単離しその塩基配列を明らかに
し、さらに該cDNAを含有する組換発現ベクターを作
製し、該組換発現ベクターによって形質転換された形質
転換体を得、該形質転換体を培養してヒト白血球由来H
GF遺伝子が発現することを見出し本発明を完成させる
に至った。
増殖因子をコードする塩基配列を含有するDNAを発現
しうる組換発現ベクター、該組換発現ベクターで形質転
換された形質転換体、該形質転換体を培養し、該培養物
から組換ヒト白血球由来肝実質細胞増殖因子を採取、製
造する方法及び組換ヒト白血球由来肝実質細胞増殖因子
に関するものである。
するDNA組換発現ベクター、及び形質転換体は例えば
次のようにして調製される。即ち、(1)ヒトの白血球
よりmRNAを単離し、常法に従ってcDNAライブラ
リーを作製し、(2)すでに単離されているヒト肝臓由
来HGFcDNAの全部または一部をプローブとして上
記ヒト白血球由来cDNAライブラリーのスクリーニン
グを行い、単離されたクローンより目的とするcDNA
を抽出する。(3)このヒト白血球由来HGFのcDN
AよりヒトHGFをコードするcDNA断片を制限酵素
を用いて切り出し発現用ベクターに組み込み、(4)得
られた組換発現ベクターにより宿主細胞を形質転換して
形質転換体を得、(5)この形質転換体を培養して、そ
の培養上清からヒト白血球HGFを採取、製造すること
ができる。
する。 1)mRNAの単離とノーザンハイブリダイゼーション ヒト白血球のmRNAは常法に従って得ることができ
る。例えば、Biochemistry,18,5294(1979)に記載さ
れているJ.M.Chirgvinらの方法によって、ヒトの白血
球のグアニジンチオシアン酸溶液から得たRNAをさら
にオリゴdTセルロースカラムを用いる液体クロマトグ
ラフイーに、またはオリゴdTラテックスに付すことに
よって該mRNAを調製することが可能である。また、
ヒト白血球mRNAは市販品としてクロンテック社など
から購入して利用することもできる。このようにして得
られたmRNAとヒト肝臓由来のHGFをコードするc
DNAとのノーザンハイブリダイゼイションは、例えば
Molecular cloning:A Laboratory Manual,Cold Sprin
g Harbor Laboratory,New York,202(1982)に記載さ
れているManiatisらの方法によって行うことができる。
プローブとしてはヒト肝臓由来HGFcDNAの全部又
は一部を32P標識して使用することができる。
球mRNAを鋳型として逆転写酵素を用いて、例えば
H.Okayamaらの方法(Mol.Cell.Biol.,2,161,1982
及びMol.Cell.Biol.,3,280,1983)あるいはU.Gu
blerらの方法(Gene,25,263,1983)に従ってcDN
Aを合成し、このcDNAをプラスミドやファージに組
み込むことによりcDNAライブラリーを調製すること
ができる。cDNAを組み込むプラスミドベクターとし
ては、大腸菌由来のpBR322(東洋紡績)、pUC
18及びpUC19(東洋紡績)、枯草菌由来のpUB
ll0(シグマ社)などがある。これらのベクターは、
宿主細胞内に保存されていて複製、増幅されるものであ
れば、ここに例示したものに限定されるものではない。
mRNAを鋳型として合成されたcDNAをプラスミド
またはファージに組み込んでcDNAライブラリーを調
製する方法として、T.Maniatisらの方法(Molecular C
loning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor La
boratory,NewYork,239,1982)またはT.V.Hyunhら
の方法(DNA Cloning:A Practical Approach,1,49,
1985)を各々例示することができる。また、mRNAと
同様にヒト白血球のcDNAライブラリーを市販品とし
てクロンテック社などから購入して使うことも可能であ
る。
ージなどの組換発現ベクターは、大腸菌のような適切な
宿主細胞に保持される。宿主となりうる大腸菌として
は、例えばEscherichia coli NM514,C600(ストラタジ
ーン社)、NM522,JMlOl(ファルマシア社)などを例示
することができる。cDNAのベクターがプラスミドの
場合、塩化カルシウム法、塩化カルシウム・塩化ルビジ
ウム法などを用いて、またcDNAのベクターがファー
ジの場合、インビトロバッケージング法などを用いてあ
らかじめ増殖させた宿主細胞に保持させることができる
(Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laborator
y,New York,249,1982)。このようにして得られた形
質転換体から、ヒト肝臓由来HGFcDNAを32P標識
したプローブを使用してコロニーハイブリダイゼーショ
ン法(Gene,10,63,1980)、プラークハイブリダイゼ
ーション法(Science,196,180,1977)などによってc
DNAクローンを釣り上げることができる。また、目的
とするポリペプチドに対する抗体を用いて、標識抗体法
(DNA Cloning:A Practical Approach,1, 49,1985)
によって、cDNAをクローニングすることも可能であ
る。
oning,A Laboratory Manual,ColdSpring Harbor Labo
ratory,New York,1982)に従ってプラスミドやファー
ジなどの組換DNAを単離し、そのままあるいは制限酵
素で消化してからcDNA塩基配列が決定される。塩基
配列はマクサムとギルバートの化学法(Proc. Natl.Aca
d.Sci.USA.,74,560,1977)やサンガーのジデオキシ
法(Proc.Natl. Acad. Sci.USA.,74,5463,1977)な
どによって決定される。記述のmRNAと塩基配列の決
定されたcDNAの一部あるいはcDNAの一部の合成
DNAをプライマーにして、プライマーエクステンショ
ン法(Proc.Natl.Acad. Sci. USA.,76,731,1979)
によって新たにcDNAを合成し、上記と同様にしてc
DNAライブラリーから第1のcDNAに連絡した第2
のcDNAを含有するプラスミドやファージなどの組換
DNAをクローニングすることが可能である。このプラ
イマーエクステンションとクローニングの工程は、必要
により複数回繰り返される。
部あるいはその一部をコードするcDNAを含有する数
種のプラスミドやファージなどの組換ベクターから制限
酵素によってcDNAを切り出し、ヒト白血球由来HG
Fの発現に適したベクターのプロモーターの下流に制限
酵素とDNAリガーゼを用いて再結合して組換発現ベク
ターを作製することができる。より詳しくは、ヒト白血
球由来HGFを効率良く発現させるために組換発現ベク
ターは転写の下流方向に順番に必要により (1)プロモー
ター、 (2)リボゾーム結合部位、(3)開始コドン、(4)
ヒト白血球由来HGFをコードする塩基配列を含有する
DNA、 (5)終止コドン、(6)ターミネーターを含む
ように構築される。本発明で用いることができるDNA
のベクターとして大腸菌由来のプラスミドpBR32
2、pUC18(東洋紡績)、枯草菌由来のプラスミド
pUBll0(シグマ社)、酵母由来のプラスミドpR
B15(ATCC 37062)、バクテリオファージλgtl
0、λgtll(ストラタジーン社)、ウィルスSV4
0(BRL社)、BPV(ATCC VR-703)、レトロウィ
ルスの遺伝子由来のベクターなどが列挙出来るが、宿主
内で複製、増幅可能なベクターであれば特に限定はな
い。特に、ヒト白血球由来HGFを簡便に発現させるに
は、SV40のようなウィルスの遺伝子由来のベクター
を用いるのが好ましい。例えば、前述のクローン化され
たヒト白血球由来HGFをコードするDNAをSV40
ベクターの後期領域に結合した組換発現ベクターは、C
OS細胞(Cell,23,175,1981)と呼ばれるサル細胞
株に導入して発現させることが可能である。プロモータ
ー及びターミネーターに関しても、目的とするヒト白血
球由来HGFをコードする塩基配列の発現に用いられる
宿主に対応したものであれば特に限定はない。例えば、
プロモーターとして宿主が大腸菌である場合、trpプ
ロモーター、lacプロモーターなどを、宿主が枯草菌
である場合、SPOlプロモーター、SPO2プロモー
ターなどを、宿主か酵母である場合、GAPプロモータ
ー、PGKプロモーターなどを、宿主がマウス線維芽細
胞やチャイニーズハムスター卵巣細胞のような動物細胞
の場合、ウィルス由来のSV40プロモーター、HSV
1TKプロモーターなどを例示することができる。ま
た、ターミネーターとしては、宿主が大腸菌の場合、t
rpターミネーター、1ppターミネーターなどを、宿
主が枯草菌の場合amyFターミネーターなどを、宿主が
酵母の場合CYClターミネーターなどを、宿主が動物
細胞の場合、SV40ターミネーター、HSV1TKタ
ーミネーターなどを例示することができる。これらのプ
ロモーターとターミネーターは用いる宿主に応じて適切
に組み合わされる。本発明においてヒト白血球由来HG
Fをコードする塩基配列を含有するDNAは、そのDN
Aが発現されるポリペプチドが、肝実質細胞増殖活性を
有するならば特に制限はなく、例えば後述する配列表・
配列番号1に示した塩基配列が例示され、さらには上記
塩基配列の一部が置換、欠損、挿入、あるいはこれらが
組み合わされた塩基配列を有するDNAであってもよ
い。ヒト白血球由来HGFをコードする塩基配列を含有
する該DNAの翻訳開始コドンとしてATG、翻訳終止
コドンとしてTAA、TGA、あるいはTAGを有して
もよい。また、必要に応じて開始コドン、あるいは終止
コドンを1つ以上組み合わせたり、他のコドンと組み合
わせて配列してもよく、これらに特に限定はない。さら
にこの組換発現ベクターで形質転換した宿主の選択マー
カーとなり得るアンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン
耐性遺伝子、DHFR遺伝子など1種または2種以上が
該ベクターの適切な位置に含有されていることが好まし
い。
クターは、コンピテント細胞法(J.Mol.Biol.,53, 15
4,1970)、プロトプラスト法(Proc. Natl. Acad.Sc
i.USA,75,1929,1978)リン酸カルシウム法(Scienc
e, 221, 551,1983)DEAEデキストラン法(Scienc
e,215,166,1983)、電気パルス法(Proc.Natl.Aca
d.USA,81,7161,1984)、インビトロバッケージング
法(Proc. Natl.Acad.Sci.USA,72,581,1975)、
ウイルスベクター法(Cell, 37, 1053,1984)、または
マイクロインジェクション法(Exp. Cell. Ees., 153,
347, 1984)などによって宿主に導入され、形質転換体
が作製される。このとき、宿主として既述の大腸菌の他
に枯草菌、酵母、動物細胞などが用いられる。特にマウ
ス線維芽細胞C127(J.Virol.,26, 291,1978)
やチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,77,1929,1978)などの哺乳動物
由来の宿主細胞を用いるのが好適である。得られた形質
転換体は、目的とする組換ヒト白血球HGFを産生させ
るためにその宿主に応じた適切な培地中で培養される。
培地中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素
源、無機物、ビタミン、血清および薬剤などが含有され
る。培地の1例としては、形質転換体の宿主が大腸菌の
場合、LB培地(日水製薬)M9培地(J.Exp.Mol.G
enet.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,19
72,p.431)などを、宿主が酵母の場合、YEPD培地
(Genetic Engineering, vol.1,Plenum Press,New Y
ork,1979,p.117)などを、宿主が動物細胞の場合、2
0%以下のウシ胎児血清を含有するMEM培地、DME
M培地、RPMI1640培地(日水製薬)などを挙げ
ることができる。形質転換体の培養は、通常20℃〜4
5℃、pHは5〜8の範囲で行われ、必要に応じて通気、
攪拌が行われる。また、宿主が接着性の動物細胞などの
場合は、ガラスビーズ、コラーゲンビーズ、あるいはア
セチルセルロースフォローファイバーなどの担体が用い
られる。これら以外の培地組成あるいは培養条件下でも
形質転換体が生育すれば実施でき、これらに限定される
ものではない。
体中に生成した組換ヒト白血球HGFは、公知の塩析
法、溶媒沈澱法、透析法、限外濾過法、ゲル電気泳動
法、あるいはゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換ク
ロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、アフィニティ
クロマトグラフィなどを組み合わせて分離精製すること
ができる。特に、硫酸アンモニウムによる塩析法、S−
セファロースイオンクロマトグラフィ、ヘパリンセファ
ロースアフィニテイクロマトグラフィおよびフェニルセ
ファロース逆相クロマトグラフィの組み合わせ、あるい
は硫酸アンモニウムによる塩析法、S−セファロースイ
オンクロマトグラフィ、および抗HGF抗体セファロー
スアフィニティクロマトグラフィの組み合わせなどが好
ましく有効な精製法である。以上に述べた方法によって
得られた組換ヒト白血球由来HGFは、ラット肝、ラッ
ト血小板及び組換ヒト肝由来HGFと同様にラット肝実
質細胞の増殖を顕著に促進する活性を示した。
(1983)に記載の方法に準じて次のように測定した。ウ
イスター系ラットからコラーゲナーゼ還流法によって肝
実質細胞を分離精製した。得られたラット肝実質細胞を
5%ウシ血清、2×10−9Mインスリンおよび2×1
0−9Mデキサメサゾンを添加したウイリアムスE培地
(フローラボラトリー社)に懸濁し、24ウエルマルチ
プレートに1.25×105個/ウエルの濃度で播い
た。5%CO2および30%O2および65%N2の存在
下、37℃で20時間培養後、0.1μg/mlのアプロ
チニンを添加したウイリアムスE培地に交換すると同時
に所定量の被験試料を添加した。15時間後、15μC
i/mlの125Iデオキシウリジン10μ1/ウエルを添加
した。コントロール群には、125Iデオキシウリジン添
加の15分前に5μg/mlのアフィディコリンを添加し
た。さらに4時間培養して125Iでラベルした。細胞をp
H7.4のPBSで2回洗浄後、冷10%トリクロロ酢
酸水溶液(TCA)で固定した。細胞を1ウエル当たり
0.5mlの1N水酸化ナトリウム水溶液で可溶化し、そ
の放射能をガンマカウンターにより測定した。また放射
能測定後の試料の1部をとってローリー法(J.Biol.Ch
em., 193, 265,1951)に従い蛋白量を測定した。被験
試料を添加したとき肝実質細胞に取り込まれた125Iの
量をコントロールとのカウントの差として求め、これを
ラット肝実質細胞蛋白質1mg当たりに換算して、DNA
合成活性(dpm/mg蛋白質)とした。被験試料のH
GF活性は同一試験において上皮細胞成長因子(EG
F)10ng/mlを用いた時の肝実質細胞のDNA合成
活性の50%に相当する活性を1単位と定義して表示し
た。
殖を可能とする新規な生理活性ペプチドの大量供給が可
能となる。本発明により供給される組換ヒト白血球由来
HGFは、臨床診断試薬や肝疾患治療薬として有用であ
る。さらに、本発明によりつくられる組換ヒト白血球由
来HGFの作用により増殖維持される肝実質細胞は、例
えば肝機能の基礎的研究用肝実質細胞に対する各種ホル
モンや薬剤の作用の研究用、肝癌の発癌研究用あるいは
肝炎ウィルスの生体外培養のための宿主細胞として極め
て有用である。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
ーザンハイブリダイゼーション ヒト脳、胎盤、白血球、肺、及び肝臓mRNA(クロン
テック社)それぞれ2μgをManiatisらの方法(Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harb
or Laboratory,New York,202,1982)に準じて0.6
6Mホルムアルデヒド含有アガロース電気泳動に供した
後、ナイロンフィルター・ジーンスクリーンプラス(デ
ュポン社)上に固定した。ヒト肝臓由来HGFcDNA
のBamHI―KpnI 2.2kb断片をアガロース
電気泳動により分離、精製し、マルチプライムDNA標
識システム(アマシャム社)を用いて〔α32P〕dCT
Pで標識することにより調製したプローブ、5×SSP
E緩衝液(1×SSPE:180mM NaCl lO
mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA、pH6.
8)、5×デンハート溶液、10%デキストラン硫酸、
40%ホルムアルデヒド、0.1%SDS、0.1mg/
ml大腸菌DNAからなるハイブリダイゼーション溶液に
上記ナイロンフィルターを浸し、42℃で16時間ハイ
ブリダイゼーション反応した。反応後、ナイロンフィル
ターは60℃で0.1%SDSを含む1×SSC緩衝液
によって3回洗浄してから風乾した。このナイロンフィ
ルターを増感スクリーン・ライトニングプラス(デュボ
ン社)とX線フィルム、RX(富士写真フィルム)に密
着させ、―80℃で16時間露光した。現像の結果、肝
臓mRNAと同様に胎盤及び白血球mRNAにもHGF
様転写産物の存在が認められた。
ーの作製 ヒト白血球mRNA3μgを鋳型にし、ヒト肝臓由来H
GFcDNAの3’非翻訳領域に含有する5’ACAT
TCTCTGAAATCTTCAT3’の塩基配列を有
するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、cDNA
合成システムプラス(アマシャム社)を用いてGublerら
の方法(Gene,25,263,1983)に準じてcDNAを合
成した。cDNAはフェノール/クロロホルム(1:1、
V/V)抽出とエタノール沈澱によって精製した後、
0.5M NaCl及び1mM EDTAを含む10m
Mトリス塩酸緩衝液(STE緩衝液と略す)に溶解し、
0.7μg/20μ1とした。このcDNAをcDNA
クローニングシステムλgt10(アマシャム社)を用
いてHuynhらの方法(DNA Cloning I,A Practical Appr
oach,1,49,1982)に準じ、次のようにλgtl0の
EcoRI部位にクローニングした。T4DNAリガー
ゼを用いてcDNAの両末端にEcoRIアダプターを
付加した。STE緩衝液で平衡化したcDNA精製用ゲ
ル濾過カラムに反応液をアプライし、同緩衝液で溶出し
てcDNA画分500μ1を集めた。常法によってエタ
ノール沈澱を2回繰り返した後、減圧乾燥してリンカー
付加cDNAを得た。再びSTE緩衝液に50ng/μ
1の濃度で溶解したのち、あらかじめ準備されたλgt
l0アーム1μgにアダプター付加cDNA0.1μg
をT4DNAリガーゼを用いて挿入した。この反応液は
冷エタノール処理した後、軽く乾燥して得られた組換D
NAの全量を5μ1の1mM EDTAを含む10mM
トリス塩酸緩衝液pH7.5(TE緩衝液と略す)に溶
解した。この組換DNAをインビトロパッケージング反
応に供し、λgtl0組換ファージを得た。ファージプ
レーティング用大腸菌を用いたタイトレーションにより
測定したcDNAlμgから得られた組換ファージ数は
5.0×106個であった。このようにして作製したc
DNAライブラリーは使用するまで少量のクロロホルム
を加えたSE緩衝液(100mM NaCl,10mM
MgSO4,0.01%ゼラチン含有20mMトリス
塩酸緩衝液、pH7.5)中、4℃で保存した。
の単離と塩基配列の決定 マルチプライムDNA標識システム(アマシャム社)を
用いて〔α32P〕dCTPで標識したヒト肝臓由来HG
FcDNAの一部であるHAC69の0.2kb Ec
oRI断片をプローブとし、上記cDNAライブラリー
からヒト白血球由来HGF遺伝子のクローニングを行っ
た。ハイブリダイゼーション反応温度及び洗浄温度を6
0℃、洗浄液は0.1%SDSを含む2×SSC緩衝液
とし、スクリーニングを行い、陽性クローンHLC2及
びHLC3を得た。それぞれのファージから常法により
単離、精製したHLC2及びHLC3cDNAを塩基配
列解析及び制限酵素切断解析に供した。図1にHLC3
の制限酵素地図、配列表・配列番号1に塩基配列の一部
及び演繹されるアミノ酸配列を示す。ヒト白血球由来H
GFクローン、HLC3は以前に決定されたヒト肝臓由
来HGF(Nature,342,440,1989)と同様の特徴を有
しているが、コード領域内の塩基配列に38ヶ所差異が
あり、その結果演繹されるアミノ酸配列に14ケ所の差
異を生じた。また、HLC2cDNAはHLC3cDN
Aとほぼ同一の塩基配列を有しているが、HLC3cD
NAの484番目から498番目までの塩基が欠失して
いた(配列表・配列番号2)。
F発現ベクターの構築 サルCOS細胞用ヒトHGF発現ベクターCDM〔dL
eHGF〕およびCDM〔LeHGF〕の構築図を図2
に示す。上記3)で得られたHLC2及びHLC3ファ
ージDNAを制限酵素BamHIとKpnIで消化し、
2.2kbのDNA断片を分離、精製した。HLC2及
びHLC3のKpnI切断部位、その3’側に含有する
配列及びHpaI、SmaI、SalI切断部位から成
るオリゴヌクレオチド5'CACAGTCATAGCTG
TTAACCCGGG3' 、 5'TCGACCCGGGT
TAACAGCTATGACTGTGGTAC3'を合成
し、KpnI−SalIアダプターとした。上記HLC
2及びHLC3のBamHI−KpnI DNA断片、
KpnI−SalIアダプター及びあらかじめ制限酵素
BamHIとSalIで消化したブルースクリプトKS
M13+(ストラタジーン社)を混合し、T4DNAリ
ガーゼで結合して2種類のプラスミドpBS〔dLeH
GF〕及びpBS〔LeHGF〕を得た。得られたpB
S〔dLeHGF〕及びpBS〔LeHGF〕を制限酵
素BamHIとSalIで消化しT4DNAポリメラー
ゼで平滑末端とした後、あらかじめ制限酵素BstXI
で消化しT4DNAポリメラーゼで平滑末端としたCO
S細胞用発現ベクターCDM8(Nature,329,840,19
87)と混合し、T4DNAリガーゼで結合してヒト白血
球由来HGF発現ベクターCDM〔dLeHGF〕及び
CDM〔LeHGF〕を得た。
球由来HGF遺伝子の発現 得られたCDM〔dLeHGF〕及びCDM〔LeHG
F〕プラスミドをエタノール沈澱した後、10mMPB
S緩衝液に溶解し、2μg/mlに調製した。次に10%
ウシ胎児血清(ギブコ社)を含むDMEM培地(日水製
薬)中で飽和細胞密度まで増殖させたCOS−1細胞(AT
CC CRL−1650)を10mMPBS緩衝液で2回洗浄した
後、トリプシン処理した。同緩衝液で3回洗浄後、細胞
密度2×107個/mlになるように再び同緩衝液に浮遊
化した。先に調製したプラスミド溶液250μ1と細胞
浮遊液250μ1を混合し、氷冷下で10分間放置した。
この氷冷したプラスミド細胞混液高電圧パルス遺伝子導
入装置ZA−1200(PDS社)を用いて、印加電圧4K
V/1cmパルス時間20ミリ秒の条件下で高電圧パルス
をかけた。得られた細胞を上記の培地で希釈し、37℃
5%CO2存在下にて3日間培養した。培養3日目の培
養上清中のHGF活性を測定したところ、それぞれ20
単位/ml及び5単位/mlであった。一方、HGFcDN
Aを挿入していない発現ベクターCDM8を同じ方法に
よりCOS−1細胞に導入して培養したが、その培養上
清中にはHGF活性を認めなかった。
クターの構築 マウスC127細胞用ヒト白血球由来HGF発現ベクタ
ーpBPMT〔LeHGF〕(微工研条寄第2897
号)及びpBPMT〔dLeHGF〕(微工研条寄第2
898号)の構築を図3に示す。実施例1で得られたプ
ラスミドpBS〔LeHGF〕及びpBS〔dLeHG
F〕をそれぞれ制限酵素XbaIとSalIで消化し、
T4DNAポリメラーゼで平滑末端とした後、あらかじ
め制限酵素EcoRVで消化したC127細胞用発現ベ
クターpBPMTと混合し、T4DNAリガーゼで結合
してヒトHGF発現ベクターpBPMT〔LeHGF〕
(微工研条寄第2897号)及びpBPMT〔dLeH
GF〕(微工研条寄第2898号)を得た。得られたヒ
ト白血球由来HGF発現ベクターは、MT−1プロモー
ターとSV40初期遺伝子のポリ(A)付加シグナルの
間にヒト白血球由来HGF遺伝子を有し、この発現ベク
ターによるマウスC127細胞の形質転換はウシパピロ
ーマウィルス(BPV)により行われる。また、形質転
換された細胞の選択は、トランスポゾンTn5のneo遺
伝子(Gene,19,329,1982)にヘルペスシンプレック
スウィルスタイプ1のチミジンキナーゼ(HSV1 T
K)遺伝子由来のプロモーターとポリ(A)付加シグナ
ルを連結したneoキメラ遺伝子によって可能となる。
HGF遺伝子の発現 ヒト白血球由来HGF発現ベクターpBPMT〔LeH
GF〕(微工研条寄第2897号)及びpBPMT〔d
LeHGF〕(微工研条寄第2898号)はWiglerらの
方法(Cell,11,223,1977)によりマウスC127細
胞へ導入した。上記(1)で得られた29μgのpBP
MT〔LeHGF〕(微工研条寄第2897号)プラス
ミドおよびpBPMT〔dLeHGF〕(微工研条寄第
2898号)をそれぞれ240μ1の0.5M塩化カル
シウムに溶解し、20mM HEPES,280mM
NaCl及び1.5mMリン酸ナトリウムからなる2×
HEPES緩衝液(pH7.1)、240μ1を攪拌しなが
ら加えた。室温で30分攪拌を続け、プラスミドとリン
酸カルシウムの共沈澱を形成させた。あらかじめ、10
%ウシ胎児血清(ギブコ社)及び10mMグルタミンを
添加したDMEM培地(日水製薬)を用いて5×105
個のC127細胞を5%CO2の存在下で37℃、24
時間培養した。培地交換した後、プラスミドとリン酸カ
ルシウム共沈澱を加え、室温で20分間放置した。さら
に37℃で4時間インキュベートした後、培地を除去
し、15%グリセリンを添加した1×HEPES緩衝液
を加え、室温で5分間放置した。培地で細胞を洗浄した
後、培地交換し、さらに37℃で2日間インキュベートし
た。細胞を10倍に希釈して1mg/mlのG418(シグ
マ社)を含む同培地を用いて5%CO2の存在下で37
℃、7日間培養して形質転換細胞を得た。得られた細胞
株から培養上清中のHGF活性の高い細胞を限界希釈法
でスクリーニングし、ヒト白血球由来HGF高生産株B
PI−14株(pBPMT〔LeHGF〕(微工研条寄
第2897号))及びBPD−27株(pBPMT〔d
LeHGF〕(微工研条寄第2898号))を得た。こ
れらの細胞の培養上清中のHGF生産能はそれぞれ12
万単位/1/日、15万単位/1/日であった。
来HGF発現ベクターの構築 チャイニーズハムスターCHO細胞用ヒト白血球由来H
GF発現ベクターpEVSSV〔LeHGF〕(微工研
条寄第2899号)及びpEVSSV〔dLeHGF〕
(微工研条寄第2900号)の構築図を図4に示す。実
施例1で得られたプラスミドpBS〔LeHGF〕及び
pBS〔dLeHGF〕をそれぞれ制限酵素XbaIと
SalIで消化し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端
とした後、あらかじめ制限酵素EcoRVで消化したC
HO細胞用発現ベクターpEVSSVと混合し、T4D
NAリガーゼで結合してヒト白血球由来HGF発現ベク
ターpEVSSV〔LeHGF〕(微工研条寄第289
9号)及びpEVSSV〔dLeHGF〕(微工研条寄
第2900号)を得た。得られたヒト白血球由来HGF
発現ベクターはSV40初期プロモーターとポリ(A)
付加シグナルの間にヒト白血球由来HGF遺伝子を有す
る。また、形質転換された細胞の選択は、マウスジヒド
ロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子にSV40初期プロ
モーターとポリ(A)付加シグナルで連結したDHFR
キメラ遺伝子により可能となる。
形質転換とヒト白血球由来HGF遺伝子の発現 ヒト白血球由来HGF発現ベクターpEVSSV〔Le
HGF〕(微工研条寄第2899号)及びpEVSSV
〔dLeHGF〕(微工研条寄第2900号)は実施例
2と同様にしてチャイニーズハムスターCHO細胞のD
HFR欠損CHO DUKX細胞に導入した。得られた
細胞株はリボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシド
を含まず、透析した10%ウシ胎児血清(ギブコ社)と
1%グルタミンと50nMメソトレキセートを含むα−
MEM培地(フローラボラトリー杜)を用いて、培養上
清中のHGF活性の高い細胞を限界希釈法でスクリーニ
ングした。発生したコロニーは、安定なヒト白血球由来
HGF高生産株を得るために、同培地において9世代ま
で増殖させた。この細胞株は100nM、250nM、
500nM、750nM、及び1000nMとメソトレキ
セートの濃度を順次増加させながら同培地で生育させ、
さらに安定なヒト白血球由来HGF高産生株EVI−6
5株(pEVSSV〔LeHGF〕(微工研条寄第28
99号))及びEVD−104株(pEVSSV〔dL
eHGF〕(微工研条寄第2900号))を得た。これ
らの細胞のヒト白血球由来HGF産生能はそれぞれ9万
単位/1/日、13万単位/1/日であった。
来HGFの精製 実施例2で得られたヒト白血球由来HGF産生マウスC
127組換細胞株BPD−27(15塩基欠失型HGF
産生株)の培養上清液より、組換ヒト白血球由来HGF
を精製した。 1)陽イオン交換クロマトグラフィー BPD−27株の培養液500mlに終濃度0.01%と
なるようにTween80を添加し、ステリベクスHV
フィルター(日本ミリポア・リミテッド)により濾過し
た。この濾液に1/20容の1M Tris・HCl (pH
8.5)緩衝液を加え、緩衝液A(50mM Tris・HCl,
10mM Hepes、2mM CaC12、150mM NaCl、
0.01%Tween80、pH8.5)で平衡化した
S−セファロースFF(ファルマシア社製、カラムサイ
ズ内径1.6cm、高さ5cm)に添加した。緩衝液Aで未
吸着物質を洗浄後、0.15Mから1.0MのNaClによ
る直線濃度勾配(全量100ml)で吸着物を溶出した。
クロマトパターンを図5に示す。HGF活性をもつ画分
を集め、S−セファロース溶出液とした。
後、2倍容の0.01%Tween80を含む蒸留水で
希釈し、緩衝液B(10mM Tris・HCl、0.3M NaC
l、0.01%Tween80、pH7.5)で平衡化
した。ヘパリン・セファロースCL−6B(ファルマシ
ア社製、カラムサイズ内径1cm、高さ3cm)に添加し
た。緩衝液Bでカラムを洗浄後、0.3Mから2.0M
のNaClによる直線濃度勾配(全量30ml)により溶出し
た。そのクロマトパターンを図6に示す。HGF活性を
もつ画分を集め、ヘパリン溶出液とした。
蒸留水で平衡化したフェニル5PW RPカラム(トー
ソー社製、内径0.75cm、高さ7.5cm)にヘパリン
溶出液を添加し、0.1%TFAを含む0%から90%
へのアセトニトリルの濃度勾配により溶出を行った。組
換ヒト白血球由来HGFは約40%のアセトニトリル濃
度にて溶出された。そのクロマトグラムを図7に示す。
精製された組換ヒトHGFの収量は約20μgであり、
培養上清液からの活性回収率は18%であった。
型ヒト組換白血球由来HGFを2−メルカプトエタノー
ル還元下及び非還元下でSDS−ポリアクリルアミド電
気泳動にかけた。結果を図8に示す。精製組換HGFは
非還元条件(2−ME(−))では分子量7万〜9万の
単一バンドを示し、還元条件下(2−ME(+))で
は、分子量6万〜7.5万のα鎖と分子量3万〜4万の
β鎖に分かれた。即ち組換HGFはα鎖とβ鎖からなる
ヘテロダイマーであることが示された。
欠失型)の肝細胞増殖活性 ラット初代培養肝実質細胞は、現在知られているin vit
roの系の中では最もinvivoに近い肝機能を持つ系であ
る。「HGF活性の測定法」に記述した方法に従って得
たラット肝実質細胞に対し、精製した15塩基欠失型組
換ヒト白血球由来HGFを添加したところ、1〜20n
g/mlの濃度で強い細胞増殖を誘起した。この培養系に
増殖活性を示す因子としては他にもインスリンやEGF
があるが、該組換HGFは単独で両者よりも強い活性を
有し、かつこれら3者の共存下では相加的な作用を示し
た。
ターCHO細胞の形質転換とその発現 ヒト白血球由来HGF発現ベクターpEVSSV(dL
eHGF)(微工研条寄第2900号)はWiglerらの方
法(Cell,11,233,1977)によりチャイニーズハムス
ターCHO細胞のDHFR欠損細胞に導入した。約30
μgのpEVSSV(dLeHGF)プラスミドをそれ
ぞれ240μ1の0.5M塩化カルシウムに溶解し、2
0mM HEPES、280mM塩化ナトリウムおよび
1.5mMリン酸ナトリウムからなる2×HEPES緩
衛液(pH7.1)、240μ1を攪拌しながら加え
た。室温で30分攪拌を続けプラスミドとリン酸カルシ
ウムの共沈殿を形成させた。続いて、10%ウシ胎児血
清(ギブコ社)と1%グルタミンとを含むα−MEM培
地(フローラボラトリー社)を用いて5×105個のC
HO細胞を5%CO2存在下で37℃、24時間培養し
た。培地交換した後プラスミドとリン酸カルシウム共沈
殿を加え室温で20分間放置した。さらに37℃で4時
間インキュベートしたのち、培地を除去し、15%グリ
セリンを添加した1×HEPES緩衝液を加え室温で5
分間放置した。培地で細胞を洗浄した後、培地交換しさ
らに37℃で7日間培養して形質転換細胞を得た。得ら
れた細胞株はリボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオ
シドを含まず、透析した10%ウシ胎児血清(ギブコ
社)、2%グルタミンを含むα−MEM培地(フローラ
ボラトリー社)を用いて安定なHGF高生産株を得るた
めに100nM、250nM、500nM、750n
M、1μM、2μMとメソトレキセート濃度を順次増加
させながら同培地で継代培養を繰り返した。得られたヒ
ト白血球由来HGF産生組換細胞をクローン選別を行
い、安定なヒト白血球由来HGF産生株515Cを得
た。これらの細胞のHGF産生能は約80万単位/1/
日であった。
HGFの精製 実施例5で得られたヒト白血球由来HGF産生チャイニ
ーズハムスターCHO組換細胞株515C(15塩基欠
失型HGF産生株)をリボヌクレオシドとデオキシリボ
ヌクレオシドを含まず、10%ウシ胎児血清(ギブコ
社)と1%グルタミンと2μMメソトレキセートを含む
α−MEM培地(フローラボラトリー社)で培養し、そ
の培養上清液より、組換ヒト白血球由来HGFを精製し
た。 1)陽イオン交換クロマトグラフィー 515C株の培養液500mlに最終濃度0.01%とな
るようにTween80を添加し、ステリベックスHVフィル
ター(日本ミリポア・リミテッドにより濾過した。この
濾液に1/20容の1M Tris・HCl(pH8.
5)緩衝液を加え、150mM NaClを含む緩衝液
C(50mM Tris・HCl、0.01% Tween 8
0、pH8.5)で平衡化したS−セファロースFF
(ファルマシア社製、カラムサイズ内径1.6cm、高さ
5cm)に添加した。緩衝液Cカラムを150mM Na
Clを含む緩衝液Cおよび400mM NaClを含む
緩衝液C(図9で矢印Aで印した)で洗浄後1M Na
Clを含む緩衛液C(図9で矢印Bで印した)で溶出し
た。クロマトパターンを図9に示す。1M NaClを
含む緩衝液Cで溶出したピーク部分(図9で←→と印し
た)を集め、S−セファロース溶出液とした。
後、2倍容の0.01%Tween 80を含む蒸留水で希釈
し、緩衛液B(10mM Tris・HCl、0.3M
塩化ナトリウム、0.01%Tween 80、pH7.5)で
平衡化した、ヘパリン・セファロースCL―6B(ファ
ルマシア社製、カラムサイズ内径1cm、高さ5cm)に添
加した。緩衝液Bでカラムを洗浄後、0.3Mから2.
0Mの塩化ナトリウムによる直線濃度勾配(全量40m
l)により吸着物を溶出した。そのクロマトパターンを
図10に示す。HGF活性を持つ画分を集め、ヘパリン
溶出液とした。
0)で平衡化したフェニル5PWカラム(トーソー製、
内径0.75cm、高さ7.5cm)にヘパリン溶出液を添
加し、溶媒A:4M塩化ナトリウムを含む20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)から溶媒B:50%エチレング
リコールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)へ
の濃度勾配により溶出を行った。HGF活性は2M N
aCl、25%エチレングリコール濃度で溶出された。
そのクロマトグラムを図11に示す。精製された組換ヒ
ト白血球由来HGFの収量は約500μgであり、培養
上清液からの活性回収率は25%であった。
的、化学的および物理化学的特性について測定した。 SDS−ポリアクリルアミド電気泳動 組換HGFを2−メルカプトエタノール還元下および非
還元下でSDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行っ
た。泳動後ゲルは銀染色法により染色したその結果を図
12に示す。組換HGFは非還元下で分子量7万〜9万
ダルトン、還元下では分子量6万〜7.5万のα鎖と分
子量3万〜4万のβ鎖に分かれた。またβ鎖は2本のバ
ンドに分かれたが、これはβ鎖における結合糖鎖本数の
差異を示している。
酸存在下で110℃、6時間加水分解した。加水分解物
を蒸発乾固後、水に再溶解し、試料とした。試料をアニ
オン交換樹脂を用いるHPLCにより糖組成、分析を実
施した。その結果フコース、ガラクトース、マンノー
ス、N−アセチルグルコサミンが検出され、組換HGF
が糖タンパクであることが確認された。
定」の項に記載の方法に従って活性を測定した。その結
果、精製組換HGFの比活性は20〜50万unit/mgと
測定された。
失型HGF)産生CHO515C株を10%ウシ胎児血
清(ギブコ社)と1%グルタミンと2μMメソトレキセ
ートを添加した。リボヌクレオシドとデオキシヌクレオ
シドを含有しないα−MEM培地(フローラボラトリー
社)で、37℃、5%CO2下培養し、細胞をコンフル
エントになるまで培養した。培養後、培養液を抜き取
り、PBSで2回細胞を洗浄した。次で1%グルタミン
と500μMメソトレキセートとプロテアーゼ阻害剤で
ある400unit/mlアプロチニンを加えたα−MEM培
地(リボヌクレオシドとデオキシヌクレオシド不含)を
加え、37℃、5%CO2下培養した。約1日培養後、
培養上清液を採取し、実施例6に示す方法とほぼ同様の
クロマト操作により組換HGFを精製した。培養上清液
からの活性回収率は約15%であった。
来HGFをSDS−アクリルアミド電気泳動にかけた。
その結果を図13に示す。精製された組換HGFは非還
元条件下で分子量7万〜9万ダルトンのバンドを示し、
更にメルカプトエタノール還元条件下でも、分子量8万
〜9万5千ダルトンの単一バンドを示した。
のものであることが示された。更に精製されたこの一本
鎖型組換HGFの生物活性を測定した。即ち「HGF活
性の測定」の項に記載の初代培養ラット肝細胞に対する
増殖活性を測定した。その結果一本鎖型組換HGFは肝
細胞増殖活性を示し、その比活性は実施例6の4)の項
で得られた活性とほぼ等しく、20〜50万unit/mgで
あると測定された。
ーの構築図である。
現ベクターの構築図である。
球由来HGF発現ベクターの構築図である。
成分の吸光度およびそれらのDNA合成活性との関係を
示す線図である。
光度およびそれらのDNA合成活性との関係を示す線図
である。
ル濃度と、溶出した成分の吸光度との関係を示す線図で
ある。
のSDS−ポリアクリルアミド電気泳動パターンを示
す。
示す線図である。
吸光度およびそれらのDNA合成活性との関係を示す線
図である。
おける溶出液のフラクションと溶出成分の吸光度および
それらのDNA合成活性との関係を示す線図である。
でのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動パターンを示
す。
非還元下でのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動パタ
ーンを示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 以下の工程により得られる肝実質細胞
増殖因子(HGF)高産生の細胞株を培養して得られる
組換HGF。 (1)配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列をコー
ドする遺伝子とジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝
子を有する組換発現ベクターで動物細胞を形質転換し、
(2)メソトレキセートの濃度を上昇させながら上記形
質転換体を培養して、(3)HGF高産生の細胞株を選
別する。 - 【請求項2】 請求項1記載の動物細胞として、CH
O細胞を使用することを特徴とする組換HGF。 - 【請求項3】 配列番号1又は配列番号2のアミノ酸
配列をコードする遺伝子とジヒドロ葉酸還元酵素(DH
FR)遺伝子を有する組換発現ベクター。
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