JP2000297245A - プラスチック被覆用導電性組成物 - Google Patents

プラスチック被覆用導電性組成物

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JP2000297245A JP11106299A JP10629999A JP2000297245A JP 2000297245 A JP2000297245 A JP 2000297245A JP 11106299 A JP11106299 A JP 11106299A JP 10629999 A JP10629999 A JP 10629999A JP 2000297245 A JP2000297245 A JP 2000297245A
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重信 平岩
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信光 須田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来のプラスチック被覆用導電組成物は、プ
ラスチックシートの二次成形性、耐ブロッキング性、耐
湿性を同時に満足することは困難で、特にキャリアテー
プの二次成形時において、該被覆組成物による金型の汚
れによる成形不良や、キャリアテープへの異物付着の問
題があった。金型の汚れによる成形不良やキャリアテー
プへの異物付着を防止したプラスチック被覆用導電組成
物を提供する。 【解決手段】 ポリエステル系樹脂の水性分散液、
電性カーボン、軟化点が120℃以上で、粒径1μm
以上10μm以下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を
含有する混合物であって、前記の水性分散液の固形分
と前記の導電性カーボンの重量比が95:5〜50:
50であり、かつ前記の水性分散液の固形分及び前記
の導電性カーボンの合計重量と前記の水性分散液の
固形分の重量比が99:1〜75:25とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックシー
ト、特に二次成形をするプラスチックシートに導電性を
付与するプラスチック被覆用導電性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラスチックシートは、耐衝撃
性、易成形性、軽量性などの優れた特性を有するため、
種々の用途に使用されている。しかし、プラスチックシ
ートは優れた特性を有する反面、静電気を帯びやすく、
埃やゴミが付着しやすいので、電子部品などの包装材料
として使用すると、静電気の発生により付着した埃やゴ
ミによって、収納された電子部品の性能が阻害されると
いう不都合があった。
【0003】かかる不都合を防止するため、従来、プラ
スチックシートに導電性が付与されてきた。導電性を付
与する方法としては、溶剤に溶かした樹脂の溶液やエマ
ルジョンに、帯電防止剤、導電性カーボン、金属粉など
の導電性物質を混合、分散したものを、プラスチックシ
ートにコーティングする方法が知られている。
【0004】しかしながら、上記の方法は、使用溶剤に
起因した大気汚染や火災が発生する危険性があり、作業
者の健康管理の面からも好ましくなかった。また、プラ
スチックシートに塗布成形された被覆膜内の残留溶剤に
よって、プラスチックシートの物性が低下したり、ブロ
ッキング等が起こるという問題もあった。さらに、上記
の方法において、水を媒体とするエマルジョンを使用し
た場合、被覆膜の伸びが十分ではなく、プラスチックシ
ートに真空成形、圧空成形、プレス成形などの二次成形
を施すと、被覆膜がプラスチックシートの伸びに追従す
ることができないため、被覆膜に亀裂が生じて導電性が
損なわれるという問題があった。そこで、被覆膜の伸び
を改良するため、可塑剤や軟質ポリマーが使用される
が、それらを使用すると被覆膜が軟質になり、コーティ
ング後のプラスチックシートにブロッキングが起こると
いう欠点があった。
【0005】本発明者らは、前記の欠点を解消するた
め、先に、熱可塑性樹脂の水溶液またはエマルジョン、
ワックスエマルジョン及び導電性付与剤を含有し、各成
分の固形分比が特定の範囲内にあるプラスチック被覆用
導電性組成物を用いると、プラスチックシートの二次成
形等において、被覆膜の追従性、導電性及び耐ブロッキ
ング性に優れたプラスチックシートが得られることを提
案した(特願平4−102021号)。
【0006】しかし、さらに研究を進めた結果、前記組
成物でコーティングされたプラスチックシートを保管、
輸送する場合、一定の環境条件、特に温度50℃以上で
保持すると、プラスチックシートにブロッキングが生
じ、温度40℃、相対湿度(RH)90%程度の高温高
湿状態では被覆膜が膨潤して、組成物中に含有されてい
るワックス分が被覆膜表面にブリードアウトするため、
被覆膜がべとついたり、被覆膜の強度が低下して傷つき
やすくなるという問題があった。そのため、特に前記組
成物を使用したキャリアテープでは、カバーテープとの
間でシール強度が著しく低下したり、前記組成物を使用
した包装袋では、シール部が剥離(破袋)するなどの不
都合が生じた。このように、従来のプラスチック被覆用
導電性組成物では、プラスチックシートの二次成形性、
耐ブロッキング性及び耐湿性のすべてを同時に満足させ
ることは非常に困難であった。
【0007】そこで、本発明者らは、上記問題を解決す
るため、ポリエステル系樹脂の水性分散液、導電性付与
剤及び軟化点100℃以上で粒径2〜10μmのポリオ
レフィン系樹脂の水性分散液を含有し、各成分の固形分
比が特定の範囲内にある組成物を提案した(特願平4−
316004号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記組成物により、物
性的には目的とした製品が得られるようになったが、該
組成物を使用したキャリアテープは、エンボス加工のロ
ングラン性の点で問題があることが判明した。すなわ
ち、該組成物中に含まれるオレフィン系樹脂の軟化点が
130℃前後であるため、該組成物を塗布したキャリア
テープの成形を行うと、成形時の熱で該組成物中のオレ
フィン系樹脂が溶融して、成形金型やキャリアテープに
異物として付着することが実際の製造過程の中で明らか
になった。
【0009】そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、特
にキャリアテープの成形、特に真空成形、圧空成形、プ
レス成形等の二次成形時において、金型の汚れによる成
形不良やキャリアテープへの異物付着を防止することが
できるプラスチック被覆用導電性組成物の提供を課題と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル
系樹脂の水性分散液、導電性付与剤、軟化点120℃以
上で粒径1μm以上10μm以下のポリアミド系樹脂の
水性分散液を含有する混合物において、各成分の固形分
比が特定の範囲内にある場合に優れた効果を奏すること
を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性カーボン、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
性カーボンの重量比が95:5〜50:50であり、か
つ前記の水性分散液の固形分及び前記の導電性カー
ボンの合計重量と前記の水性分散液の固形分の重量比
が99:1〜75:25であることを特徴とするプラス
チック被覆用導電性組成物である。もう一つの本発明
は、 ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性金属化合物、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
性金属化合物の重量比が75:25〜40:60であ
り、かつ前記の固形分及び前記の導電性カーボンの
合計重量と前記の水性分散液の固形分の重量比が9
9:1〜75:25であることを特徴とするプラスチッ
ク被覆用導電性組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を構成する上記のポリエ
ステル系樹脂の水性分散液は、導電性付与剤である上記
の導電性カーボンあるいは導電性金属化合物と上記
のポリアミド系樹脂のバインダーとして働き、また、プ
ラスチックシートと導電性付与剤及びポリアミド系樹脂
とのバインダーとしても機能する。本発明で用いるポリ
エステル系樹脂は、多塩基酸と多価アルコールの重縮合
で得られる、カルボキシル基と水酸基との間のエステル
結合を主鎖中に有するものであり、飽和、不飽和のいず
れでもよい。また、スチレン、アクリレート、ウレタン
等との共重合体であってもよい。ポリエステル系樹脂の
水性分散液は単独でも二種以上を併用したものでも使用
することができる。ポリエステル系樹脂の水性分散液
は、従来公知の方法により製造すればよい。
【0012】本発明を構成する上記の導電性カーボン
は、プラスチックシートの被覆膜中にほぼ均一に分散さ
れて、良好な導電性及び帯電防止性を付与する。本発明
で用いる導電性カーボンとしては、ケッチェンブラッ
ク、アセチレンブラック、グラファイト、カーボンウィ
スカー等が挙げられる。
【0013】本発明を構成する上記のポリアミド系樹
脂の水性分散液は、プラスチックシートの被覆面に滑性
を与え、プラスチックシートや被覆膜に対して耐ブロッ
キング性や耐擦傷性を向上させる。特に、無定型シリカ
等の無機物を用いた場合に発生する振動による内装電子
部品の損傷を解消することができる。また、ポリアミド
系樹脂はプラスチックシートとの密着性に優れており、
金型の汚れ及びプラスチックシートへの異物付着を防止
する。本発明で用いるポリアミド系樹脂としては、ナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、
ナイロン12、ナイロン610、共重合ナイロン等が挙
げられ、これらの水性分散液は従来公知の方法で製造す
ればよい。ポリアミド系樹脂は、軟化点が120℃以上
で、粒径1μm以上10μm以下の範囲のものを使用す
る。軟化点が120℃未満であると、成形時の熱で金型
に付着し、また十分なブロッキング効果が得られなくな
る。また、粒径が1μm未満であるとブロッキング効果
に乏しく、10μmを超えると塗膜から脱落するように
なる。
【0014】本発明者らは、従来のキャリアテープの成
形において、成形時の金型汚れや成形品への異物の付着
が起こる原因は、成形時の加熱温度が高い場合はブロッ
キング防止剤であるポリオレフィン系樹脂が溶融して金
型に付着し、低い場合は塗工剤(ポリエステル系樹脂)
とブロッキング防止剤(ポリオレフィン系樹脂)の接着
性がよくないため、成形時にポリオレフィン系樹脂が金
型に掻き取られる形で金型あるいは成形品に異物が付着
することを見出した。そこで、溶解度指数の近いものほ
ど接着性に優れるという原理に基づき、塗工剤であるポ
リエステル系樹脂の溶解度指数(SP値:12.5〜1
3.0)に一番近い溶解度指数をもつポリアミド系樹脂
(SP値:12.7〜13.6)を本発明では用いるこ
ととした。ポリアミド系樹脂のSP値は、接着性の点か
ら、ポリエステル系樹脂のSP値の±0.5の範囲にあ
るものが望ましい。
【0015】本発明の特徴は、上記〜の各成分の固
形分の重量比を特定の範囲内に限定した点にある。その
範囲は、まずポリエステル系樹脂の水性分散液の固形分
と導電性カーボンとの重量比が95:5〜50:50で
あることを要する。導電性カーボンの比率が5%未満で
あると導電性の良好な組成物が得られず、50%を超え
ると被覆膜が脆くなる。さらに、ポリエステル系樹脂の
水性分散液の固形分と導電性カーボンの合計重量と軟化
点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以下のポ
リアミド系樹脂の水性分散液の固形分の重量比が99:
1〜75:25、好ましくは98:2〜80:20であ
ることを要する。ポリアミド系樹脂の水性分散液の固形
分の比率が2%未満であると、高温時のブロッキング性
が悪くなり、25%を超えるとプラスチックシートへの
密着性が悪くなる。
【0016】本発明では、プラスチック被覆用導電性組
成物を構成する導電性カーボンに替えて、導電性金属化
合物を使用することもできる。導電性金属化合物として
は、例えば白艶華、酸化錫で被覆した酸化チタン粒子、
アルミニウムをドープした酸化亜鉛粒子、チタン酸カリ
ウムウィスカーが挙げられる。導電性金属化合物を使用
した場合、各成分の範囲はポリエステル系樹脂の水性分
散液の固形分と導電性金属化合物との重量比が75:2
5〜40:60であることを要する。導電性金属化合物
の比率が25%未満であると導電性が良好な組成物が得
られず、60%を超えると被覆膜が脆くなる。さらに、
ポリエステル系樹脂の水性分散液の固形分及び導電性金
属化合物の合計重量と軟化点が120℃以上で、粒径1
μm以上10μm以下のポリアミド系樹脂の水性分散液
の固形分の重量比が99:1〜75:25、好ましくは
98:2〜80:20であることを要する。ポリアミド
系樹脂の水性分散液の固形分の比率が2%未満である
と、高温時のブロッキング性が悪くなり、25%を超え
るとプラスチックシートへの密着性が悪くなる。
【0017】本発明のプラスチック被覆用導電性組成物
には、上記必須成分の他に、二次成形性、ブロッキング
性、導電性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて界
面活性剤、可塑剤、融合剤、レベリング剤、潤滑剤、消
泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、酸化防止
剤、無機粉末、その他の添加剤を添加することができ
る。これらの添加剤は通常用いられているものであれ
ば、どのようなものでもよい。
【0018】本発明のプラスチック被覆用導電性組成物
を製造する方法としては、第一成分であるポリエステル
系樹脂の水性分散液、第二成分である導電性カーボンあ
るいは導電性金属化合物、第三成分であるポリアミド系
樹脂の水性分散液を、各々常法にしたがって別々に調製
し、前記で示した固形分重量比の範囲内に混合し、さら
に必要に応じて、前記の任意成分としての添加剤を適宜
加えることによって製造することができる。
【0019】本発明は、プラスチックシートに塗布して
使用されるが、プラスチックシートへのコーティング方
法としては、浸漬法、スプレー法、フローコート法、ダ
イレクトグラビア法、ダイレクトグラビアリバース法、
キスリバース法、メイヤーバー法、ロールコート法等が
挙げられ、これらの方法により平滑な表面固化被覆膜を
形成することができる。
【0020】本発明を適用するプラスチックシートの素
材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロ
ニトリル、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネイト、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、
アモルファスポリエチレンテレフタレートが挙げられ
る。特に、電子部品搬送用トレーやキャリアテープ用に
使用され、導電性に劣るプラスチックシートに対しては
有用である。なお、例示したプラスチックシートの素材
を各種混合したり、上記素材に無機充填剤等を添加した
ものでもよい。
【0021】本発明の導電性組成物を塗布したプラスチ
ックシートは、各プラスチックの熱変形温度以下の温度
で乾燥固化する。具体的には、プラスチックシートの種
類によっても異なるが、通常40〜140℃、好ましく
は60〜120℃の温度範囲で行い、固化乾燥被覆膜の
平均膜厚を通常0.5〜20μm、好ましくは1〜10
μmの範囲の厚さに固化する。
【0022】本発明は、特にプラスチックシートの二次
成形時において、被覆膜の追従性、導電性及び耐ブロッ
キング性、耐湿耐久性を付与する被覆剤として用いるこ
とがより効果的である。なお、本発明は、プラスチック
シートだけでなく、プラスチック成形品の被覆剤として
も使用することができる。また、本発明は、被覆用製造
分野及びプラスチック加工分野においても利用すること
ができるが、特に電子部品用トレー、キャリアテープ、
キャリアテープ用リール等、静電気によるトラブルを防
止すべき包装材料等の製品に対して有用である。
【0023】
【実施例】次に、本発明について、実施例及び比較例に
基づいて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0024】(各成分について) ポリエステル系樹脂の水性分散液 セイコー化成社製のラックスキンUS180(商品名)
を用いた。N.V.(不揮発性分)は、20%である。 導電性カーボン ライオン社製のライオンペーストW−376R(商品
名)を用いた。N.V.は、12.5%である。 軟化点120℃以上で、粒径1μm以上10μm以下
のポリアミド系樹脂の水性分散液 東レ社製のSP−500(商品名)を用い、水/アルコ
ールの混合溶媒でN.V.を40%に調整したものを用
いた。 軟化点100℃以上で、粒径2μm以上10μm以下
のポリオレフィン系樹脂の水性分散液 三井化学社製のケミパールW−308(商品名)を用い
た。N.V.は、40%である。
【0025】実施例1〜6、比較例1〜10 上記各成分を用いて、表1に示すような混合割合のプラ
スチック被覆用組成物を製造した。実施例1、2、5及
び比較例3、4、5、6、9では、ポリエステル系樹脂
の水性分散液の固形分と導電性カーボンまたは導電性金
属化合物の重量比率を本発明のように規定した場合の効
果を明らかにすると共に、オレフィン系樹脂をポリアミ
ド系樹脂に置き換えた場合でも同様な結果が得られるこ
とを確認した。実施例3、5、6及び比較例7、8、1
0では、ポリエステル系樹脂の水性分散液の固形分及び
導電性カーボンまたは導電性金属化合物の合計重量と軟
化点120以上で粒径1μm以上10μm以下のポリア
ミド系樹脂の水性分散液の固形分との重量比率を本発明
のように規定した場合の効果を確認した。実施例4、6
及び比較例1、2では、ポリオレフィン系樹脂をポリア
ミド系樹脂に置き換えることにより、金型汚れ及び成形
品への異物の付着に対する効果の違いを確認した。
【0026】
【表1】
【0027】次に、厚さ0.30mm、幅300mm×
長さ400mmのアモルファスポリエチレンテレフタレ
ート(A−PET)プラスチックシート上に、各組成物
を5MILバーコーターを用いて塗布した。その後、直
ちに熱風乾燥機に入れ、70℃で5分間乾燥及び固化を
行い、膜厚2μmの被覆膜を有するプラスチックシート
を得た。得られたプラスチックシートの物性について、
次の試験により評価を行い、その結果を表2に示した。
【0028】(試験項目) 1.被覆膜の密着性 プラスチックシートをクロスカット試験機(東洋精機製
作所製)に載せ、片刃カミソリを入れクロスハッチを作
り、そのクロスハッチの上にセロハン粘着テープを貼り
つけ、該テープをプラスチックシートに対して直角方向
に強く引っ張り被覆膜の剥離状況を調べた。 2.プラスチックシート状態での導電性 プラスチックシートの被覆面の表面抵抗をコンバーター
付き表面抵抗計(三菱油化社製、MCP−TESTE
R、商品名)を用いて測定した。 3.真空成形後の導電性 プラスチックシートを絞り率25%の条件で真空成形
し、このときの被覆面の表面抵抗を上記2と同じ装置で
測定した。 4.ブロッキング性 プラスチックシートの被覆面を互いに重ね合わせ、50
℃雰囲気中で、1kg/cm の荷重をかけ、24時
間放置後、室温中に2時間放置した後、2枚のプラスチ
ックシートを剥離して接触面のブロッキング状態を調べ
た。 5.爪スクラッチ性 プラスチックシートの被覆面を爪で強く擦った時の傷の
つき方を調べた。 6.耐高温高湿性 プラスチックシートの被覆面にキャリアテープ用カバー
テープSP−82(信越ポリマー社製、商品名)を載
せ、140℃、荷重4kg/cm 、時間1秒の条件
でシールしたものを、温度40℃、相対湿度90%の条
件で24時間放置した後、直ちに180度剥離を行い、
剥離力を調べて常態のものと比較した。 7.プラスチックシート成形時の金型汚れ及び成形品へ
の異物の付着 実施例4及び比較例1の評価用のサンプルのみ実機にて
コーティングをして、キャリアテープの成形を行い、金
型汚れ及び成形品への異物の付着が始まる経過時間を比
較した。
【0029】(評価)各試験の評価は以下の基準で行っ
た。 1.被覆膜の密着性 ○:100%剥離なし ×:1%以上剥離あり 2.プラスチックシート状態での導電性 ○:1×10 Ω以下 ×:1×1010Ω以上 3.真空成形後の導電性 ○:1×10 Ω以下、 △:成形により部分的に1×1010Ω以上が生じるも
の、 ×:1×1010Ω以上、 4.ブロッキング性 ○:ブロッキングせず、 △:少しブロッキングあり、 ×:ブロッキングあり、 5.爪スクラッチ性 ○:傷なし、 △:少し傷あり、 ×:傷あり、 6.耐高温高湿性 ○:変化率10%未満、 △:変化率10%以上50%未満、 ×:変化率50%以上、 7.プラスチックシート成形時の金型汚れ及び成形品へ
の異物の付着 金型汚れ及び成形品への異物の付着が始まる経過時間で
比較 ○:8時間以上でも汚れなし、 △:4時間以上8時間未満で汚れあり、 ×:4時間未満で汚れあり、
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明のプラスチック被覆用導電性組成
物によれば、プラスチックシートに塗布、乾燥すること
により、導電性、密着性、成形性、成形後の導電性、耐
ブロッキング性、耐擦傷性、耐高温高湿性、成形時の金
型汚れ及び成形品への異物の付着防止の効果など、全て
の性能において優れ、しかも大気を溶剤により汚染する
ことがないので、従来の導電性表面被覆剤に比べてきわ
めて良好なプラスチック被覆用導電性組成物を提供する
ことができる。
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月28日(1999.4.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル
系樹脂の水性分散液、導電性付与剤、軟化点120℃以
上で粒径1μm以上10μm以下のポリアミド系樹脂の
水性分散液を含有する混合物において、各成分の固形分
比が特定の範囲内にある場合に優れた効果を奏すること
を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性カーボン、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
性カーボンの重量比が95:5〜50:50であり、か
つ前記の水性分散液の固形分及び前記の導電性カー
ボンの合計重量と前記の水性分散液の固形分の重量比
が99:1〜75:25であることを特徴とするプラス
チック被覆用導電性組成物である。もう一つの本発明
は、 ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性金属化合物、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
性金属化合物の重量比が75:25〜40:60であ
り、かつ前記の固形分及び前記の導電性金属化合物
の合計重量と前記の水性分散液の固形分の重量比が9
9:1〜75:25であることを特徴とするプラスチッ
ク被覆用導電性組成物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/08 C08K 7/08 9/02 9/02 C08L 67/00 C08L 67/00 77/00 77/00 C09D 5/24 C09D 5/24 177/00 177/00 H01B 1/20 H01B 1/20 Z 1/24 1/24 Z Fターム(参考) 4F006 AA04 AA15 AA17 AA22 AA35 AA36 AA58 AB35 AB38 AB42 AB72 BA07 CA07 DA00 DA03 DA04 4J002 CF031 CF211 CL012 CL032 DA016 DA026 DA036 DE106 DE136 DE186 FA036 FB076 FD010 FD020 FD050 FD070 FD090 FD116 FD170 FD180 FD310 GH00 HA07 4J038 DD041 DD181 DG002 DH012 DH022 FA042 FA112 HA026 HA036 HA066 HA156 HA216 HA246 KA03 KA12 MA02 MA05 MA10 MA13 MA14 NA04 NA05 NA10 NA11 NA12 NA14 NA20 NA27 PC08 5G301 DA18 DA22 DA51 DA53 DD02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性カーボン、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
    下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
    であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
    性カーボンの重量比が95:5〜50:50であり、か
    つ前記の水性分散液の固形分及び前記の導電性カー
    ボンの合計重量と前記の水性分散液の固形分の重量比
    が99:1〜75:25であることを特徴とするプラス
    チック被覆用導電性組成物。
  2. 【請求項2】ポリエステル系樹脂の水性分散液、 導電性金属化合物、 軟化点が120℃以上で、粒径1μm以上10μm以
    下のポリアミド系樹脂の水性分散液、を含有する混合物
    であって、前記の水性分散液の固形分と前記の導電
    性金属化合物の重量比が75:25〜40:60であ
    り、かつ前記の水性分散液の固形分及び前記の導電
    性カーボンの合計重量と前記の水性分散液の固形分の
    重量比が99:1〜75:25であることを特徴とする
    プラスチック被覆用導電性組成物。
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