JP2000296411A - 複合材製リーマ - Google Patents

複合材製リーマ

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JP2000296411A
JP2000296411A JP11105537A JP10553799A JP2000296411A JP 2000296411 A JP2000296411 A JP 2000296411A JP 11105537 A JP11105537 A JP 11105537A JP 10553799 A JP10553799 A JP 10553799A JP 2000296411 A JP2000296411 A JP 2000296411A
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reamer
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ceramic
metal
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Mitsuo Kuwabara
光雄 桑原
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面が硬く耐摩耗性を有する一方、内部が高靱
性を有する複合材製リーマを提供することを可能にす
る。 【解決手段】リーマ10を構成する刃部12は、複数の
切刃16を有している。この刃部12のリーマ内部に金
属リッチな金属部20が設けられ、リーマ表面にセラミ
ックスリッチなセラミックス部22が設けられ、これら
の間にリーマ内部からリーマ表面に向かうに従って金属
成分の割合が漸減する傾斜部24が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス成分
と金属成分とを含む複合材で構成される複合材製リーマ
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種の機械加工分野において、
ドリル等で形成された穴の内面を仕上げるためにリーマ
を用いた切削加工が行われている。この種の加工作業中
には、リーマに対して種々の応力が作用している。例え
ば、被削材に押し付け力を付与する際の圧縮応力、食い
付き部や切削部に作用する引っ張り応力、さらに加工を
行う部分と加工に使用されない部分との間の引っ張り応
力等が挙げられる。このため、リーマによる切削加工
が、実際上、不安定となり易く、刃先チッピングや欠
損、折損、あるいは、仕上げ穴の寸法精度の低下が惹起
されるおそれがあり、高硬度、高強度および高靱性を有
するリーマが要求されている。そこで、通常、リーマの
材質として、高速度鋼や超硬等が広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速度
鋼は、高強度および高靱性を有するものの、耐摩耗性や
圧縮強度および剛性に問題がある一方、超硬は、高剛
性、高硬度および高圧縮強度を有するものの、靱性に問
題がある。言い換えれば、剛性や耐摩耗性を向上させよ
うとすると靱性や強度が劣化する一方、強度や靱性を向
上させようとすると剛性や硬度が低下してしまい、特に
高速加工および高負荷に耐え得るリーマを製作すること
は、現実的には極めて困難なものとなっていた。
【0004】その際、超硬材や高速度鋼に硬質被膜コー
ティング等の表面処理を施す工夫がなされているが、リ
ーマ刃先の精度が低下するとともに、高負荷応力下や高
温下では被膜の剥がれ等が惹起してしまい、実用に供す
ることができない。
【0005】そこで、実際に切削加工を行うリーマ表層
近傍が高硬度でかつ耐摩耗性を有するとともに、リーマ
内部が高強度を有するリーマの開発を検討したところ、
本出願人による特許第2593354号や特開平8−1
27807号公報等に開示されている「セラミックス粉
末と金属成分とを含む傾斜機能を有する複合材」を応用
することを見い出した。
【0006】すなわち、本発明は、表面が高硬度で内部
に向かうに従って靱性や強度等の物性が向上する傾斜機
能を有する複合材製リーマを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複合材製リ
ーマでは、セラミックス成分と金属成分とを含む複合材
で構成されるとともに、リーマ内部からリーマ表面に向
かうに従って、前記複合材中の前記金属成分の割合が漸
減している。ここで、複合材中の金属成分の割合と硬
度、強度および靱性とには相関があり、金属成分の割合
が少なくなってセラミックス成分の割合が多くなると、
硬度、耐摩耗性および剛性等が向上するものの脆くなっ
てしまう。一方、この脆さを改善するために、金属成分
の割合を多くすると、強度および靱性は向上するもの
の、剛性および耐摩耗性が低下してしまう。
【0008】そこで、実際に加工を行うリーマ表面側を
高硬度で耐摩耗性を有する物性とし、内部を高靱性で高
強度を有する物性とするとともに、前記表面側と前記内
部側との間の組成や物性が緩やかに変化するようにすれ
ば、応力集中がなく、所望の耐摩耗性を備えつつ、寸法
精度の高い鋭利な刃先を有するリーマを得ることができ
る。
【0009】このため、リーマ表面近傍のセラミックス
粒子は、内部に比べて粒成長を促して粗大化しつつ内部
に向かうに従って小さくなり、金属成分がこの粒成長に
伴う粒子組成再配列により内部に集積される。従って、
実際に加工を行うリーマ表面部分の組成がセラミックス
リッチで高耐摩耗性を有し、リーマ内部が金属リッチで
高強度および高靱性を有するとともに、リーマ内部にお
ける応力集中を有効に減少させることが可能になる。
【0010】また、実際に切削を行うリーマ表面近傍を
セラミックスリッチとし、粒子を粗大化しているため
に、切削加工時にこのリーマ表面近傍に発生する熱の伝
達および拡散性が向上する。従って、熱に伴うマイクロ
クラックの発生や、これにより生ずるチッピングや構成
刃先を改善して切削性能が大きく向上することになる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態
に係る複合材製リーマ10の側面説明図であり、図2
は、図1中、II−II線断面図である。
【0012】リーマ10は、直溝を構成しており、刃部
12とシャンク部14とを一体的に備えている。刃部1
2には、複数、例えば、6つの切刃16が軸方向(矢印
A方向)に所定の長さに渡って設けられている。リーマ
10は、セラミックス成分と金属成分とを含む複合材で
構成されており、リーマ内部に金属リッチな金属部20
が設けられるとともに、リーマ表面にはセラミックスリ
ッチなセラミックス部22が設けられる。金属部20と
セラミックス部22との間には、リーマ内部からリーマ
表面に向かうに従って金属成分の割合が漸減する傾斜部
24が設けられている。
【0013】金属成分は、周期表のVIII族元素の鉄
(Fe)、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)の
中から選ばれる少なくとも一種以上であり、必要に応じ
てクロム(Cr)、バナジウム(V)、マンガン(M
n)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)等
が混入される。複合材中の金属成分の割合は、3wt%
〜15wt%、より好ましくは、5wt%〜10wt%
の範囲内に設定される。
【0014】金属成分が3wt%未満では、金属量が少
なくなり過ぎてリーマ10が脆くなり、現実的に使用す
ることができないものとなってしまう。金属成分が3w
t%以上であると、リーマ10の表面側の金属成分の割
合を1wt%以下とすることができ、リーマ内部には相
対的に8wt%程度の金属成分を集積することが可能に
なり、実用に供することができる。なお、素材を焼結し
た後、刃付け等の加工を施してリーマ10を製造する際
には、その刃先強度をも考慮する必要があり、金属成分
の割合を5wt%以上にすることが望ましい。
【0015】ここで、セラミックス粒子として2μm前
後の粉末原料を用いた場合、リーマ表面近傍の粒子は、
添加される粒子成長剤や焼結温度、時間および雰囲気等
により変化し、例えば、3倍〜30倍程度に成長する。
リーマ10において、切刃18の強度が要求される際に
は、3倍〜6倍程度まで成長させる一方、主に耐摩耗性
が要求される際には、10倍〜20倍程度まで成長させ
る。このとき、リーマ10の表面近傍の金属成分の割合
は1wt%〜5wt%程度であり、このリーマ10の内
部の金属成分の割合は成長度合いや傾斜部24の厚み等
により変化し、例えば、表面近傍で5wt%の場合、内
部で8wt%〜13wt%程度乃至はそれ以上となる。
【0016】金属成分の割合は、上限が15wt%、よ
り好ましくは10wt%に設定される。例えば、深穴加
工では、ガンドリルに近似した長尺なリーマ10が用い
られ、高剛性と高強度が要求されるとともに、特に、大
きな引っ張り強度が要求される。この場合、含有する金
属成分の量を増加して折損等を回避しようとする際、金
属成分の割合が15wt%以上になると、耐摩耗性が劣
化するおそれがある。
【0017】また、金属成分の割合が15wt%に設定
され、表面近傍で金属成分が5wt%程度のリーマ10
において、HRA93程度の硬度を確保しようとした場
合、前記リーマ10の直径が25mm程度の大きさであ
れば、リーマ中央部の金属成分が20wt%以上程度と
なって、高速度鋼に近い靱性を有して機能的には十分で
ある。
【0018】なお、直径が10mm〜20mm程度のリ
ーマ10において、上記のようにリーマ中央部の金属成
分の量を20wt%以上程度にするためには、複合材中
の前記金属成分の割合を10wt%に設定すればよく、
これ以上の割合で金属成分を添加しても強度や靱性に寄
与することがなく、リーマ10全体の剛性が低下してし
まう。
【0019】リーマ10の傾斜部24の厚さは、数10
0μm、好ましくは0.3mm以上に設定される。リー
マ10では、金属成分の量と熱伝導および粒子の大きさ
と熱伝導に相関があり、発生する熱応力が熱伝達の勾配
になるため、傾斜部24の厚さが変化することにより熱
応力そのものが変化する。傾斜部24の厚さが数μm〜
数10μmでは、発生する熱応力や加工時の応力の緩和
量が小さく、金属成分の割合を好適にコントロールした
としても所望の効果を得ることができない。
【0020】一方、傾斜部24の厚さを大きく設定する
ことが考えられるが、リーマ10が大径なものとなって
しまう。そこで、実用上のリーマ10の直径が25mm
程度以下であるため、傾斜部24の厚さの上限を10m
mに設定する。
【0021】リーマ10を構成する複合材中のセラミッ
クス成分は、炭化タングステン(WC)、炭化チタン
(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化2モリブデン
(Mo 2 C)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ
(NbC)、炭化クロム(Cr32 )または炭化バナ
ジウム(VC)の中から選択される少なくとも一種以上
を主体とするものであり、必要に応じて窒化物、硼化物
あるいは炭窒化物の種々のものをその一部に添加しても
よい。
【0022】セラミックス量は、85wt%≦WC+T
iC+TiN+Mo2 C+TaC+NbC+Cr3 2
+VC≦97wt%に設定される。これらのセラミック
ス成分は、リーマ10による切削時に実際に切削を行う
切刃16を構成しており、耐熱性、耐摩耗性および耐蝕
性等の性質を備えている。セラミックス成分が97wt
%を超えると、金属成分の量が少なくなりすぎ、耐摩耗
性は十分であるものの、強度および靱性が低くなって折
損や欠損が発生し易く、実用に供することが難しい。セ
ラミックス成分が85wt%未満では、傾斜部24で金
属成分が漸減する勾配が急峻となり、傾斜複合材製リー
マ10として十分な傾斜機能を確保することができな
い。
【0023】一方、セラミックス成分が85wt%以
上、好ましくは、90wt%〜95wt%では、高硬質
部であるセラミックス部22の厚さを最も薄いところで
0.3mm〜1mm程度確保するとともに、傾斜部24
の厚さを0.3〜10mm以上に構成することができ、
刃先強度の確保や応力緩和層の確保が可能となる。
【0024】このセラミックス成分のうち、炭化タング
ステンは、複合材セラミックス成分の主体をなすもので
あり、被削材に対応して炭化チタン、窒化チタン、炭化
2モリブデン、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化クロム
または炭化バナジウム等を適宜添加する。例えば、被削
材がアルミニウム乃至アルミニウム合金、銅合金、マグ
ネシウム合金、鋳鉄、ニッケルまたはコバルト基超金等
である場合には、炭化タングステンを主体とし、炭化ニ
オブ、炭化タンタルあるいはその双方を2wt%〜8w
t%程度添加することにより、切削性の向上が図られ
る。
【0025】また、被削材が鋼やステンレスの鉄系の場
合には、耐摩耗性、耐熱性および耐凝着性等を向上させ
るために、炭化チタン、窒化チタン、炭化クロム、炭化
バナジウムまたは炭化2モリブデンの中から選ばれる少
なくとも一つの化合物を、15wt%〜45wt%の範
囲内で添加する。
【0026】リーマ10の表面硬度は、上記の組成範囲
でHRA91〜94.5以上となり、硬質セラミックス
コーティングと比べても良好の値となる。しかも、CV
DやPVD等による硬質セラミックスコーティングで
は、刃先精度の確保が難しく穴精度に影響するが、第1
の実施形態に係るリーマ10では、精度よく仕上げ加工
を施すことができる。このリーマ10の表面硬度がHR
A91未満では、切削精度が低くなり、耐摩耗性も低下
して仕上げ加工される穴精度を有効に維持することが困
難になる。
【0027】リーマ10の表面硬度や強度は、複合材に
含まれるセラミックス成分と関連している。例えば、炭
化タングステンを主体とするものから炭化チタンや窒化
チタン等を含むものに変更すると、硬度がHRA92〜
96となる。また、粒成長促進剤を変えることによって
も、この現象が生ずる。
【0028】リーマ10では、高硬質部であるセラミッ
クス部22と、傾斜機能部である傾斜部24と、高強度
かつ高靭性部である金属部20とが、このリーマ10の
外周形状に沿った形状に形成されている。これは、複合
材に含まれるセラミックス粒子の成長に係るものであ
り、焼結過程で粒成長を促進するような元素化合物を溶
液含浸させることにより達成される。粒成長促進材は溶
液であり、例えば、軽石に水をしみ込ませるように供給
されることから、リーマ10の外周形状に沿って内部に
浸透する。
【0029】傾斜化は、含浸された成形体から水分等の
溶液成分を蒸発させることにより行われる。水分の蒸発
は、成形体の表面からなされるものであり、この成形体
を急激に加熱して成形体内部と成形体表面との温度差を
高く設定する程、その促進剤の濃度の勾配が急激とな
る。また、粒成長促進剤の濃度が高い程、粒成長が大き
くなるため、金属成分が内部に集積されることになる。
【0030】この結果、リーマ10の外周形状(刃形
状)に沿った形でセラミックス部22、傾斜部24およ
び金属部20を構成することができる。ここで、セラミ
ックス部22の厚さは、0.3mm〜3mmの範囲内に
設定される。厚さが0.3mm未満では、結晶後の刃先
加工で除去されてしまうおそれがある一方、3mmを超
えると、応力緩和層までの距離が遠くなって緩和作用が
機能せず、刃先チッピングが発生し易くなる。
【0031】このように、第1の実施形態に係るリーマ
10では、高速度鋼に比べて物性的にも有利であり、加
工精度および加工面が有効に向上することになる。しか
も、リーマ10の交換頻度が少なくなり、長期間にわた
って良好に使用することが可能になる。
【0032】図3は、本発明の第2の実施形態に係る複
合材製リーマ10aの側面説明図であり、図4は、図3
中、IV−IV線断面図である。なお、第1の実施形態
に係るリーマ10と同一の構成要素には同一の参照数字
に符号aを付して、その詳細な説明は省略する。
【0033】リーマ10aでは、リーマ内部に金属部2
0aを有するとともに、リーマ表面にセラミックス部2
2aが設けられ、これらの間に傾斜部24aが構成され
ている。従って、高速度鋼や超硬で構成される従来のリ
ーマに比べ、高速加工が容易に遂行される等、第1の実
施形態に係るリーマ10と同様の効果が得られる。実施例1 実施例1では、平均結晶粒径が2.2μmの炭化タング
ステン(WC)粉末を89wt%、平均粒径が2μmの
炭化ニオブ(NbC)粉末を2wt%、平均粒径が2.
4μmの炭化タンタル(TaC)粉末を1wt%、およ
びコバルト(Co)粉末を8wt%の割合で、有機溶媒
を媒液としてボールミルを用いて72時間十分に混合し
た。この混合物を液分が9%になるように調製した後、
成形用バインダの影響を回避するためにバインダレス
で、金型内静水圧加圧成形法により100MPaの成形
圧力にて外接円がφ25mm×150mmの成形体を成
形した。
【0034】成形後、窒素ガスを流通させながら50P
aで成形体に残存するヘキサンを除去した後、900℃
で30×60秒間の仮焼成を行い、成形体の含浸時にお
ける崩壊を防止した。さらに、仮焼成体の均質性を向上
させるため、焼成後にφ15mmになるように切削加工
が施された。次いで、10%濃度のNi塩水溶液中に仮
焼成体を浸漬し、その後、130℃の排気型熱風乾燥炉
で乾燥処理を施し、仮焼成体内におけるNi濃度の傾斜
化を図った。
【0035】一方、上記の基礎物性において、Ni濃度
を同一としながら、コバルト量を炭化タングステン量の
制御によって増減させ、仮焼成体をNi塩水溶液中に浸
漬するとともに、粉体中に埋設して乾燥させることによ
り均質体を得た。
【0036】これらを十分乾燥させた後、窒素流通下に
おいて50Paで1400℃の温度に1時間保持して焼
結処理を施した。その際、基礎物性として、焼結体の表
面からの距離と硬度および靱性との関係が図5に示され
ている。
【0037】ここで、傾斜機能領域は約7mmで、表面
の高硬度均質層の厚さは約0.3mmであり、硬度はH
RA93であった。図5に示す市販材の同等製品では、
硬度がHRA90.5程度であり、この市販材に比べ
て、実施例1の硬度が非常に高い値となった。また、靱
性は、同一試験条件下の測定において市販品の7MPa
1/2 に比べ、内部がその2倍近い値となった。
【0038】さらに、実施例1で得られた焼結体の断面
を顕微鏡を用いて観察し、その粒子の大きさを測定した
ところ、図6に示す結果が得られた。これにより、焼結
体の表面近傍の粒子は、内部に比べて3〜4倍程度の大
きさに成長していることが判った。
【0039】図7は、均質体組成としたときのコバルト
量と強度の関係を、粒成長剤の含浸の有無により比較し
たものである。これによれば、含浸操作を行うことによ
り、含浸物がセラミックス粒子の成長を促進するととも
に、バインダの役割を担うコバルトと密接に結合し、強
度の改善が見られた。すなわち、セラミックス粒子と金
属とが従来以上に密接に結合し、強度の改善効果が高く
なった。これにより、実施例1で得られた焼結体の各性
質は、超硬を凌ぐものであり、リーマとしての性能が飛
躍的に向上するという効果が得られる。実施例2 実施例2では、実施例1に従って成形された焼結体を用
いて、リーマ10、10aが製造された。このように製
造されたリーマ10、10aでは、その外周形状に沿っ
て形成されたセラミックス部22、22aの硬度がHR
A93.2〜93.6であり、HRA92以上をこの均
質部とすると、その厚さが0.3mm〜0.4mmとな
った。
【0040】また、リーマ10、10aの中央部である
金属部20、20aの硬度がHRA86.1〜86.4
となり、傾斜部24、24aをHRA88以上とする
と、この傾斜部24、24aの厚さが3mm〜14mm
となった。この領域は、リーマ10、10aの表層部か
らなだらかに硬度が下がる傾向にあり、いわゆる傾斜機
能層を構成している。その際、リーマ10、10aの表
面近くのセラミックス粒子の大きさが8μm〜14μm
であり、中央部が1μm〜3μm程度となって表層部近
傍の粒子が約4倍程度まで成長しており、この間が傾斜
的に粒子の大きさの漸減傾向を示していた。
【0041】そこで、図3に示すリーマ10aの形状を
採用し、ニッケル塩水溶液の含浸操作を行わないものを
比較例とし、前記リーマ10aとの性能の比較を行っ
た。被削材は、高アルミニウム−シリコン合金でJIS
のAC8Bを用い、乾式切削を行った。図8は、送り量
を0.6mm/revとしたときの切削速度と拡大代と
の関係を示しており、図9は、切削速度と仕上げ面粗さ
との関係を示している。
【0042】これにより、リーマ10aでは、従来の比
較例に比べて優れた切削性能を有するという結果が得ら
れた。これは、比較例を用いる際に、切削加工に伴って
構成刃先が形成されたのに対して、リーマ10aでは、
構成刃先が形成されないからである。これは、加工実験
後の観察においても実証された。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る複合材製リーマでは、リー
マ内部からリーマ表面に向かうに従って、複合材中の金
属成分の割合が漸減するため、実際に加工を行う切刃部
分が高硬度でかつ耐摩耗性を有する一方、リーマ内部が
高靱性かつ高強度を有するとともに、この間の組成や物
性が緩やかに変化する。これにより、高速加工に適する
とともに、耐用性が大幅に向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る複合材製リーマ
の側面説明図である。
【図2】図1中、II−II線断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る複合材製リーマ
の側面説明図である。
【図4】図3中、IV−IV線断面図である。
【図5】リーマ表面からの距離と硬度および靱性との関
係説明図である。
【図6】ニッケル添加による炭化タングステン粒子の成
長状態の説明図である。
【図7】金属量と強度およびニッケル含浸処理の関係説
明図である。
【図8】切削速度と拡大代との関係説明図である。
【図9】切削速度と仕上げ面粗さとの関係説明図であ
る。
【符号の説明】
10、10a…リーマ 12…刃部 14…シャンク部 16、16a…切刃 20、20a…金属部 22、22a…セラ
ミックス部 24、24a…傾斜部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス成分と金属成分とを含む複合
    材で構成されるとともに、 リーマ内部からリーマ表面に向かうに従って、前記複合
    材中の前記金属成分の割合が漸減することを特徴とする
    複合材製リーマ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のリーマにおいて、前記金属
    成分の割合が漸減する傾斜部の厚さが、0.3mm〜1
    0mmの範囲内に設定されることを特徴とする複合材製
    リーマ。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のリーマにおいて、
    前記複合材中の前記金属成分は、周期表のVIII族の
    Fe、NiまたはCoの中から選択される少なくとも一
    種以上の金属成分であり、 前記複合材中の前記セラミックス成分は、WC、Ti
    C、TiN、Mo2 C、TaC、NbC、Cr3 2
    たはVCの中から選択される少なくとも一種以上のセラ
    ミックス成分であり、かつ、セラミックス量が、 85wt%≦WC+TiC+TiN+Mo2 C+TaC
    +NbC+Cr3 2 +VC≦97wt% に設定されることを特徴とする複合材製リーマ。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリ
    ーマにおいて、前記リーマ表面の硬度がHRA91以上
    であることを特徴とする複合材製リーマ。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリ
    ーマにおいて、前記リーマ表面には刃形状に沿って高硬
    質部が設けられるとともに、前記高硬質部の厚さが、
    0.3mm〜3mmの範囲内に設定されることを特徴と
    する複合材製リーマ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103567545A (zh) * 2013-09-09 2014-02-12 昆山奥德鲁自动化技术有限公司 一种高强度铰刀
WO2024105911A1 (ja) * 2022-11-16 2024-05-23 株式会社日本製鋼所 カッタ刃、造粒装置及びカッタ刃の製造方法

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