JP2000301279A - 複合材製鍛造金型 - Google Patents
複合材製鍛造金型Info
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Abstract
度を有する複合材製鍛造金型を提供することを可能にす
る。 【解決手段】ダイリング24は、内周面および外周面側
からセラミックスリッチなセラミックス部40a、40
bが設けられ、前記セラミックス部40a、40bから
それぞれ傾斜部42a、42bを介して金属リッチな金
属部44が設けられる。傾斜部42a、42bは、金属
成分の割合が漸減または漸増するように構成されてい
る。
Description
と金属成分とを含む複合材で構成される複合材製鍛造金
型に関する。
加工作業で素材から製品形状に近似した半製品形状を得
ること、あるいは所望の製品形状を得ることができるた
め、生産性の高い加工法として広く採用されており、種
々の材質の金属の加工に用いられている。
金型内に配置して大きな力を作用させることにより、そ
の応力を介して前記ワークを成形および加工するため、
前記金型自体には非常に大きな力が作用している。さら
に、加工速度が速くかつ衝撃荷重も大きいため、金型材
質としては、耐摩耗性に優れるとともにワークの凝着か
じり等が発生しないように高硬度と高強度並びに高靱性
が要求されている。特に、最近、鍛造製品の低コスト化
および高付加価値化の要求が強くなり、金型に作用する
応力を増加させる傾向にあって、より強靱で耐摩耗性の
高い金型が求められている。
化性や耐熱性が要求されており、この分野で一般的な金
型材としては、主にSKD材やSKH材が用いられてお
り、超硬材はほとんど使用されていない。これは、衝撃
応力により金型材が簡単に破損したり割れたりし、要求
特性を満足することができないからである。しかしなが
ら、SKD材やSKH材等は温度の上昇に伴って硬度の
低下や強度の低下が大きいため、さほど大きな応力を作
用させることができないという問題が生じている。
断、なまし、潤滑処理し、ナックル機構やリンク機構に
より衝撃を緩和させて衝突スピードを略50mm/s〜
400mm/sの中衝突程度に設定し、成形や加工が行
われている。この分野に使用される金型(パンチやダ
イ)には、硬くかつ耐摩耗性の高い超硬合金製のものが
多く用いられており、SKD材やSKH材等で焼きばめ
されている。この種の金型では、約数十万ショットに耐
え得ることができ、鉄系材の場合の数千ショット〜数万
ショットに比べて10倍乃至それ以上の型寿命を有して
いる。しかしながら、工程や機器管理を厳密に行わない
と、型割れが惹起したり寿命が極度に短くなる等の不具
合が生じてしまう。従って、より強靱でかつ耐摩耗性の
高い金型材が求められている。
コーティングを行うことがあるが、PVDでは、被膜の
素地との密着性の問題が指摘されている。また、CVD
では、耐焼き付け性および耐摩耗性は向上するものの、
処理面に亀裂や脆化が発生し、強度的には30%程度低
下するという問題点がある。
型として要求される特性は、耐衝撃性、耐摩耗性、高圧
縮強度、高引っ張り強度、高靱性、高剛性、耐熱性、高
熱伝導性および低熱膨張性等である。これらの諸特性を
均質複合材乃至は超硬材を用いて改善しようとすると、
金属量を増加させたり減少させたりする手法や、セラミ
ックス粒子の大きさを微粒化したり粗粒化したりする手
法等、互いに相反する手法を採らなければならない。
クス粒子を粗大化して金属量を増加させることが必要で
あるが、これにより耐摩耗性の他、耐熱性および剛性等
も低下してしまう。その際、金属量を少なくし、セラミ
ックス粒子を微粒化すると、耐摩耗性、剛性および耐熱
性等は向上するものの、耐衝撃性が大きく損なわれ、金
型が簡単に破壊してしまうおそれがある。従って、現実
的にはこれらの諸特性を満足する鍛造金型は実用に供さ
れておらず、補強による対処や表面処理による対処等に
より対応しているだけである。
傍が高硬度でかつ耐摩耗性を有するとともに、金型内部
が高強度を有する金型の開発を検討したところ、本出願
人による特許第2593354号や特開平8−1278
07号公報等に開示されている「セラミックス粉末と金
属成分とを含む傾斜機能を有する複合材」を応用するこ
とを見い出した。
に向かうに従って靱性や強度等の物性が向上する傾斜機
能を有する複合材製鍛造金型を提供することを目的とす
る。
造金型では、セラミックス成分と金属成分とを含む複合
材で構成されるとともに、金型内部から金型表面に向か
うに従って、前記複合材中の前記金属成分の割合が漸減
している。
に従って金属量が漸減する層と、金属が集積する層と、
金属が大きく減少して略セラミックス組成となる層との
三層が有機的に結びついている。このため、金型表面近
傍は金属が低減された高硬質層となり、この表面近傍か
ら内方に向かって金属の漸減乃至は漸増する傾斜層とな
り、さらに内部は初期状態よりも金属量の増加した高強
度および高靱性層となる。従って、応力の伝藩も漸次緩
和されて大きな応力に対する抵抗力が増大することにな
る。強度については、30%〜50%、靱性については
200%〜300%以上の改善が図られる。これによ
り、型寿命の向上が図られるとともに、製品精度を確実
に維持することが可能になる。
複合材製鍛造金型10の縦断面説明図である。鍛造金型
10は、後方押し出し成形を行うものであり、下型を構
成する固定型12と、上型を構成する可動型14とを備
え、この固定型12には、ダイ取り付け本体16にナッ
ト部材18を介してプレッシャリング20およびダイ2
2が締め付け支持されている。ダイ22の中央部にはダ
イリング24が固定されており、このダイリング24に
は製品用キャビティ26が形成されている。キャビティ
26には、プレッシャリング20内を貫通してノックア
ウトピン28が摺動自在に配置される。
備え、このパンチ取り付け本体30には、パンチガイド
32およびナット部材34を介してパンチ36が取り付
けられている。ダイリング24、ノックアウトピン28
およびパンチ36は、セラミックス成分と金属成分とを
含む複合材で構成されている。
面である外周面および内周面にセラミックスリッチなセ
ラミクッス部40a、40bが設けられるとともに、前
記セラミックス部40a、40bの内部側に傾斜部42
a、42bを介して金属リッチな金属部44が設けられ
る。傾斜部42a、42bは、金属部44からそれぞれ
外表面および内表面に向かうに従って金属成分の割合が
漸減している。
トピン28およびパンチ36は、内部に金属リッチな金
属部46a、46bが設けられるとともに、表面にはセ
ラミックスリッチなセラミックス部48a、48bが設
けられる。金属部46a、46bとセラミックス部48
a、48bとの間には、内部から表面に向かうに従って
金属成分の割合が漸減する傾斜部50a、50bが設け
られる。
アルミニウム(Al)およびマグネシウム(Mg)を除
く殆どの金属を主成分としており、実用的には周期表の
VIII族元素の鉄(Fe)、ニッケル(Ni)または
コバルト(Co)から選ばれる少なくとも一種以上であ
り、必要に応じてマンガン(Mn)、クロム(Cr)、
バナジウム(V)またはモリブデン(Mo)等が、物性
や特性の向上等を図るために混入される。
グステン(WC)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン
(TiN)、炭化2モリブデン(Mo2 C)、炭化タン
タル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム
(Cr3 C2 )または炭化バナジウム(VC)の中から
選択される少なくとも一種以上を主体とするものであ
る。
iC+TiN+Mo2 C+TaC+NbC+Cr3 C2
+VC≦97wt%に設定され、残部が金属である。こ
れらセラミックス成分の粒度は、平均粒径がサブμmの
超微粒子組成から30μm程度の範囲内で使用可能であ
る。
による緻密化の前段階として、あるいは緻密化と同時に
急激に成長するような粒成長促進剤を原子に近い大きさ
で加え、その濃度を制御することによって粒子の成長と
それに伴う粒子再配列および金属濃度の勾配とを惹起さ
せるものである。従って、初期状態のセラミックス粒子
の大きさが小さいほど、粒成長促進剤の効果が大きくな
って成長度合いも大きくなる一方、初期状態のセラミッ
クス粒子の大きさが大きいほど、この成長度合いが小さ
くなる。
形成、金属が漸減する傾斜機能層の形成および金属量の
増加する高強度かつ高靱性層の形成が効果的に行われる
条件として、セラミックス成分の平均粒径が0.3μm
〜30μmに設定される。平均粒径が0.3μm未満の
粉末原料は、相当に高価であって実質的に使用すること
が困難である一方、30μmを超える粉末原料では、セ
ラミックス粒子の成長が10倍に満たないために特性の
向上がさほど図られず、またコストも高くなってしま
う。
分は、使用条件等によって適宜選択されたり、それぞれ
の量が変更されたりする。例えば、非磁性化、ワークと
の反応防止または反応抑制、耐熱性の向上、剛性および
耐摩耗性の向上等を図る目的から、金属成分としてニッ
ケルを主体にすることや、セラミックス成分の炭化チタ
ン、窒化チタン、炭化クロムまたは炭化バナジウムの添
加や除去が行われる。
と、金属成分の量が少なすぎて強度的に不十分となり、
従来の材料と比べても引っ張り強度に差異が見られな
い。しかも、鍛造金型10の使用中にエッジ部にチッピ
ング等が発生し易く、実用に供することが難しい。ここ
で、セラミックス成分が97wt%であると金属成分が
3wt%になるが、内部は7wt%以上の金属成分でか
つ表面が0.3wt%〜1.5wt%の金属成分とな
り、高剛性を有し高強度および高靱性な鍛造金型10を
得ることができる。
wt%とすればよく、その際、表面の金属成分は0.3
wt%〜2wt%となる。このため、高剛性、高耐摩耗
性および高耐熱性を有するとともに、内部の金属成分が
10wt%程度となって強度および靱性に優れ、現状の
超硬材(現状材)を凌ぐ特性を有することが可能にな
る。一方、セラミックス成分が70wt%未満では、金
属量が多くなって物性等が飽和してしまい、耐摩耗性、
剛性および耐食性等が劣化してしまう。
97wt%の範囲内であれば、表面の金属量が0.1w
t%〜8wt%となり、しかも内部金属量が7wt%〜
40wt%程度となる。これにより、耐摩耗性、熱伝導
度、強度、剛性および耐衝撃性等の殆どの値が現状材を
大きく上回るという効果が得られる。
a、42b、50aおよび50bの厚さは、数百μm以
上、好ましくは0.3mm以上必要である。すなわち、
熱の発生や応力の発生によって作用する熱応力や負荷応
力を緩和するために、鍛造金型10の設計上の要請があ
るからである。例えば、熱応力について説明すると、金
属量と熱伝導および粒子の大きさと熱伝導はそれぞれ相
関を有しており、発生する熱応力が熱伝達の勾配である
ことから、傾斜部42a、42b、50aおよび50b
の厚さが変化すれば、発生する熱応力そのものも変化す
る。このため、厚さが数μm〜数十μmでは、発生する
熱応力や加工時に生ずる応力の緩和量が小さくなってし
まい、耐久性の向上を図ることはできない。
ノックアウトピン28およびパンチ36の表面硬度は、
HRA88以上に設定される。HRA88未満では表面
への金属の露出割合が多くなり、ワークと鍛造金型10
との摩擦係数(μ)が高くなってしまう。これにより、
発熱の増大や発生する応力や金型への負荷応力の増大を
招いてしまい、凝着が惹起されるとともにワークの表面
荒れの他、鍛造金型10自体の摩耗が発生し易くなって
しまう。従って、表面硬度をHRA88以上、好ましく
はHRA90以上に設定すれば、得られる製品の面粗さ
や精度が有効に向上するとともに、鍛造金型10の寿命
も向上するという効果がある。
り、例えば、ニッケルが用いられる場合、金属成分を1
0wt%としかつセラミックス成分を単純な炭化タング
ステンのみとした場合であっても、金型表面硬度をHR
A93以上とすることができる。さらに、セラミックス
成分の一部を炭化チタンや窒化チタン等と置換したり、
粒成長促進剤をマンガン、クロム、チタンまたはアルミ
ニウムに変えたりすることにより、表面硬度がHRA9
6近くにもなる。これらの値は、セラミックス等の硬質
被膜コーティングを施した値以上となり、表面金属量も
殆どない状態にすることができる。その際、金型表面に
硬質セラミックスコーティングを施せば、従来の超硬材
や複合材の金型に比べて表面の金属量が大きく減少して
いるため、前記硬質セラミックスコーティングの密着性
を一挙に向上させることが可能になる。
成分であるセラミックス成分が焼結工程で粒子成長し易
いような添加剤を原子に近い大きさ、例えば、イオン溶
液として含浸により供給している。このため、粒成長促
進剤の濃度勾配を乾燥工程や、含浸の際の溶媒の蒸発速
度条件や、浸積時間等の条件および焼結時の雰囲気管理
や温度管理等によって調整している。これにより、ダイ
リング24、ノックアウトピン28およびパンチ36の
形状に沿って高硬質層であるセラミックス部40a、4
0b、48aおよび48bや、金属が漸増あるいは漸減
する傾斜部42a、42b、50aおよび50bを形成
することができる。従って、機能および性能が向上して
耐久性に優れる鍛造金型10を得ることが可能になる。実施例1 実施例1では、平均粒径が2.2μmの炭化タングステ
ン(WC)粉末を89wt%と、平均粒径が2μmの炭
化ニオブ(NbC)を2wt%と、平均粒径が2.4μ
mの炭化タンタル(TaC)を1wt%と、平均粒径が
0.8μmの金属コバルト(Co)を8wt%との組成
で用意し、有機溶媒を媒液としてボールミルにより72
時間十分に混合した。これは、JIS分類におけるK−
10乃至V−10、20の組成に相当するものである。
均粒径が3μmの炭化タングステンと平均粒径が0.8
μmの金属コバルトとを、それぞれ95wt%〜70w
t%および5wt%〜30wt%の範囲内で構成し、同
様な混合条件によって十分に混合した。
%になるように調整し、成形用バインダの影響を回避す
るためにバインダレスで、金型内静水圧加圧成形法によ
り100MPaの成形圧力にて焼結後の直径が18mm
でかつ長さが150mmになるように成形体を成形し
た。焼結後の片面取り代は、0.1mm〜0.2mmに
設定している。成形体は、窒素ガス中において50Pa
の成形圧力にてこの成形体に残存する有機溶媒を除去し
た後、900℃で30分間の仮焼成を行い、仮焼成体を
得た。成形体含浸時の破壊を防ぐためである。
利便性および安全性等を考慮し、10%濃度のNi塩水
溶液を用意し、これに仮焼成体を浸漬した後に130℃
の排気型熱風乾燥で十分乾燥し、前記仮焼成体内におけ
るニッケル濃度の傾斜化を図った。そして、窒素ガス流
通下で、50Paの加圧下に1400℃で1.5時間保
持し、焼結体を得た。なお、表面層の影響を除去するた
めに、焼結体の表面層を片面0.1mm〜0.2mmだ
け除去し、試験材を得た。
仮焼成体に含浸させたものを用意し、これらを粉体中に
埋設して水分の急激な蒸発による濃度差が生じないよう
にしたものを調整し、同様に焼結および加工を施して試
験材を得た。
および炭化タンタルを配したコバルトが8wt%の試験
材の硬質層は、加工前が0.3mm〜0.4mmであっ
て加工後が0.2mm〜0.3mm程度となり、その表
面硬度がHRA93.4となった。この値は、硬質被膜
コーティングを施したものに近い値であり、そのまま金
型素材として使用することが可能である。
に向かって変化する硬度の値が示されている。これによ
り、硬度は、焼結体内部に向かって金属イオンが増加す
るのに伴って漸減し、この硬度の変化量はHRA6程度
と非常に大きなものとなった。さらに、この硬度の減少
から傾斜機能層の厚さが約8mmであることが検出され
た。この試験材では、表面の金属量が面積率で3%程度
であり、最初の組成状態から比べると1/7〜1/8に
低減している。中央部の金属量は面積率で26%にも及
び、初期状態と比べて2倍以上となっていた。
等により観察し、粒子の大きさを測定したところ、図6
および図7に示す結果が得られた。図6に示す試験材は
炭化ニオブ等を含有する試験材であり、表面近くの粒子
の大きさが4倍〜5倍程度に成長していた。一方、図7
では、同一のコバルト量でセラミックス成分が炭化タン
グステンのみであるWC−8Coの組成の試験材を用い
ており、その表面近くの粒子が30μm〜40μmにも
成長しており、粒子の大きさが10倍〜13倍程度とな
っていた。
さは金属量の増加と共に漸減し、中央部では殆ど粒成長
しておらず、初期状態での粒度のままであった。なお、
炭化ニオブや炭化タンタルを加えたものに比べて、単純
組成のWC−8Coの粒成長が著しいのは、これらの添
加粉末が粒成長を抑制しているからである。
度を10%にし、複合材に含まれる金属コバルト量を変
えて調整するとともに、Niイオンの含浸を行うもの
(試験材)と含浸を行わないもの(現状材)とにおい
て、抗折強度を比較する実験を行った結果である。対象
試料は炭化ニオブ等を含むものである。Ni含浸の試験
材では、含浸後に粉体中に埋設してイオン濃度の移動を
抑制し均質体組成を構成している。この試験材では、現
状材に比べて抗折強度が有効に向上している。すなわ
ち、通常、粒成長することにより強度の低下が惹起され
るが、原子に近い大きさで粒成長剤を加えることによ
り、逆に強度の向上が図られたからである。
度を変化させ、複合材組成をコバルトが8wt%と一定
として試験材の硬度を測定した結果である。これによ
り、図8と同様に、Niイオン量の極大の存在が示唆さ
れている。
濃度を10%と一定にしたときの剛性の変化を示してい
る。剛性を検出するために、実際上の縦弾性率を測定し
た。図10に示すように、表面が粒成長することによっ
て見かけ剛性である縦弾性率が増加するとともに、均質
複合材においても剛性の変化が複合粒子の粒度と関係し
ていることが分った。
iイオン濃度と破壊靱性値との関係を示している。現状
材では、強度が上がると靱性は低下するのであるが、試
験材では特有の物性を示している。
示している。図12中、通常超硬材は市販のV−10相
当品であり、試験材の硬度がこの通常超硬材に比べてH
RA10以上の高い値となった。しかも、試験材では、
高温に至ってもその硬度を高い値に維持することがで
き、高温環境下における有効利用が図られるという効果
がある。
力を比較した結果を示している。なお、疲労特性を得ら
れ易いように、WC−15Co組成が用いられた。これ
により、現状超硬材を用いるものに比べ、試験材ではそ
の圧縮応力が大きく向上し、実際上、30%程度の向上
が認められた。
WC−Co組成でコバルト量を変えてそれぞれの引っ張
り強度を測定した結果である。これにより、ニッケル含
浸しない(均質体)試験材では、その測定が難しく、測
定値のばらつきが大きくなるとともにその脆さが目立っ
た。その傾向は、金属量が20wt%を超えても同様で
あった。これに対して、ニッケル含浸した(傾斜組成)
試験材では、コバルト量が5wt%までの測定値の差が
大きかったものの、コバルト量がそれ以上ではばらつき
も小さくなって、引っ張り強度自体も大きな値になっ
た。引っ張り強度を比較したところ、現状構成に比べて
均質材の試験材で2倍〜3倍の値が得られ、傾斜組成で
ある試験材では、この均質材よりもさらに値が増加し
た。これは剛性の増加や表面硬質効果等によるものであ
る。
KD材およびSKH材等に比べ、鍛造金型10として具
備すべきあらゆる特性について凌駕しており、これまで
の鍛造金型に比べて耐用性や機能の点で大きな向上が図
られるという効果が得られる。実施例2 図1に示す鍛造金型10を製作し、この鍛造金型10の
試験を行った。この鍛造金型10を構成するダイリング
24、ノックアウトピン28およびパンチ36はWC−
Co組成とし、コバルト量が10wt%および15wt
%であるとともに、粒成長促進剤としてNi塩水溶液を
用い、基本的に実施例1と同様の製法で製造された。鍛
造金型10の精度および面粗さは、現状の金型と同様に
した。
よびパンチ36では、高硬質層部であるセラミックス部
40a、40b、48aおよび48bの厚さがそれぞれ
5mm、5mm、1mmおよび1mmとなり、それぞれ
の硬度はWC−10CoでHRA93.3、HRA9
3.4およびHRA93.4となり、WC−15Coで
HRA93.2、HRA93.4およびHRA93.4
と略同一となった。その際、それぞれの表面露出金属量
は略同一であった。
び50bの厚さは、WC−10Coでそれぞれ14m
m、14mm、6mmおよび6mmとなり、WC−15
Coでそれぞれ13mm、13mm、6mmおよび6m
mとなり、残部が高強度かつ高靱性層である金属部4
4、46aおよび46bとなった。
ーナツ形状を有しており、この内周面側からセラミック
ス部40b、傾斜部42bおよび金属部44が設けら
れ、さらにその金属部44の外側に傾斜部42aおよび
セラミックス部40aが設けられている。このため、ダ
イリング24は、全体として非常に強靱となり、有効な
構成を有している。ノックアウトピン28およびパンチ
36では、同心円上に金属部46a、46b、傾斜部5
0a、50bおよびセラミックス部48a、48bが構
成されており、それぞれノックアウトピン28およびパ
ンチ36の形状に沿った構成になっている。
型銅合金を用い、鍛造金型10により後方押し出し加工
を行った。この銅合金は、引っ張り強度が450MPa
で、縦弾性率が120MPaで、破断伸びが28%であ
った。この銅合金は、図15に示すように円柱状の素材
60として用意され、この素材60が鍛造金型10によ
り製品62に鍛造加工された。加工前の素材60の硬度
は、HRB60〜70であり、鍛造後の製品62の硬度
は、HRB78〜84となった。
は、数百ショットで素材60の銅合金がパンチ36の先
端をコーティングしたような状態でこのパンチ36に凝
着してしまい、通常、100ショット毎に前記パンチ3
6をクリーニングする必要があった。これは、SKD材
の場合に一層顕著となり、数十ショットで凝着が生じる
とともに、SKD材そのものの中にまで浸透してしま
い、ヤスリ等による除去が不可能であった。
に凝着が生じるまでのショット数が数千ショットとな
り、凝着が数十分の一に低減された。これは、パンチ3
6の表面が略セラミックス組成となり、熱伝導率が大き
く向上して鍛造加工により発生する熱が速やかに加工部
から移動したことと、前記パンチ36自体の熱膨張も現
状組成の金型に比べて小さいこと等による効果である。
激に上昇して製品精度が悪くなるとともに、製品に傷を
発生させかつ鍛造金型10のかじりが生じてしまい、こ
の鍛造金型10が破壊に至るおそれがある。このため、
パンチ36先端のクリーニングを、現状超硬型では10
0ショット毎に行い、本発明の鍛造金型10では300
0ショット毎に行った。
型10とを用い、型寿命までの総ショット数を検出する
実験を行った。その結果、現状超硬型のWC−15Co
の型寿命が8700ショットである一方、本発明の構成
では、WC−10Co−Ni含浸の型寿命が45万ショ
ット、WC−15Co−Ni含浸の型寿命が38万ショ
ットと非常に伸び、約50倍〜40倍の型寿命の向上が
図られた。これにより、鍛造金型10では、型寿命が大
幅に向上するとともに、製品精度を有効に維持すること
ができるという効果が得られる。
型内部から金型表面に向かうに従って複合材中の金属成
分の割合が漸減するため、実際に加工を行う金型表面部
分が高硬度でかつ耐摩耗性を有する一方、金型内部が高
靱性かつ高強度を有するとともに、この間の組成や物性
が緩やかに変化する。これにより、耐用性に優れるとと
もに、製品精度の向上が図られる。
断面説明図である。
である。
断面図である。
る。
る。
ある。
る。
ある。
である。
面説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】セラミックス成分と金属成分とを含む複合
材で構成されるとともに、 金型内部から金型表面に向かうに従って、前記複合材中
の前記金属成分の割合が漸減することを特徴とする複合
材製鍛造金型。 - 【請求項2】請求項1記載の鍛造金型において、前記複
合材中の前記セラミックス成分は、WC、TiC、Ti
N、Mo2 C、TaC、NbC、Cr3 C2 またはVC
の中から選択される少なくとも一種以上のセラミックス
成分であり、かつ、セラミックス量が、 70wt%≦WC+TiC+TiN+Mo2 C+TaC+NbC +Cr3 C2 +VC ≦97wt% に設定されることを特徴とする複合材製鍛造金型。 - 【請求項3】請求項1または2記載の鍛造金型におい
て、前記複合材中の前記金属成分は、Fe、Niまたは
Coを主成分とし、必要に応じてMn、Cr、Vまたは
Moが添加されることを特徴とする複合材製鍛造金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10553099A JP3663315B2 (ja) | 1999-04-13 | 1999-04-13 | 複合材製鍛造金型 |
Applications Claiming Priority (1)
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