JP2000293159A - 鍵盤楽器のアクション装置 - Google Patents

鍵盤楽器のアクション装置

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JP2000293159A JP11136124A JP13612499A JP2000293159A JP 2000293159 A JP2000293159 A JP 2000293159A JP 11136124 A JP11136124 A JP 11136124A JP 13612499 A JP13612499 A JP 13612499A JP 2000293159 A JP2000293159 A JP 2000293159A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクション装置の上下高さ及び奥行きを小さ
く設計でき、また部品点数及び組立工数を少なくする。 【解決手段】 エスケープメント部材11の上端に抑制
部材33を形成する。ハンマ体9の基部に嘴状突片19
及び押出突起21を突設する。押出突起21により嘴状
突片19を係合段部31から強制的に離脱(レットオ
フ)させるので、嘴状突片19の弧状の軌跡における水
平成分を大きくするためのハンマ体9の支持杆のような
部材が不要となり、アクション装置1の高さを小さくで
きる。抑制部材33がハンマ体9のリバウンドを抑制す
るのでバックチェックが不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鍵盤楽器において
鍵盤部の打鍵操作に応じて発音体を打撃するアクション
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の鍵盤楽器の主流となっているイギ
リス式のアクション装置が「突き上げ式」と呼ばれるの
に対し、今世紀初頭まで製造されていたウィーン式のア
クション装置は、「跳ね上げ式」と呼ばれるものであ
る。このウィーン式のアクション装置73は、図12
(a)に示すように、図中右側に図示しない鍵盤部を有
する鍵盤体5の長手方向の中間部をピン13及び台座1
5により揺動自在に保持すると共に、鍵盤体5の他方の
端部に支持杆75を立設し、この支持杆75の上端に、
弦7を打撃するためのハンマ体77の基部を軸78によ
り回動自在に軸着し、ハンマ体77の基端部には嘴状突
片79を突設すると共に、ハンマ体77の嘴状突片79
に向けてバネ棒80により常時付勢されたエスケープメ
ント部材81には、係合段部83を形成している。他
方、機枠85には、ハンマ体77のハンマ部87の回動
軌跡に沿ってバックチェック89が立設されており、バ
ックチェック89の表面には皮革などの摺動材が貼着さ
れている。
【0003】演奏の際には、図12(b)に示すとお
り、鍵盤部の打鍵操作に伴い、鍵盤体5の他端の支持杆
75が弦7に向けて上昇すると共に、ハンマ体77の嘴
状突片79とエスケープメント部材81の係合段部83
とが係合し、これによりハンマ体77が弦7に対する打
撃回動動作を行うものである(図12(b)(c))。
ハンマ体77の嘴状突片79とエスケープメント部材8
1の係合段部83との係合は、ハンマ体77の打撃動作
の直前に離脱(レットオフ)するように設計されており
(図12(c))、この離脱のタイミングを調整ネジ9
1により微調整可能となっている。離脱した嘴状突片7
9は、演奏者が鍵盤部を放す際に、図12(d)に示す
とおりエスケープメント部材81の帰還摺動面93に摺
動しつつ下降し、図12(a)の姿勢に復帰する。
【0004】また、弦7を打撃した後のハンマ体77
は、弦7の反発力により下向きに放擲されるが、その動
きはハンマ体77のハンマ部87とバックチェック89
との摺動摩擦により減勢されて停止する。したがって、
ハンマ体77がリバウンドにより弦7を再び打撃するこ
とはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のウィ
ーン式のアクション装置73では、打鍵操作に伴う嘴状
突片79の弧状の軌道における水平方向(鍵盤部方向)
の移動成分により、嘴状突片79とエスケープメント部
材81の係合段部83との離脱(レットオフ)を行う構
成であることから、打鍵操作に伴う嘴状突片79の水平
方向(鍵盤部方向)の移動成分を大きくするため、支持
杆75を設けてハンマ体77の軸78を鍵盤体5より相
当程度高い位置とすることが必要であり、また、これに
応じてバックチェック89も同様に高い位置に設置する
必要があったため、アクション装置73の上下高さを小
さく設計することが困難であった。また、バックチェッ
ク89を設け、かつその当たり具合も調整する必要があ
るため、部品点数及び組立工数が多いという問題点もあ
った。
【0006】さらに、従来のウィーン式のアクション装
置73では、アクション装置73全体が、ハンマ体77
のハンマ部87の打点から、ハンマ体77及びエスケー
プメント部材81の設置位置を含む長さA(図12
(a)参照)だけ鍵盤部と反対側に突出することとな
り、鍵盤楽器全体の奥行きを小さく設計することが困難
であった。
【0007】本発明はこれらの課題を解決すべくなされ
たものであり、その目的は、アクション装置の上下高さ
及び奥行きを小さく設計でき、また部品点数及び組立工
数の少ない鍵盤楽器のアクション装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、一方の
端部に鍵盤部を有する鍵盤体の長手方向の中間部を揺動
自在に保持すると共に、当該鍵盤体の保持点を挟んで前
記鍵盤部の反対側に、打撃用のハンマ体の基部を回動自
在に軸着し、前記ハンマ体の基端部に嘴状突片を突設す
ると共に、前記ハンマ体の嘴状突片に向けて常時付勢さ
れたエスケープメント部材には係合段部を形成し、しか
して前記鍵盤部の打鍵操作に伴い前記ハンマ体の軸着部
が打撃方向に回動すると共に前記ハンマ体の嘴状突片と
前記エスケープメント部材の係合段部とが係合し、前記
ハンマ体が音源体に対する打撃回動動作を行う鍵盤楽器
のアクション装置において、前記ハンマ体の基端部と前
記エスケープメント部材との少なくともいずれか一方に
は、前記ハンマ体の打撃回動動作に伴い前記エスケープ
メント部材を前記ハンマ体に対し反対側に押出して前記
ハンマ体の嘴状突片を前記係合段部から離脱させるべき
寸法の押出部材を設けると共に、前記エスケープメント
部材には、前記ハンマ体に対し打撃方向に接離自在に対
向し前記嘴状突片が前記係合段部から離脱した状態にお
いて前記ハンマ体を音源体から離間して停止させるべき
寸法の抑制部材を一体的に形成したことを特徴とする鍵
盤楽器のアクション装置である。
【0009】第1の本発明では、ハンマ体の基端部とエ
スケープメント部材との少なくともいずれか一方に、ハ
ンマ体の打撃回動動作に伴いエスケープメント部材をハ
ンマ体に対し反対側に押出してハンマ体の嘴状突片を係
合段部から離脱させるべき寸法の押出部材を設けたの
で、これによりハンマ体の嘴状突片をエスケープメント
部材の係合段部から強制的に離脱させることができる。
したがって、従来のように嘴状突片79の水平方向(鍵
盤部方向)の移動成分を大きくするための支持杆75の
ような部材が不要となり、また鍵盤体の長さも短く設計
できるので、アクション装置の上下高さ及び奥行きをき
わめて小さく設計することができる。
【0010】また、エスケープメント部材に、ハンマ体
に対し打撃方向に接離自在に対向し嘴状突片が係合段部
から離脱した状態においてハンマ体を音源体から離間し
て停止させるべき寸法の抑制部材を一体的に形成したの
で、上記従来例におけるバックチェック89が不要とな
り、部品点数及び組立工数を減少することができる。
【0011】第2の本発明は、前記エスケープメント部
材を、前記ハンマ体と前記鍵盤体との軸着部に対して前
記鍵盤部側に配置したことを特徴とする請求項1の鍵盤
楽器のアクション装置である。
【0012】第2の本発明によれば、ハンマ体及びエス
ケープメント部材が、いずれもハンマ体のハンマ部の打
点に対して鍵盤部側に配置されるので、これらハンマ体
及びエスケープメント部材が鍵盤部と反対側に突出する
ことはない。したがって、弦などの発音体の配列に応じ
て、第2の本発明の構成を適宜に採用することにより、
鍵盤楽器全体の奥行きを小さく設計できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施の形態につい
て、以下に図面を参照して説明する。図1に示すとお
り、本発明実施形態に係るアクション装置1は、図中右
側に鍵盤部3を有する鍵盤体5と、弦7を打撃するハン
マ体9と、ハンマ体9の打撃回動動作を制御するエスケ
ープメント部材11とからなるものである。
【0014】図1において、図中右側の端部に鍵盤部3
を有する鍵盤体5の長手方向の中間部を、ピン13によ
り台座15の上面に揺動自在に保持する。鍵盤体5の保
持点(ピン13の位置)を挟んで反対側には、図2に示
すとおり孔5aを開ける。
【0015】ハンマ体9は、先端部に弦7(図1参照)
を打撃すべきハンマ部17を備えており、ハンマ体9の
基部には孔9aを開けると共に、この孔9aを挟んでハ
ンマ部17に対し反対側には、嘴状突片19を突設す
る。また、嘴状突片19に対し図中上側には、本発明に
おける押出部材である押出突起21を突設する。
【0016】そして図2に示すとおり、鍵盤体5の孔5
aと、ハンマ体9の孔9aとに、組ネジ23,24を、
ワッシャ26を介して挿通し締結することにより、鍵盤
体5とハンマ体9とを相対的に回動自在に軸着する。な
お、ハンマ体9の孔9aの内径は雌側(外側)の組ネジ
23の外径よりやや大きく、これにより孔9aは雌側の
組ネジ23に対し回転自在となされている。20は鍵盤
体5の重量バランスを調整するための鍵盤鉛(キーレッ
ド)であり、鍵盤体5に開けられた孔に適宜の個数を挿
通され、両側から圧縮方向に叩いてその径を拡大させる
ことにより固定されている。
【0017】エスケープメント部材11は、図3に示す
とおり、背部片29の中腹に係合段部31を、また背部
片29の上端に抑制部材33をそれぞれ突設してなるも
のであり、抑制部材33の下面及び背部片29の係合段
部31に対し図中上側には、クロス又はフェルトからな
るクッション35,36をそれぞれ貼着する。さらに、
係合段部31の下面及び背部片29の係合段部31に対
し図中上側表面には、一連の皮革からなる摺動材37を
貼着し、これにより、背部片29の係合段部31に対し
図中上側と係合段部31の図中右側頂点とを結ぶ帰還摺
動面39を形成する。
【0018】エスケープメント部材11の下端部には溝
41を設け、この溝41に、カーボンファイバからなる
バネ板43の上端部を挿入して接着し、このバネ板43
の下端部は、ネジ47により止め板45を介して機台4
9に固定する。これにより、エスケープメント部材11
は、バネ板43の弾発力により、ハンマ体9の基部に向
けて常時付勢される。
【0019】機台49には、図1に示すとおり、ハンマ
体9のハンマ部17及び基部(組ネジ23の位置)に対
向する位置に、クロスからなるクッション53,55を
それぞれ敷設する。
【0020】しかして、本実施形態のアクション装置1
の作動について説明する。図1において、いま、演奏者
が鍵盤部3を打鍵操作すると、ピン13及び台座15を
支点に鍵盤体5が図1中時計方向に回動し、ハンマ体9
の軸着部(組ネジ23の位置)が打撃方向すなわち弦7
側に向けて上昇する。この上昇により、ハンマ体9の嘴
状突片19が、エスケープメント部材11の係合段部3
1と係合する。
【0021】次に、演奏者が鍵盤部3を更に押下する
と、図4に示すように、ハンマ体9の軸着部(組ネジ2
3の位置)が弦7に向けて更に上昇する一方、嘴状突片
19の移動が係合段部31に規制されるため、ハンマ体
9のハンマ部17が弦7に向けて打撃回動動作を行う。
このとき、ハンマ体9の押出部材21は、エスケープメ
ント部材11の帰還摺動面39に接触しながら、徐々に
エスケープメント部材11をバネ板43の弾発力に抗し
てその背部側(図4中左側)に押出していく。
【0022】そしてハンマ体9のハンマ部17が弦7を
打撃するが、この打撃の直前には、ハンマ体9の押出部
材21によりエスケープメント部材11がバネ板43の
弾発力に抗して完全に背部側に押出され、これによりハ
ンマ体9の嘴状突片19が係合段部31の下面から離脱
(レットオフ)させられる。
【0023】打撃時のハンマ体9のハンマ部17は、図
5に示すとおり、その嘴状突片19が、エスケープメン
ト部材11の係合段部31の下面より図中上方に位置し
ている。したがって、エスケープメント部材11がバネ
板43の弾発力によりその後退位置から復帰したときに
は、係合段部31から離脱した嘴状突片19は係合段部
31の下面より上側である帰還摺動面39に当接する。
【0024】そして、ハンマ体9の嘴状突片19が係合
段部31の下面から離脱(レットオフ)させられた後、
ハンマ体9はなおも惰性によって回転運動を行い、ハン
マ部17が弦7を打撃する。その間に鍵盤部3は演奏者
によって押し下げられている(図5)。打撃後のハンマ
部17は弦7の反発力により図中下側に放擲され、これ
によりハンマ体9は逆方向(図中時計方向)に回転する
こととなるが、ここで、エスケープメント部材11の抑
制部材33がハンマ体9の上面に当接し、これにより、
ハンマ体9をそのハンマ部17が弦7から離間している
姿勢で停止させる(図6)。すなわち、鍵盤部3の押下
力並びに抑制部材33の規制により、抑制部材33の下
面がハンマ体9の上面に密着し、ハンマ体9の図中時計
方向への回動が阻止されると共に、この抑制部材33の
下面とハンマ体9の衝突の反力によるハンマ体9の図中
反時計方向への回動も阻止される。このようにして、ハ
ンマ部17の回動が抑制部材33により停止されるの
で、ハンマ体9がリバウンドにより弦7を再び打撃する
ことはない。
【0025】最後に、演奏者が鍵盤部3を放すと、鍵盤
部3の浮上に伴い鍵盤体5の反対側端部が下降し、これ
により嘴状突片19が帰還摺動面39に沿って摺動し
て、係合段部31の下方に復帰する。他方、このときハ
ンマ体9は抑制部材33による抑制を解かれ、自重によ
りクッション55まで落ち、図1に示す姿勢に復帰す
る。
【0026】このように、本実施形態においては、ハン
マ体9の基端部に、ハンマ体9の打撃回動動作に伴いエ
スケープメント部材11をハンマ体9に対し反対側に押
出してハンマ体9の嘴状突片19を係合段部31から離
脱させるべき寸法の押出部材21を設けたので、これに
よりハンマ体9の嘴状突片19をエスケープメント部材
11の係合段部31から強制的に離脱させることができ
る。したがって、上記従来例のように嘴状突片79の弧
状の移動軌跡における水平方向(鍵盤部方向)の移動成
分を大きくするための支持杆75のような部材が不要と
なり、また鍵盤体5の長さも短く設計できるので、アク
ション装置1の上下高さ及び奥行きをきわめて小さく設
計することができる。
【0027】また、本実施形態では、エスケープメント
部材11に、ハンマ体9に対し打撃方向に接離自在に対
向し嘴状突片19が係合段部31から離脱した状態にお
いてハンマ体9を弦7から離間して停止させるべき寸法
の抑制部材33を一体的に形成したので、上記従来例に
おけるバックチェック89が不要となり、部品点数及び
組立工数を減少することができる。
【0028】なお、上記第1実施形態においては、押出
部材21をハンマ体9の基端部に設ける構成としたが、
本発明における押出部材は、ハンマ体9側でなく、エス
ケープメント部材11側に設けてもよい。さらに、図7
に示すとおり、エスケープメント部材11に調整ネジ5
7をその回転操作により突出後退可能に取り付け、これ
により調整ネジ57の頭部59とハンマ体9側に設けた
クッション61との間隔を調整する構成としてもよい。
この場合には、調整ネジ57の頭部59とハンマ体9側
に設けたクッション61との当接により、打鍵操作の際
にハンマ体9の嘴状突片19をエスケープメント部材1
1の係合段部31から強制的に離脱させることができる
ことに加え、調整ネジ57の先端(図7中左端)に設け
られた扁平な把持部58を利用して、調整ネジ57を回
転操作することによりこれを突出後退させ、嘴状突片1
9と係合段部31との離脱のタイミングを微調整するこ
とができる利点がある。
【0029】次に、本発明の第2実施形態について説明
する。図8において、第2実施形態のアクション装置6
3は、エスケープメント部材65を、ハンマ体67を軸
着する組ネジ69に対して鍵盤部3側に配置したもので
ある。なお、この第2実施形態のアクション装置63の
他の構成は、上記第1実施形態のアクション装置1の構
成と同様であるので、その説明は省略する。
【0030】しかして、この第2実施形態のアクション
装置63によれば、ハンマ体67及びエスケープメント
部材65が、いずれもハンマ体67のハンマ部71の打
点に対して鍵盤部3側に配置されるので、これらハンマ
体67及びエスケープメント部材65がハンマ部71の
打点に対して鍵盤部3と反対側に突出することはない。
したがって、図9に示すように、弦7の配列に応じて例
えば低音域の鍵盤(図中B)に第1実施形態のアクショ
ン装置1を、また高音域の鍵盤(図中C)に第2実施形
態のアクション装置63をそれぞれ適用することによ
り、鍵盤楽器97全体の奥行きを小さく設計できるとい
う利点がある。
【0031】次に、本発明の第3実施形態について説明
する。図10において、第3実施形態のアクション装置
101は、エスケープメント部材111を、ハンマ体1
09を軸着する組ネジ123に対して鍵盤部103側に
配置したものであり、この点で上記第2実施形態と共通
するものであるが、これをさらに小型に構成し、またア
コーディオンのような演奏姿勢で立奏できるようにした
ものである。
【0032】すなわち、第3実施形態におけるハンマ体
109は、その腕部110を比較的に短く形成すると共
に、その基端部(図10中右端部)には、嘴状突片11
9を、また腕部110の延長線に対して上側(弦7側)
に向けて張り出した操作ブロック112を、それぞれ形
成する。他方、エスケープメント部材111には、係合
段部131及び抑制部材133を形成し、またエスケー
プメント部材111の背部片129には調整ネジ130
を螺入する。エスケープメント部材111の下端は、軸
143により取付台142に対し揺動自在に固定すると
共に、その鍵盤部103側(図10中右側)には、コイ
ルスプリング141を取付け、エスケープメント部材1
11をハンマ体109の基端部に向けて常時付勢する。
他方、鍵盤体105の上面にはコイルスプリング106
を介装して鍵盤体105を下向きに常時付勢する。
【0033】また、ハンマ体109は組ネジ123によ
り鍵盤体105に相対的に回動自在に軸着するが、ここ
でハンマ体109と鍵盤体105との間には、両者の摺
動摩擦を低減する目的から、図2に示すワッシャ26に
代えて、図示しないスラストベアリングを介装する。
【0034】機台149には桟144,145を立設す
ると共に、これら桟144,145の上端には響鳴板1
46を取り付け、共鳴板146の略中央には三角柱形の
コマ147を固定する。これら機台149,桟144,
145及び響鳴板146は、響鳴箱148を構成する。
弦7は、図11(a)に示すように図中手前側(演奏者
側)からみて左奥の方向に張ってもよく、また図11
(b)に示すように演奏者側からみて右奥に向けて張っ
てもよい。
【0035】しかして、この第3実施形態のアクション
装置101によれば、ハンマ体109の腕部110の延
長線に対して上側(弦7側)に向けて操作ブロック11
2を張り出した形に形成したので、鍵盤部105及びハ
ンマ体109の腕部110を短く形成した場合にも、エ
スケープメント部材111を小さくせず充分な大きさに
設計でき、作動を確実に行うことができまた耐久性をも
たせることができる。さらに操作ブロック112に対し
組ネジ123の取り付け位置を低く設計できるので、こ
れにより鍵盤楽器全体をより扁平に設計できる。また本
実施形態では、エスケープメント部材111の下端にコ
イルスプリング141を取付け、エスケープメント部材
111をハンマ体109の基端部に向けて常時付勢した
ので、低音部側(図11(a)(b)中左側)を上にし
て鍵盤楽器を保持してもハンマ体109が弦7に不用意
に当たるおそれはなく、またハンマ体109と鍵盤体1
05との間にスラストベアリングを介装したので両者の
摩擦も少ない。さらに、鍵盤体105をコイルスプリン
グ106で下向きに常時付勢しているため鍵盤部103
が浮上することもない。したがって、このような鍵盤楽
器をアコーディオンのような演奏姿勢で立奏することが
可能である。
【0036】なお、上記第1ないし第3実施形態におい
ては、鍵盤部3,103の配列面と弦7の配列面とを平
行にし、鍵盤楽器全体を平坦な形状に構成したが、本発
明におけるハンマ体をその柄にあたる腕部から略直角に
上向きに屈曲させた形状とすることにより、鍵盤部3,
103に対し直交面方向(演奏者に対する対向面)に弦
7を配列してアップライトピアノ型の鍵盤楽器とするこ
とも可能である。また上記第1ないし第3実施形態にお
いては、発音体として弦7を用いる構成としたが、本発
明における発音体は弦7のほか金属棒、ガラス、ベルな
ど他のものを用いてもよい。またハンマ体9、67、1
09の形状や構造も従来公知の様々なものを採用するこ
とができる。
【0037】また、本発明のアクション装置では、ハン
マ体9,67,109の離脱(レットオフ)について一
般のピアノと全く同様の演奏上の感触が得られることか
ら、発音体に代えてクッションを用いることにより練習
用の無音鍵盤に本発明を適用したり、さらには発音体に
代えて電子楽器のセンサを用いることにより電子楽器に
本発明を適用することも可能であって、かかる構成も本
発明の範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のアクション装置を示す側面図
である。
【図2】 第1実施形態のアクション装置における鍵盤
体及びハンマ体を示す斜視図である。
【図3】 第1実施形態のアクション装置の要部を示す
側面図である。
【図4】 第1実施形態のアクション装置の作動(打弦
直前の状態)を示す側面図である。
【図5】 第1実施形態のアクション装置の作動(打弦
時の状態)を示す側面図である。
【図6】 第1実施形態のアクション装置の作動(ハン
マ体が抑制部材に停止させられている状態)を示す側面
図である。
【図7】 第1実施形態のアクション装置の変形例の要
部を示す側面図である。
【図8】 第2実施形態のアクション装置を示す側面図
である。
【図9】 第1実施形態及び第2実施形態のアクション
装置を適用した鍵盤楽器を示す平面図である。
【図10】 第3実施形態のアクション装置を示す側面
図である。
【図11】 (a)及び(b)は第3実施形態のアクシ
ョン装置を適用した鍵盤楽器を示す平面図である。
【図12】 従来のアクション装置及びその作動を示す
側面図である。
【符号の説明】
1,63 アクション装置、3 鍵盤部、5 鍵盤体、
7 弦、9 ハンマ体、11 エスケープメント部材、
13 ピン、19 嘴状突片、21 押出部材、31
係合段部、33 抑制部材、43 バネ板、97 鍵盤
楽器。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の端部に鍵盤部を有する鍵盤体の長
    手方向の中間部を揺動自在に保持すると共に、当該鍵盤
    体の保持点を挟んで前記鍵盤部の反対側に、打撃用のハ
    ンマ体の基部を回動自在に軸着し、前記ハンマ体の基端
    部に嘴状突片を突設すると共に、前記ハンマ体の嘴状突
    片に向けて常時付勢されたエスケープメント部材には係
    合段部を形成し、しかして前記鍵盤部の打鍵操作に伴い
    前記ハンマ体の軸着部が打撃方向に回動すると共に前記
    ハンマ体の嘴状突片と前記エスケープメント部材の係合
    段部とが係合し、前記ハンマ体が音源体に対する打撃回
    動動作を行う鍵盤楽器のアクション装置において、 前記ハンマ体の基端部と前記エスケープメント部材との
    少なくともいずれか一方には、前記ハンマ体の打撃回動
    動作に伴い前記エスケープメント部材を前記ハンマ体に
    対し反対側に押出して前記ハンマ体の嘴状突片を前記係
    合段部から離脱させるべき寸法の押出部材を設けると共
    に、 前記エスケープメント部材には、前記ハンマ体に対し打
    撃方向に接離自在に対向し前記嘴状突片が前記係合段部
    から離脱した状態において前記ハンマ体を音源体から離
    間して停止させるべき寸法の抑制部材を一体的に形成し
    たことを特徴とする鍵盤楽器のアクション装置。
  2. 【請求項2】 前記エスケープメント部材を、前記ハン
    マ体と前記鍵盤体との軸着部に対して前記鍵盤部側に配
    置したことを特徴とする請求項1の鍵盤楽器のアクショ
    ン装置。
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