JP2000293017A - 画像形成装置用のブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基布に導電性を付与することによって、得ら
れる画像を良好なものとすることができる画像形成装置
用のブラシを提供する。 【解決手段】 画像形成装置の帯電部内に備えられた帯
電ブラシを構成する導電部材３１は、基布３２と、その
基布３２上に起毛するように形成された毛羽３３とから
なるベロアによって構成され、毛羽３３の毛先が感光ド
ラム表面に接触するようになっている。コーティング層
３４は、基布３２の裏面に形成され、毛羽３３の根元と
基布３２が接合されるとともに、コーティング層３３の
裏面には接着層３４が形成されている。さらに、導電部
材３０の両側面においては、基布３１から接着層３４ま
でが被覆層３５によって被覆されている。基布３２を形
成する糸は導電性繊維より形成され、基布３２に導電性
を付与している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば電子写真
複写機において、感光ドラム表面を帯電するために帯電
器内に設けられる帯電ブラシ等の画像形成装置用のブラ
シに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、感光ドラムは画像形成装置内にお
いて回転可能に支持され、その表面において帯電可能に
構成されている。感光ドラムの周囲には、帯電器及び露
光器が配置され、帯電器の帯電ブラシによって回転する
感光ドラムの表面を一様に帯電させるとともに、レーザ
光による光像を照射して静電潜像を形成させるようにな
っている。そして、感光ドラムの表面に形成された静電
潜像に現像装置からトナーが供給され、静電潜像の現像
が行われた後、転写器の転写ブラシ等によって記録用紙
にトナーによる可視像を転写するようになっている。

【０００３】また、可視像を転写した後の感光ドラム
は、クリーニング装置に設けられたクリーニングブラシ
がその表面に接触することによって残留しているトナー
が除去され、その後、除電器の除電ブラシによって感光
ドラム上に残留する電荷が除去されるようになってい
る。

【０００４】前記帯電ブラシ及び除電ブラシには、安定
した状態で感光ドラムの帯電及び除電を行うことができ
ることから、一般的に回転ブラシより構成されたものが
用いられている。この回転ブラシは、細長い帯状をなす
基布上に導電性を有し、難燃処理が施された繊維よりな
る毛羽を植毛することによって形成された導電部材を、
金属製の丸棒よりなる支軸に螺旋状をなすように巻き付
けることによって形成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記回転ブ
ラシによれば、基布は耐久性、柔軟性、摺動性等が良好
であることから、通常、ポリエステル製のタテ糸及びヨ
コ糸からなる織布が使用されている。これらポリエステ
ル製のタテ糸及びヨコ糸は導電性を有しておらず、基布
が絶縁体となり、基布同士が接触する導電部材の巻目部
分で支軸からの通電が阻害されることから、感光ドラム
表面に帯電及び除電ムラが生じ、記録用紙に転写される
画像に不具合が生ずるという問題があった。

【０００６】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、基布に導電性を付与することによって、得
られる画像を良好なものとすることができる画像形成装
置用のブラシを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１に記載の画像形成装置用のブラシの発明
は、感光ドラムが帯電部により帯電され、その感光ドラ
ムに露光により所定の潜像が形成され、その潜像が現像
部により現像されて画像が形成され、その画像が転写部
により記録用紙に転写され、クリーニング部により感光
ドラムのクリーニングが行われ、除電部により感光ドラ
ムに残留する電荷が消去される画像形成装置に備えら
れ、前記帯電部に設けられる帯電ブラシ、転写部に設け
られる転写ブラシ及び除電部に設けられる除電ブラシの
少なくとも１つよりなる画像形成装置用のブラシであっ
て、基布上に所定の繊維よりなる毛羽を備えたベロアに
よって構成され、前記基布をタテ糸とヨコ糸とより構成
するとともに、タテ糸及びヨコ糸の少なくとも一方を導
電性繊維により形成したものである。

【０００８】請求項２に記載の画像形成装置用のブラシ
の発明は、請求項１に記載の発明において、前記基布の
側面に導電性を有する被覆層を設けたものである。請求
項３に記載の画像形成装置用のブラシの発明は、請求項
１又は請求項２に記載の発明において、前記基布の裏面
に導電性を有する接着層を設けたものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、図
面に基づいて詳細に説明する。図５に示すように、感光
ドラム１１は画像形成装置内において支持軸１１ａによ
り回転可能に支持され、その表面において帯電可能に構
成されている。感光ドラム１１の上方位置に配置された
帯電部１２は、回転する感光ドラム１１の表面を一様に
帯電させる。感光ドラム１１の回転方向の帯電部１２よ
り進行側に配置された露光装置１３は、感光ドラム１１
にレーザ光による光像を照射して静電潜像を形成させ
る。

【００１０】感光ドラム１１の回転方向の露光装置１３
より進行側に配置された現像部１４は、そのハウジング
１４ａ内の現像ブラシ１４ｂにより、感光ドラム１１表
面の静電潜像にトナーを供給して、静電潜像の現像を行
うようになっている。感光ドラム１１の下方位置に配置
された転写部１５は、その内部に図示されない転写ブラ
シを備えるとともに、感光ドラム１１と転写部１５との
間に供給される記録用紙１６に、感光ドラム１１表面の
トナーによる可視像を転写するようになっている。

【００１１】感光ドラム１１の回転方向の転写部１５よ
り進行側に配置されたクリーニング部１７は、そのハウ
ジング１７ａ内のクリーニングブラシ１７ｂにより、転
写後の感光ドラム１１表面に残留しているトナーが除去
される。クリーニング部１７と帯電部１２との間に設け
られた除電部１８は、内部に図示されない除電ブラシを
備えるとともに、この除電ブラシが感光ドラム１１表面
に接触することによって、感光ドラム１１上に残留する
電荷を消去するようになっている。

【００１２】前記帯電部１２は、そのハウジング１２ａ
内に帯電ブラシ２０を備えるとともに、この帯電ブラシ
２０は感光ドラム１１表面に接触した状態で支軸２１に
より回転可能に支持されている。この支軸２１には電極
２２を介して図示されない電源が接続され、電源から給
電された高圧電流が帯電ブラシ２０表面で放電されるよ
うになっている。そして、印刷時には帯電ブラシ２０が
感光ドラム１１と接触しながら回転することによって、
感光ドラム１１表面が所定の電荷に均一に帯電されるよ
うになっている。

【００１３】図４に示すように、帯電ブラシ２０は、金
属製の丸棒よりなる支軸２１に導電部材３０を巻き付け
ることによって形成されている。図１〜図３に示すよう
に、この導電部材３０は合成樹脂製の基布３１と、その
基布３１上に起毛するように形成された毛羽３２とから
なるベロアによって構成され、毛羽３２の毛先が感光ド
ラム１１表面に接触するようになっている。合成樹脂製
のコーティング層３３は基布３１の裏面に形成され、毛
羽３２の根元と基布３１が接合されるとともに、コーテ
ィング層３３の裏面には接着剤の層よりなる接着層３４
が形成されている。さらに、導電部材３０の両側面にお
いては、基布３１から接着層３４までが合成樹脂製の被
覆層３５によって被覆されている。

【００１４】前記基布３１としては、耐久性、柔軟性が
高く、摺動性の良い材料よりなる織布、フィルム等の材
料が使用される。このような材料としては、超高分子ポ
リエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル
樹脂、ナイロン及びウレタン樹脂等が挙げられる。

【００１５】この実施形態においてベロアを構成する基
布３１は、タテ糸３１ａと、そのタテ糸３１ａの延びる
方向と直交する方向に延びるヨコ糸３１ｂとが互い違い
に交錯するように織りなされて構成された織布が使用さ
れている。図２に示すように、この状態で１本のヨコ糸
３１ｂは、導電部材３０の長さ方向において波形状をな
す２本のタテ糸３１ａの山と谷の間に入り込むように織
りなされている。さらに、基布３１を構成するタテ糸３
１ａ及びヨコ糸３１ｂの少なくとも１本は、基布３１と
毛羽３２間の導電性を良好なものとするために導電性繊
維により形成されている。

【００１６】繊維に導電性を付与する方法としては、原
糸段階において導電性物質を練り込む方法と、紡糸後に
導電性物質を含む加工液によって繊維表面を被覆する方
法とがある。この実施形態においては、繊維が導電性を
維持する点で有利なことから、原糸段階において導電性
物質を練り込む方法が採用されている。

【００１７】上記のような導電性物質としては、銀、
銅、ニッケル等の金属、酸化亜鉛、酸化錫等の金属化合
物、炭素等の微粒子が挙げられる。この実施形態におい
ては、安定した導電性を有するとともに、低コストな炭
素が用いられている。

【００１８】また、タテ糸３１ａ及びヨコ糸３１ｂの少
なくとも１本は、毛羽３２を良好に保持するため、フィ
ラメント糸よりも嵩高い紡績糸を用いることが好まし
い。この実施形態においては、タテ糸３１ａがポリエス
テル製のフィラメント糸により形成され、ヨコ糸３１ｂ
が導電性ポリエステル繊維からなる紡績糸により形成さ
れている。

【００１９】前記毛羽３２は、耐久性、柔軟性が高く、
耐摩耗性に優れるとともに、摺動性の良い繊維より形成
されている。このような条件を満たす繊維としては、レ
ーヨン繊維、キュプラ繊維等の再生繊維、ナイロン、ア
クリル、ポリプロピレン、ポリエステル等から形成され
る合成繊維等が挙げられる。この実施形態においては、
柔軟性が良好で所要の摺動性を有するとともに、低コス
トなレーヨン繊維が用いられている。また、毛羽３２を
形成する繊維としては導電性を有するものが好ましく、
前に挙げた導電性物質としての炭素が原糸段階で練り込
まれることによって毛羽３２に導電性を付与している。

【００２０】加えて、毛羽３２を形成する繊維として
は、耐熱性を有するものがより好ましい。繊維に耐熱性
を付与する方法としては、原糸段階において難燃剤を練
り込む方法と、紡糸後に難燃剤を含む加工液を繊維に含
浸させる方法とがある。この実施形態においては、操作
が簡易であり、様々な材料の繊維に対応できることか
ら、原糸段階において難燃剤を練り込む方法が採用され
ている。

【００２１】上記のような難燃剤としては、ハロゲン化
ジオール、ハロゲン化グリシジルエーテル等のハロゲン
系難燃剤、リン酸エステル、リン−窒素（Ｐ−Ｎ）化合
物等のリン系難燃剤等が用いられ、この実施形態の難燃
剤としては、リン系難燃剤が用いられている。

【００２２】毛羽３２を形成するべロアは、パイル織
り、たて編み、静電植毛等により得られるが、この実施
形態の毛羽３２は、基布３１上にパイル織りされること
によって得られる。このパイル織りは、その織り方によ
ってベルベット、プラッシュ、ベッチン、コール天等が
あり、使用部位あるいは使用目的により使い分けられ
る。

【００２３】パイル織りの方法には、Ｕ織り、Ｗ織り等
があり、この実施形態の毛羽３２は毛羽３２を形成する
糸の抜け落ちを防止する点で有利なことから、Ｗ織りに
よって形成されている。

【００２４】図２に示すように、Ｗ織りにおいて毛羽３
２の根元を形成するパイル糸３２ａは、まず１本のヨコ
糸３１ｂの下をくぐった後、隣りのヨコ糸３１ｂの上を
乗り越え、さらに隣りのヨコ糸３１ｂの下をくぐるよう
に基布３１に織り込まれている。つまり、パイル糸３２
ａは基布３１の３本のヨコ糸３１ｂに渡って、Ｗ字状を
なすように織り込まれている。このときの状態で一対の
毛羽３２間には、基布３１のヨコ糸３１ｂ上を乗り越え
るパイル糸３２ａが基布３１表面に露出するようになっ
ている。

【００２５】この実施形態においては、導電性レーヨン
繊維を撚り合わせ、太さが６００デニール／１００フィ
ラメントとなるように形成されたパイル糸３２ａを、毛
羽３２の密度が１０万本／インチ²となるように基布３
１に織り込むことによって毛羽３２が形成されている。

【００２６】前記コーティング層３３を形成するコーテ
ィング剤としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等
のゴム系溶剤型接着剤、又はエチレン−酢酸ビニル共重
合体、ポリメタクリル酸メチル等の接着性樹脂が用いら
れる。これらのコーティング剤は基布３１を形成する各
糸３１ａ，３１ｂ同士の間に合浸され、各糸３１ａ，３
１ｂ及び毛羽３２の根元を強固に保持するとともに、各
糸３１ａ，３１ｂのほつれを防止している。また、コー
ティング層３３は導電性を有するものが好ましく、この
実施形態においては、コーティング剤に前述した導電性
物質としての炭素が練り込まれることによって、コーテ
ィング層３３に導電性を付与している。

【００２７】前記接着層３４は、接着剤が硬化した後に
曲面状に変形可能な柔軟性を有する接着剤により形成さ
れる。さらに接着層３４は、耐熱性を有する接着剤によ
り形成されるのが好ましい。このような性質を有する接
着剤として、ゴム系、アクリル系等の感圧接着剤が用い
られる。この感圧接着剤としては、基材を有しないも
の、又は伸びのある基材を有するものが使用される。ま
た、接着層３４は導電性を有するものが好ましく、この
実施形態においては、接着剤に前述した導電性物質とし
ての炭素が練り込まれることによって、接着層３４に導
電性を付与している。

【００２８】前記被覆層３５は前に挙げたコーティング
剤より形成されており、基布３１を形成する各糸３１
ａ，３１ｂ同士の間に合浸され、各糸３１ａ，３１ｂの
ほつれを防止している。また、被覆層３５は導電性を有
するものが好ましく、この実施形態においては、コーテ
ィング剤に前述した導電性物質としての炭素が練り込ま
れることによって、被覆層３５に導電性を付与してい
る。

【００２９】図６に示すように、上記構成よりなる導電
部材３０は帯状をなすように裁断されるとともに、支軸
２１の軸線方向に延びる螺旋状をなすように隙間なく巻
き付けられ、接着層３４を介して支軸２１に接合されて
帯電ブラシ２０を構成している。この際、接着層３４に
は導電性が付与されるとともに、基布３１のヨコ糸３１
ｂには導電性繊維が用いられていることから、支軸２１
から導電部材３０への高圧電流の流れが良好なものとさ
れている。さらに、隣接する導電部材３０間において
は、導電性が付与された互いの被覆層３５同士が接触さ
れていることから、隣接する各導電部材３０間の高圧電
流の流れが良好なものとされている。

【００３０】図７に示すように、帯電ブラシ２０の毛羽
３２は、その毛先が感光ドラム１１の回転方向へ延びる
ように毛倒しされ、感光ドラム１１との摺動抵抗を軽減
するようになっている。この毛倒しは、以下に述べるよ
うにして行われる。

【００３１】つまり、図８（ａ）に示すように、毛羽３
２は導電部材３０が支軸２１に接合された直後には、支
軸２１の半径方向に延びている。図８（ｂ）に示すよう
に、その状態の帯電ブラシ２０は、円筒状をなす金属製
のパイプ４１の内側に挿入される。そして、毛羽３２の
毛先とパイプ４１の内周面とを密接させ、このパイプ４
１を加熱しつつ反時計方向に回転させることによって、
帯電ブラシ２０の毛倒しが行われる。

【００３２】次に、前記帯電ブラシ２０の作用について
以下に記載する。図５に示すように、画像形成装置で印
刷を行う際には、まず、回転する感光ドラム１１の表面
が帯電部１２によって一様に帯電され、露光装置１３に
より感光ドラム１１にレーザ光による光像が照射され、
感光ドラム１１表面に静電潜像が形成される。次に、現
像部１４の現像ブラシ１４ｂにより感光ドラム１１の表
面の静電潜像にトナーが供給され、静電潜像の現像が行
われる。そして、転写部１５により感光ドラム１１と転
写部１５との間に供給される記録用紙１６に、感光ドラ
ム１１表面のトナーによる可視像が転写される。

【００３３】転写後は、クリーニング部１７のクリーニ
ングブラシ１７ｂにより感光ドラム１１表面に残留して
いるトナーの粒子が除去され、除電部１８により、感光
ドラム１１上に残留する電荷が消去される。

【００３４】図７に示すように、上記の帯電過程におい
て、感光ドラム１１はその表面に回転する帯電ブラシ２
０が摺動されることによって帯電される。このとき、導
電部材３０の接着層３４及び基布３１が導電性を有して
いることから、支軸２１を介して給電される高圧電流を
毛羽３２の毛先まで確実に通電させることができる。加
えて、支軸２１上において隣接する導電部材３０は、導
電性を有する被覆層３５を介して接触していることか
ら、導電部材３０の巻目で通電が滞ることがなく、帯電
ブラシ２０の表面全体から均一に放電させることができ
る。

【００３５】さらに、帯電ブラシ２０が感光ドラム１１
表面に摺動される際、毛羽３２はその毛先が感光ドラム
１１の回転方向に向かうように毛倒しされているため、
帯電ブラシ２０と感光ドラム１１との間の摺動抵抗が軽
減される。

【００３６】前記の実施形態によって発揮される効果に
ついて、以下に記載する。 ・ 基布３１のヨコ糸３１ｂは導電性繊維によって形成
されていることから、支軸２１を介した毛羽３２への通
電が良好なものとなっている。このため、基布３１に導
電性を付与することによって、感光ドラム１１表面がよ
り均一に帯電され、得られる画像を良好なものとするこ
とができる。

【００３７】・ 導電部材３０の両側面は導電性を付与
された被覆層により被覆され、支軸に接合する際、互い
の被覆層を介して隣接されるため、隣接する導電部材３
０間の通電を良好なものとすることができる。

【００３８】・ 導電部材３０は導電性を付与された接
着層３４を介して支軸２１に接合されているため、支軸
２１を介した電源からの給電を良好なものとすることが
できる。

【００３９】・ 基布３１を形成するヨコ糸３１ｂには
紡績糸が用いられている。このため、毛羽３２を形成す
るパイル糸３２ａが基布３１に締め付けられることによ
って、感光ドラム１１との摺動による毛羽３２の抜け落
ちを防止することができる。加えて、ヨコ糸３１ｂには
導電性が付与されるとともに、紡績糸は嵩高いため、毛
羽３２との接触面積が大きくなり、毛羽３２への通電が
さらに良好なものとすることができる。

【００４０】・ 毛羽３２は感光ドラム１１の回転方向
に延びるように毛倒しされている。このため、帯電ブラ
シ２０と感光ドラム１１との間の摺動抵抗が軽減される
ことによって、毛羽３２に過剰な負荷が加わることによ
って生ずる毛切れ、毛倒れ等を防止することができる。

【００４１】・ 毛羽３２を形成するパイル糸３２ａを
基布３１上にＷ織りによって織り込んだことから、パイ
ル糸３２ａが３本のヨコ糸３１ｂと絡み合うことによ
り、毛羽３２が基布３１上に確実に保持され、毛羽３２
の抜け落ちを効果的に防止することができる。

【００４２】・ 基布３１の裏面に設けられたコーティ
ング層３３に導電性を付与したことから、電源から支軸
２１を介した毛羽３２への通電を確実に行うことができ
る。

【００４３】

【実施例】以下、前記実施形態をさらに具体化した実施
例及び比較例について説明する。 （実施例１）パイル糸３２ａの太さ及び毛羽３２の密度
が所定値となるように設定して、毛羽３２を形成し、導
電部材３０を構成した。すなわち、パイル糸３２ａは太
さが６００デニール／１００フィラメントの導電性レー
ヨン繊維である。このパイル糸３２ａにより構成された
毛羽３２を、密度が１０万本／インチ²となるように基
布３１上にＷ織りによって形成した。この導電部材３０
の基布３１、接着層３４及び被覆層３５に導電性を付与
し、支軸２１に接合して、所望とする帯電ブラシ２０を
得た。 （実施例２）パイル糸３２ａは太さが６００デニール／
１００フィラメントの導電性レーヨン繊維である。この
パイル糸３２ａにより構成された毛羽３２を、密度が１
０万本／インチ²となるように基布３１上にＷ織りによ
って形成した。この導電部材３０の基布３１のみに導電
性を付与し、支軸２１に接合して、所望とする帯電ブラ
シ２０を得た。 （実施例３）パイル糸３２ａは太さが６００デニール／
１００フィラメントの導電性レーヨン繊維である。この
パイル糸３２ａにより構成された毛羽３２を、密度が１
０万本／インチ²となるように基布３１上にＷ織りによ
って形成した。この導電部材３０の被覆層３５のみに導
電性を付与し、支軸２１に接合して、所望とする帯電ブ
ラシ２０を得た。 （実施例４）パイル糸３２ａは太さが６００デニール／
１００フィラメントの導電性レーヨン繊維である。この
パイル糸３２ａにより構成された毛羽３２を、密度が１
０万本／インチ²となるように基布３１上にＷ織りによ
って形成した。この導電部材３０の接着層３４のみに導
電性を付与し、支軸２１に接合して、所望とする帯電ブ
ラシ２０を得た。 （比較例１）パイル糸３２ａは太さが６００デニール／
１００フィラメントの導電性レーヨン繊維である。この
パイル糸３２ａにより構成された毛羽３２を、密度が１
０万本／インチ²となるように基布３１上にＷ織りによ
って形成した。この導電部材３０の基布３１、接着層３
４及び被覆層３５に導電性を付与せずに、支軸２１に接
合して、所望とする帯電ブラシ２０を得た。 （帯電ブラシの性能試験）実施例１〜実施例４及び比較
例１の各帯電ブラシ２０を帯電部１２に組み込み、文字
及び灰色画像を画像形成装置により印刷して、１枚目、
１万枚目及び２万枚目の転写画像の状態を評価した。測
定結果を表１に示した。なお、転写画像の評価は測定者
の目視により行い、画像の状態が良好なものから順に
◎、○、△、×として４段階で評価した。

【００４４】

【表１】 表１の結果より、文字の転写画像においては各実施例及
び比較例１の全てにおいて良好な画像が得られた。

【００４５】しかし、灰色の画像のような中間濃度の画
像を転写した場合、比較例１は印刷枚数が増加するにつ
れ、導電部材の巻目が転写画像にはっきりと現れ、画像
に不具合が生ずることが示された。一方、実施例１及び
実施例３においては、２万枚目で導電部材の巻目が転写
画像に若干現れただけで、概ね良好な画像が得られた。
また、実施例２及び実施例４においては、１万枚目で導
電部材の巻目が転写画像に若干現れ、２万枚目で巻目が
転写画像に判別できる程度に現れたため、画像に若干の
不具合が生ずることが示された。そして、導電部材３０
に導電性を付与した被覆層３５を設けることが、通電を
良好なものとし、良好な画像を得ることができることが
示された。

【００４６】なお、本実施形態は、次のように変更して
具体化することも可能である。 ・ 実施形態の画像形成装置用のブラシは帯電ブラシ２
０のみに限定されるものではなく、例えば現像ブラシ１
４ｂ、クリーニングブラシ１７ｂ、除電ブラシ、転写ブ
ラシ等の全部としたり、又はこれらのうち少なくとも一
部を組み合わせたものとしたりしてもよい。そして、ブ
ラシが転写ブラシの場合には、転写部１５内に設けられ
た転写ベルト等に転写ブラシを接触させるように構成し
てもよい。

【００４７】このように現像ブラシ１４ｂ、クリーニン
グブラシ１７ｂ、除電ブラシ及び転写ブラシとして構成
した場合においても、毛羽３２への通電を良好なものと
することによって、得られる画像を良好なものとするこ
とができる。

【００４８】・ 例えば帯電ブラシ２１、現像ブラシ１
４ｂ、クリーニングブラシ１７ｂ、除電ブラシ、転写ブ
ラシ等の画像形成装置用のブラシにおいて、毛羽３３を
導電性の繊維と絶縁性の繊維を混織して形成してもよ
い。あるいは、クリーニングブラシ１７ｂ等のように、
導電性が必ずしも必要でない画像形成装置用のブラシの
場合には、絶縁性の繊維のみで毛羽３３を形成してもよ
い。

【００４９】このように毛羽３３を導電性の繊維と絶縁
性の繊維を混織して形成した場合には、製造コストの低
減を図ることができる。また、絶縁性の繊維のみで毛羽
３３を形成した場合には、製造コストのさらなる低減を
図ることができる。

【００５０】・ 実施形態の毛羽３２は、図９に示すよ
うに、パイル糸３２ａが１本のヨコ糸３１ｂの下をくぐ
るようにして織り込まれたＵ織りによって形成してもよ
い。このように構成した場合、Ｗ織りと比較して、所定
面積当たりの毛羽３２の密度を高く設定することができ
る。

【００５１】・ 実施形態の基布３１を形成するタテ糸
３１ａに導電性繊維を用いてもよい。あるいは、ヨコ糸
３１ｂに通常の繊維を用いるとともに、タテ糸３１ａに
導電性繊維を用いてもよい。

【００５２】このようにタテ糸３１ａ及びヨコ糸３１ｂ
に導電性繊維を用いた場合、基布３１の導電性をより良
好なものとし、毛羽３２への通電能力をさらに向上させ
ることができる。

【００５３】・ 実施形態の基布３１を形成するタテ糸
３１ａに紡績糸を用いてもよい。あるいは、ヨコ糸３１
ｂにフィラメント糸を用いるとともに、タテ糸３１ａに
紡績糸を用いてもよい。

【００５４】このようにタテ糸３１ａ及びヨコ糸３１ｂ
に紡績糸を用いた場合、基布３１が毛羽３２を保持する
能力をさらに向上させることができる。 ・ 実施形態の接着層３４を省略して導電部材を構成し
てもよい。この場合、接着剤を、支軸２１表面において
所定間隔置きに間隙が設けられた状態で支軸２１の軸線
方向に延びる螺旋状をなすように塗布し、導電部材３０
を接着剤とは逆回転の螺旋状をなすように隙間なく巻き
付けることが好ましい。

【００５５】このように構成した場合、導電部材の構成
を簡単なものとすることができる。加えて、接着剤間に
間隙を設けた場合、支軸２１から導電部材３０への電流
の流れが良好なものとすることができる。さらに、導電
部材３０を接着剤と逆回転となるように巻き付けた場
合、間隙と導電部材３０とが重なり合うことによって生
ずる、支軸２１からの導電部材３０の剥離を防止するこ
とができる。

【００５６】・ 実施形態の被覆層３５を省略して導電
部材を構成してもよい。このように構成した場合、導電
部材の構成を簡単なものとすることができる。 ・ 実施形態のコーティング層３３に導電性を付与せず
導電部材を構成してもよい。

【００５７】このように構成した場合、導電部材の構成
を簡単なものとすることができる。 ・ 実施形態の被覆層３５を基布３１の側面のみに設け
てもよい。このように構成した場合、コーティング剤の
使用量を低減することができる。

【００５８】さらに、前記実施形態より把握できる技術
的思想について以下に記載する。 ・ 前記基布の裏面に導電性を有するコーティング層を
設けた請求項１から請求項３のいずれかに記載の画像形
成装置用のブラシ。

【００５９】このように構成した場合、基布のほつれ及
び毛羽の抜け落ちを防止することができるとともに、コ
ーティング層が導電性を有していることから、例えば帯
電ブラシの場合、電源から毛羽への通電をより良好なも
のとすることができる。

【００６０】・ 前記タテ糸及びヨコ糸の少なくとも一
方を紡績糸で構成し、この紡績糸を導電性繊維により形
成した請求項１から請求項３のいずれかに記載の画像形
成装置用のブラシ。

【００６１】このように構成した場合、毛羽を形成する
糸が基布に締め付けられることによって、移動部材との
摺動による毛羽の抜け落ちを防止することができるとと
もに、毛羽との接触面積が大きくなり、毛羽への通電を
より良好なものとすることができる。

【００６２】・ 前記毛羽を導電性を有する繊維によっ
て形成した請求項１から請求項３のいずれかに記載の画
像形成装置用のブラシ。このように構成した場合、ブラ
シが、例えば帯電ブラシの場合には、電源から毛羽への
通電を良好なものとすることができる。

【００６３】・ 前記毛羽をパイル織りによって形成す
るとともに、そのパイル織り方法をＷ織り又はＵ織りと
した請求項１から請求項３のいずれかに記載の画像形成
装置用のブラシ。

【００６４】このように構成した場合、毛羽が基布上に
しっかりと保持され、毛羽の抜け落ちを防止し、画像を
良好なものとすることができる。

【００６５】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。請求項１に記載の発明の
画像形成装置用のブラシによれば、基布に導電性を付与
することによって、得られる画像を良好なものとするこ
とができる。

【００６６】請求項２に記載の発明の画像形成装置用の
ブラシによれば、請求項１に記載の発明の効果に加え
て、例えばベロアを隣接して配置した場合、ベロア間の
通電を良好なものとすることができる。

【００６７】請求項３に記載の発明の画像形成装置用の
ブラシによれば、請求項１又は請求項２に記載の発明の
効果に加えて、接着層を介したベロアへの通電を良好な
ものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施形態の帯電ブラシを構成する導電部材を
示す斜視図。

【図２】 帯電ブラシを構成する導電部材を示す側断面
図。

【図３】 帯電ブラシを構成する導電部材を示す正断面
図。

【図４】 実施形態の帯電ブラシを示す正面図。

【図５】 画像形成装置の構造を示す概念図。

【図６】 帯電ブラシを形成する過程を示す正面図。

【図７】 帯電ブラシが感光ドラム表面に摺接した状態
を示す正面図。

【図８】 （ａ）は毛羽を毛倒しする前の状態を示す側
面図、（ｂ）は毛羽を毛倒しする過程を示す側面図。

【図９】 別形態の導電部材を示す側断面図。

【符号の説明】

１１…感光ドラム、１２…帯電部、１４…現像部、１５
…転写部、１６…記録用紙、１７…クリーニング部、１
８…除電部、２０…帯電ブラシ、３１…基布、３１ａ…
タテ糸、３１ｂ…ヨコ糸、３２…毛羽、３４…接着層、
３５…被覆層。

フロントページの続き (72)発明者 小林 清 愛知県知立市牛田町裏新切43番地１ 槌屋 ティスコ 株式会社内 (72)発明者 加藤 靖士 愛知県知立市牛田町裏新切43番地１ 槌屋 ティスコ 株式会社内 Ｆターム(参考） 2H003 BB11 BB14 BB16 CC06 2H032 AA05 2H035 AA14 4L048 AA13 AA52 AC13 BA30 CA05 CA15 DA24

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 感光ドラムが帯電部により帯電され、そ
   の感光ドラムに露光により所定の潜像が形成され、その
   潜像が現像部により現像されて画像が形成され、その画
   像が転写部により記録用紙に転写され、クリーニング部
   により感光ドラムのクリーニングが行われ、除電部によ
   り感光ドラムに残留する電荷が消去される画像形成装置
   に備えられ、前記帯電部に設けられる帯電ブラシ、転写
   部に設けられる転写ブラシ及び除電部に設けられる除電
   ブラシの少なくとも１つよりなる画像形成装置用のブラ
   シであって、 基布上に所定の繊維よりなる毛羽を備えたベロアによっ
   て構成され、前記基布をタテ糸とヨコ糸とより構成する
   とともに、タテ糸及びヨコ糸の少なくとも一方を導電性
   繊維により形成した画像形成装置用のブラシ。
2. 【請求項２】 前記基布の側面に導電性を有する被覆層
   を設けた請求項１に記載の画像形成装置用のブラシ。
3. 【請求項３】 前記基布の裏面に導電性を有する接着層
   を設けた請求項１又は請求項２に記載の画像形成装置用
   のブラシ。