JP2000290850A - 中空糸膜の製造方法 - Google Patents

中空糸膜の製造方法

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JP2000290850A
JP2000290850A JP11097058A JP9705899A JP2000290850A JP 2000290850 A JP2000290850 A JP 2000290850A JP 11097058 A JP11097058 A JP 11097058A JP 9705899 A JP9705899 A JP 9705899A JP 2000290850 A JP2000290850 A JP 2000290850A
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fiber membrane
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crystalline polymer
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JP11097058A
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Kanji Yoshida
完爾 吉田
Yasuyuki Fujii
泰行 藤井
Michiharu Uenishi
理玄 上西
Noriaki Fukushima
則明 福島
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未延伸中空繊維の延伸処理時の工程安定性が
良好で、糸切れの発生が少ない中空糸膜の製造方法を提
供する。 【解決手段】 紡糸ノズルから溶融した結晶性ポリマー
を押出して未延伸中空繊維を紡糸し、これを延伸する複
合化中空糸膜の製造方法において、前記未延伸中空繊維
を延伸する前に前記未延伸中空繊維に窒素雰囲気中でア
ニール処理を施す。或いは、結晶性ポリマーを押出して
未延伸中空糸を得る迄の工程において、窒素雰囲気中で
実施し、更に、前記未延伸中空繊維を延伸する前に前記
未延伸中空繊維に窒素雰囲気中でアニール処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸膜の製造方
法に関し、詳しくは、未延伸中空繊維の延伸処理時の工
程安定性が良好な中空糸膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子産業における半導体集積回路
製造工程、ボイラー用水、家庭用水、医薬医療用水等、
種々の分野において、高純度の水が多量に要求されるよ
うになってきた。このような要求に答えるものとして
は、分離膜を用いた精密濾過の方法が広く利用されてい
る。ここで用いられる分離膜としては、単位断面積当た
りの濾過性能の大きい中空糸膜が、比較的広く用いられ
ている。
【0003】かかる中空糸膜としては、ポリメチルアク
リレート、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン等からなる中空糸膜が用いられている。中でも、ポリ
エチレンは化学的に安定であり、また、中空糸膜の製造
において、溶剤等を用いる必要がなく、中空糸賦形後の
ポリマーに残存する溶剤等について考える必要がない等
の理由から、特に、純度の高い水を得るためには好まし
い素材であると言える。
【0004】分離膜を用いた精密濾過では、長時間使用
において、被濾過水中に含まれる微粒子等により、分離
膜の目詰まりが生じる。この目詰まりを回復させるため
に、濾過−洗浄といったサイクルの組合せを用いて、目
詰まりした微粒子等を化学的、物理的に洗浄する方法が
取られている。また、家庭用浄水器等に使用する場合に
は、濾過性能の落ちた分離膜をカートリッジごと交換す
る方法等が採用されている。
【0005】被濾過水中に含まれる微粒子の付着を高い
確率で阻止でき、透水性に優れた中空糸膜としては、紡
糸ノズルからポリエチレンを押出して未延伸中空繊維を
紡糸し、これを乾燥空気中で長時間加熱処理(アニール
処理)した後、これを冷延伸してクレーズを発生させ、
これをさらに熱延伸により微多孔化してなるポリエチレ
ン製中空糸膜が市販されている。また、このような性能
を有する精密濾過用中空糸膜としては、例えば、被濾過
水の流入側(例えば、中空糸膜の外側)に微粒子を阻止
できうる小さい孔が形成された濾過層(緻密層)と、こ
の層を内側から支持し、比較的大きな孔が形成された支
持層とを有する中空糸膜が挙げられ、その製造方法は、
国際出願公開番号WO95/19219号に開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな中空糸膜の製造方法では、アニール処理を空気雰囲
気中で長時間行うため、未延伸中空繊維の酸化劣化が進
行し、延伸処理する際に未延伸中空繊維の酸化劣化した
部分に応力が集中して、糸切れが発生しやすいという問
題があった。また、未延伸中空繊維製造の際に、溶融混
練を空気雰囲気中で行う為、溶融ポリマーの酸化劣化が
進み、得られた未延伸糸に酸化劣化物が含有され、延伸
時に糸切れ発生の原因となる等の問題があった。
【0007】よって、本発明の課題は、未延伸中空繊維
の延伸処理時の工程安定性が良好であり、糸切れの発生
が少ない中空糸膜の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の中空
糸膜の製造方法は、紡糸ノズルから溶融した結晶性ポリ
マーを押出して未延伸中空繊維を紡糸し、これを延伸す
る複合化中空糸膜の製造方法において、前記未延伸中空
繊維を延伸する前に前記未延伸中空繊維に窒素雰囲気中
でアニール処理を施すことを特徴とする。また、前記ア
ニール処理は、未延伸中空繊維を構成する結晶性ポリマ
ーの融点よりも10〜50℃低い温度の窒素雰囲気中で
30〜1000分間行うことが好ましい。また、前記紡
糸ノズルとして、同心円状に配設された3つの吐出口を
有する紡糸ノズルを用い、最内層と最外層を構成する結
晶性ポリマーとして、中間層のポリエチレンよりも密度
の高い結晶性ポリマーを用いることが好ましい。また、
結晶性ポリマーを溶融混練させる際には、窒素雰囲気下
で行うことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の中空糸膜の製造方
法を詳しく説明する。まず、環状吐出口を有する中空糸
膜製造用の紡糸ノズルから押出機を使用して溶融した結
晶性ポリマーを押出して紡糸した後、冷却して巻き取
り、未延伸中空繊維を得る。この時、押出機内或いは吐
出迄のポリマー流路は窒素等の不活性のガスで置換する
ことが好ましい。この後、窒素雰囲気中でアニール処理
を行い、ついで、延伸処理を施して、多孔質構造の中空
糸膜を得る。
【0010】前記紡糸ノズルとしては、単層の中空糸膜
を製造する場合には、環状吐出口の数が1つものを用
い、2層以上の複合中空糸膜を製造する場合には、層の
数に合わせた複数の環状吐出口を同心円状に配設したも
のを用いる。結晶性ポリマーの押出温度は、結晶性ポリ
マーの融点以上、好ましくは融点より10〜50℃高い
温度である。また、押出された未延伸中空繊維の冷却
は、好ましくは10〜40℃の雰囲気中で行われる。ま
た、結晶性ポリマーの押出時には、先に述べた様に、融
点より高い温度が用いられる為に、空気等の存在下にお
いては、酸化劣化が進み易いので、結晶性ポリマーと反
応性の低い窒素雰囲気下で行われる事が好ましい。ま
た、空気の存在下で押し出す場合には、極力滞在時間を
短縮するのが好ましい。また、押出機内の紡糸ノズル迄
のポリマー流路には不活性の窒素を流してやると、窒素
雰囲気下で結晶性ポリマーの混練を行うことができる。
また、未延伸中空繊維の巻き取りは、巻き取り速度30
〜600m/分で行われることが好ましい。
【0011】紡糸ノズルから押し出される結晶性ポリマ
ーとしては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート等の種々の熱可塑性樹脂を用いること
ができ、中でもポリオレフィンが好適である。ポリオレ
フィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペ
ンテン−1、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
中でも、ポリエチレンが、化学的に安定であり、また、
中空糸膜の製造において、溶剤等を用いる必要がなく、
中空糸賦形後のポリマーに残存する溶剤等について考え
る必要がない等の理由から、特に純度の高い水を得るた
めに好適である。これらは単独で、あるいは2種以上の
混合物として用いることができる。
【0012】ポリエチレンの密度は、JIS K 71
12に示される測定法で0.95×103kg/m3以上
であることが好ましく、さらに好ましくは0.96×1
3kg/m3 以上である。密度が0.95×103
g/m3 未満では、延伸による微細孔の形成が不均一と
なり、また、形成される微細孔が小さすぎて透水性が劣
るので好ましくない。ポリエチレンの重量平均分子量
は、1.0×105 以上であることが好ましい。重量平
均分子量が1.0×105 未満では、強度などの機械的
性質が不良となるので好ましくない。ここで、ポリエチ
レンの重量平均分子量は、ポリマーをo−ジクロロベン
ゼンに溶解し、GPC法にて分子量分布を測定し、ポリ
スチレン換算での平均値により求める。
【0013】また、2層以上の複合中空糸膜を製造する
際には、各層を構成するポリエチレンは密度が互いに異
なり、かつ各層の重量平均分子量の差が各々2.0×1
5以下であることが好ましい。各層の重量平均分子量
の差が2.0×105 を超えると、同心円環状に配置し
た紡糸ノズルからポリエチレンを押出し、未延伸中空繊
維を得る際、各層の張力分配が偏り、内層に配置した部
分の結晶化が遅れたり、外層部分に配置した部分の結晶
化が極度に進んだものとなり、後に続く、延伸処理での
空孔形成に対して、不適性な未延伸中空繊維となるので
好ましくない。
【0014】また、複合中空糸膜を製造する際には、前
記紡糸ノズルとして、同心円状に配設された3つの吐出
口を有する紡糸ノズルを用い、最内層と最外層を構成す
る結晶性ポリマーとして、中間層のポリエチレンよりも
密度の高い結晶性ポリマーを用いることが好ましい。こ
のようにして得られる3層構造の複合中空糸膜は、最内
層と最外層に比較的大きな微細孔を有する支持層を配置
し、これらの間の中間層として、支持層よりも小さな微
細孔を有する緻密層を配置したものとなる。このような
複合中空糸膜は、最内層と最外層が支持層となり、緻密
層が直接被処理液に接していないので、中空糸膜の表面
と内面のどちらから被処理液を供給しても、目詰まりが
起こりにくく、透水性、濾過寿命が良好となる。さら
に、分離層である緻密層が中間層として支持層に挟まれ
ることにより、支持層が緻密層を取扱い時や濾過時に受
ける外傷から保護する役割をも果たしている。
【0015】また、複合中空糸膜を製造する際には、紡
糸時における結晶性ポリマーの吐出速度と複合未延伸中
空繊維の巻き取り速度の比で定義される紡糸ドラフト値
D(D=吐出速度/巻き取り速度)が、各層を構成する
結晶性ポリマーの最適紡糸ドラフト値の±40%の範囲
内であることが望ましい。ここで、最適紡糸ドラフト値
とは、各層を構成する結晶性ポリマーごとに単独で紡
糸、延伸して形成される中空糸膜の空孔が最大空孔率を
示すように紡糸時の吐出速度と引き取り速度を最適化し
たときのドラフト値をいう。
【0016】紡糸ドラフト値Dの範囲が、適正な範囲を
超えてしまうと、以下の理由から、緻密層と支持層から
なる多層構造の複合中空糸膜が得られなくなるので好ま
しくない。すなわち、紡糸ドラフト値Dの範囲が適正な
範囲を超えてしまうことによって、未延伸中空繊維に配
向結晶化により形成されるスタックドラメラの積層構造
が乱れてしまい、その後の延伸処理での微細孔の形成に
悪影響を与えてしまうからである。この配向結晶化は、
結晶性ポリマー分子に張力がかかり、分子鎖が配向する
ことによって起こるので、未延伸中空繊維の紡糸条件
(紡糸ドラフト値)と密接な関係がある。
【0017】前記アニール処理は、結晶配向秩序を向上
させるために実施される。このとき、アニール処理は窒
素雰囲気中で行うことが必要である。アニール処理を空
気雰囲気中で行うと、未延伸中空繊維の酸化劣化が進行
してしまい、延伸処理時に糸切れなどの不具合を生じ
る。また、アニール処理は、未延伸中空繊維を構成する
結晶性ポリマーの融点よりも10〜50℃低い温度で行
うことが好ましい。アニール処理の温度が、結晶性ポリ
マーの融点よりも50℃低い温度未満では、空孔形成に
対して、十分な、スタックドラメラを成長させる事がで
きず、後に続く空孔形成に必要とする構造の生成が不十
分となり好ましくない。アニール処理の温度が、結晶性
ポリマーの融点よりも10℃低い温度を超えると、スタ
ックドラメラの一部が融解する等の現象が起こり、後に
続く空孔形成に必要とする構造の生成が不十分となり好
ましくない。また、アニール処理は、30〜1000分
間行うことが好ましい。アニール処理の時間が、30分
未満では、空孔形成に対して、十分な、スタックドラメ
ラを成長させる事ができず、後に続く空孔形成に必要と
する構造の生成が不十分となり、1000分を超える
と、スタックドラメラの一部が融解する等の現象が起こ
り、後に続く空孔形成に必要とする構造の生成が不十分
となり好ましくない。
【0018】前記延伸処理は、比較的低い温度で行われ
る冷延伸と、加熱下での熱延伸の二段延伸で行われるこ
とが好ましい。溶融紡糸した未延伸中空繊維に、延伸処
理を施すことによって、応力が構造的に弱い非結晶部分
に集中し、非晶鎖が選択的に延伸方向に伸張し、スタッ
クドラメラ間に開裂が生じ、同時にスタックドラメラの
一部が剥離し、これらが集合してミクロフィブリルが形
成される。そして、スタックドラメラ中での凝集力が強
い部分が、その構造を保持した状態で応力に耐え、図1
に示す中空糸膜10ように、延伸方向に添った多数のミ
クロフィブリル11,11・・・と、これが結合してい
るスタックドラメラ12,12・・・の結節部との間に
スリット状の微細孔13,13・・・が形成される。
【0019】冷延伸によって、未延伸中空繊維の結晶構
造に破壊が起こり、スタックドラメラの間に均一でミク
ロなクレーズ(ミクロクラック)が発生する。この冷延
伸は0℃以上で、かつ結晶性ポリマーの融点より50℃
低い温度の範囲で行うのが好ましい。例えばポリエチレ
ンを用いた場合、この冷延伸温度は0〜80℃、好まし
くは10〜50℃の範囲とされる。また、冷延伸倍率
は、もとの未延伸中空繊維の長さの1.2〜1.8倍が
好ましい。1.2倍未満では、ミクロクラックの発生が
不十分である。また、1.8倍を超えるとスタックドラ
メラの変形が起こり、得られる中空糸膜の空孔率が低下
するため不都合である。
【0020】熱延伸は、冷延伸によって発生させたミク
ロクラックを拡大させ、スタックドラメラ間にミクロフ
ィブリルを形成して、スリット状の微細孔を有する多孔
質構造の中空糸膜とする工程である。熱延伸温度は、結
晶性ポリマーの融点を超えない範囲で、できるだけ高い
温度で行うのが好ましい。熱延伸倍率は、目的とする微
細孔の孔径によって適宜選定することができるが、もと
の未延伸中空繊維の長さの3〜10倍、好ましくは4〜
6倍の範囲とするのが工程安定性の点で好ましい。この
後、得られた中空糸膜を、定長下、または少し弛緩させ
た状態で緩和熱セット処理し、その寸法を安定させるこ
とが好ましい。緩和熱セット温度は、熱延伸温度以上
で、かつ結晶性ポリマーの融点温度以下が好ましい。
【0021】ついで、必要に応じて、この中空糸膜に親
水処理を施してもよい。具体的には、溶媒に親水性高分
子を溶解した親水性高分子溶液中に中空糸膜を浸漬した
後、セッティング処理と乾燥処理を経て溶媒を蒸発させ
て、親水性高分子にて被覆された中空糸膜を得る。この
親水処理を行うと、図2に示すように、ミクロフィブリ
ル11は、数本ずつ結束して、ミクロフィブリル束14
となり、微細孔13はスリット状から楕円状になり、微
細孔13の平均孔径を拡大することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例を示して、本発明をさらに詳し
く説明する。ここで、本実施例における各物性値は、以
下のように定義あるいは測定した。密度は、水〜エチル
アルコール系の密度勾配管により30℃の密度で定義す
る。ポリマーの密度については、JIS K 7112
に準拠して測定した。 (重量平均分子量)ポリマーをo−ジクロロベンゼン
に、0.1重量%となるように140℃で完全溶解さ
せ、Waters製ALC/GPC−150Cにて分子
量分布を測定し、ポリスチレン換算での平均値により求
めた。 (融点)ポリマーを、約10mg採取し、DSCによ
り、窒素雰囲気中で、20℃/分の昇温速度で測定し
た。融解を示す吸熱ピークの温度を持って定義した。
【0023】また、延伸処理時の工程安定性は以下のよ
うに評価した。 (延伸処理時の工程安定性)未延伸中空繊維を延伸処理
を10回行い、糸切れが発生した延伸中空繊維の本数を
測定した。(条件:ローラーを用いた延伸装置に、窒素
雰囲気下でアニール処理した未延伸糸或いは、比較実験
として、空気中でアニール処理した未延伸糸を給糸し、
変形速度約1/分で、所定の倍率に変形させる時に、発
生した部位の本数を測定した。この場合、冷延伸、熱延
伸全ての工程でカウントした。)
【0024】[実施例1]中間層用ポリマーとして、密
度0.95×103 kg/m3 、重量平均分子量3.2
×105 、融点140℃のポリエチレン、最内層および
最外層用ポリマーとして、密度0.965×103 kg
/m3 、重量平均分子量2.8×105 、融点142℃
のポリエチレンを用いた。これらポリエチレンを180
℃、窒素雰囲気下で加熱溶融し、同心円状に配置された
三重環状紡糸ノズルの最内層および最外層の吐出口に最
内層および最外層用ポリマーを、中間層に位置する吐出
口に中間層用ポリマーを押出し、押出繊維に対して平行
方向に流れる15℃の冷却風区間を通過させ、巻き取り
速度300m/分で巻き取った。ここで、中間層用のポ
リエチレンを、180℃で加熱溶融し、紡糸ノズルから
単独吐出した場合の最適紡糸ドラフト値が920、最内
層および最外層用のポリエチレンを、180℃で加熱溶
融し、紡糸ノズルから単独吐出した場合の最適紡糸ドラ
フト値が600であったことから、紡糸時の紡糸ドラフ
ト値Dを両者の30%以内に最適化されるように、紡糸
時の紡糸ドラフト値Dは650とした。また、三重環状
の中間層に位置する吐出口からの吐出量と、最内層およ
び最外層の吐出口からの吐出量との比[(最内層吐出量
+最外層吐出量)/中間層吐出量]は、1/8であっ
た。
【0025】次いで、巻き取った未延伸中空繊維を、巻
き取り形状のまま、110℃の窒素雰囲気下で、650
分加熱し、アニール処理を行った。更に、この処理糸
を、22℃で、元の長さの1.6倍に、次いで、112
℃の加熱炉中で、元の長さの6.5倍になるように延伸
処理し、115℃で最終的に元の長さに対して6.0倍
となるように緩和熱セットを行った。この延伸処理時に
おける工程安定性ついて評価を行った。結果、糸切れが
発生した未延伸中空繊維の本数は0本であり、工程安定
性はかなり良好であった。
【0026】[実施例2]最内層および最外層用ポリマ
ーとして、密度0.968×103 kg/m3 、重量平
均分子量2.0×105 、融点142℃、最適紡糸ドラ
フト値1000のポリエチレンを用い、紡糸時の紡糸ド
ラフト値Dを650とした以外は実施例1と同様に行っ
た。紡糸ドラフト値Dの適正化については、実施例1で
述べた如く、ポリエチレン単独紡糸時のそれぞれの最適
紡糸ドラフト値の35%以内になるように行った。延伸
処理時における工程安定性ついて評価を行った。結果、
糸切れが発生した未延伸中空繊維の本数は1本であり、
工程安定性はかなり良好であった。
【0027】[実施例3]最内層および最外層用ポリマ
ーとして、密度0.968×103 kg/m3 、重量平
均分子量1.32×105 、融点141℃、最適紡糸ド
ラフト値832のポリエチレンを用い、紡糸時の紡糸ド
ラフト値Dを500とし、空気存在下で溶融混練した以
外は実施例1と同様に行った。紡糸ドラフト値Dは、ポ
リエチレン単独紡糸時のそれぞれの最適紡糸ドラフト値
の40%以内になるように設定した。延伸処理時におけ
る工程安定性ついて評価を行った。結果、糸切れが発生
した未延伸中空繊維の本数は1本であり、工程安定性は
かなり良好であった。
【0028】[実施例4]アニール処理の条件を120
℃、30分に変更した以外は、実施例3と同様にして行
った。延伸処理時における工程安定性ついて評価を行っ
た。結果、糸切れが発生した延伸中空繊維の本数は1本
であり、工程安定性はかなり良好であった。
【0029】[実施例5]アニール処理の条件を115
℃、300分に変更した以外は、実施例1と同様にして
行った。延伸処理時における工程安定性ついて評価を行
った。結果、糸切れが発生した延伸中空繊維の本数は0
本であり、工程安定性はかなり良好であった。
【0030】[比較例1]紡糸ドラフト値Dを800、
アニール処理の条件を110℃空気雰囲気中、650分
に変更し、原料のポリエチレンの溶融混練を空気雰囲気
下で行った以外は、実施例1と同様にして行った。延伸
処理時における工程安定性ついて評価を行った。結果、
糸切れが発生した未延伸中空繊維の本数は10本であ
り、工程安定性は悪かった。
【0031】[比較例2]紡糸ドラフト値Dを650に
変更した以外は、比較例1と同様にして行った。延伸処
理時における工程安定性ついて評価を行った。結果、糸
切れが発生した未延伸中空繊維の本数は10本であり、
工程安定性は悪かった。
【0032】[比較例3]最内層および最外層用ポリマ
ーとして、密度0.968×103 kg/m3 、重量平
均分子量2.8×105 、融点141℃、最適紡糸ドラ
フト値1250のポリエチレンを用い、紡糸時の紡糸ド
ラフト値Dを1000とした以外は比較例1と同様にし
て行った。この時の紡糸ドラフト値Dは、ポリエチレン
単独紡糸時のそれぞれの最適紡糸ドラフト値の40%を
超えた範囲にあった。延伸処理時における工程安定性つ
いて評価を行った。結果、糸切れが発生した未延伸中空
繊維の本数は10本であり、工程安定性は悪かった。
【0033】[比較例4]最内層および最外層用ポリマ
ーとして、密度0.968×103 kg/m3 、重量平
均分子量0.6×105 、融点142℃、最適紡糸ドラ
フト値1850のポリエチレンを用い、紡糸時の紡糸ド
ラフト値Dを1000とした以外は比較例1と同様にし
て行った。この時の紡糸ドラフト値Dは、ポリエチレン
単独紡糸時のそれぞれの最適紡糸ドラフト値の40%を
超えた範囲にあった。延伸処理時における工程安定性つ
いて評価を行った。結果、糸切れが発生した未延伸中空
繊維の本数は10本であり、工程安定性は悪かった。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の中空糸
膜の製造方法にあっては、未延伸中空繊維を延伸する前
に、前記未延伸中空繊維に窒素雰囲気中でアニール処理
を施しているので、未延伸中空繊維の延伸処理時の工程
安定性が良好であり、糸切れの発生を少なくできる。更
に、溶融混練等を窒素雰囲気下にする事で、工程安定性
が更に良好になる。また、前記アニール処理を、未延伸
中空繊維を構成する結晶性ポリマーの融点よりも10〜
50℃低い温度の窒素雰囲気中で30〜1000分間行
うことによって、酸化劣化の少ない未延伸糸をアニール
処理出来る為に、工程通過性の高い、未延伸糸を提供で
き、後に続く、延伸工程の糸切れ程度の低くする事がで
きる。また、紡糸ノズルとして、同心円状に配設された
3つの吐出口を有する紡糸ノズルを用い、最内層と最外
層を構成する結晶性ポリマーとして、中間層の結晶性ポ
リマーよりも密度の高い結晶性ポリマーを用いることに
よって、目詰まりの起こりにくく、透水性、濾過寿命に
優れた中空糸膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 中空糸膜を構成する層の拡大平面図である。
【図2】 親水化処理された中空糸膜を構成する層の拡
大平面図である。
【符号の説明】
10 中空糸膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 8/06 D01F 8/06 (72)発明者 上西 理玄 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 福島 則明 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA07 MA01 MA06 MC21 MC22 MC22X MC29 MC54 MC84 MC87 MC88 NA29 NA35 NA36 NA60 NA64 NA75 PA01 PB02 PC02 PC31 PC42 PC43 4L035 AA09 BB40 BB56 BB89 BB91 CC07 DD03 FF01 HH05 HH10 MA01 4L036 MA04 PA01 PA03 PA18 UA25 4L041 AA07 AA15 AA20 AA25 BA03 BA05 BA21 BA42 BD06 BD20 CA36 CA37 DD01 DD03 4L045 AA05 BA03 BA27 BA60 CA25 CA29 CB10 DA08 DA15 DA22 DA42 DC07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸ノズルから溶融した結晶性ポリマー
    を押出して未延伸中空繊維を紡糸し、これを延伸する複
    合化中空糸膜の製造方法において、 前記未延伸中空繊維を延伸する前に、前記未延伸中空繊
    維に窒素雰囲気中でアニール処理を施すことを特徴とす
    る中空糸膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アニール処理を、未延伸中空繊維を
    構成する結晶性ポリマーの融点よりも10〜50℃低い
    温度の窒素雰囲気中で30〜1000分間行うことを特
    徴とする請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記紡糸ノズルとして、同心円状に配設
    された3つの吐出口を有する紡糸ノズルを用い、 最内層と最外層を構成する結晶性ポリマーとして、中間
    層の結晶性ポリマーよりも密度の高い結晶性ポリマーを
    用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    中空糸膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 中空未延伸中空繊維を製造する際、結晶
    性ポリマーの溶融混練を窒素雰囲気下で行うことを特徴
    とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の中空糸膜
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005511074A (ja) * 2001-12-10 2005-04-28 イーメンブレン インコーポレーティッド 機能化材料およびそのライブラリー
JP2013091059A (ja) * 2011-10-06 2013-05-16 Mitsubishi Rayon Co Ltd ポリオレフィン多孔質中空糸膜及びその製造方法

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