JP2000290618A - 接着剤組成物及びモータ - Google Patents
接着剤組成物及びモータInfo
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- JP2000290618A JP2000290618A JP11099636A JP9963699A JP2000290618A JP 2000290618 A JP2000290618 A JP 2000290618A JP 11099636 A JP11099636 A JP 11099636A JP 9963699 A JP9963699 A JP 9963699A JP 2000290618 A JP2000290618 A JP 2000290618A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高温・高湿条件下でのメッキの腐食速度を抑
制し、メッキ表面との接着強度の著しい低下を防ぐこと
が可能な接着剤組成物を提供する。 【解決手段】 モータ1のヨーク2の内周面には接着剤
13を介してマグネット4が固着されている。接着剤1
3を構成する接着剤組成物は、エポキシ樹脂に、還元性
化合物(トリブチルアミン)と、弱アルカリ性化合物
(炭酸ナトリウム)とのうち少なくとも一方が添加さ
れ、その添加量は0.1〜20重量%の範囲である。
制し、メッキ表面との接着強度の著しい低下を防ぐこと
が可能な接着剤組成物を提供する。 【解決手段】 モータ1のヨーク2の内周面には接着剤
13を介してマグネット4が固着されている。接着剤1
3を構成する接着剤組成物は、エポキシ樹脂に、還元性
化合物(トリブチルアミン)と、弱アルカリ性化合物
(炭酸ナトリウム)とのうち少なくとも一方が添加さ
れ、その添加量は0.1〜20重量%の範囲である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂等の
接着剤樹脂を成分に有する接着剤組成物に係り、特に亜
鉛メッキ鋼板等の卑金属メッキ表面への接着に好適に使
用される接着剤組成物及びモータに関するものである。
接着剤樹脂を成分に有する接着剤組成物に係り、特に亜
鉛メッキ鋼板等の卑金属メッキ表面への接着に好適に使
用される接着剤組成物及びモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばモータは自動車などに搭載
される場合、高温・高湿環境下の使用にさらされること
になる。そのため、モータのヨーク(ハウジング)は、
溶剤塗装等が施されることによって耐食性を確保してい
た。しかし、近年、地球環境問題およびモータのコスト
ダウンの要請等から溶剤塗装は減少し、代わってヨーク
として亜鉛メッキ鋼板が使用されるようになってきた。
すなわち、表面の亜鉛メッキの犠牲腐食によって内部の
鋼板を防食するものである。
される場合、高温・高湿環境下の使用にさらされること
になる。そのため、モータのヨーク(ハウジング)は、
溶剤塗装等が施されることによって耐食性を確保してい
た。しかし、近年、地球環境問題およびモータのコスト
ダウンの要請等から溶剤塗装は減少し、代わってヨーク
として亜鉛メッキ鋼板が使用されるようになってきた。
すなわち、表面の亜鉛メッキの犠牲腐食によって内部の
鋼板を防食するものである。
【0003】ところが、亜鉛メッキ鋼板をヨークとして
使用した場合、ヨークの内側に固定する必要があるマグ
ネットを亜鉛メッキ表面に接着することになる。一般に
ヨークの接着剤には、熱硬化型の一液性エポキシ系接着
剤が使用されている。高温・高湿環境下でモータが使用
された場合、ヨークの接着面の亜鉛が腐食してマグネッ
トの接着強度が低下したり、さらに腐食が進んでマグネ
ットが接着剤と亜鉛メッキ鋼板の界面で剥離してマグネ
ットが脱落する恐れもあった。
使用した場合、ヨークの内側に固定する必要があるマグ
ネットを亜鉛メッキ表面に接着することになる。一般に
ヨークの接着剤には、熱硬化型の一液性エポキシ系接着
剤が使用されている。高温・高湿環境下でモータが使用
された場合、ヨークの接着面の亜鉛が腐食してマグネッ
トの接着強度が低下したり、さらに腐食が進んでマグネ
ットが接着剤と亜鉛メッキ鋼板の界面で剥離してマグネ
ットが脱落する恐れもあった。
【0004】従来、亜鉛メッキ鋼板が使用された場合の
この対策として幾つかの方法が実施されている。一つ
は、マグネットのヨークへの固定をスプリングで行い、
接着剤を廃止する方法である。他の一つはマグネット接
着面の亜鉛をブラシ等で掻き取り、その後、従来と同様
に接着する方法である。さらに、亜鉛メッキ表面に防錆
剤等を塗布した後にマグネットを接着する方法も実施さ
れていた。
この対策として幾つかの方法が実施されている。一つ
は、マグネットのヨークへの固定をスプリングで行い、
接着剤を廃止する方法である。他の一つはマグネット接
着面の亜鉛をブラシ等で掻き取り、その後、従来と同様
に接着する方法である。さらに、亜鉛メッキ表面に防錆
剤等を塗布した後にマグネットを接着する方法も実施さ
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法を実施した場合、以下の問題があった。まず、スプ
リング方式ではスプリングが必要となり、従来の接着方
式に比べ、モータとしての部品点数が増えるという問題
がある。また、亜鉛メッキを掻き取る方法では、亜鉛メ
ッキを掻き取る作業が必要になり、従来の接着だけの方
法に比べ、非常に作業が面倒でコストが高くなるという
問題がある。さらに防錆剤を塗布する方法では、従来の
マグネット接着作業の前に防錆剤等を塗布する工程が必
要になり、工程が複雑になるとともにコストが高くなる
という問題がある。これらの問題があることから、亜鉛
メッキの腐食を抑えることができる接着剤が要望されて
いた。なお、これらの問題はモータに限るものではな
く、亜鉛メッキなどの卑金属メッキ鋼板のメッキ表面に
部品等が接着される全てのものについて言えることであ
って、使用環境によってはメッキ腐食による接着強度の
低下の対策を図る必要があった。
方法を実施した場合、以下の問題があった。まず、スプ
リング方式ではスプリングが必要となり、従来の接着方
式に比べ、モータとしての部品点数が増えるという問題
がある。また、亜鉛メッキを掻き取る方法では、亜鉛メ
ッキを掻き取る作業が必要になり、従来の接着だけの方
法に比べ、非常に作業が面倒でコストが高くなるという
問題がある。さらに防錆剤を塗布する方法では、従来の
マグネット接着作業の前に防錆剤等を塗布する工程が必
要になり、工程が複雑になるとともにコストが高くなる
という問題がある。これらの問題があることから、亜鉛
メッキの腐食を抑えることができる接着剤が要望されて
いた。なお、これらの問題はモータに限るものではな
く、亜鉛メッキなどの卑金属メッキ鋼板のメッキ表面に
部品等が接着される全てのものについて言えることであ
って、使用環境によってはメッキ腐食による接着強度の
低下の対策を図る必要があった。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、その目的は、高温・高湿条件下でのメ
ッキの腐食速度を抑制し、高温・高湿条件下で使用され
たときにもメッキ表面への接着強度の著しい低下を防ぐ
ことができる接着剤組成物及びモータを提供することに
ある。
たものであって、その目的は、高温・高湿条件下でのメ
ッキの腐食速度を抑制し、高温・高湿条件下で使用され
たときにもメッキ表面への接着強度の著しい低下を防ぐ
ことができる接着剤組成物及びモータを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1、2に記載の発明では、接着剤組成物におい
ては、接着剤樹脂に1種類又は複数種の還元性化合物が
添加されている。接着剤樹脂に対する還元性化合物の添
加量は0.1〜20重量%とするのが好ましい。代表的
な還元性化合物としては、第3級アミン、チオ尿素誘導
体、金属塩などが挙げられる。第3級アミンとしては、
例えばトリブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、N,N−ジメチルパラトルイジンなどが挙
げられる。また、チオ尿素誘導体としては、2−メルカ
プトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、テトラメチ
ルチオ尿素、エチレンチオ尿素などが例示される。そし
て、金属塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ナフ
テン酸銅、バナジルアセチルアセトンなどが挙げられ
る。
に請求項1、2に記載の発明では、接着剤組成物におい
ては、接着剤樹脂に1種類又は複数種の還元性化合物が
添加されている。接着剤樹脂に対する還元性化合物の添
加量は0.1〜20重量%とするのが好ましい。代表的
な還元性化合物としては、第3級アミン、チオ尿素誘導
体、金属塩などが挙げられる。第3級アミンとしては、
例えばトリブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、N,N−ジメチルパラトルイジンなどが挙
げられる。また、チオ尿素誘導体としては、2−メルカ
プトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、テトラメチ
ルチオ尿素、エチレンチオ尿素などが例示される。そし
て、金属塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ナフ
テン酸銅、バナジルアセチルアセトンなどが挙げられ
る。
【0008】また、接着剤樹脂としては、エポキシ系接
着剤(一液性又は二液性)、アクリル系接着剤およびウ
レタン系接着剤など、一般に使用される樹脂製の接着剤
を挙げることができる。また、接着剤組成物には、所望
により種々の添加物、例えば充填剤、硬化促進剤、チキ
ソ性付与剤、粘着性付与剤、カップリング剤、着色剤な
ど公知の添加物を配合することができる。なお、これら
の点については後記する請求項3、5についても同様で
ある。
着剤(一液性又は二液性)、アクリル系接着剤およびウ
レタン系接着剤など、一般に使用される樹脂製の接着剤
を挙げることができる。また、接着剤組成物には、所望
により種々の添加物、例えば充填剤、硬化促進剤、チキ
ソ性付与剤、粘着性付与剤、カップリング剤、着色剤な
ど公知の添加物を配合することができる。なお、これら
の点については後記する請求項3、5についても同様で
ある。
【0009】例えば金属や無機物からなる部材や部品を
メッキ鋼板などの卑金属メッキ表面にこの接着剤組成物
を接着剤として接着した場合、接着剤組成物中の接着剤
樹脂に添加されている還元性化合物が、メッキの腐食反
応速度を低下させる。従って、高温・高湿条件下などの
使用環境下において接着強度が著しく低下することが回
避される。
メッキ鋼板などの卑金属メッキ表面にこの接着剤組成物
を接着剤として接着した場合、接着剤組成物中の接着剤
樹脂に添加されている還元性化合物が、メッキの腐食反
応速度を低下させる。従って、高温・高湿条件下などの
使用環境下において接着強度が著しく低下することが回
避される。
【0010】請求項3、4に記載の発明では、接着剤組
成物においては、接着剤樹脂に1種類又は複数種の弱ア
ルカリ性化合物が添加されている。弱アルカリ性化合物
としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム
などが挙げられる。接着剤樹脂に対する弱アルカリ性化
合物の添加量は、0.1〜20重量%とするのが好まし
い。
成物においては、接着剤樹脂に1種類又は複数種の弱ア
ルカリ性化合物が添加されている。弱アルカリ性化合物
としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム
などが挙げられる。接着剤樹脂に対する弱アルカリ性化
合物の添加量は、0.1〜20重量%とするのが好まし
い。
【0011】例えば金属や無機物の部材や部品をメッキ
鋼板などの卑金属メッキ表面にこの接着剤組成物を接着
剤として接着した場合、接着剤組成物中の接着剤樹脂に
添加されている弱アルカリ性化合物が、例えば高温・高
湿条件下などの使用環境下で空気中の水分に溶解する
と、メッキ表面が安定な被膜を形成するのに好適なpH
となる。その結果、メッキ表面に被膜が形成され、その
被膜によってメッキが腐食から保護される。
鋼板などの卑金属メッキ表面にこの接着剤組成物を接着
剤として接着した場合、接着剤組成物中の接着剤樹脂に
添加されている弱アルカリ性化合物が、例えば高温・高
湿条件下などの使用環境下で空気中の水分に溶解する
と、メッキ表面が安定な被膜を形成するのに好適なpH
となる。その結果、メッキ表面に被膜が形成され、その
被膜によってメッキが腐食から保護される。
【0012】請求項5〜7に記載の発明では、接着剤組
成物においては、接着剤樹脂に1種類以上の還元性化合
物と、1種類以上の弱アルカリ性化合物が添加されてい
る。接着剤樹脂に対する前記両化合物の添加量は0.1
〜20重量%とするのが好ましい。特に還元性化合物の
添加量を0.3〜14重量%とするのがよい。還元性化
合物と弱アルカリ性化合物が共に添加されているため、
メッキの腐食抑制効果が促進される。
成物においては、接着剤樹脂に1種類以上の還元性化合
物と、1種類以上の弱アルカリ性化合物が添加されてい
る。接着剤樹脂に対する前記両化合物の添加量は0.1
〜20重量%とするのが好ましい。特に還元性化合物の
添加量を0.3〜14重量%とするのがよい。還元性化
合物と弱アルカリ性化合物が共に添加されているため、
メッキの腐食抑制効果が促進される。
【0013】請求項8に記載の発明では、請求項1、
2、5〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記
還元性化合物として、第3級アミン、チオ尿素誘導体お
よび金属塩のうちの少なくとも一つを採用する。
2、5〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記
還元性化合物として、第3級アミン、チオ尿素誘導体お
よび金属塩のうちの少なくとも一つを採用する。
【0014】請求項9に記載の発明では、請求項3〜7
のいずれか一項に記載の発明において、前記弱アルカリ
性化合物として、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムのうち
少なくとも一つを採用する。
のいずれか一項に記載の発明において、前記弱アルカリ
性化合物として、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムのうち
少なくとも一つを採用する。
【0015】請求項10に記載の発明では、卑金属メッ
キ鋼板からなるヨークに、請求項1〜9のいずれか一項
に記載の接着剤組成物を接着剤としてマグネットを接着
してモータを構成した。従って、例えば高温・高湿条件
下でモータが使用されても、ヨークとマグネットの接着
強度の著しい低下が防止される。
キ鋼板からなるヨークに、請求項1〜9のいずれか一項
に記載の接着剤組成物を接着剤としてマグネットを接着
してモータを構成した。従って、例えば高温・高湿条件
下でモータが使用されても、ヨークとマグネットの接着
強度の著しい低下が防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図1,図2を用いて説明する。本実施形態では接
着剤組成物を、モータの構成部品の接着に使用してい
る。
形態を図1,図2を用いて説明する。本実施形態では接
着剤組成物を、モータの構成部品の接着に使用してい
る。
【0017】図2に示すように、モータ1は、ハウジン
グを兼ねた形状を有するヨーク2を備える。ヨーク2の
内部には回転子3(鎖線で示す)が回転可能な状態で挿
着されている。ヨーク2の内周面には複数のマグネット
4が回転子3と所定のギャップを隔てて配置された状態
で固着されている。
グを兼ねた形状を有するヨーク2を備える。ヨーク2の
内部には回転子3(鎖線で示す)が回転可能な状態で挿
着されている。ヨーク2の内周面には複数のマグネット
4が回転子3と所定のギャップを隔てて配置された状態
で固着されている。
【0018】図1はヨーク2とマグネット4の接着部分
(図2中のA部分)を示すものである。同図に示すよう
に、ヨーク2は亜鉛メッキ鋼板10により形成されてお
り、その母材である鋼板11の表面には亜鉛メッキ12
が施されている。そして、ヨーク2の内周面に表れた亜
鉛メッキ12の表面に接着剤13を介してマグネット4
が固着されている。
(図2中のA部分)を示すものである。同図に示すよう
に、ヨーク2は亜鉛メッキ鋼板10により形成されてお
り、その母材である鋼板11の表面には亜鉛メッキ12
が施されている。そして、ヨーク2の内周面に表れた亜
鉛メッキ12の表面に接着剤13を介してマグネット4
が固着されている。
【0019】この接着剤13は接着剤組成物からなり、
その組成は次のようになっている。接着剤樹脂として一
液性のエポキシ樹脂を使用し、このエポキシ樹脂に還元
性化合物と弱アルカリ性化合物とのうち少なくとも一方
を添加している。還元性化合物としては第3級アミンに
属するトリブチルアミンを使用し、弱アルカリ性化合物
としては炭酸ナトリウムを使用している。
その組成は次のようになっている。接着剤樹脂として一
液性のエポキシ樹脂を使用し、このエポキシ樹脂に還元
性化合物と弱アルカリ性化合物とのうち少なくとも一方
を添加している。還元性化合物としては第3級アミンに
属するトリブチルアミンを使用し、弱アルカリ性化合物
としては炭酸ナトリウムを使用している。
【0020】還元性化合物(トリブチルアミン)のみを
添加する場合は、その添加量は0.1〜20重量%の範
囲とする。弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)のみ
を添加する場合は、その添加量は0.1〜20重量%の
範囲とする。そして、還元性化合物(トリブチルアミ
ン)と、弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を共に
添加する場合は、その添加量の総和を0.1〜20重量
%の範囲とする。
添加する場合は、その添加量は0.1〜20重量%の範
囲とする。弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)のみ
を添加する場合は、その添加量は0.1〜20重量%の
範囲とする。そして、還元性化合物(トリブチルアミ
ン)と、弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を共に
添加する場合は、その添加量の総和を0.1〜20重量
%の範囲とする。
【0021】還元性化合物は、第3級アミン以外の化合
物であってもよく、第3級アミン以外に、例えばチオ尿
素誘導体、金属塩などが挙げられる。第3級アミンとし
ては、トリブチルアミン以外に、例えばトリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルパラトルイ
ジンなどが挙げられる。また、チオ尿素誘導体として
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿
素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素などが挙
げられる。そして、金属塩としては、例えばナフテン酸
コバルト、ナフテン酸銅、バナジルアセチルアセトンな
どが挙げられる。これらのうち1種類または複数種添加
することができる。
物であってもよく、第3級アミン以外に、例えばチオ尿
素誘導体、金属塩などが挙げられる。第3級アミンとし
ては、トリブチルアミン以外に、例えばトリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルパラトルイ
ジンなどが挙げられる。また、チオ尿素誘導体として
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿
素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素などが挙
げられる。そして、金属塩としては、例えばナフテン酸
コバルト、ナフテン酸銅、バナジルアセチルアセトンな
どが挙げられる。これらのうち1種類または複数種添加
することができる。
【0022】また、弱アルカリ性化合物は炭酸ナトリウ
ム以外の化合物であってもよく、例えば炭酸ナトリウム
以外に、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。これら
のうち一種類または複数種添加することができる。
ム以外の化合物であってもよく、例えば炭酸ナトリウム
以外に、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。これら
のうち一種類または複数種添加することができる。
【0023】また、接着剤樹脂として一液性のエポキシ
樹脂を用いるが、これに限定するものではない。すなわ
ち、接着剤樹脂の種類として二液性のエポキシ系接着
剤、アクリル系接着剤およびウレタン系接着剤等を用い
ることもできる。
樹脂を用いるが、これに限定するものではない。すなわ
ち、接着剤樹脂の種類として二液性のエポキシ系接着
剤、アクリル系接着剤およびウレタン系接着剤等を用い
ることもできる。
【0024】接着剤組成物は、所望により種々の添加
物、例えば充填剤、硬化促進剤、チキソ性付与剤、粘着
性付与剤、カップリング剤、着色剤など公知の添加物を
配合できる。充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
タルク、石膏、アルミナ、シリカ、ガラス、クレー、各
種金属又は合金の粉末などの無機物質、架橋された共重
合樹脂や熱硬化性樹脂硬化物の粉状物などの有機系物質
が挙げられる。また、これら充填剤の配合量は任意に選
択することができるが、60重量%以下とすることが好
ましい。
物、例えば充填剤、硬化促進剤、チキソ性付与剤、粘着
性付与剤、カップリング剤、着色剤など公知の添加物を
配合できる。充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
タルク、石膏、アルミナ、シリカ、ガラス、クレー、各
種金属又は合金の粉末などの無機物質、架橋された共重
合樹脂や熱硬化性樹脂硬化物の粉状物などの有機系物質
が挙げられる。また、これら充填剤の配合量は任意に選
択することができるが、60重量%以下とすることが好
ましい。
【0025】次に、接着剤組成物を亜鉛メッキに使用し
た場合の作用を説明する。この接着剤組成物では、接着
剤樹脂に添加された還元性化合物(本例ではトリブチル
アミン)が亜鉛の腐食反応を抑制する。よって、還元性
化合物が添加された接着剤組成物を接着剤13として使
用するモータ1では、高温・高湿条件下で使用されても
マグネット4の接着力が著しく低下することが回避され
る。
た場合の作用を説明する。この接着剤組成物では、接着
剤樹脂に添加された還元性化合物(本例ではトリブチル
アミン)が亜鉛の腐食反応を抑制する。よって、還元性
化合物が添加された接着剤組成物を接着剤13として使
用するモータ1では、高温・高湿条件下で使用されても
マグネット4の接着力が著しく低下することが回避され
る。
【0026】また、接着剤組成物に添加された弱アルカ
リ化合物(本例では炭酸ナトリウム)は、モータ1が高
温・高湿条件下にさらされた場合に空気中の水分に溶解
し、亜鉛表面環境をpH6〜12.5の範囲に保つ働き
をする。pH6〜12.5の範囲では亜鉛表面上に非常
に安定な被膜が形成される。この亜鉛表面の被膜によっ
て、亜鉛の腐食速度が小さく抑えられる。よって、還元
性化合物が添加された接着剤組成物を接着剤13として
使用するモータ1では、高温・高湿条件下で使用されて
もマグネット4の接着力が著しく低下することが回避さ
れる。
リ化合物(本例では炭酸ナトリウム)は、モータ1が高
温・高湿条件下にさらされた場合に空気中の水分に溶解
し、亜鉛表面環境をpH6〜12.5の範囲に保つ働き
をする。pH6〜12.5の範囲では亜鉛表面上に非常
に安定な被膜が形成される。この亜鉛表面の被膜によっ
て、亜鉛の腐食速度が小さく抑えられる。よって、還元
性化合物が添加された接着剤組成物を接着剤13として
使用するモータ1では、高温・高湿条件下で使用されて
もマグネット4の接着力が著しく低下することが回避さ
れる。
【0027】特に還元性化合物と弱アルカリ化合物の両
方が添加された接着剤組成物を接着剤13として使用す
るモータ1では、その添加量の程度に応じて亜鉛の腐食
反応抑制効果と被膜保護効果の両方の効果が得られ、高
温・高湿条件下で使用されてもマグネット4の接着力が
著しく低下することがより一層回避される。
方が添加された接着剤組成物を接着剤13として使用す
るモータ1では、その添加量の程度に応じて亜鉛の腐食
反応抑制効果と被膜保護効果の両方の効果が得られ、高
温・高湿条件下で使用されてもマグネット4の接着力が
著しく低下することがより一層回避される。
【0028】[実施例]接着剤組成物の高温・高湿条件
下での接着強度確認試験を行った。 (a)試験片の作製 接着剤樹脂として市販の一液性エポキシ樹脂(商品名
「エピホームE518−01」:ソマール株式会社製)
を使用した。この一液性エポキシ樹脂に、還元性化合物
として第3級アミンに属するトリブチルアミンを種々の
重量%添加し、十分混合して接着剤組成物を得た。ま
た、この一液性エポキシ樹脂に、弱アルカリ性化合物と
して炭酸ナトリウムを種々の重量%添加し、十分混合し
て接着剤組成物を得た。
下での接着強度確認試験を行った。 (a)試験片の作製 接着剤樹脂として市販の一液性エポキシ樹脂(商品名
「エピホームE518−01」:ソマール株式会社製)
を使用した。この一液性エポキシ樹脂に、還元性化合物
として第3級アミンに属するトリブチルアミンを種々の
重量%添加し、十分混合して接着剤組成物を得た。ま
た、この一液性エポキシ樹脂に、弱アルカリ性化合物と
して炭酸ナトリウムを種々の重量%添加し、十分混合し
て接着剤組成物を得た。
【0029】次に表面をアセトンで脱脂した厚さ1.6
mm・幅25mm・長さ100mmの亜鉛メッキ鋼板
(材料記号「SGCE−C90」NKK製)の片面上
に、接着剤組成物を塗布量が約0.05g/cm2とな
るように塗布し、接着面積が312.5mm2となるよ
うに2枚の亜鉛メッキ鋼板を貼り合わせ、クリップで加
圧固定した。この状態で150℃の恒温槽の中に入れ、
30分加熱して接着剤組成物を完全に硬化させ、試験片
(テストピース)を得た。
mm・幅25mm・長さ100mmの亜鉛メッキ鋼板
(材料記号「SGCE−C90」NKK製)の片面上
に、接着剤組成物を塗布量が約0.05g/cm2とな
るように塗布し、接着面積が312.5mm2となるよ
うに2枚の亜鉛メッキ鋼板を貼り合わせ、クリップで加
圧固定した。この状態で150℃の恒温槽の中に入れ、
30分加熱して接着剤組成物を完全に硬化させ、試験片
(テストピース)を得た。
【0030】また、ブランクとして、2枚の亜鉛メッキ
鋼板を無添加の一液性エポキシ樹脂を接着剤として前記
と同じ接着条件(同塗布量・同接着面積)で貼り合わせ
た後、同条件(150℃・30分)で樹脂硬化させてブ
ランクの試験片を得た。
鋼板を無添加の一液性エポキシ樹脂を接着剤として前記
と同じ接着条件(同塗布量・同接着面積)で貼り合わせ
た後、同条件(150℃・30分)で樹脂硬化させてブ
ランクの試験片を得た。
【0031】さらに比較例として防錆剤処理を亜鉛メッ
キ鋼板に施した試験片を用意した。市販の防錆剤(商品
名「ノンラスターW8」ユシロ化学株式会社製)を蒸留
水で希釈し、3,5,10容量%の3種類の防錆液を調
製した。次に、表面をアセトンで脱脂した厚さ1.6m
m・幅25mm・長さ100mmの亜鉛メッキ鋼板(材
料記号「SGCE−C90」NKK製)を、この3種類
の防錆液のそれぞれに5分間浸漬し、取り出した後に自
然乾燥した。この3種類の亜鉛メッキ鋼板について、同
じ種類の2枚の亜鉛メッキ鋼板を一液性エポキシ樹脂を
接着剤として前記と同じ接着条件で貼り合わせた後、同
条件で樹脂硬化させて比較用の試験片を得た。なお、ブ
ランクおよび比較用の試験片で使用した一液性エポキシ
樹脂は、化合物添加した接着剤組成物に使用したものと
同じものである。 (b)接着強度試験 上記各試験片を、高温・高湿雰囲気(80℃、95%R
H)中に500時間曝露した。そして、曝露終了後の試
験片の引張剪断強度(kgf/cm2)を測定した。
キ鋼板に施した試験片を用意した。市販の防錆剤(商品
名「ノンラスターW8」ユシロ化学株式会社製)を蒸留
水で希釈し、3,5,10容量%の3種類の防錆液を調
製した。次に、表面をアセトンで脱脂した厚さ1.6m
m・幅25mm・長さ100mmの亜鉛メッキ鋼板(材
料記号「SGCE−C90」NKK製)を、この3種類
の防錆液のそれぞれに5分間浸漬し、取り出した後に自
然乾燥した。この3種類の亜鉛メッキ鋼板について、同
じ種類の2枚の亜鉛メッキ鋼板を一液性エポキシ樹脂を
接着剤として前記と同じ接着条件で貼り合わせた後、同
条件で樹脂硬化させて比較用の試験片を得た。なお、ブ
ランクおよび比較用の試験片で使用した一液性エポキシ
樹脂は、化合物添加した接着剤組成物に使用したものと
同じものである。 (b)接着強度試験 上記各試験片を、高温・高湿雰囲気(80℃、95%R
H)中に500時間曝露した。そして、曝露終了後の試
験片の引張剪断強度(kgf/cm2)を測定した。
【0032】炭酸ナトリムの添加量に対する引張剪断強
度と、アミン類の添加量に対する引張剪断強度について
の試験結果を図3に示す。このグラフから分かるように
炭酸ナトリウムもアミン類もどちらも添加することによ
り引張り強度が向上する。所望する強度が20kgf/c
m2以上であるので、炭酸ナトリムの好ましい添加量は
3〜13wt%の範囲であり、アミン類の好ましい添加量
は7〜18wt%の範囲である。さらに強度が25kgf/
cm2以上であれば申し分なく、炭酸ナトリムの最適な
添加量は5〜11wt%の範囲であり、アミン類の最適な
添加量は8〜16wt%の範囲である。
度と、アミン類の添加量に対する引張剪断強度について
の試験結果を図3に示す。このグラフから分かるように
炭酸ナトリウムもアミン類もどちらも添加することによ
り引張り強度が向上する。所望する強度が20kgf/c
m2以上であるので、炭酸ナトリムの好ましい添加量は
3〜13wt%の範囲であり、アミン類の好ましい添加量
は7〜18wt%の範囲である。さらに強度が25kgf/
cm2以上であれば申し分なく、炭酸ナトリムの最適な
添加量は5〜11wt%の範囲であり、アミン類の最適な
添加量は8〜16wt%の範囲である。
【0033】ブランクの試験片の高温高湿曝露後の強度
は、同グラフの黒丸に示すように0kgf/cm2であっ
た。比較用の試験片の高温高湿曝露後の強度は、防錆剤
の処理濃度3,5,10容量%の違いに応じてそれぞれ
10kgf/cm2,34kgf/cm2,30kgf/cm2であ
った。よって、炭酸ナトリウムとアミン類のいずれかを
添加した接着剤組成物についても、その添加量の範囲に
よっては防錆処理にほぼ匹敵する接着強度が得られるこ
とが分かる。
は、同グラフの黒丸に示すように0kgf/cm2であっ
た。比較用の試験片の高温高湿曝露後の強度は、防錆剤
の処理濃度3,5,10容量%の違いに応じてそれぞれ
10kgf/cm2,34kgf/cm2,30kgf/cm2であ
った。よって、炭酸ナトリウムとアミン類のいずれかを
添加した接着剤組成物についても、その添加量の範囲に
よっては防錆処理にほぼ匹敵する接着強度が得られるこ
とが分かる。
【0034】(c)弱アルカリ性化合物と還元性化合物
の並用のときの接着強度試験 炭酸ナトリムとトリブチルアミンの両方を添加した接着
剤組成物の接着強度についても調べた。
の並用のときの接着強度試験 炭酸ナトリムとトリブチルアミンの両方を添加した接着
剤組成物の接着強度についても調べた。
【0035】市販の一液性エポキシ樹脂(商品名「エピ
ホームE518−01」:ソマール株式会社製)に、炭
酸ナトリウムの添加量を0.7wt%と一定とし、トリ
ブチルアミンの添加量を変化させてそれぞれを添加し、
十分混合して複数種の接着剤組成物を得た。
ホームE518−01」:ソマール株式会社製)に、炭
酸ナトリウムの添加量を0.7wt%と一定とし、トリ
ブチルアミンの添加量を変化させてそれぞれを添加し、
十分混合して複数種の接着剤組成物を得た。
【0036】表面をアセトンで脱脂した2枚の亜鉛メッ
キ鋼板(材料記号「SGCE−C90」NKK製)を、
各接着剤組成物を接着剤として前記と同じ接着条件(塗
布量:約0.05g/cm2,接着面積:312.5m
m2)で貼り合わせ、同条件(150℃・30分)で樹
脂硬化させて各試験片を得た。そして、各試験片を高温
・高湿雰囲気(80℃、95%RH)中に500時間曝
露した後、各試験片の引張剪断強度(kgf/cm2)を測
定した。
キ鋼板(材料記号「SGCE−C90」NKK製)を、
各接着剤組成物を接着剤として前記と同じ接着条件(塗
布量:約0.05g/cm2,接着面積:312.5m
m2)で貼り合わせ、同条件(150℃・30分)で樹
脂硬化させて各試験片を得た。そして、各試験片を高温
・高湿雰囲気(80℃、95%RH)中に500時間曝
露した後、各試験片の引張剪断強度(kgf/cm2)を測
定した。
【0037】炭酸ナトリムとアミン類とを添加した場合
の引張強度の試験結果を図4に示す。このグラフから分
かるように所望する20kgf/cm2以上の強度が得られ
るのは、炭酸ナトリム0.7wt%に対し、トリブチル
アミンの添加量が0.3〜14wt%の範囲である。この
範囲がアミン類(トリブチルアミン)の好ましい添加量
と言える。さらに強度が25kgf/cm2以上であれば申
し分なく、アミン類(トリブチルアミン)の最適な添加
量は0.5〜11wt%の範囲である。また、グラフから
分かるように、炭酸ナトリムとアミン類とを添加した場
合は、それぞれを個別に添加する場合よりも高い接着強
度が得られ、添加量の範囲によっては防錆処理をする場
合に比べより高い接着強度が得られる。
の引張強度の試験結果を図4に示す。このグラフから分
かるように所望する20kgf/cm2以上の強度が得られ
るのは、炭酸ナトリム0.7wt%に対し、トリブチル
アミンの添加量が0.3〜14wt%の範囲である。この
範囲がアミン類(トリブチルアミン)の好ましい添加量
と言える。さらに強度が25kgf/cm2以上であれば申
し分なく、アミン類(トリブチルアミン)の最適な添加
量は0.5〜11wt%の範囲である。また、グラフから
分かるように、炭酸ナトリムとアミン類とを添加した場
合は、それぞれを個別に添加する場合よりも高い接着強
度が得られ、添加量の範囲によっては防錆処理をする場
合に比べより高い接着強度が得られる。
【0038】高温・高湿曝露試験前後での強度保持率に
ついて次に述べる。高温・高湿曝露前の引張剪断強度を
X(kgf/cm2)、500時間曝露後の引張剪断強度を
Y(kgf/cm2)とすると、この曝露試験前後の強度保
持率Z(%)は、式 Z(%)=(Y/X)×100
で表される。
ついて次に述べる。高温・高湿曝露前の引張剪断強度を
X(kgf/cm2)、500時間曝露後の引張剪断強度を
Y(kgf/cm2)とすると、この曝露試験前後の強度保
持率Z(%)は、式 Z(%)=(Y/X)×100
で表される。
【0039】曝露試験前の引張剪断強度Xは、化合物添
加とブランクと防錆処理のいずれの試験片についても、
X=約180〜190kgf/cm2にありほぼ同じであっ
た。このため、強度保持率Z(%)は図3と図4の各グ
ラフに示す強度曲線とほぼ同じ傾向の相似曲線を描く。
つまり、曝露試験後の接着強度の高さは強度保持率Zが
高いことに起因する。
加とブランクと防錆処理のいずれの試験片についても、
X=約180〜190kgf/cm2にありほぼ同じであっ
た。このため、強度保持率Z(%)は図3と図4の各グ
ラフに示す強度曲線とほぼ同じ傾向の相似曲線を描く。
つまり、曝露試験後の接着強度の高さは強度保持率Zが
高いことに起因する。
【0040】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に示す効果が得られる。 (1)接着剤組成物中の接着剤樹脂に還元性化合物(ト
リブチルアミン)を添加したので、高温・高湿条件下で
も還元性化合物によって亜鉛メッキの腐食反応速度が小
さく抑制され、高温・高湿環境下において接着強度が著
しく低下することを回避できる。従って、モータ1が市
場環境で頻繁に起こる高温・高湿環境下にさらされて
も、マグネット4の安定した接着強度を保持することが
でき、ひいては安定したモータ性能を維持することがで
きる。
以下に示す効果が得られる。 (1)接着剤組成物中の接着剤樹脂に還元性化合物(ト
リブチルアミン)を添加したので、高温・高湿条件下で
も還元性化合物によって亜鉛メッキの腐食反応速度が小
さく抑制され、高温・高湿環境下において接着強度が著
しく低下することを回避できる。従って、モータ1が市
場環境で頻繁に起こる高温・高湿環境下にさらされて
も、マグネット4の安定した接着強度を保持することが
でき、ひいては安定したモータ性能を維持することがで
きる。
【0041】(2)接着剤組成物中の接着剤樹脂に弱ア
ルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を添加したので、高
温・高湿条件下で水分に溶解した弱アルカリ性化合物に
よって亜鉛メッキ表面環境のpHが適度に調整され、亜
鉛メッキ表面に安定な被膜が形成されて被膜によって亜
鉛が腐食から保護される。よって、高温・高湿環境下に
おいて接着強度が著しく低下することを回避できる。従
って、モータ1が市場環境で頻繁に起こる高温・高湿環
境下にさらされても、マグネット4の安定した接着強度
を保持することができ、ひいては安定したモータ性能を
維持することができる。
ルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を添加したので、高
温・高湿条件下で水分に溶解した弱アルカリ性化合物に
よって亜鉛メッキ表面環境のpHが適度に調整され、亜
鉛メッキ表面に安定な被膜が形成されて被膜によって亜
鉛が腐食から保護される。よって、高温・高湿環境下に
おいて接着強度が著しく低下することを回避できる。従
って、モータ1が市場環境で頻繁に起こる高温・高湿環
境下にさらされても、マグネット4の安定した接着強度
を保持することができ、ひいては安定したモータ性能を
維持することができる。
【0042】(3)還元性化合物(トリブチルアミン)
と弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を共に接着剤
樹脂に添加した接着剤組成物を使用する場合は、高温・
高湿条件下での亜鉛の腐食反応抑制効果と被膜保護効果
とによって亜鉛の腐食が抑制される。よって、高温・高
湿環境下において接着強度が著しく低下することを一層
確実に回避できる。従って、モータ1が市場環境で頻繁
に起こる高温・高湿環境下にさらされても、マグネット
4の安定した接着強度を一層保持し易く、ひいては安定
したモータ性能を一層維持し易くすることができる。
と弱アルカリ性化合物(炭酸ナトリウム)を共に接着剤
樹脂に添加した接着剤組成物を使用する場合は、高温・
高湿条件下での亜鉛の腐食反応抑制効果と被膜保護効果
とによって亜鉛の腐食が抑制される。よって、高温・高
湿環境下において接着強度が著しく低下することを一層
確実に回避できる。従って、モータ1が市場環境で頻繁
に起こる高温・高湿環境下にさらされても、マグネット
4の安定した接着強度を一層保持し易く、ひいては安定
したモータ性能を一層維持し易くすることができる。
【0043】(4)接着剤組成物をモータ1におけるマ
グネット4等の部品組付け用の接着剤に用いることによ
って、従来のマグネット接着工程をそのまま採用でき
る。つまり、従来技術で述べたスプリング固定方式、防
錆処理方式、メッキ除去方式など他の方法を採用しなく
て済む。よって、モータ1の部品点数の増加や工程の追
加等が不要となる。
グネット4等の部品組付け用の接着剤に用いることによ
って、従来のマグネット接着工程をそのまま採用でき
る。つまり、従来技術で述べたスプリング固定方式、防
錆処理方式、メッキ除去方式など他の方法を採用しなく
て済む。よって、モータ1の部品点数の増加や工程の追
加等が不要となる。
【0044】なお、実施の形態は、上記に限定されず次
のような態様でも実施できる。 ○ 接着剤樹脂に対する還元性化合物または弱アルカリ
性化合物の添加量、さらには両化合物の添加総量は、必
要強度が得られるならば0.1〜20重量%の範囲に限
定されない。例えば20重量%を超える添加量であって
もよい。必要強度が低いレベルにあればこれでも十分効
果がある。
のような態様でも実施できる。 ○ 接着剤樹脂に対する還元性化合物または弱アルカリ
性化合物の添加量、さらには両化合物の添加総量は、必
要強度が得られるならば0.1〜20重量%の範囲に限
定されない。例えば20重量%を超える添加量であって
もよい。必要強度が低いレベルにあればこれでも十分効
果がある。
【0045】○ 接着剤組成物は、モータにおけるヨー
クとマグネットの接着用に限定されない。例えばモータ
におけるマグネット以外の部品の接着に使用してもよ
い。さらにモータに限定されず、高温・高湿条件下で使
用される自動車用部品の接着用として接着剤樹脂を適用
することもできる。
クとマグネットの接着用に限定されない。例えばモータ
におけるマグネット以外の部品の接着に使用してもよ
い。さらにモータに限定されず、高温・高湿条件下で使
用される自動車用部品の接着用として接着剤樹脂を適用
することもできる。
【0046】○ 接着剤組成物は、自動車用部品への使
用に限定されない。要するに卑金属メッキ鋼板と金属
(卑金属メッキ品以外)または無機物(セラミック等)
との接着用、あるいは卑金属メッキ品同士の接着用とし
て広く使用できる。
用に限定されない。要するに卑金属メッキ鋼板と金属
(卑金属メッキ品以外)または無機物(セラミック等)
との接着用、あるいは卑金属メッキ品同士の接着用とし
て広く使用できる。
【0047】○ 卑金属メッキは亜鉛メッキに限定され
ない。卑金属メッキであれば足り、例えばクロムメッキ
でもよい。また、母材は鋼板に限定されない。また、卑
金属を母材の金属表面に被覆する方法がメッキ法である
ことに限定されず、母材の表面被膜の形成方法が化学的
蒸着法や物理的蒸着法であっても構わない。すなわち、
本明細書でいうメッキとは母材表面に施された卑金属被
膜をいう。
ない。卑金属メッキであれば足り、例えばクロムメッキ
でもよい。また、母材は鋼板に限定されない。また、卑
金属を母材の金属表面に被覆する方法がメッキ法である
ことに限定されず、母材の表面被膜の形成方法が化学的
蒸着法や物理的蒸着法であっても構わない。すなわち、
本明細書でいうメッキとは母材表面に施された卑金属被
膜をいう。
【0048】○ 卑金属メッキ鋼板ではない単なる鋼板
への接着剤として接着剤組成物を用いることもできる。
つまり、卑金属メッキが施されていない金属表面への接
着剤として使用することもできる。
への接着剤として接着剤組成物を用いることもできる。
つまり、卑金属メッキが施されていない金属表面への接
着剤として使用することもできる。
【0049】前記実施形態及び別例から把握される請求
項以外の技術的思想を、以下に記載する。 (1)請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成
物は、卑金属メッキ表面への接着に使用される。この場
合、高温・高湿条件下でも、卑金属メッキ表面への接着
強度の著しい低下を抑えることができる。
項以外の技術的思想を、以下に記載する。 (1)請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成
物は、卑金属メッキ表面への接着に使用される。この場
合、高温・高湿条件下でも、卑金属メッキ表面への接着
強度の著しい低下を抑えることができる。
【0050】(2)請求項1〜9のいずれか一項に記載
の接着剤組成物は、モータ部品(4)の接着に使用され
る。この場合、モータが高温・高湿条件下で使用されて
も、その部品の接着強度の著しい低下を抑えることがで
きる。
の接着剤組成物は、モータ部品(4)の接着に使用され
る。この場合、モータが高温・高湿条件下で使用されて
も、その部品の接着強度の著しい低下を抑えることがで
きる。
【0051】(3)請求項2において、前記還元性化合
物の添加量は7〜18wt%の範囲である。高温高湿条件
下でも接着強度の低下が少ない。 (4)請求項2において、前記還元性化合物の添加量は
8〜16wt%の範囲である。高温高湿条件下でも接着強
度の低下がかなり少ない。
物の添加量は7〜18wt%の範囲である。高温高湿条件
下でも接着強度の低下が少ない。 (4)請求項2において、前記還元性化合物の添加量は
8〜16wt%の範囲である。高温高湿条件下でも接着強
度の低下がかなり少ない。
【0052】(5)請求項4において、前記弱アルカリ
性化合物の添加量は3〜13wt%の範囲である。高温高
湿条件下でも接着強度の低下が少ない。 (6)請求項4において、前記弱アルカリ性化合物の添
加量は5〜11wt%の範囲である。高温高湿条件下でも
接着強度の低下がかなり少ない。
性化合物の添加量は3〜13wt%の範囲である。高温高
湿条件下でも接着強度の低下が少ない。 (6)請求項4において、前記弱アルカリ性化合物の添
加量は5〜11wt%の範囲である。高温高湿条件下でも
接着強度の低下がかなり少ない。
【0053】(7)請求項8において、前記還元性化合
物は、第3級アミンとチオ尿素誘導体のうちの少なくと
も一つである。 (8)請求項8において、前記還元性化合物は、第3級
アミンと金属塩のうちの少なくとも一つである。
物は、第3級アミンとチオ尿素誘導体のうちの少なくと
も一つである。 (8)請求項8において、前記還元性化合物は、第3級
アミンと金属塩のうちの少なくとも一つである。
【0054】(9)請求項8において、前記還元性化合
物は、第3級アミンである。 (10)請求項3〜8,10のいずれかにおいて、前記
弱アルカリ性化合物は、炭酸化合物、炭酸水素化合物、
水酸化化合物のうちの少なくとも1つである。
物は、第3級アミンである。 (10)請求項3〜8,10のいずれかにおいて、前記
弱アルカリ性化合物は、炭酸化合物、炭酸水素化合物、
水酸化化合物のうちの少なくとも1つである。
【0055】(11)請求項3〜8,10のいずれかに
おいて、前記弱アルカリ性化合物は、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、水酸化カルシウムのうちの少なくとも1つである。
おいて、前記弱アルカリ性化合物は、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、水酸化カルシウムのうちの少なくとも1つである。
【0056】(12)請求項1〜10及び前記(1)〜
(11)の技術的思想のいずれかにおいて、前記接着剤
樹脂は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤およびウ
レタン系接着剤のうちの一つである。
(11)の技術的思想のいずれかにおいて、前記接着剤
樹脂は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤およびウ
レタン系接着剤のうちの一つである。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1、2、5〜
9に記載の発明によれば、接着剤樹脂に添加された還元
性化合物が、卑金属の腐食反応速度を低下させるので、
卑金属メッキへの接着強度の著しい低下を防ぐことがで
きる。
9に記載の発明によれば、接着剤樹脂に添加された還元
性化合物が、卑金属の腐食反応速度を低下させるので、
卑金属メッキへの接着強度の著しい低下を防ぐことがで
きる。
【0058】請求項3〜9に記載の発明によれば、接着
剤樹脂に添加された弱アルカリ性化合物が卑金属表面環
境を安定な被膜が形成され易いpHとするので、卑金属
表面に形成された被膜によって卑金属メッキが腐食から
保護され、卑金属メッキへの接着強度の著しい低下を防
ぐことができる。
剤樹脂に添加された弱アルカリ性化合物が卑金属表面環
境を安定な被膜が形成され易いpHとするので、卑金属
表面に形成された被膜によって卑金属メッキが腐食から
保護され、卑金属メッキへの接着強度の著しい低下を防
ぐことができる。
【0059】請求項10に記載の発明によれば、請求項
1〜9のいずれか一項の接着剤組成物を接着剤とするの
で、モータが高温・高湿条件下で使用されても、ヨーク
とマグネットの接着強度の著しい低下を抑えることがで
きる。
1〜9のいずれか一項の接着剤組成物を接着剤とするの
で、モータが高温・高湿条件下で使用されても、ヨーク
とマグネットの接着強度の著しい低下を抑えることがで
きる。
【図1】一実施形態におけるヨークとマグネットの接着
部分を示す模式断面図。
部分を示す模式断面図。
【図2】モータの一部破断した模式側面図。
【図3】化合物添加量と引張剪断強度との関係を示すグ
ラフ。
ラフ。
【図4】化合物添加量と引張剪断強度との関係を示すグ
ラフ。
ラフ。
1…モータ、2…ヨーク、4…マグネット、10…卑金
属メッキ鋼板としての亜鉛メッキ鋼板、11…鋼板、1
2…卑金属メッキとしての亜鉛メッキ、13…接着剤組
成物としての接着剤。
属メッキ鋼板としての亜鉛メッキ鋼板、11…鋼板、1
2…卑金属メッキとしての亜鉛メッキ、13…接着剤組
成物としての接着剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J040 DF041 EC001 EF001 HA196 HB20 HB27 HC01 HC03 HC07 HC24 HD08 JA12 JA13 KA21 LA08 MA03 MB10 NA19 5H622 CA05 CA10 CB05 PP05 PP17 PP19
Claims (10)
- 【請求項1】 接着剤樹脂に1種類又は複数種の還元性
化合物が添加されていることを特徴とする接着剤組成
物。 - 【請求項2】 前記接着剤樹脂に対する前記還元性化合
物の添加量は、0.1〜20重量%であることを特徴と
する請求項1に記載の接着剤組成物。 - 【請求項3】 接着剤樹脂に1種類又は複数種の弱アル
カリ性化合物が添加されていることを特徴とする接着剤
組成物。 - 【請求項4】 前記接着剤樹脂に対する前記弱アルカリ
性化合物の添加量は、0.1〜20重量%であることを
特徴とする請求項3に記載の接着剤組成物。 - 【請求項5】 接着剤樹脂に1種類以上の還元性化合物
と、1種類以上の弱アルカリ性化合物が添加されている
ことを特徴とする接着剤組成物。 - 【請求項6】 前記接着剤樹脂に対する前記両化合物の
添加量は、0.1〜20重量%であることを特徴とする
請求項5に記載の接着剤組成物。 - 【請求項7】 前記還元性化合物の添加量は、0.3〜
14重量%であることを特徴とする請求項6に記載の接
着剤組成物。 - 【請求項8】 前記還元性化合物は、第3級アミン、チ
オ尿素誘導体および金属塩のうちの少なくとも一つであ
ることを特徴とする請求項1、2、5〜7のいずれか一
項に記載の接着剤組成物。 - 【請求項9】 前記弱アルカリ性化合物は、炭酸ナトリ
ウムおよび炭酸カリウムのうち少なくとも一つであるこ
とを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の接
着剤組成物。 - 【請求項10】 卑金属メッキ鋼板からなるヨーク
(2)と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤
組成物を接着剤(13)として前記ヨーク(2)の内周
面に接着されているマグネット(4)とを備えたモー
タ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11099636A JP2000290618A (ja) | 1999-04-07 | 1999-04-07 | 接着剤組成物及びモータ |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP11099636A JP2000290618A (ja) | 1999-04-07 | 1999-04-07 | 接着剤組成物及びモータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000290618A true JP2000290618A (ja) | 2000-10-17 |
Family
ID=14252562
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000290618A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103074017A (zh) * | 2012-12-21 | 2013-05-01 | 哈尔滨电气动力装备有限公司 | 高压交流电机球面轴承绝缘工艺 |
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1999
- 1999-04-07 JP JP11099636A patent/JP2000290618A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103074017A (zh) * | 2012-12-21 | 2013-05-01 | 哈尔滨电气动力装备有限公司 | 高压交流电机球面轴承绝缘工艺 |
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