JP5201916B2 - カチオン電着塗装前処理として行われる金属表面処理方法、これに用いられる金属表面処理組成物、電着塗装の付きまわり性に優れた金属材料、及び金属基材の塗装方法 - Google Patents

カチオン電着塗装前処理として行われる金属表面処理方法、これに用いられる金属表面処理組成物、電着塗装の付きまわり性に優れた金属材料、及び金属基材の塗装方法 Download PDF

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本発明は、複数の曲部を有する金属基材に施すカチオン電着塗装において、付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成するために、カチオン電着塗装前処理として行われる金属表面処理方法、前記金属表面処理方法に用いられる金属表面処理組成物、カチオン電着塗料の付きまわり性に優れた金属材料、及び金属基材の塗装方法に関する。
カチオン電着塗装は、金属板を折り曲げ加工して得られる曲面及び袋部、並びに金属板同士の接合部等の複数の曲部を有する金属基材(被塗物)に対して細部にまで塗装を施すことができる。また、自動的且つ連続的に塗装することができるので、特に自動車車体等の大型で複数の曲面及び袋部を有する金属基材の下塗り塗装方法として、広く実用化されている。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料組成物中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行われる。
カチオン電着塗装の過程における塗膜の析出は、電気化学的な反応によるものであり、電圧の印加により、電着塗料中の成分が電気泳動により被塗物表面に移動し、被塗物表面に塗膜が析出する。析出した塗膜は絶縁性を有するので、電着塗装過程において、塗膜の析出が進行して塗膜の膜厚が増加するのに従い、塗膜の電気抵抗は大きくなる。
その結果、当該部位への塗膜の析出は減少し、代わって未析出部位への塗膜の析出が始まる。このようにして、順次未析出部分に塗膜が析出して、被塗物全体の電着塗装を完成させる。本明細書中、被塗物である金属基材の未析出部位に絶縁性の塗膜が順次析出することで連続的な電着塗膜が形成される性質を付きまわり性という。
カチオン電着塗装においては、上述したように被塗物表面に絶縁性の塗膜が順次形成されていくので、理論的には無限の付きまわり性を有しており、被塗物の全ての部分に均一に塗膜を形成することができる。
しかしながら、被塗物表面に塗膜が析出した場合でも、何らかの原因により塗膜の電気抵抗が上昇しない場合には、電着塗料の付きまわり性が著しく低下する。このため、膜厚にムラが生じ、耐食性に大きく影響する。
金属基材にカチオン電着塗装を施す場合、通常、耐食性、塗膜密着性等の諸性能を向上させる目的で、表面処理が施されている。塗膜の密着性や耐食性をより向上させることができるという観点から、従来、表面処理において用いられてきたリン酸クロメート系の表面処理組成物は、近年、クロムの有害性から環境への影響が懸念されている。このため、クロムを含まない表面処理剤として、リン酸亜鉛系の表面処理組成物が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、リン酸亜鉛系の表面処理組成物は、金属イオン濃度及び酸濃度が高く、非常に反応性が強いため、排水処理にコストがかかる等、経済性、作業性の観点から好ましくない。更に、リン酸亜鉛系の表面処理剤による化成処理においては、金属の表面処理に伴って水に不溶な塩類が生成し、化学処理槽内部に沈殿として析出する。このような沈殿物は、一般にスラッジと呼ばれ、スラッジの除去・廃棄に伴うコストが問題視されている。また、リン酸イオンは、河川や海洋の富栄養化をもたらす等、環境に対する負荷を与えるおそれがある。加えて、リン酸亜鉛系の表面処理組成物による表面処理においては、表面調整を行うことが必要とされており、表面処理の工程が複雑で長くなるという、生産効率上の問題点もあった。
このようなリン酸クロメート系、又はリン酸亜鉛系の表面処理組成物に代わる表面処理組成物として、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物からなる金属表面処理剤が知られてきた。
例えば、特許文献2には、鉄系材料、亜鉛系材料、アルミニウム系材料、及びマグネシウム系材料から選ばれる金属材料をそれぞれ単独で或いはその2種以上を同時に表面処理するための水系表面処理液であって、ジルコニウム化合物及びチタニウム化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を上記金属元素として5ppmから5000ppm含み、また遊離フッ素イオンを0.1ppmから100ppm含み、且つpHが2から6であることを特徴とする金属の表面処理用処理液が開示されている。この表面処理用処理液によれば、従来技術では不可能であった、環境に有害な成分を含まない処理浴で、スラッジを発生させることなく、鉄系材料、亜鉛系材料、アルミニウム系及びマグネシウム系材料の2種乃至4種を同時に又は各々単独からなる金属表面に、塗装後の耐食性に優れる表面処理皮膜を析出させることができるとされる。
また、特許文献3には、化成処理剤によって被処理物を処理し、化成皮膜を形成する塗装前処理方法であって、前記化成処理剤は、ジルコニウム、チタン、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種、フッ素、並びにアミノ基含有シランカップリング剤、その加水分解物及びその重合物からなる群より選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする塗装前処理方法が開示されている。この塗装前処理方法によれば、リン酸亜鉛系処理剤を用いていないので、環境への負荷が少なく、従来ジルコニウムからなる化成処理剤での前処理が不適であった鉄系基材に対しても塗膜密着性に優れた化成皮膜を形成することができる。
特許文献4には、ジルコニウム、チタン、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種、フッ素、密着性付与剤、並びに化成反応促進剤からなる化成処理剤であって、前記密着性付与剤は、亜鉛、マンガン、及びコバルトイオンならなる群より選ばれる少なくとも一種の金属イオン(A)、アルカリ土類金属イオン(B)、周期律表第三属金属イオン(C)、銅イオン(D)、ケイ素含有化合物(E)、ポリビニルアミン及び/又はポリアリルアミン等の水溶性樹脂(F)、アミノ基を有する水溶性エポキシ化合物(G)、並びにシランカップリング剤及び/又はその加水分解物(H)からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、前記化成反応促進剤は、亜硝酸イオン、ニトロ基含有化合物、硫酸ヒドロキシルアミン、過硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、過酸化物、鉄(III)イオン、クエン酸鉄化合物、臭素酸イオン、過塩素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、並びにアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、前記化成反応促進剤の配合量は、1ppmから5000ppmであることを特徴とする化成処理剤が開示されている。この化成処理剤によれば、基材上に析出する皮膜量の偏りによる化成皮膜のムラを抑えることによって、良好な性能を有する化成皮膜を得ることができる。更に、化成皮膜の安定性を改善することで、従来ジルコニウム等からなる化成処理剤での前処理が不適であった鉄系基材に対しても塗膜密着性に優れた化成皮膜を形成することができる。
更に、特許文献5には、(A)Ti、Zr、Hf、及びSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物、(B)Y、及び/又はランタノイド元素を含む化合物、及び(C)硝酸及び/又は硝酸化合物、を含有し、前記成分(A)中の前記元素の合計質量濃度Aに対する前記成分(B)中の前記Y及び/又はランタノイド元素の合計質量濃度Bの比であるK1=B/Aが、0.05≦K1≦50であり、前記合計質量濃度Aに対する前記成分(C)中の窒素原子のNO換算した合計質量濃度Cの比であるK2=C/Aが、0.01≦K2≦200であり、前記合計質量濃度Aが、10ppm≦A≦10000ppmである、鉄及び/又は亜鉛を含む金属の表面処理用処理液、並びに、更にエチレンジアミン四酢酸、グルコン酸、ヘプトグルコン酸、グルコール酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、アスパラギン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、サリチル酸、及びこれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも1種を、1ppmから1000ppm含有する表面処理用処理液が開示されている。この表面処理液によれば、環境に有害な成分を含まない処理浴で、金属材料表面に塗装後の耐食性に優れる表面処理皮膜を析出させることができるものとされている。
特許第3088623号公報 特開2004−190121号公報 特開2004−218070号公報 特開2004−218075号公報 特開2006−161117号公報
しかしながら、特許文献2のジルコニウム系の表面処理組成物においては、金属基材の種類によっては、表面処理後のカチオン電着塗装において、塗膜を均一に形成させることができず、膜厚のムラが生じるという問題点があった。また、ケイ素含有量の多いSPC鋼板や高張力鋼板等では均一な皮膜が形成されにくく、リン酸亜鉛に比べ耐食性が劣るという問題点があった。塗膜を均一に形成させることができない場合、塗膜が十分に形成されていない部位においては電着塗装の効果を得ることができず、耐食性低下等の原因となっていた。また、上記鉄系金属基材から溶出した鉄イオンの処理浴中への蓄積により、スラッジの発生、耐食性の低下等の問題が生じていた。
一方、電圧を上昇させることにより、金属基材の全面に亘って塗膜量を増加させることも可能であるが、コスト面で好ましくない。更に、ピンホールやクレーターが生じて外観不良になるという問題点もあった。この理由は、亜鉛鋼板はカチオン電着塗装時の被塗物側で発生する水素ガスの放電電圧が鉄鋼板よりも低いため、水素ガス中で火花放電が生じやすくなるためではないかと考えられている。
また、特許文献3の塗装前処理方法は塗装方法が限定されず、環境への負荷が少なく、且つ鉄、亜鉛、アルミニウム等の全ての金属に対して良好な化成処理を行うことができる塗装前処理方法が開示されているが、化成皮膜単独での耐食性及び電着付きまわり性に係る課題については開示も示唆もされていない。
特許文献4には、本発明におけるカチオン電着塗装時の防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤に該当するアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシ酸を含有する化成処理剤が開示されている。しかしながら、これらのヒドロキシ酸は基材上に析出する皮膜量の偏りによる化成皮膜のムラを抑え、良好な性能を有する化成皮膜を得るために用いられているものであった。更に、化成皮膜の安定性を改善することで、従来ジルコニウム等からなる化成処理剤の前処理が不適であった鉄系基材に対しても、塗膜密着性に優れた化成皮膜を形成させるために用いられるものであった。従って、特許文献4に記載の化成処理剤はカチオン電着塗装時の付きまわり性の向上のために用いられているものではなく、更に付け加えるならば、出願当時には付きまわり性の問題は未だ顕在化していなかった。
特許文献5には、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、及び/又は芳香族酸を含有する表面処理用処理液が開示されており、ヒドロキシ酸として、グルコン酸、ヘプトグルコン酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、及びリンゴ酸が、アミノ酸としてアスパラギン酸が、アミノカルボン酸としてエチレンジアミン四酢酸が、芳香族酸としてサリチル酸が開示されている。しかしながら、上記化合物は表面処理組成物中に溶出した金属イオンがスラッジ化することを予防するためのキレート化剤として添加されているものであり、表面処理によって得られた化成皮膜中の成分の溶出自体を防止するために用いられているものではない。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジルコニウム及び/又はチタンイオンを含む金属表面処理組成物を用いた金属表面処理方法であって、更なる耐食性を得ることができる防錆皮膜を形成可能であり、カチオン電着塗装において、金属基材の種類にかかわりなく付きまわり性を向上させることができる金属表面処理方法、この金属表面処理方法に用いられる金属表面処理方法、この金属表面処理方法により処理されてなる金属材料及び金属基材の塗装方法を提供することにある。
本発明者らは、ジルコニウム系及びチタン系の金属表面処理組成物を金属基材に用いた場合、その後のカチオン電着塗装においては、塗膜が均一に形成されないこと、即ち付きまわり性が低下するという問題に遭遇した。前記問題は、SPC鋼板等の鉄系金属基材に用いた場合に顕著であった。本発明者らは、この知見を元に、鋭意研究を重ねた結果、付きまわり性の低下の原因が、防錆皮膜の皮膜抵抗が従来公知のリン酸亜鉛系皮膜の皮膜抵抗よりも大幅に低いという主因によることを見出した。更に、本発明者らは、付きまわり性の低下の原因が、防錆皮膜中の成分がカチオン電着塗装時に防錆皮膜から溶出し、溶け出した成分が電着塗膜中に浸入して電解質的に作用し、電着塗膜の塗膜抵抗をも低下させるためであることを見出した。
更に、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、カチオン電着塗装時に防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤と、を含有するカチオン電着塗装前処理用の金属表面処理組成物を用いて金属基材を処理したとき、その後の電着塗装における付きまわり性、耐食性が向上し、金属表面処理組成物の浴安定性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 複数の曲部を有する金属基材上に、カチオン電着塗装前に、電着付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成するための金属表面処理方法であって、前記金属表面処理方法は、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、前記カチオン電着塗装時の前記防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤と、を含有する、カチオン電着塗装前処理用の金属表面処理組成物を用いて、前記金属基材上に付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成させることを特徴とする金属表面処理方法であり、前記密着性付与剤は、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である金属表面処理方法。
(2) 前記安定化剤は、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンからなる群から選択される少なくとも一種である、(1)に記載の金属表面処理方法。
(3) 前記アミノ酸は、アラニン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、及びチロシン、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種である(2)に記載の金属表面処理方法。
(4) 前記アミノカルボン酸は、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン6酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン4酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−6−ヒドロキシプロパン4酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、及び(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)からなる群から選択される少なくとも一種である(2)記載の金属表面処理方法。
(5) 前記多価アニオンは、リン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン類、フェノール化合物、ポリアクリル酸、及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種である(2)に記載の金属表面処理方法。
(6) 前記(A)ケイ素含有化合物は、シリカ、ケイフッ化物、水溶性ケイ酸塩化合物、ケイ酸エステル類、アルキルシリケート類、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも一種である(1)から(4)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(7) 前記シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシラン及び前記アミノシランの加水分解重縮合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、前記金属表面処理組成物における前記ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下であり、前記金属表面処理組成物中における前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量は、ケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であり、前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.5以上500以下である(6)に記載の金属表面処理方法。
ここで、「合計含有量」とは、金属表面処理組成物に含有される当該化合物、当該元素及び当該イオン全ての固形分量の含有量の合計質量を指し、当該化合物のうち、いずれかの含有量が0である場合を含むものとする。
また、「金属元素換算」とは、金属化合物の含有量に金属元素換算係数(金属化合物量を金属元素量に換算するための係数であり、具体的には、金属化合物中の金属元素の原子量を、金属化合物の分子量で除算した値を意味する。)を積算することにより、目的の金属元素量を求めることである。例えば、錯イオンZrF 2−(分子量205)100ppmのジルコニウムの金属元素換算濃度は100×(91/205)の計算により44ppmと算出される。同様に、アミノプロピルトリメトキシシラン(分子量179)100ppmのケイ素元素換算濃度は100×(28/179)の計算により16ppmと算出される。
(8) 前記(B)密着付与金属イオンは、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンである(1)から(7)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(9) 前記(C)密着付与樹脂は、ポリアミン化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である(1)から(8)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(10) 前記ポリアミン化合物は、少なくとも一部に下記化学式(1)、(2)、及び(3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種を有するポリアミン化合物であり、前記ポリアミン化合物の質量に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.1以上100以下である(9)に記載の金属表面処理方法。
Figure 0005201916
[式(3)中、Rは炭素数1から6のアルキレン基であり、Rは下記化学式(4)から(6)で表される置換基であり、Rはヒドロキシル基、炭素数1から6のアルコキシ基、又は炭素数1から6のアルキル基である。]
Figure 0005201916
[式(6)中、Rは水素原子、炭素数1から6のアミノアルキル基、又は炭素数1から6のアルキル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアミノアルキル基である。]
(11) 前記安定化剤は還元性を有し、前記金属表面処理組成物の酸化還元電位(ORP)が450mV以下である、(1)から(10)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(12) 更に、pHが1.5以上6.5以下である、(1)から(11)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(13) 更に、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群より選択される少なくとも1種の酸化剤と、を含有する(1)から(12)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(14) 複数の曲部を有する金属基材上に、カチオン電着塗装の前に電着付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成するために、(1)から(13)のいずれかに記載の金属表面処理方法に用いられる金属表面処理組成物。
(15) 前記防錆皮膜は、前記金属基材から溶出して前記防錆皮膜に取り込まれ、且つ前記防錆皮膜から金属イオンの溶出を防止する安定化剤により不溶化された金属元素を含み、(1)から(13)のいずれかに記載の表面処理方法により形成される、カチオン電着塗装に用いられる電着塗料の付きまわり性に優れた複数の曲部を有する金属材料。
(16) (1)から(13)のいずれかに記載の金属表面処理方法により、前記金属基材上に電着塗料の付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成させる金属表面処理工程と、前記防錆皮膜が形成された前記金属基材上に、変性エポキシ樹脂及び硬化剤を含むカチオン電着塗料を電着塗装する電着塗装工程と、を有する、複数の曲部を有する金属基材の塗装方法。
本発明の金属表面処理方法は、リン酸イオンを実質的に含まない、ジルコニウム及び/又はチタン系の金属表面処理組成物を用いた金属表面処理方法であるので、環境への負荷を与えることが少なく、金属基材に表面処理を施すことができる。また、当該金属表面処理方法により、金属基材上に優れた耐食性を有する防錆皮膜を形成させることができる。更に、金属表面処理方法に用いる金属表面処理組成物に、密着性付与剤及びカチオン電着塗装時の前記防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤を添加したので、カチオン電着塗装時に電圧を印加した際、防錆皮膜の成分の溶出による電解質生成が抑制される。この結果、防錆皮膜の皮膜抵抗及び電着塗膜の塗膜抵抗を低下させる原因がなくなるため、優れたカチオン電着塗装付きまわり性を与える。
被塗物表面には何らかの原因により防錆皮膜が形成されない欠陥部が生じる場合があるが、前記防錆皮膜の溶出を抑制する安定化剤は、前記欠陥部の金属基材に吸着し、緻密な防錆皮膜を形成するため、耐食性を向上させる。前記安定化剤は、更に、還元及びキレート効果を有するため、処理浴中で生じた鉄(II)イオンが鉄(III)イオンへ酸化されることを抑制し、更に、鉄イオンをキレートして処理浴中での鉄スラッジの生成を抑制し、浴寿命を向上させる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<金属表面処理方法>>
本実施形態においては、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、安定化剤とを含有する金属表面処理組成物を用いて、金属基材の表面処理を行う。金属基材の表面処理を行う表面処理方法は、特に限定されるものではなく、本実施形態に係る金属表面処理組成物を含む表面処理液を金属基材に接触させることによって行うことができる。即ち、本実施形態に係る表面処理方法は、金属表面処理組成物を含む金属表面処理液を接触させる処理液接触工程を含む。表面処理方法の一例としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、流しかけ処理法等を挙げることができる。
金属表面処理液を調製する際のpH調整において用いることのできる酸及び塩基は、特に限定されないが、酸としては硝酸、硫酸、及び有機酸を、塩基としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、及びアミンを好ましく用いることができる。
表面処理における処理温度は、20℃以上70℃以下の範囲内であることが好ましく、30℃以上50℃以下の範囲内であることが更に好ましい。20℃未満では、十分な皮膜形成が行われない可能性があり、また、夏場に冷却装置の導入等による温度調整が必要となる等の不都合があり、70℃を超えても、特に効果はなく、経済的に不利となるだけである。
表面処理における処理時間は、2秒以上1100秒以下の範囲内であることが好ましく、30秒以上120秒以下の範囲内であることが更に好ましい。2秒未満では、十分な皮膜量が得られないので不都合であり、1100秒を超える場合には、これ以上皮膜量を増加させても効果が得られないので無意味である。
<金属表面処理組成物>
本実施形態に係る金属表面処理方法に用いられる金属表面処理組成物は、カチオン電着塗装を施すための金属基材上に防錆皮膜を形成させる際に用いられる金属表面処理組成物であり、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、カチオン電着塗装時の防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤と、を含有する。また、本実施形態に係る金属表面処理組成物は、必要に応じて、遊離フッ素イオン、酸化剤、及び添加剤等を含むものであってもよい。本実施形態に係る金属表面処理組成物は、付きまわり性向上剤として作用しうるものである。密着性付与剤は優れた防錆皮膜を得るための必須成分であるが、用途によってはそれほど高度な防錆能力が要求されない場合がある。このような場合には、電着付きまわり性の問題は主に安定化剤によって解決されるため、かかるコスト削減のため、本実施形態の金属表面処理組成物は、前記密着性付与剤を全く含まなくても構わない。
[ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオン]
金属表面処理組成物に含まれるジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンは、防錆皮膜形成成分である。金属基材にジルコニウム及び/又はチタンを含む防錆皮膜が形成されることにより、金属基材の耐食性や耐磨耗性を向上させることができる。
ジルコニウムイオンの供給源としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化ジルコン酸;フッ化ジルコン酸カリウム及びフッ化ジルコン酸アンモニウム等のフッ化ジルコン酸の塩;フッ化ジルコニウム;酸化ジルコニウム;酸化ジルコニウムコロイド;硝酸ジルコニル;並びに炭酸ジルコニウム等を挙げることができる。
チタンイオンの供給源としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化チタン酸;フッ化チタン酸カリウム及びフッ化チタン酸アンモニウム等のフッ化チタン酸の塩;フッ化チタン;酸化チタン;並びにチタンアルコキシド等を挙げることができる。
本実施形態に係る金属表面処理組成物におけるジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下の範囲内であることが好ましく、50ppm以上5000ppm以下の範囲内であることが更に好ましい。10ppm未満であると、金属基材上に十分な防錆皮膜が得られず、一方で10000ppmを超えると、それ以上の効果は望めず経済的に不利となる。
[密着性付与剤]
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、更に密着性付与剤を含有するものである。上記密着性付与剤は、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である。これらの化合物を含有させることによって、塗膜の密着性及び塗装後の耐食性が著しく向上するものである。
((A)ケイ素含有化合物)
上記(A)ケイ素含有化合物としては特に限定されず、例えば、水分散性シリカ等のシリカ;ケイフッ酸、ケイフッ化アンモニウム、及びケイフッ化ナトリム等のケイフッ化物;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸リチウム等の水溶性ケイ酸塩化合物;ケイ酸エステル類;ジエチルシリケート等のアルキルシリケート類;並びにシランカップリング剤等を挙げることができる。前記ケイ素含有化合物の金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。ケイ素含有化合物の含有量が1ppm未満である場合には、得られる防錆皮膜の耐食性が低下して好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果の向上は望めず経済的に不利であり、更に塗装後の密着性が低下するおそれがある。
(シリカ)
シリカとしては特に限定されないが、金属表面処理組成物中での分散性が高いことから水分散性シリカが好ましく使用できる。上記水分散性シリカとしては特に限定されず、例えば、ナトリム等の不純物が少ない、球状シリカ、鎖状シリカ、及びアルミ修飾シリカ等を挙げることができる。上記球状シリカとしては特に限定されず、例えば、「スノーテックスN」、「スノーテックスO」、「スノーテックスOXS」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスXS」、「スノーテックスAK」、「スノーテックスOUP」、「スノーテックスC」、及び「スノーテックスOL」(いずれも商品名、日産化学工業株式会社製)等のコロイダルシリカや、「アエロジェル」(商品名、日本アエロジェル株式会社製)等のヒュームドシリカ等を挙げることができる。上記鎖状シリカとしては特に限定されず、例えば「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−MO」、及び「スノーテックスPS−SO」(いずれも商品名、日産化学工業株式会社製)等のシリカゾル等を挙げることができる。上記アルミ修飾シリカとしては、「アデライトAT−20A」(商品名、旭電化工業株式会社製)等の市販のシリカゾル等を挙げることができる。上記ケイ素含有化合物は、単独で用いるものであってもよいが、(B)密着付与金属イオン及び/又は(C)密着付与樹脂と組み合わせて使用したときに優れた効果を発揮する。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランが特に好ましい。アミノシランは単量体及び二量体を含む加水分解重縮合物のいずれであってもよいが、アミノシランの加水分解重縮合物の方が、カチオン電着塗装前に水洗可能という点から好ましい。
(アミノシラン)
1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランは、アミノ基を有するために、防錆皮膜中に取り込まれた場合には密着性の向上に寄与すると考えられる。具体的な1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランとしては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの化合物は金属基材への吸着と電着塗膜への密着性に優れるため、塗装後の耐食性を向上させる。市販されているアミノ基含有シランカップリング剤である「KBM−403」、「KBM−602」、「KBM−603」、「KBE−603」、「KBM−903」、「KBE−903」、「KBE−9103」、「KBM−573」、「KBP−90」(いずれも商品名、信越化学工業社製)、及び「XS1003」(商品名、チッソ社製)等を使用することができる。
(アミノシランの加水分解重縮合物)
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、アミノシランの加水分解重縮合物を含有するものであってもよい。アミノシランの加水分解重縮合物は、金属基材表面と、その後に形成される塗膜の双方に作用するため、両者の密着性を向上させることができる。アミノシランの加水分解重縮合物の分子量は特に限定されないが、高分子量であるほうがジルコニウム及び/又はチタンの水酸化物若しくは酸化物に取り込まれやすい傾向にあるため好ましい。このため、アミノシランを加水分解重縮合反応で反応させる際には、アミノシランがより加水分解しやすく、重縮合しやすい条件下で反応させることが好ましい。アミノシランがより加水分解しやすく、重縮合しやすい条件下とは、例えば、溶媒をアルコール及び酢酸等の触媒を含む水性溶媒とした反応条件、上述したような単縮合よりも共縮合となるようなアミノシランの配合による反応条件等である。また、アミノシラン濃度が比較的高い条件下で反応させることによって、より高分子量化された重縮合率の高い条件下で加水分解重縮合物が得られる。具体的にはアミノシラン濃度が5質量%以上50質量%以下の範囲で重縮合させることが好ましい。
(アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量)
アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量はケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上200ppm以下であることが更に好ましい。合計含有量が1ppm未満では密着性が低下し、合計含有量が2000ppmを超える場合には、それ以上の効果は望めず経済的に不利である。
(アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の質量比)
アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解縮合物に含まれるケイ素元素に対する、金属表面処理組成物中に含まれるジルコニウム元素及び/又はチタン元素の質量比は、0.5以上500以下であることが好ましい。質量比が0.5未満である場合には、ジルコニウム及び/又はチタンによる防錆皮膜の形成が阻害されるため、密着性及び耐食性が低下する。質量比が500を超える場合には、アミノシラン及び/又はアミノシラン化水分解重縮合物が十分に防錆皮膜に取り込まれないため、十分な密着性を確保できない。
((B)密着付与金属イオン)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に、(B)密着付与金属イオンを添加することにより、防錆皮膜の耐食性及び密着性を向上させることができる。密着付与金属イオンとしては、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、及び銀からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも、アルミニウムイオンは防錆皮膜の耐食性及び密着性をより向上させうる点で好ましい。密着付与金属イオンの金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。1pp未満であると、得られる防錆皮膜の耐食性が低下するため好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果の向上は見られず、経済的に不利であり、塗装後に密着性が低下するおそれがある。
((C)密着付与樹脂)
(C)密着付与樹脂は、ポリアミン化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びメラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である。これらの化合物を含有させることによって、塗膜の密着性が著しく向上するものである。密着付与樹脂の金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。1ppm未満であると、得られる防錆皮膜の耐食性が低下するため好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果は見られず経済的に不利であり、塗装後密着性が低下するおそれがある。
(ポリアミン化合物)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に含まれるポリアミン化合物は、1分子中に複数のアミノ基(好ましくは1級アミノ基)を有する高分子化合物である。このアミノ基を含有するポリアミン化合物は、防錆皮膜と、その後に形成される塗膜との双方に作用するため、両者の密着性を向上させることができる。ポリアミン化合物の分子量は、特に限定されないが、150以上500000以下であることが好ましく、5000以上70000以下であることが更に好ましい。分子量が150未満である場合には十分な塗膜密着性を有する防錆皮膜が得られず好ましくない。分子量が500000を超える場合には皮膜形成を阻害するおそれがある。
(ポリアミン化合物の構造式)
ポリアミン化合物の一例としては、以下の構造を有するポリアミン化合物が挙げられる。即ち、このポリアミン化合物は、少なくとも一部に下記化学式(1)、(2)、及び(3)で表される構成単位のうち一種を有する化合物である。
Figure 0005201916
[式(3)中、Rは炭素数1から6のアルキレン基であり、Rは下記化学式(4)から(6)で表される置換基であり、Rはヒドロキシル基、炭素数1から6のアルコキシ基、又は、炭素数1から6のアルキル基である。]
Figure 0005201916
[式(6)中、Rは水素原子、炭素数1から6のアミノアルキル基、又は炭素数1から6のアルキル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアミノアルキル基である。]
ポリアミン化合物は、密着性を向上する効果に優れているという点で、上記化学式(1)で表される構成単位からなるポリビニルアミン樹脂、上記化学式(2)で表される構成単位からなるポリアリルアミン樹脂、及び上記化学式(3)で表される構成単位からなるポリシロキサンであることが好ましい。ポリシロキサンの一例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの加水分解重縮合物、並びにその塩を挙げることができる。
上記ポリビニルアミン樹脂としては、特に限定されず、例えば、「PVAM−0595B」(商品名、三菱化学社製)等の市販のポリビニルアミン樹脂を使用することができる。上記ポリアリルアミン樹脂としては特に限定されず、例えば、「PAA−01」、「PAA−10C」、「PAA−H−10C」、及び「PAA−D−41HCl」(いずれも商品名、日東紡績社製)等の市販のポリアリルアミン樹脂を使用することができる。また、ポリビニルアミン樹脂、ポリアリルアミン樹脂、及びポリシロキサンのうち二種以上を併用してもよい。
ポリアミン化合物の質量に対するジルコニウム元素及び/又はチタン元素の含有量の比は、0.1以上100以下であることが好ましく、0.5以上20以下であることが更に好ましい。含有量の比が0.1未満である場合には、十分な耐食性及び密着性を得ることができない。含有量の比が100を超える場合には防錆皮膜にクラックが発生しやすくなり、均一な皮膜を得ることが困難となる。
(ブロック化イソシアネート化合物)
ブロック化イソシアネート化合物としては、特に限定されないが、フェノール系、アルコール系、オキシム系、活性メチレン系、酸アミド系、カルバミン酸塩系、及び亜硫酸塩系等のブロック剤でブロック化されたトリレンジイソシアネートの異性体類;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;並びにヘキサメチレンジイソシアネート及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等が挙げられる。
(メラミン樹脂)
メラミン樹脂の具体例としては、メトキシ基を有するメチルエーテル型として、「サイメル303」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル370」、及び「サイメル385」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)や、「スミマールM40S」、「スミマールM50S」、及び「スミマールM100」(いずれも商品名、住友化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、ブトキシ基を有するブチルエーテル型としては、「ユーバン20SE60」、「ユーバン20SE125」、及び「ユーバン20SE128」(いずれも商品名、三井東圧化学株式会社製)や、「スーパーベッカミンG821」、及び「スーパーベッカミンJ820」(いずれも商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)や、「マイコート506」、及び「マイコート508」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)等が挙げられる。更に混合エーテル型メラミンとしては、「サイメル325」、「サイメル328」、「サイメル254」、「サイメル266」、「サイメル267」、「サイメル285」、及び「サイメル1141」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)や、「ニカラックMX−40」、及び「ニカラックMX−45」(いずれも商品名、三井ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
上記密着性付与剤としては、(A)ケイ素含有化合物を用いることが好ましく、また、(A)ケイ素含有化合物と(B)密着付与金属イオンとを併用することが、性能の点から特に好ましい。好ましい(A)ケイ素含有化合物としては、シランカップリング剤であり、特にアミノシランの加水分解重縮合物が好ましい。また、密着性付与剤として、(A)ケイ素含有化合物を用いた場合に併用する(B)密着付与金属イオンとしては、アルミニウムイオンが好ましい。即ち、密着性付与剤としては、(A)ケイ素含有化合物としてシランカップリング剤と、(B)密着付与金属イオンとしてアルミニウムイオンとの組み合わせが好ましく、(A)ケイ素含有化合物としてアミノシランの加水分解重縮合物と、(B)密着付与金属イオンとしてアルミニウムイオンとの組み合わせが特に好ましい。アルミニウムイオンの存在によってジルコニウムによる防錆皮膜が形成されなかった部分に対してもアルミニウムによる皮膜が形成され、且つ、当該皮膜にアミノシランの加水分解重縮合物が有する複数のアミノ基が存在することにより、格段に優れる塗膜密着性が得られる。
[安定化剤]
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、カチオン電着塗装時に防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤を含有する。前述したとおり、ジルコニウム系及び/又はチタン系の表面処理組成物で処理して得られる防錆皮膜の皮膜抵抗は、従来公知のリン酸亜鉛系皮膜と比較して小さい。加えて、ジルコニウム及び/又はチタンを含有する防錆皮膜を形成した金属基材に、カチオン電着塗装を施す場合、陰極となる金属基材付近のアルカリ性の条件下では防錆皮膜中の成分が溶出し、これが電解質として作用する。この電解質が電着塗膜中に浸入する傾向にあるため、電着塗膜の塗膜抵抗が低下し、電着塗料の付きまわり性を著しく低下させる。安定化剤は防錆皮膜成分の溶出を抑制すると共に、防錆皮膜の欠陥部(金属基材が露出した部分)に吸着し、皮膜の腐食抵抗を高め、耐食性を向上させる。安定化剤は、更にキレート力を有するため、例えば鉄(II)イオンを安定化させ、酸化鉄等のスラッジの発生を抑制し、結果的に処理浴の寿命を増大させるメリットをももたらす。
電着塗装時における電解質の生成による電着塗膜の塗膜抵抗の低下を防止するため、本実施形態に係る金属表面処理組成物は溶出したイオン等を捕捉し、不溶化又は安定化させることのできる安定化剤を含有する。安定化剤としては、具体的には、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
なお、安定化剤は、通常用いられるジルコニウム及び/又はチタン系の表面処理組成物に添加して、カチオン電着塗装時の付きまわり性を向上させることができる表面処理組成物の調製に用いてもよい。
(ヒドロキシ酸)
ヒドロキシ酸は水酸基を併せ持つカルボン酸の総称であり、ヒドロキシカルボン酸、オキシ酸、アルコール酸等と呼ばれる場合もある。本実施形態においては、1分子中に少なくとも1つのカルボキシル基及び少なくとも1つの水酸基を有する水溶性化合物を使用することができる。具体的には、アスコルビン酸、クエン酸、マロン酸、グルコン酸、酒石酸、及び乳酸を好ましく使用することができる。
(アミノ酸)
アミノ酸としては、各種天然アミノ酸及び合成アミノ酸の他、1分子中に少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つの酸基(カルボキシル基やスルホン酸基等)を有する合成アミノ酸を広く利用することができる。この中でも、アラニン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、アスパラギン、アルギニン、グルタミン、システィン、ロイシン、リジン、プロリン、セリン、トリプトファン、バリン、及びチロシン、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種を好ましく使用することができる。また、アミノ酸に光学異性体が存在する場合、L体、D体、ラセミ体を問わず、いずれも好適に使用することができる。
(アミノカルボン酸)
アミノカルボン酸としては、上記アミノ酸以外で、1分子中にアミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を有する化合物が広く利用可能である。この中でも、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン6酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン4酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−6−ヒドロキシプロパン4酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、及び(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種を好ましく使用することができる。更に、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びニトリロ3酢酸(NTA)も利用可能であるが、毒性を有する点、及び生分解性が低い点から、使用する場合には細心の注意が必要である。なお、NTAのナトリウム塩であるニトリロ3酢酸ナトリウム塩は、上記問題が少ないと考えられるため、好適に使用可能である。
(芳香族酸)
芳香族酸としては、具体的には、1分子中に少なくとも1つのフェノール性水酸基を含有するフェノール系化合物を挙げることができる。前記フェノール系化合物は、例えば、カテコール、没食子酸、ピロガロール、及びタンニン酸等の2以上のフェノール性水酸基を有する化合物又はこれらを基本骨格とするフェノール系化合物(例えば、フラボノイド、タンニン、及びカテキン等を包含するポリフェノール系化合物、ポリビニルフェノールや水溶性レゾール、ノボラック樹脂等)、リグニン等を挙げることができる。中でも、タンニン、没食子酸、カテキン、及びピロガロールが特に好ましい。フラボノイドは、特に限定されず、例えばフラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノール、アントシアニジン、オーロン、カルコン、エピガロカテキンガレート、ガロカテキン、テアフラビン、ダイズイン、ゲニスチン、ルチン、及びミリシトリン等が挙げられる。
(ホスホン酸化合物)
ホスホン酸化合物としては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸−2−ホスホブタノン−1,2,4−トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及び2−ホスホブタノン−1,2,4−トリカルボン酸等の有機ホスホン酸化合物が好ましく用いられる。ホスホン酸化合物は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
(スルホン酸化合物)
スルホン酸としては、メタスルホン酸、イセチスルホン酸、タウリン、ナフタレンジスルホン酸、アミノナフタレンジスルホン酸、スルホサリチル酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、及びアルキルナフタレンスルホン酸、並びにこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
スルホン酸化合物を用いると、表面処理後の金属基材の塗装性・耐食性を向上させることができる。そのメカニズムは明らかではないが、以下の二つの理由が考えられる。
まず1つは、鋼板等の金属基材の表面には、シリカ偏析物等が存在しており、表面組成が不均一であるため、表面処理においてエッチングされにくい部分が存在する。しかしながら、スルホン酸化合物を添加することにより、そのようなエッチングされにくい部分をエッチングすることができ、その結果、被塗物表面に均一な防錆皮膜が形成されやすくなるものと推測される。即ち、スルホン酸化合物はエッチング促進剤として作用するものを推測される。
もう1つは、表面処理時においては、化成反応により発生しうる水素ガスが界面の反応を妨げている可能性があり、スルホン酸化合物は復極作用として水素ガスを取り除き、反応を促進しているものと推測される。
アミノ基とスルホン基との両方を有しているという点から、スルホン酸化合物の中でもタウリンが好ましい。スルホン酸化合物の含有量は、0.1ppm以上10000ppm以下であることが好ましく、1ppm以上1000ppm以下であることが更に好ましい。当該含有量が0.1ppm未満であると、スルホン酸化合物を添加する効果を十分に得ることができず、10000ppmを超えるとジルコニウム及び/又はチタニウムの析出を阻害するおそれがある。
(多価アニオン)
多価アニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン類、フェノール化合物、ポリアクリル酸及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。これらのうち、タンニン類としては、ガロタンニン、エラジタンニン、及びカテキンを挙げることができ、糖類としては、グルコース、マルトース、及びフルクトースを挙げることができる。以上の多価アニオンの中でも、縮合リン酸、ポリアクリル酸、及びカテキンを用いることが好ましい。
安定化剤としては、上記ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンのいずれを用いても付きまわり性を向上させることができるが、従来からキレート剤として知られているクエン酸、グルコン酸、及びアスコルビン酸等のヒドロキシ酸だけを安定化剤として用いた態様においては、付きまわり性と耐食性とを両方満たしにくいことから、安定化剤としては、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンのいずれか一種又は二種以上を用いることが好ましい。
これらの中でも、前記密着性付与剤として(A)ケイ素含有化合物を用いた場合の付きまわり性、耐食性の向上効果に優れる点で、安定化剤としては、アミノ酸、アミノカルボン酸、及びスルホン酸化合物のいずれか一種又は二種以上を用いることが好ましく、付きまわり性・耐食性を向上させる効果に特に優れるスルホン酸化合物が特に好ましい。
また、前記密着性付与剤として、(A)ケイ素含有化合物及び(B)密着付与金属イオンを併用した場合には、安定化剤として、アミノ酸、アミノカルボン酸、スルホン酸化合物のいずれか一種又は二種以上を用いることにより、付きまわり性・耐食性が特に向上する。
密着性付与剤と安定化剤との組み合わせとしては、密着性付与剤として、(A)ケイ素含有化合物であるアミノシランの加水分解重縮合物と、(B)密着付与金属イオンのアルミニウムイオンと、安定化剤として、アミノ酸、アミノカルボン酸、及びスルホン酸化合物のいずれか一種又は二種以上を用いることができる。これらの中でも、特にスルホン酸化合物との組み合わせが好ましい。
(安定化剤の添加量)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に添加する安定化剤の添加量は、0.1ppm以上10000ppm以下の範囲内であることが好ましく、1ppm以上1000ppm以下の範囲内であることが更に好ましい。安定化剤の濃度が0.1ppm未満である場合には、安定化剤の添加による効果を十分に得ることができないため好ましくなく、10000ppmを超える場合には、防錆皮膜形成を阻害するため、好ましくない。
(安定化剤の還元性キレート力)
安定化剤は、還元性キレート力を有することが好ましい。還元性を有することにより、表面処理浴中に溶出した鉄(II)イオンが、鉄(III)イオンに酸化されるのを抑制することができ、スラッジの発生を抑制することができる。また、生じた鉄(III)イオンをキレートして安定化させる。これにより、表面処理浴の浴寿命が増大する。還元性キレート力を有する安定化剤としては、乳酸、アスコルビン酸、及びクエン酸等を挙げることができる。これらの安定化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
[遊離フッ素イオン]
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、遊離フッ素イオンを更に含有することもできる。遊離フッ素イオンは、金属基材のエッチング剤、並びにジルコニウム及び/又はチタンの錯化剤としての役割を果たすものである。遊離フッ素イオンの供給源としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化水素アンモニウム、フッ化ナトリウム、及びフッ化水素ナトリウム等のフッ化物を挙げることができる。また、錯フッ化物を供給源とすることも可能であり、例えば、ヘキサフルオロケイ酸塩、具体的には、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸亜鉛、ケイフッ化水素酸マンガン、ケイフッ化水素酸マグネシウム、ケイフッ化水素酸ニッケル、ケイフッ化水素酸鉄、及びケイフッ化水素酸カルシウム等を挙げることができる。
遊離フッ素イオン濃度は、フッ素イオン感応電極で測定した場合に、0.01ppm以上100ppm以下となることが好ましく、0.1ppm以上20ppm以下であることが更に好ましい。遊離フッ素イオンの濃度が0.01ppm未満では、不安定となり沈殿が生じるおそれがある上、エッチング力が低下して十分に皮膜形成が行われないおそれがある。一方で、遊離フッ素イオンの濃度が100ppmを超えると、エッチング過多となり、防錆皮膜の形成が十分に行われないおそれがある。
[pH]
本実施形態で用いられる金属表面処理組成物のpHは、1.5以上6.5以下の範囲内であることが好ましく、2.0以上5.5以下の範囲内であることがより好ましく、2.5以上5.0以下の範囲内であることが更に好ましい。pHが1.5未満であると、エッチングが過剰となり充分な皮膜形成ができなくなる場合や、皮膜の付着量及び膜厚が不均一となって、塗装外観等に悪影響を与える場合がある。一方で、6.5を超えると、エッチングが不充分となり良好な皮膜が得られない。
なお、金属表面処理組成物のpHは、硝酸及び硫酸等の酸性化合物、及び、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びアンモニア等の塩基性化合物を使用して調整することができる。
[酸化剤]
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、防錆皮膜の形成を促進するための酸化剤を含有することもできる。金属表面処理組成物に含有させることのできる酸化剤としては、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
<金属基材>
本実施形態に係る表面処理方法において用いられる金属基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄系金属基材、アルミニウム系金属基材、及び亜鉛系金属基材等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る表面処理方法は、鉄系金属基材、アルミニウム系金属基材、及び亜鉛系金属基材等の複数種類の金属基材の組み合わせ(異種金属同士の接合部及び接触部を含む)からなる金属基材に対しても、同時に適用することができる。特に、自動車車体や自動車用部品等は、鉄、亜鉛、及びアルミニウム等の種々の金属基材により構成されているが、本実施形態の金属表面処理方法によれば、十分な素地隠蔽性及び密着性を有する防錆皮膜を形成することができ、良好な耐食性を付与できる。
本実施形態に係る金属基材として用いられる鉄系金属基材としては、特に限定されず、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、軟鋼板、及び高張力鋼板等を挙げることができる。また、アルミニウム系金属基材としては、特に限定されず、例えば5000番系アルミニウム合金、6000番系アルミニウム合金、並びにアルミニウム系の電気めっき、溶融めっき、及び蒸着めっき等のアルミニウムめっき鋼板等を挙げることができる。また、亜鉛系金属基材としては、特に限定されず、例えば亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、及び亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、並びに蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板等を挙げることができる。高張力鋼板としては、強度や製法により多種多様なグレードが存在するが、例えばJSC400J、JSC440P、JSC440W、JSC590R、JSC590T、JSC590Y、JSC780T、JSC780Y、JSC980Y、及びJSC1180Y等を挙げることができる。
<防錆皮膜量>
本実施形態に係る表面処理方法によって形成された防錆皮膜の皮膜量は、鉄系金属基材の場合、ジルコニウム及び/又はチタンの金属元素換算で10mg/m以上であることが好ましく、20mg/m以上であることがより好ましく、30mg/m以上であることが更に好ましい。防錆皮膜の皮膜量が10mg/m未満である場合には、十分な耐食性を得られない。
いずれの金属材料においても、防錆皮膜の皮膜量に上限は特にないが、皮膜量が多すぎると、防錆皮膜にクラックが発生しやすくなり、均一な皮膜を得ることが困難となる。この点で、本実施形態の金属表面処理方法によって形成された防錆皮膜の皮膜量は、ジルコニウム及び/又はチタンの金属元素換算で1g/m以下であることが好ましく、800mg/m以下であることが更に好ましい。
<金属材料>
本実施形態に係る表面処理方法によって、金属基材上に防錆皮膜を形成してなる金属材料は、表面処理時に金属基材から溶出した金属元素を含有する化合物を防錆皮膜中に含有している。この金属元素を含有する化合物は、金属表面処理組成物に含まれる安定化剤の作用により不溶化され、カチオン電着塗装時のアルカリ性の環境下でも、金属イオンを溶出しない構造となっている。このため、本実施形態の金属材料を用いてカチオン電着塗装を行った場合、防錆皮膜の電気抵抗値が低下しないため、均一に塗膜を形成させることができ、付きまわり性を向上させることができる。
<<カチオン電着塗装>>
<カチオン電着塗料>
カチオン電着塗装において用いることができるカチオン電着塗料としては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されないが、アミノ化エポキシ樹脂、アミノ化アクリル樹脂、及びスルホニウム化エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂、硬化剤、並びに封止剤を含む公知のカチオン電着塗料を塗布することができる。
本実施形態に係る変性エポキシ樹脂としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環をアミンで開環して製造されるアミン変性エポキシ樹脂及びオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が用いられる。変性エポキシ樹脂の原料となるビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としては「エピコート828」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180から190)、「エピコート1001」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量450から500)、及び「エピコート1010」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量3000から4000)等があり、後者の市販品としては「エピコート807」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量170)等がある。
本実施形態のカチオン電着塗料は、更に、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。好ましくは、ポリイソシアネートを封止剤でブロック化したブロックイソシアネート硬化剤が用いられる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート;並びに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
本実施形態のカチオン電着塗料は、更に、封止剤を含むことが好ましい。封止剤としては、n−ブタノール、n−ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、及びメチルフェニルカルビノール等の一価のアルキル(又は芳香族)アルコール類;エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のセロソルブ類;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、及びクレゾール等のフェノール類;ジメチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;並びにε−カプロラクタム及びγ−ブチロラクタムに代表されるラクタム類が挙げられる。
<カチオン電着塗装方法>
カチオン電着塗装は、被塗物を陰極として、陽極との間に通常、50V以上450V以下の電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不十分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異常外観となる。また、電圧を印加する時間は電着条件により異なるが、一般には2分以上4分以下とすることが好ましい。
このようにして得られた塗膜は、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、焼付け(加熱処理)を行って硬化させる。焼き付け(加熱処理)の条件は、120℃以上260℃以下であることが好ましく、140℃以上220℃以下であることが更に好ましい。焼付け(加熱処理)の時間は10分以上30分以下であることが好ましい。
<金属表面処理組成物の浴寿命の管理方法>
本実施形態の金属表面処理組成物には、安定化剤として、還元性キレート力を有する化合物を含有させることにより、浴寿命を増大させることができる。即ち、安定化剤が還元性キレート力を有することにより、鉄(II)イオンの酸化に伴うスラッジの発生を防止して、浴寿命を増大させることができる。このような浴寿命の管理方法は、金属表面処理組成物の酸化還元電位(ORP)を450mV以下に抑えることにより実施することが可能である。具体的には、例えば、乳酸、アスコルビン酸、及びクエン酸等の化合物を1ppm以上10000ppm以下となるように添加するとよい。酸化還元電位の測定は、「酸化還元測定器−D22」(商品名、堀場製作所社製)等の酸化還元測定器により測定することができる。
<実施例1>
[金属基材]
市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を金属基材として用意した。
[金属基材の前処理]
アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間、上記金属基材の脱脂処理を行った。これを水洗槽で浸漬洗浄した後、水道水で約30秒間スプレー洗浄を行った。
[金属表面処理組成物の調製]
ジルコニウムとして40%ジルコン酸を金属元素換算で500ppm、密着性付与剤として「KBE903」(3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で200ppm、安定化剤としてHIDAを200ppmとなるように添加し、NaOHでpH4に調整し、金属表面処理組成物を得た。
なお、上記KBE903としては、5質量部のKBE903を滴下漏斗から脱イオン水45質量部とエタノール50質量部との混合溶媒中(溶媒温度:25℃)に60分間かけて均一に滴下し、これを窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させ、その後、反応溶液を減圧することによりエタノールを蒸発させた、有効成分5%のKBE903の加水分解重縮合物(以下、「KBE903重縮合物A」という。)を用いた。
得られた金属表面処理組成物のORPは308mV、アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素の含有量の比(Zr/Si比)は20であった。表面処理は、40℃で60秒間行った。
<実施例2>
密着性付与剤として「KBM603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で200ppm、安定化剤としてアスパラギン酸を100ppm用い、ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。
なお、上記KBM603としては、KBE903の代わりにKBM603を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で、予め加水分解重縮合させたKBM603の加水分解重縮合物(以下、「KBM603重縮合物」という)を用いた。
金属表面処理組成物のORPは356mV、Zr/Si比は10であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例3>
密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を50ppm、及び硝酸亜鉛を500ppm用い、安定化剤としてクエン酸を50ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で700ppm用いて、pHを3.5に調整した点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。金属表面処理組成物のORPは295mVであった。表面処理は、35℃で90秒間行った。
<実施例4>
「KBE903」(信越化学工業社製)を15重量部と、「KBE603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、商品名、信越化学工業社製)を15重量部とを滴下漏斗から、溶媒として70重量部の脱イオン水(溶媒温度:25℃)に60分かけて均一に滴下した後、窒素雰囲気下25℃で24時間反応を行い、有効成分30%のオルガノシランの加水分解重縮合物(以下、「KBE903−KBE603共縮合物」という)を得た。密着性付与剤として、この「KBE903−KBE603共縮合物」を有効成分濃度で300ppm用い、安定化剤としてTTHAを200ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で700ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。金属表面処理組成物のORPは305mV、Zr/Si比は19であった。表面処理は、35℃で90秒行った。
<実施例5>
密着性付与剤として「KBE603」(商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で300ppm、及びケイフッ酸を有効成分濃度で50ppm用い、安定化剤としてヒスチジンを150ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調整を行った。金属表面処理組成物のORPは311mV、Zr/Si比は13とした。表面処理は40℃で90秒間行った。
なお、上記KBE603としては、KBE903の代わりにKBE603を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で予め重縮合させたKBE603の加水分解重縮合物(以下、「KBE603重縮合物」という)を用いた。
<実施例6>
密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を30ppm用い、安定化剤としてDTPAを200ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。金属表面処理組成物のORPは290mVであった。表面処理は40℃で90秒間行った。
<実施例7>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を有効成分濃度で150ppm用い、安定化剤として「ヒシコーリンTHPS」(リンオニウム、商品名、日本化学工業社製)を100ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は13であった。表面処理は40℃で90秒間行った。
<実施例8>
「KBE903」(商品名、信越化学工業社製)30重量部を滴下漏斗から、脱イオン水35重量部とイソプロピルアルコール35重量部の混合溶媒中(溶媒温度:25℃)に60分かけて均一に滴下した。これを、窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させた。その後、反応溶液を減圧することによりイソプロピルアルコールを蒸発させ、有効成分30%のオルガノシランの加水分解重縮合物(以下、「KBE903重縮合物B」という)を得た。密着性付与剤として、このKBE903重縮合物を有効成分濃度で150ppm用い、没食子酸100ppmを安定化剤として用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は43であった。
<実施例9>
密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を50ppm用い、安定化剤として「PO40」(還元糖、商品名、東和化成工業社製)を200ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で700ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は40℃で90秒間行った。
<実施例10>
密着性付与剤として「コロイダルシリカOXS」(コロイダルシリカ、商品名、日産化学社製)を有効成分濃度で200ppm用い、安定化剤としてチロシンを200ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例11>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を200ppm、及び硝酸マグネシウムを500ppm用い、安定化剤としてNTAのナトリウム塩を150ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いて、pHを3.5に調整した点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は10であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例12>
「KBE903」(商品名、信越化学工業社製)15重量部と、「KBE603」(商品名、信越化学工業社製)15重量部と、脱イオン水35重量部とエタノール35重量部との混合溶媒(溶媒温度:25℃)に、滴下漏斗で60分かけて均一に滴下した後、窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させた。その後、反応溶液を減圧することにより、イソプロピルアルコールを蒸発させて、有効成分30%のオルガノシランの加水分解重縮合物(以下、「KBE903−KBE603共縮合物B」という)を得た。密着性付与剤としてこの「KBE903−KBE603共縮合物B」を有効成分濃度で200ppmと、水酸化アルミニウム500ppmと、フッ酸1100ppmと、を用い、安定化剤としてグリシンを100ppm用い、更にジルコニウムを金属元素換算で700ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は28であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例13>
ジルコニウムとして、ジルコンフッ化水素酸を金属元素換算で250ppm用い、密着付与剤として変性ポリアリルアミンを50ppm用い、安定化剤としてHEDTAを150ppm用い、更に添加剤として亜硝酸ナトリウムを100ppm用いて、pHを3.5に調整した点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
なお、変性ポリアリルアミンは、1重量%の「PAA10C」(ポリアリルアミン、有効濃度10%、商品名、日東紡績社製)と、エポキシ基を有する化合物として「KBM403」(3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、有効濃度100%、商品名、信越化学工業社製)を、重量比1:0.5で混合し、反応温度25℃、反応時間60分で反応させることにより合成した。
<実施例14>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を有効成分濃度で200ppm用い、安定化剤として乳酸を100ppm用い、添加剤としてポリヘキサメチレンビグアニジンの酢酸塩(ビグアナイド)を100ppm用い、ジルコニウムを金属元素換算で700ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は28であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例15>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物B」を有効成分濃度で150ppm用い、安定化剤としてフェニルアラニンを150ppm用い、更に添加剤としてアスコルビン酸を100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従い、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は27であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。
<実施例16>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を有効成分濃度で150ppm、安定化剤としてメタンスルホン酸を200ppm、添加剤としてアルミニウムイオンを200ppm、ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従い、金属表面処理組成物の調製を行った。Zr/Si比は13であった。表面処理は、実施例1記載の条件と同様の条件で行った。なお、アルミニウムイオンの供給源としては、硝酸アルミニウムを用いた。
<実施例17>
密着性付与剤として「KBE603重縮合物A」を有効成分濃度で200ppm、安定化剤としてクエン酸を50ppm用い、ジルコニウムを金属元素換算で700ppm用い、pHを3.5に調整した点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は、35℃で90秒間行った。
<比較例1>
安定化剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従い、金属表面処理組成物の調製を行った。なお、ORPは459mV、Zr/Si比は20であった。表面処理は、40℃で90秒間行った。
<比較例2>
密着性付与剤、安定化剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従い、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は、40℃で90秒間行った。
<比較例3>
密着性付与剤、安定化剤を用いず、添加剤として亜硝酸ナトリムを100ppm用い、ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従い、金属表面処理組成物の調製を行った。なお、ORPは567mVであった。表面処理は、40℃で90秒間行った。
<比較例4>
密着性付与剤として「PAA−10C」(ポリアリルアミン樹脂、日東紡績社製)を50ppm用い、添加剤として硝酸マグネシウムを100ppm用い、安定化剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調製を行った。表面処理は、40℃で90秒間行った。
<比較例5>
ジルコニウムを用いず、安定化剤としてHIDAを200ppm用い、密着性付与剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従って、金属表面処理組成物の調整を行った。表面処理は40℃で90秒間行った。
<比較例6(参考例)>
表面処理剤として、リン酸亜鉛系表面処理剤(「サーフファインGL1/サーフダイン6350」、商品名、日本ペイント社製)を用い、35℃で90秒間表面処理を行った。表面処理に先立つ前処理は、実施例1に記載の方法に従って行った。
<評価方法>
(付きまわり性)
付きまわり性は、特開2000−038525号公報に記載された「4枚ボックス法」により評価した。即ち、図1に示すように、実施例1から17、比較例1から6で表面処理を施した金属材料を、4枚立てた状態で、間隔20mmで平行に配置し、両側面下部及び底面を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を調製した。なお、金属材料4を除く金属材料1、2、3には下部に直径8mmの貫通穴5を設けた。
このボックス10を、カチオン電着塗料で満たした電着塗装容器20内に浸漬した。この場合、各貫通穴5のみからカチオン電着塗料がボックス10の内部に浸入する。
マグネチックスターラーでカチオン電着塗料を攪拌しながら、各金属材料1から4を電気的に接続し、金属材料1との距離が150mmとなるように対極21を配置した。各金属材料1から4を陰極、対極21を陽極として電圧を印加し、カチオン電着塗装を行った。塗装は、印加開始から5秒間で金属材料1のA面に形成される塗膜の膜厚が20μmに達する電圧まで昇圧し、その後175秒間その電圧を維持することにより行った。このときの浴温は30℃に調整した。
塗装後の各金属材料1から4は水洗した後、170℃で25分間焼付けし、空冷後、対極21に最も近い金属材料1のA面に形成された塗膜の膜厚と、対極21からもっとも遠い金属材料4のG面に形成された塗膜の膜厚とを測定し、膜厚(G面)/膜厚(A面)の比により付きまわり性を評価した。この値が大きいほど、付きまわり性がよいと評価できる。結果を表1に示す。
(スラッジ観察)
実施例及び比較例で化成処理を行い、室温で30日経過後に、化成処理剤中の濁り(スラッジの発生)を目視により比較して、作業性を下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:透明液体
○:わずかにうすく濁る
△:濁る
×:沈殿物(スラッジ)発生
(皮膜量)
実施例及び比較例で得られた試験版について、防錆皮膜中のZr量及びSi量を測定した。測定は蛍光X線分析により行った。結果を表1に示す。
(二次密着試験(SDT))
実施例及び比較例で得られた試験板に、素地まで達する縦平行のカットを2本入れ、5%NaCl水溶液にて、50℃で480時間の浸漬を行った。次いで、水洗及び風乾を行った後、カット部に密着テープ「エルパックLP−24」(ニチバン社製)を密着させ、更に密着テープを急激に剥離した。剥離した密着テープに付着した塗料の最大幅(片側)の大きさを測定した。同様の試験は、亜鉛めっき鋼板(GA)、アルミニウム板(Al)に表面処理を行い、電着塗装を施したものについても行った。結果を表1に示す(単位:mm)。
Figure 0005201916
(サイクル腐食試験(CCT))
実施例及び比較例で得られた試験板のエッジ・裏面をテープシールし、カッターでクロスカット疵(金属に達する疵)を入れ、以下の条件によりCCT試験を行った。
即ち、35℃、湿度95%に保たれた塩水噴霧試験器中で、35℃に保温した5%NaCl水溶液を2時間連続噴霧した。次いで60℃、湿度20から30%の条件下で4時間乾燥した。これを24時間の間に3回繰り返したものを1サイクルとし、200サイクルの後に塗膜の膨れ幅(両側)を測定した。同様の試験は、亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板(HT)に表面処理を行い、電着塗装を施したものについても行った。結果を表2に示す(単位:mm)。
(SST)
35℃、5%NaCl水溶液を連続噴霧し、30日経過後の膨れ幅を測定(mm)し、エッジ部の錆発生状態を目視評価した。結果を表2に示す。
◎:錆なし
○:殆ど錆なし
△:ところどころに錆発生
×:多数錆発生
(腐食抵抗)
実施例及び比較例で得られた試験板について、「ポテンションスタットHZ−3000」(商品名、北斗電工社製)を用いて、5%NaCl水溶液で腐食抵抗の抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(一次湿潤)
実施例及び比較例で得られた試験板を、温度50℃湿度95%の雰囲気下に1時間放置し、錆面積の全体面積に対する割合(%)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005201916
付きまわり性を評価する際に用いるボックスの一例を示す斜視図である。 付きまわり性の評価を模式的に示す図面である。
符号の説明
1 金属材料
2 金属材料
3 金属材料
4 金属材料
5 貫通穴
10 ボックス
20 電着塗装容器
21 対極

Claims (7)

  1. 複数の曲部を有する金属基材上に、カチオン電着塗装前に、電着付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成するための金属表面処理方法であって、
    前記金属表面処理方法は、
    ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、
    密着性付与剤と、
    前記カチオン電着塗装時の前記防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤と、を含有する、カチオン電着塗装前処理用の金属表面処理組成物を用いて、前記金属基材上に付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成させることを特徴とする金属表面処理方法であり、
    前記安定化剤は、アミノ酸及びアミノカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記密着性付与剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシラン及び前記アミノシランの加水分解重縮合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記金属表面処理組成物における前記ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下であり、
    前記金属表面処理組成物中における前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量は、ケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であり、
    前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.5以上500以下である金属表面処理方法。
  2. 前記アミノ酸は、アラニン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、及びチロシン、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の金属表面処理方法。
  3. 前記アミノカルボン酸は、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン6酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン4酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−6−ヒドロキシプロパン4酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、及び(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の金属表面処理方法。
  4. 前記安定化剤は還元性を有し、前記金属表面処理組成物の酸化還元電位(ORP)が450mV以下である、請求項1から3のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  5. 複数の曲部を有する金属基材上に、カチオン電着塗装の前に電着付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成するために、請求項1から4のいずれかに記載の金属表面処理方法に用いられる金属表面処理組成物。
  6. 前記防錆皮膜は、前記金属基材から溶出して前記防錆皮膜に取り込まれ、且つ、前記防錆皮膜から金属イオンの溶出を防止する安定化剤により不溶化された金属元素を含み、請求項1から4のいずれかに記載の表面処理方法により形成される、カチオン電着塗装に用いられる電着塗料の付きまわり性に優れた複数の曲部を有する金属材料。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載の金属表面処理方法により、前記金属基材上に電着塗料の付きまわり性に優れた防錆皮膜を形成させる金属表面処理工程と、
    前記防錆皮膜が形成された前記金属基材上に、変性エポキシ樹脂及び硬化剤を含むカチオン電着塗料を電着塗装する電着塗装工程と、を有する、複数の曲部を有する金属基材の塗装方法。
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