JP2008088553A - 金属基材の表面処理方法、当該表面処理方法により処理されてなる金属材料、及び当該金属材料の塗装方法 - Google Patents

金属基材の表面処理方法、当該表面処理方法により処理されてなる金属材料、及び当該金属材料の塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カチオン電着塗装に先立って行われる、金属基材の表面処理方法であって、カチオン電着塗装における付きまわり性を向上させるために用いられる表面処理方法、当該表面処理方法により処理されてなる金属材料、及びこの金属材料の塗装方法を提供すること。
【解決手段】ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の密着性付与剤と、を含有する表面処理用組成物を用いて、金属基材を表面処理して防錆皮膜を形成させる金属基材の表面処理工程と、前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部の部位を、所定の溶液で処理する後処理工程と、を有するカチオン電着塗装の付きまわり性を向上させる金属表面処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン電着塗装に先立って行われる、金属基材の表面処理方法、当該表面処理方法により処理されてなる金属材料、及び当該金属材料の塗装方法に関する。
カチオン電着塗装は、金属板を折り曲げ加工して得られる曲面及び袋部、並びに金属板同士の接合部等を有する複数の曲部を有する金属基材(被塗物)に対して細部にまで塗装を施すことができる。また、自動的且つ連続的に塗装することができるので、特に自動車車体等の大型で複数の曲面及び袋部を有する金属基材の下塗り塗装方法として、広く実用化されている。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料組成物中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行われる。
カチオン電着塗装の過程における塗膜の析出は、電気化学的な反応によるものであり、電圧の印加により、電着塗料中の成分が電気泳動により被塗物表面に移動し、被塗物表面に塗膜が析出する。析出した塗膜は絶縁性を有するので、電着塗装過程において、塗膜の析出が進行して塗膜の膜厚が増加するのに従い、塗膜の電気抵抗は大きくなる。
その結果、当該部位への塗膜の析出は減少し、代わって未析出部位への塗膜の析出が始まる。このようにして、順次未析出部分に塗膜が析出して被塗物全体の塗装を完成させる。本明細書中、被塗物である金属基材の未析出部位に絶縁性の電着塗料塗膜が順次析出することで連続的な電着塗膜が形成される性質を付きまわり性という。
カチオン電着塗装においては、上述したように被塗物表面に絶縁性の塗膜が順次形成されていくので、理論的には無限の付きまわり性を有しており、被塗物の全ての部分に均一に塗膜を形成することができるはずである。
しかしながら、被塗物表面に塗膜が析出した場合でも、何らかの原因により塗膜の電気抵抗が上昇しない場合には、電着塗料の付きまわり性が著しく低下する。このため、膜厚にムラが生じ、耐食性等に大きく影響する。
金属基材にカチオン電着塗装を施す場合、通常、耐食性、塗膜密着性等の諸性能を向上させる目的で表面処理が施されている。塗膜の密着性や耐食性をより向上させることができるという観点から、従来、表面処理において用いられてきたリン酸クロメート系の表面処理組成物は、近年、クロムの有害性から環境への影響が懸念されている。このため、クロムを含まない表面処理剤として、リン酸亜鉛系の表面処理組成物が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、リン酸亜鉛系の表面処理組成物は、金属イオン濃度及び酸濃度が高く、非常に反応性が強いため、排水処理にコストがかかる等、経済性、作業性の観点から好ましくない。更に、リン酸亜鉛系の表面処理剤による化成処理においては、金属の表面処理に伴って水に不溶な塩類が生成し、化学処理槽内部に沈殿として析出する。このような沈殿物は一般にスラッジと呼ばれ、スラッジの除去・廃棄に伴うコストの発生が問題視されている。また、リン酸イオンは河川や海洋の富栄養化をもたらす等、環境に対する負荷を与えるおそれがある。加えて、リン酸亜鉛系の表面処理組成物による表面処理においては、表面調整を行うことが必要とされており、表面処理の工程が複雑且つ長くなるという生産効率上の問題点もあった。
このようなリン酸クロメート系、又はリン酸亜鉛系の表面処理組成物に代わる表面処理組成物として、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物からなる金属表面処理組成物が知られてきた。
例えば、特許文献2には、鉄系材料、亜鉛系材料、アルミニウム系材料、及びマグネシウム系材料から選ばれる金属材料をそれぞれ単独で或いはその2種以上を同時に表面処理するための水系表面処理液であって、ジルコニウム化合物及びチタニウム化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を上記金属元素として5ppmから5000ppm含み、また遊離フッ素イオンを0.1ppmから100ppm含み、且つpHが2から6であることを特徴とする金属の表面処理用処理液が開示されている。この表面処理用処理液によれば、従来技術では不可能であった環境に有害な成分を含まない処理浴で、スラッジを発生させることなく、鉄系材料、亜鉛系材料、アルミニウム系材料、及びマグネシウム系材料の2種乃至4種を同時に又は各々単独からなる金属表面に、塗装後の耐食性に優れる表面処理皮膜を析出させることができるとされる。
特許文献3には、化成処理剤によって被処理物を処理し、化成皮膜を形成する塗装前処理方法であって、前記化成処理剤は、ジルコニウム、チタン、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種、並びにフッ素を必須成分とし、前記化成皮膜は、フッ素濃度が元素比率で10%以下であり、前記被処理物は、少なくとも一部が鉄系基材であることを特徴とする塗装前処理方法、並びに化成皮膜のフッ素濃度を元素比率で10%以下にするために、化成処理剤による処理後にpHが9以上である塩基性水溶液によって、5℃から100℃で化成皮膜を処理するものである塗装前処理方法が開示されている。この塗装前処理方法によれば、従来ジルコニウム等からなる化成処理剤での前処理が不適であった鉄系基材に対しても皮膜としての安定性及び塗膜との密着性に優れた化成皮膜を形成することができる。
特許第3088623号公報 特開2004−190121号公報 特開2004−218072号公報
しかしながら特許文献2のジルコニウム系の表面処理組成物においては、金属基材の種類によっては、表面処理後のカチオン電着塗装において、塗膜を均一に形成させることができず、膜厚のムラが生じるという問題点があった。また、ケイ素含有量の多いSPC鋼板や高張力鋼板等では均一な皮膜が形成されにくく、リン酸亜鉛に比べ耐食性が劣るという問題点があった。塗膜を均一に形成させることができない場合、塗膜が十分に形成されていない部位においては電着塗装の効果を得ることができず、耐食性低下等の原因となっていた。
一方、電圧を上昇させることにより、金属基材の全面に亘って塗膜量を増加させることも可能であるが、コスト面で好ましくない。更に、ピンホールやクレーターが生じて外観不良になるという問題点もあった。この理由は、亜鉛鋼板はカチオン電着塗装時の被塗物側で発生する水素ガスの放電電圧が鉄鋼板よりも低いため、水素ガス中で火花放電が生じやすくなるためではないかと考えられている。
特許文献3には、化成処理剤による処理後にpHが9以上である塩基性水溶液によって処理することが開示されているが、上記処理は、フッ素が化成皮膜中に残留することによって、塗膜形成後に腐食環境にさらされた場合、発生する水酸基と、フッ素の置換によって発生するフッ素イオンとにより、塗膜と金属との結合を切断して十分な密着性が得られなくなる問題を解決するために、化成皮膜中のフッ素濃度を元素比率で10%以下に低減することを目的とする。このため、特許文献3に記載の発明については、カチオン電着塗装時の付きまわり性の向上を目的としたものではなく、これについては開示も示唆もされていない。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、カチオン電着塗装に先立って行われる、金属基材の表面処理方法であって、カチオン電着塗装における付きまわり性を向上させるために用いられる表面処理方法、当該表面処理方法により処理されてなる金属材料、及びこの金属材料の塗装方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ジルコニウム系及びチタン系の表面処理剤を金属基材に用いた場合、その後のカチオン電着塗装においては、塗膜が均一に形成されないこと、即ち付きまわり性が低下するという問題に遭遇した。前記問題は、SPC鋼板等の鉄系金属基材に用いた場合に顕著であった。本発明者らは、この知見を元に鋭意研究を重ねた結果、付きまわり性の低下の原因が、防錆皮膜の皮膜抵抗が従来公知のリン酸亜鉛系皮膜の皮膜抵抗よりも大幅に低いという主因によることを見出した。更に、本発明者らは、付きまわり性の低下の原因が、防錆皮膜中の成分がカチオン電着塗装時に防錆皮膜から溶出し、溶け出した成分が電着塗膜中に浸入して電解質的に作用し、電着塗膜の塗膜抵抗をも低下させるためであることを見出した。
本発明の発明者らは、金属基材上に、ジルコニウム及び/又はチタンと、密着性付与剤と、を含有する表面処理用組成物用いて金属基材上に防錆皮膜を形成させ、これに所定の条件下で後処理を行うことにより、その後のカチオン電着塗装において塗膜の抵抗が低下することを防止して付きまわり性良く塗装ができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の密着性付与剤と、を含有する表面処理用組成物を用いて、金属基材を表面処理して防錆皮膜を形成させる金属基材の表面処理工程と、後処理工程と、からなる金属表面処理方法であって、前記後処理工程が、工程(a)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f)、及び工程(g)からなる群から選択される少なくとも一種であるカチオン電着塗装の付きまわり性を向上させる金属表面処理方法;
(a)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、pH9以上のアルカリ水溶液に接触処理する工程;
(b)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、多価アニオン水溶液に接触処理する工程;
(c)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、多価アニオン水溶液に接触処理した後、更に水洗処理する工程;
(d)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、酸化剤に接触処理する工程;
(e)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、酸化剤に接触処理した後、更に水洗処理する工程;
(f)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、フッ素安定化剤に接触処理する工程;及び
(g)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、フッ素安定化剤に接触処理した後、更に水洗処理する工程。
(2) 前記アルカリ水溶液が、NaOH、KOH、アンモニア、及びアミンからなる群から選択される少なくとも一種を含有するものである(1)に記載の金属表面処理方法。
(3) 前記多価アニオン水溶液に含まれる多価アニオンがリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン酸、フェノール化合物、アミノ酸、ポリアクリル酸、及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種である(1)又は(2)に記載の金属表面処理方法。
(4) 前記酸化剤が硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素化合物、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種の酸化剤である(1)から(3)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(5) 前記フッ素安定化剤がカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウム、銅、モリブデン、ホウ素、ジルコニウム、チタニウム、及び金属塩類からなる群から選択される少なくとも一種である(1)から(4)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(6) 前記(A)ケイ素含有化合物は、シリカ、ケイフッ化物、水溶性ケイ酸塩化合物、ケイ酸エステル類、アルキルシリケート類、及びシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも一種である(1)から(5)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(7) 前記シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシラン及び前記アミノシランの加水分解重縮合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、前記金属表面処理組成物中における前記ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下であり、前記金属表面処理組成物中における前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量は、ケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であり、前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.5以上500以下である(6)に記載の金属表面処理方法。
ここで、「金属元素換算」とは、金属化合物の含有量に金属元素換算係数(金属化合物量を金属元素量に換算するための係数であり、具体的には、金属化合物中の金属元素の原子量を、金属化合物の分子量で除算した値を意味する。)を積算することにより、目的の金属元素量を求めることである。例えば、錯イオンZrF 2−(分子量205)100ppmのジルコニウムの金属元素換算濃度は100×(91÷205)の計算により44ppmと算出される。
また、「ケイ素元素換算」とは、ケイ素含有化合物の含有量にケイ素元素換算係数(ケイ素含有化合物量をケイ素元素量に換算するための係数であり、具体的には、ケイ素含有化合物中のケイ素元素の原子量を、ケイ素含有化合物の分子量で除算した値を意味する。)を積算することにより、目的のケイ素元素量を求めることである。例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン(分子量179)100ppmのケイ素元素換算濃度は100×(28÷179)の計算により16ppmと算出される。また、ケイ素元素換算濃度100ppmは100÷(28÷179)の計算により、アミノプロピルトリメトキシシラン639ppmと算出される。
更に、「合計含有量」とは、金属表面処理組成物に存在する当該化合物全ての含有量の合計を指し、当該化合物のうち、いずれかの含有量が0である場合を含むものとする。
(8) 前記(B)密着付与金属イオンは、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、銀、及び錫からなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンである(1)から(7)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(9) 前記(C)密着付与樹脂は、ポリアミン化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である(1)から(8)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(10) 前記ポリアミン化合物は、少なくとも一部に下記化学式(1)、(2)、及び/又は(3)で表される構成単位のうち一種を有するポリアミン化合物であり、前記ポリアミン化合物の質量に対する、前記ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.1以上100以下である(9)に記載の金属表面処理方法。
Figure 2008088553
[化学式(3)中、Rは炭素数1から6のアルキレン基であり、Rは下記化学式(4)から(6)で表される置換基であり、Rは、ヒドロキシル基、炭素数1から6のアルコキシ基、又は炭素数1から6のアルキル基である。]
Figure 2008088553
[化学式(6)中、Rは、水素原子、炭素数1から6のアミノアルキル基、又は炭素数1から6のアルキル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアミノアルキル基である。]
(11) 前記金属表面処理組成物は、更に、pHが1.5以上6.5以下である、(1)から(10)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(12) 前記金属表面処理組成物は、更に、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種の酸化剤を含有する(1)から(11)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(13) 前記金属表面処理組成物は、更に、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンからなる群から選択される少なくとも一種の安定化剤を含有する、(1)から(12)のいずれかに記載の金属表面処理方法。
(14) (1)から(13)のいずれかに記載の金属表面処理方法により処理されてなる金属材料。
(15) (14)に記載の金属材料に、カチオン電着塗料を電着塗装することを特徴とする金属基材の塗装方法。
(16) 前記カチオン電着塗料が、変性エポキシ樹脂及び硬化剤を含むカチオン電着塗料である(15)に記載の塗装方法。
本発明によれば、表面処理において、防錆皮膜を形成させた後、アルカリ処理、及び/又は多価アニオン水溶液への接触処理を行う。
(a)防錆皮膜形成後の金属基材を、アルカリ水溶液に浸漬し、又はこれをスプレー塗布することによって、防錆皮膜中に存在するアルカリ可溶性物質が除去されるので、電着塗装時に陰極となる金属基材周辺のアルカリ性の環境下においても、防錆皮膜からアルカリ可溶性物質が溶出せず、防錆皮膜及び塗膜の抵抗値の低下が抑制される。
(b)、(c)防錆皮膜形成後の金属基材を、多価アニオン水溶液に接触させることにより、電着時の塗膜の析出を促進し、塗膜抵抗の低下が抑制される。
(d)、(e)防錆皮膜形成後の金属基材を、酸化剤に接触させることにより、表面が安定となり、塗膜抵抗の低下が抑制される。
(f)、(g)防錆皮膜形成後の金属基材を、フッ素安定化剤に接触させることにより、表面が安定となり、塗膜抵抗の低下が抑制される。
これにより、カチオン電着塗装において、金属基材の全面に亘って、均一に塗膜を形成させることができ、以ってカチオン電着塗装における付きまわり性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<表面処理方法>>
本実施形態において、金属基材の表面処理を行う表面処理方法は、金属基材に、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、を含む表面処理用組成物を接触させて防錆皮膜を形成させる表面処理工程と、表面処理工程を経た金属基材の全部又は一部を、pH9以上のアルカリ水溶液に浸漬、又は、これをスプレー塗布するアルカリ処理工程と、を含む。
<表面処理工程>
本実施形態に係る表面処理工程においては、金属基材に、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、を含む表面処理組成物を接触させて防錆皮膜を形成させる。防錆皮膜を形成させる方法としては、特に限定されるものではなく、後述する表面処理組成物を含む表面処理液を金属基材に接触させることによって行うことができる。防錆皮膜を形成させる方法の一例としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、流しかけ処理法等を挙げることができる。
表面処理工程における処理温度は、20℃以上70℃以下の範囲内であることが好ましく、30℃以上50℃以下の範囲内であることが更に好ましい。20℃未満では、十分な皮膜形成が行われない可能性があり、また、夏場に冷却装置等の導入による温度調整が必要となる等の不都合があり、70℃を超えても、特に効果はなく、経済的に不利となるだけである。
表面処理工程における処理時間は、2秒以上1100秒以下の範囲内であることが好ましく、30秒以上120秒以下の範囲内であることが更に好ましい。2秒以下では、十分な皮膜量が得られないので不都合であり、1100秒を超えても、これ以上皮膜量を増加させても効果が得られないので無意味である。
[表面処理組成物]
表面処理工程に用いることのできる表面処理組成物としては、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンを含有するものであれば特に限定されないが、必須成分としてジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、密着性付与剤と、を含有し、任意成分として、酸化剤、安定化剤、フッ素イオンを含有することが好ましい。
(ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオン)
金属表面処理組成物に含まれるジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンは、防錆皮膜形成成分である。金属材料にジルコニウム元素及び/又はチタン元素を含む防錆皮膜が形成されることにより、金属材料の耐食性や耐磨耗性を向上させることができる。
本実施形態に係るジルコニウム及び/又はチタンを含む金属表面処理組成物により金属材料の表面処理を行うと、金属材料を構成する金属の溶解反応が起こる。金属の溶解反応が起こると、ジルコニウム及び/又はチタンのフッ化物を含む場合は、金属表面処理組成物中に溶出した金属イオンがZrF 2−及び/又はTiF 2−のフッ素を引き抜くことにより、また、界面のpHが上昇することにより、ジルコニウム及び/又はチタンの水酸化物又は酸化物が生成する。そして、このジルコニウム及び/又はチタンの水酸化物又は酸化物が金属材料の表面に析出すると考えられる。本実施形態に係る金属表面処理組成物は反応型化成処理剤であるため、複雑な形状を有する金属材料の浸漬処理にも用いることが可能である。また、化学反応により強固に金属材料に付着した防錆皮膜を得ることができるため、処理後に水洗を行うことも可能である。
ジルコニウム化合物としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化ジルコン酸;フッ化ジルコン酸カリウム及びフッ化ジルコン酸アンモニウム等のフッ化ジルコン酸の塩;フッ化ジルコニウム;酸化ジルコニウム;酸化ジルコニウムゾル;硝酸ジルコニル;並びに炭酸ジルコニウム等を挙げることができる。
チタン化合物としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化チタン酸;フッ化チタン酸カリウム及びフッ化チタン酸アンモニウム等のフッ化チタン酸の塩;フッ化チタン;酸化チタン;並びにチタンアルコキシド等を挙げることができる。
(ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの含有量)
本実施形態に係る金属表面処理組成物におけるジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下の範囲内であることが好ましく、50ppm以上5000ppm以下の範囲内であることが更に好ましい。10ppm未満であると、金属基材上に十分な皮膜が得られず、一方で10000ppmを超えると、それ以上の効果は望めず経済的に不利となる。
(密着性付与剤)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に含有される密着性付与剤は、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である。これらの化合物を含有させることによって、塗膜の密着性及び塗装後の耐食性が著しく向上するものである。
((A)ケイ素含有化合物)
(A)ケイ素含有化合物としては特に限定されず、例えば、水分散性シリカ等のシリカ;ケイフッ酸、ケイフッ化アンモニウム、及びケイフッ化ナトリウム等のケイフッ化物;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸リチウム等の水溶性ケイ酸塩化合物;ケイ酸エステル類;ジエチルシリケート等のアルキルシリケート類;並びにシランカップリング剤等を挙げることができる。前記ケイ素含有化合物の金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。ケイ素含有化合物の含有量が1ppm未満である場合には、得られる防錆皮膜の耐食性が低下して好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果の向上は望めず経済的に不利であり、更に塗装後の密着性が低下するおそれがある。
(シリカ)
シリカとしては特に限定されないが、金属表面処理組成物中での分散性が高いことから水分散性シリカが好ましく使用できる。上記水分散性シリカとしては特に限定されず、例えば、ナトリム等の不純物が少ない、球状シリカ、鎖状シリカ、及びアルミ修飾シリカ等を挙げることができる。上記球状シリカとしては特に限定されず、例えば、「スノーテックスN」、「スノーテックスO」、「スノーテックスOXS」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスXS」、「スノーテックスAK」、「スノーテックスOUP」、「スノーテックスC」、及び「スノーテックスOL」(いずれも商品名、日産化学工業株式会社製)等のコロイダルシリカや、「アエロジェル」(商品名、日本アエロジェル株式会社製)等のヒュームドシリカ等を挙げることができる。上記鎖状シリカとしては特に限定されず、例えば「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−MO」、及び「スノーテックスPS−SO」(いずれも商品名、日産化学工業株式会社製)等のシリカゾル等を挙げることができる。上記アルミ修飾シリカとしては、「アデライトAT−20A」(商品名、旭電化工業株式会社製)等の市販のシリカゾル等を挙げることができる。上記ケイ素含有化合物は、単独で用いるものであってもよいが、(B)密着付与金属イオン及び/又は(C)密着付与樹脂と組み合わせて使用したときに優れた効果を発揮する。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランが特に好ましい。アミノシランは単量体及び二量体を含む加水分解重縮合物のいずれであってもよいが、アミノシランの加水分解重縮合物の方が、カチオン電着塗装前に水洗可能という点から好ましい。
(アミノシラン)
1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランは、アミノ基を有するために、防錆皮膜中に取り込まれた場合には密着性の向上に寄与すると考えられる。具体的な1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシランとしては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等を挙げることができる。これらの化合物は金属基材への吸着と電着塗膜への密着性に優れるため、塗装後の耐食性を向上させる。市販されているアミノ基含有シランカップリング剤である「KBM−403」、「KBM−602」、「KBM−603」、「KBE−603」、「KBM−903」、「KBE−903」、「KBE−9103」、「KBM−573」、「KBP−90」(いずれも商品名、信越化学工業社製)、及び「XS1003」(商品名、チッソ社製)等を使用することができる。
(アミノシランの加水分解重縮合物)
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、アミノシランの加水分解重縮合物を含有するものであってもよい。アミノシランの加水分解重縮合物は、金属基材と、その後に形成される塗膜の双方に作用するため、両者の密着性を向上させることができる。アミノシランの加水分解重縮合物の分子量は特に限定されないが、高分子量であるほうがジルコニウム及び/又はチタンの水酸化物又は酸化物に取り込まれやすい傾向にあるため、好ましい。このため、アミノシランを加水分解重縮合反応させる際には、アミノシランがより加水分解しやすく、重縮合しやすい条件下で反応させることが好ましい。アミノシランがより加水分解しやすく、重縮合しやすい条件下とは、例えば、溶媒をアルコールとした反応条件、上述したような単縮合よりも共縮合となるようなアミノシランの配合による反応条件等である。また、アミノシラン濃度が比較的高い条件下で反応させることによって、より高分子量化された重縮合率の高い条件下で加水分解重縮合物が得られる。具体的にはアミノシラン濃度が5質量%以上50質量%以下の範囲で重縮合させることが好ましい。
(アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量)
アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量はケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上200ppm以下であることが更に好ましい。合計含有量が1ppm未満では密着性が低下し、合計含有量が2000ppmを超える場合には、それ以上の効果は望めず経済的に不利である。
(アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の質量比)
アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解縮合物に含まれるケイ素元素に対する、金属表面処理組成物中に含まれるジルコニウム元素及び/又はチタン元素の質量比は、0.5以上500以下であることが好ましい。質量比が0.5未満である場合には、ジルコニウム及び/又はチタンによる防錆皮膜の形成が阻害されるため、密着性及び耐食性が低下する。質量比が500を超える場合には、アミノシラン及び/又はアミノシラン加水分解重縮合物が十分に防錆皮膜に取り込まれないため、十分密着性を確保できない。
((B)密着付与金属イオン)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に、(B)密着付与金属イオンを添加することにより、防錆皮膜の耐食性、密着性を向上させることができる。密着付与金属イオンとしては、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、及び銀からなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。これらの中でも、アルミニウムイオン及び錫イオンは防錆皮膜の耐食性及び密着性をより向上させうる点で好ましい。密着付与金属イオンの金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。1pp未満であると、得られる防錆皮膜の耐食性が低下するおそれがあるため、好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果の向上は見られず、経済的に不利であり、塗装後に密着性が低下するおそれがある。20ppm未満であると、防錆皮膜と塗膜の密着性が不十分となるおそれがあり、2000ppmを超えると、防錆皮膜にジルコニウム及び/又はチタンが析出しにくくなるおそれがある。
また、錫イオンは、金属表面処理組成物を用いて防錆皮膜を形成した後にカチオン電着塗装を行った場合の付きまわり性を向上させうる。この付きまわり性向上のメカニズムについては、定かではないものの、以下のように考えられる。
錫イオンは、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンに比べて鋼板の表面状態の影響を受けにくく、例えばジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンが防錆皮膜を形成しにくい部分に対しても錫が析出して皮膜の形成を行うことができる結果、付きまわり性よく電着塗装できるものと考えられる。
本実施形態に係る金属表面処理組成物に含まれる錫イオンは、2価のカチオンであることが好ましい。これ以外の価数の錫イオンでは、目的とする効果が得られないおそれがある。上記錫イオンの濃度は、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量に対して、0.005以上1以下であることが好ましい。0.005未満であると添加の効果が得られないおそれがあり、1を超える場合には、ジルコニウム及び/又はチタンが析出しにくくなるおそれがある。好ましい下限値及び上限値は、それぞれ、0.02及び0.2である。ただし、錫イオンを含有する場合における、ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、錫イオンとの合計量は、15ppm以上であることが好ましい。
なお、錫イオンを供給する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸錫、酢酸錫、フッ化錫、塩化錫、及び硝酸錫を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいが、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
((C)密着付与樹脂)
(C)密着付与樹脂は、ポリアミン化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びメラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である。これらの化合物を含有させることによって、塗膜の密着性が著しく向上するものである。密着付与樹脂の金属表面処理組成物における含有量は、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上2000ppm以下であることが更に好ましい。1ppm未満であると、得られる防錆皮膜の耐食性が低下するため、好ましくない。5000ppmを超えると、それ以上の効果は見られず経済的に不利であり、塗装後密着性が低下するおそれがある。
(ポリアミン化合物)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に含まれるポリアミン化合物は、1分子中に複数のアミノ基(好ましくは1級アミノ基)を有する高分子化合物である。このアミノ基を含有するポリアミン化合物は、防錆皮膜と、その後に形成される塗膜の双方に作用するため、両者の密着性を向上させることができる。ポリアミン化合物の分子量は、特に限定されないが、150以上500000以下であることが好ましく、5000以上70000以下であることが更に好ましい。分子量が150未満である場合には十分な塗膜密着性を有する防錆皮膜が得られず好ましくない。分子量が500000を超える場合には皮膜形成を阻害するおそれがある。
(ポリアミン化合物の構造式)
ポリアミン化合物の一例としては、以下の構造を有するポリアミン化合物が挙げられる。即ち、このポリアミン化合物は、少なくとも一部に下記化学式(1)、(2)、及び(3)で表される構成単位のうち一種を有する化合物である。
Figure 2008088553
[式(3)中、Rは炭素数1から6のアルキレン基であり、Rは下記化学式(4)から(6)で表される置換基であり、Rはヒドロキシル基、炭素数1から6のアルコキシ基、又は炭素数1から6のアルキル基である。]
Figure 2008088553
[式(6)中、Rは水素原子、炭素数1から6のアミノアルキル基、又は炭素数1から6のアルキル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアミノアルキル基である。]
ポリアミン化合物は、密着性を向上する効果に優れているという点で、上記化学式(1)で表される構成単位のみからなるポリビニルアミン樹脂、上記化学式(2)で表される構成単位のみからなるポリアリルアミン樹脂、及び上記化学式(3)で表される構成単位のみからなるポリシロキサンであることが好ましい。ポリシロキサンの一例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの加水分解重縮合物及びその塩を挙げることができる。
上記ポリビニルアミン樹脂としては、特に限定されず、例えば、「PVAM−0595B」(商品名、三菱化学社製)等の市販のポリビニルアミン樹脂を使用することができる。上記ポリアリルアミン樹脂としては特に限定されず、例えば、「PAA−01」、「PAA−10C」、「PAA−H−10C」、及び「PAA−D−41HCl」(いずれも商品名、日東紡績社製)等の市販のポリアリルアミン樹脂を使用することができる。上記、ポリシロキサンについても、市販のポリシロキサンを用いることもできる。また、ポリビニルアミン樹脂、ポリアリルアミン樹脂、及びポリシロキサンのうち二種以上を併用してもよい。
ポリアミン化合物の質量に対するジルコニウム元素及び/又はチタン元素の質量比は、0.1以上100以下であることが好ましく、0.5以上20以下であることが更に好ましい。質量比が0.1未満である場合には、十分な耐食性、密着性を得ることができない。質量比が100を超える場合には表面処理層にクラックが発生しやすくなり、均一な皮膜を得ることが困難となる。
(ブロック化イソシアネート化合物)
ブロック化イソシアネート化合物としては、特に限定されないが、フェノール系、アルコール系、オキシム系、活性メチレン系、酸アミド系、カルバミン酸塩系、及び亜硫酸塩系等のブロック剤でブロック化されたトリレンジイソシアネートの異性体類;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等が挙げられる。
(メラミン樹脂)
メラミン樹脂の具体例としては、メトキシ基を有するメチルエーテル型として、「サイメル303」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル370」、及び「サイメル385」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)や、「スミマールM40S」、「スミマールM50S」、及び「スミマールM100」(いずれも商品名、住友化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、ブトキシ基を有するブチルエーテル型としては、「ユーバン20SE60」、「ユーバン20SE125」、及び「ユーバン20SE128」(いずれも商品名、三井東圧化学株式会社製)や、「スーパーベッカミンG821」及び「スーパーベッカミンJ820」(いずれも商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)や、「マイコート506」及び「マイコート508」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)等が挙げられる。更に混合エーテル型メラミンとしては、「サイメル325」、「サイメル328」、「サイメル254」、「サイメル266」、「サイメル267」、「サイメル285」、及び「サイメル1141」(いずれも商品名、三井サイアナミッド株式会社製)や、「ニカラックMX−40」、及び「ニカラックMX−45」(いずれも商品名、三井ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
上記密着性付与剤としては、(A)ケイ素含有化合物を用いることが好ましく、また、(A)ケイ素含有化合物と(B)密着付与金属イオンとを併用することが、性能の点から特に好ましい。好ましい(A)ケイ素含有化合物は、シランカップリング剤であり、特にアミノシランの加水分解重縮合物が好ましい。
また、密着性付与剤として、(A)ケイ素含有化合物を用いた場合に併用する(B)密着付与金属イオンとしては、アルミニウムイオン、錫イオンが好ましい。即ち、密着性付与剤としては、(A)ケイ素含有化合物としてシランカップリング剤と、(B)密着付与金属イオンとしてアルミニウムイオン及び/又は錫イオンとの組み合わせが好ましく、(A)ケイ素含有化合物としてアミノシランの加水分解重縮合物と、(B)密着付与金属イオンとしてアルミニウムイオン及び/又は錫イオンとの組み合わせが特に好ましい。アルミニウムイオン及び/又は錫イオンの存在によってジルコニウムによる防錆皮膜が形成されなかった部分に対してもアルミニウム及び/又は錫による皮膜が形成され、且つ、当該皮膜にアミノシランの加水分解重縮合物が有する複数のアミノ基が存在することにより、格段に優れる塗膜密着性が得られる。
(酸化剤)
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、防錆皮膜の形成を促進するための酸化剤を含有することもできる。金属表面処理組成物に含有させることのできる酸化剤としては、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
(安定化剤)
本実施形態に係る金属表面処理組成物は、カチオン電着塗装時に防錆皮膜中の成分の溶出を抑制する安定化剤を含有することが好ましい。前述したとおり、ジルコニウム系及び/又はチタン系の表面処理組成物で処理して得られる防錆皮膜の皮膜抵抗は、従来公知のリン酸亜鉛系皮膜と比較して小さい。加えて、ジルコニウム及び/又はチタンを含有する防錆皮膜を形成した金属基材にカチオン電着塗装を施す場合、陰極となる金属基材付近のアルカリ性の条件下では防錆皮膜中の成分が溶出し、これが電解質として作用する。この電解質が電着塗膜中に浸入する傾向にあるため、電着塗膜の塗膜抵抗が低下し、電着塗料の付きまわり性を著しく低下させる。安定化剤は防錆皮膜成分の溶出を抑制すると共に、防錆皮膜の欠陥部(金属基材が露出した部分)に吸着し、皮膜の腐食抵抗を高め、耐食性を向上させる。安定化剤は、更にキレート力を有するため、例えば鉄(II)イオンを安定化させ、酸化鉄等のスラッジの発生を抑制し、結果的に処理浴の寿命を増大させるメリットをももたらす。
電着塗装時における電解質の生成による、電着塗膜の塗膜抵抗の低下を防止するため、本実施形態に係る金属表面処理組成物は溶出したイオン等を捕捉し、不溶化又は安定化させることのできる安定化剤を含有する。安定化剤としては、具体的には、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、多価アニオン、スルホン酸化合物、及びホスホン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
なお、安定化剤は、通常用いられるジルコニウム及び/又はチタン系の表面処理組成物に添加して、カチオン電着塗装時の付きまわり性を向上させることができる表面処理組成物の調製に用いてもよい。
(ヒドロキシ酸)
ヒドロキシ酸は水酸基を併せ持つカルボン酸の総称であり、ヒドロキシカルボン酸、オキシ酸、アルコール酸等と呼ばれる場合もある。本実施形態においては、1分子中に少なくとも1つのカルボキシル基及び少なくとも1つの水酸基を有する水溶性化合物を使用することができる。具体的には、アスコルビン酸、クエン酸、マロン酸、グルコン酸、酒石酸、及び乳酸を好ましく使用することができる。
(アミノ酸)
アミノ酸としては、各種天然アミノ酸及び合成アミノ酸の他、1分子中に少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つの酸基(カルボキシル基やスルホン酸基等)を有する合成アミノ酸を広く利用することができる。この中でも、アラニン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、アスパラギン、アルギニン、グルタミン、システイン、ロイシン、リジン、プロリン、セリン、トリプトファン、バリン、及びチロシン、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種を好ましく使用することができる。また、アミノ酸に光学異性体が存在する場合、L体、D体、ラセミ体を問わず、いずれも好適に使用することができる。
(アミノカルボン酸)
アミノカルボン酸としては、上記アミノ酸以外で、1分子中にアミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を有する化合物が広く利用可能である。この中でも、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン6酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン4酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−6−ヒドロキシプロパン4酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種を好ましく使用することができる。更に、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びニトリロ3酢酸(NTA)も利用可能であるが、毒性を有する点、及び生分解性が低い点から、使用する場合には細心の注意が必要である。なお、NTAのナトリウム塩であるニトリロ3酢酸ナトリウム塩は、上記問題が少ないと考えられるため、好適に使用可能である。
(芳香族酸)
芳香族酸としては、具体的には、1分子中に少なくとも1つのフェノール性水酸基を含有するフェノール系化合物を挙げることができる。前記フェノール系化合物は、例えば、カテコール、没食子酸、ピロガロール、及びタンニン酸等の2以上のフェノール性水酸基を有する化合物又はこれらを基本骨格とするフェノール系化合物(例えば、フラボノイド、タンニン、及びカテキン等を包含するポリフェノール系化合物、ポリビニルフェノールや水溶性レゾール、ノボラック樹脂等)、リグニン等を挙げることができる。中でも、タンニン、没食子酸、カテキン、及びピロガロールが特に好ましい。フラボノイドは、特に限定されず、例えばフラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノール、アントシアニジン、オーロン、カルコン、エピガロカテキンガレート、ガロカテキン、テアフラビン、ダイズイン、ゲニスチン、ルチン、及びミリシトリン等が挙げられる。
(スルホン酸化合物)
スルホン酸としては、メタスルホン酸、イセチスルホン酸、タウリン、ナフタレンジスルホン酸、アミノナフタレンジスルホン酸、スルホサリチル酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、及びアルキルナフタレンスルホン酸、並びにこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
スルホン酸化合物を用いると、表面処理後の金属基材の塗装性・耐食性を向上させることができる。そのメカニズムは明らかではないが、以下の二つの理由が考えられる。
まず1つは、鋼板等の金属基材の表面には、シリカ偏析物等が存在しており、表面組成が不均一であるため、表面処理においてエッチングされにくい部分が存在する。しかしながら、スルホン酸化合物を添加することにより、そのようなエッチングされにくい部分をエッチングすることができ、その結果、被塗物表面に均一な防錆皮膜が形成されやすくなるものと推測される。即ち、スルホン酸化合物はエッチング促進剤として作用するものを推測される。
もう1つは、表面処理時においては、化成反応により発生しうる水素ガスが界面の反応を妨げている可能性があり、スルホン酸化合物は復極作用として水素ガスを取り除き、反応を促進しているものと推測される。
アミノ基とスルホン基との両方を有しているという点から、スルホン酸化合物の中でもタウリンが好ましい。スルホン酸化合物の含有量は、0.1ppm以上10000ppm以下であることが好ましく、1ppm以上1000ppm以下であることが更に好ましい。当該含有量が0.1ppm未満であると、スルホン酸化合物を添加する効果を十分に得ることができず、10000ppmを超えるとジルコニウム及び/又はチタニウムの析出を阻害するおそれがある。
(多価アニオン)
多価アニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えばリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン類、フェノール化合物、ポリアクリル酸、及び糖類からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。これらのうち、タンニン類としては、ガロタンニン、エラジタンニン、及びカテキンを挙げることができ、糖類としては、グルコース、マルトース、及びフルクトースを挙げることができる。以上の多価アニオンの中でも、縮合リン酸、ポリアクリル酸、及びカテキンを用いることが好ましい。
(ホスホン酸化合物)
ホスホン酸化合物としては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸−2−ホスホブタノン−1,2,4−トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及び2−ホスホブタノン−1,2,4−トリカルボン酸等の有機ホスホン酸化合物が好ましく用いられる。ホスホン酸化合物は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
(安定化剤の添加量)
本実施形態に係る金属表面処理組成物に添加する安定化剤の添加量は、0.1ppm以上10000ppm以下の範囲内であることが好ましく、1ppm以上1000ppm以下の範囲内であることが更に好ましい。安定化剤の濃度が0.1ppm未満である場合には、安定化剤の添加による効果を十分に得ることができないため好ましくなく、10000ppmを超える場合には、防錆皮膜形成を阻害するため、好ましくない。
(安定化剤の還元性キレート力)
安定化剤は、還元性キレート力を有することが好ましい。還元性を有することにより、表面処理浴中に溶出した鉄(II)イオンが、鉄(III)イオンに酸化されるのを抑制することができ、スラッジの発生を抑制することができる。また、生じた鉄(III)イオンをキレートして安定化させることができる。これにより、表面処理浴の浴寿命が増大する。還元性キレート力を有する安定化剤としては、乳酸、アスコルビン酸、及びクエン酸を挙げることができる。これらの安定化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
(フッ素イオン)
本実施形態に係る付きまわり性向上剤は、フッ素イオンを更に含有することもできる。フッ素イオンは、金属基材のエッチング剤及びジルコニウム及び/又はチタンの錯化剤としての役割を果たすものである。フッ素イオンの供給源としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化水素アンモニウム、フッ化ナトリウム、及びフッ化水素ナトリウム等のフッ化物を挙げることができる。また、錯フッ化物を供給源とすることも可能であり、例えば、ヘキサフルオロケイ酸塩、具体的には、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸亜鉛、ケイフッ化水素酸マンガン、ケイフッ化水素酸マグネシウム、ケイフッ化水素酸ニッケル、ケイフッ化水素酸鉄、及びケイフッ化水素酸カルシウム等を挙げることができる。
(pH)
本実施形態で用いられる金属表面処理組成物のpHは、1.5以上6.5以下の範囲内であることが好ましく、2.0以上5.5以下の範囲内であることがより好ましく、2.5以上5.0以下の範囲内であることが更に好ましい。pHが1.5未満であると、エッチングが過剰となり充分な皮膜形成ができなくなる場合や、皮膜の付着量及び膜厚が不均一となって、塗装外観等に悪影響を与える場合がある。一方で、6.5を超えると、エッチングが不充分となり良好な皮膜が得られない。
なお、金属表面処理組成物のpHは、硝酸及び硫酸等の酸性化合物、及び、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びアンモニア等の塩基性化合物を使用して調整することができる。
<アルカリ処理工程>
表面処理工程を経た金属基材は、アルカリ処理工程により、防錆皮膜形成時に金属基材から溶出したものの、防錆皮膜に取り込まれてアルカリ液に可溶な化合物を形成する金属イオンを溶出する。金属イオンを溶出する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、防錆皮膜が形成された金属基材を、アルカリ水溶液で洗浄する方法を挙げることができる。このようにして、金属イオンを溶出させることにより、カチオン電着塗装時に防錆皮膜から当該金属イオンが溶出することがないから、防錆皮膜や塗膜の抵抗値が低下せず、金属基材の全面に亘って、カチオン電着塗装による塗膜を均一に形成させることができる。
[アルカリ溶液]
アルカリ処理工程においては、NaOH、KOH、アンモニア、アミン、アミノシラン、アミノフェノール、及びポリアミン等の塩基性化合物を含有するアルカリ溶液を使用することができる。この中でも、汎用性が高いという点から、NaOH、KOH、アンモニア、及びアミンを含有するアルカリ溶液が特に好ましい。上記溶質を溶解させる溶媒としては、水が好ましいが、必要に応じてメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤を混合させた水性溶媒であってもよい。
アルカリ処理工程において、アルカリ水溶液による洗浄を行う場合、洗浄に用いるアルカリ水溶液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上14以下であることが更に好ましい。アルカリ水溶液のpHが9未満である場合には、防錆皮膜中に存在し、アルカリ液に可溶な化合物を形成する金属イオンを十分に除去することができず、好ましくない。アルカリ水溶液のpHが14を超える場合には、防錆皮膜を溶解させるため、好ましくない。アルカリ水溶液を金属基材と接触させる方法としては、浸漬法、スプレー法、及び構造物の外板のスプレー等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。即ち、アルカリ水溶液と金属基材とを接触させる方法としては、構造物の全体又は一部分において金属イオンを十分に除去することができる方法であれば、どのようなものであってもよい。
アルカリ処理は、0℃以上100℃以下の処理温で、2秒以上600秒以下の処理時間で処理を行う。処理時間が2秒未満である場合には、アルカリ処理の効果を実質的に得ることができない。処理時間600秒を超える場合にも効果があがらない。上記処理温度は、5℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上40℃以下であることが更に好ましい。又、上記処理時間は、5秒以上180秒以下であることがより好ましく、10秒以上60秒以下であることが更に好ましい。
<多価アニオン水溶液への接触処理工程>
表面処理工程を経た金属基材に対しては、アルカリ処理工程に代えて、或いはアルカリ処理工程と共に、多価アニオン水溶液への接触工程を行うことができる。多価アニオン水溶液への接触処理工程により、多価アニオンが金属基材表面に吸着し、カチオン電着塗装時の塗膜の析出を促進することができる。これにより、カチオン電着塗装時の塗膜抵抗の低下が抑制されるから、金属基材の全面に亘って、カチオン電着塗装による塗膜を均一に形成させることができる。
[多価アニオン]
上記多価アニオン水溶液に含有させることができる多価アニオンとしては、一分子中に少なくとも二つ以上のアニオン性官能基を有するものであれば、特に限定されないが、リン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン類、フェノール化合物、アミノ酸、ポリアクリル酸、及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
<酸化剤への接触処理工程>
表面処理工程を経た金属基材に対しては、アルカリ処理工程に代えて、或いはアルカリ処理工程と共に、酸化剤への接触工程を行うことができる。酸化剤への接触処理工程により、基盤酸化膜が安定になる。これにより、カチオン電着塗装時の塗膜抵抗の低下が抑制されるから、金属基材の全面に亘って、カチオン電着塗装による塗膜を均一に形成させることができる。
[酸化剤]
上記酸化剤としては、特に限定されないが、硝酸、亜硝酸、過硫酸、リン酸、カルボン酸基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、塩酸、臭素酸、ヨウ素化合物、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類であることが好ましい。これらの酸化剤は、単独で用いてもよく、二種以上の組み合わせで用いてもよい。
<フッ素安定化剤への接触処理工程>
表面処理工程を経た金属基材に対しては、アルカリ処理工程に代えて、或いはアルカリ処理工程と共に、フッ素安定化剤への接触工程を行うことができる。フッ素安定化剤への接触処理工程により、皮膜表面が安定となる。これにより、カチオン電着塗装時の塗膜抵抗の低下が抑制されるから、金属基材の全面に亘って、カチオン電着塗装による塗膜を均一に形成させることができる。
[フッ素安定化剤]
上記フッ素安定化剤としては、フッ素と塩を形成するものであれば、特に限定されないが、カルシウム、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウム、銅、モリブデン、ホウ素、ジルコニウム、チタニウム、及び金属塩類であることが好ましい。これらのフッ素安定化剤は、単独で用いてもよく、二種以上の組み合わせで用いてもよい。
<水洗処理工程>
多価アニオン水溶液への接触工程、酸化剤への接触工程、及びフッ素安定化剤への接触工程を経た金属基材は、必要に応じて水洗処理を施す。水洗処理を施すことにより、電着塗料が汚染されることを防止することができる。水洗処理工程においては、水を金属基材に接触することにより行うことができる。水と金属基材を接触する方法としては、浸漬法、スプレー法、及び構造物の外板のスプレー等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。水洗処理の処理温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、処理時間は、2秒以上600秒以下であることが好ましい。
上記アルカリ処理、多価アニオン水溶液への接触処理、酸化剤への接触処理、及びフッ素安定化剤への接触処理は、それぞれ単独で行ってもよいが、各処理を組み合わせて行ってもよい。即ち、これらの処理のうちの任意の一の処理を行った後、他の一の処理を行うこと、及び、三種以上の処理を組み合わせて行うことは、いずれも本発明の範囲内に属するものである。ここで、多価アニオン水溶液への接触処理、酸化剤への接触処理、及びフッ素安定化剤への接触処理を行った後には、必要に応じて水洗処理を行うことが好ましい。
<金属基材>
本実施形態に係る表面処理方法において用いられる金属基材としては、特に限定されるものではないが、鉄系金属基材、アルミニウム系金属基材、及び亜鉛系金属基材等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る表面処理方法は、鉄系金属基材、アルミニウム系金属基材、及び亜鉛系金属基材等の複数種の金属基材の組み合わせ(異種金属同士の接合部を含む)に対しても、同時に適用することができる。自動車車体や自動車用部品等は、鉄、亜鉛、アルミニウム等の種々の金属基材により構成されているが、本実施形態の金属表面処理方法によれば、このような自動車車体や自動車部品に対しても、1回の処理で十分な素地隠蔽性及び密着性を有する防錆皮膜を形成することができ、良好な耐食性を付与できる。
本実施形態に係る金属基材として用いられる鉄系金属基材としては、特に限定されず、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、軟鋼板、及び高張力鋼板等を挙げることができる。また、アルミニウム系金属基材としては、特に限定されず、例えば5000番系アルミニウム合金、6000番系アルミニウム合金、アルミニウム系の電気めっき、溶融めっき、及び蒸着めっき等のアルミニウムめっき鋼板等を挙げることができる。また、亜鉛系金属基材としては、特に限定されず、例えば亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、及び亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板等を挙げることができる。高張力鋼板としては、強度や製法により多種多様なグレードが存在するが、例えばJSC400J、JSC440P、JSC440W、JSC590R、JSC590T、JSC590Y、JSC780T、JSC780Y、JSC980Y、及びJSC1180Y等を挙げることができる。
<防錆皮膜量>
本実施形態に係る表面処理方法によって形成された防錆皮膜の皮膜量は、鉄系金属基材の場合、ジルコニウム及び/又はチタンの金属元素換算で10g/m以上であるのが好ましく、20g/m以上であるのが更に好ましく、30g/m以上であるのが特に好ましい。防錆皮膜の皮膜量が10g/m未満である場合には、十分な耐食性を得られない。
いずれの金属材料においても、防錆皮膜の皮膜量に上限は特にないが、皮膜量が多すぎると、防錆皮膜にクラックが発生しやすくなり、均一な皮膜を得ることが困難となる。この点で、本実施形態の金属表面処理方法によって形成された防錆皮膜の皮膜量は、ジルコニウム及び/又はチタンの金属元素換算で1g/m以下であることが好ましく、800mg/m以下であることが更に好ましい。
<<金属材料>>
本実施形態に係る表面処理方法によって金属基材上に防錆皮膜を形成してなる金属材料は、アルカリ処理工程により、表面処理工程において金属基材から溶出して防錆皮膜に取り込まれ、カチオン電着塗装時に陰極となる金属基材周辺のアルカリ性の環境下において溶出するアルカリ可溶性物質を予め溶出させ、防錆皮膜中から除去している。このような金属材料を用いてカチオン電着塗装を行った場合、防錆皮膜からアルカリ可溶性物質が溶出しないので、防錆皮膜及び塗膜の皮膜抵抗値が低下せず、均一に塗膜を形成させることができる。これにより、付きまわり性を向上させることができる。
<<カチオン電着塗装>>
<電着塗装工程>
電着塗装工程において、カチオン電着塗装は、被塗物を陰極として、陽極との間に通常50V以上450V以下の電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不十分となり、450Vを超えると塗膜が破壊され異常外観となる。また、電圧を印加する時間は電着条件により異なるが、一般には2分以上4分以下とすることが好ましい。
このようにして得られた塗膜は、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、焼付け(加熱処理)を行って硬化させる。焼き付けの条件は、120℃以上260℃以下であることが好ましく、140℃以上220℃以下であることが更に好ましい。焼付けの時間は10分以上30分以下であることが好ましい。
[カチオン電着塗料]
カチオン電着塗装において用いることができるカチオン電着塗料としては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されないが、アミノ化エポキシ樹脂、アミノ化アクリル樹脂、及びスルホニウム化エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂、硬化剤、並びに封止剤を含む公知のカチオン電着塗料を塗布することができる。
本実施形態に係る変性エポキシ樹脂としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環をアミンで開環して製造されるアミン変性エポキシ樹脂及びオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が用いられる。変性エポキシ樹脂の原料となるビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例は、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としては「エピコート828」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、「エピコート1001」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量450〜500)、「エピコート1010」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量3000〜4000)等があり、後者の市販品としては「エピコート807」(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量170)等がある。
硬化剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。好ましくは、ポリイソシアネートを封止剤でブロック化したブロックイソシアネート硬化剤が用いられる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート;並びに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
封止剤としては、n−ブタノール、n−ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、及びメチルフェニルカルビノール等の一価のアルキル(又は芳香族)アルコール類;エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のセロソルブ類;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、及びクレゾール等のフェノール類;ジメチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;並びにε−カプロラクタム及びγ−ブチロラクタムに代表されるラクタム類が挙げられる。
<実施例1>
[金属基材]
市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を金属基材として用意した。
[金属基材の前処理]
アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間、上記金属材料の脱脂処理を行った。これを水洗槽で浸漬洗浄した後、水道水で約30秒間スプレー洗浄を行った。
[金属表面処理組成物の調製]
ジルコニウムとして40%ジルコン酸を金属元素換算で500ppmとなるように、密着性付与剤として「KBE903」(3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、有効濃度100%、商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で200ppmとなるように添加し、NaOHでpH4に調整し、金属表面処理組成物を調整した。
なお、上記KBE903としては、5質量部のKBE903を滴下漏斗から脱イオン水45質量部とエタノール50質量部との混合溶媒中(溶媒温度:25℃)に60分かけて均一に滴下し、これを窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させ、その後、反応液を減圧することによりエタノールを蒸発させた、有効成分5%のKBE903の加水分解重縮合物(以下、「KBE903重縮合物A」という)を用いた。
アミノシラン及び/又はアミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素の含有量の比(Zr/Si比)は、20であった。表面処理は、40℃で90秒行った。
[アルカリ処理工程]
表面処理を施した金属基材に対し、pH12の水酸化ナトリム水溶液を用いてアルカリ処理を行った。アルカリ処理は、室温で60秒間行った。
<実施例2>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として「KBE603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、有効濃度100%、商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で200ppm用い、及びコロイダルシリカ「スノーテックスO」(商品名、日産化学社製)を有効成分濃度で200ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は10であった。アルカリ処理はpH11の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
なお、上記KBM603としては、KBE903の代わりにKBM603を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で予め加水分解重縮合させたKBM603の加水分解重縮合物(以下、「KBM603重縮合物」という)を用いた。
<実施例3>
ジルコニウムを金属元素換算で700ppm用い、密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を50ppm、及び硝酸亜鉛を500ppm用いて、pHを3.5に調整した。これ以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理はpH11.5の「KBM903」(商品名、信越化学工業社製)を用い、室温で60秒間行った。
<実施例4>
「KBE903」(商品名、信越化学工業社製)を15重量部と、「KBE603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、商品名、信越化学工業社製)を15重量部とを滴下漏斗から、溶媒として70重量部の脱イオン水(溶媒温度:25℃)に60分かけて均一に滴下した後、窒素雰囲気下25℃で24時間反応を行い、有効成分30%のオルガノシランの加水分解重縮合物(以下、KBE903−KBE603共縮合物)を得た。ジルコニウムを金属元素換算で700ppm用い、密着性付与剤としてKBE903−KBE603共縮合物を有効成分濃度で300ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は19であった。アルカリ処理はpH12の水酸化カリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例5>
密着性付与剤として「KBE603」(商品名、信越化学工業社製)を有効成分濃度で300ppm、及びケイフッ酸を有効成分濃度で50ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は13であった。アルカリ処理はpH11.5のトリエチルアミンを用い、室温で60秒間行った。
なお、上記KBE603としては、KBE903の代わりにKBE603を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で予め加水分解重縮合させたKBE603の加水分解重縮合物(以下、「KBE603重縮合物」という)を用いた。
<実施例6>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を30ppm、付きまわり性向上剤としてHIDA(ヒドロキシエチルイミノ2酢酸)を200ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例7>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を有効成分濃度で150ppm用い、更に付きまわり性向上剤としてアスパラギン酸を100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は13であった。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例8>
「KBE903」(商品名、信越化学工業社製)30重量部を滴下漏斗から、脱イオン水35重量部とイソプロピルアルコール35重量部の混合溶媒中(溶媒温度:25℃)に60分かけて均一に滴下した。これを、窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させた。その後、反応溶液を減圧することによりイソプロピルアルコールを蒸発させ、有効成分30%のオルガノシランの加水分解重縮合物(以下、「KBE903重縮合物B」という)を得た。密着性付与剤として、KBE903重縮合物Bを有効成分濃度で150ppm用い、付きまわり性向上剤としてクエン酸を50ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は43であった。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例9>
密着性付与剤として「コロイダルシリカOXS」(商品名、日産化学社製)を有効成分濃度で200ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で20秒間行った。
<実施例10>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として「KBE903重縮合物A」を有効成分濃度で200ppm、及び硝酸マグネシウムを500ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、40℃で10秒間行った。
<実施例11>
ジルコニウムとして、ジルコンフッ化水素酸を金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として変性ポリアリルアミンを50ppm用い、添加剤として亜硝酸ナトリムを100ppm用いて、pHを3.5に調整した点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
なお、変性ポリアリルアミンは、1重量%の「PAA10C」(ポリアリルアミン、有効濃度10%、商品名、日東紡績社製)と、エポキシ基を有する化合物として「KBM403」(3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、有効濃度100%、商品名、信越化学工業社製)を、重量費1:0.5で混合し、反応温度25℃、反応時間60分で反応させることにより合成した。
<実施例12>
ジルコニウムを金属元素換算で700ppm用い、添加剤としてポリヘキサメチレンビグアニジンの酢酸塩(ビグアナイド)を100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は28であった。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例13>
密着性付与剤として「KBE903重縮合物B」を有効成分濃度で200ppm用い、添加剤としてアスコルビン酸を100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従い、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。Zr/Si比は27であった。アルカリ処理はpH12の水酸化ナトリウムを用い、室温で60秒間行った。
<実施例14>
[金属基材]
市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を金属基材として用意した。
[金属基材の前処理]
アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間、上記金属材料の脱脂処理を行った。これを水洗槽で浸漬洗浄した後、水道水で約30秒間スプレー洗浄を行った。
[金属表面処理組成物の調製]
ジルコニウムとして40%ジルコン酸を金属元素換算で700ppmとなるように、密着性付与剤としてKBE903−KBE603共縮合物を有効成分濃度で300ppmとなるように添加した。Zr/Si比は19であった。表面処理は、35℃で60秒行った。
[多価アニオン水溶液への接触工程]
表面処理を行った金属基材に対し、300ppmリグニン水溶液に、室温で30秒間接触させた。水洗は行わなかった。
<実施例15>
ジルコニウムを金属元素換算で500ppm用い、密着性付与剤として「KBM603重縮合物」を有効成分濃度で300ppm、及びケイフッ酸を有効成分濃度で50ppm用いた点以外は、実施例14に記載の方法と同様の方法により、表面処理用組成物の調製を行い、実施例14と同様の条件で、表面処理を行った。多価アニオン水溶液への接触工程においては、1000ppmリン酸水溶液を用い、40℃で30秒間接触させた。その後、水洗を行った。
<実施例16>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤として「PAA−H−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を30ppm用いた点以外は、実施例14に記載の方法と同様の方法により、表面処理用組成物の調製を行い、実施例14と同様の条件で、表面処理を行った。多価アニオン水溶液への接触工程においては、500ppmポリアクリル酸水溶液を用い、室温で20秒間接触させた。水洗は行わなかった。
<実施例17>
[金属基材]
市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を金属基材として用意した。
[金属基材の前処理]
アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間、上記金属材料の脱脂処理を行った。これを水洗槽で浸漬洗浄した後、水道水で約30秒間スプレー洗浄を行った。
[金属表面処理組成物の調製]
ジルコニウムとして40%ジルコン酸を金属元素換算で500ppmとなるように用い、密着性付与剤として「KBE903」(商品名、信越化学社製)を有効成分濃度で20ppmとなるように、硝酸カルシウムを50ppmとなるように添加した。pHは4.5に調整した。表面処理は、35℃で60秒行った。
[酸化剤への接触工程]
表面処理を行った金属基材に対し、250ppmの亜硝酸ナトリウムを、室温で30秒間接触させた。その後、水洗を行った。
<実施例18>
[金属基材]
市販の冷延鋼板(SPC、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を金属基材として用意した。
[金属基材の前処理]
アルカリ脱脂処理剤として「サーフクリーナーEC92」(商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間、上記金属材料の脱脂処理を行った。これを水洗槽で浸漬洗浄した後、水道水で約30秒間スプレー洗浄を行った。
[金属表面処理組成物の調製]
ジルコニウムとして40%ジルコン酸を金属元素換算で50ppmとなるように用い、密着性付与剤として「KBE903」(商品名、信越化学社製)を有効成分濃度で50ppmとなるように、硝酸アルミニウムを500ppmとなるように添加し、フッ化水素酸によるフッ素イオン濃度の調整を行った。pHは3.5に調整した。表面処理は、35℃で60秒行った。
[フッ素安定化剤への接触工程]
表面処理を行った金属基材に対し、250ppmの硝酸カルシウムを、室温で30秒間接触させた。その後、水洗を行った。
<比較例1>
実施例1に記載の方法に従い、金属基材の表面処理を行った。Zr/Si比は20であった。アルカリ処理は行わなかった。
<比較例2>
密着性付与剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従い、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理は行わなかった。
<比較例3>
ジルコニウムを金属元素換算で250ppm用い、密着性付与剤を用いず、添加剤として亜硝酸ナトリムを100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従い、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理は行わなかった。
<比較例4>
密着性付与剤として「PAA−10C」(ポリアリルアミン樹脂、商品名、日東紡績社製)を50ppm、添加剤として硝酸マグネシウムを100ppm用いた点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の方法により表意面処理を行った。アルカリ処理は行わなかった。
<比較例5>
ジルコニウムを用いず、付きまわり性向上剤としてHIDAを200ppm用い、密着性付与剤を用いなかった点以外は、実施例1に記載の方法に従って、表面処理用組成物の調製を行い、実施例1と同様の条件で表面処理を行った。アルカリ処理は行わなかった。
<比較例6(参考例)>
表面処理剤として、リン酸亜鉛系表面処理剤「サーフファインGL1」(商品名、0.3%、日本ペイント社製)を用い、室温で30秒間表面調整処理を行った。次に「サーフダイン6350」(商品名、日本ペイント社製)を用い、35℃で120秒間表面処理を行った。表面調整処理に先立つ前処理は、実施例1に記載の方法に従って行った。アルカリ処理は行わなかった。
<評価方法>
(付きまわり性)
付きまわり性は、特開2000−038525号公報に記載された「4枚ボックス法」により評価した。即ち、図1に示すように、実施例1から18、比較例1から6で表面処理を施した金属材料を、4枚立てた状態で、間隔20mmで平行に配置し、両側面下部及び底面を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を調製した。なお、金属材料4を除く金属材料1、2、3には下部に直径8mmの貫通穴5を設けた。
このボックス10を、カチオン電着塗料で満たした電着塗装容器20内に浸漬した。この場合、各貫通穴5のみからカチオン電着塗料がボックス10の内部に浸入する。
マグネチックスターラーでカチオン電着塗料を攪拌しながら、各金属材料1〜4を電気的に接続し、金属材料1との距離が150mmとなるように対極21を配置した。各金属材料1〜4を陰極、対極21を陽極として電圧を印加し、カチオン電着塗装を行った。塗装は、印加開始から5秒間で金属材料1のA面に形成される塗膜の膜厚が20μmに達する電圧まで昇圧し、その後175秒間その電圧を維持することにより行った。このときの浴温は30℃に調整した。
塗装後の各金属材料1〜4は水洗した後、170℃で25分間焼付けし、空冷後、対極21に最も近い金属材料1のA面に形成された塗膜の膜厚と、対極21からもっとも遠い金属材料4のG面に形成された塗膜の膜厚とを測定し、膜厚(G面)/膜厚(A面)の比により付きまわり性を評価した。この値が大きいほど、付きまわり性がよいと評価できる。結果を表1に示す。
(スラッジ観察)
実施例及び比較例で化成処理を行い、室温で30日経過後に、化成処理剤中の濁り(スラッジの発生)を目視により比較して、作業性を下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:透明液体
○:わずかにうすく濁る
△:濁る
×:沈殿物(スラッジ)発生
(皮膜量)
実施例及び比較例で得られた試験版について、防錆皮膜中のZr量及びSi量を測定した。測定は蛍光X線分析により行った。結果を表1に示す。
(二次密着試験(SDT))
実施例及び比較例で得られた試験板に、素地まで達する縦平行のカットを2本入れ、5%NaCl水溶液にて、50℃で480時間の浸漬を行った。次いで、水洗及び風乾を行った後、カット部に密着テープ「エルパックLP−24」(商品名、ニチバン社製)を密着させ、更に密着テープを急激に剥離した。剥離した密着テープに付着した塗料の最大幅(片側)の大きさを測定した。同様の試験は、亜鉛めっき鋼板(GA)、アルミニウム板(Al)に表面処理を行い、電着塗装を施したものについても行った。結果を表1に示す(単位:mm)。
Figure 2008088553
(サイクル腐食試験(CCT))
実施例及び比較例で得られた試験板のエッジ・裏面をテープシールし、カッターでクロスカット疵(金属に達する疵)を入れ、以下の条件によりCCT試験を行った。
即ち、35℃、湿度95%に保たれた塩水噴霧試験器中で、35℃に保温した5%NaCl水溶液を2時間連続噴霧した。次いで60℃、湿度20から30%の条件化で4時間乾燥した。これを24時間の間に3回繰り返したものを1サイクルとし、200サイクルの後と膜の膨れ幅(両側)を測定した。同様の試験は、亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板(HT)に表面処理を行い、電着塗装を施したものについても行った。結果を表2に示す(単位:mm)。
(SST)
35℃、5%NaCl水溶液を連続噴霧し、30日経過後の膨れ幅を測定(mm)し、エッジ部の錆発生状態を目視評価した。結果を表2に示す。
○:殆ど錆なし
△:ところどころに錆発生
×:多数錆発生
(腐食抵抗)
実施例及び比較例で得られた試験板について、「ポテンションスタットHZ−3000」(商品名、北斗電工社製)を用い、5%NaCl水溶液で腐食抵抗の抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(一次湿潤)
実施例及び比較例で得られた試験板について、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に1時間放置し、錆面積を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2008088553
付きまわり性を評価する際に用いるボックスの一例を示す斜視図である。 付きまわり性の評価を模式的に示す図面である。
符号の説明
1 金属材料
2 金属材料
3 金属材料
4 金属材料
5 貫通穴
10 ボックス
20 電着塗装容器
21 対極

Claims (16)

  1. ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンと、(A)ケイ素含有化合物、(B)密着付与金属イオン、及び(C)密着付与樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の密着性付与剤と、を含有する表面処理用組成物を用いて、金属基材を表面処理して防錆皮膜を形成させる金属基材の表面処理工程と、後処理工程と、からなる金属表面処理方法であって、前記後処理工程が、工程(a)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f)、及び工程(g)からなる群から選択される少なくとも一種であるカチオン電着塗装の付きまわり性を向上させる金属表面処理方法;
    (a)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、pH9以上のアルカリ水溶液に接触処理する工程;
    (b)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、多価アニオン水溶液に接触処理する工程;
    (c)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、多価アニオン水溶液に接触処理した後、更に水洗処理する工程;
    (d)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、酸化剤に接触処理する工程;
    (e)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、酸化剤に接触処理した後、更に水洗処理する工程;
    (f)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、フッ素安定化剤に接触処理する工程;及び
    (g)前記表面処理工程を経た前記金属基材の全部又は一部を、フッ素安定化剤に接触処理した後、更に水洗処理する工程。
  2. 前記アルカリ水溶液が、NaOH、KOH、アンモニア及びアミンからなる群から選択される少なくとも一種を含有するものである請求項1に記載の金属表面処理方法。
  3. 前記多価アニオン水溶液に含まれる多価アニオンがリン酸、縮合リン酸、ホスホン酸、リグニン、タンニン酸、フェノール化合物、アミノ酸、ポリアクリル酸、及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の金属表面処理方法。
  4. 前記酸化剤が硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素化合物、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種の酸化剤である請求項1から3のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  5. 前記フッ素安定化剤がカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウム、銅、モリブデン、ホウ素、ジルコニウム、チタニウム、及び金属塩類からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1から4のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  6. 前記(A)ケイ素含有化合物は、シリカ、ケイフッ化物、水溶性ケイ酸塩化合物、ケイ酸エステル類、アルキルシリケート類、及びシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1から5のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  7. 前記シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシラン及び前記アミノシランの加水分解重縮合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記金属表面処理組成物中における前記ジルコニウムイオン及び/又はチタンイオンの合計含有量は、金属元素換算で10ppm以上10000ppm以下であり、
    前記金属表面処理組成物中における前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物の合計含有量は、ケイ素元素換算で1ppm以上2000ppm以下であり、
    前記アミノシラン及び/又は前記アミノシランの加水分解重縮合物に含まれるケイ素元素の合計含有量に対する、ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.5以上500以下である請求項6に記載の金属表面処理方法。
  8. 前記(B)密着付与金属イオンは、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、銀、及び錫からなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンである請求項1から7のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  9. 前記(C)密着付与樹脂は、ポリアミン化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1から8のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  10. 前記ポリアミン化合物は、少なくとも一部に下記化学式(1)、(2)、及び/又は(3)で表される構成単位のうち一種を有するポリアミン化合物であり、
    前記ポリアミン化合物の質量に対する、前記ジルコニウム元素及び/又はチタン元素の合計含有量の比は、0.1以上100以下である請求項9に記載の金属表面処理方法。
    Figure 2008088553
    [化学式(3)中、Rは炭素数1から6のアルキレン基であり、Rは下記化学式(4)から(6)で表される置換基であり、Rは、ヒドロキシル基、炭素数1から6のアルコキシ基又は炭素数1から6のアルキル基である。]
    Figure 2008088553
    [化学式(6)中、Rは、水素原子、炭素数1から6のアミノアルキル基、又は炭素数1から6のアルキル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアミノアルキル基である。]
  11. 前記金属表面処理組成物は、更に、pHが1.5以上6.5以下である、請求項1から10のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  12. 前記金属表面処理組成物は、更に、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸、塩素酸、過酸化水素、HMnO、HVO、HWO、及びHMoO、並びにこれらの塩類からなる群から選択される少なくとも一種の酸化剤を含有する請求項1から11のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  13. 前記金属表面処理組成物は、更に、ヒドロキシ酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、芳香族酸、ホスホン酸化合物、スルホン酸化合物、及び多価アニオンからなる群から選択される少なくとも一種の安定化剤を含有する、請求項1から12のいずれかに記載の金属表面処理方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の金属表面処理方法により処理されてなる金属材料。
  15. 請求項14に記載の金属材料に、カチオン電着塗料を電着塗装することを特徴とする金属基材の塗装方法。
  16. 前記カチオン電着塗料が、変性エポキシ樹脂及び硬化剤を含むカチオン電着塗料である請求項15に記載の塗装方法。
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