JP2000289976A - 反転装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で、重量物を円滑且つ適切に所定
角度回転させて配置し得る反転装置を提供する。 【解決手段】 クレーンのワイヤＲに吊下された重量物
Ｗを、水平状態の第１アーム５上に載置し、ワイヤＲを
緩める。この結果、回転軸４を中心とするバランスウェ
イト８等によるモーメントに比し、重量物Ｗ等によるモ
ーメントが大となると、重量物Ｗは第１アーム５及び第
２アーム６と共に回転軸４を中心に回転し、第２アーム
６上に載置された状態となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は反転装置に関し、特
に、クレーン等によって吊り下げた重量物を、少くとも
所定角度回転させて配置し得る反転装置に係る。

【０００２】

【従来の技術】従来よりクレーン等によって吊り下げた
重量物を９０度反転させる反転装置が利用されており、
例えば特開平８−４１８２９号公報には橋梁等の構造物
を載せて反転させるＬ型アームを有する反転装置が開示
されている。同公報では、従来技術として、Ｌ型アーム
の角部を基台に軸着し、Ｌ型アームの水平部に構造物を
載せた後、Ｌ型アームの一端にワイヤを掛けてクレーン
で吊り上げることによって構造物を９０度反転させるよ
うにした反転装置を挙げ、所謂横引きの状態となること
を問題とし、その解決策が提案されている。

【０００３】具体的には、上記公報においては、Ｌ型ア
ームに載せた構造物を吊り上げて回転させる際に、台車
を移動させることによって、Ｌ型アームの先端を常に垂
直に吊り上げるようにする反転装置が提案されている。
この構造では、構造物の重心が回転軸の垂直線上を過ぎ
ると、構造物の重力によって急激にＬ型アームの回転が
進むことになるため、上記公報においてはＬ型アーム又
は回転軸に、その回転を制御する手段を設けることと
し、この点を発明の特徴としている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、上記公報
に提案の反転装置においては、Ｌ型アーム又は回転軸の
回転を制御する手段が必須であり、その具体的手段とし
て、油圧シリンダ、油圧切換弁、電動機、油圧ポンプ等
から成る装置が示されているように、複雑な構造で高価
な装置となる。また、一つのクレーンによって構造物を
吊り下げた状態から反転させるまでの工程は、先ずクレ
ーンによって構造物をＬ型アームの水平部に載せ、次に
クレーンのワイヤを構造物から取外し、Ｌ型アームの先
端にワイヤを取付けた後、Ｌ型アームをクレーンで吊り
上げるという形になり、従来技術に対して工程が減って
反転作業が容易になるといったものでもない。

【０００５】尚、上記公報に記載の反転装置において
は、構造物を９０度反転させることとしているが、上記
公報に記載の構造物のような重量物を、例えば水平面に
対し所定角度傾斜した面上に回転させて配置する場合に
も、当該重量物に対し衝撃を与えることなく円滑に回転
し得るようにすることが望ましい。

【０００６】そこで、本発明は、簡単な構造で、重量物
を円滑且つ適切に少くとも所定角度回転させて配置し得
る反転装置を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の反転装置は、少くとも水平方向に移動可能
な移動台と、該移動台に垂直方向に立設する支持部材
と、該支持部材に支持し前記移動台から所定距離上方の
位置で水平方向に延在する回転軸と、該回転軸を中心に
回動自在に中間部を支持する第１のアーム部材と、該第
１のアーム部材を水平に支持したときに上方に延出する
ように当該第１のアーム部材の一端に連結する第２のア
ーム部材と、前記第１のアーム部材の他端に支持し、前
記第１のアーム部材及び前記第２のアーム部材の自重に
よって前記回転軸回りに生ずるモーメントに抗して、反
対方向のモーメントを発生し前記第１のアーム部材を水
平状態に保持する錘部材とを備えることとしたものであ
る。

【０００８】而して、本発明の反転装置によれば、例え
ばクレーンに吊下された重量物が、水平状態の第１のア
ーム部材上に載置され、クレーンのワイヤが緩められ
る。この結果、錘部材の自重による回転軸回りのモーメ
ントに比し、重量物並びに第１及び第２のアーム部材の
自重によるモーメントが大となると、これらは回転軸を
中心に回転する。この場合において、例えば第１のアー
ム部材が所定角度回転した位置で当接する位置にストッ
パを配置すれば、重量物は所定角度回転した状態で第１
及び第２のアーム部材上に保持される。更に、第１のア
ーム部材が９０度回転し得る構成とすれば、重量物は第
２のアーム部材上に載置された状態となる。そして、こ
の状態から重量物が除去されると、錘部材の自重により
第１のアーム部材は自動的に水平状態に戻される。

【０００９】この間、支持部材が立設された移動台は、
重量物並びに第１及び第２のアーム部材等の回転軸を中
心とする回転に伴い、自動的に水平移動する。これによ
り、重量物を吊下するワイヤは常時垂直方向に維持され
るので、前述の横引き状態となることを懸念する必要は
ない。このようにして反転された重量物は、更に移動台
を移動することによって所望の位置まで運搬することが
できる。

【００１０】更に、請求項２に記載のように、前記第１
のアーム部材を水平に支持したときに下方に延出し、前
記第１のアーム部材が前記回転軸を中心に回動して垂直
となったときに、前記回転軸を中心として前記第２のア
ーム部材とは反対側に延出するように前記第１のアーム
部材の他端に連結する第３のアーム部材を具備したもの
とし、該第３のアーム部材の端部に、前記第１のアーム
部材が前記回転軸を中心に回動して垂直となったとき
に、前記第１のアーム部材が水平状態となる方向に前記
回転軸回りのモーメントを発生するように前記錘部材を
配置するように構成してもよい。このような構成によ
り、例えば重量物が載置されて第１のアーム部材が垂直
となった状態から、重量物が除去されると、錘部材の自
重により第１のアーム部材は自動的に水平状態に戻され
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の反転装置の望まし
い実施形態を図面を参照して説明する。図１乃至図４は
本発明の反転装置の一実施形態を示すもので、反転対象
の重量物Ｗを載置する前の状態を示している。図１にお
いて、移動台１は、例えば金属フレームで形成され、そ
の四隅にキャスタ２が設けられ、水平方向に移動可能に
構成されている。勿論、移動台１は水平方向に限らず、
更に上下方向にも移動可能としてもよい。この移動台２
の上面には一対の支柱３が対向するように立設されてお
り、垂直方向に延在している。これらの支柱３は本発明
の支持部材を構成するもので、これらの支柱３の上端に
回転軸４が回動自在に支持されている。従って、回転軸
４は一対の支柱３間に水平方向に延在している。

【００１２】回転軸４には第１アーム５の中間部が固定
されている。第１アーム５の一端部の上面には第２アー
ム６の一端が固定され、第１アーム５と第２アーム６に
よってＬ字状に形成されている。尚、第２アーム６は第
１アーム５に対し所望の位置固定し得るように構成され
ている。更に、第２アーム６を、第１アーム５に対し９
０度ではなく所望の挟角を形成するように連結してもよ
い。一方、第１アーム５の他端部には、第２アーム６と
反対側に延出するように第３アーム７が固定されてお
り、この第３アーム７の先端に、本発明の錘部材たるバ
ランスウェイト８が支持されている。

【００１３】本実施形態のバランスウェイト８は円柱状
で、その両端がブラケット８ａを介して第３アーム７の
先端に支持されている。このブラケット８ａは第３アー
ム７に対して回動自在に支持されている。バランスウェ
イト８は、第１アーム５（の図１の右側部分）及び第２
アーム６の自重によって回転軸４回りに生ずる図１の時
計方向のモーメントに抗して、第１アーム５（の左側部
分）並びに第３アーム７及びブラケット８ａの自重と共
に反時計方向のモーメントを発生し第１アーム５を水平
状態に保持し得る重量に設定されている。尚、支柱３に
はストッパ９が設けられており、このストッパ９に当接
した状態で第１アーム５が水平状態に保持される。

【００１４】図１に明らかなように、本実施形態におい
ては三組の第１アーム５及び第２アーム６が並設されて
いるが、二組としてもよく、あるいは板体を組み合わせ
て側面視Ｌ字状に形成してもよい。また、本実施形態に
おいては支柱３に回転軸４が回動自在に支持され、回転
軸４に第１アーム５が固定されているが、支柱３に回転
軸４を固定し、回転軸４に対して第１アーム５を回動自
在に支持することとしてもよい。更に、バランスウェイ
ト８は円柱状に限らずどのような形状としてもよく、ま
た、ブラケット８ａは省略することとしてもよい。

【００１５】而して、本実施形態の反転装置によれば、
図１及び図３に示すように、クレーン（図示せず）のワ
イヤＲに吊下された重量物Ｗ（図１では二点鎖線で示
す）が、水平状態の第１アーム５上に載置され、ワイヤ
Ｒが緩められる。この結果、バランスウェイト８による
回転軸４回りのモーメント（実際には、これに、第１ア
ーム５（の左側部分）の自重によるモーメント並びに第
３アーム７及びブラケット８ａの自重によるモーメント
が加算された値）に比し、重量物Ｗの自重によるモーメ
ント（実際には、これに、第１アーム５（の右側部分）
の自重によるモーメント及び第２アーム６の自重による
モーメントが加算された値）が大となると、これらは重
量物Ｗと共に回転軸４を中心に図１の時計方向に回転す
る。

【００１６】そして、ワイヤＲに吊下された重量物Ｗ
が、第１アーム５及び第２アーム６が９０度回転するま
で降下され、第１アーム５が垂直となり、図１及び図３
に破線で示したストッパ１０に当接すると、重量物Ｗは
図２及び図４に示すように、第２アーム６上に載置され
た状態となる（図２では二点鎖線で示す）。この間、移
動台１は、上記の第１アーム部材５及び第２アーム部材
６等の回転軸４を中心とする回転に伴い、自動的に水平
移動するので、ワイヤＲは常時垂直方向に維持される。
即ち、移動台１は重量物Ｗの降下に伴い、図４に２点鎖
線で示す初期位置から所定距離Ｓだけ左方に移動する。

【００１７】次に、図２及び図４に示す状態から、クレ
ーン（図示せず）によって重量物Ｗが引き上げられる
と、バランスウェイト８によって、回転軸４を中心とし
て第１アーム５が水平状態となる方向のモーメントが発
生する。このバランスウェイト８による回転軸４回りの
モーメントは、前述のように第１アーム５（の右側部
分）及び第２アーム６の自重によるモーメントより大に
設定されているので、第１アーム５及び第２アーム６等
は回転軸４を中心に図２及び図４の反時計方向に回転
し、図１及び図３の定常状態に戻る。尚、重量物Ｗとし
ては、従来の橋梁等のほか、溶接構造物、大型機械部
品、金型等があり、これらを機械加工する際の段取反
転、組付作業時の反転等に上記反転装置を用いることが
できる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で、以下に記載の効果を奏する。即ち、本発明の反転装
置によれば、水平状態の第１のアーム部材上に重量物が
載置されると、重量物の自重により重量物は第１及び第
２のアーム部材等と共に回転軸を中心に回転する。この
ように、重量物の自重を利用し、当該重量物を円滑且つ
適切に所定角度回転させて配置することができる。更
に、移動台を移動することによって重量物をそのまま所
望の位置まで運搬することができる。

【００１９】また、請求項２に記載のように構成すれ
ば、簡単な構造で、第１及び第２のアーム等を容易に元
の状態に復帰させることができるので、自動的に次の反
転作業の準備をすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る反転装置の斜視図で
ある。

【図２】本発明の一実施形態に係る反転装置によって重
量物を反転させた状態を示す斜視図である。

【図３】本発明の一実施形態に係る反転装置に重量物を
載置した状態を示す正面図である。

【図４】本発明の一実施形態に係る反転装置によって重
量物を反転させた状態を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 移動台， ２ キャスタ， ３ 支柱， ４ 回転
軸，５ 第１アーム， ６ 第２アーム， ７ 第３ア
ーム，８ バランスウェイト， ９，１０ ストッパ，
Ｗ 重量物

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少くとも水平方向に移動可能な移動台
   と、該移動台に垂直方向に立設する支持部材と、該支持
   部材に支持し前記移動台から所定距離上方の位置で水平
   方向に延在する回転軸と、該回転軸を中心に回動自在に
   中間部を支持する第１のアーム部材と、該第１のアーム
   部材を水平に支持したときに上方に延出するように当該
   第１のアーム部材の一端に連結する第２のアーム部材
   と、前記第１のアーム部材の他端に支持し、前記第１の
   アーム部材及び前記第２のアーム部材の自重によって前
   記回転軸回りに生ずるモーメントに抗して、反対方向の
   モーメントを発生し前記第１のアーム部材を水平状態に
   保持する錘部材とを備えたことを特徴とする反転装置。
2. 【請求項２】 前記第１のアーム部材を水平に支持した
   ときに下方に延出し、前記第１のアーム部材が前記回転
   軸を中心に回動して垂直となったときに、前記回転軸を
   中心として前記第２のアーム部材とは反対側に延出する
   ように前記第１のアーム部材の他端に連結する第３のア
   ーム部材を具備し、該第３のアーム部材の端部に、前記
   第１のアーム部材が前記回転軸を中心に回動して垂直と
   なったときに、前記第１のアーム部材が水平状態となる
   方向に前記回転軸回りのモーメントを発生するように前
   記錘部材を配置したことを特徴とする請求項１記載の反
   転装置。