JP2000284230A - 光学的ローパスフィルタ - Google Patents

光学的ローパスフィルタ

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JP2000284230A
JP2000284230A JP9454399A JP9454399A JP2000284230A JP 2000284230 A JP2000284230 A JP 2000284230A JP 9454399 A JP9454399 A JP 9454399A JP 9454399 A JP9454399 A JP 9454399A JP 2000284230 A JP2000284230 A JP 2000284230A
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JP
Japan
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adhesive
plate
plates
refractive index
niobium
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JP9454399A
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English (en)
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Motoo Takada
元生 高田
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Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】接着剤による複屈折板の反りや撓みを防止して
接着剤層の厚みを均一にし、出射光間に干渉が少なく鮮
明な画像を得る光学フィルタを提供する。 【構成】(1)少なくとも複屈折性を有する結晶板と光
学板とを接着剤により接合してなる光学的ローパスフィ
ルタにおいて、前記接着剤中に厚みを一定にする粒体を
混入した構成とする。(2)少なくとも複屈折性を有す
る結晶板と光学板とを接着剤により接合してなる光学的
ローパスフィルタにおいて、前記複屈折板の常光線と異
常光線とによる複屈折係数k(但し、k=(ne-no
)/2ne・noで、noは常光線のneは異常光線の屈
折率である)を0.01オーダ以上として、前記接着剤
中に厚みを一定にする粒体を混入した構成とする。
(3)(2)において、前記結晶板の表面には反射防止
膜を形成した構成とする。(4)(3)において、前記
結晶板における常光線と異常光線との屈折率の幾何平均
と前記接着剤の屈折率との差が0.1以上とした構成と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、デジタルカメラ等に使用される
光学的ローパスフィルタ(光学フィルタとする)を産業
上の技術分野とし、特に小型化に適するとともに干渉縞
の発生を防止して鮮明な画像を得る光学フィルタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】(発明の背景)光学フィルタは、規則的
な画素配列を有するCCD等の撮像素子に起因した疑似
信号を除去するために使用される。近年では、軽薄短小
の元、厚みを小さくした光学フィルタが求められてい
る。
【0003】(従来技術の一例)第2図は一従来例を説
明する光学フィルタ(複屈折板)の断面図である。光学
フィルタは、複屈折板(複屈折性を有する結晶板)1か
らなる。複屈折板1は、常光線LOと異常光線LEに対する
屈折率が異なり、入射光Lが透過すると両者(常光線LO
と異常光線LE)に分離されて出射する。
【0004】常光線と異常光線の分離度dは、次式
(1)で示すように複屈折板の複屈折係数kに板厚tを
乗算して得られる。複屈折係数kは、常光線LOと異常光
線LEの屈折率ne、noによって決定され、kが大きいほ
ど複屈折性は顕著になる。
【0005】通常では、単価及び汎用性等の理由から、
複屈折板1としては水晶が使用される。なお、水晶の場
合は、結晶軸(XYZ)の光軸(Z軸)に対して入射光
が約45度傾斜したとき、常光線と異常光線の最大の分
離度dとなる。そして、一般には、第3図に示したよう
に、複数枚例えは3枚の水晶板2(abc)を板面を回
転させて接着剤3によって積層する。そして、入射光を
複数の常光線と異常光線とに分離して、複数の疑似信号
を除去する光学フィルタを構成する。
【0006】ちなみに、水晶の常光線に対する屈折率は
1.546、異常光線に対するそれは1.555であ
る。但し、波長は通常光(緑色)の550nm(ナノメ
ートル)の場合である。したがって、両者の屈折率の差
は0.009であり、複屈折性の大きさを表す前述の複
屈折係数kは0.006となる。また、常光線と異常光
線との屈折率の幾何平均(平均屈折率とする)は1.5
50となる。
【0007】これに対し、例えばニオブ酸リチウム(L
iNbO)の場合は、常光線に対する屈折率は2.32
0、異常光線に対しては2.214であり、屈折率の差
は0.106、複屈折係数kは0.046、平均屈折率
は2.267となる。
【0008】このことから、ニオブ酸リチウムは水晶に
比較して約7倍の複屈折性(係数)を持つ。したがっ
て、常光線と異常光線との前述した分離度dを同一とす
る板厚は、前(1)式から明らかな通り、ニオブ酸リチ
ウムの場合は水晶の約1/7になる。
【0009】例えば水晶板の厚みを1mmとするとニオ
ブ酸リチウム板(ニオブ板とする)の場合は約0.14
2mmとなる。したがって、ニオブ酸リチウムを複屈折
板とすれば、厚み寸法を小さくして小型な光学フィルタ
を得ることができる。特に、積層数が多くなるほど、そ
の効果は顕著になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】(従来技術の問題点)
しかしながら、複屈折板をニオブ酸リチウムとした光学
フィルタでは、積層する際の接着剤に起因して次の問題
があった。すなわち、ニオブ酸リチウムは前述のように
平均屈折率は2.267であり、接着剤の屈折率は概ね
1.520である。
【0011】したがって、ニオブ酸リチウム(複屈折
板)の平均屈折率と接着剤の屈折率の差は約0.747
もあり、接着剤層による入射光の反射を大きくして、透
過光を少なくする。したがって、この場合には、受光部
での光量が不足して画像を暗くする。なお、水晶板(平
均屈折率1.550)と接着剤(1.520)との屈折
率の差は0.03に過ぎず、反射による影響は無視でき
る。
【0012】このことから、複屈折板をニオブ酸リチウ
ムとした場合には、第4図に示したように、ニオブ板4
(ab)の積層面となる表面に反射防止膜5を設けて、
接着剤3による反射を防止して透過光を十分にする必要
があった。しかし、反射防止膜5によって透過光を十分
にしたとしても、複屈折板としてのニオブ板4(ab)
の厚みは小さい(水晶板の1/7)。
【0013】したがって、この場合には、ニオブ板4
(ab)の厚みが小さいほど、接着剤3の硬化収縮等に
よる応力によって、反りや撓みを生じて平行度や平面度
を悪化させる。また、接着剤層の斑(むら)等による厚
みの不均一性が、光路長に対する影響(誤差)を大きく
する。このようなことから、出射光(常光線LO及び異常
光線LE)の間に干渉を生じて、画像が歪んでしまう問題
があった。
【0014】(発明の目的)本発明は、接着剤による複
屈折板の反りや撓みを防止して接着剤層の厚みを均一に
し、出射光間に干渉が少なく鮮明な画像を得る光学フィ
ルタを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶等に使用
される接合技術を適用して、複屈折板を接合する接着剤
中に高さ寸法が均一な粒体を混入したことを基本的な解
決手段とする。
【0016】
【作用】本発明では、接着剤中に粒体を混入して複屈折
板を接合するので、接着剤の厚みを均一にして、複屈折
板に対する反りや撓みを防止する。以下、本発明の一実
施例を説明する。
【0017】第1図は本発明の一実施例を説明する光学
フィルタの図である。なお、前従来例図と同一部分には
同番号を付与してその説明は省略又は簡略する。光学フ
ィルタは、複屈折板を前述のニオブ板4(ab)とし、
接着剤3によって積層する。この実施例では、ニオブ板
4(ab)の一方の厚みは0.7mm、他方は0.50
mmとする。そして、ニオブ板4(ab)の積層面側に
は、それぞれ反射防止膜5を形成する。反射防止膜5は
二層として、一層目5aを二酸化チタン(TiO)、二
層目5bを二酸化珪素(SiO)とする。
【0018】接着剤3は、紫外線硬化型としたフォトボ
ンド#300(商品名、サンライズMSI社製)を使用
する。そして、接着剤3中には粒体6を混入する。粒体
6は直径6μ±0.1μとした、長さ約6μのグラスフ
ァイバー(ガラス繊維)からなる。この例では、接着剤
3を1mL(ミリリットル)として2.5mgの粒体を
混入(添加)した。また、接着剤の屈折率は約1.5
2、粒体6の屈折率は1.56である。
【0019】実際における接着は、粒体6の混入した接
着剤3を各ニオブ板4(ab)に塗布して重ね合せる。
そして、一主面側から200gの加重をかけながら、5
0℃に維持された高温槽内に30分間放置する。最後
に、紫外線を照射して接着剤3を硬化させた。
【0020】このようなもとでの光学フィルタは、接着
剤層3の厚みが粒体6によって均一になる。また、接着
剤3の硬化収縮時においても、粒体6によってニオブ板
4(ab)に反りや撓みの発生を防止する。したがっ
て、光学フィルタ全体の厚みを均一にして平行度及び平
坦度を維持する。
【0021】実験結果では、このようなものでは、出射
光の干渉による画像の歪みを生ずることなく、鮮明な画
像を得ることができた。これに対して、粒体を混入する
ことなく、単なる接着剤3のみで同一条件による2枚の
ニオブ板4(ab)を接合した場合には、干渉縞を生じ
て画像が歪み、鮮明度を低下させた。
【0022】また、この実施例では、反射防止膜5とし
て一層目5aを二酸化珪素(SiO )としたので、ニオ
ブ板4(ab)との馴染を良好として接合強度を高め、
二層目5bを二酸化チタン(TiO)としたので反射防
止効果を高めることができる。
【0023】
【他の事項】上記実施例では、グラスファイバーを短く
切って粒体6としたが、例えばビーズ(球状)であって
もよく、高さ寸法を一定に確保できる形状であって、屈
折率が接着剤3とほぼ同等であればよい。また、接着剤
は紫外線硬化型としたが、これに限らず単に熱硬化型で
あってもよく、その制約は格別にない。また、接着剤3
は1mLとして粒体6を2.5mgを混入したが、要
は、粒体6が混入されても接着剤3の強度を維持できる
程度であればよい。
【0024】また、光学フィルタは2枚のニオブ板4
(ab)を接合したが、これ以上の枚数を積層してもよ
い。また、ニオブ板4を一枚として、例えは光路長を大
きくする複屈折性を有しない単なるガラスや樹脂板等を
接合する場合であっても適用できる。なお、特許請求の
範囲では、ガラス板等を含めて光学板としている。
【0025】また、大きな複屈折性を有する材料は、平
均屈折率が2.3のニオブ酸リチウム(ニオブ板)とし
て説明したが、例えはタンタル酸リチウム(LiTa
、平均屈折率2.18)や二酸化チタン(TiO
同2.8)等であってもよく、特に限定されない。
【0026】また、反射防止膜5(ab)はニオブ板4
(ab)の積層面側のいずれにも設けたが、一方のみで
あったとしてもよく、要は反射を十分にして透過光が増
加すればよい。
【0027】また、複屈折板1は複屈折係数kが大き
く、しかも複屈折板の平均屈折率と接着剤の屈折率とが
かけ離れた場合について説明した。しかし、水晶板等の
ように複屈折係数kが小さいときであっても厚みを小さ
くして積層する場合には、接着剤3の斑及び硬化収縮に
よる水晶板の反りや撓みによって干渉縞を生じる。した
がって、本発明での粒体6の存在はこれらの場合でも有
効であって、本発明の技術的範囲から除外するものでは
ない(特許請求の範囲請求項1)。
【0028】また、複屈折板1の複屈折係数kは、水晶
板では0.006であって1/1000オーダとする。
したがって、屈折係数kが一桁大きな1/100オーダ
以上であれば、常光線と異常光線との分離度を水晶板と
同一とする厚みは水晶板に対して十分に小さくなる。こ
のことから、常光線と異常光線との複屈折係数kが一桁
異なる0.01オーダ以上であれば、粒体6によって厚
みを均一にする効果も大きくなる(請求項2)。
【0029】また、上記実施例では反射防止膜5を形成
したが、これは複屈折板1としてのニオブ板4の平均屈
折率と接着剤3の屈折率の差が大きいためであり、複屈
折板の平均屈折率と接着剤の屈折率が同等の場合には反
射防止膜5を形成する必要はない(請求項3)
【0030】また、従来例で説明した水晶の平均屈折率
は1.54で、接着剤が1.52の場合は、屈折率差が
1/100のオーダである0.2に過ぎず、反射による
損失を実質的に無視できる(干渉縞による画像不良がな
い)ので、前述のように反射防止膜5を形成する必要は
ない。しかし、屈折率の差がこれより一桁大きい1/1
0オーダとなる0.1以上の場合には反射防止膜5を形
成する効果が顕著になると考えられる(請求項4)。
【0031】
【発明の効果】本発明は、液晶の接合技術を適用して、
複屈折板を接合する接着剤中に高さ寸法が均一な粒体を
混入したので、接着剤層の厚み及び複屈折板の反りや撓
みを防止して、干渉が少なく鮮明な画像を得る光学フィ
ルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する光学フィルタの断
面図である。
【図2】従来例を説明する複屈折板の断面図である。
【図3】従来例を説明する光学フィルタの断面図であ
る。
【図4】従来例を説明する光学フィルタの断面である。
【符号の説明】
1 複屈折板、2 水晶板、3 接着剤、4 ニオブ
板、5 反射防止膜、6 粒体。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月25日(2000.1.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】光学的ローパスフィルタ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、デジタルカメラ等に使用される
光学的ローパスフィルタ(光学フィルタとする)を産業
上の技術分野とし、特に小型化に適するとともに干渉縞
の発生を防止して鮮明な画像を得る光学フィルタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】(発明の背景)光学フィルタは、規則的
な画素配列を有するCCD等の撮像素子に起因した疑似
信号を除去するために使用される。近年では、軽薄短小
の元、厚みを小さくした光学フィルタが求められてい
る。
【0003】(従来技術の一例)第2図は一従来例を説
明する光学フィルタ(複屈折板)の断面図である。光学
フィルタは、複屈折板(複屈折性を有する結晶板)1か
らなる。複屈折板1は、常光線LOと異常光線LEに対する
屈折率が異なり、入射光Lが透過すると両者(常光線LO
と異常光線LE)に分離されて出射する。
【0004】常光線と異常光線の分離度dは、次式
(1)で示すように複屈折板の複屈折係数kに板厚tを
乗算して得られる。複屈折係数kは、常光線LOと異常光
線LEの屈折率ne、noによって決定され、kが大きいほ
ど複屈折性は顕著になる。
【0005】通常では、単価及び汎用性等の理由から、
複屈折板1としては水晶が使用される。なお、水晶の場
合は、結晶軸(XYZ)の光軸(Z軸)に対して入射光
が約45度傾斜したとき、常光線と異常光線の最大の分
離度dとなる。そして、一般には、第3図に示したよう
に、複数枚例えば3枚の水晶板2(abc)を板面を回
転させて接着剤3によって積層する。そして、入射光を
複数の常光線と異常光線とに分離して、複数の疑似信号
を除去する光学フィルタを構成する。
【0006】ちなみに、水晶の常光線に対する屈折率は
1.546、異常光線に対するそれは1.555であ
る。但し、波長は通常光(緑色)の550nm(ナノメ
ートル)の場合である。したがって、両者の屈折率の差
は0.009であり、複屈折性の大きさを表す前述の複
屈折係数kは0.006となる。また、常光線と異常光
線との屈折率の幾何平均(平均屈折率とする)は1.5
50となる。
【0007】これに対し、例えばニオブ酸リチウム(L
iNbO)の場合は、常光線に対する屈折率は2.32
0、異常光線に対しては2.214であり、屈折率の差
は0.106、複屈折係数kは0.046、平均屈折率
は2.267となる。
【0008】このことから、ニオブ酸リチウムは水晶に
比較して約7倍の複屈折性(係数)を持つ。したがっ
て、常光線と異常光線との前述した分離度dを同一とす
る板厚は、前(1)式から明らかな通り、ニオブ酸リチ
ウムの場合は水晶の約1/7になる。
【0009】例えば水晶板の厚みを1mmとするとニオ
ブ酸リチウム板(ニオブ板とする)の場合は約0.14
2mmとなる。したがって、ニオブ酸リチウムを複屈折
板とすれば、厚み寸法を小さくして小型な光学フィルタ
を得ることができる。特に、積層数が多くなるほど、そ
の効果は顕著になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】(従来技術の問題点)
しかしながら、複屈折板をニオブ酸リチウムとした光学
フィルタでは、積層する際の接着剤に起因して次の問題
があった。すなわち、ニオブ酸リチウムは前述のように
平均屈折率は2.267であり、接着剤の屈折率は概ね
1.520である。
【0011】したがって、ニオブ酸リチウム(複屈折
板)の平均屈折率と接着剤の屈折率の差は約0.747
もあり、接着剤層による入射光の反射を大きくして、透
過光を少なくする。したがって、この場合には、受光部
での光量が不足して画像を暗くする。なお、水晶板(平
均屈折率1.550)と接着剤(1.520)との屈折
率の差は0.03に過ぎず、反射による影響は無視でき
る。
【0012】このことから、複屈折板をニオブ酸リチウ
ムとした場合には、第4図に示したように、ニオブ板4
(ab)の積層面となる表面に反射防止膜5を設けて、
接着剤3による反射を防止して透過光を十分にする必要
があった。しかし、反射防止膜5によって透過光を十分
にしたとしても、複屈折板としてのニオブ板4(ab)
の厚みは小さい(水晶板の1/7)。
【0013】したがって、この場合には、ニオブ板4
(ab)の厚みが小さいほど、接着剤3の硬化収縮等に
よる応力によって、反りや撓みを生じて平行度や平面度
を悪化させる。また、接着剤層の斑(むら)等による厚
みの不均一性が、光路長に対する影響(誤差)を大きく
する。このようなことから、出射光(常光線LO及び異常
光線LE)の間に干渉を生じて、画像が歪んでしまう問題
があった。
【0014】(発明の目的)本発明は、接着剤による複
屈折板の反りや撓みを防止して接着剤層の厚みを均一に
し、出射光間に干渉が少なく鮮明な画像を得る光学フィ
ルタを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶等に使用
される接合技術を適用して、複屈折板を接合する接着剤
中に高さ寸法が均一な粒体を混入したことを基本的な解
決手段とする。
【0016】
【作用】本発明では、接着剤中に粒体を混入して複屈折
板を接合するので、接着剤の厚みを均一にして、複屈折
板に対する反りや撓みを防止する。以下、本発明の一実
施例を説明する。
【0017】第1図は本発明の一実施例を説明する光学
フィルタの図である。なお、前従来例図と同一部分には
同番号を付与してその説明は省略又は簡略する。光学フ
ィルタは、複屈折板を前述のニオブ板4(ab)とし、
接着剤3によって積層する。この実施例では、ニオブ板
4(ab)の一方の厚みは0.7mm、他方は0.50
mmとする。そして、ニオブ板4(ab)の積層面側に
は、それぞれ反射防止膜5を形成する。反射防止膜5は
二層として、一層目5aを二酸化チタン(TiO)、二
層目5bを二酸化珪素(SiO)とする。
【0018】接着剤3は、紫外線硬化型としたフォトボ
ンド#300(商品名、サンライズMSI社製)を使用
する。そして、接着剤3中には粒体6を混入する。粒体
6は直径6μ±0.1μとした、長さ約6μのグラスフ
ァイバー(ガラス繊維)からなる。この例では、接着剤
3を1mL(ミリリットル)として2.5mgの粒体を
混入(添加)した。また、接着剤の屈折率は約1.5
2、粒体6の屈折率は1.56である。
【0019】実際における接着は、粒体6の混入した接
着剤3を各ニオブ板4(ab)に塗布して重ね合せる。
そして、一主面側から200gの加重をかけながら、5
0℃に維持された高温槽内に30分間放置する。最後
に、紫外線を照射して接着剤3を硬化させた。
【0020】このようなもとでの光学フィルタは、接着
剤層3の厚みが粒体6によって均一になる。また、接着
剤3の硬化収縮時においても、粒体6によってニオブ板
4(ab)に反りや撓みの発生を防止する。したがっ
て、光学フィルタ全体の厚みを均一にして平行度及び平
坦度を維持する。
【0021】実験結果では、このようなものでは、出射
光の干渉による画像の歪みを生ずることなく、鮮明な画
像を得ることができた。これに対して、粒体を混入する
ことなく、単なる接着剤3のみで同一条件による2枚の
ニオブ板4(ab)を接合した場合には、干渉縞を生じ
て画像が歪み、鮮明度を低下させた。
【0022】また、この実施例では、反射防止膜5とし
て一層目5aを二酸化チタン(TiO)としたので、ニ
オブ板4(ab)との馴染を良好として接合強度を高
め、二層目5bを二酸化珪素(SiO)としたので反射
防止効果を高めることができる。
【0023】
【他の事項】上記実施例では、グラスファイバーを短く
切って粒体6としたが、例えばビーズ(球状)であって
もよく、高さ寸法を一定に確保できる形状であって、屈
折率が接着剤3とほぼ同等であればよい。また、接着剤
は紫外線硬化型としたが、これに限らず単に熱硬化型で
あってもよく、その制約は格別にない。また、接着剤3
は1mLとして粒体6を2.5mgを混入したが、要
は、粒体6が混入されても接着剤3の強度を維持できる
程度であればよい。
【0024】また、光学フィルタは2枚のニオブ板4
(ab)を接合したが、これ以上の枚数を積層してもよ
い。また、ニオブ板4を一枚として、例えば光路長を大
きくする複屈折性を有しない単なるガラスや樹脂板等を
接合する場合であっても適用できる。なお、特許請求の
範囲では、ガラス板等を含めて光学板としている。
【0025】また、大きな複屈折性を有する材料は、平
均屈折率が2.3のニオブ酸リチウム(ニオブ板)とし
て説明したが、例えばタンタル酸リチウム(LiTa
、平均屈折率2.18)や二酸化チタン(TiO
同2.8)等であってもよく、特に限定されない。
【0026】また、反射防止膜5(ab)はニオブ板4
(ab)の積層面側のいずれにも設けたが、一方のみで
あったとしてもよく、要は反射を防止して透過光が増加
すればよい。
【0027】また、複屈折板1は複屈折係数kが大き
く、しかも複屈折板の平均屈折率と接着剤の屈折率とが
かけ離れた場合について説明した。しかし、水晶板等の
ように複屈折係数kが小さいときであっても厚みを小さ
くして積層する場合には、接着剤3の斑及び硬化収縮に
よる水晶板の反りや撓みによって干渉縞を生じる。した
がって、本発明での粒体6の存在はこれらの場合でも有
効であって、本発明の技術的範囲から除外するものでは
ない(特許請求の範囲請求項1)。
【0028】また、複屈折板1の複屈折係数kは、水晶
板では0.006であって1/1000オーダとする。
したがって、屈折係数kが一桁大きな1/100オーダ
以上であれば、常光線と異常光線との分離度を水晶板と
同一とする厚みは水晶板に対して十分に小さくなる。こ
のことから、常光線と異常光線との複屈折係数kが一桁
異なる0.01オーダ以上であれば、粒体6によって厚
みを均一にする効果も大きくなる(請求項2)。
【0029】また、上記実施例では反射防止膜5を形成
したが、これは複屈折板1としてのニオブ板4の平均屈
折率と接着剤3の屈折率の差が大きいためであり、複屈
折板の平均屈折率と接着剤の屈折率が同等の場合には反
射防止膜5を形成する必要はない(請求項3)
【0030】また、従来例で説明した水晶の平均屈折率
は1.55で、接着剤が1.52の場合は、屈折率差が
1/100のオーダである0.03に過ぎず、反射によ
る損失を実質的に無視できる(干渉縞による画像不良が
ない)ので、前述のように反射防止膜5を形成する必要
はない。しかし、屈折率の差がこれより一桁大きい1/
10オーダとなる0.1以上の場合には反射防止膜5を
形成する効果が顕著になると考えられる(請求項4)。
【0031】
【発明の効果】本発明は、液晶の接合技術を適用して、
複屈折板を接合する接着剤中に高さ寸法が均一な粒体を
混入したので、接着剤層の厚み及び複屈折板の反りや撓
みを防止して、干渉が少なく鮮明な画像を得る光学フィ
ルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する光学フィルタの断
面図である。
【図2】従来例を説明する複屈折板の断面図である。
【図3】従来例を説明する光学フィルタの断面図であ
る。
【図4】従来例を説明する光学フィルタの断面である。
【符号の説明】 1 複屈折板、2 水晶板、3 接着剤、4 ニオブ
板、5 反射防止膜、6 粒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも複屈折性を有する結晶板と光学
    板とを接着剤により接合してなる光学的ローパスフィル
    タにおいて、前記接着剤中に厚みを一定にする粒体を混
    入したことを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
  2. 【請求項2】少なくとも複屈折性を有する結晶板と光学
    板とを接着剤により接合してなる光学的ローパスフィル
    タにおいて、前記複屈折板の常光線と異常光線とによる
    複屈折係数k(但し、k=ne-no/2ne・noで、
    noは常光線のneは異常光線の屈折率である)を0.0
    1オーダ以上として、前記接着剤中に厚みを一定にする
    粒体を混入したことを特徴とする光学的ローパスフィル
    タ。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記結晶板の表面に反
    射防止膜を形成したことを特徴とする光学的ローパスフ
    ィルタ。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記結晶板における常
    光線と異常光線との屈折率の幾何平均と前記接着剤の屈
    折率との差が0.1以上である光学的ローパスフィル
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4770464B2 (ja) * 2003-12-18 2011-09-14 株式会社大真空 光学フィルタ

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