JP2000282949A - エンジンのシリンダ構造 - Google Patents

エンジンのシリンダ構造

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JP2000282949A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車のエンジンのオイル消費量を減ら
し、排気の清浄化を図る。 【解決手段】 シリンダライナ2の上死点と下死点の間
の部分に、内方に向けた上向き傾斜部2bと下向き傾斜
部2aからなる山形の突出部を設ける。この突出部によ
り、トップリング3が掻き揚げるオイル量を減らすこと
ができるから、オイルの消費量が減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用エンジン
に適用するエンジンのシリンダ構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのピストンの外周には
複数個のリング溝が設けられており、このリング溝にピ
ストンリングが装着されて燃焼室とクランクケース側と
の気密性を得るようにしてある。このピストンリング
は、シリンダブロックのボア内に装着されたシリンダラ
イナの内壁を摺接することになる。
【0003】図10と図11は、その状態を示すもので
ある。ピストン1はシリンダライナ2の内側に所定の隙
間を有して設けられており、ファーストグローブ1a、
セカンドグローブ1bおよびサードグローブ1cの3つ
のリング溝により、上方からトップランド1d、セカン
ドランド1eおよびサードランド1fが設けられる。フ
ァーストグローブ1a、セカンドグローブ1bおよびサ
ードグローブ1cには、トップリング3、セカンドリン
グ4および2本のオイルレール5が装着されている。2
本のオイルレール5の間には、スペーサ6が装着してい
る。
【0004】この構造においてシリンダライナ2は、上
端から下端までが同一の肉厚のパイプで形成されてお
り、3個のピストンリングとも、ピストンが上下動する
とき、常に同一の接触度を保って移動するようになって
いる。シリンダライナ2をこの形状にしたとき、その加
工性はよいのであるが、ピストン1の上昇時にトップリ
ング3の前縁部がオイル7を掻き揚げるため、図12に
示すようにオイル7の量が多くなり、その結果として堆
積が生ずる。
【0005】このように堆積したオイル7は、上死点付
近で慣性力により燃焼室内に吸入されるので、これが燃
焼し、オイルが無駄に消費されるとともに、オイル燃焼
により排気成分が悪化することになる。そこでトップリ
ング3の外周部(シリンダライナ2との摺接部)の形状
を変えることによってオイルの掻揚げ量(堆積量)を従
来より減らすことができることになる。
【0006】図13のは、従来構造のオイル堆積量、
はトップリング3の形状変更後のオイル堆積量を示
す。しかしながらピストンリングの形状を変えるのは、
加工性が悪いので問題がある。また、エンジンを長期に
わたって使用したときに、摩耗によってピストンリング
の形状が上下対称形になってしまうので、効果に持続性
がないという問題もあった。
【0007】ピストン部あるいは燃焼室部分に改良を加
えたものとして、実開平5−21144号公報および実
開平5−30445号公報に記載されたものがある。前
者のものは、ピストンのトップランドの周面形状を変え
ることによりピストンの上下動が円滑に行えるようにし
たものであり、後者は、ピストン頂部の中心と燃焼室の
中心がオフセットしているものについての技術である。
これらの考案は、それぞれの構成により、所期の目的を
達成することができるが、本発明が問題としているオイ
ルの堆積についての解決はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの点に鑑み
てなされたものであり、シリンダライナの断面形状を変
えることにより、上記したオイルの堆積を防ぐようにし
たエンジンのシリンダ構造を提供しようとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、請求項1に記載した発明にお
いては、ピストンのリング溝に装着したピストンリング
がシリンダライナの内壁を摺接するエンジンのシリンダ
構造において、前記シリンダライナの上死点(TDC)
と下死点(BDC)の間の部分に、内方に向けた突出部
を設けたことを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載された発明は、請求
項1に記載されたものにおいて、前記突出部が、上死点
と下死点の間で上向き傾斜部と下向き傾斜部の両方を備
えていることを特徴とする。
【0011】また、請求項3に記載された発明は、請求
項1に記載されたものにおいて、前記突出部が、上死点
と下死点の間の緩やか曲面であることを特徴とする。
【0012】さらに、請求項4に記載された発明は、請
求項2に記載されたものにおいて、前記突出部は、シリ
ンダライナの中央部より上方にあることを特徴とする。
【0013】上記構成とすれば、ピストンが上下動する
とき、ピストンリングがシリンダライナの突出部に向か
うときにはシリンダライナとの密着度が高くなり、突出
部を通過するときには徐々に間隙が開き易くなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
について説明する。この実施の形態では、シリンダライ
ナ2の中間部(上死点と下死点の間の部分)を、内方に
向けてボア径変化分Δrだけ高くして突出部とし、両端
部からこの突出部の頂点に直線で結んだ山形形状として
ある。すなわち、突出部が、上死点(TDC)と下死点
(BDC)の間で上向き傾斜部2aと下向き傾斜部2b
の両方を備えている。
【0015】シリンダライナ2をこの形状としたことに
より、ピストンリング(トップリング3)の内周形状
を、上部が下部に対して縮径するようにしたのと同一の
効果を得ることができることになる。
【0016】突出高さΔrは、ピストンストロークが8
0mmのとき、0.2〜0.4mm程度である。これに
より、オイルの堆積量(消費量)は、図2ののように
減少する(は従来のもの)。
【0017】図4ないし図7は、図1に示したシリンダ
ライナ2に対するトップリング3の動きと、そのときの
オイル7の動きを示すものである。まず、図4に示すト
ップリング3の下降ストローク前半では、リング前縁で
掻き下げられたオイル量7aが多く、トップリング3が
通過したあとのオイル量(油膜)7bは薄くなる。
【0018】図5に示すトップリング3の下降ストロー
クの後半では、リング前縁で掻き下げられるオイル量7
aが少なくなり、堆積量も少なくなる。続いて、図6に
示すトップリング3の上昇ストローク前半では、下降ス
トローク後半で残したオイル7をリング前縁が掻き上げ
るので、堆積するオイル量7bは多くなる。さらに図7
に示す上昇ストロークの後半では、上昇ストローク前半
で堆積したオイルをシリンダライナ2に塗って行くこと
になるため、堆積量は減少する。
【0019】このように、トップリング3がシリンダラ
イナ2内を往復動するときに、オイル7の厚さが終始変
化し、必要な潤滑機能が得られるとともに、ピストンが
上死点付近に上昇したときにはオイル7の量が減少する
ので、燃焼室内に吸入されることがない。潤滑性能が向
上するからシリンダライナ3の内壁に供給するオイル7
の量を最小限にすることができる。これは、シリンダラ
イナ7の上部の潤滑を従来と同等にした場合(たとえば
クランク角度90°までの堆積量を同じにしたとき)、
図3の(は従来のもの)のような低減効果が得られ
ることになる。
【0020】図8および図9に示すものは、本発明の実
施の形態の他の例である。まず図8のものは、突出部
が、上死点(TDC)と下死点(BDC)の間の緩やか
な円弧状の曲面2cに形成されている。この場合のボア
径変化分Δr1は、図1のもののボア径変化分Δrより
小さくすることができる。このような形状にすると、上
死点と下死点の付近により多くのオイルを残すので、オ
イル消費とともに、上死点と下死点でのリングスティッ
ク(固着、摩耗)を改善できることになる。
【0021】図9に示すものは、本発明の実施の形態の
他の例である。この実施の形態は図1に示したものの変
形例であり、頂点を上死点に近付けて(シリンダライナ
7の高さの3/4程度のところ)、上向き傾斜部2bが
下向き傾斜部2aより小さくなるようにしている。この
形状にした場合には、頂点が高い位置にあることから、
ボア径変化分Δr2を図1のもののボア径変化分Δrよ
り小さくしても、燃焼室へのオイルの吸入量が減ること
になる。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以上説明したエンジンのシリ
ンダ構造であるから、請求項1に記載したような構成と
すれば、ピストンが上下動するとき、ピストンリングが
シリンダライナの突出部に向かう上昇ストロークの前半
ではシリンダライナとの密着度が高くなり、突出部を通
過した後半では徐々に間隙が開き易くなるので、従来は
生じていたオイルの堆積が生じにくくなる。また、請求
項2に記載の構成とすれば、この作用が一層明確にな
る。さらに請求項3に記載の構成とすれば、突出部が緩
やかな曲面であることにより、ピストンリングのシリン
ダライナへの追従が円滑に行われる。そして請求項4し
た構成とすれば、頂点が端部に近くなるので、シリンダ
ライナの加工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図であ
る。
【図2】図1のものと従来のもののオイル堆積量を比較
するグラフである。
【図3】オイルの供給量を減らしたときの図1のものと
従来のもののオイル堆積量を比較するグラフである。
【図4】図1のもののピストンリングの下降ストローク
前半の説明図である。
【図5】図1のもののピストンリングの下降ストローク
後半の説明図である。
【図6】図1のもののピストンリングの上昇ストローク
前半の説明図である。
【図7】図1のもののピストンリングの上昇ストローク
後半の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の他の例である。
【図9】本発明の実施の形態のさらに他の例である。
【図10】ピストンリングとシリンダライナとの関係を
示す断面図である。
【図11】図10のうちの要部を模式的に拡大した断面
図である。
【図12】オイルが堆積した様子を示す説明図である。
【図13】従来構造とトップリングの形状変更後のオイ
ル堆積量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ピストン 2 シリンダライナ 2a 上向き傾斜部 2b 下向き傾斜部 2c 曲面 3 トップリング 7 オイル 7a オイル量 7b オイル量

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンのリング溝に装着したピストン
    リングがシリンダライナの内壁を摺接するエンジンのシ
    リンダ構造において、前記シリンダライナの上死点と下
    死点の間の部分に、内方に向けた突出部を設けたことを
    特徴とするエンジンのシリンダ構造。
  2. 【請求項2】 前記突出部が、上死点と下死点の間で上
    向き傾斜部と下向き傾斜部の両方を備えていることを特
    徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダ構造。
  3. 【請求項3】 前記突出部が、上死点と下死点の間の緩
    やか曲面であることを特徴とする請求項1に記載のエン
    ジンのシリンダ構造。
  4. 【請求項4】 前記突出部は、シリンダライナの中央部
    より上方にあることを特徴とする請求項2に記載のエン
    ジンのシリンダ構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018091121A1 (de) * 2016-11-15 2018-05-24 Daimler Ag Motorblock für einen verbrennungsmotor eines kraftwagens und verfahren zum herstellen eines motorblocks für einen verbrennungsmotor eines kraftwagens

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