JP3778247B2 - エンジンのシリンダ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジンに適用するエンジンのシリンダ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンのピストンの外周には複数個のリング溝が設けられており、このリング溝にピストンリングが装着されて燃焼室とクランクケース側との気密性を得るようにしてある。このピストンリングは、シリンダブロックのボア内に装着されたシリンダライナの内壁を摺接することになる。
【0003】
図10と図11は、その状態を示すものである。ピストン1はシリンダライナ2の内側に所定の隙間を有して設けられており、ファーストグローブ1a、セカンドグローブ1bおよびサードグローブ1cの3つのリング溝により、上方からトップランド1d、セカンドランド1eおよびサードランド1fが設けられる。ファーストグローブ1a、セカンドグローブ1bおよびサードグローブ1cには、トップリング3、セカンドリング4および2本のオイルレール5が装着されている。2本のオイルレール5の間には、スペーサ6が装着している。
【0004】
この構造においてシリンダライナ2は、上端から下端までが同一の肉厚のパイプで形成されており、3個のピストンリングとも、ピストンが上下動するとき、常に同一の接触度を保って移動するようになっている。シリンダライナ2をこの形状にしたとき、その加工性はよいのであるが、ピストン1の上昇時にトップリング3の前縁部がオイル7を掻き揚げるため、図12に示すようにオイル7の量が多くなり、その結果として堆積が生ずる。
【0005】
このように堆積したオイル7は、上死点付近で慣性力により燃焼室内に吸入されるので、これが燃焼し、オイルが無駄に消費されるとともに、オイル燃焼により排気成分が悪化することになる。そこでトップリング3の外周部(シリンダライナ2との摺接部)の形状を変えることによってオイルの掻揚げ量(堆積量)を従来より減らすことができることになる。
【0006】
図13の(1)は、従来構造のオイル堆積量、(2)はトップリング3の形状変更後のオイル堆積量を示す。しかしながらピストンリングの形状を変えるのは、加工性が悪いので問題がある。また、エンジンを長期にわたって使用したときに、摩耗によってピストンリングの形状が上下対称形になってしまうので、効果に持続性がないという問題もあった。
【0007】
ピストン部あるいは燃焼室部分に改良を加えたものとして、実開平5−21144号公報および実開平5−30445号公報に記載されたものがある。前者のものは、ピストンのトップランドの周面形状を変えることによりピストンの上下動が円滑に行えるようにしたものであり、後者は、ピストン頂部の中心と燃焼室の中心がオフセットしているものについての技術である。これらの考案は、それぞれの構成により、所期の目的を達成することができるが、本発明が問題としているオイルの堆積についての解決はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、シリンダライナの断面形状を変えることにより、上記したオイルの堆積を防ぐようにしたエンジンのシリンダ構造を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明においては、ピストンのリング溝に装着したピストンリングがシリンダライナの内壁を摺接するエンジンのシリンダ構造において、前記シリンダライナの上死点(TDC)と下死点(BDC)のほぼ中間部にボアの内方に向けて突出部の頂点を設け、前記シリンダライナ内側の断面形状を、前記上死点と前記下死点近傍から前記突出部の頂点に直線または曲線で結んだ山形形状としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたものにおいて、前記突出部の頂点は、前記シリンダライナの中央部より上方にあることを特徴とする。
【0011】
上記構成とすれば、ピストンが上下動するとき、ピストンリングがシリンダライナの突出部に向かうときにはシリンダライナとの密着度が高くなり、突出部を通過するときには徐々に間隙が開き易くなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1について説明する。この実施の形態では、シリンダライナ2の中間部(上死点と下死点の間の部分)を、内方に向けてボア径変化分Δrだけ高くして突出部とし、両端部からこの突出部の頂点に直線で結んだ山形形状としてある。すなわち、突出部が、上死点(TDC)と下死点(BDC)の間で上向き傾斜部2aと下向き傾斜部2bの両方を備えている。
【0013】
シリンダライナ2をこの形状としたことにより、ピストンリング(トップリング3)の内周形状を、上部が下部に対して縮径するようにしたのと同一の効果を得ることができることになる。
【0014】
突出高さΔrは、ピストンストロークが80mmのとき、0.2〜0.4mm程度である。これにより、オイルの堆積量(消費量)は、図2の(3)のように減少する((4)は従来のもの)。
【0015】
図4ないし図7は、図1に示したシリンダライナ2に対するトップリング3の動きと、そのときのオイル7の動きを示すものである。まず、図4に示すトップリング3の下降ストローク前半では、リング前縁で掻き下げられたオイル量7aが多く、トップリング3が通過したあとのオイル量(油膜)7bは薄くなる。
【0016】
図5に示すトップリング3の下降ストロークの後半では、リング前縁で掻き下げられるオイル量7aが少なくなり、堆積量も少なくなる。続いて、図6に示すトップリング3の上昇ストローク前半では、下降ストローク後半で残したオイル7をリング前縁が掻き上げるので、堆積するオイル量7bは多くなる。さらに図7に示す上昇ストロークの後半では、上昇ストローク前半で堆積したオイルをシリンダライナ2に塗って行くことになるため、堆積量は減少する。
【0017】
このように、トップリング3がシリンダライナ2内を往復動するときに、オイル7の厚さが終始変化し、必要な潤滑機能が得られるとともに、ピストンが上死点付近に上昇したときにはオイル7の量が減少するので、燃焼室内に吸入されることがない。潤滑性能が向上するからシリンダライナ3の内壁に供給するオイル7の量を最小限にすることができる。これは、シリンダライナ7の上部の潤滑を従来と同等にした場合(たとえばクランク角度90°までの堆積量を同じにしたとき)、図3の(5)((6)は従来のもの)のような低減効果が得られることになる。
【0018】
図8および図9に示すものは、本発明の実施の形態の他の例である。まず図8のものは、突出部が、上死点(TDC)と下死点(BDC)の間の緩やかな円弧状の曲面2cに形成されている。この場合のボア径変化分Δr1は、図1のもののボア径変化分Δrより小さくすることができる。このような形状にすると、上死点と下死点の付近により多くのオイルを残すので、オイル消費とともに、上死点と下死点でのリングスティック(固着、摩耗)を改善できることになる。
【0019】
図9に示すものは、本発明の実施の形態の他の例である。この実施の形態は図1に示したものの変形例であり、頂点を上死点に近付けて(シリンダライナ7の高さの3/4程度のところ)、上向き傾斜部2bが下向き傾斜部2aより小さくなるようにしている。この形状にした場合には、頂点が高い位置にあることから、ボア径変化分Δr2を図1のもののボア径変化分Δrより小さくしても、燃焼室へのオイルの吸入量が減ることになる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したエンジンのシリンダ構造であるから、請求項1に記載したような構成とすれば、ピストンが上下動するとき、ピストンリングがシリンダライナの突出部に向かう上昇ストロークの前半ではシリンダライナとの密着度が高くなり、突出部を通過した後半では徐々に間隙が開き易くなるので、従来は生じていたオイルの堆積が生じにくくなる。この際、シリンダライナ内側の断面形状を、上死点と下死点近傍から突出部の頂点に直線で結んだ山形形状の構成とすれば、この作用が一層明確になる。または、シリンダライナ内側の断面形状を、上死点と下死点近傍からこの突出部の頂点に曲線で結んだ山形形状とすれば、突出部が緩やかな曲面であることにより、ピストンリングのシリンダライナへの追従が円滑に行われる。そして請求項2に記載した構成とすれば、頂点が端部に近くなるので、シリンダライナの加工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】 図1のものと従来のもののオイル堆積量を比較するグラフである。
【図3】 オイルの供給量を減らしたときの図1のものと従来のもののオイル堆積量を比較するグラフである。
【図4】 図1のもののピストンリングの下降ストローク前半の説明図である。
【図5】 図1のもののピストンリングの下降ストローク後半の説明図である。
【図6】 図1のもののピストンリングの上昇ストローク前半の説明図である。
【図7】 図1のもののピストンリングの上昇ストローク後半の説明図である。
【図8】 本発明の実施の形態の他の例である。
【図9】 本発明の実施の形態のさらに他の例である。
【図10】 ピストンリングとシリンダライナとの関係を示す断面図である。
【図11】 図10のうちの要部を模式的に拡大した断面図である。
【図12】 オイルが堆積した様子を示す説明図である。
【図13】 従来構造とトップリングの形状変更後のオイル堆積量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ピストン
2 シリンダライナ
2a 上向き傾斜部
2b 下向き傾斜部
2c 曲面
3 トップリング
7 オイル
7a オイル量
7b オイル量
Claims (2)
- ピストンのリング溝に装着したピストンリングがシリンダライナの内壁を摺接するエンジンのシリンダ構造において、
前記シリンダライナの上死点と下死点のほぼ中間部にボアの内方に向けて突出部の頂点を設け、前記シリンダライナ内側の断面形状を、前記上死点と前記下死点近傍から前記突出部の頂点に直線または曲線で結んだ山形形状としたことを特徴とするエンジンのシリンダ構造。 - 前記突出部の頂点は、前記シリンダライナの中央部より上方にあることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダ構造。
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