JP2000282377A - 繊維布帛シートの抜蝕加工方法 - Google Patents
繊維布帛シートの抜蝕加工方法Info
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Abstract
蝕加工を行う繊維素材を限定することなく、必須成分で
ある変性ポリエステル繊維以外の繊維成分の強度低下を
抑制し、十分な抜蝕効果を得る加工方法を提供すること
を目的とする。更に処理加工時における作業環境悪化防
止を可能とした抜蝕加工方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 常圧可染型変性ポリエステル繊維を必須
成分として含む繊維布帛シートに第4級アンモニウム塩
を付与し、処理温度100〜110℃にて蒸熱処理を行
った後、アルカリ水溶液にて処理することを特徴とする
繊維布帛シートの抜蝕加工方法である。
Description
圧カチオン可染型変性ポリエステル繊維を含み、その他
の繊維素材を限定しない汎用性のある繊維布帛シートの
アルカリ加水分解による抜蝕加工方法に関するものであ
る。
リエステル繊維よりなる繊維製品の抜蝕加工方法につい
てたくさんの技術が開示されてきた。例えば、特開平2
−91288号公報、特開平3−867号公報には、繊
維脆化剤としてアミン類(トリエタノールアミン等)に
て処理した繊維布帛シートを更にアルカリ処理すること
によって、変性ポリエステル繊維をアルカリ加水分解さ
せる抜蝕方法が提案されている。
を組み合わせてなる素材が登場している中、汎用性のあ
る抜蝕加工が望まれてきている。しかしながら、繊維脆
化剤としてアミン類を用いる上記の方法は、変性ポリエ
ステル繊維以外の残存させるべき成分も脆化させてしま
い、強度を低下させるため使用できる繊維の種類に制限
があった。
を用いた場合、通常160〜190℃で蒸熱処理を行う
ことが必要であり、それ以下の処理温度では抜蝕効果が
十分に発揮されない。しかし、このような高温では、ポ
リウレタン弾性繊維の様な熱による物性の低下が著しい
繊維は脆化してしまうため、変性ポリエステル以外の本
来残存すべき部分までもが糸切れを起こすなどして、望
んでいる繊維布帛シートを得ることができなくなってし
まう。逆に、特開平10−25674号公報にはポリウ
レタン弾性繊維を脆化させて抜蝕加工を行う方法が開示
されているほどである。更に加工時にアミン類が揮散
し、人体に悪影響を与えるなどの作業環境に対する問題
点も指摘されている。
おいてもアミン類を用いるよりはその程度は改善され、
また作業環境も良くなるものの、やはり160〜190
℃で蒸熱処理を行うため、熱に弱い繊維は脆化してしま
い同様の結果となっている。
を解決し、繊維布帛シートのアルカリ加水分解による抜
蝕加工方法において、抜蝕加工を行う繊維素材を限定す
ることなく、必須成分である常圧カチオン可染型変性ポ
リエステル繊維以外の繊維成分の脆化を抑制し、十分な
抜蝕効果を得る加工方法を提供することを目的としてい
る。また処理加工時における作業環境悪化防止を可能と
した抜蝕加工方法を提供することを目的としている。
チオン可染型変性ポリエステル繊維を必須成分として含
む繊維布帛シートに第4級アンモニウム塩を付与し、処
理温度100〜110℃にて蒸熱処理を行った後、アル
カリ水溶液にて処理することを特徴とする繊維布帛シー
トの抜蝕加工方法であり、第二に繊維布帛シートが常圧
カチオン可染型変性ポリエステル繊維及びエーテル系ポ
リウレタン弾性繊維を必須成分として含んでいることを
特徴としており、第三に繊維布帛シートに対する第4級
アンモニウム塩の付与量が3〜20重量%であることを
特徴としており、また第四に常圧カチオン可染型変性ポ
リエステル繊維を必須成分として含む繊維布帛シートに
対する第4級アンモニウム塩の付与が、糊剤を媒体とす
ることを特徴とする繊維布帛シートの抜蝕加工方法であ
る。
ル繊維を単に変性ポリエステルと記載する。本発明は、
変性ポリエステル繊維を必須成分とする繊維布帛シート
にアルカリ減量促進効果を有する第4級アンモニウム塩
を付与し、変性ポリエステル繊維に選択的に吸収させた
後、未吸収の第4級アンモニウム塩を通常のソーピング
処理により除去し、次にアルカリ水溶液処理にて抜蝕加
工を行うものである。
ステル繊維内部に選択的に吸収されると共に、最終的に
行うアルカリ処理において、変性ポリエステルのアルカ
リ加水分解を促進する働きをする。従って、繊維布帛シ
ートを構成する変性ポリエステル以外の繊維に影響を与
えることなく抜蝕処理を達成させることが出来る。
る必須成分である変性ポリエステル繊維とは、酸性基を
有し、常圧にて染色可能なポリエステル繊維のことであ
り、更に詳しく例を挙げるなら、アルカリ水溶液にて比
較的容易に加水分解される性質を有するポリエチレンテ
レフタレートにスルホイソフタル酸(5−Sulpho
isophtalic Acid)を2.0〜15mo
l%共重合した構造のものである。
変性ポリエステルと組み合わせて使用される繊維として
は、ポリエステル繊維、ポリウレタン弾性繊維、ポリア
ミド系繊維、セルロース系繊維等が挙げられる。ポリウ
レタン弾性繊維にはエーテル系、エステル系があるが、
エーテル系ポリウレタン弾性繊維が好ましく用いられ
る。また、ポリアミド系繊維としては、通常使用されて
いるナイロン繊維、アラミド繊維と呼ばれるものであ
り、セルロース系繊維とは、綿、麻などの天然繊維、レ
ーヨンなどの再生繊維が挙げられ、化学構造が(C6H
10O5)nにて表される繊維が好適に使用できる。本
発明に係る繊維布帛シートとしては、織物、編物、不織
布等の布帛形態のものが挙げられるが、特に限定される
ものではない。
第4級アンモニウム塩は、110℃以下での蒸熱処理で
も充分な抜蝕効果の期待できる第4級アンモニウム塩で
あれば特に限定されない。これを満たす第4級アンモニ
ウム塩としては、例えば[N(C18H37)(CH2
C6H5)((CH2CH2O)2H)2]・Clや
[N(C17H35)(CH3)3]・Clで示される
化合物が挙げられる。
自体を単独で使用しても良いが、蒸熱処理110℃以下
でも第4級アンモニウム塩が効率よく変性ポリエステル
に吸収されるように5〜20重量%の尿素を添加するこ
とが望ましい。更に、第4級アンモニウム塩の繊維布帛
シートへの付着を安定化させるためには、第4級アンモ
ニウム塩の水溶液に粘性を付与すべく水溶性糊剤を併用
することが好ましい。特に、本発明の繊維布帛シートへ
捺染により柄模様をつけるに際して、模様の輪郭を明確
にするために、捺染処理に通常混合して用いるヒドロキ
シエチルセルロース等の耐薬品性糊剤を加えて粘度調整
をする必要がある。
付着させる方法としては、捺染機、スプレー塗工機、イ
ンクジェットプリント機等を使用することができる。繊
維布帛シートに対する第4級アンモニウム塩の付着量は
3〜20重量%が好ましい。
ム塩を付着させた後、100〜110℃で過熱蒸気にて
1〜30分間蒸熱処理を行うことで、他の繊維成分にほ
とんど影響を与えることなく第4級アンモニウム塩を変
性ポリエステル繊維に選択的に吸収させることができ
る。次に、変性ポリエステル繊維に吸収されなかった繊
維布帛シートに残留する第4級アンモニウム塩を除去す
るため、ソーピング処理を行う。ソーピング処理は、水
洗、湯洗、界面活性剤溶液を用いる洗浄の適宜の組み合
わせにより20〜100℃で処理する。このソーピング
処理が充分でない場合、次工程のアルカリ抜蝕の際、第
4級アンモニウム塩がアルカリ浴中に溶出し、抜蝕を必
要としない繊維に対しても減量促進剤として作用するこ
とになり、繊維布帛シートを構成する変性ポリエステル
繊維以外の繊維強度を低下させるという不都合が生じて
しまうので、充分に行うことが必要である。
抜蝕加工は、濃度2〜5度ボーメの苛性ソーダ水溶液中
にて、温度80〜120℃にて5〜100分間の処理を
行うことが好ましい。苛性ソーダ以外のアルカリとして
は、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ソーダ等
が挙げられるが特に限定されない。これらの処理が終了
した後は、繊維の強度低下を防止するため、処理に使用
したアルカリ水溶液が繊維布帛シートに残留しないよう
に充分な水洗処理が必要である。
シートは、通常の繊維と同様に染色加工、仕上加工、捺
染加工等を行うことができ、更に付加価値の高い製品を
得ることができる。次に実施例を挙げて本発明を詳細に
説明するが、本発明はその実施例に限定されることなく
種々の応用が可能である。
法)に従い評価を行った。
チオン可染型変性ポリエステル糸、75デニール/36
フィラメントのポリエステル糸より構成される丸編から
なる繊維布帛シートを用いた。次に繊維布帛シートの表
面に、第4級アンモニウム塩を含む下記の処方からなる
捺染糊をスクリーンプリント機を用いて水玉状に付着さ
せ、温度110℃にて2分間乾燥させた。その後、温度
103℃の過熱蒸気にて16分間蒸熱処理を行い、捺染
糊に含まれる第4級アンモニウム塩を変性ポリエステル
に吸収させた。次に、水洗処理を30℃の水にて10分
間行い、更に60℃にて10分間の湯洗を行うことによ
り、繊維布帛シートに付着している捺染糊と残留してい
る第4級アンモニウム塩を完全に取り除いた。次に、抜
蝕処理として、温度90℃、濃度3度ボーメの水酸化ナ
トリウム水溶液中に35分間浸漬、攪拌処理を行った後
取り出し、付着している水酸化ナトリウムを完全に除去
するために、更に温度30℃の水にて10分間の水洗を
3回行った。その後、マングルにて脱水し、乾燥機にて
130℃で1分間乾燥した。
4級アンモニウム塩が付着した部分の変性ポリエステル
糸が完全に溶解除去されており、抜蝕ムラのないシャー
プな輪郭の水玉模様を有する優雅な抜蝕加工布帛であっ
た。尚、抜蝕部分の破裂強度は4.9kgであり実用上
充分な強度を保持していた。
チオン可染型変性ポリエステル糸、40デニールのエー
テル系ポリウレタン弾性糸、50デニール/17フィラ
メントのナイロン糸より構成される丸編からなる繊維布
帛シートを用いた。繊維布帛シートの表面に、第4級ア
ンモニウム塩を含む下記の処方からなる捺染糊をスクリ
ーンプリント機を用いて水玉状に付着させ、温度110
℃にて2分間乾燥させた。その後、実施例1と同一条件
にて蒸熱・水洗・抜蝕処理を行い、更に水洗・脱水・乾
燥処理を行った。
4級アンモニウム塩が付着した水玉部分の変性ポリエス
テル糸が完全に溶解除去されており、抜蝕ムラのないシ
ャープな輪郭の水玉模様を有する優雅な抜蝕加工布帛で
あった。尚、抜蝕部分の破裂強度は、ウレタン糸存在の
ため機械精度限界でも生地の破裂は認められなかった。
また80%伸長後の回復率はタテ方向85%、ヨコ方向
83%であり、実用上充分な強度と伸縮性を保持してい
た。
した。次に、繊維脆化剤としてトリエタノールアミンを
用いた下記の処方からなる捺染糊を用い、175℃で7
分間蒸熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同一条件
にて抜蝕処理を行った。
の変性ポリエステル糸部分が完全に溶解除去されてお
り、目標とする抜蝕加工布帛が得られたが、非抜蝕繊維
であるウレタン弾性糸部分までが糸切れを起こしており
実用上使用不可能であった。
した。温度103℃で16分間蒸熱処理したこと以外
は、比較例1と同一処方・条件で抜蝕処理を行った。そ
の結果、得られた繊維布帛シートは、水玉部分の変性ポ
リエステル糸が全く溶解除去されておらず抜蝕加工は達
成されていなかった。
した。下記に示す処方からなる捺染糊を用いて、温度1
75℃で7分間蒸熱処理したこと以外は、実施例1と同
一条件で抜蝕処理を行った。
のカチオン可染ポリエステル糸部分が完全に溶解除去さ
れており、目標とする抜蝕加工布帛が得られたが、非抜
蝕繊維であるウレタン弾性糸部分までが糸切れを起こし
ており実用上使用不可能であった。実施例1〜2、比較
例1〜3の評価結果をまとめて表1に示す。
成分とする繊維布帛シートの抜蝕加工において、変性ポ
リエステル繊維以外の繊維の強度低下を起こすことな
く、所望の柄模様に抜蝕加工を可能とした。つまり、必
須成分である変性ポリエステル繊維以外の繊維素材を限
定することなく、例えばポリウレタン弾性繊維のような
熱による物性の低下が著しい繊維素材に対しても、強度
低下を招くことなく、優れた抜蝕効果を得られるもので
ある。また同時に、アミン類を使用しないので、実際の
抜触加工場における作業環境への悪影響を防止できると
いう著効を奏するものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 常圧カチオン可染型変性ポリエステル繊
維を必須成分として含む繊維布帛シートに第4級アンモ
ニウム塩を付与し、処理温度100〜110℃にて蒸熱
処理を行った後、アルカリ水溶液にて処理することを特
徴とする繊維布帛シートの抜蝕加工方法。 - 【請求項2】 繊維布帛シートが常圧カチオン可染型変
性ポリエステル繊維及びエーテル系ポリウレタン弾性繊
維を必須成分として含んでいることを特徴とする請求項
1記載の繊維布帛シートの抜蝕加工方法。 - 【請求項3】 繊維布帛シートに対する第4級アンモニ
ウム塩の付与量が3〜20重量%であることを特徴とす
る請求項1及び2記載の繊維布帛シートの抜蝕加工方
法。 - 【請求項4】 常圧カチオン可染型変性ポリエステル繊
維を必須成分として含む繊維布帛シートに対する第4級
アンモニウム塩の付与が、糊剤を媒体とすることを特徴
とする請求項1〜3いずれか1項記載の繊維布帛シート
の抜蝕加工方法。
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---|---|---|---|
JP9337899A JP3805557B2 (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | 繊維布帛シートの抜蝕加工方法 |
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-
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- 1999-03-31 JP JP9337899A patent/JP3805557B2/ja not_active Expired - Lifetime
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