JP2000281934A - 無機系微粒子含有組成物とその用途および分散剤 - Google Patents

無機系微粒子含有組成物とその用途および分散剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散安定性に優れ、透明性の高い無機系微粒
子含有組成物とその用途および前記分散安定性に優れた
無機系微粒子含有組成物を得させるための無機系微粒子
含有組成物と分散安定剤を提供する。 【解決手段】 0.1μm以下の無機系微粒子の分散を
安定させるために、下記一般式(1)で示される化合物
(1)および/または下記一般式(2)で示される化合
物(2)を用いる。 R1 −R2 −O−(CO−R3 −O)l −CO−R4 −COOH (1) Ra −[CO−(O−Rb −CO−)n −OH]m (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散安定性に優れ
た無機系微粒子含有組成物とその用途、前記分散安定性
に優れた無機系微粒子含有組成物を得させるための無機
系微粒子含有組成物および分散剤に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、電磁遮蔽性
等の各種機能性微粒子を含有する各種機能性膜の開発
が、フィルム分野、自動車・建築用のガラス分野等で求
められている。機能性微粒子を用いた膜の機能化におい
て、紫外線遮蔽性などの機能が市場ニーズを満足するレ
ベルであることは、もちろん重要であるが、微粒子を含
有させることによる透明性低下の抑制も、極めて大きな
課題となっている。この課題を解決する手段として、微
粒子をより一層微細化して用いる方法、具体的には0.
1μm以下に粒子径制御された微粒子を使用する方法が
塗料分野その他の各種分野で提案されている。
【0003】しかし、粒子径を小さくするのみで課題が
解決できるものではない。すなわち、極めて微細化され
た微粒子は表面活性が高いために2次凝集する。このた
め、2次凝集体による光の散乱が生じ、透明フィルムや
窓ガラス用などで要求される透明性、具体的にはヘイズ
値で1%以下を達成することが困難であったからであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、1次粒子径が0.1μm以下と極
めて小さいが分散安定性に優れていて透明性の高い無機
系微粒子含有組成物とその用途および前記分散安定性に
優れた無機系微粒子含有組成物を得させるための無機系
微粒子含有組成物と分散剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、1次粒子径が0.1μm以下のいわゆ
る超微粒子を優れて単分散させる方法を鋭意検討した結
果、以下に述べる特定の化合物(分散剤)が、超微粒子
の分散性を著しく高めること、得られた無機微粒子含有
組成物は、分散安定性に極めて優れていること、この組
成物から形成される膜等の加工品が極めて透明性に優れ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0006】本発明にかかる無機系微粒子含有組成物
は、無機系微粒子の1次粒子径が0.1μm以下であ
り、下記一般式(1)で示される化合物(1)および/
または下記一般式(2)で示される化合物(2)を含有
する。 R1 −R2 −O−(CO−R3 −O)l −CO−R4 −COOH (1) (但し、R1 は、水素原子、ハロゲン原子、置換されて
いてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アラルキル基、アシル基および(メタ) アクリロイ
ル基から選ばれる少なくとも1種;R2 はアルキレン
基;R3 はアルキレン基;R4 はアルキレン基;lは1
以上である) Ra −[CO−(O−Rb −CO−)n −OH]m (2) (但し、Ra は、置換されていてもよいアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基
および(メタ) アクリロイル基から選ばれる少なくとも
1種;Rb はアルキレン基;nは1以上であり、mは1
〜4である) 本発明にかかる合わせガラス用中間膜は、上記分散安定
性に優れた本発明の無機系微粒子組成物がシート状に成
形されてなり、本発明にかかる合わせガラスはこの中間
膜を含む。
【0007】上記分散安定性に優れた本発明の無機系微
粒子含有組成物を得させるための、本発明にかかる分散
剤は、上記化合物(1)および/または上記化合物
(2)を必須成分とする。
【0008】
【発明の実施形態】〔無機系微粒子〕本発明で用いられ
る無機系微粒子としては、金属、金属硫化物等の金属カ
ルコゲン化物、金属酸化物、金属の炭化物、窒化物、酸
窒化物等を挙げることができる。これらのうちでも、金
属酸化物が好ましく、熱的安定性、化学的安定性が高
く、工業的に入手し易い。
【0009】上記金属酸化物としては、TiO2 、Zn
O、CeO2 、Fe2 3 等の紫外線遮蔽性金属酸化物
や、Sn(IV) 含有酸化インジウム(ITO)などのI
n系酸化物;Sb(V)含有酸化スズ等のスズ系酸化
物;Cd2 SnO2 、In含有酸化亜鉛等の亜鉛系酸化
物、アンチモン酸亜鉛等のアンチモン系酸化物;Fe
O、Fe3 4 、VO2 、V2 5 、WO3 等の導電性
酸化物等の熱線遮蔽性金属酸化物等を挙げることができ
る。これらの金属酸化物は、産業上、優れた透明性の膜
形成材料等が得られるため好ましく、In系酸化物、ス
ズ系酸化物、亜鉛系酸化物、アンチモン系酸化物等が、
工業的に入手し易く、特に好ましい。
【0010】無機系微粒子は、シラン系、アルミネート
系、ジルコネート系等のカップリング剤や、各種金属ア
ルコキシド化合物などの有機金属化合物等で表面処理さ
れたものでもよい。ここに、カップリング剤としては、
たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル系シラン
カップリング剤;N−(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、3−N−フェニル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−
ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレン
ジアミン等のアミノ系シランカップリング剤;γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−
エボキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等
のエポキシ系シランカップリング剤;3−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン等のクロル系シランカップリング
剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等
のメタクリロキシ系シランカップリング剤;3−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラ
ンカップリング剤;N−(1,3−ジメチルブチリデ
ン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミ
ン等のケチミン系シランカップリング剤;N−〔2−
(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン・塩酸塩等のカチオン系シランカ
ップリング剤;メチルトリメトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ヒドロキ
シエチルトリメトキシシラン等のアルキル系シランカッ
プリング剤;γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラ
ン、ヘキサメチルジシラザン等の各種シランカップリン
グ剤;ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセ
テート、ジイソプロポキシアルミニウムアルキルアセト
アセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノメタク
リレート、アルミニウムステアレートオキサイドトリマ
ー、イソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテ
ートモノ(ジオクチルホスフェート)等の各種アルミニ
ウム系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロ
イルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネ
ート、テトラオクニルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチル
ホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオ
クチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオク
チルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネー
ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチ
タネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェー
ト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル
−アミノエチル)チタネート、テトラ(2,2−ジアリ
ルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホ
スファイトチタネート、イソプロピルジメタクリルイソ
ステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベン
ゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリクミルフ
ェニルチタネート等が例示される。
【0011】本発明で用いられる無機系微粒子は、種々
開発された機能性を有する無機系微粒子であってもよ
く、たとえば、以下の〜に挙げる微粒子を挙げるこ
とができる。 紫外線吸収機能、熱線吸収または反射機能などの光
選択遮断機能、蛍光機能、燐光機能などの発光機能、エ
レクトロクロミック機能などの光透過・遮蔽調節機能を
有する無機系微粒子。
【0012】 帯電防止機能、導電機能、電磁遮蔽機
能などの電気的機能を有する無機系微粒子。 光触媒機能を有する無機系微粒子。 強磁性体などの磁気機能を有する無機系微粒子。 本発明で用いられる無機系微粒子は、X線回折学的に結
晶性であることが好ましく、この場合は機能性が高い。
【0013】本発明で用いられる無機系微粒子の粒子径
は、透明性の観点から、0.1μm以下であり、好まし
くは0.05μm以下、さらに好ましくは0.03μm
以下である。粒子径は種々の定義によって規定される
が、本発明では、たとえば、分散粒径Ddを挙げること
ができる。分散粒径Ddは、動的光散乱法により測定さ
れた数基準の平均粒径である。したがって、本発明で用
いられる無機系微粒子の分散粒径Ddは、0.1μm以
下であり、透明性の高い組成物を得るためには、さらに
0.05μm以下、特に0.03μm以下が好ましい。
1次粒子径としては、たとえば、X線回折法による結晶
子サイズ測定で得られる回折ピークのうちの3強線に関
して、ウイルソン法によって求めた結晶子径Dwを挙げ
ることもできる。したがって、本発明で用いられる無機
系微粒子の結晶子径Dwは、0.05μm以下、さらに
0.02μm以下、特に0.015μm以下が、透明性
に優れる点で好ましい。 〔化合物(1)および(2)〕本発明で用いられる化合
物(1)および/または(2)は、無機系微粒子を分散
させるための分散剤として作用する。しかし、本発明で
は、この化合物(1)および/または(2)は、分散剤
の必須成分であれば良く、したがって、他の分散剤を併
用しても良い。
【0014】本発明で用いられる化合物(1)は、前記
一般式(1)で示される構造を有する化合物である。前
記一般式(1)において、R1 は、水素原子、ハロゲン
原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、アシル基および(メ
タ) アクリロイル基から選ばれる少なくとも1種であ
り、R2 はアルキレン基であり、R3 は好ましくは炭素
数3〜20のアルキレン基であり、R4 は好ましくは炭
素数2〜6のアルキレン基である。R3 、R4 はシクロ
環構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。lは1以上で
あれば良いが、好ましくは50以下であり、より好まし
くは20以下である。
【0015】化合物(1)としては、たとえば、ダイセ
ル化学工業製のプラクセルFM1A、FM4A、FM1
0A等のラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アク
リレート等を挙げることができる。本発明で用いられる
化合物(2)は、前記一般式(2)で示される構造を有
する化合物である。前記一般式(2)において、R
a は、置換されていてもよい炭素数1以上のアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ア
シル基および(メタ) アクリロイル基から選ばれる少な
くとも1種であり、Rb はアルキレン基であり、nは1
以上であれば良いが、好ましくは50以下であり、より
好ましくは20以下である。mは1〜4であれば良い
が、好ましくは1〜2である。
【0016】化合物(2)としては、たとえば、下記式
(3)で示される構造を有するω―カルボキシポリカプ
ロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アク
リル酸のカプロラクトン変性物等を挙げることができ
る。 CH2 =C(CH3 )−COO−(CH2 5 COOH (3) 〔無機系微粒子含有組成物およびその用途〕本発明にか
かる無機系微粒子含有組成物は、上記無機系微粒子と、
化合物(1)および/または化合物(2)を必須成分と
して含む組成物である。
【0017】本発明にかかる無機系微粒子含有組成物
は、第1に、用途ごとに必要とされる無機系微粒子含有
組成物の配合において、無機系微粒子、特に、1次粒子
径が0.1μm以下のいわゆる超微粒子の分散を安定さ
せるために、上記化合物(1)および/または化合物
(2)をさらに含有させてなる組成物を意味し、第2
に、分散安定性に優れた、この無機系微粒子含有組成物
を得させるために、上記無機系微粒子に対し上記化合物
(1)および/または化合物(2)を配合してなる組成
物を意味する。
【0018】無機系微粒子の含有量については、特に限
定はないが、一般的には無機系微粒子含有組成物全体の
0.1重量%以上が好ましい。さらに好ましい範囲は後
述の組成物の種類によって異なる。本発明の無機系微粒
子含有組成物に含まれる無機系微粒子と、化合物(1)
および/または化合物(2)との配合割合(100×
〔化合物(1)および/または化合物(2)〕/無機系
微粒子)については、特に限定はないが、好ましくは
0.1〜30重量%、さらに好ましくは1〜20wt%
である。上記配合割合が0.1重量%未満であると、分
散性および透明性が低下するおそれがある。他方、上記
配合割合は、30重量%で十分であり、それ以上に配合
することは経済的に無駄である。
【0019】本発明にかかる無機系微粒子含有組成物と
しては、たとえば、溶媒、可塑剤、各種モノマー等の分
散媒に無機系微粒子を分散させてなる分散体、成膜用組
成物、成形用組成物等を挙げることができる。成膜用組
成物からは塗装品を得ることができ、成形用組成物から
は樹脂成形品を得ることができる。以下、これらについ
て詳しく説明する。分散体 分散体は、無機系微粒子が溶媒、可塑剤および/または
各種モノマー中に分散してなる組成物である。以下で
は、無機系微粒子を溶媒のみに分散させた例、可塑剤の
みに分散させた例、およびモノマーのみに分散させた例
を示すが、溶媒、可塑剤および各種モノマーを分散媒と
して併用しても良いことは言うまでもない。
【0020】−溶媒分散体− 溶媒分散体は、無機系微粒子と化合物(1)および/ま
たは(2)を含む組成物において、溶媒をさらに含有す
る組成物である。溶媒分散体に用いられる溶媒として
は、水、アルコール類、ケトン類、脂肪族および芳香族
のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステ
ル類、脂肪族および芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭
化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコ
ーン油等を挙げることができ、これらの溶媒が1種また
は2種以上使用される。
【0021】汎用性の点から好ましい溶媒は、常圧に於
ける沸点が40℃〜250℃である、アルコール類、脂
肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、
芳香族および脂肪族カルボン酸エステル類、ケトン類、
(環状)エーテル類、エーテルエステル類、水から選ば
れる1種または2種以上の混合溶媒である。上記溶媒と
しては、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ
ールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエ
チルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエ
ーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
エチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシ
ブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテー
ト、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、
n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチ
ル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラ
ン、水等を挙げることができ、これらの溶媒が1種また
は2種以上使用される。
【0022】溶媒分散体における無機系微粒子の含有量
については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体
全体の2〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重
量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において
取扱いやすい。溶媒分散体における化合物(1)および
/または化合物(2)の含有量については、特に限定は
ないが、好ましくは溶媒分散体全体の0.002〜24
重量%、さらに好ましくは0.02〜16重量%であ
る。
【0023】溶媒分散体における溶剤の含有量について
は、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の2
0〜98重量%、さらに好ましくは40〜80重量%で
ある。 −可塑剤分散体− 可塑剤分散体は、無機系微粒子と化合物(1)および/
または(2)を含む組成物において、可塑剤をさらに含
有する組成物である。
【0024】可塑剤分散体に用いられる可塑剤として
は、特に限定はなく、たとえば、りん酸トリブチル、り
ん酸2−エチルヘキシル等のりん酸エステル系可塑剤;
フタル酸ジメチル、 フタル酸ジブチル、フタル酸オクチ
ルデシル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブ
チル、グリセリンモノオレイン酸エステル、等の脂肪族
−塩基酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル, セバ
シン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エ
ステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエー
ト、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート
などの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシ
ノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのオ
キシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げる
ことができる。
【0025】可塑剤分散体における、無機系微粒子の含
有量については、特に限定はないが、好ましくは、可塑
剤分散体全体の5〜80重量%、さらに好ましくは30
〜50重量%であり、この程度の含有量において粘度等
が低く取扱い易いからである。可塑剤分散体における、
化合物(1)および/または(2)の含有量について
は、特に限定はないが、好ましくは、可塑剤分散体全体
の0.005〜24重量%、さらに好ましくは0.3〜
10重量%である。
【0026】可塑剤分散体は、後述の成形用組成物、特
に合わせガラス用の中間膜の中間原料として有用であ
る。可塑剤分散体の製造方法としては、たとえば、可塑
剤に、無機系微粒子と、化合物(1)および/または化
合物(2)とを添加し、分散させる方法;予め化合物
(1)および/または化合物(2)と混合処理した無機
系微粒子を可塑剤中に添加混合する方法;上記溶媒分散
体を加熱溶媒置換して、可塑剤分散体を得る方法等を挙
げることができる。
【0027】−モノマー分散体− モノマー分散体は、無機系微粒子と化合物(1)および
/または(2)を含む組成物において、モノマーをさら
に含有する組成物である。モノマー分散体に用いられる
モノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)
アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビ
ニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢
酸ビニル等のビニル系モノマーなど、従来公知のモノマ
ーを挙げることができる。
【0028】モノマー分散体における、無機系微粒子の
含有量については、特に限定はないが、好ましくは、モ
ノマー分散体全体の2〜80重量%、さらに好ましくは
20〜60重量%であり、この程度の含有量において粘
度等が低く取扱い易いからである。モノマー分散体にお
ける、化合物(1)および/または(2)の含有量につ
いては、特に限定はないが、好ましくは、モノマー分散
体全体の0.002〜24重量%、さらに好ましくは
0.02〜16重量%である。
【0029】モノマー分散体は、無機系微粒子を分散含
有してなる樹脂組成物、樹脂成型体等の用途に有用であ
る。モノマー分散体の製造方法としては、たとえば、モ
ノマーに、無機系微粒子と、化合物(1)および/また
は化合物(2)とを添加し、分散させる方法等を挙げる
ことができる。成膜用組成物および塗装品 成膜用組成物は、成膜性を有する無機系微粒子組成物で
ある。
【0030】成膜用組成物としては、たとえば、無機系
微粒子、化合物(1)および/または化合物(2)、バ
インダー成分を必須成分とし、必要に応じて前述の溶媒
が配合される成膜用組成物A;無機系微粒子、化合物
(1)および/または化合物(2)、前述の溶媒を必須
成分とし、必要に応じてバインダー成分が配合される成
膜用組成物Bを挙げることができる。
【0031】成膜用組成物Aは、高分子フィルムやガラ
ス等の基材表面に、バインダー成分中に無機系微粒子を
分散させた膜を形成させることができる。一方、成膜用
組成物Bは、最終的に、必要に応じて配合されたバイン
ダー成分を飛ばすための熱分解を含む、熱処理を施すこ
とにより、無機系微粒子の無機成分のみからなる無機膜
を形成させることができる。いずれの膜も、化合物
(1)および/または化合物(2)を含み無機系微粒子
が高分散した成膜用組成物から製造されるので、透明性
に優れた膜となる。後者の無機膜では、上記高分散効果
により、従来より低い熱処理温度下でも、機械的に強靭
な膜となることが出来る。
【0032】成膜用組成物Aにおける、無機系微粒子の
含有量は、特に限定はないが、膜の機械的強度、基材と
の密着性、可とう性などの点から、好ましくは、無機系
微粒子、化合物(1)および/または化合物(2)、バ
インダー成分(硬化剤等の添加剤を用いる場合は、それ
らもバインダー成分量に含める。)の固形分合計量に対
し、5〜95重量%、さらに好ましくは20〜60重量
%、最も好ましくは30〜45重量%である。ただし、
導電防止膜、帯電防止膜、静電防止膜のような、膜の機
能として無機系微粒子間の接触が重要な用途では、好ま
しくは50〜90重量%、さらに好ましくは75〜90
重量%である。
【0033】成膜用組成物Aにおける、化合物(1)お
よび/または化合物(2)の含有量については、特に限
定はないが、成膜用組成物の固形分合計量に対し、好ま
しくは0.005〜30重量%、さらに好ましくは0.
02〜12重量%である。成膜用組成物Aにおける、バ
インダー成分の含有量については、特に限定はないが、
成膜用組成物の固形分合計量に対し、好ましくは5〜9
5重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
【0034】成膜用組成物Aにおける、溶剤の含有量に
ついては、特に限定はないが、好ましくは成膜用組成物
全体の10〜90重量%、さらに好ましくは30〜70
重量%である。成膜用組成物Bにおける、無機系微粒子
の濃度は、特に限定はないが、無機系微粒子同士が接触
することによる高い導電性や、電磁遮蔽性、さらに多結
晶膜化、単結晶膜化することによる熱線遮蔽性等の諸機
能の高い膜とするためには、粒子濃度が高い方が好まし
い。成膜用組成物B中の無機系微粒子の含有量は、成膜
用組成物Bに含まれる前記固形分合計量に対して、好ま
しくは80〜99.995重量%、さらに好ましくは9
0〜99.98重量%である。無機系微粒子の含有量が
80重量%未満であると、紫外線遮蔽性や熱線遮蔽性に
優れる薄膜とするために、膜の厚みを厚くする必要があ
り、製造時の生産性が低下するおそれがある。
【0035】成膜用組成物Bにおける、化合物(1)お
よび/または化合物(2)の含有量については、特に限
定はなく、成膜用組成物の前記固形分合計量に対して、
好ましくは0.005〜20重量%、さらに好ましくは
0.02〜10重量%である。成膜用組成物Bにおけ
る、溶剤の含有量については、特に限定はないが、成膜
用組成物の前記固形分合計量に対して、好ましくは10
〜90重量%、さらに好ましくは30〜70重量%であ
る。
【0036】成膜用組成物Bにおける、バインダー成分
の含有量については、特に限定はないが、成膜用組成物
の前記固形分合計量に対して、好ましくは20重量%以
下、より好ましくは10重量%以下である。成膜用組成
物にさらに配合されるバインダー成分としては、可塑性
または硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化
性、湿気硬化性、これら諸性能の併用等も含む)の各種
合成樹脂や天然樹脂等の有機系バインダー、無機系バイ
ンダーや、前記合成樹脂に対応する各種モノマー等を挙
げることができる。
【0037】合成樹脂としては、たとえば、アルキド樹
脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性不
飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩素化ポリオ
レフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹
脂、フッ素樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ケトン樹
脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、液状ポリブタジエン、
クマロン樹脂等を挙げることができ、これらが1種また
は2種以上使用される。天然樹脂としては、たとえば、
セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジ
ン、脱色セラック、白セラック等を挙げることができ、
これらが1種または2種以上使用される。
【0038】合成樹脂として、エチレン−プロピレン共
重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等の天
然または合成のゴム等を用いてもよい。合成樹脂と併用
する成分として、硝酸セルロース、セルロースアセテー
トブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース等を挙げることができる。
【0039】バインダー成分の形態については、特に限
定はなく、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型、分
散型(水/有機溶剤等の任意の溶剤)等を挙げることが
できる。水溶性型のバインダー成分としては、たとえ
ば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド
樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエ
ステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエ
ステル樹脂、水溶性メラミン樹脂等を挙げることができ
る。
【0040】エマルション型のバインダー成分として
は、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディ
スパージョン;酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニ
ル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹
脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)
重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウ
レタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマル
ション、フッ素樹脂エマルション等を挙げることができ
る。
【0041】無機系バインダーとしては、シリカゲル、
アルカリケイ酸、シリコンアルコキシド等の金属アルコ
キシド、これらの(加水分解)縮合物、リン酸塩等を挙
げることができる。成膜用組成物Aを後述の紫外線吸収
性フィルム等の機能性フィルムの製造等に用いる場合、
成膜温度等の成膜条件や、得られるフィルムの可撓性や
耐候性の観点からは、成膜用組成物に用いられるバイン
ダー成分としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、
フッ素樹脂等が好ましい。
【0042】成膜用組成物Bで用いられるバインダー成
分としては、加熱すると熱分解等によって金属酸化物に
変換される無機系バインダーや、熱分解等によって得ら
れる薄膜にバインダー成分が残存しない有機系バインダ
ー等が好ましい。成膜用組成物に含まれる溶媒として
は、たとえば、アルコール類、脂肪族および芳香族カル
ボン酸エステル類、ケトン類、エーテル類、エーテルエ
ステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化
炭化水素類等の有機系溶剤;水;鉱物油;植物油、ワッ
クス油、シリコーン油等を挙げることができ、これらが
1種または2種以上使用される。成膜用組成物Aでは、
その使用目的やバインダー成分の種類によって、溶媒成
分が適宜選択される。
【0043】成膜用組成物Aは、無機系微粒子化合物
(1)および/または化合物(2)のほかに、バインダ
ー成分も必須成分として含み、これら以外に要求性能に
従って、架橋剤等の硬化剤;硬化助剤等の硬化触媒;可
塑剤;消泡剤・レベリング剤;チクソトロピック剤;艶
消し剤;界面活性剤;難燃剤;顔料湿潤剤・分散剤;滑
剤;紫外線吸収剤;光安定剤;酸化防止剤;その他
(熱)安定剤;防腐剤;防かび剤;防藻剤;防食・防錆
剤;染料;顔料等の添加剤を含有するものでもよい。
成膜用組成物Aが光安定剤を含むものであると、耐候性
が向上する。成膜用組成物Aが硬化剤としてポリイソシ
アネートを含むものであると、汎用性が高い。フィルム
を製造する場合の成膜用組成物Aの硬化方法について
は、紫外線硬化法、電子線硬化法、湿気硬化法、加熱硬
化法等の任意の硬化方法を採用し得るが、経済的には加
熱硬化法が好ましい。
【0044】成膜用組成物Aの製造方法としては、たと
えば、有機溶剤等の溶媒成分に、無機系微粒子と、化合
物(1)および/または化合物(2)とを添加しスラリ
ー化した後、この無機系微粒子を含むスラリーに、バイ
ンダー成分を混合して成膜用組成物Aを製造する方法等
を挙げることができる。成膜用組成物Bの製造方法とし
ては、たとえば、有機系等の溶媒に、無機系微粒子と、
化合物(1)および/または化合物(2)とを添加しス
ラリー化して製造する方法等を挙げることができる。
【0045】成膜用組成物は、たとえば、ガラス、陶器
等の無機物や、樹脂等の有機物等の後述の基材の表面に
塗布することができる。以下、成膜用組成物から得られ
る塗装品について、詳しく説明する。塗装品は、上述の
成膜用組成物から得られる膜を基材の表面に形成してな
るものであり、成膜用組成物Aから得られる被膜を基材
の表面に形成してなる第1の塗装品と、成膜用組成物B
を基材表面に塗布、加熱することにより、前記基材の表
面に無機系の薄膜を形成してなる第2の塗装品とがあ
る。
【0046】第1の塗装品は、無機系微粒子が高分散し
た成膜用組成物Aから得られる被膜をその表面に備えて
いるために、優れた透明性のほか、紫外線遮蔽性、熱線
遮蔽性等の無機系微粒子の種類に基づく各種機能を有す
ることがある。この被膜は、紫外線遮蔽膜、熱線遮蔽
膜、帯電防止膜、光触媒膜、赤外線放射膜、熱電変換膜
等に有用である。
【0047】第1の塗装品に用いる基材としては、たと
えば、ガラス、陶器、金属(たとえば鋼)等の無機物
や、樹脂等の有機物等の基材を挙げることができ、特
に、有機物の基材表面に成膜用組成物Aを塗布して得ら
れる被膜は、耐候性が高く、可撓性に優れる。上記無機
物や有機物の形状については、特に限定はなく、フィル
ム状、シート状、板状、繊維状等の形状を挙げることが
できる。これらのうちでも、フィルムや、繊維等に有用
である。
【0048】第1の塗装品における基材用樹脂として
は、特に限定はなく、たとえば、LDPE、HDPE、
アモルファスポリエチレン、OPP(延伸ポリプロピレ
ン)、CPP(結晶化ポリプロピレン)等のポリプロピ
レン、ポリイソブチレンなどのポリオレフィン系;EV
A(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系;ポリスチレン
系;軟質又は硬質ポリ塩化ビニル;EVOH(エチレン
・ビニルアルコール共重合体)系;PVA系(ビニロン
系);PVDC系(ポリ塩化ビニリデン);ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブ
チレンナフタレート等のポリエステル系;ポリカーボネ
ート系;ポリウレタン系;ポリアミド系;ポリイミド
系;ポリアクリロニトリル系;ポリサルフォン系;ポリ
エーテルサルフォン系;ポリフェニレンサルファイド
系;ポリアリレート系;ポリエーテルイミド系;アラミ
ド系;(メタ)アクリル系;ポリエーテルエーテルケト
ン系;テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、テ
トラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重
合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロ
エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、
テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロ
エチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ペルフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオ
ロエチレンなどのフッ素系樹脂等を挙げることができ
る。
【0049】光学レンズ等の極めて高度な可視光透過
性、透明性が要求される用途における、第1の塗装品の
基材用樹脂としては、PMMA、MMA−スチレンラン
ダム共重合体、ポリカーボネート、透明ポリプロピレ
ン、MMAとα−メチルスチレンまたはシクロヘキシル
メタクリレート等の共重合体、ABS樹脂のMMA変性
タイプ、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォ
ン、ポリエーテルサルフォン、透明エポキシ樹脂、ポリ
−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、非晶
質フッ素樹脂、透明フェノキシ樹脂、非晶質ナイロン樹
脂、フルオレン系等の各種樹脂を使用することができ
る。
【0050】廃棄処理の観点から、生分解性に対する要
求に応える、第1の塗装品の基材用として、生分解性樹
脂を用いることが今後ますます重要になる。このような
生分解性樹脂として、たとえば、ポリ−3−ハイドロキ
シ酪酸エステル、キチン・キトサン系、ポリアミノ酸
系、セルロース系、ポリカプロラクトン系、アルギン酸
系、ポリビニルアルコール系、脂肪族ポリエステル系、
糖類系、ポリウレタン系、ポリエーテル系などの生分解
性プラスチック等を用いることが好ましい。
【0051】基材用素材として用いられるこれらの樹脂
のうちでも、プラスチックフィルム、シートのうち、耐
候性が高い点でフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、
(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好
ましい。基材としては、上記基材に予め紫外線吸収膜を
配したものや、成膜用組成物Aから得られる被膜と基材
との密着性などを高める目的で、プライマー層等を予め
配したものものでもよい。
【0052】成膜用組成物Aを基材表面に塗布する方法
については、特に限定はなく、ディッピング法、ロール
コーター法、フローコート法、スクリーン印刷法、バー
コーター法、スピンコーター法、刷毛塗り法、スプレー
法等を挙げることができる。成膜用組成物Aを塗布した
後、耐水性、耐溶剤性、耐酸、耐アルカリ等の耐薬品
性、耐擦傷性等の物性を向上させるために、熱硬化(室
温硬化を含む)、湿気硬化、紫外線硬化、電子線硬化等
の方法で硬化させることが好ましい。
【0053】成膜用組成物Aから得られる被膜の乾燥膜
厚については、特に限定はなく、好ましくは0.1〜6
0μmである。たとえば、この被膜を紫外線遮蔽の目的
で使用する場合は、被膜の乾燥膜厚は、さらに好ましく
は0.5〜30μm、最も好ましくは1〜10μmであ
り、この被膜を熱線遮蔽の目的で使用する場合は、被膜
の乾燥膜厚は、さらに好ましくは2〜35μm、最も好
ましくは5〜15μmであり、この被膜を帯電(静電)
防止の目的で使用する場合は、被膜の乾燥膜厚は、さら
に好ましくは0.2〜5μm、最も好ましくは0.5〜
2μmである。
【0054】成膜用組成物Aから得られる被膜のヘイズ
については、特に限定はないが、好ましくは3%以下、
より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、
最も好ましくは0.5%以下である。ヘイズは、濁度計
で測定して得られた値である。成膜用組成物Aをガラス
板等の透明板に塗布して得られた中間膜を備える塗工透
明板を用いれば、合わせガラスを得ることができる。中
間膜とこれを用いる合わせガラスについては、後でも述
べるが、この合わせガラスは、接着剤シートを塗工透明
板と別に用意した透明板とで挟むように重ねて製造する
ことができる。なお、このとき、塗工透明板の中間膜と
接着剤シートとを重ねるようにする。この場合、接着剤
シートとしては、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウ
レタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂等
の軟質樹脂または硬質樹脂を材質とするシートを挙げる
ことができ、軟質樹脂が好ましい。接着剤シートの厚み
は、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.
5〜1mmである。
【0055】基材としてフィルムを用いる場合、基材フ
ィルムの膜厚については、特に限定はなく、好ましくは
5〜500μm、さらに好ましくは10〜200μmで
ある。基材フィルム表面に成膜用組成物Aを塗布する方
法、乾燥膜厚等については、特に限定はないが、上述し
たことが好ましく参考にされる。
【0056】無機系微粒子含有フィルムは、成膜用組成
物Aから得られる被膜が基材フィルム上に形成されたも
のであれば特に限定はなく、用途、要求特性等に応じて
さらに加工されたものでもよい。無機系微粒子含有フィ
ルムは、基材フィルムと接しない被膜の表面、および/
または、被膜と接しない基材フィルムの表面に、粘着層
や保護層(耐擦傷性付与のためのハードコート膜等)を
形成したものでもよく、他のフィルムとラミネートした
ラミネートフィルムであってもよい。
【0057】次に、第2の塗装品は、成膜用組成物Bを
上述の基材表面に塗布、熱処理することにより、無機系
の薄膜を前記基材の表面に形成してなるものである。第
2の塗装品に用いる基材としては、耐熱温度が300℃
以上であるものが好ましく、たとえば、ガラス、陶器、
金属(たとえば鋼)等の無機物等が好ましい。
【0058】無機系薄膜は、無機系微粒子に由来する酸
化物等を必須成分とするため、塗装品Bは、優れた紫外
線遮蔽性や熱線遮蔽性を有し、薄膜の耐候性、無色透明
性に優れる。この無機系薄膜は、紫外線遮蔽膜、熱線遮
蔽膜、電磁遮蔽膜、透明電極の導電膜、帯電防止膜、光
触媒膜、赤外線放射膜、熱電変換膜等として有用であ
る。
【0059】上記熱処理を行う際の加熱温度について
は、特に限定はないが、好ましくは300〜1400
℃、さらに好ましくは400〜800℃ある。加熱温度
が300℃未満であると、無機系薄膜の機械的強度が低
下するおそれがある。他方、加熱温度が1400℃を超
えると、実用的ではなくなる。加熱は、熱分解や燃焼を
促進させるために、空気中等の酸化性ガス雰囲気下で行
う方が好ましい場合もあるが、導電膜等を得たい場合
は、最終的には窒素等の不活性ガス雰囲気下、水素等の
還元性ガス雰囲気下または真空下で行うのが、好まし
い。
【0060】無機系薄膜の膜厚については、特に限定は
なく、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは
0.2〜4μmである。第1、第2の塗装品とも、その
可視光線透過率については、特に限定はないが、好適に
は70%以上、さらに好適には75%以上、最も好適に
は80%以上である。可視光線透過率は、波長範囲38
0〜780nmで測定し、JIS R3106記載の装
置、測定方法および計算方法で得られた値である。
【0061】第1、第2の塗装品とも、そのヘイズにつ
いては、特に限定はないが、好適には10%以下、より
好適には5%以下、さらに好適には3%以下、最も好適
には1%以下である。ヘイズは、濁度計で測定して得ら
れた値である。成形用組成物および樹脂成形品 成形用組成物は、無機系微粒子とこの無機系微粒子が分
散される連続相を形成しうる成形用樹脂を含む無機系微
粒子含有組成物において、化合物(1)および/または
化合物(2)とをさらに含む。必要に応じて、可塑剤が
さらに配合される。
【0062】成形用組成物は、必要に応じて、従来公知
の熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、防かび剤、染料、
顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種樹脂添加剤を
通常の量で含むことができる。成形用組成物における、
無機系微粒子と樹脂の含有量は、特に限定なれないが、
これら両者の固形分合計重量に対して、無機系微粒子
0.1〜99重量%、樹脂1〜99.9重量%、好まし
くは無機系微粒子0.1〜50重量%、樹脂50〜9
9.9重量%の割合である。
【0063】無機系微粒子の含有量が上記範囲を上回る
と機械的強度において問題のない成形品が得られない場
合があり、下回ると無機系微粒子の配合効果が十分に発
揮されないという問題がある。成形用組成物における、
化合物(1)および/または(2)の含有量について
は、特に限定はないが、好ましくは、成形用組成物全体
の0.0001〜30重量%、さらに好ましくは0.0
01〜10重量%である。
【0064】前述のごとき可塑剤が配合される場合の成
形用組成物における、可塑剤の含有量(合計)は、通
常、成形用組成物の総量に対して、2〜70重量%であ
る。2重量%未満では、可塑剤を添加する効果が得られ
難く、70重量%を超えると成形体としての安定した物
性が得られない場合がある。成形用組成物に用いる成形
用樹脂の種類は、特に限定されず、使用目的に応じて適
宜選択されるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;塩化
ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;ポリビニルアルコー
ル樹脂;ポリブチラール樹脂;ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹
脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリメチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、フェノー
ル樹脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂;不飽和ポリエステ
ル樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂等の熱可
塑性または熱硬化性樹脂、エチレンープロピレン共重
合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴ
ム、アクリロニトリルーブタジエンゴム等の合成ゴムも
しくは天然ゴムなどが例示され、いずれか1つが単独で
使用されたり、または、2以上が併用されたりする。
【0065】成形用組成物を製造する方法は、特に限定
されず、要するに、樹脂中に無機系微粒子と化合物
(1)および/または化合物(2)とを混合、分散させ
ることによって目的とする成形用組成物が得られるが、
具体的には、以下のような方法が採用される。すなわ
ち、例えば、ペレット状または粉末状の成形用樹脂を溶
融混練する際には、無機系微粒子の粉末に化合物(1)
および/または化合物(2)を予め添加混合しておき、
この混合物をペレット状または粉末状の樹脂と混合する
マスターバッチ法や、樹脂を予め溶解しておき、この溶
液に、無機系微粒子と化合物(1)および/または化合
物(2)とを混合分散させ、その後に溶媒を除去する方
法等の従来公知の方法を採用できる。
【0066】別法として、成形用樹脂を製造する過程で
無機系微粒子を混合分散させる方法、例えば、成形用樹
脂がポリエステル樹脂の場合、ポリエステルの製造工程
中すなわちエステル交換反応〜重合反応における一連の
工程の任意の時期に、ポリエステルの原料であるグリコ
ールに無機系微粒子の粉末と化合物(1)および/また
は化合物(2)とを分散させてなる分散体を添加混合す
る方法も採用し得る。
【0067】成形加工時の加工性を向上させたり、可と
う性を付与したり必要がある場合は、可塑剤を1種また
は2種以上、および/または、前記した無機系微粒子の
可塑剤分散体を1種または2種以上添加することができ
る。それぞれの添加量は、樹脂の種類、加工条件、使用
目的等に応じて適宜選択される。上述の方法に従えば、
無機系微粒子が成形用樹脂中に均一に分散された成形用
組成物が得られる。成形用組成物は、粉体状のみでな
く、ペレットなど、通常の成形材料に必要とされる形態
を取り得る。
【0068】上述のようにして得られた成形用組成物
を、板状、シート状、フィルム状、繊維状等に成形する
ことによって、無機系微粒子が均一に分散含有された、
成膜用組成物の項で記載した各種機能を有する、透明性
に優れた樹脂成形品を得ることができる。成形用組成物
から各種の樹脂成形品を得る方法の一例を、より具体的
に述べれば、以下のとおりである。
【0069】無機系微粒子の分散含有されたポリカーボ
ネート樹脂板を得たいときには、例えば、化合物(1)
および/または化合物(2)の存在下で、ポリカーボネ
ート樹脂ペレットまたは粉末と所定量の無機系微粒子の
粉末を溶融混練することによって、樹脂中に無機系微粒
子が均一に混合された成形用組成物を得た後、そのまま
連続的にあるいは一旦ペレット化した後、射出成形、押
出成形、圧縮成形等によって、平面状または曲面状の板
状に加工する方法が採用される。この平板状成形体を後
加工することによって、波板状などの任意の形状に成形
することも勿論、可能である。アクリル系樹脂板、塩化
ビニル系樹脂板、ポリエステル系樹脂板等の樹脂板も同
様にして得られる。
【0070】無機系微粒子の分散含有されたナイロン繊
維やポリエステル繊維等の繊維、ポリオレフィンフィル
ムやポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等のフ
ィルムを得たい場合には、例えば、無機系微粒子粉末と
化合物(1)および/または化合物(2)とを、樹脂ペ
レットまたは粉末と溶融混練することによって(このと
き、無機系微粒子を化合物(1)および/または化合物
(2)と予め混合しておくマスターバッチ法を採っても
よい)、樹脂中に無機系微粒子が均一に分散した成形用
組成物を得た後、そのまま連続的にあるいは一旦ペレッ
ト化した後、溶融紡糸等の従来公知の繊維化方法で繊維
化するか、あるいは押出成形によりフィルム化し、この
フィルムを必要に応じて一軸または2軸に延伸操作を施
す。
【0071】無機系微粒子の分散されたポリエステル繊
維を得るためには、無機系微粒子と化合物(1)および
/または化合物(2)とを(必要に応じ、予めマスター
バッチ化しておいて)、たとえば0.1〜50重量%の
割合でグリコールに分散させて、この分散体を、ポリエ
ステルの製造工程中すなわちエステル交換反応〜重合反
応に於ける一連の工程の任意の時期に添加し、ポリエス
テルの重合反応を完結させ、その後、得られたポリエス
テル重合物を、従来公知の方法に従い溶融紡糸する。一
方、無機系微粒子の分散されたポリエステルフィルムを
得るためには、上記と同様にして得たポリエステル重合
物を、押出成形によってフィルム状に押し出し、その
後、必要に応じて一軸または2軸方向に延伸処理を施
す。
【0072】樹脂成形品の中には、無機系微粒子を含有
する層を1層または2層以上含む積層フィルム・シート
も含まれ、この積層フィルム・シートは、食品包装をは
じめとする包装フィルムや、断熱フィルム、ガスバリア
ーフィルム等として使用される。この積層フィルム・シ
ートの製法としては、上述のようにして得た無機系微粒
子分散フィルム・シートを無機系微粒子を含有しないフ
ィルム・シートと加熱融着する方法や接着する方法等に
よりラミネートするか、前記した無機系微粒子含有組成
物を無機系微粒子を含有しないフィルム・シートに塗布
する方法、などが挙げられる。また、別の方法として、
基材となるフィルム・シート(機能性を有してもよい)
を押出し成形する際に、無機系微粒子を含有しない樹脂
の粉末・ペレットと無機系微粒子を含有する樹脂の粉末
・ペレットを原料として用い、共押出しすることによっ
て、積層フィルム・シートを得るようにする。その際に
使用する装置としては、多層フィルム・シートの製造に
使用される従来公知の押出し成形機を使用することがで
きる。合わせガラスおよび中間膜 合わせガラスは、少なくも2枚の透明板を備え、これら
の透明板の間に中間膜が挟まれている構成からなる。
【0073】上記中間膜は、無機系微粒子組成物がシー
ト状に成形されてなり、無機系微粒子と、化合物(1)
および/または化合物(2)と、可塑剤と、樹脂(特に
軟質樹脂)とを含むものが好ましい。可塑剤の具体例と
しては、可塑剤分散体において前述した可塑剤を挙げる
ことができる。軟質樹脂としては、特に限定はないが、
ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体樹脂等を好ましいものとし
て挙げることができる。
【0074】中間膜に含まれる無機系微粒子の含有量
は、中間膜の厚み、無機系微粒子の紫外線または熱線の
遮蔽機能等により変化するが、通常、0.1〜5重量%
である。中間膜の膜面1m2 当たりの無機系微粒子の含
有量は、1〜25g/m2 、特に1〜15g/m2 が好
ましい。可塑剤と樹脂は、中間膜全体の90〜99.9
重量%を占めていることが好ましい。そして、可塑剤と
樹脂の相互比率は、可塑剤が、可塑剤および樹脂成分の
合計量に対して、好ましくは2〜70重量%、さらに好
ましくは10〜50重量%、最も好ましくは10〜40
重量%を占めることである。
【0075】中間膜の厚みについては、特に限定はない
が、通常、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1.2
mm、さらに好ましくは0.3〜0.9mmである。中
間膜の紫外線透過率については、特に限定はないが、好
ましくは50%以下、さらに好ましくは20%以下、最
も好ましくは10%以下である。紫外線透過率は、波長
340〜380nmの範囲の光の分光透過率と各波長の
重価係数(日射透過率を計算する際に用いるのと同じ重
価係数)とを用いて、JIS R 3106−1985
記載の方法に準じて計算された値である。
【0076】中間膜の赤外線透過率(熱線透過率)につ
いては、特に限定はないが、好ましくは70%以下、さ
らに好ましくは60%以下、最も好ましくは50%以下
である。赤外線透過率は、波長800〜1800nmの
範囲の光の分光透過率と各波長の重価係数(日射透過率
を計算する際に用いるのと同じ重価係数)とを用いて、
JIS R 3106−1985記載の方法に準じて計
算された値である。
【0077】合わせガラスでは、透明性に優れる光選択
遮蔽膜に対するニーズが高いため、無機系微粒子として
は、熱線遮蔽性微粒子および/または紫外線遮蔽性微粒
子が好ましい。また高い透明性を要求されるため、その
1次粒子径が0.05μm以下、特に0.02μm以下
が好ましい。また、合わせガラスの耐久性、前記粒子径
範囲の無機系微粒子の供給性などの点から、金属酸化物
系の熱線遮蔽性微粒子または紫外線遮蔽性微粒子が好ま
しい。
【0078】中間膜および合わせガラスの製造方法につ
いては、特に限定はなく、従来公知の方法をそのまま適
用し得る。無機系微粒子を高分散させた中間膜を得る好
ましい製造方法としては、可塑剤中に無機系微粒子が、
通常、5〜80重量%(好ましくは、粘度など取扱い易
い点で30〜50重量%)に高分散された可塑剤分散体
と、無機微粒子を含まない可塑剤と、樹脂成分とを混合
混練りした後、常法の型押出し法、カレンダーロール法
等でシート状に成形することにより、中間膜を得る方法
を挙げることができる。さらに、中間膜と、透明板とを
用い、合わせガラス化処理により合わせガラスを得るこ
とができる。
【0079】透明板としては、ガラス板が好ましく、フ
ロート法で製造された無機質で透明なクリアガラス、着
色ガラス、グリーン系ガラス、ブロンズ系ガラス、グレ
ー系ガラス等の無機質ガラス;有機質ガラス;これらの
複合ガラス等を挙げることができる。合わせガラス化処
理は、たとえば、2枚のガラス板の間に中間膜を挟み、
減圧下、70〜110℃程度で予備接着し、次に、オー
トクレーブ中、加圧下、120〜160℃で本接着を行
うことにより、無機系微粒子が高分散した透明な機能性
の合わせガラスが得られる。
【0080】合わせガラスは、紫外線および赤外線(熱
線を含む)を透過させにくく、たとえば、自動車や電車
等の窓材や、建築物の窓材等に利用される。
【0081】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を併せ
て示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではな
い。なお、「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」
を意味する。以下の実施例および比較例における評価は
次の手法により行った。無機系微粒子の評価 1)結晶性 粉末X線回折により評価した。
【0082】2)結晶子径Dw 粉末X線回折測定を行い、各微粒子のX線回折ピークの
うち、3強線(回折ピーク強度が高い順に3ピーク)に
関してウイルソン法による解析を行い、結晶子の大きさ
を求めた。 3)微粒子の組成 蛍光X線分析、原子吸光分析等により金属組成を求め
た。
【0083】有機物等が結合した微粒子に関しては、ガ
スクロマトグラフ、イオンクロマト、元素分析などによ
り分析し定性、定量した。組成物の評価 1)微粒子の分散性 溶媒分散体と可塑剤分散体について、大塚電子(株)の
ダイナミック光散乱光度計DLC−700を用い、数平
均粒径Ddを求めた。
【0084】分散安定性は、分散体を25℃の恒温浴槽
中に1週間、静置したときの以下の基準で判定した。 ◎:上澄みの生成、沈降堆積物の生成が認められない。 ○:上澄みの生成はあるが、沈降堆積物はあっても微
量。 ×:沈降堆積物が多量に生成。塗工品等の評価 1)透明性 濁度計(日本電色工業(株)製NDH−1001 D
P)によりヘイズを測定した。塗工品のヘイズ値(表
3)は、(塗工品のヘイズ)−(基材のヘイズ)で表し
た。
【0085】2)日射遮蔽性、紫外線遮蔽性、可視光透
過性 日射遮蔽性 JIS R3106−1985に記載の方法に従って、
各波長の光に対する透過率と重価係数を用いて、日射透
過率Teを計算し、評価した。 A:30≦Te<50% B:50≦Te<70% C:Te≧70% 紫外線遮蔽性 波長340〜380nmの光の透過率に対し、JIS
R3106−1985の4.4に記載の計算方法(各波
長光における係数Eλ・△λは付表2の値を使用)を適
用して、下記式に従って、紫外線透過率(Tuv)を求
めた。
【0086】 A:Tuv<5% B:5%≦Tuv<10% C:Tuv≧10%
【0087】
【数1】
【0088】可視光透過性 JIS R3106−1985に記載の方法に従って、
積分球付属装置((株)島津製作所製のISR−310
0)を試料室に取り付けた自記分光光度計((株)島津
製作所製のUV−3100)を用い、各波長の光に対す
る透過率と重価係数から可視光透過率Tvを計算し、下
記基準で評価した。 A: Tv≧80% B: 70%≦Tv<80% C: Tv<70% 3)耐侯性 JIS B 7753−93に記載のサンシャインカー
ボンアーク灯式耐光性および耐侯性試験機を用いて、促
進耐侯性試験を行った。初期100時間後を基準にし
て、さらに500hrまたは2000hr試験後の透明
性の変化から、下記の評価基準に従って評価した。
【0089】 A:ヘイズ変化が1%未満 B:ヘイズ変化が1%以上、2%未満 C:ヘイズ変化が2%以上実施例1 溶媒分散体の製造 −実施例1(1)− In,Ga含有ZnO(In)超微粒子(In,Ga含
有量:In/Zn=3mol%、Ga/Zn=1mol
%、結晶子径Dw=15nm、アセトキシ基含有量3m
ol%/微粒子)粉末40部、分散剤(a)2部を、ト
ルエン58部に添加混合し、サンドミキサーにて1時間
分散処理し、孔径200メッショのSUS製の網でろ過
することによって、ZnO(In,Ga)濃度40wt
%のトルエン分散体(S−1)を調製した。ろ過時に網
を通過しなかった粒子の量は、仕込に対して1%未満で
あった。得られた分散体中の分散粒径を測定したとこ
ろ、18nmであった。
【0090】−比較例1(1)− 実施例1(1)において、分散剤(a)を使用しない以
外は、同様にして、トルエン分散体(Sc−1)を得
た。分散体(Sc−1)は、微粒子濃度35wt%、分
散粒径100nm以上であった。 −実施例1(2)〜(9)− 実施例1(1)と同様にして、各種の溶媒分散体を調製
した。用いた微粒子、分散剤、溶媒等の組成、評価結果
を表1に示す。
【0091】−比較例1(2)〜(9)− 実施例1(2)〜(8)において、分散剤を使用しない
以外は、各実施例と同様にして、溶媒分散体を調製し
た。分散粒径は、いずれも、100nm以上であった。実施例2 可塑剤分散体の製造 −実施例2(1)− 実施例1(1)で得た、トルエン分散体70部を、可塑
剤であるジオクチルフタレート100部に添加混合し
た。次に、エバポレーターを用いて、減圧下加熱して、
トルエンを蒸発留去し、超微粒子を22wt%含有する
可塑剤分散体(P−1)を得た。
【0092】得られた可塑剤分散体中の微粒子の分散粒
径は、20nmであり、分散安定性は◎であった。 −実施例2(2)〜(4)− 表2に示した微粒子粉末、可塑剤、分散剤を混合し、超
音波ホモジナーザー処理することによって、各種の可塑
剤分散体を調製した。評価結果を表2に示す。
【0093】−比較例2(1)− 比較例1で得られた可塑剤分散体より、実施例2(1)
と同様にして微粒子を20wt%含有する可塑剤分散体
(Pc−1)を得た。Pc−1は、分散粒径は、100
nm以上であり、分散安定性は×であった。実施例3 成膜用組成物 −実施例3(1)− 実施例1(1)で得られたトルエン分散体(S−1)1
00部を、バインダー成分としてアクリルポリオール樹
脂溶液(固形分濃度50wt%、水酸基価 50/固形
分)100 部に、混合した後、硬化剤(ポリイソシア
ネート:イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシ
アナート)8部を添加して、成膜用組成物(C−1)を
調製した。
【0094】−比較例3(1)− 実施例3(1)において、トルエン分散体(S−1)の
代わりに比較例1(1)で得られたトルエン分散体(S
c−1)100部を使用する以外は、実施例3(1)と
同様にして成膜用組成物(Cc−1)を調製した。 −実施例3(2)〜(9)− 実施例3(1)において、分散体、バインダー成分、混
合比率等を、表3 に示すように変更する以外は、実施
例3(1)と同様にして、成膜用組成物(C−2〜C−
9)を調製した。
【0095】実施例4 塗装品 −実施例4(1)− 実施例3(1)で得られた成膜用組成物(C−1)を、
厚み1.5mmの透明なガラス板にバーコーターで塗布
し、100℃で2 分間、熱風乾燥することにより、微粒
子が分散含有された被膜(膜厚20μm)が形成された
塗工品(F−1)を得た。評価結果を表4に示す。
【0096】実施例4(1)で得られた塗工品(F−
1)の耐候性を評価した結果、試験時間500hrの場
合で、Cであった。 −比較例4(1)− 実施例4(1)において、成膜用組成物(C−1)の代
わりに、比較例3(1)で得られた(Cc−1)を用い
る以外は、同様にして、塗工品(Fc−1)を得た。
【0097】−実施例4(2)〜(9)− 実施例4(1)において、表4に示した成膜用組成物、
基材、乾燥条件等に変更することにより、各種、塗工品
(F−2)〜(F−9)を得た。評価結果を表4に示
す。実施例4(4)で得られた塗工品(F−4)の耐候
性を評価した結果、試験時間500hrの場合で、Aで
あった。
【0098】実施例5 中間膜、樹脂成形品の製造 −実施例5(1)− 実施例2(1)で得られた可塑剤分散体(P−1)13
部、ジオクチルフタレート25部、ポリビニルブチラー
ル樹脂100重量部を、混合、混練りして、微粒子濃度
2wt%の成形用組成物を得た。この成形用組成物を押
出し成形して、厚み0.8mmのポリビニルブチラール
シートを得た。得られたシートは、ヘイズ 0.1%、
可視光透過性:A、日射遮蔽性:B、紫外線遮蔽性:A
であった。
【0099】−実施例5(2)− 実施例5(1)において、可塑剤分散体(P−1)の代
わりに、実施例2(2)で得られた可塑剤分散体(P−
2)13部を使用する以外は、実施例5(2)と同様に
して、厚み0.8mmのポリビニルブチラールシートを
得た。得られたシートは、ヘイズ 0.1%、可視光透
過性:A、日射遮蔽性:B、紫外線遮蔽性:Aであっ
た。
【0100】−比較例5(1)− 実施例5(1)において、可塑剤分散体(P−1)の代
わりに、比較例2(1)で得られた可塑剤分散体(Pc
−1)13部を使用する以外は、実施例5(1)と同様
にして、厚み0.8mmのポリビニルブチラールシート
を得た。得られたシートは、ヘイズ5%、可視光透過
性:B、日射遮蔽性:Cであった。
【0101】−実施例5(3)− 酸化スズ微粒子粉末(Sb含有量 Sb/Sn=5mo
l%、結晶子径Dw=6nm)10部、分散剤(C)1
部、ポリカーボネート樹脂ペレット90部を溶融混練り
することにより、酸化スズ微粒子が10wt%含有され
た樹脂ペレットを得た。
【0102】次に、得られた樹脂ペレット10部と、ポ
リカーボネート樹脂ペレット90部を、溶融混練りし、
引き続き溶融押出し成形することによって、微粒子濃度
1wt%、厚み2mmのポリカーボネート板を得た。得
られたポリカーボネート板は、ヘイズ2%であった。 −参考例5(1)− 実施例5(1)で酸化スズ微粒子粉末を添加せずに、製
造したポリカーボネート板は厚さ2mm、ヘイズ2%で
あった。
【0103】実施例6 合わせガラスの製造 −実施例6(1)− 実施例5(1)で得られたポリビニルブチラールシート
を、厚み3mmのクリアーガラスに挟み、減圧下、10
0℃で1時間保持した後、常温に降温し、オートクレー
ブ装置内にいれ、加圧下(圧力10kg/cm2),加
熱下(130℃)で30分間処理することにより、積層
ガラス(G−1)を得た。得られた積層ガラスは、ヘイ
ズ0.2%と高い透明性を有し、可視光透過性:A、日
射遮蔽性:B、紫外線遮蔽性:Aと、紫外線および熱線
を選択的に遮断する合わせガラスであることが確認され
た。
【0104】−実施例6(2)および較例6(1)− 実施例6(1)において、実施例5(1)で得られたポ
リビニルブチラールシートの代わりに、それぞれ、実施
例5(2)、比較例5(1)で得られたシートを使用す
る以外は、実施例6(1)と同様にして、積層ガラス
(G−2),(Gc−1)を得た。
【0105】各合わせガラスについて、耐候性(試験時
間2000時間)を評価した結果と合わせて、表5に示
す。実施例7 成膜用組成物(B) 酸化物薄膜形成 −実施例7(1)− 実施例1(1)で用いたと同じZnO微粒子(結晶子径
Dw=18nm)94部と、分散剤(a)6部、バイン
ダー成分としてテトラエトキシシランをシリカ換算で6
部と、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルを混
合し、サンドミルで分散処理して、成膜用組成物(C2
−1)を得た。
【0106】石英ガラスの片面のみに成膜用組成物(C
2−1)をデイ ッピング法によって塗布し、空気中で、
25℃から10℃/minの昇温速度で加熱し、200
℃で0.5hr保持して乾燥(仮焼)した。このデイ ッ
ピングおよび乾燥の操作を3回繰り返した後、空気中で
25℃から10℃/minの昇温速度で加熱し、500
℃で0.5hr保持して加熱処理を行い、膜厚0.6μ
mの酸化物膜の形成された塗工品(F2−1)を得た。
【0107】得られた、塗工品は、透明性に優れる(ヘ
イズ0.4%)ものであった。 −比較例7(1)− 実施例7(1)において、分散剤を使用しない以外は同
様にして、成膜用組成物(Cc2−1)を得、さらに、
石英ガラスの片面に酸化物膜の形成された塗工品(Fc
2−1)を得た。得られた、塗工品は、不透明なもので
あった。
【0108】
【表1】
【0109】(溶媒) PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル PGM−Ac:プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート (表面処理剤) Si化合物A:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン Si化合物B:トリメチルメトキシシラン (分散剤) (a)ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM1A (b)ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM4A (c)ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM10
A (d)(CH3)2CHCOOCH2CH2O CO(CH2)5O 4CO(CH2)4COOH (e)CH2 =C(CH3 )COO(CH2 5 COO
H (f)CH2 =C(CH3 )COO(CH2 10COO
H (g)(CH3 2 CHCOO(CH2 5 COOH
【0110】
【表2】
【0111】(表面処理剤) La化合物(C):ランタントリ(メトキシエトキシ
ド) La化合物(D):アルミニウムトリsecブトキシド Si化合物(E):β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン (分散剤)表1の(a)〜(d)と同じ
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【発明の効果】本発明にかかる無機系微粒子含有組成物
は、分散安定性に優れ、透明性が高い製品を得させる。
本発明にかかる合わせガラス用中間膜は、上記分散安定
性の優れた無機系微粒子含有組成物をシート状に成形し
てなるため、その透明性が高い。本発明にかかる合わせ
ガラスは、この中間膜を用いているため、その透明性が
高い。
【0116】本発明にかかる無機系微粒子含有組成物と
分散剤は、上記分散安定性の優れた無機系微粒子含有組
成物を得させる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 弓子 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 武田 光生 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4G061 AA20 AA25 BA01 BA02 CB05 CB16 CB19 CD02 CD18 4J037 AA08 AA11 AA12 AA15 AA22 CB04 CB09 CB10 CB23 CB28 CC00 DD05 DD23 DD24 EE02 EE08 EE28 EE43 FF02 FF15 FF30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機系微粒子の1次粒子径が0.1μm以
    下であり、下記一般式(1)で示される化合物(1)お
    よび/または下記一般式(2)で示される化合物(2)
    を含有する、無機系微粒子含有組成物。 R1 −R2 −O−(CO−R3 −O)l −CO−R4 −COOH (1) (但し、R1 は、水素原子、ハロゲン原子、置換されて
    いてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール
    基、アラルキル基、アシル基および(メタ) アクリロイ
    ル基から選ばれる少なくとも1種;R2 はアルキレン
    基;R3 はアルキレン基;R4 はアルキレン基;lは1
    以上である) Ra −[CO−(O−Rb −CO−)n −OH]m (2) (但し、Ra は、置換されていてもよいアルキル基、シ
    クロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基
    および(メタ) アクリロイル基から選ばれる少なくとも
    1種;Rb はアルキレン基;nは1以上であり、mは1
    〜4である)
  2. 【請求項2】前記化合物(1)および/または化合物
    (2)のほかに、分散媒をも含み、分散体である、請求
    項1に記載の無機系微粒子含有組成物。
  3. 【請求項3】前記化合物(1)および/または化合物
    (2)のほかに、バインダー成分をも含み、成膜用組成
    物である、請求項1または2に記載の無機系微粒子含有
    組成物。
  4. 【請求項4】前記化合物(1)および/または化合物
    (2)のほかに、成形用樹脂をも含み、成形用組成物で
    ある、請求項1または3に記載の無機系微粒子含有組成
    物。
  5. 【請求項5】前記無機系微粒子が熱線遮蔽性微粒子であ
    る、請求項1から4までのいずれかに記載の無機系微粒
    子含有組成物。
  6. 【請求項6】請求項1から5までのいずれかに記載の無
    機系微粒子含有組成物が、シート状に成形されてなる、
    合わせガラス用中間膜。
  7. 【請求項7】請求項6記載の中間膜を含む、合わせガラ
    ス。
  8. 【請求項8】1次粒子径が0.1μm以下の無機系微粒
    子を分散させるための分散剤であって、下記一般式
    (1)で示される化合物(1)および/または下記一般
    式(2)で示される化合物(2)を必須成分とすること
    を特徴とする、無機系微粒子用分散剤。 R1 −R2 −O−(CO−R3 −O)l −CO−R4 −COOH (1) (但し、R1 は、水素原子、ハロゲン原子、置換されて
    いてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール
    基、アラルキル基、アシル基および(メタ) アクリロイ
    ル基から選ばれる少なくとも1種;R2 はアルキレン
    基;R3 はアルキレン基;R4 はアルキレン基;lは1
    以上である) Ra −[CO−(O−Rb −CO−)n −OH]m (2) (但し、Ra は、置換されていてもよいアルキル基、シ
    クロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基
    および(メタ) アクリロイル基から選ばれる少なくとも
    1種;Rb はアルキレン基;nは1以上であり、mは1
    〜4である)
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