JP2000281812A - 脂肪族ポリエステル系延伸フィルム - Google Patents

脂肪族ポリエステル系延伸フィルム

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JP2000281812A
JP2000281812A JP8717799A JP8717799A JP2000281812A JP 2000281812 A JP2000281812 A JP 2000281812A JP 8717799 A JP8717799 A JP 8717799A JP 8717799 A JP8717799 A JP 8717799A JP 2000281812 A JP2000281812 A JP 2000281812A
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film
aliphatic polyester
stretching
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longitudinal direction
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JP8717799A
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Hisato Kobayashi
久人 小林
Naonobu Oda
尚伸 小田
Keiji Mori
啓治 森
Tadashi Okudaira
正 奥平
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷やラミネート等の加工工程において印刷
ずれやしわ等を発生せず、しかも、良好な手切れ性とひ
ねり固定性を有する、特に、包装用フィルムや粘着用テ
ープとして用いるに好適な脂肪族ポリエステル系フィル
ムを提供する。 【解決手段】 主たる繰り返し単位が一般式〔−O−C
HR−CO−(RはHまたは炭素数1〜3のアルキル
基)〕で示される単位からなり、還元粘度(ηsp/
C)が0.5〜2.5dl/gの脂肪族ポリエステルを
主成分とし、厚み方向の屈折率(Nz)を1.440〜
1.455、長手方向の屈折率(Nx)から幅方向の屈
折率(Ny)を差し引いた値(Nx−Ny)が−0.0
20〜0とし、120℃における長手方向の熱収縮率を
5%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脂肪族ポリエステル
系延伸フィルムに関し、詳しくは、生鮮食品、加工食
品、医薬品、医療機器、電子部品等の包装用フィルムや
粘着テープに好適なフィルムであって、印刷工程やラミ
ネート工程での印刷ずれやしわ等の発生が抑制され、し
かも、優れた手切れ性及びひねり固定性を有する脂肪族
ポリエステル系延伸フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ乳酸フィルムをはじめとする
脂肪族ポリエステル系フィルムは自然環境下に棄却され
た場合、分解すること、例えば、ポリ乳酸フィルムは土
壌中において加水分解した後、微生物により無害な分解
物となることを特徴として開発されてきた。
【0003】従って、このような脂肪族ポリエステル系
フィルムは、自然界で分解させることを優先して開発が
進められ、その結果、本来、脂肪族ポリエステルがもつ
優れた性能を十分に引き出すことができていなかった。
すなわち、フィルムの配向・結晶化が進むと、加水分解
や微生物による分解が抑制されるため、フィルムの配向
・結晶化を抑制する必要があり、このため、強度や熱寸
法安定性が不十分なものとなっていた。これに対し、フ
ィルムの配向性や結晶化度を向上させ強度や熱寸法安定
性を改善する試みがなされている。例えば、特開平7−
207041号公報には、ポリ乳酸重合体からなり、面
配向度Δpが3.0×103 以上であり、かつフィルム
を昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化
により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔH
c)が20J/g以上であるポリ乳酸フィルムが提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このポ
リ乳酸フィルムは、包装用フィルムとして必要とされる
手切れ性、ひねり固定性及び印刷性等の後加工安定性の
改善を目的としておらず、さらに具体的に示されたポリ
乳酸重合体フィルムの物性では、特に後加工安定性、例
えば、印刷、ラミネート処理等で必要とされる120℃
での寸法安定性が不十分であり、上記目的を同時に達成
することは困難である。さらに、その他の脂肪族ポリエ
ステル系フィルムに関する従来技術においても、包装フ
ィルムとしての手切れ性やひねり固定性、及び印刷性等
の後加工安定性の改善を目的として、ポリ乳酸重合体の
還元粘度や物性に着目したものはこれまで存在しなかっ
た。
【0005】一方、芳香族ポリエステルであるポリエチ
レンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋や
粘着テープなどに、延伸されたポリエチレンテレフタレ
ートフィルムがその強靭性、耐熱性、耐水性、透明性等
の優れた特性を活かして利用されている。しかし、当該
フィルムはこれらの優れた特徴を有する反面、切断しに
くく、包装用袋の口を引き裂き難い欠点や、粘着テープ
が切れ難い欠点、及びひねり固定性が劣るため、ひねり
包装用に用いることができない等の欠点があった。この
ような手切れ性、ひねり固定性を解決する方法として、
一軸方向に配向させたポリエステルフィルム(特公昭5
5−8551号公報)やジエチレングリコール成分を共
重合したポリエチレンテレフタレートフィルム(特公昭
56−50692号公報)等が提案されている。
【0006】しかし、上記のうち一軸配向させる方法で
は、配向方向へは直線的に容易に切れるが、配向方向以
外の方向には切れにくく、また、他成分を共重合する方
法では、ポリエチレンテレフタレート本来の特徴が損な
われるという欠点があった。
【0007】他方、従来から手切れ性の優れたフィルム
としてセロハンが知られている。セロハンのその優れた
透明性と易切断性、ひねり固定性等の特徴により、各種
包装材、粘着テープなどに使用されている。しかし、一
方ではセロハンは吸湿性を有するために特性が季節によ
り変動し、一定品質を供給することが困難であった。
【0008】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たものであり、包装用フィルムや粘着用テープに用いる
場合に、フィルムに対して通常施される印刷やラミネー
ト等の後加工工程において印刷ずれやしわ等を発生せ
ず、しかも、良好なひねり固定性を有し、かつ、方向性
が制限されることなくいずれの方向にも手で簡単に切断
できる良好な手切れ性を有するポリエステル系フィルム
を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下の特徴を有している。 (1)主たる繰り返し単位が、一般式、−O−CHR−
CO−(RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)で示
される単位からなり、還元粘度(ηsp/C)が0.5
〜2.5dl/gの脂肪族ポリエステルを主成分とする
フィルムであって、厚み方向の屈折率(Nz)が1.4
40〜1.455、長手方向の屈折率(Nx)から幅方
向の屈折率(Ny)を差し引いた値(Nx−Ny)が−
0.020〜0であり、120℃における長手方向の熱
収縮率が5%以下であることを特徴とする脂肪族ポリエ
ステル系延伸フィルム。
【0010】(2)120℃における長手方向の熱収縮
率が3%以下である上記(1)記載の脂肪族ポリエステ
ル系延伸フィルム。
【0011】(3)脂肪族ポリエステルの還元粘度(η
sp/C)が0.5〜1.8dl/gである上記(1)
または(2)記載の脂肪族ポリエステル系延伸フィル
ム。
【0012】(4)脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であ
る上記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂肪族ポリエ
ステル系延伸フィルム。
【0013】上記還元粘度(ηsp/C)はポリマー
0.125gをクロロホルム25mlに溶解し、ウベロ
ーデ粘度管を用いて25℃で測定した値である。
【0014】また、フィルムの厚み方向、長手方向およ
び幅方向の屈折率(Nz、Nx、Ny)は株式会社アタ
ゴ製アッべ屈折計1Tを用いて測定した値である。
【0015】また、フィルムの120℃における長手方
向熱収縮率は、幅10mm、長手方向に長さ250mm
に切り取ったフィルム片に対して、200mmの間隔を
開けて2つの印をつけ、該フィルム片を23℃でその長
さ方向に5gfの一定張力で引っ張った状態で上記2つ
の印の間隔(A)を測定し、続いて、フィルム片に張力
をかけず、該フィルム片を120℃の雰囲気のオーブン
に30分間入れた後、上記2つの印の間隔(B)を求
め、(A−B)÷A×100を計算し、この値を熱収縮
率(%)としたものである。
【0016】
【作用】本発明において、脂肪族ポリエステルの還元粘
度は特に脂肪族ポリエステルのフィルム化及びフィルム
の手切れ性やひねり固定性に影響を与える。還元粘度が
0.5〜2.5dl/gの範囲にある脂肪族ポリエステ
ルを用いることにより、安定にフィルム化でき、しか
も、延伸によりフィルムの機械的物性を大きく向上させ
ることができる。延伸後のフィルムの厚み方向の屈折率
(Nz)が1.440〜1.455であることにより、
破断を生じることなく延伸でき、しかも、印刷やラミネ
ート等の加工工程で加熱されても平面性の悪化が起こり
にくく、印刷ずれやしわ等の発生が少ないフィルムとな
る。更に、長手方向の屈折率(Nx)から幅方向の屈折
率(Ny)を差し引いた値(Nx−Ny)が−0.02
0〜0であることにより、厚みムラが小さく、しかも、
印刷工程やラミネート工程において加熱された状態で搬
送張力を受けても引き伸ばされにくいものとなり、平面
性の悪化がより生じにくいものとなる。また、延伸後の
フィルムの120℃での熱収縮率が5%以下であること
により、フィルムは良好な手切れ性を示し、しかも、印
刷工程での印刷ずれやラミネート工程(ヒートシール
時)での平面性の悪化がより生じにくいものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における脂肪族ポリエステ
ルは、一般式 −O−CHR−CO− (式中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基
を示す。)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエス
テルである。上記式中、炭素数1〜3のアルキルとして
は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル等が挙げられる。
【0018】上記脂肪族ポリエステルは、上記繰り返し
単位を好ましくは90モル%以上、より好ましくは95
モル%以上含む。上記繰り返し単位以外に含まれ得る単
位としては、例えば、上記一般式以外のオキシカルボン
酸由来の脂肪族ポリエステル単位および/またはジオー
ルとジカルボン酸とから得られる脂肪族ポリエステル単
位が例示される。
【0019】上記脂肪族ポリエステルの具体例として
は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−
オキシ酪酸)等を挙げられ、不斉炭素を有する場合は、
L−体、DL−体またはD−体のいずれでもよく、また
これらのうちの2種以上の異性体が混在するものであっ
てもよい。本発明においては、耐熱性および原料コスト
の点から、ポリ乳酸が好ましい。
【0020】上記脂肪族ポリエステルは、対応するα−
オキシ酸の脱水環状エステル化合物を開環重合等の公知
の方法で製造される。
【0021】本発明のフィルムは、上記脂肪族ポリエス
テルを含有してなるものであるが、本発明の目的を達成
できる範囲内であれば、当該樹脂以外に20重量%以下
の範囲で他の樹脂を含有してもよく、例えば、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン等の樹脂が例示される。
【0022】上記脂肪族ポリエステルはその還元粘度
(ηsp/C)が0.5〜2.5dl/gであることが
重要である。還元粘度が0.5dl/g未満のもので
は、製膜時(押出工程、延伸工程)で破断が生じやす
く、また、延伸によるフィルムの物性向上が期待できな
い。一方、還元粘度が2.5dl/gより大きいと、溶
融粘度が高すぎて押出成形性が悪く、また、手切れ性や
ひねり固定性の悪いものとなってしまう。還元粘度は好
ましくは0.5〜2.0dl/gの範囲にあるのがよ
い。
【0023】上記脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηs
p/C)0.5〜2.5dl/gは、ポリエステル重合
時の重合温度、重合時間、触媒濃度等を適宜選択するこ
とにより、達成される。
【0024】本発明のフィルムの好適な製造方法は、上
記特定の還元粘度を有する脂肪族ポリエステルを特定の
押出温度で押出成形して未延伸フィルムとし、該未延伸
フィルムを特定の条件で二軸延伸する方法である。
【0025】押出成形は公知のT−ダイ法、インフレー
ション法等で行うことができる。押出温度は、脂肪族ポ
リエステルの融解温度をTm(℃)とすると、Tm〜T
m+70℃の範囲、好ましくは、Tm+20℃〜Tm+
50℃の範囲であることが重要である。押出温度がTm
より低い場合は、押出安定性が得難く、また過負荷に陥
りやすく、良好なフィルム化を行うことができない。ま
た押出温度がTm+70℃より高い場合は、ポリマーの
分解が激しくなり、後工程の延伸を行ってもフィルムを
本発明の規定の物性を有するものとすることができな
い。押出機のダイは、通常、環状または線状のスリット
を有するものが用いられる。また、ダイの温度は通常上
記押出温度と同程度の温度とする。
【0026】二軸延伸する場合、一軸目の延伸と二軸目
の延伸を逐次に行っても、同時に行ってもよい。ここで
一軸目とはフィルムの縦方向及び横方向のいずれか一
方、二軸目とはフィルムの縦方向及び横方向のいずれか
他方である。なお、「縦方向」は「フィルムの長手方
向」と同義であり、「横方向」は「フィルムの幅方向」
と同義である。
【0027】延伸温度は脂肪族ポリエステルのガラス転
移温度をTg(℃)とすると、一般にTg〜Tg+50
℃の範囲、好ましくはTg+10℃〜Tg+40℃の範
囲とすることが重要である。延伸温度がTgより低い場
合は、延伸が困難となり、Tg+50℃を越えるとフィ
ルムの厚み均一性や機械的強度が低下するのみならず、
フィルムを本発明の規定の物性を有するものとすること
が困難となる。
【0028】縦、横の延伸は一段でも多段に分けて行っ
てもよいが、各延伸方向での最終的な延伸倍率が互いに
3倍以上、好ましくは3.5倍以上で、かつ、縦・横面
積倍率で9倍以上、好ましくは12倍以上であることが
重要である。縦、横の延伸倍率の少なくとも一方が3倍
以下であったり、縦・横面積倍率が9倍以下では、フィ
ルムの厚み均一性や機械的強度が良化されず、フィルム
を本発明の規定の物性を有するものとすることが困難と
なる。
【0029】特に、フィルムの厚み方向の屈折率(N
z)及び120℃での熱収縮率を上記規定の範囲とする
には、縦延伸を二段以上とし、そのうちの少なくとも一
段の延伸工程を、延伸温度がTg+20℃〜Tg+40
℃の範囲で、延伸速度を10000%/分以上、好まし
くは15000%/分以上、より好ましくは20000
%/分以上とした延伸条件で行うことが重要である。
【0030】また、特に、フィルムの長手方向の屈折率
(Nx)から幅方向の屈折率(Ny)を差し引いた値
(Nx−Ny)を上記規定の範囲とするには、縦、横の
延伸倍率、延伸速度等のバランスを調整すること等によ
り達成される。
【0031】また、120℃での長手方向の熱収縮率を
上記規定の範囲とするには、二軸延伸後のフィルムを1
45℃〜フィルムの融点、好ましくは150℃〜フィル
ムの融点の範囲で熱固定することが重要である。また、
熱固定後のフィルムは125℃〜(フィルムの融点−2
0℃)の範囲で、弛緩率0.1〜8%の横弛緩処理を行
うのが好ましい。
【0032】本発明のフィルムは、押出時に共押出し法
を用いたり、押出しから熱固定までの一連の工程におい
て種々のコーティング法を適用することによって、多層
化してもよい。また、フィルム表面の印刷性、接着性等
を向上させるために、フィルム表面にコロナ処理、プラ
ズマ処理や火炎処理等を施しても良い。
【0033】本発明のフィルムでは、公知の添加剤を必
要に応じて含有させることができ、例えば、滑剤、ブロ
ッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、
耐光剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。本発
明のフィルムはヒートシール層が形成された状態で透明
である(物品を包装した時に内容物が外部から見える透
明性を有する)必要があり、ヒートシール層の形成前に
おいて高い透明性が必要である。よって、添加剤はかか
る高い透明性を損なわない範囲で使用する必要がある。
【0034】滑剤としては、例えば、シリカ、二酸化チ
タン、タルク、カオリナイト等の金属酸化物、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属塩等
からなる無機微粒子;架橋ポリスチレン樹脂、架橋アク
リル樹脂、シリコン樹脂、架橋ポリエステル樹脂等の有
機樹脂微粒子等の、脂肪族ポリエステルに対して不活性
な微粒子が用いられる。これらの滑剤微粒子はいずれか
一種を単独で用いても、また2種以上を併用してもよ
い。平均粒子径は0.01μm〜3.0μm、好ましく
は0.05μm〜2.5μm、添加量はフィルム全体当
たり0.005重量%〜2重量%、好ましくは0.01
重量%〜1.0重量%であるのがフィルムの透明性およ
びフィルム滑り性を両立する上で好ましい。
【0035】なお、フィルムの透明性と滑り性を両立す
る為に、2種以上の滑剤を併用するのが好ましく、例え
ば、フィルムの製膜中に変形する滑剤微粒子(架橋ポリ
スチレン、架橋アクリル等の架橋度が低い架橋高分子微
粒子や一次粒子の凝集体であるシリカ等)と、フィルム
中で変形しない通常の滑剤微粒子(シリカ、二酸化チタ
ン等)を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0036】本発明のフィルムは包装用のフィルムや粘
着テープ用フィルムとして好適であり、フィルムの最終
厚み(熱固定後の厚み、横弛緩処理後の厚み)は、フィ
ルムの使用形態によっても異なるが、一般に5〜200
μm、好ましくは100〜150μmとするのがよい。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。な
お、以下の実施例及び比較例におけるフィルムの性能評
価は以下の方法で行った。
【0038】〔製膜状況〕押出開始から最終フィルムま
での工程における製膜状況を目視で観察して評価した。 〔手切れ性〕製造したフィルムから長手方向(縦延伸方
向)に沿って切り取った幅15mmのテープ状サンプル
を人が手で実際に切断した時の官能評価であり、5人が
行った評価のうちの最も多い評価をそのフィルムの評価
として採用した。評価は、○:極めて容易に切断でき
た、△:容易に切断できた、×:容易に切断できなかっ
たの3段階評価で行った。
【0039】〔ひねり固定性〕製造したフィルムから長
手方向(縦延伸方向)に沿って切り取った幅30mmの
テープ状サンプルを人が手で実際にひねって、ひねった
状態がもとに戻らないものをひねり固定性良好(○)、
ひねり状態が維持できないものをひねり固定性不良
(×)とした。
【0040】〔加工適性〕製造したフィルムの上にグラ
ビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋インキ
社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次い
で接着剤AD585/CAT−10(東洋モートン社
製)を2g/m2 塗布した後、常法に従って厚み60μ
mの未延伸ポリプロピレンフィルム(P1120、東洋
紡績製)をドライラミネート法にて貼り合わせてシーラ
ント層を設け、脂肪族ポリエステル系フィルム積層体を
得た。これの工程においてフィルムの状態を観察し三段
階評価を実施した。 ○:しわや印刷ずれの発生がなく良好。 △:しわ及び/または印刷ずれが若干認められるが実用
上問題ないレベル。 ×:しわ及び/または印刷ずれが顕著であり、実用上問
題あり。
【0041】実施例1 還元粘度1.52dl/gのポリ−L−乳酸(融解温度
(Tm):170℃、ガラス転移温度(Tg):60
℃)100重量部に対し、表面突起を形成するための滑
剤として平均粒子径1.8μmの凝集体シリカ粒子を
0.06重量部添加したポリマーを、Tダイ付き口径3
0mm押出機を使用して、樹脂温度205℃で押出した
後、20℃のチルロールで冷却し、厚さ260μmの未
延伸フィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを複数
本のセラミックロールによりフィルム温度を90℃に予
熱しロール間で30000%/分の延伸速度で縦方向に
1.4倍延伸し、更に93℃で縦方向に2.5倍延伸し
た。次いでテンター式延伸機で横方向に80℃で3.8
倍延伸した後、155℃で熱固定し、135℃で3%横
弛緩処理を行って、厚さ20μmの延伸フィルムを得
た。表1にその物性と性能評価結果を示す。
【0042】実施例2 熱固定温度を150℃で実施した以外は実施例1と同様
にしてフィルムを製造した。表1にその物性と性能評価
結果を示す。
【0043】比較例1 還元粘度2.83dl/gのポリ−L−乳酸(融解温度
(Tm):170℃、ガラス転移温度(Tg):60
℃)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを製
造した。表1にその物性と性能評価結果を示す。
【0044】比較例2 還元粘度0.44dl/gのポリ−L−乳酸(融解温度
(Tm):170℃、ガラス転移温度(Tg):60
℃)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを製
造した。なお、延伸工程で破断が多発した。表1にその
物性と性能評価結果を示す。
【0045】比較例3 縦延伸を複数本のセラミックロールによりフィルム温度
90℃に予熱しロール間で30000%/分の延伸速度
で2.5倍に一段延伸したのみとし、それ以外は実施例
1と同様にしてフィルムを製造した。表1にその物性と
性能評価結果を示す。
【0046】比較例4 縦延伸を複数本のセラミックロールによりフィルム温度
70℃に予熱しロール間で30000%/分の延伸速度
で3.5倍に一段延伸したのみとし、それ以外は実施例
1と同様にしてフィルムを製造した。表1にその物性と
性能評価結果を示す。
【0047】比較例5 縦延伸における延伸速度を5000%/分にした以外は
実施例1と同様にしてフィルムを製造した。表1にその
物性と性能評価結果を示す。
【0048】比較例6 熱固定を140℃で実施した以外は実施例1と同様にし
てフィルムを製造した。表1にその物性と性能評価結果
を示す。
【0049】
【表1】
【0050】以上の実施例及び比較例の結果から、本発
明の特定の還元粘度を有する脂肪族ポリエステルを二軸
延伸して、特定の屈折率及び熱収縮率を有するものとし
たフィルムは、手切れ性、ひねり固定性、及び加工適性
(印刷処理、ラミネート処理)のいずれにも優れた、包
装用フィルムや粘着用テープとして用いるに好適なフィ
ルムとなることが分かる。また、そのために、特定の還
元粘度の脂肪族ポリエステルを特定の押出及び延伸条件
で二軸延伸することが重要であることがわかる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の脂肪族ポリエステル系フィルムによれば、印刷やラミ
ネート工程において印刷ずれやしわを発生しない優れた
加工適性を有し、しかも、良好な手切れ性およびひねり
固定性を有するものとなり、その結果、生鮮食品、加工
食品、医薬品、医療機器、電子部品等の分野で使用され
る包装用フィルムや粘着テープとして極めて有用なフィ
ルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 啓治 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 奥平 正 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA88 AB26 AF13 AF31Y AF53 AF61Y AH04 AH19 BB06 BB07 BB08 BC01 4F210 AA24 AE01 AG01 QA02 QA03 QC06 QD16 QG01 QG18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位が、一般式、−O−
    CHR−CO−(RはHまたは炭素数1〜3のアルキル
    基)で示される単位からなり、還元粘度(ηsp/C)
    が0.5〜2.5dl/gの脂肪族ポリエステルを主成
    分とするフィルムであって、厚み方向の屈折率(Nz)
    が1.440〜1.455、長手方向の屈折率(Nx)
    から幅方向の屈折率(Ny)を差し引いた値(Nx−N
    y)が−0.020〜0であり、120℃における長手
    方向の熱収縮率が5%以下であることを特徴とする脂肪
    族ポリエステル系延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 120℃における長手方向の熱収縮率が
    3%以下である請求項1記載の脂肪族ポリエステル系延
    伸フィルム。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηsp
    /C)が0.5〜1.8dl/gである請求項1または
    2記載の脂肪族ポリエステル系延伸フィルム。
  4. 【請求項4】 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である請
    求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系延
    伸フィルム。
JP8717799A 1999-03-29 1999-03-29 脂肪族ポリエステル系延伸フィルム Withdrawn JP2000281812A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004027222A (ja) * 2003-06-02 2004-01-29 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 生分解性フィルム

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