JP2000281432A - 高周波用誘電体磁器組成物及びそれを用いた積層部品 - Google Patents

高周波用誘電体磁器組成物及びそれを用いた積層部品

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JP2000281432A
JP2000281432A JP11089970A JP8997099A JP2000281432A JP 2000281432 A JP2000281432 A JP 2000281432A JP 11089970 A JP11089970 A JP 11089970A JP 8997099 A JP8997099 A JP 8997099A JP 2000281432 A JP2000281432 A JP 2000281432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収縮開始温度を低くして、導体の収縮開始温
度に近づけることができ、AgやCuを主成分とする導
体と同時焼成した場合でも反りや歪みを抑制できる高周
波用誘電体磁器組成物を提供する。 【解決手段】組成式をxMgO・yLa2O3・zTi
O2で、前記x、y、zが点a(x=35.5,y=0.5 ,
z=64.0)、点b(x=16.0,y=16.0,z=68.0)、
点c(x= 1.0,y=20.0,z=79.0)、点d(x=
0.5,y= 14.5 ,z=85.0)、点e(x=27.5,y=
0.5,z=72.0)に囲まれる領域(線分含む)内にある
とともに、La4 Ti9 24、MgTi2 5 及びLa
0.66TiO2. 993 のうち少なくとも一種を主結晶相とす
る主成分と、該主成分100重量部に対して、B、アル
カリ金属、Siおよびアルカリ土類金属を含有する粒界
相形成成分5〜30重量部とから成るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波、ミリ
波等の高周波領域において、高いQ値を有する高周波用
誘電体磁器および積層体に関するものであり、例えばマ
イクロ波やミリ波などの高周波領域において使用される
種々の共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体
導波路用材料、積層型セラミックコンデンサの誘電体層
等に用いることができる高周波用誘電体磁器組成物及び
それを用いた積層部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、誘電体磁器は、マイクロ波やミリ
波等の高周波領域において誘電体共振器、MIC用誘電
体基板や導波路等に広く利用されている。そして、近年
においては、携帯電話をはじめとする移動体通信等の発
達および普及に伴い、電子回路基板や電子部品の材料と
して、誘電体セラミックスの需要が増大しつつある。
【0003】電子回路基板や電子部品において、誘電体
セラミックスと内部導体を同時焼成するに際しては、従
来の誘電体セラミックスの焼成温度が1100℃以上と
いう高温であったため、導体材料としては、比較的高融
点であるPt、Pd、W、Mo等が使用されていた。こ
れら高融点の導体材料は導通抵抗が大きいため、従来の
電子回路基板において、共振回路やインダクタンスのQ
値が小さくなってしまい、導体線路の伝送損失が大きく
なる等の問題があった。
【0004】そこで、このような問題点を解決すべく、
導通抵抗の小さいAg、Cu等と同時焼成可能な低温焼
成の誘電体セラミックスが提案されている。例えば、本
出願人が先に出願した特開平8−208330号公報に
開示された誘電体磁器組成物は、MgO、CaO、Ti
2 とB2 3 、Li2 CO3 からなるものであり、9
00〜1050℃の比較的低温でAg、Cu等の内部導
体と同時に焼成でき、誘電体磁器の比誘電率εrが18
以上、測定周波数7GHzでのQ値が2000以上、か
つ共振周波数の温度係数τfが±40ppm/℃以内の
優れた特性を有し、高周波電子部品の小型化と高性能化
を実現できるものであった。
【0005】また、特開平9−315859号公報に開
示された誘電体磁器組成物はCaO、ZrO2 とB2
3 、アルカリ金属化合物からなり、1200℃以下の比
較的低温で焼成できるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8−208330号公報に開示された誘電体磁器組成物
では焼結温度がまだ高く、さらに焼結における収縮開始
温度が845〜960℃と高温であるため、導体材料と
の収縮挙動のマッチングが悪く、焼成された基板や電子
部品が反る、歪む等の問題があった。
【0007】また、特開平9−315859号公報に開
示された誘電体磁器組成物も同様の問題があった。
【0008】即ち、導体としては、Agおよび/または
Cuを主成分とするもの、例えば、Ag、Cu、あるい
はAg、Cuに対してガラス成分やセラミック成分、P
t、Pd等の金属を添加したものがあるが、これらの導
体は、焼成時における収縮開始温度が高くとも650℃
程度であるため、上記誘電体磁器組成物の収縮開始温度
との差が大きく、これにより、基板等が変形する等の問
題があった。
【0009】本発明は上記課題に鑑みなされたもので、
収縮開始温度を低くして、導体の収縮開始温度に近づけ
ることができ、AgやCuを主成分とする導体と同時焼
成した場合でも反りや歪みを抑制できる高周波用誘電体
磁器および積層体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用誘電体
磁器は、金属元素として少なくともMg、La、Tiを
含有する複合酸化物であって、これらのモル比による組
成式を xMgO・yLa2 3 ・zTiO2 と表した時、前記x、y、zが点a−b−c−d−e−
aで囲まれる範囲内にあるとともにLa4 Ti9 24
MgTi2 5 及びLa0.66TiO2.993 のうち少なく
とも一種を主結晶相とする主成分と、該主成分100重
量部に対して、B、アルカリ金属、Siおよびアルカリ
土類金属を含有する粒界相形成成分5〜30重量部とか
ら成るものである。ここで、a、b、c、d、eは、 点a(x=35.5,y=0.5 ,z=64.0) 点b(x=16.0,y=16.0,z=68.0) 点c(x= 1.0,y=20.0,z=79.0) 点d(x= 0.5,y= 14.5 ,z=85.0) 点e(x=27.5,y= 0.5,z=72.0) x+y+z=100 である。このような高周波用誘電体磁器において、Q値
とその測定周波数との積で表されるQf値が20000
〔GHz〕以上であることが望ましい。
【0011】また、粒界相形成成分は、重量比による組
成式を、lB2 3 ・mA2 O・nSiO2 ・oROと
表した時、前記l、m、n、およびoが、40≦l≦9
0、8≦m≦20、1≦n≦20、1≦o≦20、l+
m+n+o=100を満足することが望ましい。ここ
で、Aはアルカリ金属のうち少なくとも一種以上、Rは
アルカリ土類金属のうち少なくとも一種以上である。ま
た、RはBaが望ましい。
【0012】また、誘電体層を複数積層して成る基体の
内部及び表面に、Ag及び/またはCuを主成分とする
導体を有する積層部品であって、前記誘電体層が上述の
高周波用誘電体磁器組成物からなる積層部品である。
【0013】
【作用】本発明の高周波用誘電体磁器は、B、アルカリ
金属、Siおよびアルカリ土類金属を含有する粒界相形
成成分により、セラミックフィラー自体の誘電特性をそ
れほど劣化させることなく、940℃以下の焼成温度で
焼成できるとともに、収縮開始温度を830℃以下とす
ることができ、Ag、Cu等の内部導体と同時焼成して
も、基板の焼結挙動とAg、Cu等の内部導体との焼成
挙動を近似させることができ、基板の反りを防止できる
ものとなる。
【0014】さらに、Q値とその測定周波数との積で表
される磁器のQf値が15000〔GHz〕以上とな
り、共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体導
波路用材料、積層型セラミックコンデンサの誘電体層等
に好適に用いることができる。
【0015】また、粒界相形成成分が、重量比による組
成式をlB2 3 ・mA2 O・nSiO2 ・oRO(A
はアルカリ金属のうち少なくとも一種、Rはアルカリ土
類金属のうち少なくとも一種)と表した時、l、m、n
およびoが、40≦l≦90、8≦m≦20、1≦n≦
20、1≦o≦20、l+m+n+o=100を満足す
ることにより、920℃以下の焼成温度で焼成できると
ともに、焼成収縮開始温度を830℃以下にすることが
でき、Agおよび/またはCuを主成分とする導体の収
縮開始温度に近づけることができ、Ag、Cuを主成分
とする導体と同時焼成した場合でも、基板や電子部品の
反りや歪み等の発生を抑制することができ、さらに、Q
f値が20000(GHz)以上となる。
【0016】また,積層部品において、上述の誘電体磁
器組成物では、940℃以下の比較的低温で焼成するこ
とができるため、内部または表面の導体にAgやCuな
どの導電率が優れ、高周波特性に優れた導体材料を用い
ることができ、しかも、一体的に焼成処理しても焼結挙
動を近似させることができるため、基体にソリなどを発
生させることなく積層部品が達成できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高周波用誘電体磁
器組成物及びそれを用いた積層部品を図面に基づいて詳
説する。
【0018】図1は、本発明にかかる積層部品の断面図
を示すものであり、例えば、トリプレート型積層共振部
品を例に示す。図中、1a〜1dは高周波用誘電体磁器
(単に誘電体層という)であり、この誘電体層1a〜1
dから成る積層体(基体)1の内部に内部導体2が、表
面に表面導体3が形成されている。
【0019】誘電体層1a〜1dは、金属元素として少
なくともMg、La、Tiを含有する複合酸化物であっ
て、La4 Ti9 24、MgTi2 5 及びLa0.66
iO2.993 のうち少なくとも一種を主結晶相とする主成
分と、B、アルカリ金属、Siおよびアルカリ土類金属
を含有する粒界相形成成分とからなる誘電体磁器であ
る。
【0020】内部導体2は、AgまたはCuを主成分と
する導体膜からなり、誘電体層1a〜1dとの間及び誘
電体層1a〜1dの厚みを貫く方向に内部導体2が形成
されている。例えば、共振部品において、誘電体層1b
と1cとの層間には、マイクロストリップ線路として動
作し、その一端(短絡端)は誘電体層1aと1bとの層
間及び1cと1dとの層間に形成されたグランド電位と
なる導体膜にビアホール導体によって互いに接続されて
いる。また、マイクロストリップ線路の他端及びグラン
ド電位の導体膜はそれぞれビアホール導体を介して基体
1の表面に導出されている。ここで、ストリップ線路、
グランド電位の導体膜及びビアホール導体は、誘電体層
1a〜1dと一体的に焼成される内部導体2と言え、そ
のほかに所定配線網を形成する導体として用いることも
できる。
【0021】外部導体3は、AgまたはCuを主成分と
する導体膜からなり、基体1の表面に例えば上述のビア
ホール導体と導通するように形成された導体膜である。
このように内部導体2と接続する導体以外に、端子電極
となる導体、所定配線網を形成する配線パターンにも用
いることができる。なお、この外部導体3は、好ましく
は内部導体2と同様の材料を用い、基体と一体的に焼成
することが望ましいが、内部導体2を有する基体1に、
別焼成で外部導体3を焼き付け処理しても構わない。
【0022】上述の誘電体層1a〜1dは、例えば共振
器として高周波特性、例えばQf値が求められるととも
に、構造的には少なくともAgやCuを主成分とする内
部導体2と一体的に焼成処理することから、誘電体層の
焼成温度がAgやCuの融点以下の例えば940℃以下
で焼成でき、しかも、焼結挙動を合わせるために、誘電
体層1a〜1dの焼結開始温度(収縮開始温度)が83
0℃以下とすることが重要となる。
【0023】誘電体層1a〜1dは、金属元素として少
なくともMg、La、Tiを含有する複合酸化物であっ
て、これらのモル比による組成式をxMgO・yLa2
3・zTiO3 と表した時、図2の各モル比率である
x、y、zの関係を示す三元図中の点a−b−c−d−
e−aで囲まれる範囲(線分含む)内とすることが重要
であり、B、アルカリ金属、Siおよびアルカリ土類金
属を含有する粒界相形成成分5〜30重量部とから成る
ことが重要である。ここで、点a、b、c、d、eと
は、各モル比率が点a(x=35.5,y=0.5 ,z=64.
0)、点b(x=16.0,y=16.0,z=68.0),点c
(x= 1.0,y=20.0,z=79.0)、点d(x= 0.5,
y= 14.5 ,z=85.0)、点e(x=27.5,y= 0.5,
z=72.0)としている。
【0024】これは、焼成後、La4 Ti9 24、Mg
Ti2 5 及びLa0.66TiO2.99 3 のうち少なくとも
一種を主結晶相を形成されるためである。
【0025】このように、図2の3元図中の点a−b−
c−d−e−aで囲まれる多角形の領域(線分含む)で
は、良好のQf値が得られる。
【0026】さらに、この領域に含まれるf−g−h−
i−j−k−fで領域、点f(x=34.0,y=1.0 ,z
=65.0)、点g(x=28.7,y= 5.3,z=65.9)、点
h(x=23.4,y= 7.9,z=68.7)、点i(x=17.
2,y=10.3,z=72.5)、点j(x=12.2,y=11.
5,z=76.3)、点k(x=29.7,y= 2.0,z=68.
3)内の組成では、共振周波数の温度係数τfが±50
ppm/℃内となり、図1に示す共振器のような高周波
部品において、温度に対して特性が非常に安定すること
から好適である。
【0027】B、アルカリ金属、Siおよびアルカリ土
類金属を含有する粒界相形成成分を用いたのは、これら
の成分を用いることにより、焼成温度を940℃以下と
することができるとともに、焼成収縮開始温度を830
℃以下とでき、Qf値を15000〔GHz〕以上とす
ることができるからである。
【0028】粒界相形成成分量を、低損失セラミックフ
ィラー100重量部に対して5〜30重量部としたの
は、5重量部未満の場合には、焼成温度を低下させる効
果が小さく、AgまたはCuを主成分とする導体と同時
焼成ができなくなり、逆に30重量部を越える場合に
は、Qf値が低下してしまう。上記理由から、粒界相形
成成分量は、主成分100重量部に対して10〜20重
量部が望ましい。
【0029】粒界相形成成分としては、重量比による組
成式をlB2 3 ・mA2 O・nSiO2 ・oRO(A
はアルカリ金属の少なくとも一種、Rはアルカリ土類金
属の少なくとも一種)と表した時、l、m、nおよびo
が、40≦l≦90、8≦m≦20、1≦n≦20、1
≦o≦20、l+m+n+o=100を満足することが
望ましい。
【0030】ここで、B2 3 量lを40≦l≦90と
したのは、lが40重量%未満の場合は焼成温度を低下
させる効果が小さく、融点が1000℃前後のAgまた
はCuを主成分とする導体と同時焼成が困難になる。逆
に90重量%を越える場合には、焼結体中のガラス相の
割合が増加してQf値が低下するからである。よって、
焼結性を維持し、高いQf値を得るという観点から50
≦l≦70重量%が望ましい。
【0031】また、A2 O量mを8≦m≦20重量%と
したのは、mが8重量%未満の場合には、焼成温度を低
下させる効果が小さく、AgまたはCuを主成分とする
導体と同時焼成が困難になる。逆に20重量%を越える
場合には、結晶相が変化してQf値が低下するからであ
る。誘電体磁器のQf値の観点から12≦m≦20重量
%が望ましい。ここで、Aはアルカリ金属のうち少なく
とも一種であり、アルカリ金属としてはLi、Na、K
があるが、特にLiが望ましい。
【0032】さらに、SiO2 量nを1≦n≦20重量
%としたのは、nが1重量%未満の場合には誘電体磁器
の焼結過程における収縮開始温度が830℃よりも高く
なり、導体の焼結挙動と近似させることが困難となり、
基板の反りなどが発生し易い。一方、20重量%を越え
ると誘電体磁器のQf値が低下するからである。誘電体
磁器のQf値の観点からは、cは5≦n≦15重量%が
望ましい。
【0033】さらにまた、RO量oを1≦o≦20重量
%としたのは、oが1重量%未満の場合には誘電体磁器
の焼結過程における収縮開始温度が830℃よりも高く
なり、導体の焼結挙動と近似させることが困難となり、
基板の反りなどが発生し易い。一方、20重量%を越え
ると誘電体磁器のQf値が低下するからである。とりわ
け誘電体磁器の焼結性とQf値の観点からはdは、5≦
o≦15重量%が好ましい。ここで、Rはアルカリ土類
金属のうち少なくとも一種であり、アルカリ土類金属と
してはBe、Mg、Ca、Sr、Ba等があるが、Qf
値の観点からこのうちBaが望ましい。
【0034】本発明の高周波用誘電体磁器組成物は、原
料粉末として、MgCO3 粉末、La2 3 粉末、Ti
2 粉末を所定量秤量し、該原料粉末をZrO2 等のボ
ールにより混合、粉砕した後、該混合物を乾燥し、次い
で該乾燥物を大気中等の酸化性雰囲気において950〜
1200℃で1〜4時間仮焼する。
【0035】得られた仮焼粉に、例えばB2 3 粉末、
Li2 CO3 粉末、SiO2 粉末、さらにアルカリ土類
金属含有化合物(炭酸塩、水酸化物等)粉末を所定量秤
量添加し、ZrO2 ボールにより混合・粉砕し、この混
合粉末を650〜850℃で仮焼した後、再度ZrO2
ボールにより粉砕粒径が2.5μm以下になるまで粉
砕、乾燥して得た粉末を、プレス成形やドクターブレー
ド法等の公知の方法により所定形状に成形し、大気中ま
たは酸素雰囲気中または窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気
において940℃以下、特に870〜920℃で0.5
〜2時間焼成することにより得られる。原料粉末は、焼
成により酸化物を生成する水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等
の金属塩を用いても良い。
【0036】アルカリ土類金属は、B、Li、Siを含
むガラスフリットとして添加することが焼結性向上の点
から望ましい。この場合には、B、Li、Si量は、ガ
ラスフリットに含有される量と、粉末として添加される
量の合計量となる。
【0037】こうして得られる誘電体磁器には、TiO
2 、La4 Ti9 24、MgTi25 、La0.66Ti
2.993 、La2 Ti2 7 の5つの結晶相のうち少な
くとも1相を含む結晶が生成されるが、これらの結晶相
のうちLa4 Ti9 24、MgTi2 5 或いはLa
0.66TiO2.993 が主結晶相として存在することが望ま
しい。
【0038】本発明の高周波用誘電体磁器では、MnO
2 を添加含有してもよく、原料の混合粉砕工程等の製造
過程で、Al等が混入したり、原料の不可避不純物とし
て、Al、Fe、Hf、Sn等が含まれることもある。
【0039】
【実施例】実施例1 先ず、純度99%以上のMgCO3 、La2 3 、Ti
2 の各原料粉末を表1に示す割合で秤量し、該原料粉
末に媒体として純水を加えてZrO2 ボールを用いたボ
ールミルにて20時間粉砕・混合した後、該混合物を乾
燥し、次いで乾燥物を大気中で1150℃の温度で3時
間仮焼した。
【0040】得られた仮焼物と純度99%以上のB2
3 、Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 、SiO
2 粉末、さらにアルカリ土類金属含有化合物として炭酸
塩粉末を用い、表1に示す割合となるように秤量し、純
水を媒体とし、ZrO2 ボールを用いたボ−ルミルにて
20時間湿式混合した。次にこの混合物を乾燥し、80
0℃で1時間仮焼した。この仮焼物を、粉砕粒径が1.
0μm以下になるように粉砕し、誘電特性評価用の試料
として直径約10mm高さ約8mmの円柱状に1ton
/cm2 の圧力でプレス成形し、これを表1に示す温度
で2時間焼成し、直径約8mm、高さ約6mmの円柱状
の試料を得た。この際、熱収縮の測定により、収縮開始
温度を測定した。
【0041】誘電特性の評価は、前記円柱試料の両端面
を平面研削した後、誘電体円柱共振器法にて周波数4〜
10GHzにおける比誘電率とQ値を測定した。Q値と
測定周波数fとの積で表されるQf値を表1に記載し
た。
【0042】尚、共振周波数の温度係数τfは、25℃
での共振周波数を基準にして−40℃および+85℃に
おける共振周波数の温度係数τfを算出した結果、すべ
ての試料の共振周波数の温度係数τfが±170〔pp
m/℃〕の範囲内であった。
【0043】また、図2中、点f−g−h−i−j−k
−fで囲まれる組成範囲では、共振周波数の温度係数τ
fが±50ppm/℃内の優れた特性が得られた。
【0044】
【表1】
【0045】この表1から、本発明の誘電体磁器は、比
誘電率が19〜52、Qf値が15000〔GHz〕以
上の優れた誘電特性を有するとともに、770〜830
℃で焼結収縮が開始し、940℃以下で焼成が可能な優
れた焼結性を有していることが判る。
【0046】特に、粒界相形成成分が、上記組成範囲を
満足する場合には、比誘電率が19〜52、Qf値が2
0000以上の優れた誘電特性を有するとともに、77
0〜830℃で焼結収縮が開始し、920℃以下で焼成
が可能な優れた焼結性を有していることが判る。
【0047】尚、アルカリ金属としては、試料番号8で
Kを、試料番号10でNaを用い、その他はLiを用い
た。また、アルカリ土類金属としては、試料番号40で
Baを、試料番号41でSrを用い、その他ではBaと
Caを用いた。この際BaOとCaOの重量比を1:1
とした。特に、試料番号40(Ba)と試料番号18、
41(Sr)との比較より、アルカリ土類金属にBaの
みを用いた場合、Qf値が30000と非常に良好な値
が得られる。
【0048】図2中の多角形の線分a−bの外の試料
(試料番号21、22)あるいは、線分c−dの外の試
料(試料番号23)では、Q値の低い結晶相であるLa
2 Ti2 7 が形成されてしまい、その結果、Qf値が
2500、5000、5000と非常に低下してしま
う。
【0049】また、図2中の多角形の線分d−eの外の
試料(試料番号25、26)あるいは、線分e−aの外
の試料(試料番号27)では、粒界形成成分と反応して
しまい、収縮開始温度や焼結温度が高温化したり、Qf
値が実用レベルに達しなくなる。
【0050】また、図2中、多角形f、g、h、i、
j、k、fで囲まれる領域(試料番号12、13、1
4、15、16、17、18、19、20)では、比誘
電率が20〜30、Qf値が25000以上の優れた誘
電特性を有するとともに、770〜800℃で焼結収縮
が開始し、900℃以下で焼成が可能な優れた焼結性を
有する高周波用誘電体磁器を得ることができる。
【0051】上述の高周波用誘電体磁器組成物からなる
誘電体層を用いて、基体1を構成し、その内部にAgや
Cuなどの導電率に優れた導体材料でマイクロストリッ
プライン、容量電極などの高周波動作を行なう内部導体
2を形成することができる。
【0052】しかも、内部導体2と誘電体層1a〜1d
とを、AgやCuの融点に達することのない焼成温度
(940℃以下)で同時に焼成処理でき、しかも、磁器
の収縮開始温度も内部導体2の導体材料の焼結反応の開
始と近似させることができるため、基体1にソリが発生
しない積層部品が得られる。
【0053】なお、外部導体3も、基体1と当然同時に
焼成処理することも可能となる。
【0054】
【発明の効果】本発明の高周波用誘電体磁器組成物によ
れば、高周波領域において15000GHz以上のQf
値を有するため高周波部品や基板の小型・高性能化が実
現できるとともに、焼成温度を940℃以下、収縮開始
温度を830℃以下とすることが可能となる。
【0055】このため、AgやCu等の導体材料と同時
に焼成でき、その際導体金属の収縮挙動のミスマッチか
ら発生する基板の反りや歪みが抑制される積層部品とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層部品の一例、たとえば共振
器の断面図である。
【図2】本発明の高周波用誘電体磁器組成物のx、y、
zの各モル比率の関係を示す三元図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01P 7/10 H01P 7/10 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA02 AA03 AA04 AA05 AA06 AA09 AA11 AA28 AA30 BA09 GA02 5E001 AA02 AB03 AE03 AE05 AH09 5G303 AA01 AA02 AA05 AB20 CA01 CB02 CB03 CB15 CB17 CB30 CB35 CB43 DA04 5J006 HC07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属元素として少なくともMg、La、
    Tiを含有する複合酸化物であって、これらのモル比に
    よる組成式を xMgO・yLa2 3 ・zTiO2 と表した時、前記x、y、zを示す三元図において、点
    a−b−c−d−e−aで囲まれた多角形の範囲(線分
    含む)内にあるとともに、La4 Ti9 24、MgTi
    2 5 及びLa0.66TiO2.993 のうち少なくとも一種
    を主結晶相とする主成分と、該主成分100重量部に対
    して、B、アルカリ金属、Siおよびアルカリ土類金属
    を含有する粒界相形成成分5〜30重量部とから成るこ
    とを特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。 点a(x=35.5,y=0.5 ,z=64.0) 点b(x=16.0,y=16.0,z=68.0) 点c(x= 1.0,y=20.0,z=79.0) 点d(x= 0.5,y=14.5,z=85.0) 点e(x=27.5,y=0.5 ,z=72.0) x+y+z=100
  2. 【請求項2】粒界相形成成分は、重量比による組成式を
    lB2 3 ・mA2 O・nSiO2 ・oROと表した
    時、前記l、m、n、およびoが、 40≦l≦90 8≦m≦20 1≦n≦20 1≦o≦20 l+m+n+o=100 A:アルカリ金属のうち少なくとも一種 R:アルカリ土類金属のうち少なくとも一種 を満足することを特徴とする請求項1記載の高周波用誘
    電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】前記粒界相形成成分のRがBaであること
    を特徴とする請求項2記載の高周波用誘電体磁器組成
    物。
  4. 【請求項4】誘電体層を複数積層して成る基体の内部及
    び表面に、Ag及び/またはCuを主成分とする導体を
    有する積層部品であって、前記誘電体層が請求項1に記
    載の高周波用誘電体磁器組成物からなることを特徴とす
    る積層部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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