JP2000281387A - 高遮熱・低放射ガラスと該高遮熱・低放射ガラスを使用したガラス物品 - Google Patents

高遮熱・低放射ガラスと該高遮熱・低放射ガラスを使用したガラス物品

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JP2000281387A
JP2000281387A JP11088476A JP8847699A JP2000281387A JP 2000281387 A JP2000281387 A JP 2000281387A JP 11088476 A JP11088476 A JP 11088476A JP 8847699 A JP8847699 A JP 8847699A JP 2000281387 A JP2000281387 A JP 2000281387A
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glass
thin film
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Hodaka Norimatsu
穂高 乗松
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3429Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating
    • C03C17/3435Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating comprising a nitride, oxynitride, boronitride or carbonitride

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮熱性、断熱性、及び耐久性に優れ、しかも
所望の透過色調及び反射色調を呈することができるよう
にした。 【解決手段】 ガラス基板1の表面にはSnO2膜中に
導電性寄与元素としてのフッ素(F)がドープされた第
1のSnO2:F膜2aが形成され、該第1のSnO2
F2aの表面にはTiN膜3が形成され、該TiN膜3
の表面には第2のSnO2:F膜2bが形成されてい
る。また、TiN膜3の膜厚は5nm〜25nmに設定
され、第1及び第2のSnO2:F膜2a、2bの膜厚
は総計で200nm〜800nmに設定され、さらに第
1及び第2のSnO2:F膜2a、2b中のフッ素含有
率は、0.01wt%〜0.5wt%に設定されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高遮熱・低放射ガラ
スと該高遮熱・低放射ガラスを使用したガラス物品に関
し、特に建築物や車輛の窓ガラスに使用される高遮熱・
低放射ガラス、及び該高遮熱・低放射ガラスを使用した
複層ガラスや合わせガラス等のガラス物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガラス基板の表面に酸化スズ
膜を形成し、該酸化スズ膜の表面に窒化チタン等の窒化
物を積層し、さらに該窒化物の表面に酸化スズ膜を積層
することにより、透過色調が無彩色系(ニュートラル
系)でガラス面の反射色調が高彩度の緑色系(グリーン
系)を呈する電波透過性の遮熱ガラスが提案されている
(特開平9−100139号公報;以下「第1の従来技
術」という)。
【0003】該第1の従来技術は、日射透過率が65%
以下と低く、遮熱性能に優れているため、特に夏季にお
いては冷房負荷の軽減や太陽光線による熱暑感の低減を
図ることができると考えられる。
【0004】また、その他の従来技術としては、ガラス
基板に微量の着色成分を添加した熱線吸収ガラスを使用
し、該熱線吸収ガラスの表面にAg層を含む多層膜を形
成した熱遮断ガラスも提案されている(特開平7−10
609号公報;以下「第2の従来技術」という)。
【0005】該第2の従来技術では、遮熱性能の優れた
緑色系熱線吸収ガラスの表面に赤外反射率の高いAg膜
を含む多層膜を積層することにより、熱エネルギの高い
遠赤外線を効果的に反射させ、これにより垂直放射率を
0.2以下として断熱性能を高めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の従来技術では、日射透過率が65%以下とされてい
るため或る程度の遮熱性能を確保することはできるもの
の、断熱性能に劣り、したがって冬季には暖房器具を過
度に稼動させる必要性が生じ、年間を通じての快適な居
住性、経済性、或いは環境性を確保することができない
という問題点があった。また、該第1の従来技術は、上
述の如く遮熱性能を或る程度確保することができるもの
の、昨今の省エネルギ化の要請を考慮すると、遮熱性能
をより一層向上させて更なる冷房負荷の軽減を図る必要
があると考えられる。
【0007】また、上記第2の従来技術では、Ag膜の
有する赤外反射性によって優れた遮熱性能及び断熱性能
を得ることができるものの、斯かるAg膜は耐久性に劣
るという問題点があった。すなわち、Ag膜を含む多層
膜の形成は、生産技術的な観点からスパッタリング法で
行われるのが一般的であるが、該スパッタリング法で形
成された薄膜は、複層ガラス用や合わせガラス用に加工
したときに接合部位で薄膜の剥離が生じ易く耐久性に欠
け、また斯かる剥離を防止するための対策を施した場合
は費用が嵩み、生産コストの高騰化を招くという問題点
があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、遮熱性、断熱性、及び耐久性に優れ、し
かも所望の透過色調及び反射色調を呈することができる
高品質な高遮熱・低放射ガラスと該高遮熱・低放射ガラ
スを使用したガラス物品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】建築物や車輛に使用され
る窓ガラスは、夏季では冷房負荷を軽減すべく遮熱性の
優れていることが要求され、また、冬季では暖房負荷を
軽減すべく断熱性の優れていることが要求される。しか
も、昨今の省エネルギ化の観点からより一層の高遮熱化
・高断熱化が要請される状況にある。
【0010】そこで、本発明者は、遮熱性能及び断熱性
能に優れた高遮熱・低放射ガラスを得るべく鋭意研究を
した結果、窒化チタンを主成分とする窒化チタン系薄膜
(以下、「TiN膜」という)と導電性寄与元素を含有
した酸化スズを主成分とする高導電性酸化スズ系薄膜
(以下、「高導電性SnO2膜」という)とを組み合わ
せた積層膜をガラス基板上に形成することにより、日射
透過率を60%以下の高い遮熱性と、垂直放射率を0.
2以下の高い断熱性を有するガラス板を得ることができ
るという知見を得た。
【0011】しかも、TiN膜及び高導電性SnO2
は、ガラス基板上でガス状化合物を化学反応させること
により薄膜を堆積させる化学気相成長(chemical vapor
deposition;以下「CVD」という)法を使用して容
易に形成することができることができ、斯かるCVD法
で形成された積層膜は、膜の耐剥離性に優れ、したがっ
て極めて優れた耐久性を有するという知見をも得た。
【0012】本発明は斯かる知見に基づきなされたもの
であって、本発明に係る高遮熱・低放射ガラスは、複数
種の薄膜からなる積層膜がガラス基板上での熱分解反応
によって前記ガラス基板上に形成されると共に、前記積
層膜が、少なくともTiNを主成分とする1層以上のT
iN膜と、導電性寄与元素が含有されたSnO2を主成
分とする1層以上の高導電性SnO2膜とを含み、日射
透過率が60%以下であって且つ垂直放射率が0.2以
下に設定されていることを特徴としている。
【0013】これにより、遮熱性及び断熱性に優れ、か
つ薄膜の耐久性にも優れた高遮熱・低放射ガラスを得る
ことができる。
【0014】また、本発明者は、更に鋭意研究を進めた
ところ、日射透過率を60%以下、垂直放射率を0.2
以下とするためには前記TiN膜及び前記高導電性Sn
2膜の膜厚を所定範囲に設定する必要があることが判
明した。
【0015】すなわち、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記TiN膜の膜厚が、総計で5nm〜25nm、
好ましくは5nm〜20nmに設定され、前記高導電性
SnO2膜の膜厚は、総計で200nm〜800nm、
好ましくは250nm〜550nmに設定されているこ
とを特徴としている。
【0016】また、前記導電性寄与元素としてはフッ素
(F)を使用するのが好ましく、フッ素含有率が所定範
囲となるようにSnO2中にフッ素を含有(ドープ)さ
せることにより、窓ガラス板としての透明性を損なうこ
となく所望の遮熱性及び断熱性を有する高遮熱・低放射
ガラスを得ることができることが判明した。
【0017】そこで、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記導電性寄与元素には、少なくともフッ素が含有
されていることを特徴とし、さらに、前記フッ素の含有
率は、0.01wt%〜0.5wt%、好ましくは0.
04wt%〜0.06wt%であることを特徴としてい
る。
【0018】また、フッ素に代えて、或いはフッ素に加
えて、塩素やアンチモン等の他の導電性寄与元素を前記
SnO2膜中に含有させることによっても高導電性Sn
2膜を得ることができる。
【0019】すなわち、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記導電性寄与元素は、フッ素、塩素、及びアンチ
モンの中から選択された少なくとも1種以上の元素が含
有されていることを特徴とするのも好ましい。
【0020】さらに、本発明者は、積層膜の積層順序と
その膜厚について実験を繰り返した結果、膜構成がガラ
ス基板/高導電性SnO2膜/TiN膜/高導電性Sn
2膜、又はガラス基板/高導電性SnO2膜/SiO2
膜/TiN膜/高導電性SnO 2膜、或いはガラス基板
/TiN膜/SiO2膜/高導電性SnO2膜とし、これ
ら薄膜の膜厚を所定範囲に設定することにより、色ムラ
が生じることなく反射色調や透過色調を所望の色調に制
御することができるという知見を得た。
【0021】すなわち、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記ガラス基板の表面に第1の高導電性SnO2
が形成され、該第1の高導電性SnO2膜の表面にTi
N膜形成され、さらに該窒化TiN膜の表面に第2の高
導電性SnO2膜が形成され、前記第1の高導電性Sn
2膜の膜厚が30nm〜500nmに設定され、前記
TiN膜の膜厚が5nm〜20nmに設定され、さらに
前記第2の高導電性SnO2膜の膜厚が20nm〜50
0nmに設定されていることを特徴としている。
【0022】また、本発明の高遮熱・低放射ガラスは、
前記ガラス基板の表面に第1の高導電性SnO2膜が形
成されると共に、該第1の高導電性SnO2膜の表面に
酸化ケイ素を主成分とするSiO2膜が形成され、該S
iO2膜の表面に前記TiN膜が形成され、さらに該T
iN膜の表面に第2の高導電性SnO2膜が形成され、
前記第1の高導電性SnO2膜の膜厚が20nm〜20
0nmに設定され、前記SiO2膜の膜厚が6nm〜5
0nmに設定され、さらに前記TiN膜の膜厚が5nm
〜20nmに設定され、かつ前記第2の高導電性SnO
2膜の膜厚が150nm〜450nmに設定されている
ことを特徴としている。
【0023】さらに、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記ガラス基板の表面に前記TiN膜が形成され、
該TiN膜の表面に酸化ケイ素を主成分とするSiO2
膜が形成され、さらに該SiO2膜の表面に高導電性S
nO2膜が形成され、前記TiN膜の膜厚が5nm〜2
0nmに設定され、前記SiO2膜の膜厚が5nm〜5
0nmに設定され、さらに前記高導電性SnO2膜の膜
厚が220nm〜450nmに設定されていることを特
徴としている。
【0024】このような膜構成を有し、各薄膜の膜厚を
制御することにより、透明性を損なうことなく、遮熱性
・断熱性に優れ、しかも色ムラが生じることのない高遮
熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0025】また、本発明の高遮熱・低放射ガラスは、
透過色調及び反射色調のうちの少なくとも1つは、L*
**表色系における知覚色度指数a* 、b*が−5≦
* 、b*≦5に設定されていることを特徴とし、また
透過色調及び反射色調のうちの少なくとも1つは、L*
**表色系における知覚色度指数a* 、b*が、夫々
−30≦a*≦−5、−5≦b*≦5に設定されているこ
とを特徴としている。
【0026】すなわち、窓ガラスの色調は、国際照明委
員会(CIE)が規定するL** *表色系のクロマテ
ィクネス指数(知覚色度指数)a* 、b*で定量的に表
現することができ、JIS Z8729にも算出方法が
規定されている。そして、斯かるクロマティクネス指数
* 、b*を上述の所定範囲に設定することにより、前
者の場合は透過色調及び反射色調のうちの少なくとも1
つは無彩色系の色調に調整することが可能となり、後者
の場合は透過色調及び反射色調のうちの少なくとも1つ
は緑色系の色調に調整することが可能となり、近年の市
場のニーズに対応した高品質で高級感を有する高遮熱・
低放射ガラスを得ることができる。
【0027】また、上記積層膜は、上述の如くCVD法
により容易に形成されるが、高品質の遮熱ガラスを効率
良く大量生産するためには、所謂フロート法でガラス基
板となるリボン状ガラスを作製し、該リボン状ガラスの
表面に成膜原料を供給すると共に、前記リボン状ガラス
の有する熱エネルギを利用し前記リボン状ガラス上での
熱分解によりを形成するのが好ましい(オンラインCV
D法)。
【0028】そこで、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、前記ガラス基板は、溶融スズ上にガラス原料を流し
込んで形成された所定高温状態のリボン状ガラスから製
造され、前記積層膜は、前記リボン状ガラスの表面に固
相を堆積して形成されたことを特徴としている。
【0029】上記オンラインCVD法で製造された高遮
熱・低放射ガラスは、軟化点以上の温度を有するガラス
表面で成膜することが可能となるため、膜性能等を向上
させることができ、また生産性の観点からも遮熱ガラス
を極めて効率良く大量生産することができる。
【0030】また、従来より複数のガラス基板間に空気
層や不活性ガス層或いは減圧層等の中空層を介在させた
ガラス物品としての複層ガラスは、断熱性能に極めて優
れた作用・効果を発揮することが知られているが、上述
した本発明の高遮熱・低放射ガラスを複層ガラスに組み
入れた場合は更なる断熱性能の向上を図ることができ
る。
【0031】そこで、本発明に係るガラス物品は、上記
高遮熱・低放射ガラスを少なくとも1枚含む複数のガラ
スが互いに対向配置されると共に、これら複数のガラス
間には中空層が形成されていることを特徴としている。
【0032】また、窓ガラスに要求される熱特性は、気
候的な地域的特性によって異なる。例えば、冬季の寒さ
の厳しい地域では遮熱性能よりも断熱性能が重視され、
一方、冬季でも比較的温暖な地域では断熱性能よりも遮
熱性能が重視される傾向にある。そして、上記ガラス物
品においては、これら遮熱性能及び断熱性能は夫々日射
熱取得率及び熱貫流率で定量的に表現することができる
ことが知られている。
【0033】一方、本発明の高遮熱・低放射ガラスは、
上述したように優れた遮熱性・断熱性を有するが、膜構
成及び膜厚の範囲内で異なる特性を有する。
【0034】したがって、上記各種高遮熱・低放射ガラ
スの中から所定の高遮熱・低放射ガラスを選択的に使用
することにより、日射熱取得率を0.66以下で且つ熱
貫流率を2.0W/m2・K以下とし、これにより遮熱
性能よりも断熱性能が重視される気候的特性を有する地
域に好適なガラス物品を提供することができ、また日射
熱取得率を0.49以下で且つ熱貫流率を3.0W/m
2・K以下とし、これにより断熱性能よりも遮熱性能が
重視される気候的特性を有する地域に好適なガラス物品
を提供することができる。
【0035】そこで、本発明の上記ガラス物品は、日射
熱取得率が0.66以下であって且つ熱貫流率が2.0
W/m2・K以下であることを特徴とし、又は日射熱取
得率が0.49以下であって且つ熱貫流率が3.0W/
2・K以下であることを特徴としている。
【0036】さらに、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、所謂合わせガラスの構成部材として組み入れるのも
好ましく、したがって、本発明のガラス物品は、上記高
遮熱・低放射ガラスを少なくとも1枚含む複数のガラス
が互いに対向配置されると共に、これら複数のガラスが
中間層を介して接合されていることをも特徴としてい
る。
【0037】そして、優れた断熱性能と遮熱性能の選択
性から、これらガラス物品を建築物や車輛の窓ガラスに
使用することにより、より快適な居住環境を実現するこ
とができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳説する。
【0039】図1は本発明に係る高遮熱・低放射ガラス
の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示した
断面図である。
【0040】同図において、1は、ソーダ石灰ガラスや
該ソーダ石灰ガラスに微量の着色成分を添加した熱線吸
収ガラス、網入ガラス等の板状に形成されたガラス基板
であって、該ガラス基板1の表面にはSnO2膜中に導
電性寄与元素としてのフッ素(F)がドープされたフッ
素含有SnO2膜(以下、「SnO2:F膜」という)
(第1のSnO2:F膜)2aが形成され、該第1のS
nO2:F2aの表面にはTiN膜3が形成され、さら
に該TiN膜3の表面にはSnO2:F膜(第2のSn
2:F膜)2bが形成されている。そして、これら第
1のSnO2:F2a、TiN膜3、及び第2のSn
2:F2a、2bとで積層膜4を形成している。
【0041】前記積層膜4の膜厚は、本実施の形態で
は、TiN膜3の膜厚が5nm〜25nmに設定され、
第1及び第2のSnO2:F膜2a、2bの膜厚は総計
で200nm〜800nmに設定され、また、フッ素の
第1及び第2のSnO2:F膜2a、2b中の含有率
は、0.01wt%〜0.5wt%に設定されている。
以下、その理由について述べる。
【0042】(a)TiN膜3の膜厚 ガラス基板1上に形成されたTiN膜3は、近赤外波長
域(800nm〜2100nm)の太陽光線を選択的に
反射・吸収する作用を有しており、前記近赤外波長域の
太陽光線を選択的に反射・吸収することにより遮熱性能
を向上させることができるが、TiN膜3の膜厚が5n
m未満の場合は充分な遮熱性能を得ることができない。
一方、TiN膜3の膜厚が25nmを超えるとガラスに
対する可視光線の透過率が低下して室内が暗くなり、居
住者に不快感を与え、快適な居住性を得ることができな
くなる。そこで、本実施の形態では、TiN膜3の膜厚
を5nm〜25nm、好ましくは5nm〜20nmに設
定した。
【0043】(b)第1及び第2のSnO2:F膜2
a、2bの膜厚 酸化スズにフッ素を含有したSnO2:Fは導電性が高
く、ガラス基板1上に形成される第1及び第2のSnO
2:F膜2a、2bは、赤外波長域(5.5μm〜50
μm)の太陽光線を効果的に反射する作用を有し、した
がって前記赤外波長域の太陽光線を反射して断熱性能を
向上させることができるが、第1及び第2のSnO2
F膜2a、2bの膜厚が総計で200nm未満の場合は
充分な断熱性能を得ることができない。一方、第1及び
第2のSnO2:F膜2a、2bの膜厚が総計で800
nmを超えると製造コストが高価となり、実用性に欠け
ることとなる。そこで、本実施の形態では、第1及び第
2のSnO2:F膜2a、2bの膜厚の総計を200m
〜800nm、好ましくは250nm〜550nmに設
定した。
【0044】(c)フッ素の含有率 フッ素は酸化スズ膜中に含有されることにより、補助的
に酸化スズの導電性を向上させる機能を有した導電性寄
与元素であり、酸化スズ中にフッ素を含有させることに
より、断熱性能を向上させることができるが、フッ素含
有率が重量%で0.01%未満の場合は充分な断熱性能
を得ることができず、一方、フッ素含有率が重量%で
0.5%を超えるとガラスに対する可視光線の透過率が
低下して室内が暗くなり、居住者に不快感を与え、快適
な居住性を得ることができなくなる。そこで、本実施の
形態では、第1及び第2のSnO2:F膜2a、2b中
のフッ素含有率を0.01wt%〜0.5wt%、好ま
しくは0.04wt%〜0.06wt%に設定した。
【0045】さらに、本実施に形態では、遮熱性能及び
断熱性能を確保しつつ、透過色調や反射色調に色ムラが
生じるのを回避するためには、第1のSnO2:F膜2
の膜厚を30nm〜500nm、TiN膜3の膜厚を5
nm〜20nm、第2のSnO2:F膜2bの膜厚を2
0nm〜500nmに設定するのが好ましい。
【0046】具体的には、TiN膜3、第1及び第2の
SnO2:F膜2a、2bの屈折率等を考慮し、各膜厚
を以下のように設定することにより、透過色調又は反射
色調を無彩色系又は緑色系の色調に色調整することがで
きる。
【0047】すなわち、透過色調を無彩色系の色調にす
る場合は、第1のSnO2:F膜2の膜厚を30nm〜
480nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、第
2のSnO2:F膜2bの膜厚を140nm〜200n
mに設定するのが好ましい。
【0048】また、薄膜が形成されていない非薄膜面の
反射色調を無彩色系の色調にする場合は、第1のSnO
2:F膜2aの膜厚を70nm〜100nm、TiN膜
3の膜厚を5nm〜20nm、第2のSnO2:F膜2
bの膜厚を400nm〜480nmに設定するのが好ま
しい。
【0049】さらに、前記非薄膜面の反射色調を緑色系
の色調にする場合は、第1のSnO 2:F膜2aの膜厚
を70〜110nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20
nm、第2のSnO2:F膜2bの膜厚を300nm〜
360nmに設定するのが好ましい。
【0050】また、薄膜が形成されている薄膜面の反射
色調を無彩色系の色調にする場合は、第1のSnO2
F膜2aの膜厚を100nm〜500nm、TiN膜3
の膜厚を5nm〜20nm、第2のSnO2:F膜2b
の膜厚を20nm〜80nmに設定するのが好ましい。
【0051】さらに、前記薄膜面の反射色調を緑色系の
色調にする場合は、第1のSnO2:F膜2aの膜厚を
100〜500nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20
nm、第2のSnO2:F膜2bの膜厚を20nm〜1
50nmに設定するのが好ましい。
【0052】次に、前記積層膜4の形成に使用する原料
について説明する。
【0053】TiN膜3を成膜するためのチタン原料と
しては、導電性を上げる観点からは四塩化チタン、テト
ラキスジメチルアミドチタン、テトラキスジエチルアミ
ドチタン等のチタン化合物が好ましい。
【0054】第1及び第2のSnO2:F膜2a、2b
を成膜するためのスズ原料としては、導電性を上げる観
点からはモノブチルスズトリクロライド、四塩化スズ、
ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライ
ド、ジオクチルスズジクロライド等の塩素を含有したス
ズ化合物が好ましいが、テトラメチルスズ、テトラブチ
ルスズ、ジブチルスズジアセテート等を使用することも
でき、また酸化原料としては、酸素、水蒸気、乾燥空気
等を使用することができる。
【0055】また、第1及び第2のSnO2:F膜2
a、2b中に添加されるフッ素化合物としては、フッ化
水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、
クロルジフルオロメタン、ジフルオロエタン等を使用す
ることができる。
【0056】図2は本発明に係る高遮熱・低放射ガラス
の第2の実施の形態を示す断面図であって、該第2の実
施の形態では、第1のSnO2:F膜2aとTiN膜3
との間にSiO2膜5が介装され、第1のSnO2:F膜
2a、SiO2膜5、TiN膜3、及び第2のSnO2
F膜2bで積層膜6を構成している。
【0057】また、本第2の実施の形態でも、上記第1
の実施の形態と同様の理由から、TiN膜3の膜厚は5
nm〜25nmに設定され、第1及び第2のSnO2
F膜2a、2bの膜厚は総計で200nm〜800nm
に設定され、またフッ素の第1及び第2のSnO2:F
膜2a、2b中の含有率は、0.01wt%〜0.5w
t%(好ましくは0.04wt%〜0.06wt%)に
設定され、これにより遮熱性、及び断熱性に優れた高遮
熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0058】さらに、本第2の実施に形態では、遮熱性
能及び断熱性能を確保しつつ、透過色調や反射色調に色
ムラが生じるのを回避するためには、第1のSnO2
F膜2aの膜厚を20nm〜200nm、SiO2膜5
の膜厚を6nm〜50nm、TiN膜3の膜厚を5nm
〜20nm、第2のSnO2:F膜2bの膜厚を150
nm〜450nmに設定するのが好ましい。
【0059】具体的には、透過色調を無彩色系の色調に
する場合は、第1のSnO2:F膜2aの膜厚を20n
m〜70nm、SiO2膜5の膜厚を10nm〜50n
m、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、第2のSn
2:F膜2bの膜厚を220nm〜450nmに設定
するのが好ましい。
【0060】また、前記非薄膜面の反射色調を無彩色系
の色調にする場合は、第1のSnO 2:F膜2aの膜厚
を20nm〜70nm、SiO2膜5の膜厚を6nm〜
25nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、第2
のSnO2:F膜2bの膜厚を330nm〜400nm
に設定するのが好ましい。
【0061】さらに、前記非薄膜面の反射色調を緑色系
の色調にする場合は、第1のSnO 2:F膜2aの膜厚
を30nm〜70nm、SiO2膜5の膜厚を10nm
〜40nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、第
2のSnO2:F膜2bの膜厚を300nm〜360n
mに設定するのが好ましい。
【0062】また、前記薄膜面の反射色調を無彩色系の
色調にする場合は、第1のSnO2:F膜2aの膜厚を
100nm〜200nm、SiO2膜5の膜厚を10n
m〜60nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、
第2のSnO2:F膜2bの膜厚を150nm〜180
nmに設定するのが好ましい。
【0063】さらに、前記薄膜面の反射色調を緑色系の
色調にする場合は、第1のSnO2:F膜2aの膜厚を
80〜120nm、SiO2膜5の膜厚を10nm〜5
0nm、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、第2の
SnO2:F膜2bの膜厚を150nm〜200nmに
設定するのが好ましい。
【0064】第1及び第2のSnO2:F膜2a、2
b、及びTiN膜3の成膜原料としては、第1の実施の
形態と同様の原料を使用することができる。
【0065】また、SiO2膜6を成膜するときのケイ
素原料としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、
モノクロロシラン、1,2−ジメチルシラン、1,1,2−トリ
メチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン等の
シラン系化合物や、テトラメチルオルソシリケート、テ
トラエチルオルソシリケート等を使用することができ、
また酸化原料としては酸素、水蒸気、乾燥空気、二酸化
炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、オゾン等を使用するこ
とができる。
【0066】尚、上記ケイ素原料としてシラン系化合物
を使用する場合は、該シラン系化合物がガラス基板1の
表面に到達するまで該シラン系化合物の反応を抑止し、
かつSiO2膜5の屈折率を制御するために、エチレ
ン、アセチレン或いはトルエン等の不飽和炭化水素を適
宜添加するのも好ましい。
【0067】また、上記ケイ素原料としてテトラメチル
オルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート等を
使用する場合は、アルミニウムイソプロポキシド等を添
加して成膜速度を促進させるのも好ましい。
【0068】図3は本発明に係る高遮熱・低放射ガラス
の第3の実施の形態を示す断面図であって、該第3の実
施の形態では、第1及び第2の実施の形態と同様に形成
されたガラス基板1の表面にTiN膜3が形成されると
共に、該TiN膜3の表面にはSiO2膜5が形成さ
れ、さらに該SiO2膜5の表面にはSnO2:F膜2が
形成されている。そして、ガラス基板1の表面に積層さ
れたこれらTiN膜3、SiO2膜5、SnO2:F膜2
とで積層膜7を構成している。
【0069】また、本第3の実施の形態でも、上記第1
の実施の形態と同様の理由から、TiN膜3の膜厚は5
nm〜25nmに設定され、第1及び第2のSnO2
F膜2a、2bの膜厚は総計で200nm〜800nm
に設定され、またフッ素の第1及び第2のSnO2:F
膜2a、2b中の含有率は、0.01wt%〜0.5w
t%(好ましくは0.04wt%〜0.06wt%)に
設定され、これにより遮熱性、及び断熱性に高遮熱・低
放射ガラスを得ることができる。
【0070】さらに、本第3の実施に形態では、遮熱性
能及び断熱性能を確保しつつ、透過色調や反射色調に色
ムラが生じるのを回避するためには、TiN膜3の膜厚
を5nm〜20nm、SiO2膜5の膜厚を5nm〜5
0nm、SnO2:F膜2の膜厚を220nm〜450
nmに設定するのが好ましい。
【0071】具体的には、透過色調を無彩色系の色調に
する場合は、TiN膜3の膜厚を5nm〜20nm、S
iO2膜5の膜厚を10nm〜50nm、SnO2:F膜
2の膜厚を200nm〜300nmに設定するのが好ま
しい。
【0072】また、前記薄膜面の反射色調を無彩色系の
色調にする場合は、TiN膜3の膜厚を5nm〜10n
m、SiO2膜5の膜厚を5nm〜50nm、SnO2
F膜2の膜厚を380nm〜450nmに設定するのが
好ましい。
【0073】尚、本第3の実施の形態においても、Sn
2:F膜2、SiO2膜5及びTiN膜3の成膜原料は
第1及び第2の実施の形態と同様の原料を使用すること
ができる。
【0074】以上、上記第1〜第3の実施の形態で本発
明の高遮熱・低放射ガラスを詳述したが、本発明の高遮
熱・低放射ガラスは上記実施の形態に限定されるもので
はない。上記実施の形態では、TiN膜3は1層のみの
場合について説明したが、膜厚の総計を5nm〜25n
mの範囲内に設定することを条件としてTiN膜3を2
層以上に形成してもよい。
【0075】また、導電性を上げる方法としては、Sn
2:F膜2に代えて、或いはSnO2:F膜2に加えて
酸化スズにアンチモンを含有させたアンチモン含有・酸
化スズ系薄膜(SnSbOx)を積層膜中に含ませても
よい。この場合、SnSbOx膜の成膜に使用されるア
ンチモン化合物としては、三塩化アンチモンや五塩化ア
ンチモンを使用することができる。
【0076】尚、スズ原料としてテトラメチルスズ等の
塩素を含有していないスズ化合物を使用した場合であっ
ても、スズ化合物とHCl等の塩素を含む化合物とを接
触させて熱分解酸化法によりSnO2膜中に塩素を含有
させることができる。
【0077】また、色調や光学特性、薄膜の耐久性の向
上を図るために、マンガン、バナジウム、ビスマス、コ
バルト、鉄、クロム、ニッケル、銅、ジルコニウム、亜
鉛、アルミニウム、インジウム等の金属やその金属塩を
TiN膜やSnO2:F膜等の薄膜中に添加するのも好
ましく、また、臭素等のフッ素や塩素以外のハロゲン元
素を前記薄膜中に添加してもよい。
【0078】次に、上記高遮熱・低放射ガラスの製造方
法について説明する。
【0079】上記積層膜をガラス基板上に形成する方法
としては、通常の熱分解CVD法により膜の耐久性に優
れた高遮熱・低放射ガラスを得ることができるが、膜性
能や生産性をより一層向上させるためには所謂フロート
法によりガラス基板となるリボン状ガラス(ガラスリボ
ン)を作製し、次いで該ガラスリボンの有する熱エネル
ギを利用した熱分解CVDを行い、これによりガラスリ
ボン上に膜形成を行うオンラインCVD法により、製造
するのが最も好ましい。
【0080】図4はオンラインCVD装置を模式的に示
した概略構成図であって、該オンラインCVD装置は、
所定の高温雰囲気下、ガラス原料が投入されて該ガラス
原料を溶融する溶融窯11と、該溶融窯11からの溶融
ガラスが流れ込むバス(浴)12と、該バス12から引
き出されたガラスリボン15を徐冷する徐冷窯13とを
備え、また、前記バス12には、所定量の溶融スズ14
が内有されると共に、該バス12の前方には複数の成膜
原料供給部16(第1〜第4の成膜原料供給部16a〜
16d)がガラスリボン15の幅方向を覆うように列設
されている。尚、該成膜原料供給部16の個数は、ガラ
スリボンに対する積層数や形成される膜厚の厚さに応じ
て適宜増減される。
【0081】このように構成されたオンラインCVD装
置においては、所定のガラス原料粉末が1500〜16
00℃に加熱された溶融窯11に投入されると該ガラス
原料粉末は溶融窯11の内部で溶融して溶融ガラスとな
り、該溶融ガラスはバス12に流れ込む。そして、バス
12には上述したように溶融スズ14が内有されている
が、溶融ガラスは溶融スズ14に比べて比重が軽いため
溶融スズ14上を浮いた状態で矢印A方向へと移動して
いく。すなわち、溶融ガラスは溶融スズ14上を浮く結
果、リボン状に成形されてガラスリボン15となる。そ
して、該ガラスリボン15は高温状態(例えば、600
〜750℃)を保持して成膜原料供給部16の下方に移
動する。
【0082】そしてこの後、所定の成膜原料が成膜原料
供給部16からガラスリボン15の表面に供給され、ガ
ラスリボン15の有する熱エネルギを介して成膜原料が
該ガラスリボン15上で熱分解し、所望の金属酸化物系
薄膜がガラスリボン15上に堆積される。例えば、上記
図1に示すような積層膜4を作製する場合は、第1の成
膜原料供給部16aからは、スズ化合物、酸素、水蒸
気、窒素及びフッ素化合物からなる混合ガスがガラスリ
ボン15の表面に供給されて第1層としての第1のSn
2:F膜2aが形成され、第2の成膜原料供給部16
bからは、チタン化合物の蒸気、アンモニアガス、及び
窒素からなる混合ガスが前記ガラスリボン15上に供給
されて第2層としてのTiN膜3が形成される。さらに
第3の成膜原料供給部16cからは、第1の成膜原料供
給部16aと同様、スズ化合物、酸素、水蒸気、窒素及
びフッ素化合物からなる混合ガスが前記ガラスリボン1
5上に供給されて第3層としての第2のSnO2:F膜
2bが形成される。尚、膜厚の厚い薄膜を積層する場合
は、同一の成膜原料が複数段(例えば、第3及び第4の
成膜原料供給部16c、16d)に分割されて前記ガラ
スリボン15上に供給される。
【0083】このようにして成膜されたガラスリボン1
5は複数のロール17を介して徐冷窯13に引き上げら
れ、矢印B方向に搬送されて該徐冷窯13から順次排出
される。
【0084】このように上記オンラインCVD法におい
ては、ガラスリボン15の有する熱エネルギを利用した
熱分解により膜形成を行っているので、軟化点以上の温
度を有するガラス表面で成膜することが可能となり、膜
の性能、成膜反応速度、及び成膜反応効率も向上し、ま
た生産性の観点からも高遮熱・低放射ガラスを極めて効
率良く大量生産することができる。
【0085】尚、本発明の高遮熱・低放射ガラスは、こ
のようにオンラインCVD法で製造するのが最適である
が、通常の熱分解CVD法によってもスパッタリング法
等の物理気相成長(physical vapor deposition ;PV
D)法に比べると薄膜の耐久性に優れた高遮熱・低放射
ガラスを得ることができる。
【0086】この場合は、ガラス基板1を所定形状に切
断した後、該ガラス基板1を所定の高温に加熱し、該加
熱したガラス基板1上に成膜用の蒸気を噴霧することに
より行うことができる。例えば、ガラス基板1をメッシ
ュベルト上を搬送させて加熱炉に案内し、該ガラス基板
1が加熱炉を通過する間に成膜原料をガラス基板1に噴
霧させ、ガラス基板1の表面で反応させることにより、
ガラス基板1には所望の積層膜4、6、7が形成され
る。
【0087】図5は本発明の高遮熱・低放射ガラスを使
用したガラス物品としての複層ガラスの一実施の形態を
示す要部断面図であって、該複層ガラスは、積層膜4
(6、7)が形成された上記高遮熱・低放射ガラス18
とソーダ石灰ガラス等からなるガラス板19とが、前記
積層膜4(6、7)がガラス板19と対向するように配
置されると共に、その両端近傍には乾燥剤を含有したス
ペーサ部材20が介装され、さらにブチルゴム等の封着
材21により両端が熱融着されて封止されている。そし
てこれにより、中空層22が、高遮熱・低放射ガラス1
8、ガラス板19、スペーサ部材20及び封着材21に
より囲繞されて画成されている。
【0088】尚、中空層22には空気又はアルゴンガス
等の不活性ガスを封入することができ、所望の断熱性能
を確保する観点からは、高遮熱・低放射ガラス18とガ
ラス板19との間隔tを5mm〜12mmに設定するの
が好ましい。
【0089】この種の複層ガラスは、従来より、ガラス
板単板に比べてより一層の断熱性能を向上させることが
できるとされているが、本発明の高遮熱・低放射ガラス
は、遮熱性能及び断熱性能に極めて優れた効果を発揮す
るため、該高遮熱・低放射ガラス18を使用することに
より、断熱性能のより一層の向上を図ることができ、年
間を通じて快適な居住環境を実現することが可能な複層
ガラスを得ることができる。
【0090】図6は複層ガラスの他の実施の形態を示す
要部断面図であって、該複層ガラスは、中空層22は間
隔tが0.2mm〜1mmに設定されると共に1×10
-2Torr〜1×10-4Torrに減圧され、さらに両
端が低融点ガラス23で封止され、また前記中空層22
の適所には高遮熱・低放射ガラス18とガラス板19と
の間隔を調整するためのスペーサ部材24が配設されて
いる。
【0091】このように中空層22を減圧層で構成する
ことにより、複層ガラスの断熱性能をより一層向上させ
ることができる。
【0092】図7はガラス物品としての合わせガラスの
一実施の形態を示す要部断面図であって、積層膜4
(6、7)が積層された上記高遮熱・低放射ガラス18
とソーダ石灰ガラス等からなるガラス板19とが、前記
高遮熱・低放射ガラス18の非薄膜面がガラス板19と
対向するように配置されると共に、該高遮熱・低放射ガ
ラス18と前記ガラス板19とはポリブチルビニラール
等の樹脂フィルムからなる中間層25を介して接合され
ている。
【0093】このような合わせガラスにおいては、ガラ
ス板の総板厚が増加するので、遮熱性能や膜耐久性を損
なうことなく断熱性能を向上させることができる。
【0094】このように本発明は、用途に応じたガラス
物品を提供することができ、あらゆる地域、季節に対応
して快適な居住環境を実現することが可能となる。
【0095】
【実施例】次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0096】〔第1の実施例〕本発明者は、オンライン
CVD法により、膜構成がガラス板1/SnO2膜2a
/TiN膜3/SnO2膜2b(図1参照)であって、
各膜厚の異なる試験片(実施例1〜実施例5)を作製し
た。
【0097】すなわち、まず、けい砂、ソーダ灰等のガ
ラス原料粉末を1500〜1600℃に加熱された溶融
窯11に投入して該ガラス原料粉末を溶融窯11の内部
で溶融させ、次いで溶融した溶融ガラスをバス12に流
れ込ませた。そして、バス12では溶融スズ14により
溶融ガラスがリボン状に成形されてガラスリボン15と
なり、600〜750℃の高温状態を保持して成膜原料
供給部16の下方に移動した。
【0098】そして、スズ原料として塩素を含有したモ
ノブチルスズトリクロライド、フッ素化合物としてフッ
化水素、チタン化合物として四塩化チタンを夫々使用
し、熱分解CVD法により膜形成を行った。
【0099】すなわち、モノブチルスズトリクロライド
の蒸気が3mol%、酸素が40mol%、水蒸気が29.5
mol%、及びフッ化水素が2.5mol%となるように予め
原料を調合し、第2の成膜原料供給部16bから斯かる
調合された混合ガスをガラスリボン15上に供給し、第
1のSnO2:F膜2aを形成した(第1層)。次に、
四塩化チタンの蒸気が4mol%、アンモニアガスが9mol
%、及び窒素が87mol%となるように予め原料を調合
し、第2の成膜原料供給部16bから斯かる調合された
混合ガスをガラスリボン15上に供給してTiN膜3を
第1のSnO2:F膜2aに積層した(第2層)。次い
で、第1層形成時と同様の組成比に調合されたモノブチ
ルスズトリクロライドの蒸気、酸素、水蒸気及びフッ化
水素からなる混合ガスを第3の成膜原料供給部16cか
らガラスリボン15上に供給してSnO2:F膜2bを
TiN膜3に積層した(第3層)。
【0100】尚、第1及び第2のSnO2:F膜2a、
2b中のフッ素含有率は、0.05wt%であった。ま
た、膜厚の調整は成膜原料供給部16に供給する供給量
を調整することにより行った。
【0101】次に、本発明者は、比較例として、実施例
1〜実施例5と同様の膜構成であって且つ膜厚が本発明
の範囲外の試験片(比較例1、2)を通常の熱分解CD
V法により作製した。
【0102】具体的には、縦10cm、横10cm、厚
さ3mmのソーダ石灰ガラスを洗浄して乾燥し、該ソー
ダ石灰ガラスをガラス基板1として、CVD法により該
ガラス基板1に積層膜を形成した。すなわち、ガラス基
板1を大気開放型のメッシュベルトで搬送して約570
℃に加熱された加熱炉内に案内し、ガラス基板1が該加
熱炉を通過する間に所定の成膜原料をガラス基板1上に
供給し、ガラス基板1上で化学反応を起こさせて固相を
析出させ、ガラス基板1上にSnO2:F膜2a/Ti
N膜3/SnO2膜2bを順次積層した。尚、使用した
成膜原料は、実施例1〜実施例5と同様であり、また混
合ガスの組成比(mol%)も上記実施例1〜実施例5と
同様となるように調合した。
【0103】また、本発明者は、他の比較例として、S
nO2:F膜に代えて、導電性寄与元素を含有していな
いSnO2 膜を通常の熱分解CVD法でガラス基板及び
TiN膜上に積層させ、膜構成がガラス基板/SnO2
膜/TiN膜/SnO2膜の試験片を作製した(比較例
3)。
【0104】尚、スズ原料としてはテトラメチルスズを
使用し、テトラメチルスズの蒸気、酸素、水蒸気及び窒
素の組成比が夫々3mol%、41mol%、30mol%、及
び26mol%に調合し、またチタン原料としては四塩化
チタンを使用し、四塩化チタンの蒸気、アンモニアガス
及び窒素の組成比が夫々4mol%、9mol%及び87mol
%に調合し、これらの混合ガスをガラス基板上に供給し
て各薄膜を形成した。
【0105】次に、このようにして得られた各試験片
(実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3)につい
て、ガラスの透明性の尺度となる可視光透過率、ガラス
の遮熱性能の尺度となる日射透過率、及びガラスの断熱
性能の尺度となる垂直放射率をJIS R3106に準
拠して測定し、また実施例1〜実施例5については透過
色及び反射色をJIS Z8722に準拠して測定し、
JIS Z8729に準拠してL***表色系のクロ
マティックネス指数a*、b*を算出した。
【0106】尚、可視光透過率、日射透過率、透過色及
び反射色は、日立製作所社製330型分光光度計を使用
して測定し、垂直放射率を算出するための赤外反射率は
日立製作所社製270−30型赤外分光光度計を使用し
て測定した。
【0107】表1は各実施例及び各比較例における測定
結果を示している。
【0108】
【表1】 比較例1は、第1及び第2のSnO2:F膜2a、2b
の膜厚の総計は430nmであり、本発明の範囲内(2
00nm〜800nm)の範囲内にあるため、可視光透
過率は高く透明性を確保することができ、また垂直放射
率も低いため断熱性能を確保することができると考えら
れるが、TiN膜3の膜厚が3nm(<5nm)と小さ
いため、太陽光線の近赤外波長域を効果的に反射・吸収
することができず、このため日射透過率が60%を超え
る結果となって、充分な遮熱性能を確保することができ
ない。
【0109】また、比較例2は、TiN膜3の膜厚は
9.5nmであり、本発明の範囲内(5nm〜25n
m)の範囲内にあるため、太陽光線の近赤外波長域を効
果的に反射・吸収して日射透過率は60%以下となり、
充分な遮熱性能を得ることができるが、第1及び第2の
SnO2:F膜2a、2bの膜厚は総計でも180nm
(<200nm)と薄いため垂直放射率が0.41と大
きくなって断熱性能を確保することができない。
【0110】また、比較例3は、可視光透過率及び日射
透過率については満足すべき結果が得られたが、SnO
2膜に導電性寄与元素が含有されていないため垂直放射
率が0.78と極端に高くなって断熱性能を確保するこ
とができない。
【0111】これに対して実施例1〜実施例5はTiN
膜3が9nm〜11nm、SnO2:F膜2a、2bの
膜厚が総計で330nm〜520nmといずれも本発明
の範囲内にあり、可視光透過率は60%以上となってガ
ラスの透明性を確保することができ、また日射透過率も
50%以下と低く充分に遮熱性を確保でき、さらに垂直
放射率も0.15以下と低く充分なる断熱性を確保する
ことができることが判った。
【0112】次に、実施例1〜実施例5の色調について
説明する。
【0113】ガラス板の知覚的な物体色を表現する方法
の一つとして、国際照明委員会(CIE)によりL**
*表色系によって定量的に表示する方法が規定されて
おり、知覚的に略均等な歩度を有する三次元空間におけ
る2つの座標、すなわち、クロマティクネス指数a*
*をJIS Z8729により色の刺激値等に基づい
て算出し、これによりガラス板の色調を評価することが
できる。
【0114】例えば、一般に、クロマティクネス指数a
*、b*が、−5≦a* 、b*≦5の範囲内にあるときは
色調は無彩色系と判断され、クロマティクネス指数
*、b*が、−30≦a*≦−5、−5≦b*≦5の範囲
内であるときは緑色系と判断される。
【0115】しかるに、実施例1〜実施例5の膜厚は、
〔発明の実施の形態〕の項で述べた膜厚範囲内に設定さ
れており、所望の透過色調又は反射色調を有する高遮熱
・低放射ガラスを得ることができる。
【0116】すなわち、実施例1は、第1のSnO2
F膜2aの膜厚が260nm、TiN膜3の膜厚が9n
m、第2のSnO2:F膜2bの膜厚は170nmに膜
厚調整されているので、クロマティクネス指数a*、b*
が夫々「−0.7」、「1.9」となって透過色調が無
彩色系の色調を有する高遮熱・低放射ガラスを得ること
ができる。
【0117】実施例2は、第1のSnO2:F膜2aの
膜厚が80nm、TiN膜3の膜厚が9.5nm、第2
のSnO2:F膜2bの膜厚は440nmに膜厚調整が
なされているので、クロマティクネス指数a*、b*が夫
々「2.2」、「4.5」となって非薄膜面の反射色調
が無彩色系の色調を有する高遮熱・低放射ガラスを得る
ことができる。
【0118】実施例3は、第1のSnO2:F膜2aの
膜厚が90nm、TiN膜3の膜厚が10nm、第2の
SnO2:F膜2bの膜厚は330nmに膜厚調整がな
されているので、クロマティクネス指数a*、b*が夫々
「−14.4」、「3.4」となって非薄膜面の反射色
調が緑色系の色調を有する高遮熱・低放射ガラスを得る
ことができる。
【0119】実施例4は、第1のSnO2:F膜2aの
膜厚が380nm、TiN膜3の膜厚が11nm、第2
のSnO2:F膜2bの膜厚は60nmに膜厚調整がな
されているので、クロマティクネス指数a*、b*が夫々
「−1.3」、「4.3」となって薄膜面の反射色調が
無彩色系の色調を有する高遮熱・低放射ガラスを得るこ
とができる。
【0120】実施例5は、第1のSnO2:F膜2aの
膜厚が240nm、TiN膜3の膜厚が13nm、第2
のSnO2:F膜2bの膜厚は70nmに膜厚調整がな
されているので、クロマティクネス指数a*、b*が夫々
「−12.3」、「2.3」となって薄膜面の反射色調
が緑色系の色調を有する高遮熱・低放射ガラスを得るこ
とができる。
【0121】次に、本発明者は、実施例1の試験片を使
用して3種類の複層ガラスを作製し、また比較例1の試
験片を使用して2種類の複層ガラスを作製した。
【0122】すなわち、まず、実施例1の試験片とソー
ダ石灰ガラスからなるガラス板19(フロートガラス
板)とを使用し、中空層22に空気を充填した複層ガラ
ス(実施例11)、中空層22に不活性ガスとしてのア
ルゴンガスを封入した複層ガラス(実施例12)を作製
し(図5参照)、さらに中空層22を1×10-4Tor
rに減圧した複層ガラス(実施例13)を作製した(図
6参照)。
【0123】次に、比較例1の試験片を使用し、ソーダ
石灰ガラスからなるガラス板19(フロートガラス板)
とを使用し、中空層22に空気を充填した複層ガラス
(比較例11)、中空層22に不活性ガスとしてのアル
ゴンガスを封入した複層ガラス(比較例12)を作製し
た(図5参照)。
【0124】また、実施例11、12及び比較例11、
12における中空層22の厚さtは6mmに設定し、実
施例13における中空層22の厚さtは0.3mmに設
定した。
【0125】そして、高遮熱・低放射ガラス18側が室
内側となるようにしてこれら複層ガラスの熱特性、すな
わちJIS R3106に準拠して日射熱取得率を測定
し、JIS R3107に準拠して熱貫流率を測定し
た。
【0126】尚、日射熱取得率を算出するための日射透
過率は日立製作所社製330型分光光度計を使用して測
定し、熱貫流率を算出するための赤外反射率は日立製作
所社製270−30型赤外分光光度計を使用して測定し
た。
【0127】表2は各実施例及び比較例の測定結果を示
している。
【0128】
【表2】 ところで、遮熱性能及び断熱性能の要求される基準とし
ては、気候的な地域的特性に起因する点が大きく、冬季
の寒さの厳しい北海道等の寒冷地(以下、「寒冷地域」
という)では遮熱性能よりも断熱性能が重視され、複層
ガラスの場合、斯かる寒冷地域では省エネルギ化を考慮
すると日射熱取得率は0.66以下であって且つ熱貫流
率が2.0W/m2・K以下であることが必要と考えら
れる。また、冬季でも比較的温暖な地域(以下、「温暖
地域」という)では夏季の熱暑感を回避する必要性から
断熱性能よりも遮熱性能が重視され、複層ガラスの場
合、斯かる温暖地域では省エネルギ化を考慮すると日射
熱取得率は0.49以下であって且つ熱貫流率が3.0
W/m2・K以下であることが必要と考えられる。
【0129】しかるに、比較例11は日射熱取得率が
0.60であり、熱貫流率が2.3W/m2・Kである
ため、温暖地域では断熱性能は条件を満たすものの日射
エネルギの遮熱効果が弱く、また寒冷地域では遮熱性能
は条件を満たすが断熱効果が弱く、いずれの地域におい
ても年間を通じての快適な居住性、経済性及び環境性を
得ることができない。
【0130】また、比較例12も日射熱取得率が0.6
0であり、熱貫流率が2.3W/m 2・Kであるため、
比較例11と同様、寒冷地域及び温暖地域のいずれの地
域についても年間を通じての快適な居住性、経済性及び
環境性を得ることができない。
【0131】これに対して実施例11は、日射熱取得率
は0.49であり、熱貫流率が2.3W/m2・Kであ
るため、温暖地域で使用した場合は年間を通じて経済的
で環境にも優しい快適な居住空間を提供することができ
る。
【0132】また、実施例12は、日射熱取得率は0.
66であり、熱貫流率が1.9W/m2・Kであるた
め、寒冷地域に使用した場合は年間を通じて経済的で環
境にも優しい快適な居住空間を提供することができる。
【0133】実施例13は、日射熱取得率は0.65で
あり、熱貫流率が1.4W/m2・Kであるため、実施
例12と同様、寒冷地域に使用した場合は年間を通じて
経済的で環境にも優しい快適な居住空間を提供すること
ができる。
【0134】次に、本発明者は、実施例3の試験片とソ
ーダ石灰ガラスからなるフロートガラス板とを使用して
合わせガラスを作製し(実施例21)、比較例として2
枚の前記ガラス板を使用して合わせガラスを作製し(比
較例21)、上述と同様にして日射熱取得率及び熱貫流
率を測定した。
【0135】すなわち、厚さが0.8mmのポリビニル
ブチラ−ル(中間層25)を実施例3の試験片とガラス
板19とで挟持させ温度250℃に設定してオートグレ
ーブ中で15分間加熱加圧して実施例21の試験片を作
製し、また前記ポリビニルブチラ−ル(厚さ0.8m
m)を2枚のフロートガラス板で挟持させ温度250℃
に設定してオートグレーブ中で15分間加熱加圧して比
較例21の試験片を作製し、日射熱取得率及び熱貫流率
を測定した。
【0136】表3は実施例21及び比較例21の測定結
果を示している。
【0137】
【表3】 比較例21は日射熱取得率が0.79と高く、また熱貫
流率も4.9W/m2・Kといずれも極端に高く、遮熱
性能及び断熱性能共、所期の性能を得ることができな
い。
【0138】これに対し、実施例21は日射熱取得率が
0.49と低く、また熱貫流率も3.3W/m2・Kと
比較的低いため、地域によっては年間を通じて経済的で
環境にも優しい快適な居住空間を提供することができる
と考えられる。
【0139】〔第2の実施例〕本発明者は、通常の熱分
解CDV法により、膜構成がガラス板1/SnO2膜2
a/SiO2膜5/TiN膜3/SnO2膜2b(図2参
照)であって、異なる膜厚を有する試験片(実施例21
〜実施例25及び比較例21)を作製した。
【0140】すなわち、縦10cm、横10cm、厚さ
3mmのフロート板ガラスを洗浄して乾燥し、該フロー
ト板ガラスをガラス基板1とし、ガラス基板1を大気開
放型のメッシュベルトで搬送して約570℃に加熱され
た加熱炉内に案内し、ガラス基板1が該加熱炉を通過す
る間に所定の成膜原料をガラス基板1上に供給し、ガラ
ス基板1上で化学反応を起こさせて固相を析出させ、ガ
ラス基板1上に積層膜6を形成した。
【0141】具体的には、まず、スズ原料として塩素を
含有したモノブチルスズトリクロライドを使用し、該モ
ノブチルスズトリクロライドの蒸気、酸素、及び窒素を
第1の実施例と同様のモル比に調合して原料ガスを作製
し、該原料ガスをガラス基板1上に供給して第1のSn
2:F膜2aを該ガラス基板1上に積層し、第1層を
形成した。次いで、ケイ素原料としてモノシランを使用
し、モノシランの蒸気が0.5mol%、酸素が2.5mol
%、及び窒素が97mol%となるように予め原料を調合
し、斯かる調合された原料ガスを第1のSnO2:F膜
2a上に供給してSiO2膜5を形成し、第2層を形成
した。次に、四塩化チタンの蒸気、アンモニアガス及び
窒素を第1の実施例と同様のモル比に調合し、斯かる調
合された原料ガスをSiO2膜5上に供給してTiN膜
3を積層し、第3層を形成した。次にスズ原料として塩
素を含有したモノブチルスズトリクロライド、該モノブ
チルスズトリクロライドの蒸気、酸素、三塩化アンチモ
ンの蒸気及び窒素を第1〜第5の実施例と同様のモル比
に調合して原料ガスを作製し、該原料ガスをTiN膜3
上に供給してSnO2:F膜2bを積層し、第4層を形
成した。
【0142】次に、このようにして得られた各試験片
(実施例31〜実施例35及び比較例31)について、
第1の実施例と同様、可視光透過率、日射透過率、及び
垂直放射率をJIS R3106に準拠して測定し、ま
た実施例31〜実施例35については透過色及び反射色
をJIS Z8722に準拠して測定し、さらにJIS
Z8729に準拠してL***表色系のクロマティッ
クネス指数a*、b*を算出した。
【0143】表4は各実施例及び各比較例における測定
結果を示している。
【0144】
【表4】 比較例31は、第1及び第2のSnO2:F膜2a、2
bの膜厚の総計が420nmであり、本発明の範囲内
(200nm〜800nm)の範囲内にあるため、可視
光透過率は高く透明性は確保することができ、また垂直
放射率も低いため断熱性能は確保することができると考
えられるが、TiN膜3の膜厚が3nm(<5nm)と
小さいため、太陽光線の近赤外波長域を効果的に反射・
吸収することができず、このため日射透過率が60%を
超える結果となって、充分な遮熱性能を確保することが
できない。
【0145】これに対して実施例31〜実施例35はT
iN膜3が10nm〜11nm、第1及び第2のSnO
2:F膜2a、2bの膜厚が総計で280nm〜420
nmといずれも本発明の範囲内にあり、可視光透過率は
60%以上となってガラスの透明性を確保することがで
き、また日射透過率も50%以下と低く充分に遮熱性を
確保でき、さらに垂直放射率も0.20以下と低く充分
なる断熱性を確保することができることが判る。
【0146】また、実施例31は、第1のSnO2:F
膜2aの膜厚が30nm、SiO2膜5の膜厚が18n
m、TiN膜3の膜厚が10nm、第2のSnO2:F
膜2bの膜厚は390nmに膜厚調整されているので、
クロマティクネス指数a*、b*が夫々「−0.5」、
「1.0」となって透過色調が無彩色系の色調を有する
高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0147】実施例32は、第1のSnO2:F膜2a
の膜厚が50nm、SiO2膜5の膜厚が10nm、T
iN膜3の膜厚が10nm、第2のSnO2:F膜2b
の膜厚は360nmに膜厚調整がなされているので、ク
ロマティクネス指数a*、b*が夫々「2.2」、「−
0.2」となって非薄膜面の反射色調が無彩色系の色調
を有する高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0148】実施例33は、第1のSnO2:F膜2a
の膜厚が50nm、SiO2膜5の膜厚が24nm、T
iN膜3の膜厚が10nm、第2のSnO2:F膜2b
の膜厚は330nmに膜厚調整がなされているので、ク
ロマティクネス指数a*、b*が「−19.0」、「4.
6」となって非薄膜面の反射色調が緑色系の色調を有す
る高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0149】実施例34は、第1のSnO2:F膜2a
の膜厚が160nm、SiO2膜5の膜厚が50nm、
TiN膜3の膜厚が11nm、第2のSnO2:F膜2
bの膜厚は170nmに膜厚調整がなされているので、
クロマティクネス指数a*、b*が「3.9」、「−4.
8」となって薄膜面の反射色調が無彩色系の色調を有す
る高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0150】実施例35は、第1のSnO2:F膜2a
の膜厚が100nm、SiO2膜5の膜厚が30nm、
TiN膜3の膜厚が10nm、第2のSnO2:F膜2
bの膜厚は180nmに膜厚調整がなされているので、
クロマティクネス指数a*、b*が「−15.5」、
「0.4」となって薄膜面の反射色調が緑色系の色調を
有する高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0151】次に、本発明者は、実施例31の試験片と
ソーダ石灰ガラスからなるガラス板19とを使用し、中
空層22を空気で充填した複層ガラスを作製し(実施例
41)、 また、比較例31の試験片とソーダ石灰ガラ
スからなるガラス板19とを使用し、中空層22を空気
で充填した複層ガラスを作製し(比較例41)、第1の
実施の形態と同様、日射熱取得率及び熱貫流率を測定し
た。
【0152】表5は実施例及び比較例の測定結果を示し
ている。
【0153】
【表5】 比較例41は日射熱取得率が0.61であり、熱貫流率
が2.3W/m2・Kであるため、温暖地域では断熱性
能は条件を満たすものの日射エネルギの遮熱効果が弱
く、また寒冷地域では遮熱性能は条件を満たすが断熱効
果が弱く、いずれの地域においても年間を通じて快適な
居住性、経済性及び環境性を得ることができない。
【0154】これに対して実施例42は日射熱取得率は
0.49であり、熱貫流率が2.3W/m2・Kである
ため、温暖地域で使用した場合は年間を通じて経済的で
環境にも優しい快適な居住空間を提供することができ
る。
【0155】〔第3の実施例〕本発明者は、通常の熱分
解CDV法により、膜構成がガラス板1/TiN膜3/
SiO2膜5/SnO2膜2(図3参照)であって、異な
る膜厚を有する試験片(実施例51、52及び比較例5
1)を作製した。
【0156】すなわち、縦10cm、横10cm、厚さ
3mmのフロート板ガラスを洗浄して乾燥し、該フロー
ト板ガラスをガラス基板1とし、ガラス基板1を大気開
放型のメッシュベルトで搬送して約570℃に加熱され
た加熱炉内に案内し、ガラス基板1が該加熱炉を通過す
る間に所定の成膜原料をガラス基板1上に供給し、ガラ
ス基板1上で化学反応を起こさせて固相を析出させ、ガ
ラス基板1上に積層膜6を形成した。
【0157】具体的には、まず、チタン化合物として四
塩化チタンを使用し、四塩化チタンの蒸気、アンモニア
ガス及び窒素を第1の実施例と同様のモル比に調合し、
斯かる調合された原料ガスをガラス基板1上に供給して
TiN膜3を積層し、第1層を形成した。次いで、ケイ
素原料としてモノシランを使用し、該モノシラン、酸
素、及び窒素を第2の実施例と同様のモル比に調合して
原料ガスを作製し、該原料ガスをTiN膜3上に供給し
てSiO2膜5を積層し、第2層を形成した。次に、ス
ズ原料として塩素を含有したモノブチルスズトリクロラ
イドを使用し、該モノブチルスズトリクロライドの蒸
気、酸素、及び窒素を第1及び第2の実施例と同様のモ
ル比に調合して原料ガスを作製し、該原料ガスをSiO
2膜5上に供給してSnO2:F膜2を積層し、第3層を
形成した。
【0158】次に、このようにして得られた各試験片
(実施例51、52及び比較例51)について、第1の
実施例と同様、可視光透過率、日射透過率、及び垂直放
射率をJIS R3106に準拠して測定し、また実施
例51、52については透過色調及び反射色調をJIS
Z8722に準拠して測定し、JIS Z8729に
準拠してL***表色系のクロマティックネス指数
*、b*を算出した。
【0159】表6は各実施例及び比較例の測定結果を示
している。
【0160】
【表6】 比較例51は、TiN膜3の膜厚が10nmであり、本
発明の範囲内(5nm〜25nm)にあるため、太陽光
線の近赤外波長域を効果的に反射・吸収し、日射透過率
が60%以下となって、充分な遮熱性能を確保すること
ができるが、SnO2:F膜2の膜厚が150nm(<
200nm)となって垂直放射率が0.33と高く、断
熱性能を確保することができない。
【0161】これに対して実施例51、52はTiN膜
3及びSnO2:F膜2の膜厚がいずれも本発明の範囲
内にあり、可視光透過率は60%以上となり、また日射
透過率も60%以下と低く充分に遮熱性を確保できると
共に垂直放射率も0.20以下と低く充分なる断熱性を
確保することができることが判る。
【0162】さらに、実施例51は、TiN膜3の膜厚
が10nm、SiO2膜5の膜厚が20nm、SnO2
F膜2の膜厚が280nmに膜厚調整されているので、
クロマティクネス指数a*、b*が夫々「−3.1」、
「4.1」となって透過色調が無彩色系の色調を有する
高遮熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0163】実施例52は、TiN膜3の膜厚が7n
m、SiO2膜5の膜厚が10nm、SnO2:F膜2の
膜厚が420nmに膜厚調整がなされているので、クロ
マティクネス指数a*、b*が「1.8」、「2.7」と
なって薄膜面の反射色調が無彩色系の色調を有する高遮
熱・低放射ガラスを得ることができる。
【0164】次に、実施例51の試験片とソーダ石灰ガ
ラスからなるガラス板19とを使用し、中空層22にア
ルゴンガスを封入した複層ガラスを作製し(実施例6
1)、また、比較例51の試験片とソーダ石灰ガラスか
らなるガラス板19とを使用し、中空層22にアルゴン
ガスを封入した複層ガラスを作製し(比較例61)、第
1の実施例と同様、日射熱取得率及び熱貫流率を測定し
た。
【0165】表7は各実施例及び比較例の測定結果を示
している。
【0166】
【表7】 比較例61は日射熱取得率が0.66であり、熱貫流率
が2.2W/m2・Kであるため、温暖地域では断熱性
能は条件を満たすものの日射エネルギの遮熱効果が弱
く、また寒冷地域では遮熱性能は条件を満たすが断熱効
果が弱く、年間を通じて快適な居住性、経済性及び環境
性を充足する事ができない。
【0167】これに対して実施例61は日射熱取得率は
0.48であり、熱貫流率が2.2W/m2・Kである
ため、温暖地域で使用した場合は年間を通じて経済的で
環境にも優しい快適な居住空間を提供することができ
る。
【0168】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る高遮熱
・低放射ガラスは、積層膜が少なくともTiN膜と高導
電性SnO2膜とを含んでいるので、TiN膜により所
望の遮熱性能を得ることができ、また高導電性SnO2
膜により所望の断熱性能を得ることができ、したがって
年間を通じての居住性、経済性及び環境性を確保するこ
とができ、昨今の省エネルギ化に好適なものとなる。
【0169】また、本発明に係る高遮熱・低放射ガラス
は、薄膜の積層順序と膜厚とを調整することにより、色
ムラが生じることもなく、窓ガラスとして近年市場にお
いて好まれている高品質で高級感の溢れる透過色調及び
反射色調を有するガラス板を得ることができる。
【0170】また、本発明に係る高遮熱・低放射ガラス
は、積層膜がガラス基板上での熱分解反応によって容易
に形成することができるので、膜の耐久性や生産性に優
れたものとなる。
【0171】さらに、本発明のガラス物品は、上記各種
高遮熱・低放射ガラスを選択的に使用することにより気
候的な地域的特性に好適な日射熱取得率と熱貫流率を確
保することが可能となり、したがって地域の実状に応じ
た遮熱性及び断熱性を得ることができ、年間を通じて経
済的にも優れ、且つ環境にも優しい快適な居住空間を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低放射ガラスの一実施の形態(第
1の実施の形態)を示す断面図である。
【図2】本発明に係る低放射ガラスの第2の実施の形態
を示す断面図である。
【図3】本発明に係る低放射ガラスの第3の実施の形態
を示す断面図である。
【図4】オンラインCVD装置を模式的に示した概略構
成図である。
【図5】本発明に係るガラス物品としての複層ガラスの
一実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】本発明に係るガラス物品としての複層ガラスの
他の実施の形態を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係るガラス物品としての合わせガラス
の一の実施の形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 SnO2:F膜(高導電性SnO2膜) 3 TiN膜 4、6、7 積層膜 5 SiO2膜 15 ガラスリボン(リボン状ガラス) 18 高遮熱・低放射ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA05C AA05D AA12B AA20E AA28C AA28D AB21A AD04B AG00A AH05C AH05D AT00A BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10D BA13 GB07 GB32 JA20B JA20C JA20D JA20E JD10 JD11 JG01C JG01D JJ02 JL00 JM02B JM02C JM02D JN06 JN30 YY00 YY00B YY00C YY00D YY00E 4G059 AA01 AC06 AC11 EA02 EA12 EA18 GA01 GA04 GA12

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数種の薄膜からなる積層膜がガラス基
    板上での熱分解反応によって前記ガラス基板上に形成さ
    れると共に、 前記積層膜は、少なくとも窒化チタンを主成分とする1
    層以上の窒化チタン系薄膜と、導電性寄与元素が含有さ
    れた酸化スズを主成分とする1層以上の高導電性酸化ス
    ズ系薄膜とを含み、 日射透過率が60%以下であって且つ垂直放射率が0.
    2以下に設定されていることを特徴とする高遮熱・低放
    射ガラス。
  2. 【請求項2】 前記窒化チタン系薄膜の膜厚は、総計で
    5nm〜25nmに設定され、前記高導電性酸化スズ系
    薄膜の膜厚は、総計で200nm〜800nmに設定さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の高遮熱・低放
    射ガラス。
  3. 【請求項3】 前記窒化チタン系薄膜の膜厚は、総計で
    5nm〜20nmに設定され、前記高導電性酸化スズ系
    薄膜の膜厚は、総計で250nm〜550nmに設定さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の高遮熱・低放
    射ガラス。
  4. 【請求項4】 前記導電性寄与元素には、少なくともフ
    ッ素が含有されていることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれかに記載の高遮熱・低放射ガラス。
  5. 【請求項5】 前記フッ素の含有率は、0.01wt%
    〜0.5wt%であることを特徴とする請求項4記載の
    高遮熱・低放射ガラス。
  6. 【請求項6】 前記フッ素の含有率は、0.04wt%
    〜0.06wt%であることを特徴とする請求項5記載
    の高遮熱・低放射ガラス。
  7. 【請求項7】 前記導電性寄与元素は、フッ素、塩素、
    及びアンチモンの中から選択された少なくとも1種以上
    の元素であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれかに記載の高遮熱・低放射ガラス。
  8. 【請求項8】 前記ガラス基板の表面に第1の高導電性
    酸化スズ系薄膜が形成され、該第1の高導電性酸化スズ
    系薄膜の表面に窒化チタン系薄膜が形成され、さらに該
    窒化チタン系薄膜の表面に第2の高導電性酸化スズ系薄
    膜が形成され、 前記第1の高導電性酸化スズ系薄膜の膜厚が30nm〜
    500nmに設定され、前記窒化チタン系薄膜の膜厚が
    5nm〜20nmに設定され、さらに前記第2の高導電
    性酸化スズ系薄膜の膜厚が20nm〜500nmに設定
    されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のい
    ずれかに記載の高遮熱・低放射ガラス。
  9. 【請求項9】 前記ガラス基板の表面に第1の高導電性
    酸化スズ系薄膜が形成されると共に、該第1の高導電性
    酸化スズ系薄膜の表面に酸化ケイ素を主成分とする酸化
    ケイ素系薄膜が形成され、該酸化ケイ素系薄膜の表面に
    窒化チタン系薄膜が形成され、さらに該窒化チタン系薄
    膜の表面に第2の高導電性酸化スズ系薄膜が形成され、 前記第1の高導電性酸化スズ系薄膜の膜厚が20nm〜
    200nmに設定され、前記酸化ケイ素系薄膜の膜厚が
    6nm〜50nmに設定され、前記窒化チタン系薄膜の
    膜厚が5nm〜20nmに設定され、さらに前記第2の
    高導電性酸化スズ系薄膜の膜厚が150nm〜450n
    mに設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項7のいずれかに記載の高遮熱・低放射ガラス。
  10. 【請求項10】 前記ガラス基板の表面に窒化チタン系
    薄膜が形成され、該窒化チタン系薄膜の表面に酸化ケイ
    素を主成分とする酸化ケイ素系薄膜が形成され、さらに
    該酸化ケイ素系薄膜の表面に高導電性酸化スズ系薄膜が
    形成され、前記窒化チタン系薄膜の膜厚が5nm〜20
    nmに設定され、前記酸化ケイ素系薄膜の膜厚が5nm
    〜50nmに設定され、さらに前記高導電性酸化スズ系
    薄膜の膜厚が220nm〜450nmに設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載
    の高遮熱・低放射ガラス。
  11. 【請求項11】 透過色調及び反射色調のうちの少なく
    とも1つは、L***表色系における知覚色度指数a
    * 、b*が−5≦a* 、b*≦5に設定されていることを
    特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の
    高遮熱・低放射ガラス。
  12. 【請求項12】 透過色調及び反射色調のうちの少なく
    とも1つは、L***表色系における知覚色度指数a
    * 、b*が、夫々−30≦a*≦−5、−5≦b*≦5に
    設定されていることを特徴とする請求項8乃至請求項1
    0のいずれかに記載の高遮熱・低放射ガラス。
  13. 【請求項13】 前記ガラス基板は、溶融スズ上にガラ
    ス原料を流し込んで形成された所定高温状態のリボン状
    ガラスから製造され、前記積層膜は、前記リボン状ガラ
    スの表面に固相を堆積して形成されたことを特徴とする
    請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の高遮熱・低
    放射ガラス。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至請求項13のいずれかに
    記載の高遮熱・低放射ガラスを少なくとも1枚含む複数
    のガラスが互いに対向配置されると共に、これら複数の
    ガラス間に中空層が形成されていることを特徴とするガ
    ラス物品。
  15. 【請求項15】 日射熱取得率が0.66以下であって
    且つ熱貫流率が2.0W/m2・K以下であることを特
    徴とする請求項14記載のガラス物品。
  16. 【請求項16】 日射熱取得率が0.49以下であって
    且つ熱貫流率が3.0W/m2・K以下であることを特
    徴とする請求項14記載のガラス物品。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至請求項13のいずれかに
    記載の高遮熱・低放射ガラスを少なくとも1枚含む複数
    のガラスが互いに対向配置されると共に、これら複数の
    ガラスが中間層を介して接合されていることを特徴とす
    るガラス物品。
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