JP2000280027A - 円錐パイプの製造装置 - Google Patents

円錐パイプの製造装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 様々な円錐パイプをスリップ痕や端面の潰れ
等の瑕疵なく容易に製造できる装置を提供する。 【解決手段】 同一テーパ形状の上ロール1及び下ロー
ル2と、一対のサイドロール3、4とを備え、上ロール
1と下ロール2とを同一径の部分を対向させて下ロール
2を昇降自在に配置し、各サイドロール3、4の両端を
それぞれ単独で昇降可能とする。上下ロール1、2に挟
んだ扇状材料を内周側と外周側の移動長さの差に応じた
速度で送りつつ、サイドロール3、4の各端の上昇を制
御して円錐に成形し、端曲げを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ホッパ、サイ
ロ、レジューサ等に使用する円錐パイプを、扇状の金属
板をロールで曲げることにより製造する装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、円錐パイプの製造に際し、ス
トレート形状の3本又は4本のロールで扇状材料を挟
み、その内周縁がロールの軸方向に移動するのを規制し
つつ扇状材料を送って円錐状に曲げる装置が用いられて
いるが、このような装置では、扇状材料の送り調整等が
難しく、作業者に高度な熟練が要求されるほか、扇状材
料は内周側と外周側とで移動長さが異なるため、ロール
と材料との間に滑りが生じ、製品の外周面にスリップ痕
が残ったり、また、扇状材料の内周縁の移動を規制する
際、その端面が潰れたりするという問題がある。
【0003】上記のような問題は、製造すべき円錐パイ
プの仕様に対応したテーパ状ロールで加工すれば生じな
いが、この場合、製品の種類ごとにロールを用意してお
き、これらを交換しなければならず、多大な手間とコス
トを要する。
【0004】これらの問題に対処するため、特開平7−
96330号公報では、3本のテーパ状ロールを、それ
ぞれシャフトに対して自由に回転できる状態と、固定さ
れた状態とを選択できる複数の分割ロールから構成し、
扇状材料の送りに必要な最小限の分割ロールのみをシャ
フトに固定し、他の分割ロールをシャフトに対し自由に
回転可能として前記スリップを抑制し、様々な円錐パイ
プを製造できるようにした装置が提案されている。
【0005】しかしながら、この装置は、固定した分割
ロールとの擦れにより製品の外周面に残るスリップ痕が
需要者の許容範囲を越える場合には使用できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
様々な円錐パイプをスリップ痕や端面の潰れ等の瑕疵な
く容易に製造できる装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、この発明に係る装置は、同一テーパ形状の上
ロール及び下ロールと、一対のストレート形状のサイド
ロールとを備え、上ロールと下ロールとを同一径の部分
を対向させて下ロールを昇降自在に配置し、各サイドロ
ールの両端をそれぞれ単独で昇降させる装置を配し、前
記サイドロールの近傍に、上ロールの軸方向に対し平行
に移動する位置決め具を設け、この位置決め具に内周縁
を沿わせて所定の位置にセットした扇状材料を上下ロー
ルの間に挟み、上ロールの回転駆動に伴い内周側と外周
側の移動長さの差に応じた速度で送りつつ、サイドロー
ルの各端の昇降を制御して円錐に成形し、端曲げを行う
こととしたのである。
【0008】このように構成すると、様々な製品の扇状
材料を上下ロールとの間に滑りを生じさせることなく曲
げることができ、また、端曲げを通常の円弧曲げに連続
した曲率で行うことができる。
【0009】さらに、前記各サイドロールの近傍に、上
ロールの軸方向に移動する位置決め具を設け、この位置
決め具に扇状材料の内周縁を沿わせることにより、扇状
材料を所定の位置にセットできるようにすると、作業性
及び精度が向上する。
【0010】また、前記サイドロールの外周に複数の環
状リングを設けると、サイドロールをテーパ状としなく
ても、サイドロールと扇状材料との滑りが防止されるの
で、サイドロールの複雑な制御を行うことなく、良好な
仕上がりが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1及び図2に示すように、この
発明に係る円錐パイプの製造装置は、同一テーパ形状の
上ロール1及び下ロール2と、前後一対のサイドロール
3、4とを備えており、サイドロール3、4の両側方に
は位置決め具5が設けられている。
【0012】前記上ロール1と下ロール2とは、図3及
び図5に示すように、同一径の部分が対向するように軸
線を揃えて配置され、下ロール2は油圧シリンダ6の駆
動により昇降する。下ロール2の両端部は球面滑り軸受
7を介して油圧シリンダ6の連結杆8に連結され、この
連結杆8はフレームに固設されたガイド8aに案内され
る。そして、下ロール2が昇降しても、上下ロール1、
2の対面部は常に平行に保たれるようになっている。
【0013】上ロール1の大径側端部には、図1乃至図
3に示すように、減速機付きモータ9が接続され、この
モータ9の駆動に伴い上ロール1は回転する。上ロール
1の小径側端部は、図6に示すように、シリンダ10の
伸縮に伴いピン11を軸として起伏する支持片12によ
り軸受13を介して支持され、軸受13の内面は上ロー
ル1の軸端部に対応したテーパとなっている。この支持
片12を伏倒させると、上ロール1の小径側端部は軸受
13から抜け出してフリーとなる。
【0014】前記サイドロール3、4は、図2及び図4
に示すように、両端部を除いて径が等しいストレート状
のものであり、その両端部は、図4及び図5に示すよう
に、それぞれ球面滑り軸受15を介して油圧シリンダ1
4の連結杆16に連結され、油圧シリンダ14の駆動に
より単独に昇降可能とされている。この連結杆16はフ
レームに固設されたガイド16aに案内され、サイドロ
ール3、4の軸線の傾きは、成形する製品の形状に応じ
て任意の角度に設定できるようになっている。また、サ
イドロール3、4の外周には多数の環状リング17が嵌
められており、この環状リング17として、ころがり軸
受が使用されている。
【0015】前記位置決め具5は、図2及び図5に示す
ように、円柱状のロールであり、スライダ18に上下方
向の軸を中心として回動自在に取り付けられている。ス
ライダ18は、上ロール1の軸方向に延びるレール19
に載置され、同方向のねじ軸20に螺合している。ねじ
軸20の一端にはサーボモータ21が接続され、このサ
ーボモータ21でねじ軸20を回転させることにより、
位置決め具5はスライダ18と共にレール19に沿って
移動する。
【0016】この装置では、図示省略した制御部に製品
の仕様を入力すると、油圧シリンダ6、モータ9、油圧
シリンダ14及びサーボモータ21がプログラムに基づ
いて自動的に制御される。
【0017】いま、上記のような装置を使用して、図7
に示すように、小径A、大径B、長さLの円錐パイプを
製造する場合を考える。この装置の制御部には、製品と
なる円錐パイプの小径A、大径B、長さLを入力する。
なお、この小径A及び大径Bは製品の内径又は外径であ
るが、材料の厚さが大きい場合には、その板厚tを入力
し、位置決め具5の位置算出時に補正する。以下、制御
部で行われる処理を、円錐曲げ加工の理論にと共に解説
する。
【0018】まず、次式により円錐パイプの頂角θを求
める。
【0019】
【数1】
【0020】ここで、上ロール1の回転時にその外周面
の展開形状が上記円錐パイプの扇状材料の形状に一致す
る場所が上ロール1の軸方向には存在する。この小径端
側からの位置xと回転数nとを求める。
【0021】図8に示すように、上ロール1の頂角β、
小径C、大径Dは既知であり、位置xにおける上ロール
1の直径をE、そこから円錐パイプの母線の長さyだけ
離れた位置の直径をFとする。このyは、図7を参照し
て、次式により求められる。
【0022】
【数2】
【0023】そして、上ロール1において、式(1)と
同様に、
【0024】
【数3】
【0025】の関係が得られ、式(1)及び式(3)よ
り、
【0026】
【数4】
【0027】の関係が得られる。また、上ロール1の位
置x、y及び小径Cと直径E、Fとの関係は、
【0028】
【数5】
【0029】式(4)のF−Eに式(7)の右辺を代入
し、
【0030】
【数6】
【0031】このyに式(2)の右辺を代入し、
【0032】
【数7】
【0033】上ロール1の直径Eの部分での周長と円錐
パイプの小径側周長とは等しくなることから、
【0034】
【数8】
【0035】このEに式(5)の右辺を代入し、
【0036】
【数9】
【0037】の関係が得られる。上記式(9)及び式
(11)から分かるように、小径A、大径B、長さLの
値を制御部に入力すると、円錐パイプの扇形材料をセッ
トすべき位置xと上ロール1の回転数nが算出される。
【0038】次に、位置決め具5の位置づけ場所の算出
法を図2を参照しつつ解説する。上述のように、上ロー
ル1に対して扇形材料Mをセットすべき位置xは求めら
れており、扇形材料Mの小径側の半径Rは、図7を参照
して、
【0039】
【数10】
【0040】により求められることから、その中心Oは
特定される。この扇形材料Mの中心Oから位置決め具5
の中心までの距離Sは、位置決め具5の半径をrとする
と、
【0041】
【数11】
【0042】このRに式(12)の右辺を代入し、
【0043】
【数12】
【0044】扇形材料Mの中心Oから位置決め具5の中
心までの上ロール1の軸線に平行な線に沿った距離Qが
位置決め具5を位置づけるべき場所であり、この距離Q
は、
【0045】
【数13】
【0046】で表され、そのSに式(14)の右辺を代
入し、
【0047】
【数14】
【0048】の関係が得られる。この式(16)から分
かるように、上記制御部への入力値に基づいて、位置決
め具5を位置づけるべき場所が算出され、サーボモータ
21の駆動により位置決め具5がQ点に位置づけられる
ので、位置決め具5に扇形材料Mの内周縁を沿わせるこ
とにより、扇形材料Mを容易に所定の場所にセットする
ことができる。
【0049】そして、扇形材料Mをセットした後、下ロ
ール2を上昇させて扇形材料Mを上下ロール1、2でク
ランプし、上ロール1を回転させると、下ロール2は従
動回転して扇形材料Mが送られる。この送りと共に、サ
イドロール3又は4の各端の上昇を個別に制御すること
により、扇状材料Mの曲げ径に対応するようにサイドロ
ール3又は4を傾動させつつ上昇させ、前記算出値に従
って上ロール1の正逆回転を数回繰り返して扇状材料M
の曲げ加工を行う。このとき、加工側の反対側に位置す
るサイドロール3又は4は下降させておく。
【0050】上述の曲げ加工において、扇形材料Mは、
内周側と外周側の移動長さの差に応じた速度で上下ロー
ル1、2により送られるので、扇形材料Mと上下ロール
1、2との間に滑りが生じることがない。
【0051】また、サイドロール3、4の外周に多数の
環状リング17を設けているので、サイドロール3、4
がストレート状のものであっても、その外周と扇形材料
Mとの間に滑りが生じることがない。
【0052】また、扇形材料Mは上下ロール1、2でし
っかり挟まれて送られるため、途中でずれる恐れがな
い。このため、成形途中に扇形材料Mの送りを案内する
ガイドロール等を設ける必要がない。
【0053】このように、上記装置では、製造すべき種
々の製品の仕様を制御部に入力することにより、様々な
製品を、外周面にスリップ痕を残したり、端面を潰した
りすることなく、美しく仕上げることができる。
【0054】なお、理論的には、上下ロール1、2及び
サイドロール3、4の長さを無限大にすれば、どのよう
な円錐パイプでも製造することができるが、実際には、
需要のある製品を製造可能な範囲内で各ロール1乃至4
の寸法を定める。
【0055】ところで、上記加工では、扇形材料Mの両
端部に不十分な成形部が残る。この部分を成形するた
め、上記装置では、図9(a)に示すように、扇形材料
Mの後端を上下ロール1、2の中心を結ぶ線に合わせ、
サイドロール4を上昇させて扇形材料Mの後端部の不十
分な成形部をプレスする。なお、このとき、サイドロー
ル3は下降させておく。また、図9(b)に示すよう
に、扇形材料Mの前端を上下ロール1、2の中心を結ぶ
線に合わせ、サイドロール4が下降した状態でサイドロ
ール3を上昇させ、扇形材料Mの前端部の不十分な成形
部をプレスする。
【0056】この装置では、上記のように扇形材料Mの
端曲げを通常の円弧曲げに連続した曲率で行うことがで
きるので、その境界部が直線状に残ることがない。
【0057】そして、上記のように端曲げ加工を行った
後、図6に示すように、支持片12を伏倒させて、上ロ
ール1の自由端から製品を取り出す。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る装
置を用いると、扇状材料が内周側と外周側の移動長さの
差に応じた速度で送られ、また端曲げも行えるので、高
度に熟練した作業者でなくても、様々な円錐パイプをス
リップ痕等の瑕疵なく容易に製造できる。
【0059】また、ロールを交換する必要がないため、
ロール交換に伴う段取り時間が削減でき、ロールの保管
場所も不要となり、狭いスペースでも能率よく作業を行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る円錐パイプ製造装置の実施形態
の斜視図
【図2】同上の円錐パイプ製造装置の概略平面図
【図3】同上の上下ロールの配置を示す正面図
【図4】同上のサイドロールを示す縦断正面図
【図5】同上の円錐パイプ製造装置の概略縦断側面図
【図6】同上の上下ロールの小径側支持部を示す縦断正
面図
【図7】円錐パイプ製品の各部定義の説明図
【図8】上ロールの各部定義の説明図
【図9】端曲げ加工状態の説明図
【符号の説明】
1 上ロール 2 下ロール 3、4 サイドロール 5 位置決め具 6、14 油圧シリンダ 7、15 球面滑り軸受 8a、16a ガイド 9 モータ 17 環状リング 21 サーボモータ M 扇状材料

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一テーパ形状の上ロール及び下ロール
    と、一対のストレート形状のサイドロールとを備え、上
    ロールと下ロールとを同一径の部分を対向させて下ロー
    ルを昇降自在に配置し、各サイドロールの両端をそれぞ
    れ単独で昇降させる装置を配し、前記サイドロールの近
    傍に、上ロールの軸方向に対し平行に移動する位置決め
    具を設け、この位置決め具に内周縁を沿わせて所定の位
    置にセットした扇状材料を上下ロールの間に挟み、上ロ
    ールの回転駆動に伴い内周側と外周側の移動長さの差に
    応じた速度で送りつつ、サイドロールの各端の昇降を制
    御して円錐に成形し、端曲げを行う円錐パイプの製造装
    置。
  2. 【請求項2】 製品となる円錐パイプの仕様データを制
    御部に入力し、その入力値に基づいて扇状材料をセット
    すべき位置と、上ロールの回転数とを算出し、その算出
    値に基づいて前記位置決め具を移動させ、上ロールを回
    転駆動することを特徴とする請求項1に記載の円錐パイ
    プの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記各サイドロールの両端をそれぞれ単
    独で昇降させる装置を油圧シリンダとし、扇状材料を挟
    む上下ロールにあって下ロールは油圧シリンダにて昇降
    させ、扇状材料を送る装置は上ロールを回転させる電動
    モータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    円錐パイプの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記一対のサイドロールの昇降の軌跡
    は、上下ロールの軸心を結ぶ垂線を中心として対象であ
    って、サイドロールの両端は前記垂線に向かって上下動
    を行い、その両端の軸受はフレームに固設したガイドに
    案内されることを特徴とする請求項3に記載の円錐パイ
    プの製造装置。
  5. 【請求項5】 前記サイドロールの両端をそれぞれ単独
    で昇降させる油圧シリンダは、一方のサイドロールを扇
    状材料のテーパに平行に上昇させて円錐状の加工進行に
    追随させ、他方のサイドロールを下降させた状態で加工
    側に扇状材料を送り込み、その送り方向の反転時には上
    記と逆の動作をするように制御することを特徴とする請
    求項3又は4に記載の円錐パイプの製造装置。
  6. 【請求項6】 前記サイドロールの外周に複数の環状リ
    ングをサイドロールに対し回転自在に設けたことを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の円錐パイプの
    製造装置。
  7. 【請求項7】 前記環状リングをころがり軸受としたこ
    とを特徴とする請求項6に記載の円錐パイプの製造装
    置。
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