JP2000277830A - 半導体薄膜素子 - Google Patents

半導体薄膜素子

Info

Publication number
JP2000277830A
JP2000277830A JP11084504A JP8450499A JP2000277830A JP 2000277830 A JP2000277830 A JP 2000277830A JP 11084504 A JP11084504 A JP 11084504A JP 8450499 A JP8450499 A JP 8450499A JP 2000277830 A JP2000277830 A JP 2000277830A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
thin film
semiconductor thin
substrate
operation layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11084504A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Shibazaki
一郎 柴崎
Atsushi Okamoto
岡本  敦
Arata Ashihara
新 芦原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP11084504A priority Critical patent/JP2000277830A/ja
Publication of JP2000277830A publication Critical patent/JP2000277830A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子移動度の低下を最小限に抑えつつ、抵抗
の温度依存性を低減させ、さらに薄膜製作の再現性や制
御性に優れたn型ドーパントを含むInSb薄膜を用い
た半導体薄膜素子を提供する。 【解決手段】 基板上に直接的にまたは有機物絶縁層を
介して間接的に積層された III−V族化合物半導体薄膜
層を動作層とし、該動作層中もしくは該動作層と隣接し
た電気抵抗の高い層中にSnを含ませ、前記動作層中の
伝導電子濃度を2×1016cm-3以上とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気センサーに用
いて好適な半導体薄膜素子に関する。
【0002】
【従来の技術】InSb,InAsなどの III−V族化
合物半導体材料は、電子移動度が大きいために、これら
の材料を感磁部に使用することにより、ホール素子や磁
気抵抗素子などの磁気センサに応用されている。また、
Inx Ga1-x As,Alx Ga1-x As,Inx Ga
1-x Pなどを動作層とするHEMTやHBTなどの高速
トランジスタにも III−V族化合物半導体材料が用いら
れている。
【0003】しかしながら、Inx Ga1-x Asy Sb
1-y (0≦x≦1,0≦y≦1)で規定される化合物半
導体、または、例で示すとInSbやInAsは、バン
ドギャップエネルギーが狭い材料であるため、室温付近
で電子濃度の温度依存性が大きく、それゆえ、電気抵抗
値の温度依存性が大きいという問題があった。
【0004】この問題を解決するため、動作層である I
II−V族化合物半導体薄膜層に、分子線エピタキシー法
を用いて、不純物をドープすることが行われている(特
願平10−239225)。n型不純物をドープするこ
とにより、室温付近における電子濃度の温度依存性を低
減することが可能となり、電気抵抗の温度依存性の低減
により、広い温度範囲で使用可能な素子を作製すること
が可能になった。
【0005】n型不純物としては、IV族元素あるいはVI
族元素を用いることができる。しかしながら、ドープ不
純物としてどの元素でも同様にドープできるというわけ
ではない。例えば、S,Se,TeなどのVI族不純物
は、分子線エピタキシー法によりドープする場合は、蒸
気圧が高いために、ドーパントのソースであるKセル温
度を低温度で制御する必要がある。しかし、結晶成長に
最適な基板ヒーターの温度は一般に高温であり、その輻
射でドーパントのソースであるKセル温度が上昇してド
ーパントの蒸発が起こり、ドーパントの蒸気圧制御が大
変難しいことが問題である。
【0006】また、Si,Ge,SnなどのIV族元素
は、Al,Ga,InなどのIII 族元素を置換すること
によりn型ドーピングが可能になる。従来、ドーパント
としてはSiが用いられることが多かった。その理由
は、Siの蒸気圧は低く、基板からの輻射の影響を受け
にくく、Kセル温度の制御性が良いためである。しか
し、分子線エピタキシー法を用いて膜を作製する場合、
SiのKセルの温度は、1000〜1300℃という高
温で制御する必要がある。しかしながら、このような高
温でしか使用できないというが逆に欠点にもなってい
る。すなわち、1000℃以上の高温のSiのKセルか
ら基板への輻射により、Siセルのシャッターを開け、
ドーピングを開始した瞬間に基板温度が上昇して結晶成
長の条件を乱すという問題がある。
【0007】また、Siは原子半径が小さいため、 III
−V族化合物半導体の格子中に侵入しやすく、活性化率
が小さいという問題もある。ここでいう活性化率とは、
ドープした不純物原子の数に対するn型不純物の割合の
ことである。ドーピングした不純物が、格子中に侵入し
た場合や、P,As,SbなどのV族元素を置換した場
合は、n型キャリアにはならないため、活性化率は低下
する。活性化率が低いということは、抵抗の温度依存性
を低減させるために高濃度の不純物ドーピングをしなけ
ればならず、不純物散乱による電子移動度の低下が大き
くなる。電子移動度の低下は、磁気センサにおいては感
度の低下を意味し、高速電子デバイスにおいては高周波
特性の低下を意味する。
【0008】さらに、活性化率が小さいことにより、も
う1つの問題が生じる。すなわち、成膜における製造上
の制御性の問題である。活性化率が小さい場合、わずか
な成長条件の違いによって活性化率が変化してしまい、
電子移動度や電子濃度の値のふれ幅が大きくなってしま
う。そのため、成長条件を精密に制御しないと、同一の
特性の膜が得られにくいという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子移動度
の低下を最小限に抑えつつ、抵抗の温度依存性を低減さ
せ、さらに薄膜製作の再現性や制御性に優れたn型ドー
パントを含むInSb薄膜を用いた半導体薄膜素子を提
供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、各種の不純物元素のドーピングを鋭意検討した結
果、Inx Ga1-x Asy Sb1-y (0≦x≦1,0≦
y≦1)のドーパントとしてSnを用いることにより、
電子移動度の低下を最小限に抑えつつ、電気抵抗の温度
依存性を低減させることを見いだし、さらに薄膜の製作
時の制御性、再現性に優れることを見いだした。
【0011】ドーパントとしてSnを用いることによ
り、500℃以上かつ1000℃以下のKセル温度でド
ーパントの蒸気圧の制御が可能になった。この温度範囲
は、Kセル温度が基板温度からの輻射の影響を受けず、
また、Kセル温度から基板温度への影響も少ない温度範
囲であり、基板温度およびKセル温度の制御性が良い。
さらに、Snは活性化率が高く安定しており、電子移動
度が格段に向上するとともに、再現性に優れることを見
いだした。
【0012】すなわち、本発明は、基板上に直接的にま
たは有機物絶縁層を介して間接的に積層された III−V
族化合物半導体薄膜層を動作層とし、該動作層中もしく
は該動作層と隣接した電気抵抗の高い層中にSnを含む
ことを特徴とした半導体薄膜であって、前記動作層中の
伝導電子濃度が2×1016cm-3以上であることを特徴
とする半導体薄膜素子である。本発明の半導体薄膜素子
は、より詳しくは、動作層の組成がInx Ga1-x As
y Sb1-y (0≦x≦1,0≦y≦1)からなることを
特徴とする半導体薄膜素子である。
【0013】さらに、本発明の半導体薄膜素子は、好ま
しくは、磁界が電流に及ぼす物理効果を利用することを
特徴とする薄膜磁気センサ素子である。この薄膜磁気セ
ンサ素子は、具体的には、ホール素子または磁気抵抗素
子である。
【0014】本発明は、 III−V族化合物半導体薄膜動
作層の少なくとも一方の面が III−V族化合物半導体層
とヘテロ接合を形成していることを特徴とする薄膜半導
体素子をも含む。
【0015】本発明の半導体薄膜素子は、基板温度の輻
射の影響を受けず、かつ、基板温度への影響も少ない温
度範囲である500℃以上かつ1000℃以下で蒸気圧
を制御できる原子を好ましいドーパントとして用いた半
導体素子である。
【0016】さらに、本発明によれば、Snをドープす
ることにより、薄膜の特性、特に電子移動度が向上し、
従来技術では得られなかった高感度の磁気センサーや、
高速で動作する半導体素子が作製できる。
【0017】本発明で、例えば、InSbにSnをドー
プしたとき、高い電子移動度の得られる理由の一つは、
以下のように考えられる。周期律表で、In、Sn、S
bはこの順に並んでいる。SnがInを置き換える場
合、陽イオン半径を比較すると、Inが0.80オング
ストロームで、Snが0.69オングストロームであ
り、非常に近く、SnはInを置き換えやすいと考えら
れる。また、SnがSbを置き換える場合、陰イオン半
径を比較すると、Snが2.94オングストロームで、
Sbが2.54オングストロームであり、やはり近い。
ドープされたSnは効率よくInを置き換え、またはS
bを置き換えやすいと考えられる。このため、ドープさ
れたSn原子が格子間に存在して電子が走行するための
妨害となることが少なく、高い電子移動度が得られる可
能性が大きい。また、InAsについても同様の可能性
がある。これが、Snをドープして高電子移動度の得ら
れる理由の一つであると、本発明者らは推定した。した
がって、Inx Ga1-x AsySb1-y (0≦x≦1,
0≦y≦1)の動作層組成でInを含む場合は、高い電
子移動度が特に得やすい。
【0018】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の半導体薄膜素
子の一具体例であるホール素子を示した。ここで、
(a)は素子の平面図であり、(b)は(a)のB−
B’線に沿う断面図である。また、図2には、本発明の
半導体薄膜素子の他の具体例である磁気抵抗素子を示し
た。ここでも、(a)は素子の平面図であり、(b)は
(a)のB−B’線に沿う断面図である。さらに、図3
には、基板1と動作層2のみからなる、本発明の半導体
薄膜素子の基本的な薄膜構造を示した。そして、図4に
は、動作層2に隣接して半導体絶縁層3が形成されてい
る、本発明の半導体薄膜素子であるホール素子の断面構
造を示した。また、図5には、動作層7,8の上下両面
に隣接してInSbに格子定数が近い半導体絶縁層また
は高電気抵抗層3,13が形成されている、本発明にか
かるホール素子の断面構造を示した。さらに、図6に
は、動作層2に隣接したInSbよりバンドギャップが
大きい半導体絶縁層もしくは高電気抵抗層13にSnが
ドープされ、前記動作層2に電子を供給するように構成
されている、本発明にかかる変調ドープ構造のホール素
子の断面構造を示した。図中、符号1は基板、2はIn
x Ga1-x Asy Sb1-y 薄膜(動作層)、3はGaA
y Sb1-y 等の半導体絶縁層(バッファ層)、4は金
属(配線部)、5はドープされたSn原子、6はドープ
されたSn原子(変調ドープ)、7はInAs薄膜(動
作層1)、8はInSb薄膜(動作層2)、10は金属
(ショートバー電極)、11は保護膜、13はGaAs
y Sb1-y 等の半導体絶縁層(中間層)である。
【0019】このように、電子供給層と動作層を別にす
ることにより、不純物散乱による電子移動度の低下を抑
えながら、動作層中の電子濃度を高めることができる。
【0020】本発明の半導体薄膜素子において、動作層
に隣接する半導体絶縁層または高電気抵抗層は、一般に
Inx Ga1-x Asy Sb1-y (0≦x≦1,0≦y≦
1)なる組成と比較してバンドギャップが大きい層であ
り、また、好ましくは格子定数が該組成の格子定数に近
い値を有するか一致することが好ましい。
【0021】本発明の半導体薄膜素子において、動作層
の膜厚に特に制限はないが、5nmから10ミクロンの
範囲において、素子の特性によって適宜選択される。
【0022】また、本発明の半導体薄膜素子において、
動作層へのSnのドープ量は、所望の温度特性に応じて
適宜選択されるが、2×1016cm-3以上5×1020
-3以下であり、さらに好ましくは、2×1016cm-3
以上5×1018cm-3以下であり、本発明にかかる半導
体薄膜素子によって磁気センサーを形成する場合のドー
プ量は、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下、
より好ましくは、1×1017cm-3以上5×1017cm
-3以下である。
【0023】本発明にかかる半導体薄膜素子は、これら
の例に限られることなく、上述の記載にある素子一般に
及ぶことはもちろんである。
【0024】
【実施例】以下、本発明素子の基板について説明する。
【0025】Inx Ga1-x Asy Sb1-y (0≦x≦
1,0≦y≦1)の結晶が直接エピタキシャル成長する
基板は、本発明素子の基板として適している。本発明素
子の好適な基板としては、Inx Ga1-x Asy Sb
1-y (0≦x≦1,0≦y≦1)と格子定数が近いかも
しくは同一であり、絶縁性もしくは半絶縁性、あるいは
高電気抵抗の III−V属化合物半導体の単結晶または混
晶がエピタキシャル成長する基板を、挙げることができ
る。
【0026】本発明素子の基板としては、通常、半導体
素子がつくられる表面が、平滑または鏡面研磨された基
板でよい。中でも、半絶縁性の単結晶GaAs基板、S
i単結晶基板、表面に絶縁層が形成されたSi単結晶基
板、耐熱性のガラス基板、表面が鏡面研磨されたセラミ
ック基板、表面が絶縁処理されるか、または表面に絶縁
層が形成されたフェライト基板(特に残留磁化が少ない
フェライト基板)は、好ましい材料である。また、特
に、結晶面に沿った平面が形成された基板や結晶面から
10°以下の傾きを持った単結晶基板は、エピタキシャ
ル成長性がよいので、好ましい基板である。
【0027】さらに、表面が劈開面からなるためにきわ
めて平滑な薄いマイカ基板も、本発明素子の薄膜構造を
製作するために、好ましく、磁気増幅型の磁気センサー
基板として、好適に用いられる。この場合は、マイカ基
板上に成長した化合物半導体層が絶縁性の接着層を介し
てフェライトやセラミック基板の表面に接着されて、素
子が形成される。特に、磁気センサーでは、フェライト
基板上に素子が製作されることで、高感度での磁界の検
出が可能となるので、好ましい。本発明素子の基板の表
面の平滑度は、10nm以下が好ましい。
【0028】以下、Inx Ga1-x Asy Sb1-y の組
成の一例であるInSbについて説明する。
【0029】(実施例1)半絶縁性のGaAs基板の上
に、MBE法を用いて1ミクロンの厚さのInSbの成
長を行った。ドーパントとしてSnを用い、InSbの
層に均一にドーピングを行った。基板の温度は410
℃、SnのKセルの温度は700℃であった。成長レー
トは1ミクロン/時間で行い、60分間成膜した。
【0030】膜の特性をファンデルポー法により測定し
た結果、電子移動度は44000cm2 /Vsec、シ
ート電子濃度は7.1×1012cm-2であった。また、
この膜の抵抗の温度係数は、−0.41%/℃であっ
た。
【0031】次に、ドーピングの制御性を調べるため、
基板温度を変化させたときのドーピングがどうなるのか
を調べた。その結果を図7に示した。図7に見るよう
に、膜の特性(シート電子濃度)は、基板温度を変えて
も、あまり大きく変化していない。すなわち、広い条件
範囲で安定な特性の半導体薄膜が得られた。
【0032】次に、Snの活性化率を調べた。SnのK
セルの温度を800℃としたとき、ファンデルポー法に
より測定した結果、電子濃度は1.5×1018cm-3
あり、また、SIMSを用いて分析した結果、InSb
中のSnの濃度は3×1018cm-3であった。これらの
結果から、Snの活性化率は50%であることが判明し
た。このことから、SnはInとSbを同じ割合で置換
しており、Snが格子間に存在せず、格子中に取り込ま
れていることが推定される。
【0033】さらに、このGaAs基板上に形成したI
nSb膜を用いて、半導体薄膜素子としてホール素子を
作製した。フォトリソグラフィーを応用し、InSbを
ホール素子のパターンに加工した。ここで、InSb層
は塩酸系のウェットエッチングにより加工し、電極は蒸
着とリフトオフ法により形成し、保護膜はプラズマ化学
気相成長法により形成した。ダイシングの後、該ホール
素子を、ダイボンディング、ワイヤーボンディング工程
を経て、トランスファーモールド工程により樹脂でパッ
ケージ化して、InSb薄膜単結晶のホール素子を作成
した。
【0034】このホール素子の特性は、素子の入力抵抗
値が50Ωであり、入力電圧1V、印加磁束密度50m
Tにおいて、ホール出力電圧90mV、オフセット電圧
1mVであり、電気抵抗の温度依存性が小さく高感度な
素子が得られた。
【0035】また、本発明素子を磁気センサーに適用し
たホール素子では、上記素子のGaAs基板を、例え
ば、50ミクロンの厚さに薄く研磨して、フェライトの
ような軟磁性基板を接着して磁界での感度をよくするこ
とも行われる。また、反対の面にも同様のフェライト基
板を接着して、さらに磁界での感度を上げることも行わ
れる。
【0036】(実施例2)実施例1と同様に、GaAs
基板上に形成したInSb膜を用いて、半導体薄膜素子
として磁気抵抗素子を作製した。
【0037】フォトリソグラフィーを応用し、InSb
薄膜をエッチングにより所望のパターンに形成し、さら
に、InSb薄膜の表面に電流通路に直交する構造でC
u/Ni/Auの三層からなるショートバー電極をフォ
トリソグラフィーを応用したリフトオフ法により形成
し、同時にCu/Ni/Auの三層からなるボンディン
グ電極を形成し、InSb薄膜磁気抵抗素子のパターン
をGaAs基板の表面に多数製作した。ダイシングの
後、該InSb薄膜磁気抵抗素子を、ダイボンディン
グ、ワイヤーボンディング工程を経て、トランスファー
モールド工程により樹脂でパッケージ化して、InSb
薄膜単結晶の磁気抵抗素子を作成した。
【0038】この磁気抵抗素子の特性は、磁束密度10
0mTと磁束密度0Tにおける抵抗の変化率が14%で
あり、電気抵抗の温度依存性は−0.3%/℃であっ
て、Snをドープしない場合の−2.0%/℃の温度依
存性に比較して小さく、高感度な素子が得られた。
【0039】(実施例3)半絶縁性のGaAs基板の上
に、MBE法を用いて、バッファー層として0.3ミク
ロンの厚さのGaAs0.1 Sb0.9 の成長を行い、続い
て、動作層として1ミクロンの厚さのInAs0.1 Sb
0.9 の成長を行った。ドーパントとしてSnを用いて、
動作層に均一にドーピングを行った。基板の温度は41
0℃、SnのKセルの温度は700℃であった。成長レ
ートは1ミクロン/時間で行い、60分間成膜した。
【0040】得られた薄膜の特性をファンデルポー法に
より測定した結果、電子移動度は38000cm2 /V
sec、シード電子濃度は7.4×1012cm-2であっ
た。また、この薄膜の電気抵抗の温度係数は、−0.6
2%/℃であった。
【0041】さらに、このGaAs基板上に形成したI
nSb膜を用いて、半導体薄膜素子としてホール素子を
作成した。フォトリソグラフィーを応用し、InSbを
ホール素子のパターンに加工した。ダイシングの後、該
ホール素子を、ダイボンディング、ワイヤーボンディン
グ工程を経て、トランスファーモールド工程により樹脂
でパッケージ化して、InSb薄膜単結晶のホール素子
を形成した。
【0042】ホール素子の特性は、素子の入力抵抗値が
60Ωであり、入力電圧1V、印加磁束密度50mTに
おいて、ホール出力電圧80mV、オフセット電圧1m
Vであり、電気抵抗の温度依存性が小さい高感度な素子
が得られた。
【0043】また、動作層に均一なドーピングをする代
わりに、バッファー層にドープしてもよく、その場合も
同様の効果が得られる。
【0044】[比較例1]半絶縁性のGaAs基板の上
に、MBE法を用いて1ミクロンの厚さのInSbの成
長を行った。ドーパントとしてSiを用い、InSbの
層に均一にドーピングを行った。基板の温度は410
℃、SiのKセルの温度は1110℃であった。成長レ
ートは1ミクロン/時間で行い、60分間成膜した。
【0045】得られた薄膜の特性をファンデルポー法に
より測定した結果、電子移動度は33000cm2 /V
sec、シート電子濃度は7.1×1012cm-2であっ
た。また、この薄膜の電気抵抗の温度係数は、−0.4
%/℃であった。実施例1とほぼ同じような抵抗の温度
依存性を示すが、電子移動度は小さい。
【0046】次に、ドーピングの制御性を調べるため、
基板温度を変化させたときのドーピングがどうなるかを
調べた。その結果を図7に示した。図7に見るように、
成長したInSb中のシート電子濃度は、Siをドープ
する場合はドーピング条件を一定にしても基板温度によ
って大きく変化している。
【0047】一方、Snをドープする場合、ドーピング
条件が一定なら成長したInSb膜中のシート電子濃度
は、基板温度によらず一定であり、ドーピングは極めて
容易にできる。したがって、Snドープの制御性が極め
て安定で良いことが分かる。
【0048】(実施例4)厚さ30ミクロンで表面が平
滑なマイカ基板の上に、MBE法を用いて0.8ミクロ
ンの厚さのInSbの多結晶薄膜の成長を行った。次
に、薄膜の成長中にドーパントとしてSnを用い、In
Sbの層に均一にドーピングを行った。基板の温度は4
10℃、SnのKセルの温度は700℃であった。成長
レートは1ミクロン/時間で行い、50分間成膜した。
【0049】得られた薄膜の特性をファンデルポーによ
り測定した結果、電子移動度は39000cm2 /Vs
ec、電子濃度は7.1×1012cm-2であった。ま
た、この膜の抵抗の温度係数は、−0.40%/℃であ
った。
【0050】次に、このInSb多結晶薄膜を厚さ0.
3mmの残留磁束密度の極めて小さいソフトフェライト
であるNiZnフェライト基板上に耐熱性の樹脂により
接着した。次いで、マイカ基板を剥離し、フェライト基
板の表面に有機物の接着層によりInSb多結晶薄膜が
接着されたウェハー状構造体を形成した。このInSb
薄膜をフォトリソグラフィーを応用し、所望のパターン
にエッチング加工し、次いで、フォトグラフィーを応用
したリフトオフ法により、所要の部位に4個の電極を形
成した。この4個の電極は、金ワイヤーによるボンディ
ングのためのCu/Ni/Auの三層からなり、表面に
は金層があり、InSbに接するオーミック電極として
CuがInSbに接している構造に形成した。このよう
にして、InSbホール素子をフェライト基板上に多数
形成した。次に、ホール素子パターンの中央のMnZn
系の一辺0.3mmの立方体からなるソフトフェライト
のチップを接着した。その結果、フェライト基板上に多
数のホール素子が形成された。ダイシングソーにより個
別のホール素子に切り離した後、該ホール素子を、ダイ
ボンディング、ワイヤーボンディング工程を経て、トラ
ンスファーモールド工程により、エポキシ樹脂でパッケ
ージ化して、図8にその断面構造を示した磁気増幅構造
のInSb多結晶薄膜のホール素子を形成した。図8に
おいて、符号21はフェライト基板、22はチップ接着
層、23は金ワイヤー、24はフェライト、25は接着
層である。
【0051】このホール素子の特性は、素子の入力抵抗
値が50Ωであり、入力電圧1V、印加磁束密度50m
Tにおいて、ホール出力電圧400mV、オフセット電
圧1mVであり、室温付近での入出力抵抗値の温度依存
性は、−0.40%/℃であり、極めて小さい。定電圧
駆動のホール電圧の依存性も、−0.36%/℃であ
り、極めて小さい。本発明素子は、パッケージにしない
裸のチップ状態ではもちろん、パッケージにしても、用
いることができる。
【0052】さらに、本発明素子と回路素子とを組み合
わせた素子の例についても説明する。本発明のホール素
子は、そのホール電圧を増幅する回路素子、例えば、S
iのICとして製作されて増幅回路素子チップと一緒に
パッケージにされ、いわゆるハイブリッド構造のホール
ICが製作されることもしばしばあり、本発明の範囲で
ある。
【0053】また、このような増幅回路素子と組み合わ
せて一つのパッケージにしたハイブリッド構造は、ホー
ル素子の例に限らない。このようなハイブリッド化は、
本発明にかかる素子では、しばしば行われることであ
り、上述の磁気抵抗素子の場合もしばしば行われる。こ
のような例も全て本発明に含まれる。
【0054】
【発明の効果】本発明の半導体薄膜素子は、電子移動度
の低下を最小限に抑えつつ、抵抗の温度依存性を低減さ
せ、さらに製造上も制御性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる半導体薄膜素子の一例であるホ
ール素子を示すもので、(a)は平面図であり、(b)
は(a)のB−B’線に沿う断面図である。
【図2】本発明に係る半導体薄膜素子の他の例である磁
気抵抗素子を示すもので、(a)は平面図、(b)は
(a)のB−B’線に沿う断面図である。
【図3】本発明にかかる半導体薄膜素子の基本的薄膜構
造を示す断面図である。
【図4】動作層に隣接して半導体絶縁層が形成されてい
る構造の本発明素子の断面図である。
【図5】動作層の上下両面に隣接してInSbに格子定
数が近い半導体絶縁層または高電気抵抗層が形成されて
いる構造の本発明素子の断面図である。
【図6】動作層に隣接したInSbよりバンドギャップ
が大きい半導体絶縁層もしくは高抵抗層にSnがドープ
され、前記動作層に電子を供給するように構成されてい
る、変調ドープ構造の本発明素子の断面図である。
【図7】本発明素子におけるInSb膜のシート電子濃
度の基板温度依存性を示したグラフである。
【図8】本発明素子の一具体例を示すもので、エポキシ
樹脂でパッケージ化した磁気増幅構造のInSb多結晶
薄膜ホール素子の断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 Inx Ga1-x Asy Sb1-y 薄膜(動作層) 3 GaAsy Sb1-y 等の半導体絶縁層(バッファ
層) 4 金属(配線部) 5 ドープされたSn原子 6 ドープされたSn原子(変調ドープ) 7 InAs薄膜(動作層1) 8 InSb薄膜(動作層2) 10 金属(ショートバー電極) 11 保護膜 13 GaAsy Sb1-y 等の半導体絶縁層(中間層) 21 フェライト基板 22 チップ接着層 23 金ワイヤー 24 フェライト 25 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦原 新 静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成工業 株式会社内 Fターム(参考) 2F063 GA52 GA79 2G017 AB05 AC04 AC06 AD53 AD55 AD61 AD65

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に直接的にまたは有機物絶縁層を
    介して間接的に積層された III−V族化合物半導体薄膜
    層を動作層とし、該動作層中もしくは該動作層と隣接し
    た電気抵抗の高い層中にSnを含むことを特徴とした半
    導体薄膜素子であって、 前記動作層中の伝導電子濃度が2×1016cm-3以上で
    あることを特徴とする半導体薄膜素子。
  2. 【請求項2】 前記 III−V族化合物半導体薄膜動作層
    の少なくとも一方の面が III−V族化合物半導体層とヘ
    テロ接合を形成していることを特徴とする請求項1に記
    載の半導体薄膜素子。
  3. 【請求項3】 前記動作層の組成がInx Ga1-x As
    y Sb1-y (0≦x≦1,0≦y≦1)であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の半導体薄膜素子。
  4. 【請求項4】 磁界が電流に及ぼす物理効果を利用する
    薄膜磁気センサ素子であることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれかに記載の半導体薄膜素子。
  5. 【請求項5】 前記薄膜磁気センサ素子がホール素子で
    あることを特徴とする請求項4に記載の半導体薄膜素
    子。
  6. 【請求項6】 前記薄膜磁気センサ素子が磁気抵抗素子
    であることを特徴とする請求項4に記載の半導体薄膜素
    子。
JP11084504A 1999-03-26 1999-03-26 半導体薄膜素子 Pending JP2000277830A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11084504A JP2000277830A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 半導体薄膜素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11084504A JP2000277830A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 半導体薄膜素子

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009229922A Division JP5048033B2 (ja) 2009-10-01 2009-10-01 半導体薄膜素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000277830A true JP2000277830A (ja) 2000-10-06

Family

ID=13832486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11084504A Pending JP2000277830A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 半導体薄膜素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000277830A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7714360B2 (en) * 2005-07-13 2010-05-11 Sanken Electric Co., Ltd. Surface-stabilized semiconductor device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7714360B2 (en) * 2005-07-13 2010-05-11 Sanken Electric Co., Ltd. Surface-stabilized semiconductor device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0450601B1 (en) Magnetoelectric transducer and process for producing the same
US6590389B1 (en) Magnetic sensor, magnetic sensor apparatus, semiconductor magnetic resistance apparatus, and production method thereof
KR960001197B1 (ko) 반도체 센서 및 그 제조방법
US8154280B2 (en) Thin film lamination, thin film magnetic sensor using the thin film lamination and method for manufacturing the thin film lamination
JP5079525B2 (ja) 薄膜積層体及びそれを用いたInSb薄膜磁気センサ並びにその製造方法
US8823146B1 (en) Semiconductor structure having silicon devices, column III-nitride devices, and column III-non-nitride or column II-VI devices
JP5048033B2 (ja) 半導体薄膜素子の製造方法
JP2793440B2 (ja) 磁気センサおよびその製造方法
JP2518963B2 (ja) InAsホ―ル素子
JP3069545B2 (ja) 化合物半導体を含む積層体およびその製造方法
JP2003060255A (ja) ホール素子及びホールic
JP2000277830A (ja) 半導体薄膜素子
JP2000138403A (ja) 薄膜磁気センサ―
JP2001291714A (ja) 絶縁膜の形成方法
JPS63160375A (ja) 電界効果トランジスタ及びその製造方法並びに半導体デバイスの製造方法
JP2589855B2 (ja) InAsホール素子用薄膜
JP2597774Y2 (ja) ホール素子
JP3332417B2 (ja) ホール素子及びその製造方法
JP4764311B2 (ja) 半導体磁気抵抗装置
JP2597105Y2 (ja) ホール素子
JP3456254B2 (ja) ホール素子用エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
JP2022178001A (ja) ヘテロ構造およびその作製方法
JP3287054B2 (ja) 磁電変換素子
JP3287053B2 (ja) GaInAs磁電変換素子
JP2847307B2 (ja) 磁性半導体素子及びその製造方法並びに磁気光読み取りヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060217

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091204