JP2000270812A - ミネラル吸収促進剤 - Google Patents

ミネラル吸収促進剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミネラル吸収促進剤、及び、ミネラル吸収促
進作用を有する飲食品を提供する。 【解決手段】 チーズ製造時に副生するホエータンパク
質含有溶液を原料として得られるκ−カゼイングリコマ
クロペプチドや、κ−カゼイングリコマクロペプチドの
酵素分解物をミネラル吸収促進剤として飲食品に配合し
て、ミネラル吸収促進作用を賦与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なミネラル吸
収促進剤及びミネラル吸収促進作用を有する飲食品に関
する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウムは、生体内で多くの酵素反
応に関与している、生体にとって重要なミネラルであ
る。また、マグネシウムは、生体内においては、骨に多
く存在しているため、その欠乏は骨粗鬆症、骨軟化症の
原因となる。さらに、マグネシウム欠乏は、糖尿病、高
血圧症等の疾患の一因であると考えられている。また、
疫学的な調査から、マグネシウムのカルシウムに対する
相対的な摂取不足は、虚血性心疾患の一因であると考え
られている。さらに、健常人においても、スポーツ等に
よるトレーニング時の運動機能の向上にマグネシウムの
摂取が有効であることも報告されている。
【0003】このように、最近の多くの研究からマグネ
シウムが生体内で重要な生理的役割を担っていることが
明らかにされつつある。現在、ヒトにおけるマグネシウ
ムの1 日あたりの目標摂取量は、300mg とされている
が、食生活の中でこの目標を達成するのは困難であり、
実際の食事調査でもその摂取量は200mg 程度と推定さ
れ、100mg 程度の摂取不足が指摘され問題となってい
る。
【0004】さらに、人体の各器官の構成、代謝等のた
めには、マグネシウムのみならず各種ミネラル類がバラ
ンス良く吸収されることが必要である。
【0005】例えば、亜鉛が欠乏すると、発育不良、皮
膚障害、味覚障害等の原因となり、鉄が欠乏すると、貧
血、発育不良等の原因となり、また、銅が欠乏すると、
骨障害、貧血等の原因となる。
【0006】一方、ミネラルの吸収を促進させる素材と
しては、カゼインホスホペプチド(以下、CPP と略記す
る)が知られている(特開平7-241172号公報)。CPP
は、カゼインにトリプシンを作用させて、加水分解した
分解物中に得られるホスホペプチドで、親水性の高いア
ミノ酸やホスホセリンを多く含んでいるため、ミネラル
と可溶性の複合体を形成する。このため、水溶液中でミ
ネラルが沈澱するのを抑制し、ミネラルを可溶化して、
ミネラルの吸収率を高めるものと考えられている。この
ようなCPP のミネラル吸収促進作用を利用して、CPP を
飲食品に配合させることも行われているが、CPP は、カ
ゼインの酵素分解物であるため、原料であるカゼインを
酵素反応させる必要があり、また、酵素分解する際に副
生するペプチドが苦味を呈するため、飲食品に混合する
場合にはこの苦味を有するペプチドを十分に分離する必
要がある等、幾つかの問題点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
状況を鑑み、ミネラルの吸収を促進する物質について鋭
意研究した結果、チーズ製造時に副生するホエータンパ
ク質含有溶液を原料として得られるκ−カゼイングリコ
マクロペプチド、あるいはその酵素分解物が、腸管内で
ミネラルの吸収を促進する効果を有することを見いだ
し、本発明を完成するに至った。従って、本発明は、新
規なミネラル吸収促進剤、及び、ミネラル吸収促進作用
を有する飲食品を提供することを課題とする。さらに具
体的には、本発明は、κ−カゼイングリコマクロペプチ
ド及び/又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素
分解物を有効成分とするミネラル吸収促進剤を提供する
こと、及び、κ−カゼイングリコマクロペプチド及び/
又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物を
配合したミネラル吸収促進作用を有する飲食品を提供す
ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のミネラル吸収促
進剤の有効成分として用いるκ−カゼイングリコマクロ
ペプチドは、チーズ製造時の副産物であるホエー中に遊
離してくることが従来から知られている。また、κ−カ
ゼイングリコマクロペプチドは、従来、肥満防止用食品
素材として利用されたり、大腸菌の腸管細胞への付着阻
止やインフルエンザウイルスの感染を防止する効果や抗
歯石効果のあることも確認されている。また、κ−カゼ
イングリコマクロペプチド及び/又はκ−カゼイングリ
コマクロペプチドの酵素分解物には、カルシウムを可溶
化して、その吸収を促進させる効果があることが報告さ
れている(特開平10-117728 号公報)。
【0009】しかしながら、κ−カゼイングリコマクロ
ペプチドが腸管内でカルシウム以外のミネラル(マグネ
シウム、亜鉛、鉄、銅等)の吸収を促進する効果に関し
ては、未だ知られておらず、本発明は、κ−カゼイング
リコマクロペプチドのこのような新規な用途を見いだし
たものである。また、κ−カゼイングリコマクロペプチ
ドの酵素分解物にも同様の効果があることを見いだし、
同様の用途に供することを見いだしたものである。
【0010】すなわち、本発明は、κ−カゼイングリコ
マクロペプチド及び/又はκ−カゼイングリコマクロペ
プチドの酵素分解物を有効成分とするミネラル吸収促進
剤に関する。また、本発明は、κ−カゼイングリコマク
ロペプチド及び/又はκ−カゼイングリコマクロペプチ
ドの酵素分解物を配合したミネラル吸収促進作用を有す
る飲食品に関する。本発明においては、κ−カゼイング
リコマクロペプチド又はκ−カゼイングリコマクロペプ
チドの酵素分解物を、それぞれ単独で用いてもよいし、
あるいは、両者を併用してもよい。また、本発明では、
特に、κ−カゼイングリコマクロペプチド・κ−カゼイ
ングリコマクロペプチドの酵素分解物/ミネラル比がマ
グネシウム0.5 以上、亜鉛30以上、鉄3.5 以上、銅15以
上となるようにすると、ミネラルの吸収をさらに促進す
ることができるので、好ましい。
【0011】κ−カゼイングリコマクロペプチド(以
下、GMP と略記する)は糖ペプチドの一種で、牛乳タン
パク質の80〜85%を占めるカゼインのうちで唯一の糖タ
ンパク質であるκ−カゼインの糖鎖を含むC 末端ペプチ
ドであり、κ−カゼインの106-169 残基に相当し、分子
量は、約7,000 である。また、GMP は、グルタミン酸残
基を多く持つほか、糖鎖中にシアル酸残基を持つなど、
カルボキシル基に富んでいる。このため、GMP とミネラ
ルが共存すると、分子中のGMP に隣接するカルボキシル
基同士でミネラルをキレート結合し、ミネラルが不溶性
の塩を形成して沈澱するのを防止し、ミネラルを可溶化
させる。従って、GMP を経口摂取すると、前記したGMP
のミネラル可溶化作用が腸管内でおこり、腸管内におけ
るミネラルの吸収が促進される。
【0012】一般に、ガストリン、セクレチン、コレシ
ストキニン等消化管に受容体を持つ生理活性ペプチドの
場合、経口摂取すると受容体に到達する前に、消化酵素
により分解されるため、その機能を失うことが問題とな
るが、GMP のミネラル可溶化力はGMP 中に数多く存在す
るカルボキシル基に依存するため、消化酵素によって機
能を喪失することはない。また、GMP の酵素分解物につ
いても同様に消化酵素による影響を受けない。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明においてGMP は、公知の方
法で分離したものを使用することができる。例えば、レ
ンネットカゼインカードを調製する際に得られる廃液
(ホエー)を原料として用い、この廃液のpHを酸性領域
に調整し、生成する沈澱を除去し、次いで得られる上澄
みを脱塩処理する(特開昭63-284199 号公報)ことによ
り、また、チーズホエー、ホエータンパク質濃縮物、除
タンパク質チーズホエー等を、まず、pH4 未満に調整し
た後、分画分子量10,000〜50,000の膜を用い限外濾過処
理をして透過液を得、好ましくは再度、この透過液をpH
4 以上に調整した後、分画分子量50,000以下の膜を用い
て脱塩濃縮する(特開平2-276542号公報)ことにより、
また、ホエータンパク質含有溶液を原料として加熱、凍
結及び解凍の操作を行う(特開平3-294299号公報)こと
により、また、GMP を有する乳質原料物質を脱塩し、電
気伝導度4mS/cm以下のものを得て、これのpHを4 未満に
調整し、分画分子量10,000〜50,000の膜を用いて濃縮す
る(特開平6-1800号公報)ことにより、GMP を分離する
ことができる。
【0014】上記方法により分離されるGMP は、いずれ
も80%以上の高純度のものとなる。しかも、無味無臭で
あり、溶解性が良好で、耐熱性も備えている。
【0015】本発明では、このようにして得られたGMP
を糖衣錠やタブレット等のミネラル吸収促進剤として用
いることができる。また、GMP を各種飲食品、例えば、
清涼飲料水、果汁飲料、発酵飲料等の飲料、ゼリー、ア
イスクリーム、クッキー、キャンディー等の菓子、パ
ン、その他の飲食品に配合して、これらの飲食品にミネ
ラル吸収促進作用を賦与することができる。
【0016】特に、GMP とミネラルを共に飲食品中に含
有せしめることにより、ミネラル吸収促進効果をさらに
強めることができる。すなわち、牛乳、乳飲料、チー
ズ、粉乳等のミネラルを含有する飲食品に対してGMP を
配合するか、又は、ミネラルを含有しない飲食品に対し
てGMP とミネラルを共に配合すると、ミネラル吸収促進
効果を一層促進することができる。また、ミネラルを含
有する飲食品に対してミネラル強化等の目的でさらにミ
ネラルを配合すると共にGMP を配合してもよい。
【0017】いずれの場合でも、 GMP・GMP の酵素分解
物/ミネラル比(重量/重量)でマグネシウム0.5 以
上、亜鉛30以上、鉄3.5 以上、銅15以上とすることが好
ましい。このようにすることにより、腸管内でのミネラ
ル吸収が統計的に有意に促進される(試験例1)。
【0018】なお、これら各種飲食品の用途対象は、乳
児、幼児、妊産婦、高齢者を含めたあらゆる年齢層が含
まれる。
【0019】また、GMP の酵素分解物は、前記公報に記
載された方法により分離されたGMPを酵素により加水分
解して得ることができる。ここで、使用可能な酵素とし
ては、タンパク質分解酵素としてペプシン、トリプシ
ン、キモトリプシン、パパイン等、糖鎖を分解する酵素
としてグルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、シアリダー
ゼ等を挙げることができる。また、酵素処理の方法や、
酵素/基質については特に限定はない。例えば、GMP に
ペプシンあるいはシアリダーゼを加え、これらの酵素の
作用温度で10分間〜2時間反応用させてGMP を酵素分解
し、分子量7,000〜200 程度の低分子ペプチドとしたも
のが用いられる。このようなGMP の酵素分解物に関して
もGMP 同様に、GMP の酵素分解物を有効成分とする経口
ミネラル吸収促進剤として使用し、又は、ミネラルを含
有する飲食品にGMP の酵素分解物を配合し、あるいはミ
ネラルを含有しない飲食品にミネラルと共にGMP の酵素
分解物を配合し、あるいはミネラルを含有する飲食品に
ミネラルを配合すると共にGMP の酵素分解物を配合して
用いることができる。
【0020】また、いずれの場合でも、GMP の酵素分解
物/ミネラル比(重量/重量)をマグネシウム0.5 以
上、亜鉛30以上、鉄3.5 以上、銅15以上とすることが好
ましく、このような配合比率とすることにより、腸管内
でのミネラル吸収を統計的に有意に促進させることがで
きる(試験例2)。
【0021】また、GMP とGMP の酵素分解物の混合物を
調製し、飲食品に配合して用いることもできる。なお、
この場合も同様に、経口ミネラル吸収促進剤として、又
はミネラルを含有する飲食品に配合し、あるいはミネラ
ルを含有しない飲食品にミネラルを配合すると共に配合
し、 GMP・GMP の酵素分解物/ミネラル比(重量/重
量)をマグネシウム0.5 以上、亜鉛30以上、鉄3.5 以
上、銅15以上とすればよい。
【0022】なお、GMP 及びGMP の酵素分解物は、乳由
来の物質であるため、経口的に摂取する場合には人体に
及ぼす悪影響は何ら認められず、その摂取量について特
に制限はない。
【0023】本発明のκ−カゼイングリコマクロペプチ
ド及び/又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素
分解物を配合したことを特徴とするミネラル吸収促進作
用を有する飲食品に添加するミネラル類としては、マグ
ネシウム、亜鉛、鉄、銅等の微量元素の少なくとも1種
を用いればよい。
【0024】マグネシウムとしては、塩化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム等の無機化合物、グルタミン酸マ
グネシウム等の有機化合物が用いられる。亜鉛として
は、硫酸亜鉛等の無機化合物、グルコン酸亜鉛等の有機
化合物が用いられる。鉄としては、塩化第二鉄、ピロリ
ン酸第一鉄、硫酸第一鉄等の無機化合物、クエン酸鉄、
グルコン酸第一鉄、乳酸鉄等の有機化合物が用いられ
る。銅としては、硫酸銅等の無機化合物、グルコン酸銅
等の有機化合物が用いられる。また、上記のマグネシウ
ム、亜鉛、鉄、銅等の微量元素は、例えば、牛骨、豚
骨、鶏骨等の家畜、家禽類の骨粉、まぐろ、かつお、い
わし、さば、さんま等の各種魚類の魚骨粉、きな粉、の
り、魚肉、バナナ、ほうれん草、レバー等、マグネシウ
ム、亜鉛、鉄、銅等を含有する天然物の形で添加しても
よい。
【0025】以下に、実施例及び試験例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0026】
【実施例1】GMP の調製 ホエータンパク質濃縮物(サンラクトN-2 、太陽化学社
製)1kg を50℃の水50L に溶解し、濃塩酸により、pH3.
5 に調整した。これを、分画分子量20,000の限外濾過膜
(GR61PP,DDS社製)を用い、50℃、圧力 0.4 MPa、平均
透過液流速52.4L/m2・h にて限外濾過を行った。透過液
流量が40L に達した時点で濃縮液に50℃の水40L を加
え、連続して限外濾過を行った。このような限外濾過の
操作を連続して4回繰り返し、透過液160Lを得た。得ら
れた透過液に25% 苛性ソーダを加えてpH7.0 とし、再
度、同じ条件下、同じ限外濾過膜で濃縮液が5Lになるま
で限外濾過を行い、脱塩濃縮した。続いて、50℃の水を
加え、濃縮液量を常に10L に保ちながら、同じ条件下、
同じ限外濾過膜でダイアフィルトレーションを行い、さ
らに脱塩した。このダイアフィルトレーションにより透
過液量が80L に達した時点で、濃縮液に水を加えるのを
やめ、濃縮液量が2Lになるまで限外濾過にて濃縮し、こ
の濃縮液を乾燥し、GMP 54g を得た。得られたGMP をウ
レア-SDS電気泳動法により分析した結果、純度は、82%
であった。なお、ウレア-SDS電気泳動法では、まず、サ
ンプルを電気泳動し、これをクマシーブルー染色し、得
られた染色ゲルをデンシトメーター(GELMANACD-12)に
かけ、そのピーク面積からサンプル中のGMP 純度を決定
した。
【0027】
【実施例2】GMP の酵素分解物の調製 (1) GMP のペプシン分解物の調製 実施例1で得られたGMP を用い、0.1 %GMP 溶液100ml
を調製した。この溶液を0.1N HClでpH2 に調整し、ブタ
由来ペプシン(シグマ社製)1mg を加えた(酵素/ 基質
比=1/100)。この溶液を37℃で30分間インキュベートし
た後、100 ℃、5 分間加熱して酵素反応を停止させた。
反応液をマイクロフィルター(ポアサイズ0.45μm )に
通して沈澱物を除去し、この透過液を凍結乾燥して、GM
P のペプシン分解物を得た。
【0028】(2) GMP のシアリダーゼ分解物の調製 実施例1で得られたGMP 100mg を 0.1M 酢酸緩衝液(pH
5.0 )100ml に溶解し、シアリダーゼ(シグマ社製)5m
g を加えた(酵素/基質比=1/20)。この溶液を30℃で
30分間インキュベートした後、100 ℃、5 分間加熱して
酵素反応を停止させた。反応液をマイクロフィルター
(ポアサイズ0.45μm )に通して沈澱物を除去し、この
透過液を、透析膜(スペクトラポア、分画分子量3,500
、スペクトラム社製)を用いて、4 ℃以下で3 日間透
析し、脱塩した。透析内液を凍結乾燥して、GMP のシア
リダーゼ分解物を得た。
【0029】
【試験例1】GMP のミネラル吸収促進作用 ミネラル吸収試験は、体重約300gの8 週齢のSprague-Da
wley系雄ラットを1 群8 匹とし、表1に示す実施例1で
得られたGMP を配合した飼料及びイオン交換水を自由摂
取させ、12時間の明暗サイクルで飼育した。なお、表1
で示した飼料のミネラル組成は、飼料100gあたり、カル
シウム360mg 、リン840mg 、マグネシウム60mg、亜鉛1.
0mg 、鉄8.0mg 、銅2.0mg であった。飼育開始から7 日
後に各ラットを代謝ケージに入れ、72時間の飼料摂取量
及び糞排泄量を測定し、糞中に排泄されたミネラル(マ
グネシウム、亜鉛、鉄、銅)量をICP 発光分析装置で定
量した。見かけのミネラル吸収率は、以下の式で求め、
GMP を添加していない飼料を与えた群をコントロールと
し、Turkey-Kramer 法により多重比較し、GMP のミネラ
ル吸収促進効果を調べた。その結果を表2に示す。
【0030】見かけのミネラル吸収率(%)=〔{(摂
取した飼料中のミネラル量)−(糞中に排泄されたミネ
ラル量)}/(摂取した飼料中のミネラル量)〕×100
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表2に示すように、GMP/ミネラル比がマグ
ネシウム0.5 以上、亜鉛30以上、鉄3.5 以上、銅15以上
の場合、GMP によるミネラル吸収促進効果が認められ
た。
【0034】
【試験例2】GMP の酵素分解物のミネラル吸収促進作用 ミネラル吸収試験は、試験例1と同様の方法で行った。
具体的には、体重約300gの8 週齢のSprague-Dawley系雄
ラットを1 群8 匹とし、表3に示す実施例2の(2) で得
られたGMP のシアリダーゼ分解物を配合した飼料及びイ
オン交換水を自由摂取させ、12時間の明暗サイクルで飼
育した。なお、表3で示した飼料のミネラル組成は、飼
料100gあたり、カルシウム360mg 、リン840mg 、マグネ
シウム60mg、亜鉛1.0mg 、鉄8.0mg 、銅2.0mg であっ
た。飼育開始から7 日後に各ラットを代謝ケージに入
れ、72時間の飼料摂取量及び糞排泄量を測定し、糞中に
排泄されたミネラル(マグネシウム、亜鉛、鉄、銅)量
をICP 発光分析装置で定量した。見かけのミネラル吸収
率は、以下の式で求め、GMP のシアリダーゼ分解物を添
加していない飼料を与えた群をコントロールとし、Turk
ey-Kramer 法により多重比較し、GMP のシアリダーゼ分
解物のミネラル吸収促進効果を調べた。その結果を表4
に示す。
【0035】見かけのミネラル吸収率(%)=〔{(摂
取した飼料中のミネラル量)−(糞中に排泄されたミネ
ラル量)}/(摂取した飼料中のミネラル量)〕×100
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表4に示すように、GMP のシアリダーゼ分
解物/ミネラル比がマグネシウム0.5 以上、亜鉛30以
上、鉄3.5 以上、銅15以上の場合、GMP のシアリダーゼ
分解物によるミネラル吸収促進効果が認められた。
【0039】
【実施例3】実施例1により得られたGMP を配合した飲
用牛乳を製造した。生乳100ml あたり 10mg のGMP 粉末
を添加し、120kg/cm2 でホモゲナイズした後、120 ℃で
4 秒間殺菌した。その後、常法に従って冷却、充填を行
った。得られた飲用牛乳のマグネシウム含量は、10mg/1
00mlであり、GMP/マグネシウム比は1 であった。また、
得られた飲用牛乳は、GMP を含んでいても、風味は、通
常の飲用牛乳と全く同じ良好なものであった。
【0040】
【実施例4】実施例2の(1) で得られたGMP のペプシン
分解物を配合したヨーグルトを製造した。脱脂粉乳を固
形率が12%となるように水に溶解し、100ml あたりGMP
のペプシン分解物粉末600mg を添加し、L.acidophilus
とS.thermophilusを接種した。乳酸酸度が1.0 %、pHが
4.3 になった時点で、5 ℃に冷却した。このようにして
得られたスターターカルチャーを、殺菌した脂肪分3.5
%の生乳に5 %接種した。スターターを接種後、発酵、
フレーバリング、冷却を常法通り行った。得られたヨー
グルトのマグネシウム含量は、10mg/100g であり、GMP
のペプシン分解物/マグネシウム比は3 であった。ま
た、得られたヨーグルトは、GMP のペプシン分解物を含
有していても、風味、物性、食感には全く影響を及ぼさ
ず、良好なものであった。
【0041】
【実施例5】実施例2の(2) で得られたGMP のシアリダ
ーゼ分解物を配合したプロセスチーズを調製した。原料
チーズとして、ゴーダチーズとチェダーチーズを1:1 の
割合で混合し、これに溶融塩としてクエン酸ナトリウム
を原料チーズに対して2 %、水を10%、GMP のシアリダ
ーゼ分解物粉末を0.01%配合し、乳化温度85℃で常法に
従って乳化した。乳化後、チーズをカルトンに充填し、
2 昼夜5 ℃で冷却した。得られたプロセスチーズのマグ
ネシウム含量は、19mg/100g であり、GMP のシアリダー
ゼ分解物/マグネシウム比は0.5 であった。また、得ら
れたプロセスチーズは、GMP のシアリダーゼ分解物を含
有していても風味、物性、食感は通常のチーズと同じ良
好なものであった。
【0042】
【実施例6】実施例1で得られたGMP 粉末を配合したク
ッキーを製造した。牛骨粉(マグネシウム含量0.5 %)
100 部に対して、GMP 粉末1 部及び硫酸第一鉄7水和物
1 部を配合したものを GMP・ミネラル混合物とし、表5
に示す配合で、常法に従いクッキーを製造した。
【0043】
【表5】
【0044】得られたクッキーのGMP/マグネシウム比は
2 、GMP/鉄比は5 であった。また、得られたクッキー
は、GMP を含有していても風味、物性、食感は通常のク
ッキーと同じ良好なものであった。
【0045】
【発明の効果】本発明のGMP 及び/又はGMP の酵素分解
物を有効成分とするミネラル吸収促進剤及びこれらの化
合物を含有する飲食品により、マグネシウムをはじめ各
種のミネラルの腸管内での吸収を促進することができ
る。また、GMP は牛乳由来であるため、副作用の心配が
無く、極めて安全である。GMP 及び/又はGMP の酵素分
解物は、溶解性も良好で、無味無臭であるため、どのよ
うな飲食品にも適用できる。さらに、GMP は、チーズ製
造時の副産物であるチーズホエーから得られるため、安
価に提供することができ、有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/42 A23L 2/00 J Fターム(参考) 4B017 LC03 LK01 LK15 LK18 LP06 LP12 4B018 LB00 LB01 LB07 LB08 LB10 MD01 MD03 MD05 MD06 MD15 MD19 MD20 MD21 MD22 MD23 MD30 MD34 MD35 MD49 MD71 MD72 MD73 ME02 MF12 4C076 AA29 BB01 CC40 CC50 DD51 DD67 EE31 EE38 EE41N EE53 FF34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 κ−カゼイングリコマクロペプチド及び
    /又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物
    を有効成分とするミネラル吸収促進剤。
  2. 【請求項2】 κ−カゼイングリコマクロペプチド及び
    /又はκ−カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物
    を配合したことを特徴とするミネラル吸収促進作用を有
    する飲食品。
  3. 【請求項3】 ミネラル類として、マグネシウム、亜
    鉛、鉄、銅のうちの少なくとも1種を含有する請求項2
    記載の飲食品。
  4. 【請求項4】 κ−カゼイングリコマクロペプチド・κ
    −カゼイングリコマクロペプチドの酵素分解物/ミネラ
    ル比がマグネシウム0.5 以上、亜鉛30以上、鉄3.5 以
    上、銅15以上となるようにした請求項2又は3記載の飲
    食品。
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