JP2000269019A - フェライト磁心、その製造方法およびインダクタンス部品 - Google Patents

フェライト磁心、その製造方法およびインダクタンス部品

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JP2000269019A
JP2000269019A JP11076448A JP7644899A JP2000269019A JP 2000269019 A JP2000269019 A JP 2000269019A JP 11076448 A JP11076448 A JP 11076448A JP 7644899 A JP7644899 A JP 7644899A JP 2000269019 A JP2000269019 A JP 2000269019A
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insulating layer
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Koji Kinoshita
幸治 木下
Mamoru Ito
守 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固有抵抗(表面抵抗)が実用上十分高く、ワ
イヤーを直接巻いて使用することが可能で、しかも磁心
損失が一般的な二価の鉄を含むフェライト並みに小さ
く、トランスやチョークコイルとして発熱を抑えること
が可能で、部品の小型高性能化に結びつけることができ
産業上有用な高絶縁抵抗のフェライト磁心、その製造方
法およびインダクタンス部品を実現する。 【解決手段】 二価の鉄を含有し、かつ複数個の結晶グ
レインを有するフェライト2次粒子を有し、前記2次粒
子が、酸化物絶縁層で覆われているフェライト磁心。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてソフトフ
ェライト磁心のなかで、二価の金属成分の一部として鉄
を含むソフトフェライト磁心の性能の改善に関わるもの
である。
【0002】
【従来の技術】フェライトは、酸化物磁性材料のひとつ
であり、高周波用のトランス、コイル、ヨークなどの磁
性部品の磁心としてテレビジョン受信機やパーソナルコ
ンピュータを始めとする多くの電子機器に広く使用され
ている。フェライト磁心には、スピネル型と六方晶型が
あるが、スピネル型フェライトには、主として一種また
は二種以上の二価の金属原子と、三価の鉄または三価の
鉄および三価のマンガンと、酸素から成り立つ焼結体で
ある。
【0003】マンガン、亜鉛および二価の鉄を含むマン
ガン亜鉛系フェライト磁心は他の組成系のフェライトに
比べ、透磁率、飽和磁束密度が大きく、磁心損失が小さ
いという優れた特徴があり多くの分野で使用されてい
る。しかしながら固有抵抗が小さいために磁心の表面に
直接導線を巻いて使用される例はほとんどないのが実状
である。フェライト磁心の固有抵抗を大きくするために
は含まれている二価の鉄を除くことにより達成できる
が、電磁気特性が大幅に劣化するという欠点を持ってい
る。すなわち、磁歪定数が大きく、比較的大きな磁束密
度での磁心損失の改善はできないからである。また、ニ
ッケル亜鉛系フェライトやマグネシウム亜鉛系フェライ
トは、絶縁抵抗が重要視される応用分野に使用されてい
るが、この場合も比較的大きな磁束密度での磁心損失や
透磁率を犠牲にせざるを得ない。
【0004】二価の鉄を含むマンガン亜鉛系フェライト
の固有抵抗を上げることを目的として、焼結体の結晶の
境界に抵抗値の高い物質を層状に析出させるために様々
な添加物が検討されているが、現在のところ絶縁物とい
えるようなところまで固有抵抗を上げることはできな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固有
抵抗(表面抵抗)が実用上十分高く、ワイヤーを直接巻
いて使用することが可能で、しかも磁心損失が一般的な
二価の鉄を含むフェライト並みに小さく、トランスやチ
ョークコイルとして発熱を抑えることが可能で、部品の
小型高性能化に結びつけることができ産業上有用な高絶
縁抵抗のフェライト磁心、その製造方法およびインダク
タンス部品を実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の構成
により達成される。 (1) 二価の鉄を含有し、かつ複数個の結晶グレイン
を有するフェライト2次粒子を有し、前記2次粒子が、
酸化物絶縁層で覆われているフェライト磁心。 (2) 前記酸化物層の平均厚さが10〜200μm で
ある上記(1)のフェライト磁心。 (3) 前記2次粒子の平均粒径が50〜3000μm
である上記(1)または(2)のフェライト磁心。 (4) 前記結晶グレインの平均粒径が1〜50μm で
ある上記(1)〜(3)のいずれかのフェライト磁心。 (5) 前記フェライト2次粒子は酸化鉄、酸化亜鉛お
よび酸化マンガンを、好ましくはそれぞれFe23、Z
nOおよびMnO換算で、 Fe23:51〜56mol%、 ZnO:5〜20mol%、 MnO:残部、 含有する上記(1)〜(4)のいずれかのフェライト磁
心。 (6) 前記酸化物絶縁層は、酸化ジルコニウム、アル
ミン酸亜鉛、酸化タンタル、酸化アンチモンのうちの1
種または2種以上を含有する上記(1)〜(5)のフェ
ライト磁心。 (7) 閉磁路内にギャップを有しない上記(1)〜
(6)のいずれかのインダクタンス部品。 (8) 上記(1)〜(6)のいずれかのフェライト磁
心に直接巻線を施したインダクタンス部品。 (9) 二価の鉄を有するフェライト粉末を造粒して2
次粒子とし、 この2次粒子に酸化物粉末を被覆し、こ
の被覆粒子を加圧成形し、焼成するフェライト磁心の製
造方法。 (10) 上記(1)〜(6)のいずれかのフェライト
磁心を得る上記(9)のフェライト磁心の製造方法。
【0007】
【作用】結晶粒界の抵抗を上げる目的で添加物を入れた
場合、少量の添加である程度の効果はある。しかし、一
定以上の添加を行うと結晶粒の成長過程でフェライトの
結晶が異常に大きく成長したり、添加した物質とフェラ
イトを構成する成分とが化学反応を引き起こし、低抵抗
でしかも非磁性体の物質が生成してしまい、結果として
目的とする高抵抗で磁心損失の小さなフェライトはでき
ていない。これは焼成中に起こる添加物のフェライト側
への拡散距離、あるいはフェライト構成成分の添加物相
への拡散距離がフェライト結晶粒子径に比べて大きいこ
とを意味していると解釈できる。
【0008】そこで、フェライトの粒子を上で述べた両
者の拡散距離に比べて十分大きくしてやれば問題は解決
できることになる。フェライト粒子を大きくする方法と
して、小さな結晶を多数個焼結させて一つの大きな粒子
を作る方法がある。この方法では焼結した小さな結晶を
複数個有する大きな粒子は、結晶の粒界である程度絶縁
されている。このため内部の抵抗は一般的な二価の鉄を
含むマンガン亜鉛系フェライトと同等であり、磁心損失
も同等であると考えられる。この大きな粒子の表面に絶
縁物が層状に存在するような三次元構造になっていれ
ば、固有抵抗は十分大きく、かつ磁心損失が一般的な二
価の鉄を含むマンガン亜鉛系フェライトに近いフェライ
ト磁心ができることになる。
【0009】このような微細構造を持ったフェライト
は、比較的大きな磁束密度での磁心損失が小さく、絶縁
物として扱えるという新しい特徴を持った磁心である。
絶縁のためにボビンで覆う必要がなくなるためにトラン
スやコイルのようなインダクタンス部品を小型にするこ
とが可能となる。また、実効透磁率の調整のために磁気
回路にギャップを設けることが一般的である。しかしな
がら、ギャップからの漏洩磁束がボビンに巻いた導線を
横切り、高周波の場合、導線内で発生する渦電流のため
に発熱が問題になっていた。本発明の磁心は磁気回路の
中に小さなギャップが無数にある構造であるため実効透
磁率は低く意識的にギャップを設ける必要がない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の高絶縁抵抗フェライト磁
心は、二価の鉄を含有し、かつ複数個の結晶グレインを
有するフェライト2次粒子を有し、前記2次粒子が、酸
化物絶縁層で覆われている。このように、小さな結晶を
多数個集合させて一つの大きな粒子を作ることで、大き
な粒子は結晶の粒界である程度絶縁されているため、内
部の抵抗は一般的な二価の鉄を含むマンガン亜鉛系フェ
ライトと同等であり磁心損失も同等となる。また、この
大きな粒子の表面に、絶縁物が層状に存在するような構
造が三次元的に連続した構造になっているため、固有抵
抗は十分大きく、かつ磁心損失は一般的な二価の鉄を含
むマンガン亜鉛系フェライトとほぼ同等のものが得られ
る。
【0011】本発明のマンガン亜鉛系フェライトコア
は、二価の鉄を含有し、フェライト2次粒子を形成する
フェライト成分(以下2次粒子フェライトという場合が
ある)として酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンを、
好ましくはそれぞれFe23、ZnOおよびMnO換算
で、 Fe23:51〜56mol%、 ZnO:5〜20mol%、 MnO:残部、 含有し、特に好ましくは、 Fe23:52〜55mol%、 ZnO:5〜15mol%、 含有することが好ましい。
【0012】Fe23量51mol%未満では、磁心損失が
劣化する。Fe23量56mol%を超えると、磁心損失が
劣化する。また、ZnOが5mol%未満だと、初透磁率が
低下する。20mol%を超えると、キュリー点が低下す
る。
【0013】また、前記主成分に加えて添加物として、
Si,Ca,Ti,Zr,Hf,V,Sn,Nb,T
a,Cr,Mo,W等の1種または2種以上を酸化物の
形で総計、10000ppm以下、好ましくは5〜150
0ppm程度含有していてもよい。これら添加物は酸化物
の形で添加しても良い。これらを含有させることによ
り、焼結性やフェライトコアの電気的特性等をコントロ
ールすることができる。また、Pは50ppm以下に規制
することが好ましい。
【0014】また、酸化物絶縁層は、2次粒子を形成す
るフェライトの熱膨張係数に近いこと、好ましくは8〜
15ppm/K、より好ましくは8〜13ppm/Kであること
が必要であり、また焼結曲線が近似していることが必要
である。このような材料として、例えば、酸化ジルコニ
ウム、アルミン酸亜鉛、酸化タンタル、酸化アンチモン
等が挙げられ、特に酸化ジルコニウム(ZrO2),ア
ルミン酸亜鉛(ZnAl24),酸化タンタル(Ta2
5),酸化アンチモン(Sb23)等が好ましい。ま
た二価の鉄を含有しないフェライトであってもよい。こ
れらは2種以上併用してもよい。これらの酸化物絶縁層
構成材の量は、好ましくは0.1〜30重量%、より好
ましくは1〜20重量%、特に1〜10重量%含有する
ことが好ましい。なお、上記酸化物は、通常化学量論組
成で存在するが、その値から多少偏倚していてもよい。
これらの酸化物は、通常粒界に絶縁層として存在する
が、一部上記2次粒子フェライトグレイン内の格子内に
存在していてもよい。
【0015】主部を形成するフェライトの平均1次グレ
インサイズは、好ましくは1〜50μm 、特に5〜50
μm 、さらには10〜20μm の範囲が好ましい。ま
た、平均2次グレインサイズは、好ましくは50〜3,
000μm 、より好ましくは50〜2,000μm 、特
に250〜2,000μm 、さらには500〜1,00
0μm の範囲が好ましい。またそのバウンダリサイズ
は、好ましくは10〜200μm 、より好ましくは20
〜150、特に50〜100の範囲が好ましい。これら
グレインサイズ等は、例えば透過型電子顕微鏡(TE
M)を用いて観察することにより、求めることができ
る。なお、グレインが円形状でない場合には上記グレイ
ンサイズは、その長径と短径とから求められる。
【0016】次に、本発明の高絶縁抵抗フェライトコア
の製造方法について説明する。
【0017】酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛の最終組
成が上記の範囲となるように、例えばボールミル等を用
いて原料粉末を混合する。原料粉末の平均粒径は0.5
〜10μm 、特に0.5〜5μm の範囲が好ましい。平
均粒径は、球でない場合には長径と短径から求めるが、
これらは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することに
より求められる。前記酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛
として、Fe23、FeO、ZnMn24、MnO、M
34、ZnO、ZnFe24等を使用してもよい。こ
れらは、通常化学量論組成で存在するが、その値から多
少偏倚していてもよい。
【0018】原料粉末を混合した後、その混合粉末を8
00〜1100℃にて1〜3時間仮焼成を行う。このよ
うな仮焼粉は、平均粒径が1〜5μm の範囲であること
が好ましい。
【0019】この仮焼き粉末に、必要によりSi,C
a,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Sn,Cr,
Mo,V等の酸化物を加える。これらは、仮焼後の粉砕
時(被覆前)に混合してもよい。得られた粉体を乾式ま
たは湿式混合により混合する(湿式の場合、フェライト
スラリーとなる)。さらに、ポリビニールアルコール
(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、セル
ロース系、アクリル樹脂等のバインダ溶液を加え混合す
る。これを乾式混合により混練造粒するか、湿式混合し
てスプレードライヤー等により造粒する。造粒した粒子
の平均粒径は、500〜1000μm 程度が好ましい。
【0020】好ましくは、得られた造粒物を予備焼成す
る。予備焼成することにより、フェライト材が緻密にな
る。予備焼成は、好ましくは500〜1000℃の温度
で、1〜5時間行う。
【0021】次に、得られた造粒物に酸化物絶縁層材料
を被覆する。先ず、上記酸化物絶縁層の原料を用意し、
例えば、ZnAl24やTa25、Sb23等の酸化物
とする場合、必要に応じて原料を混合し、所定温度で焼
成して酸化物とする。得られた焼成物をダブルピンミ
ル、アトライター、ボールミル等で粉砕し、酸化物絶縁
層の材料粉末を得る。この他、CVDやスパッタ法によ
っても同様に酸化物絶縁層の材料粉末を得ることができ
る。この粉末の粒径は、好ましくは1.5μm 以下、よ
り好ましくは0.01〜0.8μm 、特に0.02〜
0.5μm の範囲が好ましい。上記造粒物への被覆は、
水や溶媒を加えてスラリーとし、これに前記造粒物を加
えて混練したり、造粒物の転動層または流動層にスプレ
ーしたりすればよい。平均被覆厚は、50〜100μm
が好ましい。
【0022】得られた被覆粒子を、通常1〜2t/cm2
の圧力で、所望の形状に加圧成型し、焼成をおこなう。
焼成は大気中で昇温する。昇温後、好ましくは1250
〜1400℃、特に1300℃で、1〜5時間、酸素分
圧は2次粒子フェライトの平衡酸素分圧以下とする。そ
の後、窒素等の不活性ガス中で生成物の構造、価数等を
変化させずに室温まで冷却する。
【0023】このようにして得られた高絶縁抵抗フェラ
イト磁心は、チョークコイル、ノイズフィルタ、高周波
トランスおよびコイル、パルストランス等、各種電子機
器に使用されるコイル、トランス等のインダクタンス部
品の磁心として優れている。このような磁心を用いて得
られるインダクタンス部品は、その用途を限定するもの
ではないが、実効透磁率が低いため、ギャップを設ける
必要がなく、特に高周波回路に使用した場合、漏れ磁束
による渦電流の発生を抑制でき、結果として発熱が抑制
され特に好ましい結果が得られる。また、磁心の形状も
特に限定するものではなく、I型、E型、EI型および
トロイダル型等種々の形状のものに成形して使用するこ
とができ、その際コイルボビン等の絶縁材を設ける必要
がないことは前述の通りである。従って組み立て工程等
の短縮、部品点数の削減に寄与でき産業上極めて有用で
ある。
【0024】
【実施例】次に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。 (実施例1〜10)下記表1に示す組成1,組成2およ
び組成3になるように原料を配合し、1000℃で仮焼
を行い、組成1と2についてはスピネル相とヘマタイト
相からなる混合物を、組成3についてはスピネル相から
なる粒体を作成した。それぞれの試料を、平均粒径1μ
m になるまでボールミルで粉砕した。この粉体とバイン
ダーを用いて直径が概ね300μm の球状の粒を作成し
た。一方、表2の酸化物絶縁層材料としてZrO2,Z
nAl24および上記組成3のボールミルで粉砕した後
の粉体を用意した。酸化物絶縁層材料のZrO2,Zn
Al24の平均粒径は0.5μm とした。その後、表2
の2次粒子フェライトの組成、酸化物絶縁層材料の組
成、酸化物絶縁層の割合に従って、2次粒子フェライト
の球状粒子に酸化物絶縁層材料の粉体を被覆した。被覆
は、酸化物絶縁層材料の粉体に水を加え、これと前記組
成1,2,3の球状粒とを混合することにより行った。
この塗装された被覆を所定量秤取り、金型に入れて粉末
成形した。この成形体を実施例1から8までは、133
0℃で主部の平衡酸素圧で焼成しサンプルを得た。実施
例9については、1380℃で主部の平衡酸素圧で焼成
しサンプルを得た。実施例10については、1200℃
で大気中で焼成しサンプルを得た。なお、各焼成の安定
時間は4時間とした。
【0025】得られた各試料について透磁率、固有抵
抗、磁心損失、飽和磁束密度を測定した。なお、磁心損
失の測定条件は、100℃、100kHz、200mT
のサイン波であり、固有抵抗の測定電界強度は、100
kV/m とした。結果を表2に示す。
【0026】また、実施例3のサンプルの断面構造を透
過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。その構成
例を図1および図2に略図として示す。なお、図2は図
1のe部拡大図である。ここで、図1中、2次粒子の大
きさxは約320μm 、2次粒子の粒界の厚さyは約5
μm であり、図2中の1次粒子の大きさは約15μm で
ある。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】(比較例1〜3)比較例として、表1の組
成1,2および3の実施例で作成した直径が概ね300
μm の球状の粒を副部の粉体を塗装することなく金型に
入れて粉末成形し、上記実施例と同一の焼成をして比較
例1〜3の3種類のサンプルを得た。
【0030】得られた各試料について上記実施例と同様
にして透磁率、固有抵抗、磁心損失、飽和磁束密度を測
定した。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】(実施例11)次に、実施例2及び比較例
1の材料を用いて図3に示すような磁心(コイルボビ
ン)を作成した。磁心の寸法は、A=11.3±0.1
5、B=3.50±0.5、C=14.7±0.3、D
=20.7±0.2、E=25.6、F=4.43、G
=11.3±0.2である。このボビンに直径が0.3
5mmの導線を巻き磁心と組み合わせチョークコイルを作
製し、100kHz、300 mAの電流を流しコイルの温
度上昇を測定した。この時、透磁率の差によるインダク
タンスを調整するために、比較例1の材料を使用した磁
心の中脚には空隙を設けた。その結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】(実施例12)次に、実施例2及び比較例
3の材料を用いてコイルを作製した。磁心の形状は丸棒
とし、直径を10mm長さを40mmとした。この丸棒に
0.35mmの導線を直接100回巻きコイルとした。こ
のコイルに100kHz、65Vの電圧をかけ、コイルと
磁心の温度上昇を測定した。その結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】実施例および比較例の結果より、固有抵抗
の低い比較例3に比べ本発明の実施例1から8は磁心損
失が小さくトランスやチョークコイルとして発熱を抑え
ることができる。絶縁性の観点からも固有抵抗が実用上
十分高くワイヤーを直接巻いて使用することが可能であ
る。これらの性能は、部品の小型高性能化に結びつける
ことができ産業上有用である。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、固有抵抗
(表面抵抗)が実用上十分高く、ワイヤーを直接巻いて
使用することが可能で、しかも磁心損失が一般的な二価
の鉄を含むフェライト並みに小さく、トランスやチョー
クコイルとして発熱を抑えることが可能で、部品の小型
高性能化に結びつけることができ産業上有用な高絶縁抵
抗フェライト磁心、その製造方法およびインダクタンス
部品が実現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の磁心の断面の構成を示した模式図で
ある。
【図2】図3のe部拡大模式図である。
【図3】実施例11で用いた磁心の外形図で、(a)は
正面図、(b)は右側面図である。
【符号の説明】
a 主部のフェライト(2次粒子) b 副部である酸化物絶縁部 c 拡大部分 d 主部のフェライト結晶(1次粒子) e 主部の気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G018 AA01 AA02 AA16 AA19 AA21 AA25 AA36 AB02 AC02 AC16 AC26 5E041 AB02 AB19 BC01 BD01 CA02 CA10 NN06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二価の鉄を含有し、かつ複数個の結晶グ
    レインを有するフェライト2次粒子を有し、 前記2次粒子が、酸化物絶縁層で覆われているフェライ
    ト磁心。
  2. 【請求項2】 前記酸化物層の平均厚さが10〜200
    μm である請求項1のフェライト磁心。
  3. 【請求項3】 前記2次粒子の平均粒径が50〜300
    0μm である請求項1または2のフェライト磁心。
  4. 【請求項4】 前記結晶グレインの平均粒径が1〜50
    μm である請求項1〜3のいずれかのフェライト磁心。
  5. 【請求項5】 前記フェライト2次粒子は酸化鉄、酸化
    亜鉛および酸化マンガンを、好ましくはそれぞれFe2
    3、ZnOおよびMnO換算で、 Fe23:51〜56mol%、 ZnO:5〜20mol%、 MnO:残部、 含有する請求項1〜4のいずれかのフェライト磁心。
  6. 【請求項6】 前記酸化物絶縁層は、酸化ジルコニウ
    ム、アルミン酸亜鉛、酸化タンタル、酸化アンチモンの
    うちの1種または2種以上を含有する請求項1〜5のフ
    ェライト磁心。
  7. 【請求項7】 閉磁路内にギャップを有しない請求項1
    〜6のいずれかのインダクタンス部品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかのフェライト磁
    心に直接巻線を施したインダクタンス部品。
  9. 【請求項9】 二価の鉄を有するフェライト粉末を造粒
    して2次粒子とし、この2次粒子に酸化物粉末を被覆
    し、この被覆粒子を加圧成形し、焼成するフェライト磁
    心の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかのフェライト
    磁心を得る請求項9のフェライト磁心の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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