JP2000268859A - 非水系電解液二次電池 - Google Patents

非水系電解液二次電池

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JP2000268859A JP11067865A JP6786599A JP2000268859A JP 2000268859 A JP2000268859 A JP 2000268859A JP 11067865 A JP11067865 A JP 11067865A JP 6786599 A JP6786599 A JP 6786599A JP 2000268859 A JP2000268859 A JP 2000268859A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 黒鉛系負極を用いた非水系電解液二次電池の
電解液の分解を最小限に抑え、充放電効率が高くてサイ
クル特性の優れた高エネルギー密度の非水系電解液二次
電池を提供する。 【解決手段】 リチウムを吸蔵および放出することが可
能な負極材として黒鉛を含む負極、正極、および、環状
カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合非水溶媒に
リチウム塩および0.5〜10重量%の環状酸無水物を
溶解した電解液から少なくとも構成され、混合非水溶媒
が、アルキレン基の炭素数が2〜4のアルキレンカーボ
ネートからなる群から選ばれる環状カーボネートと、ア
ルキル基の炭素数が1〜4であるジアルキルカーボネー
トからなる群から選ばれる鎖状カーボネートとをそれぞ
れ20容量%以上含有し、かつ混合非水溶媒の70容量
%以上がこれらのカーボネートであることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水系電解液二次
電池に関する。詳しくは特定の非水系電解液を使用する
ことにより、充放電効率を向上させたサイクル特性が優
れた非水液系電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電気製品の軽量化、小型化にとも
ない、高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池の開
発が進められている。また、リチウム二次電池の適用分
野の拡大に伴い電池特性の改善も要望されている。金属
リチウムを負極とする二次電池は高容量化を達成できる
電池として古くから盛んに研究が行われている。しか
し、金属リチウムは充放電の繰り返しによりデンドライ
ト状に成長し、最終的に正極に達して電池内部において
短絡が生じてしまうという問題がある。この問題は金属
リチウムを負極とする二次電池を実用化する際の最大の
技術的な課題となっている。
【0003】そこで負極に、例えばコークス、人造黒
鉛、天然黒鉛等のリチウムイオンを吸蔵および放出する
ことが可能な炭素質材料を用いた非水系電解液二次電池
が提案されている。このような非水系電解液二次電池で
は、リチウムが金属状態で存在しないためデンドライト
の形成が抑制され、電池寿命と安全性を向上することが
できる。特に、人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛系炭素材料
は、単位体積当たりのエネルギー密度を向上させること
ができる材料として期待される。
【0004】しかしながら、黒鉛系の種々の電極材を単
独で、或いは、リチウムを吸蔵および放出することが可
能な他の負極材と混合して負極とした非水系電解液二次
電池では、リチウム一次電池で一般に好んで使用される
プロピレンカーボネートを主溶媒とする電解液を用いる
と、黒鉛電極表面で溶媒の分解反応が激しく進行して黒
鉛電極へのスムーズなリチウムの吸蔵および放出が不可
能になる。エチレンカーボネートはこのような分解が少
ないことから、黒鉛系負極を用いた非水系電解液二次電
池の電解液ではエチレンカーボネートが主溶媒として多
用されている。しかしながら、エチレンカーボネートを
主溶媒としても、充放電過程において電極表面で電解液
が分解するために充放電効率の低下やサイクル特性の低
下等の問題があった。このため、黒鉛系負極を用いた場
合であってもこれらの問題を生じない非水系電解液二次
電池を提供することが求められている。黒鉛系負極は特
に電解液の種類により性能が大きく異なるために、電解
液の組成を最適化することが必要とされるが、満足の行
く電解液は現在まで提供されるに至っていない。
【0005】その電解液の組成について、酸無水物を非
水電解液二次電池の非水溶媒中に含有させることが、従
来から種々検討されている。例えば、特開平4−355
065号公報では、リチウム金属を負極とした非水電解
液二次電池の非水溶媒中に酸無水物を含有させることが
提案されている。しかしながら、黒鉛系負極を用いた非
水系電解液二次電池についての知見は示されていない。
特開平5−82168号公報では、リチウム合金やカー
ボン材料を負極にした非水電解液二次電池の非水溶媒中
に酸無水物を添加することが記載されている。しかしな
がら、添加量は500ppmまたは1000ppmと非
常に微量である。さらに、特開平7−122987号公
報では、黒鉛を負極に用い、環状カーボネートと鎖状エ
ーテルであるジメトキシエタンの混合溶媒に酸無水物を
添加したデータが開示されている。しかしながら、環状
カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒での知
見は示されていない。このように、電解液に酸無水物を
使用した例は幾つかあるものの、十分な量の酸無水物を
環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒に添
加した電解液を黒鉛系負極を有する二次電池に具体的に
応用した例はこれまで報告されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの従来
技術の問題点を解決することを課題とした。すなわち本
発明は、黒鉛系負極を用いた非水系電解液二次電池の電
解液の分解を最小限に抑え、充放電効率が高くてサイク
ル特性の優れた高エネルギー密度の非水系電解液二次電
池を提供することを解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために種々の検討を重ねた結果、黒鉛系負極
を用いた非水系電解液二次電池の電解液として、環状カ
ーボネートと鎖状カーボネートを含む混合非水溶媒にリ
チウム塩と所定量の環状酸無水物を溶解した電解液を用
いれば、充放電効率とサイクル特性を向上させることが
できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち本発明は、リチウムを吸蔵および
放出することが可能な負極材として黒鉛を含む負極、正
極、および、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含
む混合非水溶媒にリチウム塩および0.5〜10重量%
の環状酸無水物を溶解した電解液から少なくとも構成さ
れる非水系電解液二次電池を提供するものである。本発
明の非水系電解液二次電池では、混合非水溶媒の70容
量%以上がカーボネートであることが好ましい。特に混
合非水溶媒が、アルキレン基の炭素数が2〜4のアルキ
レンカーボネートからなる群から選ばれる環状カーボネ
ートと、アルキル基の炭素数が1〜4であるジアルキル
カーボネートからなる群から選ばれる鎖状カーボネート
とをそれぞれ20容量%以上含有し、かつ混合非水溶媒
の70容量%以上がこれらのカーボネートであることが
好ましい。
【0009】本発明の非水系電解液二次電池では、負極
材が、黒鉛のみからなる負極材、または、リチウムを吸
蔵および放出することが可能な非黒鉛系炭素、リチウ
ム、リチウム合金および金属酸化物からなる群から選ば
れる1種以上と黒鉛とを混合した負極材であることが好
ましい。特に負極材が、X線回折における格子面(00
2面)のd値が0.335〜0.340nmであり、且
つ結晶子サイズ(Lc)が30nm以上の炭素材料を含
むことが好ましい。結晶子サイズ(Lc)は、100n
m以上であるのがより好ましく、150nm以上である
のが特に好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の非水系電解液二次電池
は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材
として黒鉛を含む負極、正極、および、環状カーボネー
トと鎖状カーボネートを含む混合非水溶媒にリチウム塩
および0.5〜10重量%の環状酸無水物を溶解した電
解液から少なくとも構成されることを特徴とする。な
お、本明細書において「〜」は、その前後に記載した数
値を含む範囲を意味する。
【0011】電解液の混合非水溶媒は、環状カーボネー
トと鎖状カーボネートを少なくとも含む。混合非水溶媒
として使用する環状カーボネートは、分子内に環状構造
とカーボネート基を有しているものであればその種類は
制限されない。好ましいものは、カーボネート基が環状
構造の一部を構成している環状カーボネートである。よ
り好ましいものは、アルキレンカーボネートであり、特
にアルキレン基の炭素数が2〜4のアルキレンカーボネ
ートが好適である。そのようなアルキレンカーボネート
の具体例として、エチレンカーボネート、プロピレンカ
ーボネート、ブチレンカーボネートを挙げることがで
き、中でもエチレンカーボネートとプロピレンカーボネ
ートが好ましい。これらのアルキレン基は本発明の所期
の効果を過度に阻害しない範囲内で置換基を有していて
もよい。
【0012】混合非水溶媒として使用する鎖状カーボネ
ートは、環状構造を有しないカーボネートである。鎖状
カーボネートはアルキルカーボネートであるのが好まし
く、特にアルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルカ
ーボネートが好ましい。具体的には、ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボ
ネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロ
ピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート
等を挙げることができ、中でもジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好
ましい。これらのアルキルカーボネートのアルキル基
は、本発明の所期の効果を過度に阻害しない範囲内で置
換基を有していてもよい。
【0013】環状カーボネートと鎖状カーボネートの組
み合わせは特に制限されない。好ましい組み合わせは、
アルキレン基の炭素数が2〜4のアルキレンカーボネー
トからなる群から選ばれる環状カーボネートと、アルキ
ル基の炭素数が1〜4であるジアルキルカーボネートか
らなる群から選ばれる鎖状カーボネートを含む混合非水
溶媒である。より好ましい組み合わせは、環状カーボネ
ートとしてエチレンカーボネートおよび/またはプロピ
レンカーボネート、鎖状カーボネートとしてジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチルメチル
カーボネートから選択される1種以上を含む混合非水溶
媒である。
【0014】混合非水溶媒における環状カーボネートと
鎖状カーボネートの割合は、それぞれ20容量%以上で
あるのが好ましく、それぞれ25容量%以上であるのが
より好ましい。また、混合非水溶媒における環状カーボ
ネートと鎖状カーボネートの合計量は70容量%以上で
あるのが好ましく、80容量%以上であるのがより好ま
しく、90容量%以上であるのが特に好ましい。
【0015】混合非水溶媒には、カーボネート以外の溶
媒が含まれていてもよい。カーボネート以外の溶媒とし
て、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等
の環状エステル類;酢酸メチル、プロピオン酸メチル等
の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテ
トラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテ
ル類;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エ
ーテル類;スルフォラン、ジエチルスルホン等の含硫黄
有機溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は2種
類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】これらの溶媒は、カーボネート溶媒の特性
を損なわない量で混合非水溶媒に含有させることができ
る。具体的には、カーボネート以外の溶媒は、混合非水
溶媒の30容量%以下にするのが好ましく、20容量%
以下にするのがより好ましく、10容量%以下にするの
が特に好ましい。
【0017】本発明で使用する電解液には、環状酸無水
物を含有させる。本発明で使用する環状酸無水物は、環
状構造の一部に酸無水物構造を有する化合物であればと
くにその種類は制限されない。また、酸無水物の構造を
1分子中に複数個有する化合物であってもよい。本発明
で使用しうる環状酸無水物の具体例として、無水コハク
酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコ
ール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペ
ンタンテトラカルボン酸二無水物、4−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テト
ラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2−フ
ェニルグルタル酸無水物等を挙げることができる。中で
も好ましいのは、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水
グルタル酸である。これらの酸無水物は2種以上を混合
して用いてもよい。
【0018】本発明で使用する電解液における環状酸無
水物の含有量は、0.5〜10重量%の範囲内である。
中でも1〜8重量%であるのが好ましく、2〜7重量%
であるのが特に好ましい。
【0019】本発明で使用する電解液には、溶質として
リチウム塩を用いる。使用し得るリチウム塩は、電解液
の溶質として使用し得るものであればその種類は特に制
限されない。例えば、LiClO4、LiPF6、LiB
4から選ばれる無機リチウム塩や、LiCF3SO3
LiN(CF3SO22 、LiN(CF3CF2
22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、Li
C(CF3SO23等の含フッ素有機リチウム塩を挙げ
ることができる。中でも、LiPF6、LiBF4を用い
ることが好ましい。リチウム塩は2種類以上混合して用
いてもよい。電解液中のリチウム塩のモル濃度は、0.
5〜2.0モル/リットルであることが望ましい。0.
5モル/リットル未満もしくは2.0モル/リットルを
越えると、電解液の電気伝導率が低くなって、電池の性
能が低下する傾向にある。
【0020】いかなる理論にも拘泥するものではない
が、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合非
水溶媒に0.5〜10重量%の環状酸無水物とリチウム
塩を溶解した上記電解液を用いて、黒鉛系負極を有する
非水系電解液二次電池を構成すれば、充放電過程におけ
る過度の電解液の分解が抑制されるものと考えられる。
このため、電解液の分解が抑制されることにより充放電
効率が向上し、サイクル特性の優れた二次電池を提供す
ることが可能になる。特に、室温で使用する場合のみな
らず、例えば60℃程度の高温で使用する場合であって
も、このような本発明の特性は十分に発揮される。これ
らの特性については、後述の実施例から明らかである。
なお、本発明で用いる電解液には、環状カーボネート、
鎖状カーボネート、環状酸無水物およびリチウム塩以外
の成分が、本発明の所期の効果を過度に阻害しない範囲
内で含まれていてもよい。
【0021】本発明の非水系電解液二次電池を構成する
負極は、その成分として黒鉛を含む。黒鉛はチリウムを
吸蔵および放出することが可能なものであればその物理
的性状は特に制限されない。好ましいのは、種々の原料
から得た易黒鉛性ピッチを高温熱処理することによって
製造された人造黒鉛及び精製天然黒鉛である。これらの
黒鉛材料は学振法によるX線回折で求めた格子面(00
2面)のd値(層間距離)が0.335〜0.34nm
であるものが好ましく、0.335〜0.337nmで
あるものがより好ましい。これら黒鉛材料は、灰分が1
重量%以下であるのが好ましく、0.5重量%以下であ
るのがより好ましく、0.1重量%以下であるのが特に
好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子
サイズ(Lc)は30nm以上であるのが好ましく、5
0nm以上であるのがより好ましく、100nm以上で
あるのが特に好ましい。
【0022】また、レーザー回折・散乱法による黒鉛材
料のメジアン径は、1〜100μmであるのが好まし
く、3〜50μmであるのがより好ましく、5〜40μ
mであるのがさらに好ましく、7〜30μmであるのが
特に好ましい。黒鉛材料のBET法比表面積は、0.5
〜25.0m2/gであるのが好ましく、0.7〜2
0.0m2/gであるのがより好ましく、1.0〜1
5.0m2/gであるのがさらにより好ましく、1.5
〜10.0m2/gであるのが特に好ましい。また、ア
ルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析
における1580〜1620cm-1の範囲のピークPA
(ピーク強度IA)および1350〜1370cm -1
範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB
Aが0〜0.5であり、1580〜1620cm-1
範囲のピークの半値幅が26cm-1以下、特に25cm
-1以下であるのが好ましい。
【0023】これらの黒鉛材料にリチウムを吸蔵および
放出することが可能な負極材をさらに混合して用いるこ
ともできる。黒鉛以外のリチウムを吸蔵および放出する
ことが可能な負極材としては、難黒鉛性炭素や低温焼成
炭素等の非黒鉛系炭素材料等のd(002)が0.34
nmを越える炭素材料、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化
物材料、更にはリチウム金属並びに種々のリチウム合金
を例示することができる。これらの負極材料は2種類以
上混合して用いてもよい。
【0024】これらの負極材料を用いて負極を製造する
方法は特に制限されない。例えば、負極材料に必要に応
じて結着材、導電材、溶媒等を加えてスラリー状にし、
集電体の基板に塗布して乾燥することによって電極を製
造することができる。また、該電極材料をそのままロー
ル成形してシート状に成形したり、圧縮成形等によって
ペレット状に成形することもできる。
【0025】電極の製造に使用する結着材は、電極製造
時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば
特にその種類は制限されない。具体的には、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳
香族ポリアミド、セルロース等の樹脂系高分子;スチレ
ン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチ
レン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびそ
の水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチ
レンブロック共重合体およびその水素添加物;スチレン
・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水
素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオ
タクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2
〜12)共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフ
ルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子
を例示することができる。
【0026】また、結着材として、特にリチウムイオン
などのアルカリ金属イオン伝導性を有する高分子組成物
を使用することもできる。そのようなイオン伝導性を有
する高分子としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロ
ピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリ
エーテルの架橋高分子化合物、ポリエピクロルヒドリ
ン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニル
ピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリ
ロニトリル等の高分子化合物に、リチウム塩またはリチ
ウムを主体とするアルカリ金属塩を複合させた系、ある
いはこれにプロピレンカーボネート、エチレンカーボネ
ート、γ−ブチロラクトン等の高い誘電率を有する有機
化合物を配合した系を用いることができる。これらの材
料は組み合わせて使用してもよい。
【0027】負極材料と上記の結着材との混合形式とし
ては、各種の形態をとることができる。即ち、両者の粒
子が混合した形態、繊維状の結着材が負極材料の粒子に
絡み合う形で混合した形態、または結着材の層が粒子表
面に付着した形態などが挙げられる。負極材料の粉体に
対する上記結着材の混合割合は、負極材料に対して好ま
しくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜1
0重量%である。30重量%を超える量の結着材を添加
すると電極の内部抵抗が大きくなる傾向にあり、逆に
0.1重量%未満の量の結着材では集電体と負極材料の
結着性が劣る傾向にある。
【0028】また、負極材料と結着材との混合に際し
て、導電材を併せて混合してもよい。使用する導電材の
種類は特に制限されないため、金属であっても非金属で
あってもよい。金属の導電材としては、CuやNiなど
の金属元素から構成される材料を挙げることができる。
また、非金属の導電材としては、グラファイト、カーボ
ンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック
などの炭素材料を挙げることができる。導電材の平均粒
径は1μm以下であるのが好ましい。
【0029】導電材の混合割合は、負極材料に対して好
ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜
15重量%にする。導電材の混合割合を30重量%以下
にすることによって単位体積あたりの電極の充放電容量
を比較的高くすることができる。また、導電材の混合割
合を0.1重量%以上にすることによって導電材同士の
導電パスを電極内に十分に形成することができる。
【0030】少なくとも負極材料と結着材を含む上記混
合物は、電極の使用目的に応じて集電体上に適用する。
適用する集電体の形状は特に制限されず、負極の使用態
様などに応じて適宜決定することができる。例えば、円
柱状、板状、コイル状の集電体を使用することができ
る。集電体の材質は、銅、ニッケル、ステンレス等の金
属であるのが好ましく、これらの中では薄膜に加工しや
すく安価であることから銅箔を使用するがより好まし
い。
【0031】集電体への適用は、当業者に公知の手段に
よって行うことができる。混合物がスラリー状である場
合は、例えばダイコーターやドクターブレードなどを用
いて集電体上に塗布することができる。また、混合物が
ペースト状である場合は、ローラーコーティングなどに
よって集電体上に塗布することができる。溶媒を使用し
ている場合は乾燥して溶媒を除去することによって、電
極を作製することができる。
【0032】本発明の非水系電解液二次電池を構成する
正極には、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウム
ニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム
遷移金属複合酸化物材料;二酸化マンガン等の遷移金属
酸化物材料;フッ化黒鉛等の炭素質材料などのリチウム
を吸蔵・放出可能な材料を使用することができる。具体
的には、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、L
iMn24およびこれらの非定比化合物、MnO2、T
iS2、FeS2、Nb34、Mo34、CoS2、V2
5、P25、CrO3、V33、TeO2、GeO2等を用
いることができる。正極の製造方法は特に制限されず、
上記の負極の製造方法と同様の方法により製造すること
ができる。
【0033】本発明で用いる正極集電体には、電解液中
での陽極酸化によって表面に不動態皮膜を形成する弁金
属またはその合金を用いるのが好ましい。弁金属として
は、IIIa、IVa、Va族(3B、4B、5B族)に属する
金属およびこれらの合金を例示することができる。具体
的には、Al、Ti、Zr、Hf、Nb、Taおよびこ
れらの金属を含む合金などを例示することができ、A
l、Ti、Taおよびこれらの金属を含む合金を好まし
く使用することができる。特にAlおよびその合金は軽
量であるためエネルギー密度が高くて望ましい。
【0034】本発明の電池に使用するセパレーターの材
質や形状は特に制限されない。セパレーターは正極と負
極が物理的に接触しないように分離するものであり、イ
オン透過性が高く、電気抵抗が低いものであるのが好ま
しい。セパレータは電解液に対して安定で保液性が優れ
た材料の中から選択するのが好ましい。具体的には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料
とする多孔性シートまたは不織布を用いて、上記電解液
を含浸させることができる。
【0035】非水系電解液、負極および正極を少なくと
も有する本発明の非水系電解液二次電池を製造する方法
は、特に限定されず通常採用されている方法の中から適
宜選択することができる。本発明の非水系電解液二次電
池には、非水系電解液、負極、正極の他に、必要に応じ
て、外缶、セパレータ、ガスケット、封口板、セルケー
スなどを用いることもできる。その製法は、例えば外缶
上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、
さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケッ
ト、封口板と共にかしめて電池にすることができる。電
池の形状は特に制限されず、シート電極およびセパレー
タをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電
極およびセパレータを組み合わせたインサイドアウト構
造のシリンダータイプ、ペレット電極およびセパレータ
を積層したコインタイプ等にすることができる。
【0036】
【実施例】以下に実施例および試験例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試
薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り
適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲
は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0037】(実施例1〜3および比較例1〜2)正極
活物質としてLiCoO285重量部にカーボンブラッ
ク6重量部、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商
品名KF−1000)9重量部を加え混合し、N−メチ
ル−2−ピロリドンで分散し、スラリー状としたものを
正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に均
一に塗布し、乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち
抜いて正極とした。
【0038】負極活物質として、X線回折における格子
面(002面)のd値が0.336nm、晶子サイズ
(Lc)が、100nm以上(264nm)、灰分が
0.04重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン
径が17μm、BET法比表面積が8.9m2/g、ア
ルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析
において1580〜1620cm-1の範囲のピークPA
(ピーク強度IA)および1350〜1370cm-1
範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB
Aが0.15、1580〜1620cm-1の範囲のピ
ークの半値幅が22.2cm-1である人造黒鉛粉末(テ
ィムカル社製、商品名KS−44)94重量部にポリフ
ッ化ビニリデン6重量部を混合し、N−メチル−2−ピ
ロリドンで分散させスラリー状としたものを負極集電体
である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、
直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて負極とした。
【0039】電解液用の溶媒として、プロピレンカーボ
ネートとジエチルカーボネートの混合物(容量比1:
1)に、表1に記載される酸無水物を表1に記載される
割合で溶解した溶媒を使用した。この溶媒に、乾燥アル
ゴン雰囲気下で十分に乾燥を行った六フッ化リン酸リチ
ウム(LiPF6)を1モル/リットルの割合で溶解し
て電解液を調製した。これらの正極、負極、電解液を用
いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極
を収容し、その上に電解液を含浸させたセパレーターを
介して負極を裁置した。この缶体と負極導電体を兼ねる
封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封
し、コイン型電池を作製した。
【0040】製造した各電池を25℃において、0.5
mAの定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧
2.5Vで充放電試験を行った。それぞれの電池におけ
る1サイクル目と10サイクル目の充放電効率(%)と
負極重量当たりの放電容量を表1に示す。なお、ここで
いう充放電効率は以下の式で計算される。
【数1】充放電効率(%)=〔(放電容量)/(充電容
量)〕×100
【0041】
【表1】
【0042】(実施例4および比較例3)電解液用の溶
媒として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネー
トの混合物(容量比1:1)に、表2に記載される酸無
水物を表2に記載される割合で溶解した溶媒を使用し
た。この溶媒に、乾燥アルゴン雰囲気下で十分に乾燥を
行ったLiPF6を1モル/リットルの割合で溶解して
電解液を調製した。この電解液を用いたこと以外は、上
と同じ方法でコイン型電池を作製し、充放電試験を行っ
た。結果は表2に示すとおりであった。
【0043】
【表2】
【0044】表1および表2の結果は、酸無水物を含ま
ない電解液や、酸無水物の含有量が0.5重量%未満の
電解液を用いた二次電池は、電池として機能しなかった
り、放電容量や充放電効率が低いといった問題があるこ
とを示している。これに対して、環状カーボネート、鎖
状カーボネートおよび0.5〜10重量%の環状の酸無
水物を含有する電解液を用いた本発明の二次電池は、放
電容量と充放電効率が改善されており、二次電池として
好ましいことが確認される。
【0045】
【発明の効果】黒鉛系負極を用いた非水系電解液二次電
池の電解液溶媒として、環状カーボネート、鎖状カーボ
ネートおよび0.5〜10重量%の環状の酸無水物を含
む溶媒を用いれば、放電容量および充放電効率を向上さ
せることができる。また、本発明によれば、電解液の分
解を有効に抑制することができるため、プロピレンカー
ボネートを含む電解液のように分解しやすい電解液の用
途を拡大し、その機能を有効に活用することができる。
したがって本発明によれば、サイクル特性の優れた電池
を作製することが可能であり、非水系電解液二次電池の
小型化と高性能化に寄与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01M 4/02 H01M 4/02 D Fターム(参考) 5H003 AA02 AA04 BA03 BB02 BB03 BB04 BB11 BB12 BB15 BC01 BC06 BD00 BD03 BD04 5H014 AA02 AA06 EE01 EE05 EE08 EE10 HH01 HH06 5H029 AJ03 AJ05 AJ07 AK02 AK03 AK04 AK05 AK06 AL02 AL06 AL07 AL12 AL18 AL19 AM01 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ08 DJ01 DJ08 DJ17 EJ11 HJ01 HJ07 HJ11 HJ13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムを吸蔵および放出することが可
    能な負極材として黒鉛を含む負極、正極、および、環状
    カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合非水溶媒に
    リチウム塩および0.5〜10重量%の環状酸無水物を
    溶解した電解液から少なくとも構成される非水系電解液
    二次電池。
  2. 【請求項2】 前記混合非水溶媒の70容量%以上がカ
    ーボネートであることを特徴とする請求項1に記載の非
    水系電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 前記混合非水溶媒が、アルキレン基の炭
    素数が2〜4のアルキレンカーボネートからなる群から
    選ばれる環状カーボネートと、アルキル基の炭素数が1
    〜4であるジアルキルカーボネートからなる群から選ば
    れる鎖状カーボネートとをそれぞれ20容量%以上含有
    し、かつ混合非水溶媒の70容量%以上がこれらのカー
    ボネートであることを特徴とする請求項2に記載の非水
    系電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 前記負極材が、黒鉛のみからなる負極
    材、または、リチウムを吸蔵および放出することが可能
    な非黒鉛系炭素、リチウム、リチウム合金および金属酸
    化物からなる群から選ばれる1種以上と黒鉛とを混合し
    た負極材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の非水系電解液二次電池。
  5. 【請求項5】 前記負極材が、X線回折における格子面
    (002面)のd値が0.335〜0.340nmであ
    り、且つ結晶子サイズ(Lc)が30nm以上の炭素材
    料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の非水系電解液二次電池。
  6. 【請求項6】 前記負極材が、X線回折における格子面
    (002面)のd値が0.335〜0.337nmであ
    り、且つ結晶子サイズ(Lc)が50nm以上の炭素材
    料を含むことを特徴とする請求項5に記載の非水系電解
    液二次電池。
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