JP2000263685A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム

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JP2000263685A
JP2000263685A JP11073008A JP7300899A JP2000263685A JP 2000263685 A JP2000263685 A JP 2000263685A JP 11073008 A JP11073008 A JP 11073008A JP 7300899 A JP7300899 A JP 7300899A JP 2000263685 A JP2000263685 A JP 2000263685A
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gas barrier
film
layer
resin
barrier layer
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JP11073008A
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English (en)
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Shigeru Yoneda
茂 米田
Masanori Sugimoto
正規 杉本
Chikao Morishige
地加男 森重
Seiichiro Yokoyama
誠一郎 横山
Seiji Izeki
清司 伊関
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた透明性とガスバリア性を有し、煮沸処
理やレトルト処理後、印刷工程後においてもその優れた
ガスバリア性を損なうことがなく、また、耐屈曲性も良
好で落下衝撃にも十分に耐える強度特性を備え、更には
熱封緘性にも優れたガスバリア性積層フィルムを提供す
ること。 【解決手段】 ポリアミド系樹脂からなる基層の少なく
とも一方の面に無機物蒸着膜からなるガスバリア層が形
成され、該ガスバリア層の表面に熱硬化樹脂層が形成さ
れ、該熱硬化樹脂層の表面にポリオレフィン系樹脂から
なるヒートシール層が形成されてなる積層フィルムであ
って、前記無機物蒸着膜が酸化珪素を主成分とし5〜4
5重量%の酸化アルミニウムを含んでなることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生鮮食品、加工食
品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装用フィルム
又はシート(以下「フィルム」で代表する)において重
要な特性とされる優れた透明性、ガスバリア性及び防湿
性を有し、かつ、取扱性に優れた積層フィルムまたはシ
ートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食品の流通形態や食生活の変革に
よって食品の包装形態も大幅に変わってきており、包装
用のフィルムに対する要求特性はますます厳しくなって
きている。
【0003】流通販売過程における温度や湿分、酸素、
紫外線、更には細菌やカビなどの微生物の影響による製
品の品質低下は、販売上の損失を招くのみならず食品衛
生面からも大きな問題である。この様な品質低下を防止
する方法として、従来は酸化防止剤や防腐剤などを食品
に直接添加していたが、最近では、消費者保護の立場か
ら食品添加物の規制が厳しくなり、添加量の減少もしく
は無添加が求められており、この様な状況の下で、気体
や水分の透過度が小さく、しかも冷凍加工や煮沸処理、
レトルト処理などによっても食品としての品質低下を起
こさない様な包装フィルムヘの要望が高まっている。
【0004】即ち魚肉、畜肉、貝類などの包装において
は、蛋白質や油脂などの酸化や変質を抑制し、味や鮮度
を保持することが重要であり、そのためには、ガスバリ
ア性のよい包装材を用いて空気の透過を遮断することが
望まれる。しかもガスバリア性フィルムで包装すると、
内容物の香気が保持されると共に水分の透過も阻止され
るので、乾燥物では吸湿劣化が抑制され、含水物の場合
は水分の揮発による変質や固化が抑制され、包装時の新
鮮な風味を長時間維持することが可能となる。
【0005】こうした理由から、かまぼこなどの練り製
品、バター、チーズなどの乳製品、味噌、茶、コーヒ
ー、ハム・ソーセージ類、インスタント食品、カステ
ラ、ビスケットなどの菓子類の包装フィルムにおいて
は、前記ガスバリア性や防湿性が極めて重要な特性とさ
れている。これらの特性は食品包装用フィルムに限られ
るものではなく、無菌状態での取扱いが必要とされる医
療品、あるいは防錆性が必要な電子部品などの包装用フ
ィルムとしても極めて重要となる。
【0006】ガスバリア性に優れたフィルムとしては、
プラスチックフィルム上にアルミニウムなどの金属箔を
積層したもの、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルア
ルコール共重合体をコーティングしたものが知られてい
る。また、無機質薄膜を利用したものとして、酸化珪素
や酸化アルミニウムなどの蒸着膜を積層したものも知ら
れている。
【0007】上記の様な従来のガスバリア性フィルムに
は、それぞれ次の様な問題点が指摘されている。ガスバ
リア層としてアルミニウム箔を積層したものは、経済性
やガスバリア性において優れたものではあるが、不透明
であるため包装した時に内容物が見えず、またマイクロ
波を透過しないため電子レンジによる加熱処理ができな
い。
【0008】また、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニ
ルアルコール共重合体をコーティングしたものは、水蒸
気や酸素などに対するガスバリア性が十分でなく、特に
高温処理による性能低下が著しい。しかもポリ塩化ビニ
リデンについては、焼却時の塩素ガスの発生などにより
大気汚染を招くことも懸念される。
【0009】そこで、ガスバリア層として酸化珪素や酸
化アルミニウムなどの無機物蒸着膜からなるガスバリア
層を形成した樹脂フィルムが提案された。酸化珪素や酸
化アルミニウムなどが蒸着される基材フィルムとして
は、従来よりポリエステルフィルム(PET)が使用さ
れてきたが、例えば、PET/蒸着層/接着層/延伸ナ
イロン(ONY)/接着層/未延伸ポリプロピレン(C
PP)の様な積層構造の場合、延伸ナイロンの収縮によ
り煮沸処理やレトルト処理後のガスバリア性が劣化する
という問題が生じてくる。
【0010】そこで最近では、PET/蒸着層/接着層
/PET/接着層/未延伸ポリプロピレン(CPP)の
様な積層構造とするのが通例となっているが、この様な
積層構造のフィルムでは、落下衝撃に対する強度不足が
問題となる。
【0011】この様に酸化珪素や酸化アルミニウムなど
の無機物蒸着膜からなるガスバリア層を設けた積層構造
のガスバリア性フィルムは煮沸処理やレトルト処理によ
るガスバリア性の劣化が指摘される。
【0012】そこで強度向上対策として、加熱処理によ
り予め熱収縮率を低減させた延伸ナイロンフィルムを無
機質蒸着基材として使用した積層フィルム(特公平7−
12649号公報)や、高温熱水処理時の収縮率を低減
させたナイロンを積層したフィルム(特開平7−276
571号公報)が提案されているが、いずれも製造工程
や搬送・保管時のプロセスが繁雑になるため実用にそぐ
わない。
【0013】また、高温処理時の収縮率が小さいナイロ
ンフィルム(特公平7−12649号公報)では、12
0℃で5分間加熱したときの縦方向及び横方向の寸法変
化率の絶対値の和が2%以下のフィルムであっても、高
温熱水処理である煮沸処理では優れたガスバリア性を維
持できない。
【0014】この他、透明で内容物を透視することがで
き、かつ、電子レンジヘの適用が可能なガスバリアフィ
ルムとして、特公昭51−48511号公報には、合成
樹脂基材の表面にSixOy(例えばSiO2)を蒸着
したガスバリアフィルムが提案されている。ところが、
ガスバリア性の良好なSiOx系(x=1.3〜1.
8)蒸着膜はやや褐色を有しており、透明ガスバリアフ
ィルムとしては、品質において十分なものとは言えな
い。
【0015】特開昭62−101428号公報には、酸
化アルミニウムを主体とする無機物蒸着膜からなるガス
バリア層を設けたものが記載されており、これはガスバ
リア性が不十分であるばかりでなく、またAl23・S
iO2系のガスバリア層は耐煮沸性や耐レトルト性にお
いても優れたものであるが、ガスバリア層としてAl 2
3とSiO2を積層したものであり、ガスバリア層の形
成が煩雑で且つ大掛かりな装置を必要とする。しかもこ
れら無機質薄膜をガスバリア層とするフィルムも、ガス
バリア特性と耐屈曲性を両立させるという観点からする
と依然として不十分と言わざるを得ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機質
蒸膜をガスバリア層とするフィルムに優れた耐煮沸性や
耐レトルト性を与えるには、ある程度以上(例えば2,
000Å程度以上)の無機質薄膜の膜厚が要求されるの
に対し、膜厚を厚くすると耐屈曲性が劣化して落下衝撃
に耐えなくなるという問題があり、十分なガスバリア性
や防湿性を備え、かつ、耐煮沸性や耐レトルト性が良好
であって、更には耐屈曲性に優れ落下衝撃にも十分に耐
え得る様なガスバリアフィルムは現在のところ提案され
ていない。
【0017】さらに、これらのフィルムにインキ印刷を
行うとガスバリア性が低下するという懸念があった。こ
れに対し、印刷加工後のガスバリア性の低下防止を施し
たガスバリアフィルムは現在のところ提案されていな
い。
【0018】本発明は上記問題を解決しようとするもの
であって、その目的は、優れた透明性とガスバリア性を
有し、煮沸処理やレトルト処理後、印刷加工後において
もその優れたガスバリア性を損なうことがなく、また、
耐屈曲性も良好で落下衝撃にも十分に耐える強度特性を
備え、更には熱封緘性にも優れたガスバリア性積層フィ
ルムを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のガスバリア性積層フィルムは、ポリアミド
系樹脂からなる基層の少なくとも一方の面に無機物蒸着
膜からなるガスバリア層が形成され、該ガスバリア層の
表面に熱硬化樹脂層が形成され、該熱硬化樹脂層の表面
にポリオレフィン系樹脂からなるヒートシール層が形成
されてなる積層フィルムであって、前記無機物蒸着膜が
酸化珪素を主成分とし5〜45重量%の酸化アルミニウ
ムを含んでなることを特徴とする。
【0020】上記の構成からなる本発明のガスバリア性
積層フィルムは、十分なガスバリア性、防湿性を備え、
かつ、耐煮沸性や耐レトルト性が良好であって、更には
耐屈曲性に優れ落下衝撃にも十分耐えることができる。
【0021】また、この場合、基層が、95℃の熱水中
における最大の寸法変化率が4%以下である樹脂からな
ることができる。
【0022】また、この場合、ヒートシール層が、40
℃における圧縮弾性率が10kgf/mm2以上の合成
樹脂からなることができる。
【0023】また、この場合、基層とガスバリア層との
間に、フィルムに形成して測定したときの伸度が100
%以下の合成樹脂からなるアンカーコート剤によるアン
カーコート層が形成されてなることができる。
【0024】ここで、伸度を測定するフィルムは、合成
樹脂からなるアンカーコート剤を50℃で離型板上で5
0℃で乾燥して膜を形成し、次いで、80℃で3分間、
さらに150℃で5分間熱処理を行って得たフィルムで
ある。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガスバリア性積層
フィルムについて詳細に説明する。
【0026】本発明において、基層を構成するポリアミ
ド系樹脂としては、例えば下記式(1)又は式(2)で
示されるアミド反復単位を有するホモポリアミド、コポ
リアミド又はこれらの混合物若しくはこれらの架橋体を
挙げることができる。 −CO−R1−NH− ・・・・・(1) −CO−R2−CONH−R3−NH・・・・・(2) (式中、R1、R2、R3は同一又は異なる2価の基であ
って、アルキレン基又は2価の芳香族環若しくは脂環族
環を一部に有するアルキレン基を表わす)
【0027】好ましいホモポリアミドの具体例として
は、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ε−アミ
ノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ε−アミノノナン
酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエ
チレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテ
トラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサ
メチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサ
メチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタ
メチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチ
レンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレ
ンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチ
レンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレン
ジアミン−6ナイロン(MXD6)などを挙げることが
できる。
【0028】またコポリアミドの例としては、カプロラ
クタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/
ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラ
クタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重
合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキ
サメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレ
ンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモ
ニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジア
ンモニウムセバケート共重合体などを挙げることができ
る。
【0029】これらのポリアミド系樹脂には、基層の柔
軟性改質成分として、芳香族スルホンアミド類、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、エステル類などの可塑剤や、低弾性
率のエラストマー成分やラクタム類を配合することも有
効である。
【0030】上記の低弾性率のエラストマー成分として
は、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱
可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポ
リエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミ
ド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、変性
スチレン系熱可塑性エラストマー、変性アクリルゴム、
変性エチレンプロピレンゴムなどが挙げられる。
【0031】上記素材からなるポリアミド系樹脂は、ガ
スバリア性積層フィルムの基層を構成すると共に、ガス
バリア層を構成する無機物蒸着膜からなるガスバリア層
の支持層としての機能を果たすものである。ここで、ガ
スバリア性積層フィルム全体として満足のいく強度特性
とガスバリア性、とりわけ煮沸処理やレトルト処理後に
おいても優れたガスバリア性持続性を持たせるには、9
5℃の熱水中における最大の寸法変化率が4%以下、よ
り好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である
ものが好ましい。
【0032】しかして、本発明者らが種々研究を行なっ
たところによると、本発明において用いるポリアミド系
樹脂からなる基層の少なくとも一方の面に形成される無
機物蒸着膜からなるガスバリア層としての特性をより効
果的に発揮させるには、ガスバリア性積層フィルムから
なる包装体を煮沸処理やレトルト処理する場合において
も無機物蒸着膜からなるガスバリア層に好ましくない変
形力や剥離方向の力を与えないことが必要であり、上記
寸法変化率が大き過ぎる場合は、煮沸処理やレトルト処
理時の収縮によって無機物蒸着膜からなるガスバリア層
に変形応力を生ぜしめ、該無機物蒸着膜からなるガスバ
リア層を破壊もしくは剥離させる原因になると思われ
る。ところが、ポリアミド系樹脂からなる基層を形成す
るフィルムの95℃の熱水中での最大の寸法変化率を4
%以下に抑えてやれば、煮沸処理やレトルト処理による
上記の様な無機物蒸着膜からなるガスバリア層の破壊や
剥離が起こらず、安定して優れたガスバリア性が維持さ
れるものと思われる。
【0033】次にガスバリア層を形成する無機物蒸着膜
としては、一般に知られている蒸着層をそのまま形成す
ることができるが、特に酸化珪素と酸化アルミニウムと
の混合物が選択するのが好ましい。ここでいう酸化珪素
とは、SiOやSiO2などの各種珪素酸化物の混合物
からなり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl23
どの各種アルミニウム酸化物の混合物からなり、各酸化
物内における酸素の結合量はそれぞれの作製条件によっ
て異なってくるが、本発明においては、ガスバリア層中
に占める酸化アルミニウムの含有率が5〜45重量%で
あるのが特に好ましい。
【0034】上記の場合において、酸化珪素・酸化アル
ミニウム系蒸着膜中の酸化アルミニウムの含有量が5重
量%未満になると蒸着膜中に格子欠陥が生じる傾向があ
り、ガスバリア性が必ずしも十分ではなくなるといった
問題が生じる。また、酸化珪素・酸化アルミニウム系蒸
着膜中の酸化アルミニウム量が45重量%を超えると、
蒸着膜の柔軟性が低下し、ガスバリア性積層フィルムを
熱水処理するときのフィルムの寸法変化によって膜の破
壊(割れや剥離)が生じ易くなってバリア性が低下する
といった問題が生じ、本発明の目的にそぐわなくなる。
【0035】上記の場合において、酸化アルミニウム
の、蒸着膜中のより好ましい比率は10〜35重量%、
更に好ましくは15〜25重量%である。なお、ガスバ
リア層中には、その特性を損なわない範囲で更に他の酸
化物などを微量(せいぜい3重量%まで)含んでいても
よい。
【0036】本発明において、無機物蒸着膜からなるガ
スバリア層の膜厚は、通常10〜5,000Å、好まし
くは50〜2,000Åである。膜厚が10Å未満では
満足のいくガスバリア性が得られ難く、また5,000
Åを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリ
ア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点
で却って不利となる。
【0037】無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成
する典型的な製法を酸化珪素・酸化アルミニウム系蒸着
膜の形成により説明すると、蒸着法としては真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの
物理蒸着法、あるいはCVDなどの化学蒸着法などが適
宜用いられる。たとえば真空蒸着法を採用する場合は、
蒸着原料としてSiO2とAl23の混合物、あるいは
SiO2とAlの混合物などが用いられる。加熱には、
抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱などを採用することが
でき、また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴ
ン、炭酸ガス、水蒸気などを導入したり、オゾン添加、
イオンアシストなどの手段を用いた反応性蒸着を採用す
ることも可能である。更に、基板にバイアスを印加した
り、基板を加熱したり冷却するなど、成膜条件も任意に
変更することができる。上記蒸着材料、反応ガス、基板
バイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCV
D法を採用する場合にも同様に変更可能である。
【0038】また、蒸着の前あるいは蒸着中に、基層と
なるポリアミド系樹脂フィルムの表面にコロナ放電処
理、火炎処理、低温プラズマ処理、グロー放電処理、逆
スパッタ処理、粗面化処理などを施し、蒸着膜の密着強
度向上を図ることも有効である。
【0039】この様な成分組成の酸化珪素・酸化アルミ
ニウム系薄膜とすることにより透明で、煮沸処理やレト
ルト処理、更にはゲルボ試験(耐屈曲性試験)にも耐え
ることができる優れた性能のガスバリアフィルムを得る
ことが可能となる。
【0040】なお、本発明にかかるガスバリア性積層フ
ィルムのガスバリア性は、基層となるポリアミド系樹脂
フィルムと上記ガスバリア層との密着強度が大きく関係
しており、密着強度が大きいほどガスバリア性は向上す
る。そして本発明者らの検討結果によれば、優れたガス
バリア性を有し、且つ煮沸処理やレトルト処理後におい
てもその優れたガスバリア性を維持させるには、上記密
着強度を300g/15mm以上にすべきであることを
確認している。より好ましい密着強度は500g/15
mm以上、さらに好ましくは800g/15mm以上、
一層好ましくは1000g/15mm以上である。密着
強度が300g/15mmに満たない場合は、煮沸処理
やレトルト処理によってガスバリア性が悪くなる傾向が
現われてくる。
【0041】また、煮沸処理やレトルト処理によるガス
バリア性持続効果は、熱水中に浸漬した後の基層とガス
バリア層間の密着強度にも関係しており、例えば95℃
の熱水中に30分浸漬した後の密着強度が200g/1
5mm以上、より好ましくは300g/15mm以上、
更に好ましくは500g/15mm以上、一層好ましく
は800g/15mm以上であるものは、煮沸処理やレ
トルト処理によるガスバリア性や防湿性の低下が少な
く、非常に優れた性能を示す。
【0042】この様に、熱水処理後も優れた密着強度を
示すものは、煮沸処理やレトルト処理後においても蒸着
基材と前記無機物蒸着膜からなるガスバリア層間の剥離
や無機物蒸着膜からなるガスバリア層の破壊が起こら
ず、優れたガスバリア性及び防湿性が維持される。この
理由は、密着強度が大きければ、煮沸処理やレトルト処
理によって蒸着基材に若干の収縮が起こった場合でも、
無機物蒸着膜からなるガスバリア層の剥離が起こり難く
なるためと考えられる。
【0043】この様に優れた密着強度を得るための手段
としては、無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成す
る基層となるポリアミド系樹脂フィルムの表面に、コロ
ナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、逆スパッ
タ処理、粗面化処理などを施したり、あるいはポリアミ
ド系樹脂フィルム上に密着力向上の為のアンカーコート
層を形成するなどの方法があるが、勿論これらの方法に
限定されるものではない。
【0044】ガスバリア層の基層への密着強度向上の為
に好ましく使用されるアンカーコート剤としては、反応
性ポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、ウレタン変
性アルキド樹脂、メラミン変性アルキド樹脂、エポキシ
硬化アクリル樹脂、エポキシ系樹脂(アミン、カルボキ
シル基末端ポリエステル、フェノール、イソシアネート
などを硬化剤として用いたもの)、イソシアネート系樹
脂(アミン、尿素、カルボン酸などを硬化剤として用い
たもの)、ウレタン−ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、反応性アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩
化ビニル系樹脂など及びこれらの共重合体が例示され
る。これらは水に可溶化乃至分散化した水性樹脂として
用いることもできる。この他、シランカップリング剤な
どの無機系コート剤をアンカーコート剤として使用する
ことも有効である。
【0045】上記アンカーコート層の形成法としては、
ポリアミド系樹脂フィルムの製造時に塗布するインライ
ン方式、ポリアミド系樹脂フィルムの製造とは別工程で
塗布するオフライン方式のいずれを採用することもでき
る。また、塗布には公知の塗工法、たとえばロールコー
ト法、リバースコート法、ロールフラッシュ法、スプレ
ーコート法、エアーナイフコート法、グラビアコード
法、含浸法、カーテンコート法などを採用して、アンカ
ーコート剤を有機溶剤に溶解しあるいは水性樹脂として
塗布、乾燥することができる。
【0046】また、本発明者らの検討結果によると、該
アンカーコート層の形成による基層と無機物蒸着膜から
なるガスバリア層との密着強度の向上には、該アンカー
コート層を形成する樹脂のガラス転移温度および酸価が
大きく影暮を及ぼし、ガラス転移温度が−40〜90℃
で、かつ、酸価が10eq/ton以上である樹脂を選
択使用すれば、上記密着強度が著しく高められることを
知った。さらに好ましくはガラス転移温度が0〜90℃
で、かつ、酸価が10eq/ton以上である樹脂であ
る。このような樹脂の好ましい例としては、熱硬化性の
ポリエステル系樹脂がある。これらの中でも好ましい例
はエステル化によって高分子化された結晶性または非晶
性の熱硬化性樹脂であり、この様なポリエステル系樹脂
は、ジカルボン酸またはトリカルボン酸とグリコール類
を重縮合することによって得られる。該重縮合に用いら
れる成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジ
ピン酸、トリメリット酸などの醸成分、およびエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオー
ル、エチレングリコール変性ビスフェノールAなどのグ
リコール成分が挙げられるが、勿論これらに限られるも
のではない。また、このポリエステル系樹脂は、アクリ
ル系モノマーをグラフト共重合したものであってもよ
い。
【0047】そして上記の様なポリエステル系樹脂に、
硬化剤としてイソシアネート系化合物、エポキシ系化合
物、アクリル系化合物、メラミン系化合物などを加え、
熱硬化特性を更に高めることも有効であり、更に、アン
カーコート層を形成する樹脂には、必要に応じて更に他
の各種の添加剤を配合することも可能である。その他、
ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリエステル系ウレタン
樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエチ
レン系樹脂、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体など
を用いることもできる。これらは水に可溶化乃至分散化
した水性樹脂として用いるのが好ましい。
【0048】さらに、該アンカーコート剤をフィルムに
形成して測定したときの伸度が100%以上となるアン
カーコート層を、基層とガスバリア層との間に形成して
得た本発明のガスバリア性積層フィルムであれば、煮沸
処理やレトルト処理時のポリアミド系樹脂からなる基層
の寸法変化の影響を緩和することができ、無機物蒸着膜
からなるガスバリア層の破壊もしくは剥離はさらに起こ
りにくくなる。上記、伸度を測定するフィルムは、合成
樹脂からなるアンカーコート剤を50℃で離型板上で5
0℃で乾燥して膜を形成し、次いで、80℃で3分間、
さらに150℃で5分間熱処理を行って得たフィルムで
ある。
【0049】上記の如く、熱硬化性のポリエステル系樹
脂あるいはポリウレタン系樹脂などからなるアンカーコ
ート層を基層を構成するポリアミド系樹脂フィルムの表
面に塗布してからガスバリア層を形成することにより、
該基層と無機物蒸着膜からなるガスバリア層との結合力
が増強され、両者の層間密着強度が一層効果的に高めら
れる。ここで、アンカーコート層の好ましい厚みは0.
01〜10μm、より好ましくは0.02〜5μmであ
る。厚さが0.02μm未満では密着強度向上効果が十
分に発揮され難くなる傾向があり、また5μmを超えて
過度に厚くしてもそれ以上の密着性向上効果は発揮され
ず、経済的にも不利となる。
【0050】上記無機物蒸着膜からなるガスバリア層の
表面には、主たる目的として熱接着性を与える為のポリ
オレフィン系樹脂よりなるヒートシール層が形成される
が、このヒートシール層は無機物蒸着膜からなるガスバ
リア層の保護層としての機能も有しており、その機能を
有効に果たす上で、該無機物蒸着膜からなるガスバリア
層とヒートシール層との接着力を高めることは極めて有
効であり、その為の手段として、無機物蒸着膜からなる
ガスバリア層とヒートシール層との間に熱硬化樹脂層を
設けることが極めて有効である。
【0051】その為の熱硬化樹脂層を構成する樹脂とし
て特に好ましいのは、ガラス転移温度が−10〜40℃
の籟囲の樹脂、たとえばポリウレタン系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸
ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系
樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂などであり、こ
れらは単独で使用することができるほか、必要により2
種以上を併用したり溶融混合して使用するが、官能基と
して例えば、カルボン酸基、酸無水物、(メタ)アクリ
ル酸や(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する化合
物;グリシジル基やグリシジルエーテル基を含むエポキ
シ化合物;オキサゾリン基、イソシアネート基、アミノ
基、水酸基などの反応性官能基を有する硬化剤もしくは
硬化促進剤を配合した熱硬化性樹脂を使用することも有
効である。
【0052】そしてこれらの、ガスバリア層上に形成し
た熱硬化樹脂層の表面へのポリオレフィン系樹脂の積層
は、ドライラミネート法やウェットラミネート法、更に
は溶融押し出しラミネート法や共押し出しラミネート法
などによって、無機物蒸着膜からなるガスバリア層の上
にヒートシール層として形成される。
【0053】ポリオレフィン系樹脂からなるヒートシー
ル層は、必ずしも単層である必要はなく複層であっても
よく、複層構造とするときの各層を構成する樹脂も、同
種の樹脂の組合せはもとより、異種ポリマーの共重合物
や変性物、ブレンド物などを積層したものであってもよ
い。たとえば、ラミネート性やヒートシール性を高める
ため、べースとなるポリオレフィン系樹脂のガラス転移
温度(Tg)や融点(Tm)よりも低いTmやTgを有
するポリマーを複合したり、耐熱性を付与するため逆に
高いTgやTmを有するポリマーを複合することも可能
である。
【0054】そして、ポリオレフィン系樹脂からなるヒ
ートシール層であるフィルムとして、40℃における圧
縮弾性率が10kgf/mm2以上のものを選択使用す
れば、落下衝撃を受けたときはもとより、煮沸処理やレ
トルト処理による無機物蒸着膜からなるガスバリア層の
破壊もしくは剥離などを抑える効果も一層高められ、ガ
スバリア性の持続性を一段と優れたものとすることがで
きる。こうした意味から、ヒートシール層を形成するポ
リオレフィン系樹脂フィルムの、より好ましい圧縮弾性
率(40℃)は20kgf/mm2以上、更に好ましく
は30kgf/mm2以上(40℃)である。
【0055】ヒートシール層を形成する上記ポリオレフ
ィン系樹脂には、必要に応じて各種の添加剤、たとえば
可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色
剤、フィラー、蓄電防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロッキ
ング剤、他の樹脂などをブレンドすることも可能であ
る。
【0056】また、無機物蒸着膜からなるガスバリア層
上を被覆する熱硬化樹脂層は熱硬化性樹脂が硬化した熱
硬化樹脂層であって、好ましくは熱可塑性樹脂と硬化剤
とからなる熱硬化樹脂層であるが、また、好ましくは2
液性の熱硬化性樹脂が用いられる。無機物蒸着膜からな
るガスバリア層の保護という機能からは無機物蒸着膜か
らなるガスバリア層との密着性・耐熱性・対薬品性が求
められる。
【0057】そのため、ガスバリア層を被覆する熱硬化
樹脂層を形成するのに特に好ましいのは、ポリエステル
樹脂とイソシアネート系化合物からなる熱硬化性樹脂で
ある。このようなポリエステル樹脂はジカルボン酸また
はトリカルボン酸のような酸成分と、グリコール成分と
を公知の方法を用いて重縮合して得られるポリエステル
樹脂である。このような酸成分の例としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸及びトリ
メリット酸などが挙げれれるが、特にこれらに限定され
ない。グリコール成分の例としては、エチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、シクロ
ヘキサンジオール、エチレングリコール変性ビスフェノ
ールAなどが挙げられるが、特にこれらに限定されな
い。またイソシアネート系化合物の例としては2官能お
よび3官能の脂肪族あるいは芳香族を骨格に有するもの
が挙げられる。塗布には公知の塗工法、例えばロールコ
ート法、リバースキスコート法、ロールフラッシュ法、
スプレーコート法、エアーナイフコート法、グラビアコ
ート法、含浸法、カーテンコート法などを採用すること
ができる。
【0058】かくして得られる本発明のガスバリア性積
層フィルムは、その優れたガスバリア性、防湿性及び煮
沸処理やレトルト処理によるガスバリア持続性を生か
し、包装材料として味噌、漬物、惣菜、ベビーフード、
佃煮、こんにゃく、ちくわ、蒲鉾などの水産加工品、ミ
ートボール、ハンバーグ、ジンギスカン、ハム、ソーセ
ージなどの畜肉加工品、茶、コーヒー、紅茶、鰹節、昆
布、ポテトチップス、バターピーナッツ、米菓、ビスケ
ット、クッキー、ケーキ、饅頭、カステラ、チーズ、バ
ター、切り餅、スープ、ソース、ラーメン、わさびなど
の各種食品、また、練り歯磨きなどの包装に有効に利用
することができ、更にはペットフード、農薬、肥料、輸
液パック、或は半導体や精密材料包装など医療、電子、
化学、後械などの産業材料包装にも有効に活用すること
ができる。
【0059】また包装材料の形態にも特に制限がなく、
袋、フタ材、カップ、チューブ、スタンディングパック
などに幅広く適用できる。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。また、下記実施例で採用した各種の性能試験は次の
方法によって行なった。
【0061】1.酸素透過量 酸素透過度測定装置(Modern Controls社製/商品名:
OX−TRAN 10/50A)を使用し、湿度0%、
温度25℃で測定した。
【0062】2.水蒸気透過量 水蒸気透過度測定装置(Modern Controls社製/商品
名:PERMATRAN)を使用し、湿度0%、温度2
5℃で測定した。
【0063】3.密着強度 ラミネートしたものを東洋測器社製/商品名:テンシロ
ンUTM2を用いて90度剥離し、ガスバリア層と基層
間のS−Sカーブを測定して求めた。
【0064】4.ガラス転移温度 示差熱測定計(島津製作所社製/商品名:DSC−5
0)を使用し、供試樹脂の吸熱曲線から求めた。
【0065】5.酸価 供試樹脂を1.0g秤取し、30ccのジメチルホルム
アルデヒドに溶解させる。この溶液を0.1NのKOH
のエチルアルコール溶液で滴定を行ない、同様にジメチ
ルホルムアミドのブランク溶液の滴定を行い、下記の式
から酸価を計算する。 酸価=102×V×f V:(サンプル滴定量−ブランク滴定量) f:(0.1NのKOHのエチルアルコール溶液の活量
係数)
【0066】6.最大寸法変化率 熱収縮応力試験機(東測精密工業株式会社)を使用し、
95℃の熱水中での寸法変化率をTD、MD方向につい
て測定し、最大の値を最大の寸法変化率とした。
【0067】7.伸度 合成樹脂からなるアンカーコート剤を離型板上で50℃
で乾燥して膜を形成し、次いで80℃で3分間、さらに
150℃で5分熱処理を行ってフィルムを得た。このフ
ィルムを東洋測器社製/商品名:テンシロンUTM2を
用いて引張速度300mm/minでS−Sカーブを測
定して求めた。
【0068】8.圧縮弾性率 JIS−K7208に準拠し、理学電機社製/商品名:
S−S TAM測定器を用いて測定した。
【0069】9.ゲルボ試験 耐屈曲疲労試験(以下、ゲルボ試験という)は、理学工
業社製/商品名:ゲルボフレックステスターを用いて評
価した。条件としては、(MIL−B131H)DE1
12インチ×8インチの試験片を直径3(1/2)イン
チの円筒状とし、両端を保持し、初期把握間隔7インチ
とし、ストロークの3(1/2)インチで、400度の
ひねりを加える。この動作の繰り返し往復運動を40回
/minの速さで行なう。測定雰囲気は、20℃、相対
湿度65%。
【0070】(実施例1)ポリアミド系樹脂として、ε
−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6を用い、
180℃で真空乾燥してから押出機に供給し、260℃
で溶融させた後Tダイよりシートを吐出させ、冷却ドラ
ムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に加熱
し、長手方向に3.2倍、次いで120℃で横方向に4
倍延伸し、引続いて熱固定を行って、厚み15μmのナ
イロン−6フィルムを得た。該フィルムの120℃×5
分間加熱後の収縮率は、縦方向1.5%、横方向1.0
%であり、95℃の熱水中における収縮応力は652g
f/mm2、最大寸法変化率は2%であった。このフィ
ルム上に、2液型ポリエステル系コート剤[東洋紡績社
製/商品名:バイロン50AS/バイロン20SS)
(Tg:34℃、酸価:15eq/ton)と同「K−
2」を5:1に混合したもの]を塗布し0.1μmのア
ンカーコート層を形成した。次いで、蒸着材料としてS
iO2(純度:99.9%)と粒子状(3〜5mm程
度)のAl23を用い、これらの蒸着材料を加熱蒸着さ
せる電子ビーム加熱型真空蒸着装置に、上記のアンカー
コート層を形成したナイロン−6フィルムのロールをセ
ットし、蒸着源上を走行させた。かくしてアンカーコー
ト層上に無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成し
た。蒸着材料は混合せず、ハース内をカーボン板で2つ
に仕切り、加熱源として一台の電子銃を時分割でSiO
2とAl23に照射して蒸発させ、膜厚200Å、酸化
アルミニウム含有率20%の無機物蒸着膜からなるガス
バリア層を形成した。
【0071】この無機物蒸着膜からなるガスバリア層上
に2液型ポリエステル/イソシアネート系プライマー
[大日精化工業社製/商品名:PD−4と同VM−Dを
20:1で混合したもの]を塗布・乾燥・硬化後、グラ
ビア印刷により赤白重ね印刷を行った。
【0072】この印刷層上に、2液型ポリウレタン系接
着剤(武田薬品社製/商品名:A310/A10)を5
g/m2塗布し、その上に40℃における圧縮弾性率が
9kgf/mm2のポリエチレンフィルム(55μm)
をドライラミネートしてからエージングを行ない、ガス
バリア性積層フィルムを得た。
【0073】(実施例2)ポリアミド素樹脂として、ε
−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6を用い、
180℃で真空乾燥してから押出機に供給し、260℃
で溶融させた後Tダイよりシートを吐出させ、冷却ドラ
ムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に加熱
し、長手方向に3.2倍、次いで120℃で横方向に4
倍延伸し、引続いて熱固定を行って、厚み15μmのナ
イロン−6フィルムを得た。該フィルムの120℃×5
分間加熱後の収縮率は、縦方向1.5%、横方向1.0
%であり、95℃の熱水中における収縮応力は652g
f/mm2、最大寸法変化率は1.8%であった。この
フィルム上に、酢酸ビニル系コート剤[昭和高分子社製
/商品名:EF221(Tg:35℃、酸価:15eq
/ton)]をインラインで塗布し0.1μmのアンカ
ーコート層を形成した。次いで、蒸着材料としてSiO
2(純度:99.9%)と粒子状(3〜5mm程度)の
Al23を用い、これらの蒸着材料を加熱蒸着させる電
子ビーム加熱型真空蒸着装置に、上記のアンカーコート
層を形成したナイロン−6フィルムをセットし、蒸着源
上を走行させた。かくしてアンカーコート層上に無機物
蒸着膜からなるガスバリア層を形成した。蒸着材料は混
合せず、ハース内をカーボン板で2つに仕切り、加熱源
として一台の電子銃を時分割でSiO2とAl23に照
射して蒸発させ、膜厚200Å、酸化アルミニウム含有
率20%の無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成し
た。
【0074】この無機物蒸着膜からなるガスバリア層上
に2液型ポリエステル/イソシアネート系プライマー
[大日精化工業社製/商品名:PD−4と同VM−Dを
20:1で混合したもの]を塗布・乾燥・硬化後、グラ
ビアによる赤白重ね印刷を行った。
【0075】この印刷層上に、2液型ポリウレタン系接
着剤(武田薬品社製/商品名:A310/A10)を5
g/m2塗布し、その上に40℃における圧縮弾性率が
9kgf/mm2のポリエチレンフィルム(55μm)
をドライラミネートしてからエージングを行ない、ガス
バリア性積層フィルムを得た。
【0076】(実施例3)ポリアミド系樹脂として、ε
−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6を用い、
180℃で真空乾燥してから押出機に供給し、260℃
で溶融させた後Tダイよりシートを吐出させ、冷却ドラ
ムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に加熱
し、長手方向に3.2倍、次いで120℃で横方向に4
倍延伸し、引続いて熱固定を行って、厚み15μmのナ
イロン−6フィルムを得た。該フィルムの120℃×5
分聞加熱後の収縮率は、縦方向1.5%、横方向1.0
%であり、95℃の熱水中における収縮応力は652g
f/mm2、最大寸法変化率は2%であった。このフィ
ルム上に、アクリルグラフトポリエステル系コート剤
[東洋紡績社製/商品名:AGN131(Tg:−20
℃)]を塗布し0.1μmのアンカーコート層を形成し
た。蒸着材料としてSiO2(純度:99.9%)と粒
子状(3〜5mm程度)のAl23を用い、これらの蒸
着材料を電子ビーム加熱型真空蒸着装置に、上記のアン
カーコート層を形成したナイロン−6フィルムをセット
し、蒸着源上を走行させた。かくしてアンカーコート層
上に無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成した。蒸
着材料は混合せず、ハース内をカーボン板で2つに仕切
り、加熱源として一台の電子銃を時分割でSiO2とA
2 3に照射して蒸発させ、膜厚200Å、酸化アルミ
ニウム含有率20%の無機物蒸着膜からなるガスバリア
層を形成した。
【0077】この無機物蒸着膜からなるガスバリア層上
に2液型ポリエステル/イソシアネート系プライマー
[大日精化工業社製/商品名:PD−4と同VM−Dを
20:1で混合したもの]を塗布・乾燥・硬化後、グラ
ビア印刷法による赤白重ね印刷を行った。
【0078】この印刷層上に、2液型ポリウレタン系接
着剤(武田薬品社製/商品名:A310/A10)を5
g/m2塗布し、その上に40℃における圧縮弾性率が
9kgf/mm2のポリエチレンフィルム(55μm)
をドライラミネートしてからエージングを行ない、ガス
バリア性積層フィルムを得た。
【0079】(比較例1)ポリアミド系樹脂として、ε
−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6を用い、
180℃で真空乾燥してから押出機に供給し、260℃
で溶融させた後、Tダイよりシート状に吐出させ、冷却
ドラムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に
加熱し、長手方向に3.2倍、次いで120℃で横方向
に4倍延伸し、引続いて熱固定を行って厚み15μmの
ナイロン−6フィルムを得た。該フィルムの120℃×
5分間加熱後の収縮率は、縦方向1.5%、横方向1.
0%であり、95℃の熱水中における収縮応力は652
gf/mm2、最大の寸法変化率は2%であった。この
フィルムは、製膜工程でその表面にコロナ放電処理を施
した。
【0080】次いで、蒸着材料としてSiO2(純度:
99.9%)と粒子状(3〜5mm程度)のAl23
使用し、これらの蒸着材料を加熱蒸着させる電子ビーム
加熱型真空蒸着装置に、上記のコロナ放電処理を施した
ナイロン−6フィルムを蒸着装置の巻出しロールにセッ
トし、蒸着源上を走行させて無機物蒸着膜からなるガス
バリア層を形成した。
【0081】なお蒸着材料は混合せず、ハース内をカー
ボン板で2つに仕切り、加熱源として一台の電子銃を時
分割で照射してSiO2とAl23を蒸着させ、膜厚2
00Å、酸化アルミニウム含有率0%の無機蒸着膜を形
成した。この無機物蒸着膜からなるガスバリア層上にグ
ラビア印刷法による赤白重ね印刷を行った。
【0082】該印刷層上に、2液型ポリウレタン系接着
剤(武田薬品社製/商品名:A310/A10)を乾燥
厚さで5g/mm2塗布し、その上に40℃における圧
縮弾性率が9kgf/mm2のポリエチレンフィルム
(55μm)をドライラミネートした後、エージング
し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0083】(比較例2)ポリアミド系樹脂として、ε
−カプロラクタムを主原料とするナイロン−6を用い、
180℃で真空乾燥してから押出機に供給し、260℃
で溶融させた後、Tダイよりシート状に吐出させ、冷却
ドラムにてキャストした。得られたフィルムを50℃に
加熱し、長手方向に3.2倍、次いで120℃で横方向
に4倍延伸し、引続いて熱固定を行って厚み15μmの
ナイロン−6フィルムを得た。該フィルムの120℃×
5分聞加熱後の収縮率は、縦方向1.5%、横方向1.
0%であり、95℃の熱水中における収縮応力は652
gf/mm2、最大の寸法変化率は2%であった。この
フィルムは、製膜工程でその表面にコロナ処理を施し
た。
【0084】上記で得たナイロン−6フィルムに、以下
の手順で無機物蒸着膜からなるガスバリア層を形成し
た。即ち、蒸着材料としてSiO2(純度:99.9
%)と粒子状(3〜5mm程度)のAl23を使用し、
これらの蒸着材料を加熱蒸着させる電子ビーム加熱型真
空蒸着装置に、上記のコロナ放電処理を施したナイロン
−6フィルムをセットし、蒸着源上を走行させて無機物
蒸着膜からなるガスバリア層を形成した。
【0085】なお蒸着材料は混合せず、ハース内をカー
ボン板で2つに仕切り、加熱源として一台の電子銃を時
分割で照射してSiO2とAl23を蒸着させ、膜厚2
00Å、酸化アルミニウム含有率50%の無機蒸着膜を
形成した。この無機物蒸着膜からなるガスバリア層上に
グラビア印刷法による赤白重ね印刷を行った。
【0086】上記印刷層上に、2液型ポリウレタン系接
着剤(武田薬品社製/商品名:A310/A10)を乾
燥厚さで5g/mm2塗布し、その上に40℃における
圧縮弾性率が9kgf/mm2のポリエチレンフィルム
(55μm)をドライラミネートした後、エージング
し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
【0087】上記実施例および比較例で得た各積層フィ
ルムの性能を表1に一括して示す。
【0088】
【表1】
【0089】 注)薄膜組成 :酸化アルミニウムの重量% 収縮応力 :95℃の熱水中でのポリアミド系樹脂か
らなる基層の収縮応力の最大値(gf/mm2) 酸素透過量 :(cc/m2/atm/day) 水蒸気透過量:(g/m2/day) 伸度 :アンカーコート剤の塗膜の伸度(%) 変化率 :95℃の熱水中でのナイロン樹脂からな
る基層の寸法変化の最大値(%) 弾性率 :40℃の温水中でのポリエチレンフィル
ムの圧縮弾性率(gf/mm 2)
【0090】
【発明の効果】本発明のガスバリア性積層フィルムまた
はシートによれば、優れたガスバリア性を有しているば
かりでなく、煮沸処理やレトルト処理後あるいは印刷工
程後においてもその優れたガスバリア性を持続し、且つ
落下衝撃などに対する強度に優れるほか、熱封緘性にも
優れており、食品包装用途を始めとして、無菌状態での
取扱を必要とする医療品や防錆性を必要とする電子部品
の包装などにも幅広く活用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森重 地加男 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 横山 誠一郎 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊関 清司 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 3E086 BA04 BA15 BA40 BB02 BB05 BB22 BB51 CA04 CA05 CA06 CA17 CA22 CA25 CA28 CA31 4F100 AA00B AA19B AA20B AK01C AK01E AK03D AK41 AK46A BA04 BA07 BA10A BA10D EH66B EJ38 EJ64E GB15 JB13C JD02 JD02B JD04 JK05D JK07D JL12 JL12D JM02B JN01 YY00A YY00D

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド系樹脂からなる基層の少なく
    とも一方の面に無機物蒸着膜からなるガスバリア層が形
    成され、該ガスバリア層の表面に熱硬化樹脂層が形成さ
    れ、該熱硬化樹脂層の表面にポリオレフィン系樹脂から
    なるヒートシール層が形成されてなる積層フィルムであ
    って、前記無機物蒸着膜が酸化珪素を主成分とし5〜4
    5重量%の酸化アルミニウムを含んでなることを特徴と
    するガスバリア性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 基層が、95℃の熱水中における最大の
    寸法変化率が4%以下である樹脂からなることを特徴と
    する請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 【請求項3】 ヒートシール層が、40℃における圧縮
    弾性率が10kgf/mm2以上の合成樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア性積層
    フィルム。
  4. 【請求項4】 基層とガスバリア層との間に、フィルム
    に形成して測定したときの伸度が100%以下の合成樹
    脂からなるアンカーコート剤によるアンカーコート層が
    形成されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記
    載のガスバリア性積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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