JP2000257441A - 遮蔽材 - Google Patents
遮蔽材Info
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Abstract
ることがほとんどなく、かつ、最低限必要な曲げ剛性を
維持しつつ可能な限り板厚の薄いエンボス加工が施され
たアルミニウム合金板からなる遮蔽材を提供する。 【解決手段】 規則的な凹凸を有するエンボス加工され
たアルミニウム合金板14からなる遮蔽材の板厚を0.
20mm〜0.39mmの範囲にする。板厚を0.20
mm以上とすることにより、所定以上の曲げ剛性を得る
ことができる。また、板厚を0.39mm以下とするこ
とにより、プレス成形の際に成形品に破断が発生するこ
とがほとんどなくなる。
Description
気案内部分やエンジンのマウント周辺などに用いられる
アルミニウム合金板からなる遮蔽材に関する。
分、トランスミッション部分およびエンジンのマウント
周辺あるいは家電製品の発熱部などには、熱的分離など
のために遮蔽材が取り付けられている。この遮蔽材は、
一般にはヒートインシュレータ(ヒートプロテクタ)と
称されているが、その特性として断熱性のほかに成形
性、剛性、放熱性などが要求される。かかる遮蔽材とし
ては、従来溶融亜鉛メッキ鋼鈑が主流であったが、軽量
化の観点から近年アルミニウムまたはその合金が採用さ
れ始めている。アルミニウムまたはその合金を用いた遮
蔽材は、通常一様にエンボス加工されてからプレス成形
などにより所定形状に成形され、そして自動車や家電製
品の所定部位に取り付けられる。
ンボス加工されたアルミニウム合金板からなる遮蔽材
は、その板厚が最小のものでも0.5mm程度である。
一方、自動車などの軽量化をより一層進めるために、遮
蔽材の板厚を、最低限必要な曲げ剛性を維持しつつ可能
な限り薄くすることが望まれている。しかしながら、こ
のようなエンボス加工を施した板材の曲げ剛性について
は系統的な調査がほとんど行われておらず、薄肉軽量化
の限度についても未解決である。
排気周りなどの部位に取り付けられることから、非常に
複雑な形状を持つことが多く、そのプレス成形は一般に
困難なものとなっている。このことから、プレス成形性
に優れた自動車用遮蔽材の開発が望まれている。
材にプレス成形を行なう際の成形性に関しては、系統的
な調査はほとんどなされておらず、不明な点が多い。こ
のため、エンボス加工が施された板材についてプレス成
形性を向上させる有効な方策はとられていなかった。
部品におけるような複雑形状にも破断を生じることなく
プレス成形による加工ができ、かつ、最低限必要な曲げ
剛性を維持しつつ可能な限り板厚の薄いエンボス加工が
施されたアルミニウム合金板からなる遮蔽材を提供する
ことである。
結果、板厚が0.20mm〜0.39mmの範囲にあ
り、規則的な凹凸を有するエンボス加工が施されたアル
ミニウム合金板からなる遮蔽材が上述した本発明の目的
に沿うものであることを見いだした。ここでいう「規則
的な凹凸」は、以下に説明するように、交差する2方向
に沿ってそれぞれ凹凸パターンが繰り返される平面的な
いし2次元的パターンとして設けられていてもよいし、
一方向に沿っては凹凸パターンが繰り返されるがこれと
直交する方向には凹凸のない1次元的パターンとして設
けられていてもよい。
(a)、(b)に示されたようなものである。図1
(a)において、白丸(○)はエンボス加工による凸部
頂点を表しており、黒丸(●)はエンボス加工による凹
部頂点を表しており、また、実線は凸部頂点間を結ぶ稜
線である。また、図1(b)は、図1(a)において2
つの凸部A、A’と1つの凹部Bとを通る断面図であ
る。
は、格子状に規則的に凸部を有するとともに、格子の縦
方向および横方向に一定の距離ずれた状態で格子状に規
則的に凹部を設けたエンボス加工された板である。そし
て、そのエンボス加工による凹凸の高さ(以下、「エン
ボス高さ」という)hは、図1(b)からも明らかなよ
うに、板面の垂直方向に最も高い位置から最も低い位置
までの距離(すなわち、エンボス加工によって形成され
た凹凸の最高点から最下点までの距離)である。また、
凸部間距離(以下、「エンボスピッチ」という)lは、
図1(a)に示すように、隣接する凸部間の水平方向に
沿った距離である。
は、図2に示すような一方向に規則的に凸部を有するエ
ンボス加工された板である。この場合も、図1(a)、
(b)で説明したのと同様に、エンボス高さhは、板面
の垂直方向に最も高い位置から最も低い位置までの距離
で定義され、エンボスピッチlは、隣接する凸部間の水
平方向に沿った距離で定義される。
としたのは、板厚が0.20mm未満では、アルミニウ
ム合金板にエンボス加工を施して曲げ剛性を向上させた
としても、自動車用遮蔽材に必要な大きさの曲げ剛性を
確保することが非常に困難であることが分かったからで
ある。また、より曲げ剛性を高めるという観点から、板
厚が0.26mm以上であることがより好ましい。
9mm以下としたのは、後の実施例で説明するように、
板厚が0.39mmを超えると、エンボス加工が施され
たアルミニウム合金板に深絞り成形などのプレス成形を
施した際、絞りフランジ部の絞り抵抗が過大となり、結
果として破断してしまい易いことが判明したからであ
る。また、こうした理由による成形時の破断を防止する
ためには、板厚が0.34mm以下であることがより好
ましい。
い平板では、周知のように板厚が小さくなるほど深絞り
成形などのプレス成形時に破断が生じやすくなる。しか
し、本発明者は、エンボス加工が施された板材の破断特
性について、平板とは逆の傾向を見いだした。つまり、
上述したように、エンボス加工が施されたアルミニウム
合金板は、その板厚が0.39mmを超えて大きくなる
ほどプレス成形を施した際に破断しやすくなるのであ
る。
の2.0倍以上、エンボスピッチを板厚の60倍以下と
したのは、自動車用遮蔽材の断熱性、成形性、放熱性な
どの諸特性を満足させるとともに、板厚が0.3mm以
下と薄い場合であっても所定の曲げ剛性を確保するため
である(板厚が厚い場合には曲げ剛性は確保されてい
る)。この点について、図3を参照して説明する。図3
は、図1(a)、(b)で説明した形状のエンボス加工
が施された3種類の板材についてその板厚(mm)と曲
げ剛性(kgf・mm)との関係をそれぞれ示すグラフ
である。図2において、□印はエンボス加工されていな
い鋼板、△印はエンボス加工されていないアルミニウム
合金板、◆印は高さ1.4mm、ピッチ10mmで凹凸
状のエンボス加工が施されたアルミニウム合金板をそれ
ぞれ表している。
されていないアルミニウム合金板の曲げ剛性は比較的小
さいが、高さ1.4mm、ピッチ10mmのエンボス加
工が施されたアルミニウム合金板の曲げ剛性は鋼鈑のそ
れに近い。このように、アルミニウム合金板にエンボス
加工を施すことによりその曲げ剛性を向上させることが
できることが明らかであり、本発明者の知見によると、
自動車用遮蔽材として必要な所定の曲げ剛性を確保する
には、エンボス加工の高さが板厚の2.0倍以上でかつ
突起間隔が板厚の60倍以下であることが望ましい。
類の板材についてその単位面積当りの重量(g/c
m2 )と曲げ剛性(kgf・mm)との関係をそれぞれ
示すグラフである。図4に示すように、曲げ剛性一定と
いう条件で考えた場合、アルミニウム合金板は鋼鈑より
も単位面積当りの重量が小さく、また、アルミニウム合
金板のエンボス高さを大きくすると、その単位面積当り
の重量を小さくすることができることが分かる。つま
り、エンボス高さを大きくするほど、自動車用遮蔽材の
軽量化を図ることが可能である。このような観点から
も、エンボス加工の高さが板厚の2.0倍以上かつ突起
間隔が板厚の60倍以下であることが好ましい。
して用いられるアルミニウム合金板は、リサイクル特性
およびコストの面から、AAないしJIS規格による3
000系アルミニウム合金板(以下、単に「3000系
アルミニウム合金板」という)であることが好ましい。
なものに3004アルミニウム合金がある。3004ア
ルミニウム合金は、キャン容器などの用途に用いられて
おり、その生産量は年間30万トンに及ぶ。そのため、
大量生産によるコストメリットが大きく、例えば500
0系アルミニウム合金よりもかなり安価である。300
4アルミニウム合金は、一般にその強度が5000系合
金よりも低いが、Mgの添加量が1%程度であって圧延
性がよいため、板の生産の面でもコスト的に優位であ
る。従って、3004アルミニウム合金は、ヒートイン
シュレータとして用いるのに好適な材料である。
の3004アルミニウム合金は、基本的にMgを0.8
〜1.3重量%、Mnを1.0〜1.5重量%、Siを
0.3重量%、Feを0.7重量%、Cuを0.25重
量%、Znを0.25重量%、残部Alおよび不可避的
不純物を含有している。しかし、必ずしも各成分が規格
通りにならずとも、適宜成分組成の変更は許容される。
すなわち、上記元素の成分範囲の変更や、より具体的な
用途および要求特性に応じて、他の元素を適宜含むこと
は許容される。
強さが180N/mm2 、耐力が80N/mm2 、伸び
が25%という機械的特性を有しており、耐食性につい
ても良好である。3004アルミニウム合金は、500
0系または6000系合金と同様に、耐食アルミニウム
合金に分類されており、耐食性、強度、成形性などの諸
特性のバランスがとれたアルミ合金である。なお、本発
明において、3000系アルミニウム合金以外に、50
00系または6000系アルミニウム合金を用いること
も可能である。
合金に、高さ1.4mm(板厚の5.6倍)、ピッチ1
0mm(板厚の40倍)で図1(a)、(b)に示した
ような波形のエンボス加工を施した後、プレス成形によ
る加工を行った。このときのプレス形成条件は、図5に
示すようなものとした。すなわち、しわ押さえ板11と
円形ダイス12との間隔(ダイフェイスクリアランス)
cをシム13により1.9mmに固定して、エンボス板
(85mm四方の正方形ブランク)14に対して円筒型
のパンチ15により深絞り成形試験を行うものとした。
なお、パンチ径φp は40mm、ダイス径φd は42m
mm、パンチ肩半径rp とダイス肩半径rd はともに3
mmとした。
合金板について、曲げ剛性を調査した。その結果、本実
施例1のアルミニウム合金板の曲げ剛性は35.3kg
f・mmであった。また、円筒形ダイスによる深絞り成
形試験での最大成形高さ(破断限界成形高さ)について
も調べたところ、この場合、材料は破断することなく完
全に絞り抜けた。これらの結果を〔表1〕に示す。
施例2)、0.35mm(実施例3)とした以外は、実
施例1と同様に成形されたアルミニウム合金板につい
て、曲げ剛性、円筒形ダイスによる深絞り成形試験での
最高成形高さをそれぞれ調べた。その結果を〔表1〕に
示す。
較例1)、0.40mm(比較例2)、0.50mm
(比較例3)とした以外は、実施例1と同様に成形され
たアルミニウム合金板について、曲げ剛性、円筒形ダイ
スによる深絞り成形試験での最高成形高さをそれぞれ調
べた。その結果を〔表1〕に示す。
ム合金板の板厚が0.20mm未満である比較例1で
は、破断することなく完全に絞り抜けたものの、曲げ剛
性の大きさが自動車用遮蔽材に必要な大きさには達して
いない。
実施例1〜3よりも優れているものの、破断が生じかつ
最大成形高さが小さい。すなわち、比較例2〜3は、深
絞り特性が実施例1〜3より劣っている。
深絞り性が劣る理由については、以下のように考えられ
る。図5に示すような深絞り成形では、パンチから材料
に伝えられる成形荷重は、フランジ部分の材料を周方向
に圧縮し、ダイス径に絞り込むために使われる。フラン
ジ部の材料の絞り変形の抵抗力をFとし、パンチからの
荷重が伝達される部分の材料の強度をSとすると、深絞
り成形性はFとSの大小関係によって決まる。すなわ
ち、Fが小さくSが大きいほど深絞り成形性は良好とな
る。また、パンチからの荷重伝達部の強度Sは通常板厚
に比例する。
わ発生をしわ押さえ力によって抑制しつつ成形が行われ
るが、こうした場合、フランジ部の絞り変形抵抗Fは板
厚に比例することになる。一方、本発明のようなエンボ
ス加工を施した遮蔽材の場合、フランジ部のしわ発生は
不可避である。このような場合、フランジ部の絞り変形
抵抗力Fは、板の面外方向に湾曲した板材61を面内の
圧縮力62により縮める際の材料の変形抵抗として決ま
ることになる。この際には、絞り変形抵抗は板材61の
曲げ変形時の全塑性モーメントに基づいて決まると考え
られ、近似的にはFは板厚の2乗に比例するものと考え
られる。
の場合、通常の板材と異なり、絞り変形抵抗Fは板厚の
2乗に比例して増加し、一方パンチからの荷重伝達部分
の材料強度Sは板厚に比例して増加する。このため、エ
ンボス加工を施した遮蔽材では、板厚が増すほどに絞り
変形抵抗Fが強度Sに対して相対的に大きくなり、深絞
り成形に不利になるものと推論される。なお、エンボス
加工が施されない一般の板材では、FおよびSはともに
板厚に比例して増加するものと考えられるため、エンボ
ス加工が施された遮蔽材に見られる上述のような板厚変
化による成形性の変化はほとんど生じない。以上に述べ
たような理由から、本発明に係るエンボス加工が施され
た遮蔽材の場合、板厚が厚いほど深絞り成形性が不利に
なるものと考えられる。
すると、エンボス加工が施されたアルミニウム合金板か
らなる自動車用遮蔽材の板厚は、0.20mm〜0.3
9mmの範囲であることが好ましく、0.26mm〜
0.34mmの範囲であることがより好ましい。
アルミニウム合金に高さ0.60mm(板厚の2.0
倍)、ピッチ10mm(板厚の33倍)で図1に示した
ような形状のエンボス加工を施した。
合金板について、曲げ剛性を調べた。その結果、本実施
例4のアルミニウム合金板の曲げ剛性は28.2kgf
・mmであった。この結果を〔表2〕に示す。
m(板厚の2.0倍)、エンボスピッチを6mm(板厚
の20倍)(実施例5)、エンボス高さを1.0mm
(板厚の3.3倍)、エンボスピッチを6mm(板厚の
20倍)(実施例6)、エンボス高さを1.0mm(板
厚の3.3倍)、エンボスピッチを10mm(板厚の3
3倍)(実施例7)とした以外は、実施例4と同様に成
形されたアルミニウム合金板について、その曲げ剛性を
調べた。その結果を〔表2〕に示す。
m(板厚の0.67倍)、エンボスピッチを10mm
(板厚の33倍)(比較例4)、エンボス高さを0.6
mm(板厚の2.0倍)、エンボスピッチを20mm
(板厚の66倍)(比較例5)とした以外は、実施例4
と同様に成形されたアルミニウム合金板について、曲げ
剛性をそれぞれ調べた。その結果を〔表2〕に示す。
さが板厚の2倍未満である比較例4では、曲げ剛性の大
きさが18.8kgf・mmであり自動車用遮蔽材に必
要な大きさには達していない。また、エンボスピッチが
板厚の60倍以上である比較例5についても、曲げ剛性
の大きさが25.7kgf・mmであり自動車用遮蔽材
に必要な大きさには達していない。一方で、エンボス高
さが板厚の2.0倍以上でありかつエンボスピッチが板
厚の60倍以下である実施例4〜7では、曲げ剛性の大
きさが自動車用遮蔽材として必要なレベルであると考え
られる。これらの実施例4〜7および比較例4〜5から
明らかなように、エンボス加工が施されたアルミニウム
合金板からなる自動車用遮蔽材は、板厚が0.3mm付
近と薄い場合であっても所定の曲げ剛性を維持するとい
う観点から、そのエンボス高さが板厚の2.0倍以上
で、かつ、エンボスピッチが板厚の60倍以下であるこ
とが好ましい。
(b)に示す特定のエンボス形状についてについて説明
したが、本発明はこれ以外の様々なエンボス形状につい
てもほぼ同様に成り立つことが分かっている。また、3
004アルミニウム合金以外のアルミニウム合金につい
ても、上述の実施例とほぼ同様の結果が得られる。
エンボス加工が施されたアルミニウム合金板からなる遮
蔽材について、深絞り成形などのプレス成形時における
絞り変形抵抗が過大となる結果起こる破断を防止するこ
とができる。従って、複雑な形状の遮蔽材であっても良
好な深絞り成形性を得ることができるとともに、最低限
必要な曲げ剛性を維持しつつ軽量化を図ることが可能と
なる。
一例の概略的な模式図である。
別の一例の概略的な模式図である。
関係をそれぞれ示すグラフである。
と曲げ剛性との関係をそれぞれ示すグラフである。
説明するための図である。
である。
Claims (5)
- 【請求項1】 板厚が0.20mm〜0.39mmの範
囲にあり、規則的な凹凸を有するエンボス加工が施され
たアルミニウム合金板からなる遮蔽材。 - 【請求項2】 板厚が0.26mm〜0.34mmの範
囲にあることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽材。 - 【請求項3】 3000系アルミニウム合金板からなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遮蔽材。 - 【請求項4】 前記エンボス加工による凹凸の高さが板
厚の2.0倍以上、凸部間距離が板厚の60倍以下であ
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
の遮蔽材。 - 【請求項5】 自動車用遮蔽材であることを特徴とする
請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮蔽材。
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