JP2000255088A - 薄膜サーマルヘッド及びその製造方法並びにこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

薄膜サーマルヘッド及びその製造方法並びにこれを用いた画像形成装置

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JP2000255088A
JP2000255088A JP11057295A JP5729599A JP2000255088A JP 2000255088 A JP2000255088 A JP 2000255088A JP 11057295 A JP11057295 A JP 11057295A JP 5729599 A JP5729599 A JP 5729599A JP 2000255088 A JP2000255088 A JP 2000255088A
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thermal head
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thin
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JP11057295A
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English (en)
Inventor
Osamu Shimizu
治 清水
Kazuaki Kaneshiro
和明 金城
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印画率の違いによる摩擦抵抗の変動を小さく
し、印画画質の向上を図ることができる薄膜サーマルヘ
ッド及びその製造方法並びにこれを用いた画像記録装置
を提供する。 【解決手段】 基板41上に少なくとも抵抗発熱層4
3、導体層44を順次積層し、導体層44、抵抗発熱層
43をエッチングして複数の発熱素子40を形成し、発
熱素子40及び発熱素子40同士の間の表面を保護層4
5で覆った薄膜サーマルヘッドにおいて、発熱素子40
上の保護層45の上面より、発熱素子40同士の間の保
護層45の上面を、0.3μm以上低く形成した。ま
た、このサーマルヘッドは、導体層44及び抵抗発熱層
43をエッチングにより部分的に除去して複数の発熱素
子40を形成した後、この除去工程によって発熱素子4
0同士の間で露出した抵抗発熱層43の下層を、エッチ
ングにより除去することで得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録材料(熱転写
記録材料、感熱材料、感光感熱転写感材等)に、一部分
を接触させながら相対移動して、材料へ直接的に又はこ
の材料を介して間接的に印画を行う薄膜サーマルヘッド
及びその製造方法並びにこれを用いた画像形成装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】薄膜サーマルヘッドは、プラテンの回転
軸方向に列状に配した発熱素子を有し、プラテンとこの
発熱素子との間に挿入された記録材料に対して印画すべ
き画像に相当する発熱素子を選択加熱し、記録材料に画
像を形成する。この場合、上述の記録材料が熱転写記録
材料(例えばインクリボン)である場合には、発熱素子
の加熱によりインクリボンのインキが画像様に記録材料
の受像面に熱転写される。また、記録材料が感熱材料
(感熱紙)である場合には、発熱素子の加熱により画像
が直接的に感熱紙に形成される。
【0003】ところで、従来の発熱素子は、セラミック
基板上に凸状のグレーズ層を形成し、その上に抵抗発熱
体、電極層、保護層を順次積層した後、グレーズ層先端
の導体層の一部分を除去して形成されるものである。従
って、発熱素子は保護層を介して材料に接触することに
なる。この保護層は、平滑なものとして形成され、ま
た、一般的に記録材料も摩擦抵抗を下げるため、ヘッド
との接触面にワックス等がコートされて平滑なものとし
て形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録材
料と接触して記録を行う薄膜サーマルヘッドは、印画の
有無、即ち印画率に応じて記録材料との間の摩擦抵抗が
大きく変動する。このため、発熱素子の配列方向を主走
査方向、記録材料とヘッドとの相対移動方向を副走査方
向とした場合、図7に示すように、副走査方向に中間色
を連続印画する中間色印画領域71と、副走査方向に白
又は黒を交互に印画する二値印画領域72とが混在する
パターン74を印画すると、二値印画領域72の印画率
の変動によってヘッドと記録材料との摩擦抵抗が変動
し、図8に示すように、中間色印画領域71にライン状
となって現れる、所謂ライン飛びと称する印画不良77
が発生した。また、ワックスのコートされた記録材料を
用いる接触型記録ヘッドでは、印画率によってワックス
の溶融量が変化し、これによっても摩擦抵抗が変動して
印画不良を発生させた。本発明は上記状況に鑑みてなさ
れたもので、印画率の違いによる摩擦抵抗の変動を小さ
くし、印画画質の向上を図ることができる薄膜サーマル
ヘッド及びその製造方法並びにこれを用いた画像形成装
置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る請求項1記載の薄膜サーマルヘッドは、
基板上に少なくとも抵抗発熱層、導体層、保護層を順次
積層して形成された複数の発熱素子により、記録材料に
対して記録を行う薄膜サーマルヘッドにおいて、前記発
熱素子上の前記保護層の上面より、発熱素子同士の間の
前記保護層の上面を0.3μm以上低く形成したことを
特徴とする。
【0006】この薄膜サーマルヘッドでは、発熱素子上
の保護層上面より、発熱素子同士の間の保護層上面が
0.3μm以上低くなることで、発熱素子同士の間の保
護層上面が材料に接触しなくなり、記録材料との接触面
積が小さくなる。これにより、従来、印画率の変動によ
って大きく変化していた材料接触部分と記録材料との摩
擦抵抗が小さくなり、ライン飛び等の印画不良が生じ難
くなる。
【0007】請求項2記載の薄膜サーマルヘッドは、請
求項1記載のサーマルヘッドであって、前記発熱素子同
士の配列ピッチが43μm以下であることを特徴とす
る。
【0008】この薄膜サーマルヘッドでは、発熱素子同
士の配列ピッチが43μm以下の場合に、発熱素子と記
録材料との摩擦変動をより顕著に低減することができ
る。
【0009】請求項3記載の薄膜サーマルヘッドの製造
方法は、基板上に少なくとも抵抗発熱層、導体層、保護
層を有する薄膜サーマルヘッドの製造方法において、基
板上に前記抵抗発熱層、前記導体層を順次積層する積層
工程と、前記導体層及び抵抗発熱層をエッチングにより
部分的に除去して複数の発熱素子を形成する第1除去工
程と、該第1除去工程によって前記発熱素子同士の間で
露出した前記抵抗発熱層の下層を、エッチングにより前
記発熱素子表面との段差が0.3μm以上になるまで除
去する第2除去工程と、前記第1、第2除去工程後に、
少なくとも前記発熱素子上に保護層を形成する保護層形
成工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】この薄膜サーマルヘッドの製造方法では、
積層工程終了の第1除去工程で複数の発熱素子が形成さ
れた後、この第1除去工程によって露出した発熱素子同
士の間の抵抗発熱層下層が第2除去工程のエッチングに
より除去される。これにより、従来の製造工程を利用し
て、発熱素子同士の間を0.3μm以上の深さに除去す
ることができる。以て、簡便にして発熱素子と発熱素子
同士の間とで段差を形成することが可能となる。
【0011】請求項4記載の画像形成装置は、前記記録
材料に一部分を接触させながら記録材料に対して相対移
動して、記録材料へ直接的に又は記録材料を介して間接
的に記録を行う画像形成装置であって、前記請求項1又
は請求項2記載の薄膜サーマルヘッドを記録用ヘッドと
して搭載したことを特徴とする。
【0012】この画像形成装置では、印画率の違いによ
る摩擦抵抗の変化が少ない薄膜サーマルヘッドを搭載す
ることで、ライン飛び等の印画不良の発生を防止するこ
とができ、印画品質を向上させることができる。
【0013】請求項5記載の画像形成装置は、請求項4
記載の画像形成装置であって、前記記録材料の前記サー
マルヘッドと摺動する面の平均粗さが0.5μm以下で
あることを特徴とする。
【0014】この画像形成装置では、記録材料のサーマ
ルヘッドとの摺動面の平均粗さが0.5μm以下という
適度な粗さにすることで、発熱素子同士の間の段差と相
まって、相乗的に摩擦抵抗の変化を小さく且つ安定した
ものにすることができ、画像形成時における印画不良を
大幅に低減させることができる。
【0015】請求項6記載の画像形成装置は、請求項4
又は請求項5記載の画像形成装置であって、前記記録材
料が、30〜70重量部の顔料と25〜50重量部の軟
化点が40〜150℃の非晶質有機高分子重合体を含
み、膜厚が0.2〜1.0μmの範囲にある実質的に透
明な感熱インキ層を有し、該感熱インキ層中の顔料の7
0%以上の粒径が1.0μm以下であり、且つ転写画像
の光学反射濃度が白色支持体上で少なくとも1.0以上
ある感熱転写記録材料であることを特徴とする。
【0016】この画像形成装置では、記録材料を実際の
印刷インキに近い色材の感熱転写記録材料とすることに
より、記録結果の質感や色合いを印刷物と同等にするこ
とが可能となり、色再現性に優れた高品位な画像形成が
行える。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る薄膜サーマル
ヘッド及びその製造方法並びにこれを用いた画像形成装
置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図
1は本発明に係る薄膜サーマルヘッドを備えた画像形成
装置の概略構成図で、図2は図1の動作時の状態を示す
概略構成図であり、図3は薄膜サーマルヘッドの側面
図、図4は本発明に係る薄膜サーマルヘッドの要部拡大
斜視図で、図5は薄膜サーマルヘッドに用いられるイン
クリボンの断面図である。
【0018】図1に示すように、画像形成装置1は、プ
ラテン3と、このプラテン3に対向させた薄膜サーマル
ヘッド5と、プラテン3とサーマルヘッド5との間に挟
み入れられプリントと共に送られる材料(インクリボン
7)と、レシーバーシート9を巻回した供給ロール11
と、本紙13を収納する本紙給紙カセット15と、画像
の転写された本紙を排出する排出トレー17と、本紙1
3へ画像を転写した後のレシーバーシート9を廃棄する
廃棄トレー19と、ヒートローラ対21と、剥離ローラ
23とを主な構成部材として備えている。
【0019】本紙給紙カセット15にはバネ25により
上方に付勢される板金27を設けてあり、板金27は本
紙13を上方に付勢してピックアップローラ29に押圧
している。ピックアップローラ29に押圧された本紙1
3は、ピックアップローラ19の回動により、上面の一
枚が給紙ローラ31によって、ヒートローラ対21の間
に挿入される。
【0020】ヒートローラ対21は、正逆回転可能とな
っており、且つ相互に接近離反方向に移動自在となって
いる。ヒートローラ対21は、接近方向に移動した状態
でシート(レシーバーシート9と本紙13)を加圧加熱
しながら搬送し、離反方向に移動した状態でシートへの
加圧加熱を解除するようになっている。ヒートローラ対
21と廃棄トレー19との間の廃棄路35にはカッター
37を設けてあり、カッター37は廃棄路35に搬送さ
れた転写済みレシーバーシート9を切断するようになっ
ている。
【0021】このように構成された画像形成装置1で
は、プリント時には、図2に示すように、レシーバーシ
ート9を供給ロール11から一枚分送り出した後、再び
供給ロール11に巻き取りながら、サーマルヘッド5に
よって画像をプリントする。この際、ヒートローラ対2
1は離反方向に移動した状態で待機し、レシーバーシー
ト9と非接触状態とする。
【0022】レシーバーシート9へのプリントが完了し
た後、本紙13への転写を行うには、画像を印画したレ
シーバーシート9を再び一枚分送り出し、画像の先端部
分をヒートローラ対21の挿入位置に配置する。次い
で、図1に示すように、本紙13を本紙給紙カセット1
5からピックアップローラ29により引出し、先端がヒ
ートローラ対21を通過した時点で、ヒートローラ対2
1を接近方向に移動し、レシーバーシート9と本紙13
とを同時に加圧加熱しながら図1中の上方へ搬送する。
この際、先端がヒートローラ対21を通過した時点で、
ヒートローラ対21を接近させることで、本紙13の先
端はレシーバーシート9に接着されない状態となる。
【0023】次に、レシーバーシート9に接着されてい
ない本紙13の先端を、剥離ローラ23によって剥離
し、レシーバーシート9と剥離された本紙13を剥離後
搬送ローラ39によって排出トレー17に排出する。な
お、本紙13の剥離は、レシーバーシート9と本紙13
との間に剥離爪41の先端を挿入することにより、より
確実に行うことができる。そして、ヒートローラ対21
は、本紙13の後端が通過した時点で、再び離反されて
待機位置に戻る。
【0024】一方、レシーバーシート9は、本紙13に
転写した部分までを、カッター37の位置まで送り出
し、転写済みの部分を切断して廃棄トレー19に廃棄す
る。なお、この廃棄のためのレシーバーシート9の送り
出し工程は、次のプリントの準備のための送り出し工程
を兼ねることになる。
【0025】ここで、サーマルヘッド5は、図3に示す
ように、プラテン3の回転中心軸O方向に、列状に配し
た発熱素子40を有しており、プラテン3とこの発熱素
子40との間に挿入したレシーバーシート9に対して印
画すべき画像に相当する発熱素子40を選択加熱し、イ
ンクリボン7を介してレシーバーシート9の受像面にそ
の画像を熱転写する。
【0026】この発熱素子40は、図4に示すように、
セラミック基板等の基板41上に凸状のグレーズ層42
を形成し、その上に抵抗発熱層43、導体層44、保護
層45を順次積層して形成する。導体層44は、グレー
ズ層42の先端で分断されることで一対の電極を構成し
ている。発熱素子40は、この導体層44同士の間の抵
抗発熱層43を発熱させることで、インクリボン7を介
してレシーバーシート9への記録を行う。なお、上記基
板41は、基板自体にグレーズが形成されたものであっ
ても良い。
【0027】サーマルヘッド5は、発熱素子40の配列
方向が主走査方向となり、インクリボン7との相対移動
方向が副走査方向となる。この発熱素子40同士の間に
は、副走査方向に長い溝47が形成されており、発熱素
子40上の保護層45と、発熱素子40同士の間の保護
層45とには段差が生じている。この段差、即ち、発熱
素子40上の保護層45の上面と、発熱素子40同士の
間の保護層45の上面との段差は、発熱素子40同士の
間の保護層45の上面側が0.3μm以上低く形成され
ている。
【0028】また、発熱素子40同士の配列ピッチは4
3μm以下に形成されており、これによりサーマルヘッ
ド5は、例えば600dpi、或いはこれ以下の解像度
でドット形成が可能となっている。このようにヘッドの
解像度が高いほど、即ち、発熱素子40同士の配列ピッ
チが小さいほど、摩擦抵抗の変化を低減する効果が顕著
となる。
【0029】このサーマルヘッド5に用いられるインク
リボン7は、図5に示すように、支持体51の一方の面
がインク面52となり、他方の面が発熱素子40に接触
する記録ヘッド接触面Rとなる。この記録ヘッド接触面
Rには、微小凹凸53が形成されている。この場合の微
小凹凸53は、平均粗さRaが0.5μm以下であるこ
とが好ましい。記録ヘッド接触面Rに設ける微小凹凸5
3は、コーティングにより、又は支持体51そのものに
凹凸を形成して設けることができる。
【0030】次に、このように構成されるサーマルヘッ
ド5の製造方法を説明する。図6は本発明に係る薄膜サ
ーマルヘッドの製造手順を説明する製造工程図であり、
図4のA−A断面を示している。まず、図6(a)に示す
ように、基板41上に凸状のグレーズ層42を形成す
る。勿論、予めグレーズの形成された基板を用いること
にしても良い。そして、図6(b)に示すように、グレー
ズ層42の上に抵抗発熱層43、導体層44を順次積層
する(積層工程)。次に、グレーズ層42の先端部分の
みの導体層44を、図4に示すように、主走査方向に沿
って直線状に除去する(第1除去工程)。これにより、
導体層44が部分的に除去されるため電極対が形成さ
れ、その電極対の間の抵抗発熱層43に主走査方向に沿
って発熱部48が形成される。
【0031】ここで、図6(c)に示すように、エッチン
グにより抵抗発熱層43及び導体層44の一部分を、副
走査方向に平行となる複数の溝状に除去することで、抵
抗発熱層43及び導体層44を複数に分断する。これに
より、形成された溝の底部にはグレーズ層42が露出す
ることになる。さらに、図6(d)に示すように、この露
出したグレーズ層42をエッチングにより、グレーズ層
42内部方向に除去することで溝46を形成する(第2
除去工程)。この際のグレーズ層42の除去量は、除去
後のグレーズ層42の溝46表面と、導体層44の表面
との段差が0.3μm以上となるように制御を行う。
【0032】そして、図6(e)に示すように、抵抗発熱
層43、導体層44、及び形成された溝46の上に、均
等厚の保護層45を形成する(保護層形成工程)。従っ
て、グレーズ層42を除去して形成された溝46の上方
には、段差をそのまま残して、保護層45による溝47
が形成される。これにより、発熱素子45と深さ0.3
μm以上の溝47とが主走査方向に交互に形成されたサ
ーマルヘッド5が得られる。
【0033】上記のように構成されたサーマルヘッド5
によれば、発熱素子40上の保護層45上面より、発熱
素子40同士の間に形成された溝47の保護層45上面
を低くしたので、発熱素子40同士の間の保護層45上
面は、インクリボン7に接触することがなくなる。その
結果、インクリボン7との接触面積が小さくなり、従
来、印画率の変動によって大きく変化していた摩擦抵抗
の変化を小さくでき、ライン飛び等の印画不良を生じ難
くすることができる。また、発熱素子40上の保護層4
5上面と、発熱素子40同士の間の保護層45上面との
段差(溝47の深さ)を、0.3μm以上となるように
形成したので、インクリボン等の記録材料との非接触状
態を確実に保持することができる。
【0034】そして、サーマルヘッド5との接触面の平
均粗さRaが、0.5μmという適度な粗さのインクリ
ボン7を用いることで、溝47の形成と相まって、相乗
的に摩擦抵抗の変化を小さく且つ安定させることがで
き、より効果的に印画不良を低減させることができる。
【0035】また、上述した薄膜サーマルヘッド5の製
造方法によれば、複数の発熱素子40を形成することで
露出した発熱素子40同士の間の抵抗発熱層43下層
(グレーズ層23又はグレーズが形成された基板)をエ
ッチングにより除去するため、従来の製造工程を利用し
て発熱素子40同士の間に容易に段差を形成することが
できる。
【0036】そして、発熱素子40の記録材料との接触
面積が小さくなることから、発熱素子40から過剰な熱
がインクリボン7側に伝達されることを防止でき、イン
クリボン7、レシーバーシート9にコートされているワ
ックスが溶融しても、摩擦抵抗の変化を小さく抑えるこ
とができる。
【0037】さらに、インクリボン7は、30〜70重
量部の顔料と25〜50重量部の軟化点が40〜150
℃の非晶質有機高分子重合体を含み、膜厚が0.2〜
1.0μmの範囲にある実質的に透明な感熱インキ層を
有し、該感熱インキ層中の顔料の70%以上の粒径が
1.0μm以下であり、且つ転写画像の光学反射濃度が
白色支持体上で少なくとも1.0以上ある感熱転写記録
材料であることが好ましい。
【0038】このような、実際の印刷インキに近い色材
の感熱転写記録材料とすることにより、記録結果の質感
や色合いを印刷物と同等にすることが可能となり、色再
現性に優れた高品位な記録を行うことができる。
【0039】なお、上述の実施形態では、記録材料が熱
転写記録材料(インクリボン7)である場合を例に説明
したが、本発明に係る薄膜サーマルヘッドは、材料が感
熱材料(感熱紙)であっても、感光感熱転写感材であっ
ても、上述と同様の効果を奏するものである。
【0040】ここで、上記感光感熱転写材料の感光感熱
転写層(画像記録層)の材料としては、感光感熱記録層
が、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性
の無色染料と、マイクロカプセルの外に、同一分子内に
電子受容部と重合性ビニルモノマー部とを有する化合物
及び光重合開始剤を含む記録材料(例えば、特開平4−
249251号等に記載された方式)、又は、感光感熱
記録層が、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子
供与性の無色染料と、マイクロカプセルの外に、電子受
容性化合物、重合性ビニルモノマー及び光重合開始剤を
含む記録材料(例えば、特開平4−211252号等の
記載された方式)が挙げられる。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る薄膜サーマルヘッドによれば、発熱素子上の保護層上
面より、発熱素子同士の間の保護層上面を0.3μm以
上低くしたので、記録材料との接触面積が小さくなる。
これにより、従来、印画率の変動によって大きく変化し
た材料接触部分と記録材料との摩擦抵抗が小さくなり、
ライン飛び等の印画不良の発生を生じ難くすることがで
きる。
【0042】また、本発明に係る薄膜サーマルヘッドの
製造方法によれば、導体層及び抵抗発熱層をエッチング
により部分的に除去して複数の発熱素子を形成した後、
この除去工程によって露出した発熱素子同士の間の抵抗
発熱層下層を、エッチングにより除去するので、従来の
製造工程を利用して、発熱素子同士の間を除去すること
ができ、これにより、簡便にして発熱素子と発熱素子同
士の間とに所望の段差をつけることができる。さらに、
本発明に係る画像形成装置によれば、ライン飛び等の印
画不良の発生を防止することができ、印画品質を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜サーマルヘッドを備えた画像
形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の動作時の状態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る薄膜サーマルヘッドの側面図であ
る。
【図4】本発明に係る薄膜サーマルヘッドの要部拡大斜
視図である。
【図5】薄膜サーマルヘッドに用いるインクリボンの断
面図である。
【図6】本発明に係る薄膜サーマルヘッドの製造手順を
表した製造工程図である。
【図7】中間色印画領域と二値印画領域とを同時に印画
するパターンを示す図である。
【図8】図7のA部に対する印画結果を示す拡大図であ
る。
【符号の説明】
1 画像形成装置 5 サーマルヘッド(薄膜サーマルヘッド) 7 インクリボン(記録材料) 40 発熱素子 41 基板 42 グレーズ層 43 抵抗発熱層 44 導体層 45 保護層 47 溝

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも抵抗発熱層、導体
    層、保護層を順次積層して形成された複数の発熱素子に
    より、記録材料に対して記録を行う薄膜サーマルヘッド
    において、 前記発熱素子上の前記保護層の上面より、発熱素子同士
    の間の前記保護層の上面を0.3μm以上低く形成した
    ことを特徴とする薄膜サーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記発熱素子同士の配列ピッチが43μ
    m以下であることを特徴とする請求項1記載の薄膜サー
    マルヘッド。
  3. 【請求項3】 基板上に少なくとも抵抗発熱層、導体
    層、保護層を有する薄膜サーマルヘッドの製造方法にお
    いて、 基板上に前記抵抗発熱層、前記導体層を順次積層する積
    層工程と、 前記導体層及び抵抗発熱層をエッチングにより部分的に
    除去して複数の発熱素子を形成する第1除去工程と、 該第1除去工程によって前記発熱素子同士の間で露出し
    た前記抵抗発熱層の下層を、エッチングにより前記発熱
    素子表面との段差が0.3μm以上になるまで除去する
    第2除去工程と、 前記第1、第2除去工程後に、少なくとも前記発熱素子
    上に保護層を形成する保護層形成工程と、を含むことを
    特徴とする薄膜サーマルヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記記録材料に一部分を接触させながら
    記録材料に対して相対移動して、記録材料へ直接的に又
    は記録材料を介して間接的に記録を行う画像形成装置で
    あって、 前記請求項1又は請求項2記載の薄膜サーマルヘッドを
    記録用ヘッドとして搭載したことを特徴とする画像形成
    装置。
  5. 【請求項5】 前記記録材料の前記サーマルヘッドと摺
    動する面の平均粗さが0.5μm以下であることを特徴
    とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記記録材料が、30〜70重量部の顔
    料と25〜50重量部の軟化点が40〜150℃の非晶
    質有機高分子重合体を含み、膜厚が0.2〜1.0μm
    の範囲にある実質的に透明な感熱インキ層を有し、該感
    熱インキ層中の顔料の70%以上の粒径が1.0μm以
    下であり、且つ転写画像の光学反射濃度が白色支持体上
    で少なくとも1.0以上ある感熱転写記録材料であるこ
    とを特徴とする請求項4又は請求項5記載の画像形成装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010173136A (ja) * 2009-01-28 2010-08-12 Kyocera Corp 記録ヘッドおよびこれを備える記録装置
JP2011131463A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Kyocera Corp ヘッド基体および記録ヘッドならびに記録装置
JP2019064134A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 京セラ株式会社 サーマルヘッド及びサーマルプリンタ
JP2022186758A (ja) * 2018-04-13 2022-12-15 大阪シーリング印刷株式会社 サーマルプリンタの印字方法

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